『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
日本刺繍の筥迫『夜露ときりぎりす』
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    なんだかすっかり忘れていましたが、2015年5月に行われた「お針子会日本刺繍教室作品展」に展示したきりぎりすの筥迫をご紹介させていただきます。

     

    なぜって、秋が終わってしまうから!(もう終わっている?)

     

    この筥迫は、この作品展の自分の作品の中では、最もメインに据えていた筥迫です。

    作り上げて展示してしまった後はすでに忘却の彼方、、、そして今に至る(汗)。

     

    こちらは三段口扇襠筥迫で仕立てています。

     

    一般的に「ザ・筥迫」といえば縢襠付筥迫が圧倒的なイメージです。

    びら簪を入れるための簪挿しが頭にど〜んと乗るために、図案が「被せ」+「胴締め」のみにきっぱりと分れてしまう。

    パーツがたくさんで、刺繍よりもその形状が印象的です。

     

    それに比べて三段口扇襠筥迫は紙入れに近いので、簪挿しもなく「天面」までしっかりと刺繍が入るので、刺繍をする者にとっては表現の幅がぐっと広がるわけです。

    更には「底面」まで柄を繋げられるという守備範囲の広さ。

     

    被せのRを鋭角にしているので、「被せ下」まで柄合わせする必要があり、表現の幅は更に広がります。

    まぁ立体的に刺繍で遊べるというわけです。

     

    着物や帯は平面表現ですが、筥迫はページをめくっていくように表情を変えることができる立体表現で、これが筥迫装飾の楽しさなのです。

     

    それがこの小さい面積で展開するのですから、乙女心がくすぐられること、くすぐられること(かつての乙女ですが)。

     

    こちらの表地は古い紬のハギレを使っているのですが、その様子は以前のブログでもご紹介しているのでそちらをどうぞ。

    刺繍教室作品展に向けて

    近頃刺繍で頭がいっぱい

     

    まぁ私が刺繍が頭がいっぱいになることなんて、作品展のときぐらいしかないのですが(笑)。

     

    仕立てに関しては、内布は相変わらずの縞柄を使いたかったのですが、被せを開いたときの刺繍と対になる部分は縞柄は合わない。

     

    そこで、ちょっとわかりづらいですが、被せ裏は「黒」を使っています。

     

    黒といっても、少しでも反射してしまう布だと黒が黒らしく見えない。

    あくまでここに「真っ黒」を使うことで、この筥迫のイメージにつながるので、この真っ黒の布を探すのもまた苦労しました。

     

     

    派手な「虫籠」は右に配し、主役のきりぎりすは風景の中に溶け込むようにするというのが、この図案のこだわりです。

     

    基本的に筥迫の図案というのは、襟元から出る左部分をメインに柄を配するものなのですが、三段口扇襠筥迫は、普段着の着物や、年配の人でも違和感なく懐中することができるようにと作った型なので、外に出る部分に赤い紐が見えたらおばさん(私)はちと恥ずかしい。

     

    そこでこのように派手をわきまえない好き勝手な柄は、見える部分には配しません。

    メインのきりぎりすも、ダイレクトに虫感が伝わると気持ち悪いので、リアルでありながら影のように使うことで目立たなくしています。

     

    もっとうまい人が刺繍をしたら私の言いたいこともはっきりと伝わるものでしょうが、残念ながら私の刺繍の腕前はあくまで趣味の域。

    文章で補足しないとうまく伝わらないのが悲しいところです。

     

     

     

    キリギリスについて

     

    私は虫が嫌いです。

    でもデザインとしての「虫」は好き。

     

    さすがに虫メインにするのは何なので、真紅の組み紐を付けた美しい虫籠がメインに見えるように(しかしあくまで主役はきりぎりす)。

     

    そして虫籠に入れる虫といえば「バッタでしょう!」とバッタの画像を検索したのですが、ん、ん、、、???

    私のイメージしていたバッタはこんなずんぐりしている子じゃなくて、もっと触覚がぴーんと長くてカッコイイやつ。

     

    調べてみると、それはキリギリスというヤツでした。

     

    これまでの私の認識では、バッタ(和名)、キリギリス(英名)だと思っていたよ、、、。

     

    似ているようで違うこの二つの科を判別するのは、

     

    (バッタ)  触覚が短い、目が大きい、昼に活動

    (きりぎりす)触覚が長い、目が小さい、夜に活動

     

    バッタは比較的草食の種類が多く、雑食のキリギリスはより肉を好むということもあるようです。

     

    言われてみれば、仮面ライダーがきりぎりすじゃないのは一目瞭然(笑)。

     

     

    あとは鳴き声。

    鳴く虫といえばきりぎりすらしいのですが、実際はバッタも音を出すようです。

    でもそれは「足をすり合わせる」音であって、鳴く虫には分類されていないようです。

    きりぎりすは「羽をすり合わせる」ことによって複雑な音を出すので、鳴く虫に分類されるのだとか。

     

    日本人はこれらの音を「鳴き声」といいますが、西洋人は「音」それも「雑音」としか認識しないといいますね。

    日本人は虫の鳴き声を言語と同じ左脳で捉え、西洋人は音楽と同じ「右脳」で捉えるかららしいです。

     

    日本語環境の中で育つと、虫の声はセンチメンタルな気分になるものですけどねぇ。

     

     

     

    「きりぎりす」と「こおろぎ」

     

    「キリギリス」が自分的に「英名」と認識してしまったのは、ひとえに「カタカナ」で表記していたからだと思うのですが、実際には百人一首にもすでに登場しています。

     

    きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣片敷きひとりかも寝む

     

    そういえば、こんな句ありましたね(今更記憶が蘇る)。

     

    つまり「ひらがな」で表記すればいいのだよ。

     

    しかしながら、この時代のきりぎりすは「こおろぎ」のことだとか。

     

    ではこの時代、きりぎりすのことを何と呼んでいたか?

     

    古語辞典によると

    きりぎりす【螽斯】

     

    虫の名。今のこおろぎ。

     

    <注意>

    今のきりぎりすとは別物。

    今のきりぎりすは、平安時代には、その鳴き声が機織(はたお)りの音に似ているところから、「機織り」「機織り女(め)」といった。

    そしてこおろぎは、秋鳴く虫の総称であったらしい。

     

    だそうです。

    「機織り女」とはまた風流な。

     

    ちなみにきりぎりすの英名は「long-horned grasshoppers」つまり「触覚の長いバッタ」。

    そのまんま、情緒なし(笑)。

     

     

     

    「キリギリス」と「セミ」

     

    ところで、キリギリスといえば「アリとキリギリス」を思い浮かべる人も多いかと思いますが、イソップ童話の原題は「La Cigale et La Fourmi 」つまり「アリと蝉」なのだそうですよ。

     

    イソップは紀元前の人なので(知らなかった)、口伝で伝わっていったことにより、蝉があまりいないヨーロッパの方では、地域によってトンボ、コオロギ、キリギリスに変わっていったとか。

     

    そして、キリギリスは食べ物もなく死ぬというのが一般的で、蟻に救済されるという結末は日本とスペインだけらしい。

     

    蝉曰く「歌うべき歌は、歌いつくした。私の亡骸を食べて、生きのびればいい。」

     

    非情、、、(泣)。

     

     

    蝉がいない地域の人が日本の夏に来ると、あのすさまじい蝉の声にびっくりするそうです。

     

    確かに蝉の声は大きくなるほど暑っくるしいですが、私は「あ〜夏!」という気分になります。

    蝉の声とともに、近くの公園のジャブキャブ池から聞こえる子供たちのはしゃぎ声は「あ〜夏休み!」という気分にもなります。

     

    でも最近はこの子供たちの声が「雑音」に聞こえる人が多いらしく、保育園建設のネックになっているそうで。

     

