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千歳の花嫁姿とびら簪〜らんまん〜

先日NHK朝ドラ『らんまん』で、主人公万太郎の娘の千歳が花嫁姿で登場しました。

朝一番に、ある方から「今朝の朝ドラやはり筥迫に目がいってしまいました!」と連絡をいただきました。

日頃の私の教育が行き届いているようで何よりです(笑)。

その日の教室でも朝ドラの花嫁姿が話題となったので、遅ればせながら今回のブログではこの話題を取り上げたいと思います。

 

朝ドラの設定が近代の時代物(戦争挟む)である場合、高確率で「黒振袖」の花嫁衣装が出てきます。

この時代は花嫁といったら黒振袖一択なので、筥迫は必須アイテムです。

母である寿恵子の花嫁姿は約2〜3ヶ月前に登場しましたが、あの時に懐中していたのは「紙入れ」という話題で書きました。

(というかサイズ的にはただの懐紙挟みか?)

しかし千歳が着た振袖に何となく見覚えあるような?と思っていたら、寿恵子が着た婚礼衣装だということがネットにも取り上げられていましたね。(画像は松の青色が潰れてしまいますが同じものです)

【らんまん】千歳の着物に感動ストーリー

母から受け継いだ着物を娘が着るという設定ですが、意味深にも懐中物だけが紙入れから筥迫に入れ替わりました。

これは時代考証なのか?と思いましたが、明治16年の花嫁が筥迫を用いないにしても、あえて懐中物を用いたかのかは不明です。

しかし千歳の場合は、息子の年齢や「関東大震災(大正12年)」が起こるという時代を考えると、近代化した筥迫がリバイバルヒットした時代真っ盛りなので、筥迫だけは新たに買い揃えたと解釈しておきます。

 

しかし今回の話題の中心は、やはり「びら簪がない!」ことでしょう。

確か以前もブログで「マッサン」での相武紗季さんの花嫁姿について書きましたが、あのときも直前までびら簪は登場しているのに、実際の花嫁姿には「びら簪」は付けていないんですよね(怒)。

まさかお金をケチって「びら簪」を買わなかったなんてありえないでしょうし(この時代はびら簪は別売り)

マッサンでは「懐剣」を用いていますが、らんまんとも時代は被りますし、この時代の婚礼衣装に懐剣は使われていないはずです。

それよりも、この時代は「花嫁が使う筥迫はびら簪を外す!」などという今時の謎ルールは適応されていないのですから、花嫁の筥迫に「びら簪」は付けるべきです(飾り房を付けているのにびら簪がないのは片手落ち)

黒振袖全盛の頃の花嫁姿を登場させるなら、「びら簪」を用いた本来の筥迫にこだわってくださいよ、NHKさん!

マッサン 〜優子の婚礼〜

↑すでに9年前の内容なので、私の解釈も変わっている部分がありますがご了承ください。

 

「飾り房」も「びら簪」もあってこそ

花嫁の筥迫から「びら簪」を取り外す傾向はかなり昔からあったと思います。

以前より、筥迫の厚みをなくすために紙入れ部分に収められた「懐紙」を抜くと言う力技が用いられてきましたが、確かに厚みは減るにしても、懐紙によって支えられていた「簪挿し」が天面部から崩れ落ち、筥迫は完全にひしゃげた状態になってしまいます。

以前はこのような状態のものがよくヤフオクなどで売られていたのですが、私もそれを知らない頃は「使い終わったら中の懐紙は使うのね」などと考えていました(大笑)。

こんなひしゃげた筥迫をハレの日の花嫁の胸元に入れるなんてどうかしてると思いますが、着付師さんにとっては筥迫を綺麗な状態で入れることよりも、花嫁の襟元を崩さないことの方が重要ということなのでしょう。

こんな状態で「びら簪」まで入れたら、その重さでどうにも不安定ですし、それで「びら簪を使わない」というルールが出来上がったのかもしれませんが。

今では邪魔な簪挿しも胴締めも取り去った、すっきりとしたつまらない紙入れが、筥迫然として花嫁の胸元に収められているというのが実情です。

 

この画像の飾り房が付いたパーツが「簪挿し」です。

茶道で使う「楊枝入れ」と同じ形状で、ここに「びら簪」を挿し込みます。

「簪挿し」があれば、本来は「飾り房」も「びら簪」も付属します。

近代型の筥迫では「簪挿し」を固定するための部品が本体中央の「胴締め」であり、胴締めがあればストッパーの「巾着」もそこに繋がれています。

このように、紙入れ本体にバラバラの付属品をセットして初めて「筥迫」の形となるのです。

(ただし江戸時代の筥迫はびら簪は必須ではありません)

 

「びら簪」消滅の危機

実は今年の春頃に、ネットショップで販売している「びら簪」の在庫が残り少なくなったので仕入先に発注したのですが、そこでも在庫がなく、これから新しく作るとのことで納品が2〜3ヶ月先になると言われました。

これまでそんなことはなかったし、2〜3ヶ月も供給が滞れば婚礼業界でも支障をきたすはずなのにと思いましたが、結局それが困らないほどに需要がなくなったのだと思い知らされました。

 

最近教室の体験講座に来られる方の中には、婚礼に携わるお仕事をしている方も多く「びら簪」の話題はよく出ます。

やはり花嫁の筥迫では「びら簪」は外すというのが共通のルールになっているようです。

「びら簪」を使わないという流派があってもいいかとは思いますが、「びら簪を使うことは間違い」という、それこそ間違った認識が主流なっている昨今の婚礼事情を考えると、暗鬱な気持ちにならざるを得ません。

しかし中には、上に従わざるを得ないような年齢を脱したので、これからは「びら簪」を使いたい!という強者もいらっしゃいました(頑張ってくれ!)。

 

筥迫と同色で、襟に挟み込む赤い帯揚げのいりく結びにするあたり、ホント筥迫が目立たない。

せめてこの胸元にジャラジャラとした派手な「びら簪」が見えていたら、もっと立派な花嫁姿になると思うのになぁ。

NHKの朝ドラで筥迫にびら簪を付けてくれたら、視聴者も「あれは何だ?」と気が付く人も出てくると思うんですよ。

 

業界にとって不都合なことを、私が声を大にして叫ぶことで気まずい思いをする方がいるかもしれません。

それでも筥迫に関わる私が声を出し続けていかないと、近い将来、細々とびら簪(筥迫専用)を作っている業者がいなくなってしまうでしょう。

一旦消滅してしてしまった文化を再び蘇らせることは容易なことではありません。

それを何よりも憂いているrom筥です。

今後も折りに触れ、しつこくびら簪の話題は続きますよ、どこまでも!

