『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
オリジナルびら簪 『花と蝶(長鎖傾斜型)』
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    前回の日本刺繍の筥迫『花と蝶』はオリジナルのびら簪です。
    カテゴリーに「びら簪」を追加したので、びら簪は筥迫とは別に解説することにいたします。

    この筥迫を仕立てた時に、びら簪は「長鎖」を使おうと決めていました。
    現在ショップで販売されている「霞」「花」と比べると、下がりがかなり長めにできています。
    アンティークのびら簪ともなると、更に長いものが多いです。



    アンティークのものは、鎖もやたらと太く存在感があります。
    現代ものは筥迫より決して目立たない優等生的バランスですが、昔のびら簪はやたらと自己主張が強い。
    長い鎖のびら簪はかなりボリュームがあるので、筥迫自体にも個性がないとバランスがとれません。
    この二つがぴったりと合ったとき、それはそれはみごとな筥迫になることは間違いありません。

    江戸時代の筥迫びら簪は、これよりもまた更に長いです。
    姫君たちは絢爛豪華な打ち掛けを着ていましたので、ど派手なびら簪でバランスがとれていたと思います。
    しかし、このようなびら簪を付けていたのは大名家の姫君で、江戸城本丸では、これを「軽薄」として嫌っていたといいます。

    アンティークの筥迫には、筥迫工房の型紙より一回り大きめの筥迫もあります。
    私はアンティークの着物が好きなのですが、身丈が150cmぐらいのものが多く、泣く泣くあきらめることが多いです。
    そんな時代の人々が、今より大きな筥迫と長いびら簪を身に付けていたら、子どもが大人の筥迫を付けているぐらいのバランスだったと思います。
    花嫁さんの胸元で「私を見て!」と言わんばかりの存在感だったことでしょう。

    今回の筥迫も、こんな自己主張したびら簪が似合うような気がして、既存品に手を加えることにいたしました。
    筥迫の刺繍が花と蝶なので、大人用<花>を元にして、長めにした鎖の間に蝶々のパーツを挟み、びらびら金具を斜めに配しました。
    蝶々のパーツは色々と持っているのですが、透かしの少ない地味目のパーツを使用しました。
    この方が花の金具とはバランスがいいようです。



    花の金具と交互に蝶々を入れようかとも考えたのですが、どうも仕上りがぱっとしません。
    そこで、江戸時代の筥迫びら簪で鎖の間に鳥を挟んでいたのを思い出し、似たような形にしてみました。
    日本刺繍が台無しにならない程度の「ほどほどの派手さ」加減に留めています。

    自分的には、この仕上りけっこう気に入っています。
    【2012.09.22 Saturday 16:58】 author : Rom筥
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    筥迫びら簪とは
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      このブログは筥迫好きな人しか見ていないし、、と好き勝手に突き詰めた内容のものばかり書いていると、「○○って何ですか?」と実に基本的なお問い合わせをいただくことがあります。
      筥迫専門に記事を書いているブログにもかかわらず、極基本的なことさえ書いていない、、と反省することが少なからずあります。
      ということで、ここらで前回登場した「びら簪」のことを少し書いておきます。

      筥迫に使うびら簪は、筥迫専用に作られた物です。
      古いものでは髪に挿す簪と同じ2本足のものもありますが、先が丸く繋がったものは、いかにも髪に挿すことを拒むような形状であり、「間違えんなよ」と主張しているかのようです。

      頭に挿す簪には、『びらびら簪』といって未婚女性が用いるものがあります。
      下がりに長い鎖を使い、その先に細工した金具を付けた華やかな簪です。
      名前が似ているので間違えやすいのですが、実際に形状も筥迫びら簪にそっくりです。
      そして、もうひとつ間違いやすいのが『ビラカン』です。
      これは、平打ちが扇形(丸形も有)で、下がりに板状のビラがついている簪です。
      つい筥迫びら簪をビラカンと言ってしまう人も多いのではないでしょうか。

      はたしてこの筥迫用のびら簪、なぜ筥迫なんぞに付いているのかと思われる方も多いかもしれませんが、大正時代の本には、

      『(筥迫の)簪は手裏劔に代用し得るやうに造り、萬一の時の用心となしたり(中略)今は何れも其形のみを留め一つの飾となすに過ぎず。』(大正三年発行 嚢物教科書)

      と書いてあります。
      背後から悪者の首元を簪で挿す、、なんてのは時代劇にありがちなシーンですが、頭から簪を抜き取るより、胸元の筥迫からの方が取りやすかったからつい使ってしまった、、、とかはありそうです。
      でも手裏剣って、これを投げるってこと、、??