    日本人が子供のはしゃぎ声を右脳で捉えるようになってきたってことですかね。

     




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    【2016.10.30 Sunday 12:22】 author : Rom筥
    | 日本刺繍の筥迫 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    日本刺繍の筥迫 江戸型『稲穂雀』
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      装 飾:日本刺繍『稲穂雀』(製作:矢部博子)
      仕立て:江戸型筥迫(一つ口)平肉、玉縁(製作:筥迫工房)
      打ち紐:正絹、唐打ち紐(十印)
      緒締め玉:天然石(琥珀)
      びら簪:アンティーク
      ------------------------------------------------------------------

      矢部博子先生が刺繍された江戸型の筥迫です。

      新宿伊勢丹での展示販売でいくつかは売れてしまったのですが、こちらは運良く残ってくれたので、ブログでご紹介させていただくことができました。

      以前も書きましたが、江戸型というのはそのような名称が一般的にあるのではなく、明治維新を挟んで筥迫の型が大きく変わってしまったので(特にサイズ)、現代の型と区別するために私が便宜的に付けている名称です。

      以前、この型を再現してみたときは、この型を現代で使うことはないので、あくまで興味本位で始めたことでした。
      (正確には、歌舞伎の舞台ではこの大きさのものが使われている)

      しかし、これが意外と需要がある。
      一体どんな人に?

      それは日本刺繍をされている方々です。

      現代版の筥迫は、刺繍をするには「小さすぎる」。
      というよりも「作品にするには小さすぎる」ということです。



      通常の筥迫は「被せ&胴締め」の二面柄合わせですが、江戸型の場合は「被せ&胴締め&被せ下」の三面柄合わせをします。



      もっと本格的に作るならば、背面も柄合わせをするので「被せ&胴締め(表)&被せ下」に「胴(背)&胴締め(背)」を合わせた五面柄合わせになります。

      この型の難しさは、形をつくることよりも柄合わせをする難しさにつきます。
      柄合わせが三面以上あると、刺繍をする人の糸の締め方や刺繍の歪みがあるので、型(接着芯やホットメルト紙)通りに仕立てることはできません。
      ほとんどアタリだけを付けて、その場で微調整しながら貼り込んでいきます。

      筥迫は前部分は箱襠の付いた物入れ、後ろ部分に紙挟みのついた二部式で、これを胴締めでまとめます。


      江戸時代から受け継がれているこの形状が、筥迫という不思議な単語と共に人々の心に焼きつくのかもしれません。
      (特に小さい頃にこの意匠を見て強烈な印象を持つ人が多い)


      そして江戸型の最大の特徴は、この大きさと側面の「箱襠」の存在です。
      これが筥迫の「筥(箱)」たる所以ですね。


      現代の筥迫(縢襠付筥迫)は全体的には江戸時代の筥迫の雰囲気が残っていますが、実際にはこのこの箱襠部分が省略されているので、「どこが箱?」と思われるのも当然のことです。

      以前、私が作った「開き扉」は、当時の筥迫の中を実際に見たことはなかったので、あくまでも空想の中の型を具現化したものでした。

      その後筥迫の中を見る機会は増えたので筥迫の謎に決着が着きましたが、江戸型で最も多いのは、今回の筥迫のようにただ箱に被せが付いただけの単純なものでした。
      私はこの形を便宜的に「一つ口」と呼んでいます。

      ただ、記述として残っているものには「三つ折り」「差し込み」があったそうです。
      たぶん地位が上の人たちはそのような凝った仕様のものをお金をかけて作らせ、そのもうちょっと下の地位の人がこのような一つ口を使っていたのかもしれません。
      とは言っても、筥迫を持てるというだけで相当の地位かお金持ちなんですけどね。


      正面、背面の柄合わせとは別に、巾着のように箱襠部分にもワンポイントを施します。
      これがまたかわいいmoe

      ここは通常柄合わせはされていないのですが、このぐらいの厚みがあれば柄合わせも可能ですよね(誰か挑戦してください)。

      立体と空間を感じさせる、帯や着物のように平面を対象とする日本刺繍にはかつてなかったような作品作りをすることができます。


      巾着のワンポイントは「俵」です。
      巾着は何といっても筥迫のmoeポイント。
      筥迫刺繍をしようと思ったら、このmoeポイントは手を抜いてはいけません。



      玉縁は筥迫の妙

      今回、仕立ての面での特徴といえば「斑暈しの玉縁(まだらぼかしのたまぶち)」を使ったことです。
      美術館などで当時の江戸型筥迫を見たことのある方はお気づきだと思いますが、江戸型の装飾的特徴の一つがこの縞々に染めた玉縁を使っていることなんですね。

      これに私は昔から強い憧れを抱いていました。
      いつか実現したいと何年か越しの夢を叶えました。

      素人見には何てことなさそうに見える縞々ですが、職人さん的には非常に難しい技術なんだそうです(サンプルを見せるやいなや即座にお断りされること度々)。

      他の色も欲しいのですが、お金をかけて染めに出していたら正直儲けなんてない。
      そんな私のこだわりを知って、講習会に参加しているH.Sさんから現在色々な方法を提案していただいております。

      最終的には、職人さんに頼むよりも私自身が染色を勉強したほうが早いという方向に向いているのですが(これだけを教えてくれる先生を探している)、何事も習得には時間がかかるので、まだしばらくは職人さん頼りの斑暈しの玉縁です。


      ちなみに、今回の玉縁は「縫い玉縁(包み玉縁)」です。

      初めの頃の教本にはこの縫い玉縁のやり方で解説していたのですが、かなり細い玉縁のためミシンの技術が必須なことから、現在の教本では「挟み玉縁」のみを解説しています。

      縫って細い玉縁にするのは至難の技ですが、挟み玉縁なら初心者でも失敗なく極細の玉縁を作ることができます。
      ある意味画期的な方法ではあるのですが、挟み玉縁は「薄い布」でこそ生きる技。
      少しでも厚みのある生地を使うと、途端に仕立ての限界にぶちあたります。

      それが嫌で、私は今は縫い玉縁オンリーです。
      細い玉縁さえできれば、縫い玉縁は断然スマートな仕上がりになります。

      縫い玉縁は難儀で試行錯誤の連続でしたが、あるときフとした閃きから解決の糸口を見出し今に至りました。

      何年悩んでも解決しないときは、ちょっと休んで寄り道(挟み玉縁)していると、あるとき急に天から閃きが降ってくるものなんですね。
      このように、細い玉縁一つにも長い苦労があるのです。


      それでも、お客様が「筥迫ステキだわ〜ハート」と歓声をあげている姿を見ると、報われた、、、と思うのです。

      しかし筥迫を見たご婦人方が一様に発するあの歓声は何なんでしょうね。あのミーハー感(笑)。
      いや、それがうれしくて言ってるんですけどね。

      そういう歓声を上げさせてこそ筥迫!という作品を、これからもたくさん作っていきたいと思っています。


      ------------------追 記------------------

      大阪の刺繍教室『いち桃』さんが、筥迫工房の刺繍台を使った独自の方法を考案してくださいました。
      ご興味のある方は是非ご参照ください。
      小物用日本刺繍台の張り方 その1

      『筥迫用 刺繍台の使い方』にリンクを貼ってくださいましたが、
      実はこれは以前の台で、今はここに『糸止め』というものが追加されております。
      たぶんいち桃さんがその後に解説してくれると思いますが。
      (他人任せ、、、汗)



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      【2016.04.07 Thursday 15:58】 author : Rom筥
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      2015.12 江戸型筥迫『蝶々結び』
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        今年5月の作品展に出した江戸型筥迫です。
        ブログで紹介するのがすっかり遅くなってしまいましたが、もしかしたら近々手放さなくてはならない可能性が出てきたので、その前にご紹介させていただきます。