 

ちなみに、七五三の筥迫から「びら簪」が外されるという話は聞いたことがありません。

七五三がびら簪の消滅を死守してくれているのはありがたい限りです。

 

関東大震災

「らんまん」では、昨日、今日と「関東大震災」の回になりました。

これは袋物文化にとっても大きな転換期でした。

第一の転換期は「明治維新」です。

明治維新を機に、日本人の中に「手提げ」という概念が芽生えました。

それまで懐中していた物が手提げに移行する一方、筥迫だけは武家の「格」社会から、婚礼の「ハレ」文化へと舞台を移行して生き延びました。

 

第二の転換期がこの「関東大震災」です。

何もかも燃えてしまった中から、新しい文化が芽生えます。

明治の後半から大流行した「巾着型の手提げ(信玄袋)」が、一気に「ハンドバッグ」に切り替わったのです。

かたや男性社会では、一世を風靡した「キセル」から「巻き煙草」に需要が移り変わり、一気に「煙草入れ」が衰退します。

歴史ドラマに関東大震災が出てくると、私は「ここで袋物文化が切り替わるんだなぁ」という感慨に浸ってしまうのです。

 

 

 

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母が作る娘たちへの『婚礼筥迫&懐剣』〜gakoさんの作品〜

 

 

今回は教室に通われているgakoさんが作られた刺繍の筥迫をご紹介させていただきます。

 

二人のお嬢さんを無事嫁がせて、肩の荷を降ろしているであろうgakoさんですが、長女さんの結婚を期に筥迫と出会い、今回の次女さんの結婚式では、これまでの集大成ともいえる渾身の筥迫を作られたのでした。

長女さんのときからの道のりを交えレポート(青字)を書いてくださったので、私のコメント(黒字)を挟みながらご紹介させていただきます。

 


 

私が初めて筥迫を作ったのは、5年前(2019年)の長女の結婚式の時でした。

式場の貸衣装に付属していた筥迫は、何かの軽い箱にギンギラの布を貼り付けたあまりにも簡易なものでした。

いくらなんでもこれなら自分で作ったほうがマシ!と思い、筥迫の作り方を探してたどり着いたのが筥迫工房の教本でした。

 

gakoさん曰く「当時は筥迫がどのようなものかも知らなかった」のに、「自分で作ったほうがマシ!」と思わせてしまうなんて、いったいどんな筥迫だったのか興味津々です。

婚礼衣装を扱う専門店でも、どうせちょっとしか見えないものなんだから厚紙に布を巻いたもので十分!と自分達で「工作」してしまうこともあるでしょう(そんなものがネットにもたくさん出ていますし)。

そんな適当な筥迫でも、ほとんどの人は気が付かないかもしれません。

現代では胴締めがない簡易な紙入れを筥迫などと言っているぐらいなので、本来の筥迫がどういうものか知らない人の方が多くなってしまったからです。

それにも関わらず、「ちゃちな筥迫」に悪い意味で琴線が触れてしまったgakoさんは、きっとその時に筥迫の神様に呼ばれてしまったのでしょうね(笑)。

 

こちらの筥迫は教本を買って初めて作られた作品だそうです。

これは綿を入れない基本の筥迫ですが、それでもちゃちな筥迫よりはずっと存在感があります。

筥迫工房の教本はとても丁寧に細かく説明があり、簡単ではありませんでしたが、出来上がった婚礼セットは未熟ながらも、長女はもちろん親族、式場のスタッフや着付担当の方にまで褒められ、とても嬉しかったことを覚えています。

 

こちらが長女さんのために作った、結婚式のための筥迫(2作目)。

サラサラの切り房と清楚なピンクの小花が散りばめられた品の良い筥迫&懐剣のセットです。

 

試作、本番用ともに「金襴」をお使いですが、薄めの金襴を選ばれたのが成功の秘訣ですね。

派手な柄の金襴は厚みがあるものが多いので、筥迫が作れるかどうかは布選びにかかっているといって過言ではありません。

(ちなみに金襴は浅草橋の人形の田辺で購入されたとのこと)

 

お嬢様たちの顔出しOKいただきました。

こちらは長女さんの花嫁姿です。

花嫁さんの喜びに満ち溢れた笑顔は、見ている私たちも幸せにしてくれますね。

 

 

長女さんの結婚式のときにgakoさんが作られたのは、「ジャンボフラワー」、壁に飾った「切り絵」、花嫁の「つまみ簪」、「ボールブーケ」、そして「筥迫と懐剣」、これら全てを作られたそうです。

 

切り絵は、月本せいじさん、カジタミキさんの本を見て作ったものとのこと。

 

あまりにも頑張りすぎたせいで式後に体調を崩して大変だったことから、今回の次女さんの結婚式では「そこまでしてくれるな」と娘さんたちからストップがかかったとおっしゃっていました(笑)。

初めての筥迫作りがよほど楽しかったようで、その後gakoさんは筥迫工房の教室に通い出します。

そして長女さんの結婚式から早5年、次女さんの結婚式では「日本刺繍の筥迫&懐剣」に一点集中することになりました。

 

そして今年、2月に行われる次女の婚礼用筥迫を作ることになりました。

この5年の成果はいかに?というプレッシャーと、娘の期待の高まる中、迷いつつもやっぱり憧れの日本刺繍を入れてみたい!

ここでやらなければなんのために今まで筥迫を作ってきたの!と一念発起。

こうして無謀なチャレンジは始まったのでした…。

しかし日本刺繍は通信講座を一度受け、その後市販の本を元にやっただけ。

私が今回目指すのは牡丹の刺繍筥迫。

それもRom筥先生が作ったあの『牡丹の筥迫』が忘れられない!

 

筥迫を作っていると「日本刺繍」の作品を目にする機会が多くなるので、それに憧れを持つのは当然のこと。

私も生徒さんに刺繍作品を見せながら「日本刺繍やろうよ〜」と誘ったりもするのですが、筥迫を習いつつ日本刺繍を習うというのはかなりハードルが高いようで、なかなか刺繍の世界には入ってくれません。

 

そこでgakoさんは、あえて日本刺繍の先生にはつかず、中村刺繍さんの通信講座にチャレンジするところから始められました。

私は初めは直接先生について習った方が絶対にわかりやすいと思っているのですが、それはしっかりした台張りのやり方を習わないと細かい日本刺繍はできないからです。

しかし、gakoさんが通信で初めて作った作品はかなり丁寧な仕上がりで、通信でもここまでできるんだ!とびっくりしたのを覚えています(あくまで人によりけりだとは思います)。

その後、市販の刺繍の本を買ってもう1点作品を仕上げ、これらは金封袱紗に仕立てられています。

 

gakoさんから次女さんのために日本刺繍の筥迫が作りたいと持ちかけられたのは、多分お嬢さんの婚礼の半年ぐらい前のことだったと思います。

刺繍の素質はありそうなので、そのときは簡単に桜を散らせるぐらいなら、私が教室で少し面倒見ればいいかぐらいに思っていたのですが、gakoさんの要望は肉入れ盛り盛りの牡丹の筥迫、、、つい唸ってしまいました(苦笑)。

初歩的な2つの刺繍をやっただけでこの筥迫を作るなんて、日本刺繍をしている者から言わせると非常に無謀なことです。

 

 

しかし婚礼と関わりの深い筥迫の世界では、花嫁の筥迫というのは一種の花形。

それが婚礼を控えた娘を持つ母親であれば、無理なこととわかっていても自分の思い描く理想の筥迫を作りたくなる気持ちは理解できます。

 

日本刺繍の基礎的なこともRom筥先生に教わり、本やYouTubeを見まくり、刺してはほどきを何度も繰り返しました。

放り出したくなるときにRom筥先生に愚痴ると『できるかどうかじゃない、やるんだよ(笑)』と愛の叱咤激励。

教室で他の生徒さんからお世辞で褒められるのもモチベーションにして…。

そしてこの3ヶ月、リビングのテーブルは私の筥迫コーナーとして占領されたのでした。

 

5年間の教室での様子から、gakoさんが物作りのための正確な手をしていることはわかってましたし、次女さんの結婚式まで時間は限られていること、途中で諦めて愛娘の婚礼に花を添えられなくなることはgakoさんの性格上ありえないので、私には必ずややり遂げるだろうという確信がありました。(不思議なほど心配はしていなかった)

また他の生徒さんたちも日本刺繍がどういうものなのか触れることができるので、これは教室にいい影響を与えてくれるかもしれないとの思いから、gakoさんに協力することにしたのです。

その代わり、できるだけこまめに教室に通うことが条件です。

 

 

私は江戸時代の、あの彫刻のような立体刺繍の筥迫に強く影響を受けているので、通常日本刺繍で習うような「肉糸」(しつけ糸を束ねたようなもの)は使わず、違う手法を用います。