      『日本におけるかんざしの始まりは、縄文時代ごろまで遡ることができる。その頃の古代日本では、一本の細い棒に呪力が宿ると信じられており、それを髪に挿すことで魔を払うことができると考えていたようである。』(ウィキペディア 簪より

      琉球王国で用いられた簪「ジーファー」などは、棒状でいかにも魔除けのイメージがありますが、こちらは護身用の武器としても使われました。
      「笄(こうがい)」なんて、元は武器だったものが髪飾りになったものだし、細長ければ先端を細くして、いざというときには身を守る武器にしよう、、という発想はどんな簪にもありがちで、筥迫びら簪だけがそうであったという説はちょっと大げさな気がします。

      昔の大名家の姫の筥迫びら簪などは、どうみたって「見せびらかし」以外の何物でもないように見えます。
      派手な簪は、花魁道中のように、周りの人間を威嚇しつつ惹き付ける、というような強力な魅力を持っています。
      頭に付ける簪は、後に耳かきなんてものがついて実用にもなりましたが、筥迫びら簪はな〜んの役にもたちません。
      ただただ、しゃらしゃらと華美に動いて人の目を楽しませる、、、そんな目的だけでいいような気がします。

      筥迫はびら簪を付けるととても目立ち、人に強い印象を与えます。
      始めて筥迫を見る人(子)は、本体だけでもとても不思議な形と感じると思いますが、ここにびら簪を付けると超個性的な意匠にグレードアップします。
      なんでこんなもの付けようなんて思ったんでしょうかねぇ。
      江戸中期頃は、簪に色々な形が出てきた時期です。
      紙挟みが筥迫へ進化したのもこの頃からで、どちらも江戸後期にかけて全盛を迎えたことを考えると、なるべくしてなった時代のコラボといえるかもしれません。
      それにしても江戸の人々の突飛な感性に敬服せざるをえません。

      このびら簪を付けた筥迫は誰もが身につけているものではないので、よけい目立つというものです。
      年齢的な若さというのは、大胆な意匠をいともカンタンにその身に馴染ませてしまうものですが、その昔の大奥で、決して若くはない奥女中がびら簪付きの筥迫を身につけて、どうだ歩きしている姿を想像すると、びら簪を身につけるのに必要なものは、若さよりも気力!と思ってしまいます。

      現代のびら簪はそこまで派手じゃありませんので、我こそはと思う方は是非びら簪を身につけて、私たちの目を楽しませていただきたいと思います。(←すでに自分は付ける気力なし


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      【2011.11.29 Tuesday 17:20】 author : Rom筥
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      新発売! 大人用びら簪 〜花〜
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         新しく発売になった大人用のびら簪の登場です。
        大人用は今まで「霞」しかなかったので、やっとバリエーションが増えました。

        大人用びら簪<花> 1,450円



        右は花用の簪入れです。
        びら簪を使い終わったら、筥迫に付けたまま仕舞わないでくださいね。
        空気に長く触れていると変色してしまうので、必ずこの簪入れに入れて保管してください。



        筥迫用びら簪の金具は丸形が一般的ですが、こちらはそのまま「花」の形です。
        筥迫用にちょうどよい金具を探して、やっと見つけました。
        筥迫工房オリジナルのびら簪です。
        手作業で付け替えているので、まとめ買いの場合は、納品に少々お時間がかかることがあります。ご了承ください。

        金具の一つ一つは小さなものですが、大人用は鎖が10本あるため、この金具を付けると、霞より若干重くなります。
        霞:19g
        花:23g

        昔のびら簪には色々な材質のものがありました。
        私が好きなのは、鎖が重くてかなり重厚感のあるびら簪です。
        下がりもこれより長い約13cmです(上のタイプは約9cm)。
        そのようなびら簪を付けると、筥迫もワンランクグレードアップしたような感じになります。

        現代の着付けでは、襟元が崩すのは許せない!という理由から、筥迫の厚みが嫌われる傾向にありますが、びら簪に重さがあるのも嫌がられちゃったりするんですかね。
        まぁそれほど重いってワケでもなく、重厚感のあるいい感じの重さというぐらいです。