        以前から言っていますが、「江戸型」というのは私が便宜的に付けている名称です。
        (そんな広くない)世間一般でそのような使われ方がされているわけではないのでお間違えなく。

        ただ維新前と維新後では明らかに筥迫を取り巻く環境は変わり、筥迫の型も大きく変化しました。
        私たちが目にしている一般的な縢襠付筥迫は、維新後の小さくなった筥迫であって、元々はこの大きさが筥迫の出発点です。
        ということで、これらを区別するために江戸時代の筥迫=江戸型と呼んでいるのです。

        現在の着付けでは胸元に入れることは不可能ですが、あまりにも素敵な型なので、被せに取っ手を付けて巾着を短くして、クラッチバッグに使う方法を以前ご紹介したことがあります。


        私が持っているびら簪の一番大きなものを合わせてみましたが、本来の江戸型のびら簪は平打ち部分がもっと大きいです。
        たぶん直径4cm以上はあるのではないかと思います。

        一番初めの画像でびら簪をへんなところに付けていますが、これは側面の刺繍を見せるためで、実際にはハコと被せの天面の間に挟み、筥迫から飛び出すような感じで挿し込みます。

        簪挿しのようなものがありますが、これは楊枝入れのつもり。
        美術館などに展示されている筥迫にはありませんが、以前「直球写真館」で見た筥迫を身につけた女性の画像で、筥迫に「飾り房」がちらりと見えていました。

        これは現在の縢襠付筥迫の簪挿しのようにお揃いの部品ではなく、たぶん単体の「しおり」か何かを挟んでいたのだと思います。
        それが今日の飾り房につながったのではないかと私は考えました。

        筥迫は依頼人のこだわり満載の特注で作るものでしたから、どんな型にしても間違いというものはなく、人と違うからいいという意味において、何でも有りなのではないかと思います。


        縢襠付筥迫と同じように内面に「鏡」を嵌め込んでいますが、本来の筥迫は鏡は単体で箱部分に入れるものでした。
        嵌め込み式の鏡は「携帯用筥迫」に使われていたそうです。

        江戸型筥迫の装飾の良さは、「被せ」「胴締め」「被せ下」の三面で柄合わせをするところと、「襠」部分に刺繍ができるところです。
        これが他の筥迫にはない豪華さ、華やかさを持った筥迫です。
        日本刺繍をする筥迫好きには最も作品にしてみたい型ではないでしょうか。


        中はあくまで私の想像で作っています。
        今度「引き出し」式のものを作ってみたい♡


        江戸型は巾着も大きいので刺繍のしがいがあります。
        金糸で「クマ蜂」をデザインしたつもりなのですが、誰にもわかってもらえませんでした(苦)。

        緒締めは8mmの珊瑚玉です。
        刺繍の江戸型筥迫は天然石の緒締めにも凝れるので、色々なところに創作の楽しみがあります。


        今は石川県の刺繍グループの作品展に向けて江戸型をたくさん作っています(この情報はまた後日)。
        これだけ作るとさすがにこの頃の筥迫とは仕立て方が変わってきていますが、そんなことを日々研究していくのが私にとっての楽しみでもあります。




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        【2015.12.28 Monday 09:58】 author : Rom筥
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        日本刺繍の筥迫『婚礼高肉牡丹蝶々』
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          作品展に出品した作品のアップをすっかり怠っておりました。
          今回は婚礼用筥迫のご紹介です。

          装 飾:日本刺繍『婚礼高肉牡丹蝶々』(製作:Rom筥)
          仕立て:平肉・挟み玉縁 折り襠縢付 仕立て
          飾り結び:人五紐筥迫用 <白>撚り房筥迫大人用
          緒締め玉:天然石<真珠> 8mm玉
          びら簪:アンティーク
          ----------------------------------------------------------------

          こちらの作品は、以前ご紹介した『留袖に懐中物 〜花嫁の母 H.Yさんの作品〜』と連動して制作したものです。
          ことの発端は「結婚式に筥迫がしたい〜」のH.Yさんの一言。
          ただ問題は、H.Yさんご自身は遥か昔に婚礼をすませた方だということ(汗)。
          つまり、ご自分の息子さんの結婚式に、花婿の母として、留袖に筥迫がしたい〜ということ。

          う〜ん、いくら筥迫伝道師のRom筥もそればかりは、、、と押しとどめ、折り襠付紙入れ(念珠入れ)を作ることをお勧めしました。
          そして、H.Yさんの希望をほんのちょっと叶えるため、花嫁とお揃い(の図案)というアイデアを盛り込み、花嫁用の筥迫をRom筥が作ることにしました。



          牡丹と蝶々というのは、筥迫のびら簪の平打ち部分によくある図案です。
          H.Yさんの母の紙入れは、通常の刺し縫いで仕上げてもらい、私が作る花嫁の筥迫は「白」なのに「派手」をコンセプトにして制作することになりました。
          そして、色を抑えて派手な印象にするために、刺繍を「盛り上げる」ことにしました。

          刺繍を盛り上げてより立体的に表現にするために、日本刺繍では「肉入れ」という技法を用います。
          太めの木綿糸で肉となる芯を作り、その上から刺繍をするとふっくらとした立体感が出ます。

          江戸時代の筥迫にはこのような肉入れの刺繍が施されていて、それに憧れて真似てはみるのですが、二段、三段と盛っても思うような盛り感には至らない。
          私がしたいのはふっくら感なんてものじゃなくて、ごてごてのインパクトある立体感。

          そこで思い立って芯に使ったのが「フェルト」。
          これを二段、三段に重ねていくと、面白いように立体的な刺繍になりました。
          フェルトなので刺し縫いもできるし。
          ただし、それなりに細い作業なので、好き嫌いは分かれると思います(私は楽しすぎて夢中になってしまったけど)。
          牡丹はより立体的になるように工夫した肉入れをし、蝶々は平面的にぺったりと肉入れしました。

          このような立体刺繍は通常の着物や帯で使われるものではなく、どちらかというとお相撲さんの化粧回や、祭礼で使われる幕などで専門の職人さんの手によって作られているものです。
          長崎刺繍も最近どこかで展覧会やっていたようですね(見に行きたかった、、、)
          もちろん本格的な立体刺繍は古綿だとか張り子紙だとかを使うものであって、私のように安易にフェルトなんて使いませんけどね(笑)。


          中もH.Yさんの作った母の紙入れとお揃い。
          日本刺繍なら折り襠を付けてきちんと作りたい。


          簪刺しもワンポイントでなく、断ち切り柄で派手に。
          裏面も牡丹と蝶々。
          牡丹は菅縫いで軽く仕上げました。

          最近は日本刺繍を施した裂には、天然綿を使った綿入れではなく、平肉で柔らかい面に仕上げるようにしています。
          平肉には「ネル」を使っていますが、もう少しいい素材はないか模索中です。

          江戸時代はしっかりとした高肉で装飾されていた筥迫も、明治以降は面自体を綿によって盛り上げるようにして、なんちゃって高肉の雰囲気を残しつつ大衆化されていったのかもしれませんね。


          最近、日本刺繍の筥迫は左のサイズで仕上げるようにしています。
          右は前回の作品展に初めて出した筥迫で、これが通常サイズ。

          かなり大きさが違うように見えますが、中に入れてしまえばほとんどその差はわからない程度。
          でも日本刺繍の図案を描くのに、この通常サイズはあまりにも小さくて作品になりにくい。
          もちろん昔の筥迫にあった大きさを元にしているので、実際に使われていたサイズでもあります。
          昔の人はもっと背も低かったのに、こんな大きな筥迫を入れていたんですよ(日本髪をゆったら今の人ぐらいの身長にはなるのかもしれませんが)。
          娘の十三詣りの筥迫もこのサイズでしたが、ほとんど違和感なしだったので実用できます。