しかしそれは人に説明できるようなやり方ではないので、gakoさんには通常の肉糸で厚みを出すやり方にしてもらいました。

これでも立体感はかなり出ていると思います。

 


筥迫の被せには娘の名前の杏の字をとった花、被せ下には娘の名前、そして背には妹と姉の名前から桃と杏の実を刺繍しました。

他に足した柄にも思い出の詰まった、世界にただ一つの渾身の婚礼筥迫セットが完成となりました。

 

私が作った牡丹の筥迫は、その後も図案を使いたいという人に提供することがありますが、皆さん約束したかように牡丹の右側にオリジナルのデザインをアレンジされます。

 

 

式当日は、rom筥先生が用意してくださった『正しい筥迫の装着方法』の図解を着付師の方に渡したので、何の問題もありませんでした。

そして披露された娘の晴れ姿は、まさに馬子にも衣装、彼女の誇らしげな顔に涙をこらえきれませんでした。

 

 

教室でも、刺繍をしながら次女さんが家を出ていくのが寂しいといつも言っておられました。

とても仲の良いご家族なんでしょうね。

お嬢さんたちも母の思いのこもった筥迫を胸に、きっと同じような仲良し家庭を築いていかれると思いますよ。

 

刺繍はもちろんのこと、筥迫の仕立てにもこれだけ緊張して慎重にやっているにも関わらず、玉縁の付け方、内布と縁との不均等なズレ、糊の過不足…満足のいかないことだらけです。

しかし次回は孫の七五三、まだまだ修行は続くのだ…!(終)

 

今後は工芸科進級を目指して頑張るそうです。

愛の鞭は続くよどこまでも(笑)。

 

ぺたんこの筥迫で襟元すっきりの花嫁スタイルが今時の主流ですが、私はボリュームたっぷりの胸元で筥迫を際立たせた今回の花嫁さんのようなスタイルの方が素敵に思えて仕方ありません。

 

gakoさんのこれまでの作品はInstagramでも見ることができます。(アカウントは @hitomi1738 )

 


 

ちなみに、筥迫工房の教室で日本刺繍を教えているわけではありませんのであしからず。
教室で長く筥迫を習っている人には、筥迫装飾及び袋物装飾の勉強の一環として、希望があれば刺繍を教えることもあるという程度です。

初心者の方は日本刺繍は絶対専門の先生に習った方がいい。

ただし、筥迫の装飾の仕方、筥迫図案の作り方、日本刺繍をされている方であれば筥迫の肉入れの仕方などは、教室に来ていただければご指導いたします。

 

さぁあなたも、gakoさんのように徹底的に筥迫を作り込んでみませんか?

 

最後に、私が作ったオリジナルがこちらです。

ANAの機内誌に使ったいただいた物ですが、いかんせん7年前のものなので、刺繍も仕立ても上手くなくてかなり恥ずかしい。

 

 

 

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怒涛の婚礼筥迫&懐剣セット〜C.Oさんの作品 その1〜

 

もうお手々まで初々しさを感じさせるお写真ですが、昨年11月より教室に通われているC.Oさんから来月(2023年3月末)に行われる結婚式の前撮り画像をご提供いただいたので、今回はこちらをご紹介させていただきます。

 

C.Oさんはご自身の結婚式で、(挙式)白無垢→(披露宴)打ち掛け→引き振袖→(二次会)振袖、とオール和装を予定しているほどの着物好き。
更には、白無垢以外の3衣装それぞれに合わせた筥迫&懐剣を作りたい!という熱意を持って教室にやってきました。

体験講座で筥迫を作る方はよくいらっしゃいますが、袋物を習いに来るわけでもなく、結婚式に使う筥迫を作るためだけに教室のフルチケット(&追いチケット)を買う人も珍しい。

そんな筥迫愛に溢れる花嫁さんには、筥迫工房としてもできる限りの協力をさせていただきますとも!

 

しかし筥迫作りに慣れている方ならいざしらず、全くの初心者が約4ヶ月で筥迫&懐剣を3セット作るのはなかなかの強行スケジュールです。
現在はなんとか2セット目までを仕上げて、3月前半までに残りの1セットを仕上げる予定ですが、結婚式直前とあって、お仕事をしながらの作業にかなり疲労が溜まっているご様子。
なんとか体調にだけは気をつけて、結婚式に向けて心を込めた筥迫が出来上がることを祈るばかりです。

 

筥迫製作中のC.Oさん。

 

 

C.Oさんの筥迫デビュー作は、着物地で作った玉縁入りの筥迫&懐剣です。
実はC.Oさんにはご自身こだわりのテーマカラーがあります(そのために筥迫を手作りしているのかもしれない)。

それはパステル系カラー。

その中でもピンクと薄紫は、彼女にとって特別の色のようです。

とにかくこの色を身につけてさえいれば自分がhappyになれる!というお守りのようなカラーなんでしょうね。

 

ご自身もお花のようなパステル系女子(萌)。

挙式前の画像掲載に加え、ご主人ともども顔出しOKいただきました。感謝。

ああ、なんて可愛いのかしら♡

和装するために生まれてきたかのよう。

このような姿を見るだけで、自分が日本文化の中で生きていること、それを享受できることの幸せを感じます。

 

 

筥迫第一号『御所車』


筥迫工房では色々な形の筥迫をご用意しておりますが、ザ・筥迫ともいえる定番の「縢襠筥迫(かがりまちはこせこ)」だけでも「基本型3種類」「大型2種類」があります。(基本型の三種類は前回のブログでご紹介したものです)

基本型の筥迫(本式)はショップで販売している教本を使って作るものなので、初心者の方はこちらの型紙で作っていただきます。

教室で学んでいる上級者は、もう少し本格的な「大型」で作ります。(基本型より一回り大きめで本格的な仕立て)

大型の筥迫は、黒引き振袖が花嫁衣装の主流だった時代によく使われていた大きさですが、筥迫は大きいほどに存在感があり、見るからにとても立派です。
最近の筥迫は縮小傾向にあり、「差し色」的な使い方に振り切っているようですが、私は大きく存在感のある筥迫の方がいかにも主役の花嫁らしくて素敵だと思っています。

 

こちらのC.Oさんの筥迫は、そんな大型の筥迫をしているかのような立派な存在感なのですが、実は基本型の型紙を使っています。

これがとても大きく見えるのは、C.Oさんがとても小柄で華奢な方だからです(お顔も小さい)。

 

記念すべき筥迫第一号は、1月の前撮りに合わせて大急ぎで作ったものです。

柄は「御所車」ですが、実は御所車は筥迫にしにくい柄です。

 

筥迫仕立ての華といえば「綿入」「柄合わせ」「玉縁」です。

筥迫には中央に「胴締め」があるので、本体の被せの中央の柄が胴締めによって隠れてしまいます。

そのようなことから、この胴締めを本体の柄と同じにすれば(柄合わせ)、柄が分断されず一つの絵に繋がるということです。

この柄合わせは牡丹などの大きめの柄のときに使うととても効果的です。

ご自分で刺繍をされる方なら同じ柄を胴締めに入れるだけですむのですが、着物の柄をそのまま筥迫に生かそうとする場合は、「小紋」のように同じ柄が繰り返し染められていないとこの柄合わせはできません。

振袖や留袖の柄はとても華やかで筥迫に向いていそうに思いますが、残念なことにこの繰り返しがないので柄合わせにはできません。

まぁ柄合わせにしなくても、胴締めで色を多く出すことにより華やかな出来上がりになるので、あえて柄合わせしないこともあります。

 

しかし御所車の場合は胴締めで柄が分断されてしまうと、左半分の入口部分しか見えないことになり、なんの模様だかよくわからない柄になってしまいます。

その上、お花とかではないので可愛くもない。

しかし今回C.Oさんがご用意されたこちらの布は、筥迫にちょうどよいサイズで繰り返し模様もあったので「柄合わせ」することができました。

これなら誰が見ても御所車に見えるでしょう。

 

玉縁は通常「白」を使うことが多いのですが、御所車は黒の配色が強いので、お着物の色から差し色を加えることにしました。

筥迫に色が足りない場合は、このように玉縁を差し色使いすると華やかになります。

ただし玉縁に使う布は着物地では厚すぎるので、襦袢地や八掛地を使います(ツマミに使うような羽二重は薄すぎる)。

玉縁用の布が見つからない〜という場合は、筥迫工房のショップで玉縁用の細布を購入して、ご自分で染めるのも一案です。

 

こちらは全身の引き振袖姿です。

「花嫁」とはよくぞ言ったものだと思います。

人生で満開の花が咲き誇る瞬間ですね。

 

今回はC.Oさん作の筥迫&懐剣第一弾ですが、第二弾、第三弾はお式が終わって落ち着いた頃にいただけるのではないかと期待しています(もちろんご本人のレポートも)。

 

どうぞお楽しみに!