        花嫁モデルの写真で、帯から離れた位置(襟の真ん中ぐらい)に斜めに筥迫を差し込んでいる写真を見かけますが、よく落ちないなと思ってしまいます。
        あれはかなり薄いか軽いかで、そのままの形で止まっているのでしょうが、どちらかというと紙入れの形状が多いようです。
        筥迫にある程度の重さがあると、自然と帯の上に乗せるような形になります。
        落し巾着を帯の奥に差し込んで、筥迫を襟の中から帯の上に落し込むとしっかりと安定します。




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        【2011.11.22 Tuesday 18:34】 author : Rom筥
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        びら簪アレンジ Rom筥11-1
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          白無垢用の筥迫に使ったびら簪です。



          よく撮影用に、びら簪を横挿しにしている画像を見かけることがあります。
          これは間違っているというよりも「撮影しずらい」という理由からではないでしょうか。
          確かに筥迫の上部にびら簪を挿すと、筥迫を正面から撮りたい、、そうするとびら簪が見えない、、というジレンマに陥ります。
          そこで私もマネをして横挿しにしてみました。



          あらまぁ〜、なんてきらびやか!
          撮影の腕がなく、本物のキラキラ感が表現できないのがくやしい!
          でもびら簪の存在感はばっちりです。
          房はあってもなくてもいいかもしれません。
          つい、花魁!と叫びたくなってしまうようなイメージです。

          かつて、びら簪を横挿しにするタイプの筥迫が存在しました。
          本体胴裏の横に、簪挿しを入れるポケットのようなものがあります。
          位置的にはこの画像の簪位置よりもっと下で、中心寄りになるかもしれません。
          そのうちこの教本も作りたいと思っていますが、基本の筥迫でも、簪を胴裏部分に差し込めば、かなりしっかり固定されます。
          しかし、江戸時代の筥迫画像などを見ると、横挿ししているものもあるので、果たして撮影用なのか、本当に横挿しなのか、そんな古い物を手に取る機会はないのでナゾのままです。

          筥迫は、江戸時代の極限られた特権階級だけが持つ、かなり狭い世界で花開いた文化でしたし、明治後期から大正にかけてのブレークもほんの短期間だったと思います。
          筥迫はこう使わねばなりませぬ!なんておっしゃるうるさ方は、現代では存在しないと仮定して、とりあえず自由に筥迫を楽しみましょう。
          ここで筥迫の作り方を学んだ方は、これを基本として、是非色々な作り方、使い方をしてもらいたいと思います。
          今回のように平打ち部分を見せたいという筥迫には、横挿しも有り!ということで、是非復活させたいスタイルです。
          ただし、世の中にはどう見ても筥迫には見えんだろ!というものも存在しますからね(苦)、基本的には筥迫に見える範囲でお願いしたいです。

          今回のアレンジに必要なもの

          このびら簪は、市販の『びら簪(霞)』を元にしてアレンジしています。使っている部品は、

          ・ソロバン型ビーズ  3mm
          ・しずく型ビーズ 13×6.5mm
          ・ラインストーン 4mm
          ・ラインストーン 3mm

          金具は、ビーズをつなぎ合わせるための「9ピン」と、しずく型ビーズ用の「Cカン」。
          これらを使うためには、「ニッパー」「平ヤットコ」「指カン」などの工具も必要です。

          市販の大人用びら簪の下がり部分は10本ありますが、上部に挿すと後ろはほとんど隠れて見えなくなってしまうので、しずく型ビーズを前半分に6本、余ったソロバン型ビーズで後ろに2本作りました。
          でも横挿しにするなら全部あってもよかったと、ちょっと後悔しています。

          筥迫を作るぐらいの人ならばそれほど難しくはないと思いますので、興味のある方は是非挑戦していただきたいと思います。
          【2011.07.28 Thursday 21:45】 author : Rom筥
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          びら簪アレンジ Rom筥11-2
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             以前の『成人式用筥迫』に使われたびら簪です。
            「びら簪」のカテゴリーを追加したので、単独掲載します。
            ※以前の内容とかぶります。
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            筥迫工房で販売しているびら簪に少しアレンジを加えることはできますか?」というお問い合わせをいただいたことから、ラインストーンを付けるだけという簡単なアレンジの仕方をご紹介しました。
            ちょっと華やかな「成人式の筥迫」のイメージを、こんなびら簪で表現してみました。
            単純ですが、けっこう効果的です。



