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新講座『籠千代田お針箱』(旧名称:雅籠裁縫道具入)
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    今年新規の講座として登場する「雅籠裁縫道具入」を、

    「籠千代田お針箱(かごちよだおはりばこ)」

    に改称してご紹介させていただきます。

     

     

    講習会では人気の「携帯裁縫道具入」講座もありますが、実際に家で使う裁縫道具入れは、複数の色糸を一緒に収納しなければなりません。

     

    当初、私自身は手元にあった安価な籠に簡易な袋を付け、色糸と針刺しを入れただけの裁縫道具入れを使っていました。

     

    しかし、袋物を教えている人間がこんな適当な裁縫道具入れを持ち歩いて恥ずかしくないか?という気持ちに苛まれ、意を決して凝り性全開で作ったのがこのお針箱でした(初めはあくまで自分仕様)。

     

    いかにして縫わずに嚢物を作るかが貼り込みを専門とする私のテーマですが、それでも力がかかるところで針と糸を持つ場面からは免れない。

    とはいえ、がっつりお針仕事をするワケではないので、最低限の色糸、針山、マクラメピン、指貫、糸切りハサミさえあれば十分。

     

    身蓋一体型なので、持ち運ぶときや使わないときは、巾着をキュッと締めるだけでまとまります。

     

    巾着はコンパクトに折り畳める仕様なので、開いた袋が邪魔になることもない。

     

     

    「紐飾り」は結びにした方が閉じた時のバランスは良いのですが、畳んだ時に邪魔になりそうだったので、飾りの細工で処理しました。

     

    糸切りバサミはストラップがないと取り出しにくいので、ここは「しじみの根付」を付けることに(総角の帽子付)。

     

    通常は中の仕切りを表布と共布で作りますが、今回使った古い縮緬は硬めのシボで滑りが悪かったので、針箱の下は内布を貼ってみました。

    このような型は、ある程度滑りのよい薄手の生地を用いた方が使いやすいですね。

     

    このお針箱にはすでに弱っている古裂を使っているので、現代の裂を使うよりは劣化は早いでしょう。

    その場合は、仕切りははめ込んでいるだけなので簡単に取り替えられますし、巾着も取り外して作り直すことができます。

     

     

     

    二段構造の針箱

     

    当初、針山は一段でしたが、「加賀ゆびぬき」を作っているNさんに

    「これが二段で下に指貫を入れる形だったらいいのに」

    というアドバイスをいただき、二段構造の針箱にバージョンアップ。

     

     

    アタの籠はバリで作ってもらったものですが、出来上がってきた籠がちょっと小さめで、仕切りのサイズを調整したため指貫は入っても3個ぐらい。

    (前回「タイ」と書きましたが「バリ」の間違いでした。

     すみません、、、沈

     

    手作りによる個体差があるので、誤差は仕切りの長さを調節します。

     

     

    結びに必要なマクラメピン

     

    このお針箱の特徴は、飾り結びを作るために必要な「マクラメピン立て」があることで、この納め場所をどう作るかが一番の課題でした。

     

    マクラメピンは針山に刺せないので、これだけ別の箱に入れて持ち歩くのが面倒で、なんとか針山の側にあって簡単に使えないかと試行錯誤した結果この形にたどり着きました。

     

    ※マクラメピン立てはあくまで貼り込み作業者仕様。

    一般の方へのプレゼントなら、ピン立ては付けないで処理するとよいでしょう。

     

    日常生活で携帯するなら「携帯裁縫道具入」。

    お針を使う講習会には「籠千代田お針箱」で持ち運ぶ。

     

    携帯裁縫用具入れが「おままごとの世界」とすれば、この籠千代田お針箱はさしずめ「道具(ドール)ハウスの世界」といったところでしょうか。

     

     

     

    「籠千代田お針箱」に改称したワケ

     

    日本袋物史では、「信玄袋」のコキを使わない形を「千代田袋」と言っていますが、カジュアルな袋に対してフォーマルな(女性用の)袋という感じかと思います(袋物概史では「上品な布地を用いた高尚なもの」と有)。

     

    この千代田袋に籠が付いた型が「籠千代田」になるのですが、袋物の本の中にはこれを「利休袋」とするものもあります。

    しかし、籠がなくても利休袋といっている本も有りで、いったいどれが正解なのさ。

     

    懐中物でも「利休紙入」というものがあるのですが、この形が一般的に利休型で通用していたかは少々疑問です。

     

    Rom筥的には、それぞれの流派で、一般的によく使われる型のものに「利休」という愛称を付けたのではないかと解釈しています。

    (利休紙入=念珠入れの型に深口が付いたものに多い)

     

     

    また、この手の巾着袋には、口の処理として「通し紐(通し襠?)」「布ループ」「口ベリ」を使ったものがあります。

     

    受講者には「通し紐を使う袋がいい!」と言われそうですが、紐やループは閉じた時に針をひっかけそうなので却下。

    中の裁縫道具がガチャガチャと動かないように布でしっかり押さえつけたかったので、布に紐を通す形にしました。

     

    このような場合は「口べり」(巾着の紐を通す部分に別の布をつけたもの)を付けるのが一般的ですが、この型は口べりを付けることが難しいので、あえて付けていません。

     