 

 

<お知らせ>

『婚礼用和装小物』の教本の割引期間が終了します。

3月1日からは通常価格となりますので、必要な方はお早めにご注文ください。

 

 

 

 

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婚礼用 帯地の縢襠筥迫 和装小物一式

 

姪っ子の婚礼用筥迫に、以前金襴で作った筥迫をアップしました。

話があったのが二ヶ月前だったので、取り急ぎすぐに着手できる手持ちの金襴で作ったのですが、これがどうしても気に入らない、、、。

 

そんなとき、以前入手していた帯地の存在を思い出しました。

こちらの方が確実に見栄えがする!と確信し、速攻で作り直しました。

筥迫房と懐剣房は金茶があるのですが、そういえば末広も色を揃えた方がいいなと思い、こちらは既製品がなkったので急遽染めることに。

 

これは六通の袋帯ですが、六通は上手くすれば「柄合わせ」ができるのがいいところ。

ただ所詮は帯なので、筥迫用の柄付けにはなっていないものを無理矢理柄合わせしたところで、あまり映えない出来上がりになることも多い。

柄合わせは運がよければできるぐらいに考えて、胴締めにしっかりと色柄を出した方が華やかな筥迫に出来上がることの方が多かったりします。

ということで、こちらはあえて柄合わせはしていません。

 

ただ、長く筥迫を作れば作るほど、どうしてもジャストな配置で柄合わせがしたくなるので、結果日本刺繍に進むというパターンが多いのですが(苦笑)。

 

 

このように、金襴や帯地で筥迫を作れば大変立派なものに仕上がるのですが、講習会や教室、または教本で作る筥迫は、必ず「着物地」を使ってくださいと言っています。

筥迫は同じ型であっても、扱う素材によって難度は雲泥の差です。

教室でも、金襴は教科コースの初級、中級までは使わないように言っていますし、厚みのある布で小さなものを作るのにはそれなりの修練が必要です。

 

上級になって、初めて金襴での「角の処理」を学びます。

帯地で仕立ては出来ても、角は布が重なってくるところなので、「折り返しの額縁」や「突き合わせの額縁」で処理をすると、相当の厚みになってしまい、出来上がりがとてつもなく野暮ったくなります。

例え出来上がっても、胴締めが閉まらなくなります。

このような帯地は折り返しが出来ないので、通常は本仕立てにするため、レベルとしては工芸コースの人が修練を積み重ねて作るようなものです。

 

布の処理で「どうしても上手くできない(扱えない)」と言う生徒さんがいると、「それは人間の手が布に負けているってことよ」と笑って応えます。

布には布が行きたい方向というものがある。

帯地は貼り付けから「堅糊」で作っていくことになりますが、これも普通に使っていたら付きません。

それらを知らないで真っ向から立ち向かうのは、北風と太陽のようなもので、簡単に撃沈されるということ(苦)。

貼るタイミング、布の力の逃し方を考えて貼っていくことができるようになれば、かなり平和的に布を扱えるようになります。

つまり「糊を制する」「布を操る」ことがわかってくると、貼り込みで物を作ることはより楽しい作業になります。

 

 

これまで相当の数の帯(ユーズド)を買ってきましたが、柄の大きさが丁度いいというだけで買ってしまうと、作る段になってほぼ泣く思いをします。

袋帯は全て「帯裏」が付いているので、本当の帯の裏は見えないからです(厚みがわからない)。

袋帯のほとんどは、裏に模様を作るための大量の緯糸が渡っていると考えた方がいい。

 

これでも裏糸は少ない方です。

 

これまで帯を買いまくってそれなりに失敗もしてきた。

しかし今では、筥迫用の帯を探す時の大体の目安というものが自分の中に確立してきたので、帯を買って失敗をする頻度も少なくなりました。

これについて詳しくブログに書いてしまうと、教本を買ったばかりの初心者が張り切って帯地を買ってしまう恐れがあるので書きませんが(笑)。

初心者は失敗したくなければ、どうぞ着物地で作ってください。

このような帯地で筥迫を作れるようになりたい方は、どうぞ教室に通ってください。

 

こちらは初めに私がイメージした房のパターン。

 

「金茶」とこちらの「赤白グラデ」を作って姪っ子に選んでもらったところ、金茶に決定しました。

房は筥迫との色合わせよりも、衣装との色合わせで考えた方がいいですね。

 

最近は房を染めることにひたすら執心していましたが、色々な染料を買いまくり、助剤との組み合わせに難儀しながら、やっと少しずつ光が見え出してきたところ。

筥迫は作り出すと、こだわりどころ満載で、沼は深くなる一方です。

 

ちなみに、着付師さん用に「筥迫はフルセットで装着してください(胴締め、簪差し、びら簪は外さないで!)」と注意書きを入れたのですが、果たしてそのようにしてくれるのかちょっと心配しています。
あえてこんなことを書かなければならない世の中になるとは、、、(嗚呼)。

 

姪っ子の結婚式は今月末。

どんな素敵な花嫁姿を見せてくれるのかとても楽しみです。

 

 

このような帯地の筥迫は、どうぞ職人のお仕立てにお任せください。

筥迫お仕立てお問い合わせ

 

 

着物地でも一度は筥迫を作ってみたい!という方は、どうぞ以下バナーからネットショップへどうぞ。

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Moeさんの婚礼用筥迫

婚礼を控えたMoeさん( @eomamayuram )が、筥迫の制作から出来上がりまでをInstagramに連投してくださったので、許可をいただいてブログの方にアップさせていただきます。

 

これまでInstagramのポストは、「埋め込み」という機能を利用してブログに貼っていました。

これなら、Instagramのアカウントを持っていない人でも見ることはできると思ったのですが、どうもデバイスによって画像が見れないということがわかり(私はスマホでは見れない)、ちょっと手間ですが、ブログには画像化したものを貼って、上のテキスト(Instagramのリンク先はこちら)にリンクを入れることにしました。

ややこしくてごめんなさい。

 

 

 

私の筥迫作りは娘の七五三がきっかけで始まりましたが、当時、生業としていたテクニカルイラスト(取説のイラストや機械の分解図)の仕事で、本来のモノの説明よりも、免責事項でコマを減らされることに鬱憤が溜まり、好きなだけ画像を詰め込んで、誰でも絶対にわかるマニュアルを作ってみたい!という強い衝動に駆られていた時でした。

 

手芸本は山ほどあれど、これだけ要素の多い筥迫をマニュアル化しようなんて物好きはいないだろうから、これでちょっと腕試ししてみようか?そんなノリでした。

 

つまり当初の目的は、筥迫制作よりもマニュアル制作の方だったんですね。

 

それが今、こうやって私のマニュアルで筥迫を作ってくれる人がいて、その方にとって何より大事な婚礼の席でお役に立つことができる。

 

何とも感慨深いことです。

 

 

 

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婚礼用筥迫 〜手描き友禅の筥迫&懐剣〜 その2

前回のブログでご紹介した、花嫁様が身につけた「手描き友禅」の筥迫&懐剣です。

かつての純和装花嫁スタイルを、国際色豊かな新郎新婦が身につけたことで、改めてその素晴らしさを感じられたように思います。

 

まるで、その昔に作られたかのように見える正統派筥迫ですが、これは現代の職人の手で作られています。

(サンプル保存が目的で撮影したものだったので、胴締めの位置を確認せずにズレたまま撮影してしまった、、、💦)

 

「ザ・筥迫」と言わんばかりの白地の塩瀬に鶴の図案ですが、ご依頼主様から友禅職人(Y氏)へのご指定は「鶴・希望の色味」のみで、後は全てお任せだったそうです。

 

「鶴」の図案は婚礼筥迫の定番ですが、鶴はつがいで描かれることが多いモチーフです(実際には一羽も複数羽もある)。

「おしどり」図案の筥迫を見つけることはほとんどないのですが(以前、中山先生の筥迫で見かけたぐらい)、鶴が「一生添い遂げる」のに対して、おしどりは一途ではあるものの「季節限定恋愛」のため、なかなか婚礼には使いづらいのかも(苦笑)。

 

しかし今回の図案は、Y氏の「右側に空間を作りたかった」との趣向で、つがいの鶴は「被せ下」に描かれました。

 

 

被せ下の鶴がくわえているのは「若松」で、「子宝」を象徴しているとのこと。

(クリスチャン的には、鳩がオリーブの葉をくわえている姿に重なってしまう、、、)

 

筥迫図案を作る面白さは、作家が思いのままに場面展開で考えられるところだと思います。

・被せ(胴締め下)

・被せ下

・背

・巾着

・簪差し

・懐剣袋

それぞれに思い思いの図案を考えていくことができます。

 

しかし、江戸時代の筥迫も、明治・大正時代の筥迫も、被せ下に絵の繋がりはあるものの、このような「場面展開」という考え方はあり見かけません。

実に現代らしい考え方とアイデアであると私は思っています。

絵本のようで、図案を考えるのが楽しい。

それも人に見せるものではなく、あくまで自分一人のもの。なんて贅沢。

 

 

裏側には職人の落款が入っています。

Y氏は通常自分の作品に落款は入れないらしいのですが、今回はご依頼人からの希望で入れることになったそうです。

 

なぜ私がそんなことを知っているかと言いますと、この筥迫を作るのに、直接Y氏と打ち合わせすることができたからです。

一般的に友人や親戚、紹介でもない限り、友禅職人へ直接依頼ができる人は少ないと思います。

出来上がった作品(着物や帯)を購入する、もしくは呉服屋さんの仲介で作ることがほとんどなのではないでしょうか。

私にとっても遠い世界です。

 

ただ、筥迫というのは、実際に刺繍(もしくは友禅)をする人と、直接お話をして打ち合わせをしないと、図案を生かした筥迫を作ることはできません。

筥迫の「柄合わせ」はとても難しく、絵付けの配置に注意が必要なので、下図からの打ち合わせが必須になるからです。

 

懐剣には金箔を使った松がキラキラと輝いて、なんとも美しいです。

 

Y氏も筥迫の図案など初めてだったので、直接会って打ち合わせをしたいと言ってくださったので喜んで応じました。

間に人が入るよりも、直接職人同士で話をした方が早いので、おかげでさまで時間のない中で連携プレーができたと思います。

 

筥迫というのは小さなものなので、バッグなどと比べて「小さい=安い」と考えられがちですが、表現に重点を置くとかなり小さな図案になってしまうので、刺繍では通常の糸よりもずっと細い糸で緻密な刺繍をします。

ですから、小さな面を埋めるだけでも相当の時間がかかります。

これは友禅も同じことのようで、ここまで細かい彩色にはそれなりに時間がかかるとおっしゃっていました。

(ただし筥迫仕立てをご依頼いただいた場合は、教本サイズよりもやや大きい大型サイズを使います)

 

このような仕事をしていると、色々な分野の職人さんと繋がるチャンスがあるのですが、やはり東京近郊の職人さんが主です。

そして彼らがよく言うのは、京都などの職人さんは細かく分業体制で仕事をするのに対して、東京の職人はそのようなシステムがないので、一人の職人が一通りの作業が出来なければ成り立たないということ。

例えば今回のY氏も、図案、友禅、金彩までを一人で行われています。

筥迫を作るには大変都合がいい。

これが京都の場合は全てが分業になるので、この筥迫だけでどれだけの時間とお金がかかるのだろうかと思ってしまいます。

 

 

筥迫はハレの日に込める思い

 

筥迫工房の活動は、私がたった一人で筥迫作りの研究をすることから始まったのですが、こんなにも筥迫作りにハマるきっかけとなったのは、アンティークの刺繍筥迫の存在でした。

世にアンティークの筥迫ファンは多いかと思いますが、私がこの古い筥迫に惹かれたきっかけは、ほとんどの人がそうであるように「日本刺繍」の美しさからでした。

しかしその現物を手にした瞬間、何よりも心を打たれたのは、その圧倒的な「仕立て力」でした。

 

現代でも筥迫は作られ続けていますが、業者が作ったものと昔の専門職人が作ったものとでは、同じ形に作られているにも関わらず、同じものには全く見えないという明らかな仕立ての差があります。

しかし昨今、胴締めやびら簪で何とか体裁を保っていた現代の花嫁筥迫から、更にこれらの付属品を全て省いてしまうという所業を目の当たりにし、「これは筥迫じゃない!」と私が嘆く気持ちをご理解いただけるでしょうか。

 

ただ、何回もお着替えをする衣装に懐を痛める花嫁さんを見ると、こんな小さな筥迫にお金をかける余裕(価値)がない気持ちもわかります。

だからこそ、もしお式当日の衣装は和装の一着だけ(お色直しをしない)という花嫁様がいらっしゃいましたら、是非、筥迫にハレの日の思いを込めてみてはいかがでしょうか。

お衣装は、レンタルすればその日限りですし、誂えるにしても、お手持ちの振袖を手直しするにしても、気軽に見返すということはできません。

遠い将来、タンスのスペースを取るために処分されることがあるかもしれません。

でも筥迫は小さいので、いつまでも思い出の日を振り返ることができます。(いや、3代の花嫁までは使える!)

 

 

筥迫のお仕立て

 

実は私はこれまで、積極的に仕立ての依頼は受けてきませんでした。

それは一人で多様な仕事を抱えていること、少しながら受けている依頼も特殊な物が多く、どうしても一般の依頼まで手がまわりませんでした。

 

しかし、この1〜2年でさすがに一人で抱え込むことが不可能になり、それを見かねて協力してくれるスタッフが加わったことで、ここ一年ほどで体制を整えることができるようになりました。

同時に、以前から地道に養成してきた職人も、最近は十分な技能を満たすようになってきました。

 

このようなことから、今後は一般の方からのお仕立て依頼もお受けできるようになりました。

現在は刺繍などの「素材持ち込み」がメインなのですが、手持ちの着物で筥迫を作ってほしいなどは可能です。

専門のスタッフがアドバイスいたしますので、ご希望の方がいらっしゃいましたら是非お問い合わせいただければと思います。

筥迫工房へのお問い合わせ

 

筥迫工房のネットショップでも、初心者向けの筥迫作りの「教本」が販売されていますので、手に覚えのある方には是非挑戦していただきたい。

一人で作ることに自信のない方は、「教室の体験講座」がありますので、ここでなら確実に筥迫を作り上げることができます。

(体験とは言っても教室に正式入会しないというだけで、最低2日はかかりますが)

 

筥迫はほとんどの工程を糊だけで作ります。

ここまで精密に糊を使う技法にこだわった袋物教室はないと思いますので、もっと本格的な筥迫や、様々な型の袋物細工を習いたい方は教室があります。現在は「プロ養成」もしております。

 

ご自分で仕立てはできなくても、趣味で刺繍を習われている方なら、プロの手による完璧な筥迫をオーダーすることもできます。

まだ筥迫の既製品を作るまでは手が回らないのですが、お手持ちの着物で筥迫を作ってほしい、というご要望にはお応えできます。

 

婚礼において、もはや筥迫は単なる「差し色」としての価値しかないように見受けられます。

この世の流れからすると、婚礼から本格的な筥迫はどんどん姿を決していくことでしょう。

(意外にも七五三の筥迫から胴締めを取り外すことはまだないようで)

 

だからこそ、「自分で筥迫を作る」「筥迫をオーダーする」など、本来の筥迫の形にこだわる方が一人でも増えてほしい。

そして、いつまでもこの文化が続いていくことを願うばかりです。

 

 

 

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婚礼用筥迫 〜手描き友禅の筥迫&懐剣〜 その1

期せずして、前回のブログにリンクするような画像をいただきましたので、ご紹介させていただきます。

筥迫工房的に『ザ・花嫁』のお手本のようなスタイルです。

 

 

こちらは、お嬢様の婚礼のための「筥迫&懐剣」をオーダーいただき制作したものです。

あまりにも美しい作品だったので、SNSへの掲載に許可をいただきました。

純和装の花嫁姿も、正統派筥迫もどちらも素晴らしいので、2回に分けて投稿させていただきます。

 

オーダーされた当初は、ご本人様に筥迫に対する明確なイメージがなかったので、話し合いを重ね、その中で懇意にしている手描き友禅の職人がいらっしゃるということだったので、最終的に「筥迫用に手描きされた友禅」での制作となりました。

 

友禅の着物を解いて筥迫を作ることは多々あれど、あの小さい枠内に収めようとすると、柄取りは中途半端なものになりがちで、仕方なく切り付けをしたり、金装飾をしたりと、色々な手を加えます。

ですから、このように筥迫用に絵付けされた(つまり筥迫枠にバッチリ絵が収まる)手描き友禅で筥迫を作ることは、私にとっても初めての経験でした。(筥迫画像は次回を乞うご期待ください)

 

花嫁衣装は、ご依頼いただいたご本人様(花嫁の母)がその昔着用された振袖で、そこに更に友禅で華やかな色を差し加え、「お引き」に仕立て直しされたそうです。

かなり急ぎのご依頼でしたが、普段から友禅の職人さんと懇意にされている方だったので、スムーズなチームワークでオリジナルの友禅筥迫を作ることが可能だったのだと思います。

 

 

髪はかつらを使わずに、地毛で結って「角隠し」にされたそうです。

ここ最近は和婚を希望される花嫁さんが増えているようですが、髪型は洋髪スタイルがほとんどなので、必然的に「綿帽子」が主流となりました。

 

「角隠し」はベースとなる日本髪あってのスタイルですが、あの時代劇のような「かつら」が、現代ではあまりにもベタに思われるのでしょうか。

最近は「地毛」で「日本髪」というスタイルを見かけるようになりました。

その方が、現代人にとっては違和感なく角隠しが出来るかもしれませんね。(お色直しにドレスを希望されなければ?)

 

ちなみに、ここまで純和装のフルコーディネートならばと、筥迫工房から「赤の志古貴」と「角隠しピン」をご提案させていただきました。

 

黒引き振袖なら、「赤の志古貴」をお勧めしないわけにはいかないですし!

打ち掛けの後ろ姿は、帯結びも志古貴の結びも隠れてしまうので、そこに凝っても意味がない。

つまり、打ち掛けの選択肢はシンプルな帯結びと、シンプルな抱え帯のみ。

ド派手な帯結びや、可愛い志古貴で後ろ姿を見せるのは、花嫁振袖だからの優越感ですよ

ちなみに「赤の志古貴」は筥迫工房のショップには出ていませんが、取り寄せは可能です。

 

「角隠しピン」は、お仕立てのコーディネーターN.Nさんからのご提案です。

その昔、角隠しには専用のピンが使われていました。(現代ではもっと簡易なもの)

角隠しなら本来のピンを使うべき、なんてことは全然思っていないのですが、私のようにアンティークのびら簪を買い集めていると、その中によく「角隠しピン」が混ざってくるんですよね。

これを西洋の結婚式での縁起物「サムシングフォー」の一つ、「サムシングボロー(借り物)」にちなんでお貸ししたという次第です。

私もいくつか持っているのですが、興味がないのでどこぞに仕舞い込んでいる(苦笑)。

今回お貸ししたのはN.Nさんがお持ちのものでした。(なんで二人してこんなものを持っているんだろう)

 

ご新郎様はアメリカの方で、ご新婦様は日米ハーフという、美しいお二人の純和装での婚礼姿でした。

 

 

 

 

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花嫁5点セットを製作して〜cha.yo.nagoさんの作品〜

以前、Instagramに自作筥迫の画像を投稿してくださったcha.yo.nagoさんから、筥迫体験記が届きましたのでご紹介させていただきます!

筥迫とお着物の色柄がなんてぴったり!出会いですね〜

 

今回、筥迫を作ることになりましたのは、昨年結婚した姪がコロナ禍でお式も披露宴もできず、伴侶となった方を祖父(私の父)に紹介できずにいたこともあり、このお正月に姪の母(私の姉)と相談し、ホテルで会食をしようという話になったことからでした。

 

せっかくだから、最後に振袖を着せてお写真だけでも撮ったら?ということになり、いろいろと調べるうちに、振袖を加工して花嫁衣装の「引き振袖」ができることを知りました。

そこから、ネットで加工してくださる着物屋さんを探し、3月末には仕上がるということだったので、4月にお披露目をすることになりました。

 

「引き振袖」を検索すると、「筥迫・懐剣・末広・抱え帯・丸ぐけ帯締め」という5点セットが目に付くようになり、すぐに「筥迫!ステキ!!!」という気持ちが芽生えました。

 

もともと私の娘の成人式の際に「筥迫風スマホケース」が作りたかったのですが、その時は、つまみ細工で髪飾りを作っていたので時間が足りなく断念したこともあり、今回は、引き振袖を発注した時からすぐに「検索」して、筥迫はどうやったら作れるのかを探しました。

 

筥迫工房さんのブログはすぐに見つかり、興味深く拝見させていただいた後に「教本」があることを知りました。

作ることが大好きな私なので、すぐに筥迫工房のショップにアクセスし、「教本」と「材料」を注文した次第です。

 

「教本」が届き、お道具もそろったので、さっそく花嫁セットを作ることにしました。

ド素人な作りではだめだろうと思い、試しに薄めの生地で筥迫を作ってみることにしました。

 

 

帯揚げくらいの生地が最適とのことで、帯揚げを使い作ってみたところ、楽しくて楽しくて。

次に、娘の振袖用の筥迫まで作ってしまいました。

 

これは「玉縁」を付ける作業で少し苦労しました。

 

 

糊を薄めずそのまま生地に乗せてしまい、糊跡がついてしまったのが失敗でした。

乾いたらあまり目立たなかったので、これはこれで良しということで完成させました。

この時に「房」を絹の手縫い糸で作ってみたのですが、これも自分でできたことに感動しました。

 

cha.yo.nagoさんのお嬢さんとお父様(娘さんにとってはお祖父様)