            装飾に使ったのは、ラインストーン2色と接着剤のみです。
            デコに使う接着剤は色々ありますが、私はデコ以外に何にでも使える、セメダインの「スーパーX 超多用途」を愛用しています。
            これは接着が難しいシリコンゴムにも使えます。



            私は細工物を作ることは大好きですが、実はこのようなアクセサリー的なものにはそれほど興味があるわけではありません。
            キラキラした世界は私の興味からはほど遠く、何事もなければ触れもしないできた世界かもしれません。
            半面、我が娘はキラキラ大好きデコ大好きな今時の女の子で、部屋の中は常にキラキラが散らばっています。
            ある日娘の部屋を掃除しながら、ふと足の裏に貼り付いたキラキラを見て、これを付けてみたらどうかしら、、、と興味本位でびら簪や筥迫に付けてみたところ、あら少しならかわいいわ、、と使うようになりました。

            その後、大人用のびら簪が増えない鬱憤もあり、アレンジよりも自作でびら簪ができる方法はないものか、、、と相変わらずの何でも作ってみたい虫がうずき出し(飾りたいというよりただ作りたいだけ)、ちまたにある材料でびら簪に適した材料を探し出し、たまに思いついたようにびら簪を作るようになりました。

            今回のアレンジはとても簡単なので、ご興味のある方は、こんな簡単なアレンジからオリジナルのびら簪作りに挑戦してみてください。
            【2011.07.28 Thursday 11:41】 author : Rom筥
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            ニューフェースびら簪 発売延期
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              現在取り扱いしている大人用のびら簪は一点だけですが、最近別のものを発見したので、仕入れ先に探してもらい、メーカーでそのびら簪の取り扱いがあることが判明しました。
              びら簪の種類が増えるのは大歓迎です。
              先日、今持っている大人用びら簪の在庫が少なくなったので、さっそくウキウキしながら発注をしました。
              しかし仕入れ先から返って来た答えは、メーカーの方でもそのびら簪がいつ入荷するかわからないらしい(今はとにかく在庫がない)とのことでした。

              実は以前、仕入れ先に子ども用の「光」を発注したら「花」が届いてびっくりしたことがありました。(光と花の仕入れ先は違う)
              今まで「花はない」と言われていたので、これは一体どういうことだと問い合わせてみると「今までそんなものがあるとは思わなかったので…」とのこと。
              結局、メーカーはアソートで入荷してくるようで、仕入れ先でも今までそれに気がつかなかった、、とこんな状況のようです。
              私の方にも、運良く指定したものが届いていただけなんですねぇ。
              びら簪って一体どんな流通がされているのか…。
              仕入れ先でもメーカーでもびら簪は単なる筥迫セットの中の小さな部品で、金具の違いを意識することがなかったのは事実です。
              しかし筥迫好きにとっては、付属品の中でも最大の魅力を持つのがびら簪なので、かなり重大な違いなんですけどね…。

              しかしこれもケガの光明とばかりに、
              「それなら大人用のびら簪で、金具が菊の形になったものがないかメーカーに探してもらえないでしょうか?」
              こんな適当な流通の仕方なら探せばけっこうあるかも、と適当に聞いてみましたが、なんと本当にありましたよ…(汗)。
              ただし、いつ入荷するか全くわからない、、、という、またしても適当な結果でしたが。

              そんなワケで、新しい大人用びら簪の入荷をお待ちいただいていた皆さん、申し訳ありません。
              ニューフェースが入荷する時期がさっぱりわからないという状況になってしまいました。
              いつか入荷はすると思うのですが、お急ぎの方は従来のびら簪を追加注文いただければと思います。
              期待を持たせてしまって、本当にごめんなさい。

              ちなみに、現在取り扱いされているびら簪を「霞(かすみ)」、
              いつ入って来るかわからない新しいびら簪を「菊(きく)」といたします。
              【2010.10.21 Thursday 14:22】 author : Rom筥
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              びら簪について(3)
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                さて今回は、筥迫工房で販売を予定しているびら簪をご紹介します。