          筥迫の迫力

          私が筥迫を作った際に一番初めに感想をもらうのが家族たち。
          今回は通りすがった家人に「どうだ!」と印籠のように見せつけたところ「(Rom筥が付けるには)迫力が足りないね。」

          つまりこの筥迫を付けるなら、見るからに立派な存在感のある人でなければ似合わないと。
          もちろん花嫁の筥迫ですから、特別な衣装をまとった人ということでその意図にはあっていると思うのですが、私がイメージしたのは、恰幅よく胸を張って堂々と歩いているような(そんな地位にある)おばさん、、、、。

          う〜ん、正直花嫁さんより、そんなおばさんにこそこの筥迫を付けてもらいたい〜と思ってしまったRom筥でした。

          ============================
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          【2015.08.02 Sunday 17:47】 author : Rom筥
          | 日本刺繍の筥迫 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          日本刺繍の筥迫『赤地白細菊』Rom筥作品
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            装 飾:日本刺繍『赤地白細菊』(製作:Rom筥)
            仕立て:平肉・折り返し 三段口扇襠 筥迫仕立て
            打ち紐:筥迫用 <緑系> 千草 江戸打ち紐(22)
            緒締め玉:天然石<チャロアイト> 8mm玉
            びら簪:アンティーク
            ----------------------------------------------------------------

            久方ぶりのRom筥作品です。

            この図案は、私が昔手に入れた筥迫が元になっています。
            すてきな図案!刺繍もうまい!なのに仕立てがまずい!というのが残念な一品でした。
            あまりにももったいなくて、この図案にあった型があるはず!と、いつかこれを私なりに再現することが夢でした。
            今回の作品展でそれがやっと実現したというワケです。

            私が図案を描くと、画面をびっしり埋め尽くしてしまうのが常ですが、これはうまく空白を使ったあっさりとしたデザインが秀逸です。
            もちろん私なりに図案に手を加えていますが、それでも元の図案の雰囲気を壊さないよう心掛けました。


            あっさり見えても、被せを開くと実は手が込んでいるというのが、この筥迫の特徴です。(オリジナルは被せ下に柄はない)

            何と、たった1〜2cmの菊の下の図案を見せたいがために、被せ下にも同じ図案を続けています(完全に同じではないのですが)。

            しかしこうしてみると、なんかヤクザな雰囲気が〜(入れ墨を連想するのは私だけ?)。


            つまり表は三面柄合わせなんですね。
            作品展なので、このぐらいしないとつまらない。
            でも、実際は閉じたまま展示するので、筥迫を作っている人でないとなかなかわからないと思うのですが、そこは袋物職人の心意気ってやつです(笑)。


            装飾筥迫と違い、この『三段口扇襠筥迫』は底や山に「角」を付けていないのですね。
            つまり「箱型」ではないということ。
            芯も薄めを使って、柔らかい雰囲気を出しています。
            角がないので、天面、側面ともしっかり柄が見えて、刺繍のデザインがしやすい型です。

            実はこの筥迫で一番悩んだのが「襠」の色合わせ。
            繊細な図案なので派手な色は使いたくない。
            表布をそのまま使おうかとも考えましたが、あまりにも平凡すぎる。
            しかし作品展まで時間もないので、手持ちの布で間に合わせるしかありません。

            とりあえず、その他の色を決めてから最後に襠を決めることにしました。
            まずは打ち紐の色から。
            これは「千草」で決まり。
            緒締玉は、日本刺繍の筥迫なので、是非「天然石」を使いたいところです。
            手持ちの石の中から、インスピレーションですぐに「これ!」と決めたのは「チャロアイト」。
            三大ヒーリングストーンの一つですね。
            この石すごく好きなのですが、個性があって今までどの筥迫にも合わせられなかったのですが、意外とあっさりデザインに合うのかもしれません。

            千草は江戸打ちなので、かなり大きめの穴を空けなければならないかと心配しましたが、意外と硬度は高くなかったので、穴開けはあまり問題ありませんでした。


            緒締が決まったところで、襠の色合わせもあっさり解決。
            薄い紫が入った鹿の子柄で決まり。
            紫は全面に入れたくなかったので、上半分に入るように柄取り。

            巾着の結びは二重叶結び以外のもので〜と考えて「蝶々結び」にしてみました。
            上の羽を横に潰した形で、蝶々というよりは蝉か蜂みたい。でもいい感じです。


            中はこんな感じですね。



            実は裏にも柄合わせされていたりしてびっくり
            返してびっくり、恐怖の5面柄合わせなのでした、、、。


            裏を合わせるのはホント難しいんですよ。
            刺繍も仕立ても難しいことはやっていないのですが、とにかくこれは柄合わせをするためだけに、いくつも試作を繰り返しました(たった一枝のためなんですけどね、、、)。
            それでも布の貼り方だけでもずれてしまうので、完全には合っていないのですが、そこは肝要な気持ちで(オリジナルも合っていないし)。

            でも、とりあえずは出来たので、めでたしめでたしということで


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            【2015.06.16 Tuesday 23:56】 author : Rom筥
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            日本刺繍作品展 初日報告
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              本日、お針子会日本刺繍教室作品展の初日が無事終了しました。

              画像をアップしたかったのですが、カメラを会場に忘れてきてしまい本日は画像なしで(これでも)短いコメントを。

              前回の筥迫コーナーは8点の展示で、それらをただスタンドに並べただけだったのですが、あの当時はまだ自分自身が筥迫刺繍を始めたばかりということもあり、展示の方法まで全く頭がまわらなかったのですが、今回は私が関わった袋物18点プラス5点と数が多かったことから、展示をどうしようかと相当悩みました。

              通常、日本刺繍の作品展といったら着物や帯がメインで、あとはバッグや半襟刺繍、額などが「小物」の範疇。
              しかし筥迫はそれらの小物より更に小さい。
              これを同じレベルで並べるとかなり貧弱になってしまうので、やはり展示方法は考えなければなりません。

              そこで前回見に来てくださった方からの「背景は黒がいいのでは?」というご意見を思いだしました。
              もしかしたら、私がブログに掲載する画像のバックがいつも黒だったのでその印象があるのかもしれませんが、実際もその方が筥迫の存在が際立つのではないかと考えました。
              そして、スタンド置きはびら簪の流れが垂直にならず本来の雰囲気が出ないことから、壁面に垂直に留める方法してはどうかと考えました。

              その結果、何とかイメージに近い形で展示することができたかなと思います。
              ただ、当日、飛び込み参加の作品があったことから、予想外に詰まった雰囲気になってしまいましたが、スカスカよりはまだいいだろうとの判断により、他のコーナーよりかなり密度が高い状態での展示になりました。

              来てくださった方々の半分以上は日本刺繍関係者でしたが、このブログを見て来てくださった方もかなり多く、毎回こんなにコテコテの長文を書いているにもかかわらず、けっこう読んでくださっている方が多いということにも驚きました。

              「ブログを見ていると、見に来てくださいオーラがすごくて、つい見に来てしまいました〜」

              いやはや、オーラ出し過ぎてごめんなさい。
              ブログの画像に関してはなかなか思い通りの作風に撮影することができず、本物はこんなんじゃないのにな〜とストレスに感じることが常日頃から多かったので、自分の技術はさておき、やはり本物を見て欲しいという気持ちが強くありました。

              それなのに、直前まで制作に追われて色々な人に作品展のご案内葉書を全く送れず、実は今回の作品展の葉書が手元に届いた方は刺繍教室の方から送られたものなので、コメントの一つも入れられず申し訳ありませんでした。