    実際のところ「千代田袋」の口は絶対これ!という確証がなかったので、当初は勝村左右治(かつむらそうじ)先生の本にあった、利休でも千代田でもない「みやび籠」という曖昧な名称をいただいたのですが、このブログを書いている最中に、古き良き名称を復古してみるのもいいかなという気持ちに至り、改称させていただきました。

     

    信玄袋に籠がついたものを籠信玄といいますし、千代田籠ではなく籠千代田という響きが個人的にツボです。

     

    ついでといっては何ですが、携帯裁縫用具入れと名称がダブルのは紛らわしいこともあり、お硬い響きの「籠千代田」に対して、優しい響きの「お針箱」を当てました。

     

    「籠」と「箱」が被ってしまいますが、表は籠千代田、開ければお針箱という二面性のある袋物ということでご理解いただければと思います。

     

     

     

    「籠千代田裁縫道具入」のレベルは?

     

    前回の紹介で「貼り込みというより工作ぐらいの気楽さ」と書きましたが、作り方の資料を作り始めると違った難しさが出て来ます。

     

    人に作り方を教えるということは、完全に「理屈」の世界です。

     

    自分で作っているときはさほど難しさは感じなくても、「人に説明する」という工程が入ると、製図がやたらと複雑になり、全てに辻褄を合わせていくとやたらと難しい物を作っている気分になります。


     

    布を貼って作る箱といえばカルトナージュですが、日本固有の趣味で作る袋物ではたぶんあのような作り方はしないと思うので、あくまで自分が思う貼り込み的な考え方で作っています。

     

    これまでの金封袱紗を基本にした懐中物の貼り込み方とは異なり、仕切り部分はあくまで箱物の作り方。

     

    考え方さえわかれば工作の世界なのですが、今までの袋物とは違う考え方が出てくるので、初めての人にはちょっと複雑に思えてしまうかもしれません。

     

     

    筥迫工房の講習会はステップアップ講習なので、型によっては基本からの応用形というものもありますが、その他は「どのレベルの人なら1日でできるか?」を基準に考えています。

     

    このお針箱は「中級レベル」ならできるのではないかと思っているのですが、何ぶん今回が初めての講座なので、実際に受講された方の様子を見て、難しいようであれば上級にする可能性もあります。

    (どのぐらい時間がかかるかわからないので、とりあえず初回に参加予定の方は終了19:00で考えていてください)

     

     

    こんなものでも講習会で全て作るとなると二日がかりになってしまうので、「巾着部分」はご自宅で作業してきていただきます。

    今まで縫い物の説明はしたことがないので、皆さんにどう伝えられるかちょっと不安はありますが。

     

    通常の貼り込み準備のように、前の日に慌てて作業するのは難しいと思うので、余裕を持って作業してくださいね。

    自宅作業から講習会が始まっているような講座だと思ってください。

     

    また、表布、内布はご自身で用意していただきますが、今回の巾着の「紐」は筥迫工房のショップでは扱っていません。

    指示された別のお店から各自購入していただきます(この打ち紐は「式部型小物入れ」にも使用)。

     

     

    開催日は8月18日、お申込みは7月19日からです。

    『籠千代田お針箱』の詳細はこちらからどうぞ。

     

    は〜、これでやっと今年の新規講座の詳細が揃いました。

    やっと本来の仕事に入れる、、、。

     

    初回は籠が入手できず中止になってしまいましたが、もし後半で入れられるようであればどこかで臨時で入れたいと思ってはいるのですが、後半はけっこうスケジュールが詰まっているので、もしできたらということで、そのときはまたブログで告知させていただきます。

     

     

     

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    【2018.05.22 Tuesday 14:49】 author : Rom筥
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    筥迫講習会2018.5『縢襠付筥迫』
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      今月の講習会は、「金封袱紗」「巾着&房」「縢襠付筥迫」の三連続講習でした。

       

      地味系の嚢物が多い中で、さすがに縢襠付筥迫は華やかな生地で作られる方が多く、それだけでテンションが上がります。

       

       

      H.Sさんの作品(神奈川県)

       

      今回の講習会では、2回目参戦の方も数名いらっしゃいました。

      頻繁にバージョンアップしているので、以前参加された時よりも随分違っていると感じられたかもしれません。

       

      前日は「巾着と房」の講座が行われましたが、巾着や房は「造形」なので、筥迫以上に反復や慣れが必要ということから、こちらも何度も繰り返し参加する方が多いです。

       

      講習会で筥迫を作る意義は、かつての筥迫職人たちが作っていたような完成度の高い筥迫作りを目指しているということでしょうか。

       

      より深く、より本格的な筥迫の作り方を追求しているので、使う厚紙の種類も違いますし、工程もより多く、細部に至るまでこだわりの技を詰め込んでいます(更には頻繁なるバージョンアップ)。

       

       

      K.Nさんの作品(兵庫県)

      ※この筥迫は柄合わせしていません。

       

      紙入れが進化したものが筥迫ということを考えると、現代で市販されているような筥迫は、そこから逆行してより簡易に退化して行っているような気がします。(ただの紙入れをなぜか筥迫扱いしていることがそもそも間違いなのですが)