                まずは左端の大人用からご紹介いたします。

                大人用:1,450円

                大人用は残念ながらこれ1種類しかありません。
                材質も作りもしっかりしているので、子ども用よりは実用的な作りで長い間使っていただけることと思います。
                まぁ一種類だけでも今まで作り続けていただいてありがとうございます、という感じですね。

                いつか彫金をやっている方に、オリジナルのびら簪を作ってもらえるようになるといいんですけどね。
                お値段は高くなりそうですが、いいものにはしっかりと値段を付ける、そういうものにお金が払える世の中になってほしい気がします。

                でも、実はびら簪も自分で作ろうと思えば作れるんですよ。
                私もいくつか作っているので、そのうちご紹介しますね。
                ちまちまと筥迫を作って、次はびら簪も作って、、、という超アナログな世界ですが、商売ではかなわないことも、素人の趣味でならいくらでも凝ることができるのです。
                悲しいかな職人が絶滅危惧種となり、これからはマニアックな素人が文化を支える、なんて時代がくるような気がします。

                またまた話がそれてしまったので、お次は子ども用びら簪の紹介です。
                一番上の画像では、右から2番目と3番目の簪です。
                現在市販されているものは、たぶんこの2種類ではないかと思われます。
                びらびら金具で区別してください。
                「花」は両面に柄(彫り?)が入っていますが、「光」は片面しか柄はありません(柄がない方の方がよく光ります)。


                子ども用(花):550円(下がり長さ:約50mm)
                子ども用(光):550円(下がり長さ:約60mm)



                お次は前回ご説明いたしました、下がりの長さを調節したびら簪です。
                材料費&加工費で多少お高くなりますが、子ども用でも下がりの長いびら簪がほしい!という方はどうぞこちらをご購入ください。
                それぞれオリジナルのびら簪入れがついています。


                子ども用(長鎖-花):850円
                子ども用(長鎖-光):850円
                子ども用(長鎖-鈴):970円


                長鎖は加工する手間分、お値段が高くなります。
                鈴付きは、宝来鈴が追加する分だけ更にお高くなります。
                私が子どもの頃は「ぽっくり」を履くのが流行っていたので、歩くたびにぽっくりの鈴の音が楽しかったのを覚えていますが、今は七歳の着物は普通の草履を履く子が多いので鳴り物がないですね。
                胸元の筥迫から小さな鈴の音が鳴るのもかわいくてオススメです。
                (三歳用の草履はたぶんほとんど鈴が入っていると思います)



                こう見ると、平打ちのデザインって「鶴」と「菊」なんですが、子ども用は光と花で図柄が逆ですね(笑)。
                なんとなく花札の「牡丹に蝶」の札を連想してしまいます。
                あれは牡丹が下か、蝶が下かでよく問題になりますが、蝶の上のもやもやが雲なので、正解は蝶が上ということです。
                先日のニュースでも、祇園祭のポスターのモデルが付けている帯の柄(青海波)の向きが逆!ということで話題になっていましたね。
                おしゃれ?非常識?祇園祭おけいはんポスターに「逆さ帯」
                子ども用びら簪の場合、どちらが正しいということもないでしょうが、このデザインはきっと昔からあるものなのでしょう。

                鎖を付け替えるという面倒なことも自分でやらなければなりませんが、ありがたいことにまだお客さまはそれほどいないので、今のうちに自分が納得できることをできるだけやってしまおうと思っています。
                もちろん、ご自宅に材料があるようでしたら、ご自分で好きな長さに加工されてもよいですよ。

                最後に三歳用ですが、鎖の加工はご指定がなければ七歳用の長さで作りますが、三歳用はもう少し短くしますので、ご注文の際は初めにご指定ください。
                七歳用をそのまま使ってもエレガントな感じですが、三歳の子はじっとしているのが苦手なので、長いとまっすぐきれいに垂れ下がってくれないかもしれません。
                まぁ動き回って色々なところにひっかかりそうってことです(笑)。

                この画像の筥迫は三歳用です。
                この大きさなら、オリジナルの「光」であれば、長さ的にはそれほど違和感はないかもしれません。
                お好みでお選びください。
                オリジナルは簪入れ包みはお付けしませんのでご了承ください。

                ちなみに、初めの画像の一番右の小さなびら簪は市松さん用です。
                あんまりかわいくてつい一緒に載せてしまいました(笑)。
                筥迫工房では扱っていませんので、間違っても注文しないでくださいね。