 

ここから花嫁5点セットの「生地」を探すことになり、某メ〇カリで、正絹でちょっとしっかりとしたお雛様のお衣裳に使うような生地を買い求めました。

金襴の生地までは厚くなく、でも着物生地よりは分厚い…ちょっと迷いましたが、柄が振袖にぴったりだったのでこれに決めました。

 

それからの「抱え帯」「丸ぐけ」「帯締め」の生地を探すのに、大変な労力を使いました。

3メートルくらいの着物のハギレはなかなかなくて、その上、お色が「紅色」がいいと姉がいうもので、八掛の生地など探したのですが、なかなか思うものが見つかりませんでした。

日も差し迫ってきましたので、少々お高くなりましたが、手芸問屋さんで、正絹の生地の一番「紅色」に近いものを買うことにしました。

 

そこから、まず「抱え帯」を作りました。

抱え帯の芯地は、筥迫工房さんで買わせていただいていたので、これはすんなりとできました。

抱え帯に馴染みがなかったので、姉に見せると、「シゴキ」がよかったかも?と勝手なことを言いましたが、お嫁さんにはコレ!!と言って説き伏せました(笑)。

「丸ぐけ」「帯締め」もわりとすんなりとできました。


ここから、花嫁用の「筥迫」と「懐剣」の作成に入りました。

 

 

「房」は少しでも素人感が出ないように、最初から「撚り房の完成品」を使うことに決めておりました。

「筥迫」は生地が少し分厚かったものの、3つ目でもあり、わりとスムーズにできました。

 

ただ、飾り紐は、教本とにらめっこしながら何度もほどいたり結んだり。

挙句の果てに、筥迫の飾り紐の結びが一つ少ないことを、巾着を付けてから発見しました。

生地の柄の向きが間違っていることにも後から気づきました(涙)。

 

飾り結びの最後の段がなくたって全然わからないから大丈夫!

 

まあこれも、ご愛敬ということで自分に言い聞かせ、完成となりました。

それから「末広」の房が紅白だったのがとても気になり、白に変えたのが少しだけ自慢です(笑)。

 

「懐剣」は、ミシンを使うのは得意?というか、趣味なので、楽しくできました。

紐の結びも大変勉強になりました。

 

 

引き振袖も出来上がり、5点セットもできたので、もう一つ筥迫を作りたくなり、絞りの生地で作ってみました。

ちょっと渋いお色でしたが、私の好みになりました。

 


当日は私と姉も着物を着ることにしたので、せっかくなので最初に作った筥迫を私が、最後の絞りの筥迫は姉が使いました。

 

当日は、姪が最後にお道具を付けた姿を見て感激しました。

 

 

この振袖は、姉が成人式の時に、亡き母が作ってくれたもので、〇十年前のものですが、私もこれで成人式を迎え、姪、私の娘も一度袖を通したものです。

花嫁衣装として、あと何回か着てもらえればいいなあと思っております。

 

花嫁様とお母様(cha.yo.nagoさんのお姉さま)。

 

今回、作った5点セットは、ちょうどよいサイズのお菓子の空き箱に直しております。

これも、使ってもらえれば今回頑張った甲斐もあるかと思いますので、娘にも伝えております。


今回、「筥迫工房」様のブログに出会えて本当に良かったと思います。

どうもありがとうございました。

 

 


 

cha.yo.nagoさん、本当にお疲れ様でした!

そして渾身のレポートをどうもありがとうございました。

 

以前のブログで、Instagramのこちらのポストを掲載させていただいたときに、「金襴地で作るのは〜」と書いてしまいましたが、こちらは着物地だったようです。

でも金襴地のように存在感のある裂で、お着物にぴったりな組み合わせでしたね。

 

 

引き振袖に仕立て直した花嫁衣装

 

以前、お互いの家族だけ、親族だけで小さな会食をする「地味婚」というフレーズが出始めたときに、「成人式のときに着た振袖」に「筥迫&懐剣」で花嫁衣装にする方々がけっこういらっしゃいました。

 

しかし今は、cha.yo.nagoさんご家族のように、否応なくご家族だけの結婚式にせざるを得ない状況なのでしょう。

 

ただ、いわゆる地味婚の場合は「振袖+筥迫懐剣」ですが、このように振袖を「引き振袖」に仕立て直すというところに、とにかく「特別な衣装」でハレの日を迎えてほしいというご家族様の強い願いを感じます。

 

私的に興味のあった「振袖を引き振袖に仕立て直す」とはどのようなことなのかを、あらためてcha.yo.nagoさんにお聞きしました。

 

振袖は、着物を引きずって着るために縫い上げを伸ばし丈をできるだけ伸ばし、振袖の裾と重ね比翼にふき綿を2cmの厚みで入れていただきました。

緑の部分は重ね比翼を取り付けていただきました。

私どもはこのまま保管して、あと何人か着てもらうつもりですが、また、振袖としても仕立て直しも可能だそうです。

 

とのことです。

洋服ではありえないことですが、着物文化というのは本当にサスティナブルです。

 

以前、お母様の白無垢を娘の成人式のために友禅に染め上げて、そのまた娘が現代で成人式にその振袖を着るという話をブログで書いたことがあります。

高度に文明が発達した日本という社会において、伝統の中に当たり前のようにSDGsな考え方があることに感心してしまいます。

 

これを書きながら、一つ思い出したことがあります。

愛子さまご成人の際に、黒田清子さんの「お下がり」のティアラを使ったことに海外の方がかなり驚かれたことです。

それは多分「可哀想」とか「節約すぎる」と感じられたのかもしれませんが、日本人としてそれほど驚きがなかったのは、このように着物を引き継ぐ文化があるせいなのかと思いました。

 

経年で劣化する着物でさえ引き継ぐ文化があるのに、何百年も形状変化しなさそうなティアラを引き継ぐことに何の問題がある?

 

 

花嫁DIY

 

この花嫁衣装以外にも、cha.yo.nagoさんのInstagramで会場の飾り付けの画像が上がっていたので、このことについてもお聞きしました。

 

会場の装飾ですね。

そうなんです。ペーパーファンをたくさん作りました。

それを、ホテルのスタッフさんと飾り付けしました。

あとは、フォトウェディングといいましょうか、それの小道具を作りました。

「寿」と一筆書き風の「赤い糸」 梅結び「赤い糸」、扇子プロップス・ボールブーケなど、作りました。

花嫁DIYがもう趣味を超えて、生きがいのようになっていました(笑)。

 

 

どうやら豪華な披露宴よりも、cha.yo.nagoさんにとっては最高に意義のある作品展になったようですね(笑)。

 

しかし「花嫁DIY」という今時の言葉を初めて知りました。

調べたところ、「結婚式DIY」「wedding DIY」とも言うようです。

 

ここで「DIY」という言葉のおさらいを。

第二次大戦後のロンドンで、廃墟に立った元軍人たちが「何でも自分でやろう」を合い言葉に、町の再建に取り組んだのが始まりとされる。(大辞泉)

破壊されたロンドンの街を、自分達の手で復興させる国民運動が始まり、そのスローガンとして「Do it yourself(D.I.Y.)」がうまれたそうです。

この運動はイギリス中を席巻し、1957年には雑誌『Do it yourself』が刊行され、やがてその運動がヨーロッパ全土へ、そしてアメリカ合衆国へと広がっていった。

本土に戦災をほとんど受けなかったアメリカにおいて、D.I.Y.は「復興」から「週末レジャーや余暇の一つ」として楽しむという概念へと変化し、いつしか健康的に週末を過ごす趣味へと進化を遂げた。(Wikipedia)

 

そういえば、筥迫工房が提唱する「袋物細工」も、ほとんどその技術が残っていないところからの復興でした。

 