       

      そのような意味では、初心者用とはいえ、教本も本来の正当な型で作ることができますので、婚礼や七五三など、一度きりのハレの日を彩るには十分かと思います。

       

      講習会でも当初は教本と同じ作り方をしていました。

      しかし数を作っていくと、より高スペックな筥迫を求められてくる。

      かつての筥迫職人たちが作っていた時代の仕立てですね。

      筥迫工房の講習会では、そんな筥迫作りを目指しています。

       

      教本で作る筥迫と講習会で作る筥迫はあくまで同じ型ですが、完成度の違うものを作っているとお考えください。

       

       

      I.Nさんの作品(福岡県)

      縮緬の筥迫

       

      教本の筥迫の作り方では被せに接着芯を貼っていますが、講習会で作る筥迫には接着芯は使いません。

       

      教本では、柔らかいキルティング芯に対し貼りのある接着芯を使っていますが、この型では硬い綿に生地の持つ柔らかさで膨らみを表現しています。

       

      教本はあくまで初心者用の作り方で、講習会で作るこの型は少し貼り込みに慣れた人用の作り方です。

       

      ただし綿入れに時間がかかってしまうので、他の講座よりも説明の時間が長くなってしまうのが難。

       

      丸みがあるのに非常にかっちりとした仕上がり。

      これが本来の縢襠付筥迫の特徴です。

       

      膨らみを持ちながら決して柔らかくなく、曖昧なところがなく全てがかっちり納まっていくこの仕立ては、作った後に爽快感さえ感じさせてくれます。

       

       

      H.Tさんの作品(神奈川県)

      ※この筥迫は柄合わせしていません。

       

      今回の縢襠付筥迫の講習会では、私が手順をすっ飛ばしてしまったことがあり、参加者の皆様には大変ご迷惑をおかけしました。

       

      「柄合わせ」なのに、肝心の柄合わせ用の胴締め型をの取り忘れてしまったという、、、沈

       

      柄合わせというものは布の厚みによってズレるものなので、確実に合わせようと思ったら本体を作ってから合わせていくしかありません。

       

      私自身はどんな状況からでも柄合わせをすることは慣れているのですが、それを講習会に来た人にやらせてしまう羽目になろうとは、、、。

      参加者にとっては気が遠くなる作業だったと思います(ホントごめんなさい)。

       

      ポイントとなる「目安線」がないというのはこれほど面倒なのかと思われたかもしれませんが、反面、2本の目安線さえあれば柄合わせはそれほど難しくはないということです。

       

       

      Y.Oさんの作品(東京都)

       

      急にカメラの話

       

      今回はカメラを忘れてしまったので、残念ながらipadで撮影。

      (更に終了が遅かったので、慌てて前面撮影のみ)

       

      スマホのカメラも性能がいいので、最近は専用のカメラを使う人も少なくなりましたね。

      でも「ブツ撮り(小物の撮影)」は絶対に一眼レフがお勧めです。

      昔に比べて一眼レフはホント安くなったし!

       

      私はかつてイラストの仕事をしていたのですが(実は筥迫よりキャリアは長い)、デジカメやPCのなかった時代は、納品する前のイラストはカメラで撮影していました。

       

      いわゆるバカ×××と呼ばれるカメラもありましたが、自分の描いたイラストを少しでもよく見せたいなら断然一眼レフです。

       

      デジカメが出始めた時代には、それこそカメラのイラストを描く仕事をしていたので、会社では強制的に一眼を持たされていました。

      しかし私自身はメカ音痴なので、興味がない上に学ぶ気もない。

      撮影はあくまでカメラ任せのオート撮影で、色はPCで補正というなんちゃって使い。

       

      しかし、カメラに興味がなくても、オート撮影であっても、自分の描いた絵や自分の作ったものをきれいに撮影したいなら絶対一眼レフがお勧めです(色も違ければ質感も違う)。

       

      一眼レフはかさばって持ち運びが面倒というのが一番の難なのですが、最近使っていた一眼レフが壊れたので、これを機にミラーレス一眼に買い換えました。

       

      今までの一眼のあの重さに慣れていたので、あまりのコンパクトさに、これが一眼か?という不安を覚えましたが、作り方の資料を作る際は片手で作業、片手で撮影という曲芸をしているので、そのような意味ではすごく楽になりました。

       

      もう一つ、撮影には「ライティング」がとても大事です。

      ライティング如何で、実物より写真の方がよく見えることもあります。

       

      もし皆さんがご自慢の筥迫を撮影するなら、ご家庭の卓上ライト一つでもいいので、フラッシュは使わないで撮影してみてください(光源が2つ以上あれば尚良)。

       

      講習会は光源が蛍光灯しかないので、帰ってからPCで明るさを調節するしかないのですが、いつか小さなライト見つけて持っていくかな、、、と密かに考えています。

       

       

      T.Aさんの作品(東京都)

      こちらの飾り房は、ご自宅で作られて来たものです。

       

      房糸は「絹ミシン糸30番 ステッチ糸」を2色より混ぜて作られたそうです。

      一眼で撮影したら、もう少しこの素敵な質感がわかってもらえるのにな〜と思うとちょっと残念です。

       