                今週は問屋を駆け回って、筥迫材料の仕入れがやっと終わりました。
                とりあえず、予約受付はこれで一旦終わりにさせていただきます。
                来週、印刷を予定しておりますので、ご予約いただいている方へは順次、販売のご案内ができると思います。
                前回、筥迫の作り方をご注文いただいた方には、特別価格でご案内させていただきます。
                なかなか量産できないので、一般販売は以降に受け付けたいと思います。
                今しばらくお待ちくださいね。
                【2010.07.24 Saturday 15:26】 author : Rom筥
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                びら簪について(2)
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                  この写真が何だかおわかりになりますか?
                  これは、アンティークの七五三筥迫に入っていた哀れなびら簪です。
                  びら簪はそのままの状態で(もしくは筥迫に付けっぱなしにして!)保管していると、空気中の物質と反応して(酸化?硫化?塩化?)このようになってしまうのです。

                  もちろん色々な材質のものがあるので一概には言えませんが(金属について詳しい訳でもないし)、びら簪はできるだけ何かに包んで保管した方が変色の恐れはないでしょう。
                  (どちらかと言うと、安価な子ども用にこのように、いえこれよりすさまじく真っ黒になってしまうものが多いようです)

                  今回販売しようとしている大人用のびら簪は、去年の秋頃にまとめて仕入れしたものですが、そのなかの1本をサンプルとしていつでも出し入れして外気に触れる状態で置いていました。それが今回撮影のために新たに包みから開けたものと並べると、なんか雰囲気がちょっと色が違う?
                  よく見るとほんの薄っすらですが茶褐色になっていました。
                  個人的には、あんまり銀ぴか(?)よりもこのぐらいの方が好みですが、空気に直接触れる状態に置いて半年でこのぐらいの違いは出てしまうようです。
                  長く放置していればどうなるかわかりません。

                  大人用びら簪は、子ども用のビラ簪に比べればしっかりした作りのせいかお値段も安くはありませんが、さすがにびら簪用の紙に包まれています。
                  しかし子ども用のびら簪は安価なOPP袋に入っているため、よほど気をつけて開けないと、再び元に戻して使うなんてことはできません。
                  別の何かにびら簪を包んで保存する、、、なんて考えられる人がどのぐらいいるんでしょうかね?
                  お母さんが使った筥迫を、そのまた娘が使うなんて話はよくあることですが、20年ぶりぐらいに玉手箱のごとく筥迫セットを開くと、真っ黒に変色した哀れなびら簪が筥迫にへばりついている…なんて光景を私は何度か目にしています。

                  前回の販売のときはジップロック付きの袋に入れて販売したのですが、それも何となく味気ないので、今回はオリジナルのびら簪包みを作ってみました。
                  すてきなイラストを付けたので、これならびら簪を使い終わっても、再び簪包みに入れて保存しようという気になるでしょ?
                  またこんなことに凝って販売を遅らせているとお叱りを受けそうですが、いうことにすごく凝りたくなるのが私の悪いクセで…。

                  子ども用は、下がりの鎖部分を付け替えたものを用意することにいたしました。
                  材料費&加工費で多少お高くなる分、この簪包みを付けようと思います。
                  もちろん市販のものも販売しています(こちらはお安い分、袋なしです)。

                  ところで、筥迫の被せにびら簪を正面から挿している写真を見たことはありませんか?
                  先日もテレビを見ていたら、大正時代ぐらいの婚礼写真が紹介されていました。
                  この頃の黒引き摺りにはほとんど筥迫が添えられているので、何はさておいても筥迫に目が行ってしまいます。
                  丸形平打ちのびら簪が正面に向いていました。
                  実は市松人形はほとんどがこの形です。


                  たぶん人形用の筥迫はあまりに薄すぎて上に乗せられないからだと思います。
                  そんなことから、私はこの挿し方のことを「市松挿し」と呼んでいます(笑)。

                  さて次回は、筥迫工房で販売を予定しているびら簪をご紹介します。
                  【2010.07.18 Sunday 13:35】 author : Rom筥
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                  びら簪について(1)
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                    もう少しマニュアルの内容を確認してから印刷に入ります。
                    これで7月、8月には販売にもって行くことができそうです。
                    今年の七五三にはとりあえず間に合いそうです。
                    よかった…ふ〜…。