              遠くて来られない方のために、明日は何とか少しの画像ぐらいはアップできればと思っています。

              刺繍関係者は一様に「筥迫の刺繍がしてみたい!」と言ってくださるので、それはそれで大変うれしいことではありますが、刺繍教室メンバーのお友達という方から「刺繍をしてみたいとも筥迫を作ってみたいとも思わないのですが、これは見ているだけで幸せな気分になりますね」というお言葉をいただきジーンとしてしまいました。

              筥迫なんて、世の中にあってもなくても何の問題もない物だとは思うのですが、「ただ見ているだけで幸せな気分になる」というのが、今の私にとって一番の賛辞なのだと感じました。
              ありがとう、そう言っていただけるだけで本当に幸せです。

              作品展はこれからまだ3日間続きます。
              私は毎日いますので、ブログを見てきてくださる方がいらっしゃいましたら、是非お礼を言いたいのでお声を掛けていただければ幸いです。

               
              【2015.05.16 Saturday 23:28】 author : Rom筥
              | 日本刺繍の筥迫 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              近頃刺繍で頭がいっぱい
              0
                このところ作品展に向けて刺繍の追い込み作業に入っています。
                しばし他の仕事は後回し。
                教本改訂版もずるずると引き延ばしでホント申し訳ない。

                作品展の前に何点かブログにアップして宣伝しようとは思うのですが、刺繍教室の方から今月末までにあがってくる作品展用の仕立てを5月前半でまとめて作業しなければならないので、筥迫に仕立て上げた作品をゆっくり解説している余裕がない(苦)。

                そんなワケで、しばし作業経過と画像だけでご勘弁を。
                作品解説は直前で余裕があったらブログにアップすることにします。

                刺繍はネット上にアップできるほどの実力はないので、この状態で公開するのはホント嫌なのですが、アップできる素材がないのでしかたない、、、(ハギレを無理矢理継ぎ足して貼っているので、更に見苦しいですが)。


                3月末に月とキリギリスの刺繍の途中経過を書きましたが、昨日やっと終わりました。
                やたらと時間がかかった理由は、刺してはほどいてを繰り返しているから。
                自分のイメージ通りに刺繍できない(技術がない)ことが今一番のストレス。


                一番目立つ「虫籠」は懐中に入る部分で、これはもちろん意図してのこと。
                本当の主役は「キリギリス」で、襟元からは出るけれど一目でわかるようにはしたくないというのがこだわりどころ。
                やり直しすぎて、これ以上ほどいたら穴があく、、、という直前で何とか決めることができました。

                「月」部分はイラストで書き下ろしたイメージは白だったので、当初は一掛銀糸の菅繍いで表現したのですが、どうしても気に入らなくて、結局全てほどいてやりなおし。


                今回左画面でいい仕事をしたのが一掛の「五色金」。

                日本刺繍の糸は膨大な色数があるのですが、それに花を添える多種多様な金糸銀糸があって、ホント日本人ってマニアックだな〜と感心してしまいます。


                私が持っている一掛は4種類のみ(左は撚り金)。


                右半分の虫籠でいい仕事をしたのが四掛の「黒金」。



                一掛金糸はそのまま針に通して使いますが、太い四掛になるとコマに巻いて綴じ付けて使います。
                虫籠はリアルな金属を表現したかったので、先生からお勧めされた「黒金」に大満足。
                これで私が持っている四掛の金糸は5種類になりました。
                左から、銀糸、薄金、金糸、マジョリカ、黒金。


                絹糸や金糸の輝きは、光源の向きによって表情が変わるので、写真でこの輝きを表現するのはかなり難しい。
                月は「おぼろ月」を表現するためにかなり落ちた色味の金茶を使っているのですが、私からは目立つな〜と思っていても、反対から見ている先生には全然目立たない〜と言われ、反対側に回ってみるとあらホント。
                角度によって暗く見えたり派手に見えたり。

                結局、日本刺繍の作品は直接見ないとホントの良さはわからないのではないかと思います(私の作品レベルでこんなこと言うのはすごくおこがましいのですが)。

                しかし、筥迫は非常に小さい範囲に密に刺しているので、たぶん来られる方はすご〜く目を近づけて見るわけで、もうホント見てほしくない、けど見に来てほしい、けど、、、(以下ループ)。
                正直今はそんな心境です。

                まぁ作品展では私よりお上手な方の作品がたくさんあるので、日本刺繍の良さはそちらで見てもらって、私の作品は日本刺繍と筥迫のコラボを観賞していただければ、もうそれだけで充分です。ホント(苦)。

                この作品は今日これから仕立てる予定。
                時間があったら小物をもう一点やろうと思っていましたが、刺繍はもうこれでやめにします。
                明日は一年以上かかった江戸筥迫用の刺繍を仕立てます。
                これは難しいというよりやる気がなくて、ずるずると一年ぐらいかけてやって終わったもの。
                やっと日の目を浴びるんだね、君も。


                ----------------------------------------------
                第2回 お針子会 日本刺繍教室作品展
                総刺繍の振袖から小物まで
                (帯・着物・半衿・筥迫・バッグ・額など60点)

                2015年 5月16日(土)〜19日(火)
                12:00〜18:30 ※最終日は18時閉場

                場所:ORANGE GALLERY(オレンジギャラリー)


                ----------------------------------------------





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                【2015.04.20 Monday 10:26】 author : Rom筥
                | 日本刺繍の筥迫 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
                2015刺繍教室作品展に向けて
                0
                  なんかアップ遅くなってすみません。
                  ブログを途中まで書いていたところに腰をぎっくりしてしまって、、、(泣)。
                  なのに確定申告行かねばならず、、、辛い。

                  5月の刺繍教室の作品展のために仕上げた刺繍が3点ほどあるものの、仕立てやその他の仕事に追われて自分の作品は放置状態。
                  仕立ては直前でもできるけれど、刺繍は時間がかかるのでとにかく今は刺繍をやりまくるしかない。

                  ということで、今回は制作途中のものでもアップしてみようかと。

                  腰がやられる直前まで刺繍していたのが ↓

                  秋の夜の虫籠です。
                  これでシンプルな三段口でも作ろうかと思っています。
                  ただし被せ下と胴締めの三面を柄合わせする予定(((;゚Д゚)))
                  うまく合ったら拍手喝采、合わなかったらご愛嬌。
                  でも日本刺繍を施した段階ですでに実用にはならない。
                  実用という名の装飾筥迫です。


                  図 案

                  図案を描くのは刺繍をするより好きです。
                  とは言っても、好きなモチーフばかりに目がいってワンパターンになりがちというレベル。

                  その一番手が「房」。
                  筥迫では房が好きじゃないのに、デザインとしての房&紐は好き。
                  好きなモチーフでばかり作っていると上達がないとはわかっちゃいる、けど使いたい(こうなったら飽きるまで使う)。

                  今回のテーマは「秋の夜」ですが、ホントは秋も夜もどーでもよく、とにかく「虫」をやりたかった。
                  虫は大嫌いなのに虫の図案は大好き。
                  触覚が長い方が絵になるので、バッタではなくキリギリス。
                  キリギリスをそのままデザインすると絶対にゴキブリに間違われそうなので、ここは月夜でごまかそう(ワンパターン素材その2)そんな適当さでいつもデザインしています。

                  しかしながら、コオロギは夜鳴き、キリギリスは昼鳴くらしいということを後で知る。
                  『きりぎりす鳴くや霜夜のさ筵に衣片敷きひとりかも寝む』
                  藤原良経の頃のキリギリスはコオロギのことだったそうで。

                  図案はパソコンで描いています。
                  仕事をしていた頃はPCで絵を描くことに何の楽しさも見いだせなかったのに、今ではPCがなきゃ図案は描けない〜とばかりに頼り切っています。
                  配置はPCが圧倒的に便利ですね。