      話題違いのカメラの話を書いたのもこの房がきっかけ。

       

      ちょっと変わり種のびら簪も素敵です。

       

       

      K.Wさんの作品(富山県)

      こちらもアンティークのびら簪。

       

      ショップでびら簪の長鎖を販売するようになったとはいえ、やはりアンティークのびら簪の存在感にはかないません。

      市場にびら簪が出回らなくならないうちに、是非一本は持っておきたいものです。

       

      それにしても、アンティークの振袖などを扱うレンタルショップでは、古い刺繍筥迫や長鎖のびら簪のものが使われていますが、あんなに簡単に貸し出していたらいつかは劣化するでしょうに、貸してもらえるのはありがたいですが、作る側からすると正直もったいないと思ってしまいます。

       

      複数の人が入れ替わり立ち替わり懐中すれば擦れますし、時代のものなので消耗したら替えのものはありません。

      古い筥迫をレンタルできるのも今のうちということでしょう。

       

      筥迫工房の講習会から次代へ残せる筥迫を作ってくれる人が増えることを望んではいますが、その頃には今のように古い筥迫が安く手に入るという時代はなくなっていることでしょう。

      (絶滅危惧装身具)

       

       

       

      ================================

      念珠入(組入)名刺入

      ================================

       

      開催日:6月3日(日)

       

      申し込み受付中! ※詳細はこちら

       

       

       

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      【2018.05.14 Monday 21:50】 author : Rom筥
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      新講座『筥迫装飾(切付・金装飾・挟玉縁)』
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        5月は3〜5日で三連続講習会が開催されましたが、6月24日初開催の『 筥迫装飾(切付・金装飾・挟玉縁)』の申込日が押し迫っていることもあり、こちらを先にご紹介させていただきます。

         

         

        縢襠付筥迫は実用的な装身具ではありませんが、この筥迫を堂々と使えるのが、婚礼を迎える花嫁さんや成人式の振袖といったハレの日の主役たちです。

         

        実際に「使う」という意味においては、この方々にとっては「実用」なのかもしれません。

         

        しかし、世の中には主役の時期が過ぎた人たちであっても、筥迫を作ってみたい!という熱烈な思いを抱いている人がいます。

         

        筥迫にある種のノスタルジーを感じている人たちですね。

        (そう、あなたのことですよ!)

         

        講習会にもそんな人たちがたくさんやってきます。

         

        初めての筥迫が出来上がると、

        「こんなものが自分で作れるなんて!」

        と感激しきりな人たちであっても、実はその後も筥迫を作り続けられる人たちは極少数です。

         

        所詮使う場がなければ、人に見てもらう機会もありませんし、プレゼントしようにもお嫁さんや成人式のお嬢さん以外、貰って喜ぶ人は少ない(ほぼ迷惑なだけ?)。

         

        苦労して作っても、それが評価をされなければ、筥迫を作り続ける目的意識を持てないのも当然です。

         

        しかし、日本刺繍をする人たちは次々と筥迫を作り上げていく。

        この違いは何なのか?

         

        刺繍をする人たちには「作品を作る」という目的があるからです。

         

        装身具として「使う」機会はないにしても、「作品を作る」という明確な意義を持っていれば、自分に似合うかどうかを考えたり、使う人の好みを考えたりすることなく、自由に好きな装飾で筥迫を作ることができます。

        (私も筥迫を身につけたはたった一度)

         

        筥迫に興味のない人には、筥迫の形を評価をすることは難しい。

        しかしそこに明らかな装飾が施されていれば、装飾には評価しやすいものです(たとえ建前であっても)。

         

        江戸時代中期の筥迫の出現は、紙入れに豪華な装飾を施したものとして進化したことを考えれば、筥迫の最終形態というのは、「装飾」と「仕立て」という双璧で考えるべきものなのですね。

         

        装飾を施した筥迫は、人に見せて満足するというよりも、何より自分自身を喜ばせてくれます。

        あくまで自分のコレクションのために、筥迫を作り続ける明確な目的意識を持つことができます。

         

        筥迫と最も相性の良い日本刺繍は、それなりの年月をかけて技術を習得しなければならないので、一から学ぶのはハードルが高い、と躊躇する人が多いのも事実。

         

        しかし、刺繍するだけが筥迫の装飾ではない!

         

        かつて筥迫は、刺繍に切付け、刺繍に象嵌、押し絵、皮、佐賀錦などを使い、ありとあらゆる装飾、素材を使って作られました(紙であっても作ることができる!)。

         

        そこで、筥迫の可能性を紹介するためにも、刺繍ではない筥迫装飾に特化したこの講座を企画してみることにしました。

         

        体験としての筥迫から、作品作りとしての筥迫へ。

         

        そんな楽しみを持つ人たちが増えれば、筥迫の可能性はもっと広がるのではないかと考えています。

         

         

        切付け

         

        筥迫に刺繍をする利点は、この小さな画面に好きに図案を配置できることです。

        しかし、着物用に絵付けがされているハギレで筥迫を作ると、どんなに小さな柄物を選んだとしても、刺繍のように柄を当てることは困難です。

         

        柄合わせできる布であればいざしらず、どんなに柄取りをしたところで、左、右、中央の胴締めに都合よく柄が当たるかどうかは柄行き次第。

         