                    今回は『びら簪』のお話です。
                    筥迫と言えば、このびら簪に憧れている方も多いと思います。
                    前回の接着剤よりは遥かに興味が沸く話題でしょう(笑)。

                    筥迫工房で販売を予定しているのは、大人用1種類、子ども用2種類です。
                    いつか筥迫を作る人が増えたら、今はない平打ちが長方形のものを復刻したいという野望を抱えていますが、まだしばらくは先のことになりそうです。

                    以前、子供用の筥迫の作り方を販売していたときは、このうちの1種類だけを販売していました。
                    初めは自作の筥迫にびら簪がついているということだけに満足をしていたのですが、しばらくたつと何か違和感を感じ始めるようになりました。
                    何かおかしい、この筥迫はどこかおかしい…と。
                    それからしばらくたって、大人用のびら簪を仕入れることができたとき、やっとその謎が解けました。


                    一番左が大人用、右2種が子ども用です。
                    いくら子ども用って言ったって、これって短すぎないか…?(苦)

                    私がサンプルとして持っているアンティークの三才用筥迫でさえ、この大人用と同じぐらいの比率です。
                    つまり筥迫の高さより長いのです。
                    子供の場合、下がり部分が筥迫よりも長いとどこかに引っ掛けてしまうとかそんな意見が多かったのでしょうか。
                    一般的に七五三の筥迫は単なるお飾り程度の扱いなので、
                    「これ(びら簪)邪魔だな〜。もっと短くしちゃえば?」的に極端に短くなってしまったのかもしれません。
                    (あくまで推測の域です)
                    私が感じた違和感、それはびら簪が短いというよりも、「びら簪ってかわいいけど、びらびら金具が被せにかかると(装飾の)邪魔なんだよな〜」ということなのです。

                    筥迫を作るようになるとわかるかと思いますが、下がりの長い大人用びら簪でさえ、平打ち部分を筥迫に揃えて入れてしまうと、せっかくの筥迫の装飾が鎖に隠れて見えな〜い!
                    筥迫を作る者としては、やはり筥迫自体を目立たせたいんですよ。

                    筥迫が印象的なこの本のびら簪に至っては、完全御簾状態!

                    池田重子流きものコーディネート 秋のおしゃれ

                    この本を見ると「筥迫きれい〜」と憧れてしまう人が多いと思いますが、たぶんこれ、刺繍の筥迫作ってみたいと思われている方には許しがたい挿し方かも、、。
                    びら簪のすばらしさはわかった、けどせっかくの刺繍が見えな〜い(泣)。
                    そんなワケで、私は右側の鎖2本目までを筥迫に被せる程度にして、ビラ簪を筥迫より少し出してセットするようにしています。
                    これけっこうオススメです。

                    ちなみに、江戸時代の筥迫には簪挿しはなく、大胆なぐらい筥迫にそのまま挿しているので、筥迫の装飾が隠れることはありません。
                    ※「データベースれきはく」の画像をリンクしようとしましたが、日付が変わると表示されなくなるようなので、ご覧になりたい方は、下記から検索してください。
                    データベースれきはく
                    >館蔵装身具>種別一覧(下ボタン)>21箱迫

                    筥迫も目立つけど、びら簪目立ち過ぎ…(汗)。
                    というより、びら簪長過ぎ…(汗)。
                    江戸時代の筥迫を身につけた婦人の様子を、びら簪が帯に当たる音が優雅だ、、というような内容で書かれたものを読んだことがあります。
                    つまり筥迫よりも下がりが短ければ帯には当たらないということです。

                    びら簪の下がりの長さに決まりはありません。
                    私がもっているアンティークのびら簪でも、長いな〜と感じるものはあっても、筥迫本体よりも短いものはありません。

                    一番左、筥迫よりのものが現在市販されているびら簪。その右側以降はアンティークとは言っても、大正、昭和ぐらいのものだと思いますけどね。

                    そんなワケで、自分が納得いかないものをこのまま当たり前のように販売していいものかどうか、、としばし悩んでいましたが、販売が近づくにつれ、今では筥迫工房が考える理想的なびら簪も提示するべきではないかという考えに至りました。

                    またまた長くなりそうなので、この続きはまた次回に!
                    【2010.07.15 Thursday 14:41】 author : Rom筥
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