                  刺繍でイメージを再現するのだから下図に色は必要ないはずなのに、絵描きのサガで完全に色をつけないとものたりない。
                  下図で描き込みすぎて必要以上に時間がかかり、これでPC便利と言えるのだろうか、、、。

                  プリントしたものを筥迫型に折り畳んでイメージを確認。

                  複写するため、カラーと線画の二つを作ります。


                  日本刺繍

                  前回の作品展の頃は筥迫の刺繍をやっとやらせてもらえる!というレベルだったので、能力にあった単純な図案にせざるを得ないという状況でした。
                  あれから二年半、そろそろ自分がやりたい図案ができるレベルに達したかと自己判断し、好き勝手な図案を描いてはみたものの、いざ刺繍してみるとやはり技術が圧倒的に足りない沈

                  私が目指すのは小さな筥迫全体を埋め尽くすような細かい図案なので、手が慣れていないと正直難しい。
                  しかし自分の刺繍能力は極めて凡人レベル。
                  手のいい人が刺繍したらもっといい作品になるのになぁとため息の毎日です。
                  ああ、私のかわりに刺繍してくれる人がほしい、、、。

                  一般的な刺繍台は着物や帯を巻き込む部分が必要なのでもっと大きいのですが、筥迫は端切れサイズで充分なので専用に作った台を使っています。

                  筥迫専用刺繍台)

                  以前の物からバージョンアップして、少々サイズが大きくなり糸止めも付けました。
                  大きい台は作業がしやすいのですが、私は気軽に使えるこの台がお気に入り。
                  たしか後藤さん(後藤コレクション)も「角枠」を使うとおっしゃっていましたっけ。

                  一般的な刺繍台よりも小さいとはいえ、それなりの大きさはあるので、これを抱えて持ち運んでいる姿を近所の人に見られると、

                  「何ですか、それ?」
                  「刺繍台です」
                  「えっ………?」

                  対して筥迫の場合は、

                  「何ですかそれ?」
                  「着物に使う装身具です。」
                  「あ〜いいですねぇ…」(←絶対筥迫なんて知らないはず)

                  コメントにつまるのが日本刺繍、どうでもいい感満載のコメントをいただけるのが筥迫(笑)。

                  日本刺繍はフランス刺繍ほどカジュアルではないので、着物文化に接していないとなかなかお目にかかれないものだとは思います。
                  しかし絹糸や多種多少な金糸を使ったきらびやかな世界に一旦入り込んでしまうともうやめられません。

                  筥迫を作るだけでも感動される方は多いので、これにまた数倍手のかかる日本刺繍で装飾すると、私のような未熟な腕でも、とんでもなくすごい物を作ってしまったというような錯覚に陥ります(しかし現実に戻るのも早い)。

                  そして、ものすごく手間をかけて装飾された裂で仕立てる筥迫は緊張感がハンパない。
                  筥迫の仕立てではこの緊張感がものすごく大切で、この緊張感が仕立ての腕を上げてくれるのだと思っています。

                  ただただ楽しみのためだけに作る筥迫は急ぐ必要がない。
                  現代社会は物事が効率的に動き、ものすごい早さで時間が過ぎ去りますが、刺繍も筥迫の仕立ても時間の流れはひたすらゆっくりと長く感じられます。
                  なんだか別世界で生きているような気になります。
                  こんな価値観の中で生み出される作品は、その過程にこそ宝物のような輝きを感じられるような気がします。


                  生地選び

                  筥迫を作る上で最も大変なのは「作る」ことよりも「生地を探す」ことなので、それにストレスを感じ出すと刺繍のような装飾に向かうようになるのですが、現実は刺繍をしていても更に生地選びに難儀することはあります。
                  特に今回のように、絵のイメージが先に立ってしまう場合。

                  私はネットで布を買うことが多いのですが、画面からでは質感も色も正確にはわからないので、この図案用にずいぶん買い込みました。
                  それでも私が思い描く秋の夜のイメージに合う生地にはなかなか巡り会わず、最近になってやっとこの古い大島紬の端切れに出会うことが出来ました。
                  こう考えてみると、先に好みの布を買って、その生地のイメージに合わせた図案を考えた方がずっと楽だなと思います。

                  そしてさっそく刺繍を始めたのですが、下書きのラインに針を落しているのに全く目が揃わない。
                  先生にやってもらっても同じ。
                  生地の目が粗くて、糸を締めたときに目が動いてしまうことが原因でした。
                  これではこの細かい図案を刺繍することなんてできない。
                  やっとのことでイメージ通りの生地を探せたと思ったのに、、、。

                  また生地探しの旅に出ようと思った矢先、先生からメールがありました。
                  「裏に不織布(接着芯)を貼ったらどうかしら?」
                  着物じゃあり得ないですが、筥迫なら接着芯で裏打ちをしても問題はないわけです。
                  おかげで俄然やりやすくなりました!

                  裏打ちのおかげで刺繍はやりやすくなったものの、紬の生地なのでトレースの線が写りにくいのと、布の地色が暗い上に他の色も入っているので針の先が見えにくい。
                  そこで「胡粉」を使って上から書き直してみました。
                  はっきりくっきり、なんて見やすい!

                  胡粉は線を引いた直前は薄く、後から真っ白に浮かび上がって来るので、できるだけ薄く溶かなければなりません。
                  胡粉の上から刺繍をするときは粉が絹糸に付くと艶がなくなってしまうそうなので、刺繍をする部分だけテコ針でカリカリと削り落してから作業しています。

                  それにしても、暗い地色に暗い糸でうっそうとした雰囲気にしたかったのですが、かなり落した色の糸でも光が当たるとツヤツヤと目立ってしまう。
                  こんなときは絹糸の光沢がうらめしく感じます。


                  お針子会日本刺繍部の作品展

                  お針子会日本刺繍部の作品展は5月16日〜19日(池袋:オレンジギャラリー)で行なわれます(前回の作品展)。

                  そのときにはこの筥迫は出来上がっているはず。
                  私が出品する予定なのは、十三詣りの筥迫、竹と雀の二つ折、秋の夜の三段口、婚礼用筥迫&懐剣(未発表)、江戸型筥迫(未発表)、細菊の三段口(未発表)と、これから可能であれば小物セット。

                  つる姫さんの三姉妹の筥迫も展示されます。
                  みどりさんは、定家文庫2点、間に合えば琴爪入れと紙入れのセット、前回発表の蝶々の筥迫は振袖に合わせられるはず。
                  H.Yさんは、紙入れ1点と婚礼用筥迫(未発表)。
                  先生は定家文庫1点です。

                  こうしてみると前回より点数は多く、種類も多い。
                  そうそう、マダムKも今必死に作品展に向けて刺繍しています。
                  とは言ってもまだ教室に入って間もないので、まずは課題の2点を仕上げなければならないのですが、どうしても作品展にSDの刺繍着物を出したい!との熱意で、課題と作品展の出品作をものすごい勢いで同時進行しています(教室に入られる前も刺繍はされていたので元々お上手)。

                  これでSDの着物も自分で仕立てて、半襟も刺繍するとか言っていたような、、、。
                  筥迫は私が作ってもいいよ〜と言ったのですが、自分で作らなくちゃ自分の作品にならない!というこだわりの人。
                  マダムKはみどりさん的マグロな人というよりは、完全な作家気質ですね。
                  マダムKが当日まで疲労で倒れないことを祈って、作品展ではすてきなスーパードルフィーにお目にかかりたいものです。

                  もちろん着物や帯も力作揃いなので、日本刺繍に興味がおありの方は是非おいでください。

                  これから先日仕上がって来た先生の定家文庫用の刺繍を仕立て、これをポスターやハガキにする予定です。
                  なのに注文している桐箱屋さんで、定家文庫ができる唯一の職人さん(かなり高齢)が腰を痛めて納品が遅れたり(笑っていたら自分もぎっくり腰 暑い )、金具も紐もまだ届いていないとか、色々バタバタしていますが、できあがったらすばらしい作品になると思います。

                  今後のアップをどうぞお楽しみに!