        曲がりなりにも刺繍をする私にとって、これを思い通りに切り付けをすることは極自然の成り行きでした。

         

        「切付け(きりつけ)」とは、現代的にいえばアップリケのようなものですが、私は平裂(※)で筥迫を作るとき、ほとんどの場合「切付け」を駆使して作品作りをします。

        ※刺繍のように布の上に別の装飾をしているものを「装飾裂」、装飾されていない布を「平裂」とします。

        あくまで便宜的にこれらを区別するための造語です。

         

        当初は、技法というよりはズル?と思うほど単純な表現しかできませんでしたが、最近は柄を複雑に組み合わせることができるようになってきたので、あえて筥迫装飾として講座の中に取り入れてみてもよいかと考えるに至りました。

         

        サンプルを作るため、筥迫にちょうど良い大きさの柄ゆきの古着の留袖を買って見ました。

         

        できるだけ筥迫の大きさに合うような柄行きのものを選んでみましたが、このままでは筥迫の小さな画面にこの雰囲気を出すことは難しい。

         

        しかし切付けと金糸を駆使すれば、このようにポイントを集中させて作品を作り上げることができます。

        装飾でも針と糸は一切使いません。

         

        切付けは単純なものから複雑なものまで、それぞれのレベルに合わせて創作することができますが、金糸を貼るタイミングも貼り込みの糊のタイミングに通じるところがあるますし、きれいに仕上げるための組み合わせには仕立ての知識が必要です。

         

        講習会でレクチャーするのは技法のみなので、しっかりと一人で作品を作り上げることができる、上級レベル以上の方が対象です。

         

         

        金装飾

         

        本来の金彩は溶剤を使うので、一般の人が扱うにはこれまたハードルが高いものです(使い終わった溶剤の処理をするだけで大変)。

         

        そこで、この講座では溶剤を使わない、一般の人でも扱いやすい材料を使って金装飾を行います。

         

        当初「金彩」としていましたが、本来の金彩ではないので「金装飾」としました。

         

        日本刺繍の駒取りを糊を使って行ったり、筒描きで盛り上げ金をしたり、金色をそのまま着彩したり。

         

        これは教本の表紙で使っている筥迫です。

        この頃から切り付けと盛り上げ金で装飾しています。

         

        金や溶剤を使う本格的な金彩ではないので、扱い易く懐にも優しい。

         

        あくまで筥迫に適した画材や材料を選んで作る筥迫工房オリジナルの技法ですが、これはこれで「あり」な平裂の装飾方法と考えています。

         

        ただし、盛り上げ金は筒描きを使いますので、それなりに練習が必要。

        しっかり練習して作品作りに臨んでいただければと思います。

         

        そして、これをきっかけに日本刺繍を始めたり、本格的に友禅の金彩を学んだり、または独自の装飾に展開していく人が増えていけば、私としては本望です。

         

         

        挟み玉縁

         

        講習会で作る縢襠付筥迫は、教本の型紙より大判のものを使います。

        より装飾がしやすく、作品作りに適している大きさです。

         

        しかし、通常の「挟み玉縁」では細すぎてしまうので、ここに少し手を加える方法をご紹介します。

         

        また、筥迫の特徴とも言うべき「玉縁」が、きれいにできないという声をよく耳にします。

        そんな方のために挟み玉縁のコツをご指導いたします。

         

         

         

        対象レベル

         

        この講座では、他の講座のように「型」には仕上げません。

         

        それぞれに持ち寄った生地をどう「柄取り」するか、どんな「切付け」を用いるかを皆で一緒に考え、金装飾を練習するまでが講座の内容です。

        その場で作品を作り上げるようなことはしません。

         

        この講座で学んだ技法を用い、ご自宅でゆっくりと作品に仕上げていただき、その作品を画像で提出することが課題になります(掲示板かメールに画像を添付)。

         

        「細密用のピンセット」や、人によっては「拡大鏡」が必要になるぐらい非常に細かい作業です。

        手先に自信のある人、絵を描くことが好きな人には楽しい世界だと思います。

         

        装飾の仕方がわかると、筥迫作りは一生の趣味になることでしょう。

         

        お申し込みは、今月28日〜です。

         

        ================================

        筥迫装飾(切付・金装飾・挟玉縁)

        ================================

        開催日: 6月24日(日) 申し込み:5/28

             11月18日(日) 申し込み:10/22

         

        ※詳細はこちら

         

         

         

        筥迫工房の材料販売(ネットショップ)

         

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        【2018.05.07 Monday 22:04】 author : Rom筥
        | 筥迫講習会・研究会 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        成人式の筥迫 〜そして潮干狩り〜
        0

          今回は成人式の筥迫です。

          モデルは、以前「十三参り〜撮影〜」に登場したN.Hちゃんです。

          あれから7年、こんな素敵な女性に成長しましたてれネコハート

           

          実際の成人式は来年ですが、今回前撮りをしたということで画像をいただきました。

          顔出しOKということなので、久々に表情のある成人式画像をご披露することができます(ご協力感謝!)。

           

          そして、この筥迫も4年前の「十三祝い徒然」で使ったものです。

           