カルチャーとしての成り立ちもないところから始まったので、全ては自分の手で集め、作ることしかできません。

部品の一つさえないので、なんでも自分で作り、材料を入手するのに業者と掛け合い、道具の一つ一つを全てを自分で調達しました。

これぞ「袋物DIY」と言わず何と言う(笑)。

 

 

さて、cha.yo.nagoさんのように、一人で筥迫を作るなんて無理、、、という方のための「体験講座 婚礼用筥迫&懐剣」が6月に行われます。

実は今回は「金襴」使ってもいいということにしました。

ただし、こちらで選んだ薄手のものだけですが、金襴は扱い方にコツがあるので教本には載せられません。

ご興味にある方、是非どうぞ。(お席あと少し残っています)

 

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現在、↓こちらからお申し込みいただけます。

婚礼用「筥迫&懐剣」体験講座

定員になり次第、受付終了いたしますので、ご希望の方はお早めにお申し込みください。

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体験講座 婚礼用『筥迫&懐剣』

 

婚礼用「筥迫&懐剣」体験講座

 

突然ですが「講習会」開催のお知らせです。

6月4日(土)、5日(日)の二日間で、婚礼用「筥迫&懐剣」体験講座を開催いたします。

 

こちらは単発の初心者向け体験講座です。

 

以前「筥迫&懐剣」のコースを企画したことがありましたが、そのときは3日連続!という長丁場の講習会で、準備から全て当日作業、飾り房はどちらも「切り房」で作ったので超ハードでした。

そんなことから、さすがに1回のみの企画で、その後開催することはありませんでした。

 

しかし今回は初心者向けの「体験講座」なのに、二日間で作り上げるという離れ業です!

というのは大袈裟ですが、要は事前作業は全てこちらで準備し、筥迫と懐剣の飾り結び(撚り房)は完成されたものを使うからです。

 

講習会はコロナが始まってから2年お休みしているので、体験者は教室のみで受け入れています。(教室では2回で筥迫のみを作ります)

しかし、教室では他の方と一緒で、それも全員が違う型を作っていることから、初心者につきっきりになることはできません。

 

これまでの経験で、初心者にとってのネックは「準備作業」と「飾り結び」ということはわかっていたので、教室では「事前作業」を私が全て準備し、結びはその人の進行具合に応じて撚り房を使ったり、結びまで作ってあげたりと臨機応変に対応していました。

これを講習会に応用しようと考えた次第です。

 

何より、講習会は全員が一緒に同じものを作るので作業効率がいいというのが最大の利点です。

それなら懐剣も作れるだろうと考えました。

 

「筥迫」は貼り付けから本体作成までを1日半で作り、残り半日で「懐剣袋」を作ります。

 

実はこの講座では、懐剣袋は「貼り込み」で作ります。

つまり縫わないで糊で貼って作るので、縫い物が苦手な人でも大丈夫!

 

 

この作り方は教本(婚礼用和装小物の作り方)には解説されていませんが、正確に短時間で出来るので、初心者にはとてもお勧めです。

貼り込みなので出来上がりは少しパリパリした感じになりますが、あくまで飾りで帯に差し込むものなので、装着には問題ありません。

 

筥迫本体と懐剣袋が出来たら、あとは「完成された撚り房」をつけるだけです。

初心者の鬼門だった「結び」にもう悩まされることはないので、受講者も私もハッピー♡

 

胴締めと緒でつながれた巾着には「二重叶結び」が付きますが、これも出来上がった物を使っていただきます。

講習会の時は、筥迫本体より毎回この結びに苦戦したんだっけ、、、(遠い目)。

 

 

「道具類」も大きなものは貸し出しいたします(レンタル料は講習費に含まれます)。

ご自分で用意するものは、定規、カッター、はさみなど、身近で揃えられるものと、筥迫に使う「表布」はご用意ください。

 

会場はかつての「お針子会(池袋)」を予定しておりますが、人数に満たない場所は筥迫工房に変更の可能性がありますのでご了承ください。

 

筥迫のタイプは、教本で作る基本型で「綿入・折り返し」で作ります。

 

体験講座なので「型紙」と「教本」はつきません。

2日コースなので「玉縁」も付けることはできませんが、体験講座で一通りの作業を経験していれば、別途教本を買っていただいて、あとは自分一人で筥迫を作る自信はつくのではないでしょうか。

 

これまで筥迫を作ってみたいけれど、教本を見て一人で作るのは自信がないという方がいらっしゃいましたら、是非この機会にご参加いただければと思います。

 

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最近、教室の方でも「筥迫体験」を希望する方が増えました。

少しコロナが落ち着いたからなのでしょうか?

 

講習会を開くのも本当に久しぶりです。

 

実は急にこの企画があがったのも、ある遠方の方の参加依頼をいただいたからです。

 

現在は教室でしか教えていないので、遠方の方は通うことはできません。

そこで、なんとか二日連続で教えて欲しいとのご要望でした。

 

本当はオンラインを充実させればいいのですが、なかなか時間がなくて進まない、、、。

 

臨時でこんな講習会をやったり、オンラインをやったりで進んで行きたいと思っています。

 

 

次回は、筥迫&懐剣の「体験記」を掲載いたします。

こちらは、たった一人で教本で筥迫と懐剣を作り上げた方のレポートです。

お楽しみに!

 

 

 

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婚礼用和装小物の作り方〜cya.yo.nagoさんの作品

 

Instagramでリポストするつもりがうまく出来ず、ブログの方にアップさせていただきます。

 

cya.yo.nagoさんの作品です。

 

教室に通う方であれば私が教えながら作るので間違いなく作れるものではありますが、ショップから教本を買って、たった一人で婚礼用和装小物一式を作るということにじわじわとした感動を覚えます。

 

一人でも作れるように教本は作ってはいますが、実際にこのように形になったものを見ると、まるで街中でスターを見かけたのごとく「本当に作れる人がいるんだ!」というような気持ちです(笑)。

 

cya.yo.nagoさんの本番(お嬢さんの婚礼?)はこれからのようです。

いつかこの和装小物一式を身につけた花嫁姿がアップされるのを楽しみに待つことにいたしましょう。

 

それにしても、最近少しずつ結婚式が増えてきましたね。

多少なりとも婚礼に携わる仕事をしているので、そんなことにも喜びを感じずにはいられません。

 

 

金襴の筥迫

 

今回の作品についてですが、実は教本では金襴などの厚物で作ることを想定しておりません。

型紙が全く違ってしまうからなんですね。

厚物でもできるような型紙と教本を作るとなると、倍ぐらいの厚みになってしまうからです。

教室でも金襴は相当上級にならないと扱わせないものでもありますし。

 

しかし、それでも作りたい人はいる。

そこで最低限のアドバイスをさせていただくとすれば、以下のようになります。

 

・貼り付けの工程は留糊できかない場合は、堅糊との両刀使いで作業する。

・胴締めは前後とも3mmずつ伸ばす。

・巾着は別布で作る。

 

ということで、cya.yo.nagoさんが巾着を別布にしたのは正解でしたね。

厚い布で巾着を作るのは、よほど貼り込みに慣れている人でないと難しいです。

へたをすると、簪差しを作るのも難しい。

 

ただし「厚物」といっても、帯地で裏に絵緯糸が渡っているようなものは絶対にお勧めしません。

挑戦するとしても、金襴のように裏に糸が渡っていない厚物だけに留めておいてください。

 

絵緯糸の帯地を扱えるのは、筥迫工房の教室で言えば工芸コースならバンバン作らせるというレベルです。

よっぽど筥迫を作り込んだ人でないと無理です。

 

レベルにあった素材を使うことが、筥迫をうまく作る上での最大のコツです。

 

 

 

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