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                  筥迫講習会のご案内
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                  ★★『実用筥迫〜三段口扇襠〜  ※受付け中
                  3月21日(土・祝)〜22日(日)2日講習
                  ※初心者対象

                  『念珠入れ〜折襠紙入(笹爪付)〜  ※受付け中
                  4月4日(土)1日講習
                  ※初心者対象

                  ★★★『実用筥迫〜二つ折小被付〜 ※3月10日(火)受付開始
                  4月5日(日)1日講習
                  ※筥迫の講習会に参加された経験者対象

                  ★★★★『筥迫研究会  ※受付け中
                  5月5日(火・祝)1日単位での申し込み
                  ※筥迫の講習会に参加された経験者対象

                  ★★★★『筥迫研究会◆ ※受付け中
                  5月6日(水・振替)1日単位での申し込み
                  ※筥迫の講習会に参加された経験者対象


                  ▼筥迫工房のお店

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                  【2015.03.15 Sunday 17:53】 author : Rom筥
                  | 日本刺繍の筥迫 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
                  日本刺繍の筥迫 七五三『花咲爺』つる姫さん作品
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                    装 飾:日本刺繍『花咲爺』(製作:つる姫さん)
                    仕立て:綿入・挟み玉縁仕立て(製作:Rom筥)
                    表 布:帯地
                    内 布:古裂縮緬
                    打ち紐:筥迫用 <赤系> 紅 人五(502)
                    房糸(切り房用):筥迫・末広用<紅02>
                    とじ糸:メタリックゴールド <金糸>
                    かがり糸:<紅02>Silk
                    緒締め玉:パールビーズ 8<赤>
                    びら簪:子ども用 長鎖 <鈴>
                    ----------------------------------------------------------------

                    前回の『兎と亀』筥迫に引き続き『花咲爺』筥迫の登場です。
                    つる姫さんのお孫ちゃんは三姉妹。
                    初登場のお姉ちゃんは『舌切雀』だったので、「妹ちゃんたちも昔話シリーズで揃えなくちゃね!」と私が言ったのを、つる姫さんはずっと心にお持ちだったようです。

                    しかし下の二人は双子ちゃん。
                    二人一組の筥迫なので、そこはキチンと仕掛けを考えねば。

                    つる姫さんが始めに考えたのは、兎と亀=白いうさぎ、花咲爺=白い犬、という白い動物で揃えるということ。
                    そしてまずは「兎と亀」の刺繍が出来上りました。

                    しかし問題は片割れの筥迫。
                    ここで私に意見を求められたので、以下3点提案させていただきました。

                    1)兎が右を向いているので、お対の犬と向き合うような構図にする。
                    2)どちらも左に寄せるのは芸がないので、犬は右に配置する。
                    3)右の犬は懐中すると隠れてしまうため、外に出る左側にはふんだんに桜を散らす。

                    言うは簡単ですが、つる姫さんにとっては悩める注文です。

                    本当は兎の画風に合わせた犬を描きたかったそうですが、絵がかなり得意という人でないかぎり画風は簡単には合わせられないもの。
                    これに相当悩まれたようですが、ある日私宛に図案を添付したメールが送られて来ました。
                    犬がどうしても描けないので、苦し紛れに犬張子にしたがこれで良いかとのこと。

                    偶然にも筥迫用の端切れをネットで探しているときに、花を撒くおじいさんと犬張子の柄をアンティークの襦袢地で見かけたところだったので、すかさず「花咲爺に犬張子のアイデアはあるようですよ」と返信しました。

                    始めにいただいた図案では、「被せ」の右に犬張子、左に桜が単純に舞っているというものでした。
                    そして「巾着」にはザル(おじいさんを表現)に桜の花びら、「簪挿し」の臼と金貨はそのままの図案です。

                    そこで、筥迫用に描くならばと少々図案を手直しさせていただきました。


                    「巾着」は小さくタックや結び等もあるので、あまりゴテゴテと図案に凝らないで桜一輪だけにしました。
                    その代わりザルは「被せ」に移動して、ザルと桜と犬の三つのアイテムでデザインすることにしました。
                    ザルと犬張子にはしっかりと模様を入れ、ザルからあふれて画面を埋め尽くすように桜を散らします。
                    始めのデザインでは犬張子は真っ直ぐに立っていましたが、兎の躍動感に合わせて少し傾けて動きを出しました。

                    また筥迫の図案を考える際に、被せ部分だけでデザインをしてしまいがちですが、胴締めの天地は被せよりも上下に5mmずつ長いので、胴締め前部分は画面いっぱいに使うと全体がとても華やかに仕上がります。

                    結局、ちょっと手を入れるつもりが、桜をふんだんに散らしたので、兎と亀に比べて図案がかなりこってりになってしまいました。
                    兎と亀も始めに図案を見せられていたら派手に亀を入れた図案で返していたと思うので、それがつる姫さんにとって良かったのか悪かったのかはわかりませんが(笑)。
                    でも懐中部分を隠せば二人が並んだ時のバランス(画の密度)は同じぐらいになるので、まぁそれで良しということにしてください。

                    とにかく、今はもう筥迫刺繍はしたくない〜アセアセ という心境のようです(笑)。


                    さて、中を開くとこんな感じです。
                    被せ裏を同じ柄出しで揃えてみました(ちょっとずれたか、、)。

                    そして臼と旗のセットが逆だった、、、(汗)。

                    被せ下の右上には、双子ちゃんそれぞれのお名前が入っています(ボカシを入れたのでわかりずらいですが)。
                    名前だけ刺繍する場合は被裏にした方がよいかと思いますが、表に刺繍をした場合は再度内布を台張りしなくてはならないので、被下に入れてしまった方が台張りの手間が省けます。

                    刺繍筥迫を作るなら、このように名前入れをしてあげた方が更に特別感が出ますね。


                    貼り箱に入れてみました。


                    この貼り箱は、筥迫工房の全ての筥迫型に合うように作られています。
                    サイズによって中の仕切りを移動して自分で貼り付けるようになっているので、大人用であればそのまま使うことができます(私は薄葉紙を敷きますが)。

                    しかし子ども用の場合左右がかなり空いてしまうので、ここに丸めたプチプチを詰めて安定させることにしました。
                    しかしプチプチが見えたままではさすがに見栄えが悪いので、残った内布でカバーすることにしました。

                    カルトナージュでしっかりと貼り付けたいところですが、保管箱に酸性の接着剤を使いたくなかったので(筥迫にサイビを使っているのはさておき)、ドットライナーで軽くとめるだけにしています。
                    ドットライナーはアシッドフリーなので、このようなときはありがたい存在です。
                    そして異素材同士の接着に威力を発揮するのがこの接着剤の良さです。

                    ふんわりとお布団に包まれているようで、七五三の保管箱としてお勧めの使い方ではないでしょうか。




                    今回は双子の筥迫なので、実は前回からすぐに記事を更新しようと打ち込んでいたのですが、何の弾みか全て消してしまった、、、沈
                    長文書きのRom筥といえど、すぐさまこの労力を回復する気も起きずしばし放置していたところ、何気なく見たアクセス数が前回更新から上昇したままずっと続いている(通常二日ほどで下がる)。
                    これは皆に待たれてる、、、という無言のプレッシャーを感じつつ、そこは都合よく見ぬフリして、アクセス数が落ちついたところで気を取り直して更新した次第。
                    打ち直しの高揚感のなさで、何となく短くなったような気がしないでもない。