          Nちゃんのママとは妹のRちゃんと娘が保育園からのお付き合いで、成人式に筥迫をつけたいと言われ、私の手持ちの中からお着物に合った筥迫をプレゼントさせていただきました。

           

           

          本仕立て

           

          この筥迫は撮影もしないまま手元を離れてしまったので、単独画像はありませんが、厚手の帯地を使っているので、紙入れ部分にも玉縁を入れた本仕立てで作っています。

           

          厚手の帯地は折り返し仕立てができないので、紙入れ部分も玉縁処理。

          厚手地の仕立てに挟み玉縁をするととんでもない厚みになってしまうので、必然的に「本仕立て(縫い玉縁)」になります。

           

          いつか「本仕立て」を講習会でやりたいとは思っているのですが、ご家庭用ミシンではできないという意見もあり思案中です(私は工業用ミシンしか使ったことがないので、ご家庭用ミシンがどうダメなのかもわからない)。

           

          講習会なら上級B以上のレベルだとは思いますが、ミシンによほど慣れていないとできない処理なので、貼り込みのレベルだけで考えられないのが難しいところです。

           

           

          大判の縢襠付筥迫

           

          これは現在講習会で使っている大判サイズの筥迫なのですが、懐中してしまえば一般の人には通常盤(教本の型紙)との違いはほとんどわからない程度。

          それでも最近の和装の花嫁に流行っている小さな紙入れに比べればずっと大きく、見た目はとても豪華です。

           

          ただし着付師さんには不評でしょうね(笑)。

          これだけの大きさのものを懐中するのですから、通常の振袖着付けのようなガッチガチの補正をすれば筥迫は入りません。

           

          帯も高い位置に締められてしまうと筥迫を入れるのが非常に困難になってしまうので、この画像ぐらいの位置がおすすめです。

           

          筥迫の厚みを見せた時に、瞬時に帯の位置や補正の加減を判断できる着付師さんだとラクですが、そうでない場合も多いので、打ち合わせや着付けの前にしっかりと筥迫の厚みを見せて説明しておいた方がよいと思います(七五三でも筥迫は使いますが、大人の振袖に着用するのとはあくまで別物)。

           

          ちなみに、最近この大判サイズ用に大人用の長鎖のびら簪をショップで扱うことにしました。

          通常版の筥迫をより派手にしたい場合は、鎖を長めにするだけでかなり効果があります。

          アクセサリー工具をお持ちの方のために、部品だけの販売もしていますので、お好きな長さに付け替えてみてはいかがでしょうか。

          大人用びら簪

           

          左が妹のRちゃん。

          この総絞りの振袖は、Nちゃんが十三詣りの時に着た着物ですね。

          筥迫もその時の物。懐かしい。

           

           

          ママ振り

           

          どちらもママ振り(母の振袖を娘が着ること)です。

          左の総絞りの振袖はママの十三詣り用で、左の振袖はおばあちゃまが婚礼の時に着た白無垢を、ママの成人式用に友禅で柄付けしてもらい、付け仕立て直したものなのだそうです。

           

          再利用で全く新しいものに作り直せるのが着物の素晴らしいところですが、そんな文化も今は昔となってしまいました。

          だからこそ、これを娘たちに着せたい!というママの気持ちは痛いほどよくわかります。

           

          三代のハレの日に活躍した振袖は幸せの記憶が凝縮しているようで、おばあちゃま(ご健在)もさぞやお喜びになったことでしょう。

           

           

          そして潮干狩り

           

          さてさて、今年も行ってきました「潮干狩り」。

          奇しくも、上記のNママとの恒例行事になっております。

           

          昔は娘らを喜ばせるために連れて行った潮干狩りですが、チビたちが迷子にならないよう気を使いながらでは潮干狩りに集中なぞできない。

          今ではそんな子供たちもいないので、大人二人でひたすら貝取りに熱中できるのが夢のようです。

           

          昼間に干潮時間が当たるのがGW頃で、ちょうどよい干潮の日が私の講習会日程とぶつからず、Nママの仕事のシフトが合うように2ヶ月前から連絡を取り合い調整しあっています(笑)。

           

          できれば人の少ない平日を狙いたいところですが、今年は29日(日)になってしまったので、掘り尽くされていない地面はない!ぐらいの人混みでした。

           

          おかげで収穫はいつもの1/3でしたが、潮干狩りさえできれば満足だからいいの。

          ビールを飲みながら翌年に向けての反省会をするのもまた楽しい。

           

          潮干狩りの最中は写真は取れないので(夢中だから)、今回はせめても当日の献立をアップします。

           

          最近よく作っているCookPadの「☆トマトとにんにくとツナのパスタ☆」のアレンジです。

           

          このレシピ殿堂入りだそうですが、数分でできる超簡単レシピで、失敗のしようもない手順が秀逸。

          ニンニクさえ刻めれば、小学生でも作れる。

          そして誰が食べてもハズレのないおいしさ。

           

          今回はツナの代わりにアサリとベーコンを入れてみました。

          冷蔵庫にブロッコリーが残っていたのでついでにトッピング。

          アサリを入れるので塩分は加えません。

           

          間違いのないおいしさ。

           

           

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          【2018.05.01 Tuesday 00:16】 author : Rom筥
          | 成人式用筥迫 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          雅籠裁縫道具入 カゴ来た~〜!
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            雅籠裁縫道具入

             

            4月開催予定の『雅籠裁縫道具入』では、籠が入荷できず中止になってしまいましたが、その後なんとか別の入荷先を探し当て作ってもらうことに。

             

            サイズだけ言って本当に指定通りのものができるのか?とハラハラしましたが、昨日無事到着しました〜(それもタイからの国際郵便!)

            これで何とか8月18日(土)の講座は開催決定です!
             

            『雅籠裁縫道具入』の外観はこんな感じです。

            この手の一般的な袋と違うのは、上に高さのないぺたんとした形であること。

            これが今回のこだわりでもあるのですが。

            古い縮緬なんぞ使うと超かわいい。

             

            でもこれは柔らかモノの袋なので、私的には専門外。

            この手の袋物の作り方とはちょっと違うのですが、色々と試行錯誤した結果、この型にはこの作り方が良いと判断致しました。

             

            講習会の詳細は5月中にアップする予定ですが、これは中級コースなので、自宅でこの上の袋部分だけを縫って来ていただくことになります。

             

            筥迫工房の講習会には、縫い物は苦手なので貼り込みを習いに来たという方がよくいらっしゃいますが、今までの貼り込み講座とは違うので、そのような方はよく考えてお申し込みくださいね。

            (手順書を見て自宅で作れる方であれば何とかなるとは思いますが)

             

            ミシンで縫ってもいいですが、手縫いでもできます(私は手縫い派)。

             

            中を開くとこんな感じです。

            実際に講習会で作るのは、針山の右側に「マクラメピン」が入るタイプ。

             

            貼り込みの袋物は紐を使うことが多いので、マクラメピンが必須なのですが、マクラメピンはけっこう収納しにくい。

            ということで、何とかうまく収納できる形を考えました。

             

            外は縫い合わせですが、中の仕切りが貼り込みです。

            いや、貼り込みというほどのものではないかな?

            まぁ工作ぐらいの気楽さです。

             

            縫い物が得意な方であればそれほど難しさはないと思いますが、とにかく面倒なのは籠の綴じ付けです(途中で投げ出す人が出るのではないかと心配)

             

            「携帯裁縫用具入れ」は一人で何十個も作る人がいますが、これはいくつも作る気にはなれない手間のかかる嚢物です。

            そういうものほど、出来上がると何とも愛しく感じるものです。

             

            そしてこの型の一番の萌え所は、針山が蓋になっていて、下に「指貫」が収納できるところ(指貫ももちろん貼り込み)。

            こんなに小さいのに結構システマチック。

             

            こちらのお申し込みは7月19日開始です。

             

             

            筥迫装飾(切付・金彩・挟み玉縁)

             

            この前に、6月24日(月祝)の『筥迫装飾(切付・金彩・挟み玉縁)』もあるのですが、こちらも開催決定しています。

             

            サンプルをどう作るかでちょっと時間がかかっているので、こちらの画像及び詳細も5月になります(直前で申し訳ない)。

             

            こちらの講座は縢襠付筥迫の型を使いますが、実際の講習会では「型」は作りません。

            日本刺繍以外の筥迫装飾のための技法を学ぶ講座です。

             

            色々な材料を当日分と持ち帰り分お渡ししますので、教材費はちょっとお高めになりますが、自分で単品を色々買い集めるよりは割安です。

             

            かなり細かい作業になりますので、そういう作業がお好きな方には楽しい世界です。

             

            「柄取り」も練習しますので、何種類か柄布をお持ちください。

            お安い古着の留袖あたりも練習にはよいかと思います(できるだけ小さい柄でね)。

             

            この講座は縢襠付筥迫が完全に作れる人用の上級コースです。

            「事前」の課題はありませんが、受講後にこの技法を使った筥迫を画像提出していただきますので、「事後」の課題になります。

             

            講習会にくればとにかく形には仕上げてくれる!といつもの調子で気楽に考えていると、自分で仕上げられずに困ることになるので、こちらもよくよく考えてお申し込みくださいね。

             

            こちらのお申し込みは5月28日開始です。

             

             

             

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            【2018.04.23 Monday 00:18】 author : Rom筥
            | 筥迫講習会・研究会 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            2018.4 筥迫講習会『三段口扇襠筥迫』
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              4月の講習会は『三段口扇襠筥迫』でした。

               

              三段口扇襠筥迫は、段口3つ、袋1つ、鏡、差し込み1つと、それほど複雑でない仕様で作った実用的な筥迫です。

              薄幅でスタイリッシュさが特徴の使いやすい懐中物です。
               

              H.Sさんの作品(神奈川県在住)

              満開の花が美しい筥迫です。

               

              縢襠付筥迫の本体の部品数が17とすると、三段口扇襠筥迫の部品数は23です。

              5つほど部品数が多い。

              初めて作る人にはどの部品がどこに当たるのかが想像つきにくいのですが、型紙には柄が出る部分が記してあるので、内布に柄物を使う場合は、それを見ながら柄出しに奮闘することになります。

               

              部品が多いのにこれだけの薄型に仕上がっているということは、内布に少しでも厚みのある生地を使えば最後は収まらなくなります。

              貼り付けの段階でしっかり糊を飛ばしておかないと、少しの水分がゆるみとなり、少しの浮き上がりが厚みにもなり、全体がゆるい仕上がりになってしまうので、部品作りは手を抜けません。

               

               

              Y.Tさんの作品(大阪府在住)

              布が変わるだけで、ずいぶんと違う雰囲気の作品ができあがります。

               

              洋服的な考え方では、裏地は表地より目立たないものですが、懐中袋物は表ではあまり主張せず、中で思い切り主張するものが多いようです。

              懐中物というのは非常に「内向き」なものなので、人に見せるというよりも、持つ人が楽しむという考え方です。

              このことから、私はあえて「裏地」とは呼ばず「内布」と呼んでいます。

              縢襠付筥迫は江戸時代の筥迫の流れをくむものなので、見せるという要素が強く「外向き」と言えるでしょう。

               

              通常は襠は内布を使う人が多いのですが、この作品では襠に表布を使っているので、開いた時の艶やかさがよけい際立っています。

               

               

              Y.Mさんの作品(東京都在住)

              こちらの作品は、表が「柄合わせ」されています(それも縦型!)。

              三段口扇襠筥迫では柄合わせはカリキュラムにありませんので、事前準備の際にご自分で考えて柄出しされたということです。

               

              この講座は本体だけを作成するため、巾着と房は撮影用にご自分で作ったものをお持ちいただきますが、この作品ではチャームを付けた「ぶら」を作成されました。

               

               

              Y.Oさんの作品(東京都在住)

              表の被せに「縁出し」をすることにより、アクセントをつけることができます。

              表にはっきりとした柄があるようなものは、できるだけ無地のラインが見えるように使うと効果的です。

               

               

              N.Nさんの作品(東京都在住)

              この作品は全面同じ表布で作られています。

              色の出るところを駆使して効果的に使われています。

              表は何気に、被せ、胴締め、被せ下の三面柄合わせ。

               

               

              F.Yさんの作品(愛知県在住)

              このような色合わせの作品は、どんなお着物にも合いそうですが、房はその時々で別の色に付け変えるとよいでしょう。

               

              私自身は房より下りの少ないびら簪をつける方が好きですが、それはあくまでアンティークのびら簪にしかないので、いつか筥迫工房オリジナルの大人用のびら簪を販売したい!というのが夢です(あ〜お金がかかりそう)。

              でも来年あたりは「三連ぶら」を使った型を出したいですね。

              これなら既存のパーツで作れるので。

               

               

              M.Tさんの作品(神奈川県在住)

              この型は、前部の段口&袋パーツと後部の鏡&差し込みパーツに別れているのですが、それぞれ別布使いにして表情を変えることができます。

              それにしても、表からは想像もつかない「りらっくま」使い。

              どうしても使いたかったのだそうです。

               

              そして本日のお召物に懐中して撮影。

              あそこにリラックマが隠れているんですよ、、、。

               

               

              貼り込みは積み重ねが大事

               

              今回の講座では、2回目参戦の方が2名いらっしゃいました。

               

              最近は同じ講座に二度、三度と出られる方が増えて来ました。

              上級までいって金封袱紗に再度参戦という方も多いです。

               

              講習会では綺麗に仕上がるのですが、家で作ると同じようにできなかったり、上のコースに進んでから基礎的なこともができないことに気が付いたり、初めのときは型を作ることに必死で細かいことまで聞く余裕がなかったなど様々な理由があるようです。

               

              複数回同じ講座に出るような人は、ある程度数を作り込んでいる人に多い。

              初めの頃は難しささえわからないものですが、作るほどにしみじみと難しさを感じるようになるからでしょう。

               

              そのように熱心な人は教える側としてもうれしいもので、いつもより余計に細かいところを教えたりもします。

               

               

              貼り込みは積み重ねがとても大事ですが、日頃モノを作ることに慣れている人の中には、それをショートカットできる能力の人もいます。

              厳密にいえば、正確にモノを作ることを知っている人。

               

              仕事などで制作に携わっている人などはそのような素養があったりしますが、趣味の手芸だとそれほどシビアに作ることを求められませんので、やはり基礎的なところからしっかり技術を積み重ねて作り込まなければなりません。

               

               

              貼り込みは糊で接着して作るものなので、「縫うより簡単そう」と思って参加する方が多い。

               

              事実、切って貼っての世界は非常に単純ですし、現代でも糊で貼って作られたものは巷にありふれています。

              縮緬を使ったお土産物にたくさんありますよね。

               

              現代で市販されている筥迫は、貼り込みの考え方で作られたものはありません。

              昔の筥迫を知っている人たちは、現代の筥迫を見て「おもちゃのような」という例えを用いたりします。

               

              繊細な貼り込みの技法で作られた嚢物を見れば、おもちゃのようとは誰も思わないでしょう。

              貼り込みとはそういうものです。

               

              講習会に参加する皆様には、是非そのような貼り込みの袋物を目指していただきたいと思います。

               

               

               

              筥迫工房の材料販売(ネットショップ)

               

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              【2018.04.15 Sunday 22:29】 author : Rom筥
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