                    私の筥迫活動の中で、たぶん一番労力を費やしているのはこのブログだと思います。
                    かと言って書いたことを後悔する内容ばかりなので、ほとんど見返すこともないのですが、何かの弾みで全てのデータがふっ飛んだりしたら、さすがに今までの労力を思うと惜しくなるだろうなぁ。
                    それならばバックアップは取っておくべきか悩むところですが、過去の戯れ言を検索をされないですむかと思うと、このまま書き捨てにするのも悪くないかも、と二つの思いに揺れている今日この頃です。



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                    【2015.02.08 Sunday 18:22】 author : Rom筥
                    | 日本刺繍の筥迫 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    日本刺繍の筥迫 七五三『兎と亀』つる姫さん作品
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                      装 飾:日本刺繍『兎と亀』(製作:つる姫さん)
                      仕立て:綿入・挟み玉縁仕立て(製作:Rom筥)
                      表 布:帯地
                      内 布:古裂縮緬
                      打ち紐:筥迫用 <赤系> 紅 人五(502)
                      房糸(切り房用):筥迫・末広用<紅02>
                      とじ糸:メタリックゴールド <金糸>
                      かがり糸:<紅02>Silk
                      緒締め玉:パールビーズ 8<赤>
                      びら簪:子ども用 長鎖 <鈴>
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                      今回は、かわいいかわいい七五三筥迫のご紹介です。
                      日本刺繍でご一緒している『つる姫さん』からご依頼の一品。
                      教室の方からのご依頼は当たり前のようにブログにも掲載させていただいているので(感謝!)、私としては多くの人に筥迫用の刺繍をしてもらいたいのですが、普段は皆さんお着物や帯制作にお忙しい。

                      しかし今年は、5月17日〜19日に私が通う刺繍教室の『第二回 作品展』が行なわれます(池袋の前回と同じギャラリー)。
                      ということで、作品展の人気コーナー筥迫ブースへ何人かの方が嚢物作品を出品してくださる予定になっています。
                      今回は『定家文庫』も『江戸筥迫』も『琴爪入』もありますよん♡
                      なので定番の縢り筥迫が少ないかも(私もこれからラストスパートせねば、、、)。
                      そしてこの筥迫も作品展目指して制作されたものの一つなのです。
                       
                      つる姫さんと言えば、以前『舌切雀』でお孫ちゃんの七五三筥迫の刺繍をしてくださいました。
                      実はこのときのお孫ちゃんはお姉ちゃんの方で、この筥迫は妹ちゃん用のもの。
                      とは言っても、お姉ちゃんでさえ四歳、妹ちゃんに至ってはまだ二歳、、。
                      実際にこの筥迫を使うのは、もっとずっと先のお楽しみということです。

                      小物たちと合わせるともうホントかわいくて、おもちゃ箱をひっくり返したかのような賑やかさです。

                      ちなみに、この筥迫は兎と亀なのに「亀」はどこにいるの、、、?と思われた方も多いかと思います。

                      さて、亀はどこにいるでしょう!

                      答えは巾着の「亀甲模様」にありました(笑)。

                      つる姫さんは被せの図案に入れたかったそうですが、どうしても亀のデザインが思い浮かばなかったそうで、苦肉の策で巾着の紋様になったとのこと。
                      困った時のいいアイデアですね。

                      筥迫装飾の楽しさは、こういった小物たちとの掛け合いにあるかもしれません。
                      凝り出せば、「被せ下」「被せ裏」「胴の背」「鏡周り」などにも色々と装飾できます。
                      隠れている胴締めの下と、見えている上の模様をうまく変えれば装飾に動きも出ます。

                      ただ、普段着物や帯の刺繍に慣れている人には、筥迫刺繍はあまりにも細かいらしく、表の装飾だけで力尽きてしまうようです(笑)。
                      どうやら筥迫装飾の妙を目指すには、根性と思い入れが必要なようですね。
                      私は根性と思い入れは充分なのですが、未だ刺繍の腕が追いつかないのが非常に残念な所です(苦笑)。

                      つる姫さんの一番のお気に入りは、簪挿しの「一等賞の旗」とのこと。
                      兎の足元のポップな飾り玉は、お花をデフォルメしたそうです。
                      1cm前後の小さな飾り玉に色々デザインを凝らすのは確かに大変そうです。ホントご苦労さまでした。

                      前回の筥迫『舌切雀』は古典的なかっちりとしたお姉様デザインでしたが、今回は兎の柔らかいラインが印象的で、生地の色味は合わせていますが全く違う作品になりました。
                      きっと兎が飛び跳ねるように、飾り玉がはじけるように元気な妹ちゃんなのでしょう。


                      今回の筥迫は内布がとてもかわいかったので、これを玉縁にしようと決めていました。
                      日本刺繍の場合は縫い玉縁で仕立てた方よいかなとは思っているのですが、縫い玉縁は一定の厚みが出てしまうので、模様のある内布を玉縁にするとまだらな色の縁が目立ちすぎて刺繍と調和しなかったらどうしよう、、、との心配もあり、今回は細く控えめな挟み玉縁にしてみました。
                      全体的にかなり馴染んでいるようなので、結論としてはもっと広く散らせてもよかったかなと思いました。

                      ところで、被せと胴締めに玉縁をする際は、縫い玉縁であればお揃いで「簪挿しの口」と「巾着の口」にも玉縁をしますが、挟み玉縁の場合は中に芯を入れているのでそれができません。
                      そこで、巾着を「袷」にして中の内布を出すことにしました。
                      ちょっと見、玉縁風という感じです。


                      玉縁に使ったという内布は、こんなかわいらしい柄です。

                      レトロな雰囲気がほしかったので、古裂の縮緬を使いました。

                      前回の縮緬生地の使い方で「内布には縮緬を使わないように!」と書きましたが、古裂の縮緬は現代のものと違ってものすごくシボが小さく薄く繊細なので、筥迫の厚みを邪魔しません。
                      ですから古裂の縮緬と現代の縮緬は別物と考えた方がよいです。

                      このように、マッチングさせたいと思える生地に出会えると柄物を使う時もありますが、装飾筥迫は実用ではないので中を開くことはほとんどなく、通常内布は無地使いが多いです。
                      装飾筥迫の内布に凝るとすれば、それはあくまで自分一人のお楽しみということで。

                      筥迫は内布に赤色を使うことが多いです。
                      と言いますか、維新後、筥迫として市販されているのものは内布がほとんど赤。
                      おめでたい色ということもありますが、「赤」という色や「鏡」は魔除けでもあります。
                      子どもたちが命を失う確率が高かったその昔、三歳、五歳、七歳を無事迎えられたお祝いの七五三こそ、この「赤」は意味があるものなのかもしれません。

                      講習会でも「子どもの頃の筥迫が忘れられなくて」と言って参加される方は多いです。
                      筥迫の不思議な造形と、開いたときに見える「赤」と「鏡」の組合せが、子どもたちの脳裏に深く焼き付くのかもしれません。

                      実用筥迫は物の出し入れをメインに考えますが、装飾筥迫は中に物を納めたままの使い方と心得ましょう。
                      だからこそ、私は装飾筥迫にお手紙を書いて入れることを提案しています(入れるなら紙入れ部分)。
                      これならおばあさんになっても時々開いて見てもらえるでしょうし、ちょっとした思い出の品を入れておけば、メモリアルボックスのように扱ってもらえるかもしれません。

                      装飾筥迫は、思いや願いを封印する「お守り」のようなものだと考えればよいかもしれませんね。



                      実はこの筥迫は『双子の筥迫』なのです。
                      次回、もう一つの方の筥迫をご紹介しますね。
                      どうぞお楽しみに!




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                      【2015.02.01 Sunday 00:01】 author : Rom筥
                      | 日本刺繍の筥迫 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |