『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
先日PC内のデータを探していた際にこの画像を見つけました。
私のPCには新旧自他問わない筥迫画像が無尽蔵に保存されているため、フトしたときに忘れていた物を見つけることが多々あります。
かなり前にご依頼いただいた筥迫&懐剣ですが、撮影したまま画像を補正もしない状態で置かれていたので、今回はこちらをご紹介させていただきます。
確か姪御さんの成人式のためにご依頼いただいたと思いますが、将来結婚式でも使えるようにと懐剣も一緒に作られました(成人式に懐剣はつけませんよ)。
講習会に参加されていた方だったのですが、筥迫を作る自信はないとのことで仕立ては筥迫工房へのご依頼でしたが、ちょっとは仕立てに関わりたいとのことで、懐剣だけご自分で仕立てられました。
振袖に筥迫を合わせる際のポイントは、「ボリューム」で合わせるか「色」で合わせるかになります。
「帯地」や「刺繍裂」で仕立てた筥迫は、振袖のボリューム感に対して負けない存在感があるので、それほど色柄を考えなくても筥迫は目立ちます(房の色は着物や小物とコーディネートした方がいいですが)。
対して友禅などの「着物地」で仕立てると、筥迫にボリューム感が出ないので、しっかりと「色」を出していかないと筥迫がアクセントになりません。
ただただ可愛い柄というだけでたくさんの色を出してしまうと、思いのほか効果がなかった、、、ということになりかねません。
着物地で筥迫を仕立てる場合は、ある程度「差し色」に割り切って色柄を考えた方がいいかもしれません。
刺繍筥迫の仕立て
こちらの筥迫は図案からのご依頼で、私は図案と仕立てを担当いたしました(刺繍はつるひめさん)。
筥迫のお仕立てをいただく場合、このようなフルオーダーはごく少数で、通常は刺繍をされている方からのご依頼が主です。
フルオーダーはそれなりのお値段を覚悟しなければなりませんが、刺繍をされている方なら一番手間賃のかかる刺繍はご自分でできるのですから、是非一度は本物の筥迫を作っていただきたいなと思っています。
筥迫のお仕立て依頼の手順としては、
1)筥迫の雛形と描き方の詳細をお渡しするので、それをもとに図案を描いていただく
2)1でできた図案を確認させていただき、刺繍範囲の打ち合わせをする
3)2を元に刺繍を始める
実際に筥迫を使う日が決まっているのであれば、打ち合わせ→確認→刺繍→仕立てとかなり時間がかかりますので、少なくとも半年前には打ち合わせが始まっていないときびしいです。
そして、日本刺繍をされる方は着物の刺繍には慣れているかもしれませんが、筥迫には立体ならではの仕立ての決め事があるので、特に初めての筥迫依頼にはできるだけ打ち合わせの時間を多く取った方が安心です。
例えば、筥迫工房では「胴締め」の天面から前耳までのスペースにフルに刺繍を施すことをお勧めしています。
近代以降の筥迫は、被せの範囲に合わせて胴締めに刺繍を施しているので、胴締めの途中で刺繍が切れています。
筥迫は装着してしまうと左半分しか出ませんから、少しでも見える胴締めの天面にスペースを空けておくのは勿体無い!
作品としても天面から胴締めの下までフルに刺繍が入っていた方が、筥迫の見栄えが良くいっそう華やかになるというものです。
江戸時代の筥迫なんて、底以外の全面刺繍なんですから。
(底にまで刺繍が入っているものも有り、どこを持つんだという感じです)
最近徐々に刺繍の筥迫が現代に蘇ってきてはいますが、まだまだ数は少ないです。
今時日本刺繍の筥迫なんて持っている方は本当に少ないですから(というかほぼいない)、結婚式の際に大絶賛されること請け合いです。
誰も持っていないような本式の筥迫をあなたも作ってみませんか?
本仕立て
こちらの筥迫は「本仕立て」で作っています。
筥迫工房では「縫い玉縁」で仕立てる筥迫を本来の玉縁として「本仕立て」と呼んでいます。
ショップで販売している教本や、教室でも教科の生徒さんたちには「挟み玉縁」で解説していますが、それは挟み玉縁は誰でも失敗なく細い玉縁ができる方法だからです。
ただ厚みが出やすいので、使う布の種類を選ぶということ、大型の筥迫の比率では挟み玉縁は細すぎるというデメリットがあります。
本仕立てにした方が素材や厚みに左右されずすっきりと仕立て上がるので、現在お仕立てのご依頼をいただく際は本仕立てを基本としています。
しかしながら、本仕立ては出来上がり線の1mm手前までを刺繍止まりとしているので、それを超えた縫い込みをされると本仕立てにすることはできません(さすがに刺繍を切ることはできませんから!)。
刺繍をされる方は着物の仕立てに慣れているからか、どんなに説明をしても縫い込みを入れてしまう方が多く、その場合は「挟み玉縁」で仕立てることになります。
挟み玉縁でも前から見れば綺麗な仕立てには出来るのですが、横から見ると裏に回った「布」+「刺繍の縫い込み」+「挟み玉縁」の厚みが加わるので、ぼてっとした仕上がりになるのは否めない。
そんなワケで、刺繍筥迫のご依頼をいただく際は、打ち合わせがとても大事だということをご理解いただけるとありがたいです。
筥迫工房の教室では、本仕立ては「工芸コース」のみで指導しています。
筥迫が完璧に仕立てられるようにならないと教えられないので、工芸コースに進級するための技術テストがあります。
玉縁は細さが命です。
硬いしっかりとした綿を入れて1mm強の細さに玉縁を付けるのは難儀です。
しかしこの本仕立てに憧れて工芸コースを目指す人も多い。
そして、その先に「江戸型筥迫」の仕立てがあります。
オフィーリア!
「筥迫」と「懐剣」は着物の胸元に装着した状態で写真を撮るのが一番いいのですが、私のように仕立てるだけの人間は、どうしてもブツ撮りするしかありません。
しかし筥迫と懐剣というのはあまりにも形状が違うので、これを見栄え良く撮影するのは実に難しい。
以前は筥迫をスタンドに立てて撮影していたのですが、同じように懐剣を立てるとバランスが悪く、この時はTOP画像のような感じで撮っていたようです。
展示会のときは、実際に懐中する時のバランスで壁に垂直に掛けるのが一番いいのですが、通常の撮影では都度そのようにセッティングするのが面倒で、ついつい机上で撮影する方法で妥協してしまいます。
そんないくつかある画像の中に、当時はこのような配置で撮ることもありました。
もう本当に笑っちゃうのですが、私はこの配置を見るたびに「オフィーリア!」と叫ばずにはいられません(笑)。
ラファエロ前派の代表的な画家ミレイの「オフィーリア」のあの場面のことです。
恋人のハムレットに父親を殺されたオフィーリアが溺死する場面を描いていますが、なんかね、この懐剣が水の中に横たわるオフィーリアに見えてしまうんですね。
そしてそれを見つめる筥迫(笑)。
実際の絵にはオフィーリア一人で、それを見つめる人はいません。
どちらかといえば白雪姫と王子様を連想するのが正しいのかもしれませんが、私はこのオフィーリアを描いたときのミレイと、モデルとなったシダルの逸話を連想してしまうのです。
そのお話とは、、、
ミレイはリアルな絵を追求する画家だったので、シダルにドレスを着せてバスタブに沈めた状態で絵を描いていたそうです。
お湯が冷めないようにバスタブの下に石油ランプを置いたまでは良かったのですが、夢中になって絵を描いていいるミレイには途中でランプの火が消えたことに気が付きません。
冷え切ったシダルはついに昏睡状態になり、病院に担ぎ込まれます。
肺炎になったシダルを見た父親が激怒し、ミレイを訴えて慰謝料を請求する事態にまで発展してしまいます。
つまり私が連想するのは、バスタブに浸かるシダル(懐剣)と、その姿を見ながら絵を描くミレイ(筥迫)の構図というわけです。
現代の日本であれば追い焚き機能があるので、シダルのお父さんに訴えられることもなかったのになぁ、などとくだらないことを思ってしまうのです(笑)。
閑話休題。
結局のところ、現在ではそのまま机に寝かせた状態で撮影するようになりましたとさ。
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前回「筥迫に見る日本の紅白文化」を書いたので、ここで実際の作品を一つ。
アンティークの筥迫にありがちな婚礼用の「鶴亀」図案です。
手持ちのアンティーク筥迫の図案がとても素敵だったのですが、なんとも中途半端な構図だったのでRom筥流にアレンジして、更に現代人的が好みそうな色味に変えてみました。
古い日本刺繍の筥迫の中には、あきらかに納期や手間賃が限られていたのだろうと思われる作りのものがけっこうあります。
それで身を立てている職人さんにとっては、制限された中で作らなければならないのは今も昔も同じこと。
刺繍も仕立ても上手いのに、刺繍師と仕立師の連携が全く取れていない!というちぐはぐな筥迫もよく見かけます。
こういうものは、やる気のない袋物商が「ちゃちゃっと適当にやっといてよ」的な指示を出しのでしょう(こんな輩はいつの時代もいるもので)。
この元となった筥迫も、刺繍も上手、仕立ても上手、なのに図案が中途半端で、更にはとんでもなく柄合わせがずれていた(これを売る方もおかしい)。
そこに全く関係ない私が時代を超えて憤慨するのもどうかと思いますが、このような筥迫を見かけるとつい、私の手で昇華してあげなくては!と勝手な使命感に燃えてしまいます。
刺繍はお馴染みつるひめさんが手がけました。
「お嫁さんの図案があるんだけど、孫ちゃんの結婚式用に一つ作ってみない?」と悪魔のささやき。
お孫ちゃんたちはお姉ちゃんが今年小学三年生、下の双子ちゃんがピカピカの一年生になったばかりだというのに(苦)。
ちょうどまぜごはんさんの婚礼用刺繍筥迫も掲示板にアップされております(No.661)。
こちらは完全オリジナルの素晴らしい作品なので是非ご覧ください。
白生地も難しいぞ!
花嫁筥迫には「白」が圧倒的に支持されますが、前ブログの「赤」以上に「白」も難しい生地です。
赤布の仕入先に染色前の白の精華パレスがないか担当者に問い合わせた際に、「う〜ん、白の反物は色が変わっているので、、、」と浮かない口調。
時を同じくして、まぜごはんさんも白生地を「黄変防止加工」をしてもらったとのコメントに、自分がいかに白に対して相当無頓着になっていることに気がつきました(アンティーク筥迫ばかりを見慣れている目には黄変がデフォなので)。
織りあがったそのときから黄変が始まるのが白生地の宿命。
専門の業者さんが書いた記事がありますので、詳しくはこちらをご覧ください。
作ってから結婚式に至るまでの間にも確実に色は変わってしまいますし、そもそも筥迫のように小さい物を作るには、基本的に端切れになったものを使うことが常です。
その時点ですでにデットストックの可能性は高いので、それが白と認識している人にはあまり関係のない話かと。
そもそも白パレスを仕入れようとしたワケは「玉縁用の白布」を販売することが目的であって、玉縁は「細く使う」ものなので、少しぐらいの黄変なんて誰が気がつく?ぐらいの範囲でしか使いません。
古い着物の八掛の白部分を使えばいいと思われるかもしれませんが、何十年も前の八掛は目に見えて白が黄変していますので、さすがの私も使うのをためらいます。
仕入先のせいぜい数年前ぐらいのデットストックなら全然問題ないと思えるレベルなので、あくまで玉縁用としてですが、1/3幅で50cmぐらいに裁断して販売する予定です。
玉縁とはいえ白にはこだわりがある!という方は、お店で販売している「塩瀬の半襟」をご自分の目で見て購入すれば良いかと思います。
色物の玉縁にしたい方は「綸子の帯揚げ」を探すとお望みの色は探せるでしょう。
(半襟も帯揚げも間違っても「縮緬」は選ばないでね)。
元の図案は「赤」のアクセントがインパクト大だったのですが、それを全体的にパステルに変えています。
被せには小さなアクセントで赤を使うぐらいで、内布からパキッとした赤が覗くぐらいが一番素敵です。
筥迫はカビが大敵
私が黄変より注意してほしいのは「カビ」です。
筥迫は糊を使っているのでカビを呼びます。
意外にも現代版の筥迫で虫に食われたものを見たことはありません。
しかしほとんどのアンティークの筥迫はポツポツとシミのようにカビがついていて、白なので余計にそれが目立ちます。
カビが付けば更に黄変しやすくなります。
刺繍をする人が筥迫を作る際、手に入りやすい白生地をそのまま使おうとしますが、頼むから花嫁筥迫以外は白で作ってくれるなと言っています(極薄のパステルも怖い)。
筥迫に仕立てるときは、できるだけ「手汗」が付かないように注意してください。
白は汚れが目立ちやすいので、私は他の筥迫を作るとき以上に緊張するのですが、それは緊張する→手汗をかくからです。
筥迫は表面を触らないで作ることは不可能なので、できるだけ表面を触らないように常に当て布をかませ、夏場であればエアコンをガンガンにかけて震えながら作業しています。
そのぐらい白の筥迫は気を使うので、筥迫作りに慣れていない方はできるだけ色物を使ってくださいね。
しかし、白が黄変したりカビが出たとしても
「被せの全面を刺繍で埋め尽くす」
ことで、それらはほとんど目立たなくなります。
白生地を使う場合は、できるだけ白生地部分だけのところが広く出ないよう(全面に刺繍が入るよう)に図案を描いてほしいとも言っています。
つる姫さんのお孫ちゃんたちがお嫁に行く頃には、この筥迫も今より白は変わっていることとは思いますが、筥迫は三代で使えるものなので(祖母、母、娘)、シミやカビが出てきたとしてもそれはまだもっと先のこと。
でもこのぐらいみっちり刺繍してあれば、黄変やシミもそれほど目立たないとは思います。
たまに取り出して可愛い可愛いと愛でてあげる行為も、風を通してカビを撃退することにも繋がります。
安く買ったものや即席に作ったものはぞんざいに放りがちですが、しっかりと時間と手間をかけて作ってやったものなら、定期的に愛でる価値もあるというものです。
しかし、保存時の風通しより何より注意しなくてはいけないことは、筥迫を作ってすぐに箱にしまわないこと!
作った後は完全に乾くまで、しばし飾って楽しみましょう。
撚り房(撚り房)
白か赤でいいなら、私は「切り房」より「撚り房」を使います。
撚り房は何より立派ですから。
切り房を使うのは、あくまで色物の房にしたいときだけ。
こちらはショップで販売しています。
筥迫用は忠実に筥迫房のバランスで作ってもらっているので、他には売っていません。
ショップで販売している教本も、いつか基本の筥迫は「撚り房を使った飾り房」一択にしたいと思っています。
その方が断然筥迫作りの難易度は低くなりますし、それならば副読本とセットにしなくても一冊の購入で済むということです。
作り始めた当初はあくまで「全て手作り!」にこだわっていましたが、ただ結婚式や七五三の時に筥迫を作りたいだけなら、房にまで苦労して手作りしなくてもいいのでは?と思うようになりました。
私も年をとって丸くなってきたってことだ(笑)
ただし撚り房は「白、紅、紅白金」の三種類しかないので、色物で房を作りたい人用のために、切り房や変形の結びあたりを別冊にしたいと考えています。
現在の副読本にある初めの説明あたりはHPの方に移動して共有できればと思っているのですが、そうなるとショップの体裁から変えていかなければならず、また山ほどの手間がかかるのかと思うとホント気が遠くなります。
(Web操作手伝ってくれる人募集)
画像悪いですが、私が当初つる姫さんにお勧めしたのがこの紅の筥迫房です。
はっきりぱっきりになってこちらも素敵です。
つる姫さんは清楚な白をお選びになりましたが、古い筥迫のほとんどは「紅白金」です。
筥迫自体を紅白配色で作っているので、どの組み合わせでも合うということでお好みでお選びください。
↓下の「講習会」へのリンクが切れていたようですが今つなげました。ごめんなさい!
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最近のブログは講習会などの紙入れ系画像が多くなりがちで、少々華やかさに欠けることから(紙入れはあくまで普段使いの実用なので)、たまには華やかな画像をということで、華やかな画像といえばコレ!日本刺繍の縢襠付筥迫のご紹介をさせていただきます。
困った時のブログ画像として、紹介していない刺繍の袋物はたくさんあるのですが、私が刺繍を始めた頃は袋物に刺繍する人などほぼ皆無で、刺繍教室の人たちに頼み込んで協力してもらったぐらいなので、やっと作った刺繍物を簡単にブログにアップするのがあまりにももったいなくて、いまだにチビチビとアップしています。
しかし気がつけば掲載していない画像もすでに相当数たまっている。
記録を見たところこの作品も2015年に制作されたもので、こりゃあと10年ぐらいは余裕で掲載できそうです。(私のマニアックなウンチクよりも綺麗な画像出せと言われそうですが)
今回の作品は、以前(2014.12)にご紹介したH.Yさんのものです。
H.Yさんは当初筥迫工房の講習会に参加されて、そこで「娘のために日本刺繍の筥迫を作りたい!」ということで、講習会そっちのけで私と同じお針子会の刺繍教室に通われました。
とはいえ、筥迫刺繍というのは始めたばかりで早々できるものではない。
なんといってもこの狭いスペースに世界観を出すため図案は細かくなりがちです。
基礎の刺繍だけで1年以上はかかるので、H.Yさんも自由課題になった直後に先の袋物「花婿の母の紙入れ」を制作して、この筥迫はたぶんその後ぐらいのチャレンジだったと思います。
ことの始まりは、刺繍教室の際にH.Yさんが持ち込んだそれは見事なアンティークの刺繍の花嫁衣装でした。
以前から筥迫の図案を頼まれていたので、それならばとこの図案をモチーフにすることにしました。
その頃のH.Yさんはまだ刺繍に慣れていないレベルだったので、初心者にはちょうどよい図案と考えました。
筥迫図案に慣れていない方には、帯や着物とそれほど違いがないぐらいの大きなモチーフの方がやりやすい。
私は細かいモチーフの図案が好きなのですが、そうなると糸数も相当少なくしないとなりません。
ですから筥迫刺繍はこんなに小さいスペースなのにやたらと時間がかかります。
それが細かい図案になれば、より難度も上がりよけい時間もかかるということです。
できあがってきた刺繍裂は色味的に思っていたほどのインパクトがなかったので(色も私が指定したのですが)、玉縁に「赤」を使い図案をよりはっきりと際立たせました。
このような場合、房も赤を使いがちですが、更に華やかにするために金茶を使って色数を増やしました。
お色直しにはちょうど良い素敵な筥迫&懐剣セットとなりました。
刺繍のままの裂と筥迫に仕立てた後ではガラッと印象が変わるのが筥迫仕立ての醍醐味です。
化粧をする前のあなたも十分美しいけれど、その素材を私が化粧で何倍も美しく仕立てて差し上げましょう!
毎回そんな意気込みで作っています。(現在は一般の方のお仕立てはお請けしておりません。あしからず)
刺繍筥迫
この筥迫は講習会では中級レベルで作る縢襠付筥迫ですが、市販の教本で作る筥迫よりも少し大きめの型になります。
このサイズの筥迫は、その昔刺繍筥迫が作られていた頃によくあった大きさです。
教本の筥迫を作った頃は現代の筥迫のサイズで作ったのですが、今時はどんどん筥迫のサイズも小さくなり、名刺入れ程度の小さなものもよく見かけます。
申し訳程度に胸に張り付いていて、筥迫の存在感は差し色程度のものになってしまいました。
年配のご婦人たちが筥迫を見ると「筥迫〜♡」と叫ばれますが、現代の花嫁さんたちは「えっ?そんなもの入れていましたっけ?」。
そのぐらい筥迫の存在感はなくなってしまったと思います。
筥迫に刺繍をするにしても、このぐらいの大きさがないと表現が難しい。
このぐらいの大きさで、しっかりとした厚みがあると、もう花嫁衣装の中心は筥迫ですか?というぐらいです。
昔の花嫁さんはそのぐらい立派な筥迫を付けていたのです。
びら簪も長く重くそれは立派なものが多かったです。
ですから昔の花嫁さんにとっては、筥迫はとても印象的で思い出深いものがあるのでしょう。
皆さんもアンティークの日本刺繍の筥迫を見たことがあるかと思いますが、あのような刺繍筥迫が作られたのはほぼ昭和20年ぐらいまでです。
花嫁衣装がレンタル全盛になって、これらの刺繍筥迫はぱったりと姿を消しました。
現代でアンティークの花嫁衣装をレンタルしているところがありますが、そこに刺繍の筥迫が添えられているのを見ると、作られてから確実に70年以上は経っているものをそう簡単に貸し出さないで〜と思ってしまいます。
日本刺繍の筥迫は当時でも相当高かったと思いますよ。
今まで大事に保管されてきたものがレンタルなどで頻繁に使われてしまうと、ほぼ実用で使っているのと同じことです。
劣化は早いでしょうね。
現代でかつてのように日本刺繍の筥迫なんてものが市販されるなんてことはほぼありえないので(あまりにも高額になってしまうので)、もっと大事に保管してほしいです。
H.Yさんの筥迫は、このような現代にあって新しく作られた刺繍筥迫です。
このような刺繍筥迫というものは基本的にハレの日にしか使いませんので、あとは長い年月小さな箱の中で大事に保管されているものです。
大事に保管された筥迫は三世代で使えます。
確実にあと70年は持ちますね。
H.Yさんのお嬢さんのお孫さんの代まで使われたら、その時代にはすでにアンティークの刺繍筥迫も出回らなくなっていると思いますので、とても貴重なものになっているでしょうね。
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今年は日本刺繍『紅会』の工房から、定家文庫と縢襠付筥迫のお仕立てのご依頼をいただきました。
10月から開催される紅会工房の『かがりはずし展〜齊藤磬(いわお)生誕100周年記念〜』で展示されるそうです。
そこでこちらのブログに情報を掲載してくださいとのお言葉をいただいたので、今回ありがたくご紹介させていただきます。
まずは定家文庫です。
若冲の動植綵絵の桃にオオルリの写しだそうです。
「定家文庫」や、これよりスケールの小さい「式部型小物入れ」などに使われる「飾り房」は、刺繍と主役を張るほどの存在感です。
大げさに言えば、刺繍、房、型(桐箱&仕立)の三位一体。
どれか一つが圧倒的に目立つこともなく、三つの要素が調和してこそ工芸としての作品が成り立ちます。
この作品は、箔地に楚々とした桃の枝とオオルリが刺繍されています。
これまで定家文庫といえば派手な刺繍が多かったので、基本的に房は刺繍の色から選べば問題ありませんでした。
しかし、この楚々とした刺繍に下手な色を使えば房の存在感が刺繍に優ってしまいます。
そこで房の色は布地に合わせることをお勧めしたのですが、このような箔地は光源によって陰影ができるので、房屋さん曰く、どの場所の色を取るかが非常に難しいとのこと。
何度か染め直してもらい、刺繍を引き立たせてくれる明るい色味の飾り房が出来上がりました。
こちらは縢襠付筥迫です。
こってりと肉が盛られた大変鮮やかな刺繍です。
紅会の工房からは一年以上前にお話をいただき、お互いに綿密な打ち合わせを繰り返して制作いたしました。
染めの布地と凹凸のついた刺繍裂では、仕立ての難度として雲泥の差があります。
今回の刺繍のように、綿入れでこってりとした刺繍の断ち切り図案というのは、仕立てをする側からすれば高難度要素満載です。
このことから、今回は玉縁は入れず折り返しで仕立てさせていただきました。
刺繍の腕さえあれば綺麗な筥迫にできるはず!と考える人は多いのですが、それで実際に綺麗な筥迫に仕上がるか、と言われればそんなことは全くありません。
では綺麗な筥迫に仕立てるにはどうすればよいのか?
「美しい筥迫に仕立てられる刺繍」をしてもらうしかありません。
そのためには、図案の前に打ち合わせ、刺繍をする前に打ち合わせ、仕立ての前に打ち合わせ、と相応の時間をかけなければならないのです。
そうやって作られたのが、この小さな筥迫や定家文庫です。
日本固有の嚢物というのは、どんなに小さくても作品に込められたエネルギーが伝わりやすい。
それがこだわりを持って嚢物を作る甲斐であり、作る人たちの創作意欲を掻き立てるのではないかと思っています。
これらの作品は、以下の4会場で展示されるそうです。
実物を是非ご覧いただけば幸いです。
===========================
第26回 紅会工房 かがりはずし展
〜齊藤磬(いわお)生誕100周年記念〜
===========================
【紅会工房】
10月5日(金)6日(土)10時〜17時
千葉県東金市家徳594
【大阪会場】
10月12日(金)13日(土)11時〜18時
*最終日は17時閉場
ハートンホール日本生命御堂筋ビル12階
大阪市中央区南船場4-2-4
【名古屋会場】
ノリタケの森ギャラリー
10月16日(火)〜21日(日)10時〜18時
*最終日は16時閉場
名古屋市西区則武新町3-1-36
【東京会場】
東京交通会館 ゴールドサロン
11月1日(木)〜3日(土)11時〜18時
*最終日は17時閉場
千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館B1F
10月28日(日)〜31日(水) 11時〜18時
紅会教室会員の作品展を同会場で開催します。
*初日は13時開場 最終日は16時閉場
地図などの詳細はホームページにてご案内されているそうです。
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先日の講習会に参加されたままねこさん(静岡在住)が日本刺繍の筥迫をご持参くださいました。
あまりにも素晴らしい作品だったので、是非皆様に見ていただきたく、今回はこれらの作品をご紹介致します。
バタバタな講習会の合間に撮影したものなので、ライティングもなしでわかりずらいかもしれませんがご容赦ください。
まずはままねこさんのご紹介ですが、お住いは静岡県で、筥迫工房の講習会には2016年から通っていらっしゃいます。
日本刺繍を始めてまだ4年だそうで、それでここまで細かい刺繍ができるようになるというのも素晴らしい。
ネットの「日本刺繍」で検索して、そこに出て来たのが今の刺繍の先生と筥迫工房とのこと。
始めは教本を買ったものの、「中身を見て あまりの細かさに気が遠くなり、
筥迫作るだけなら教本だけでも十分できるのですが、緻密な刺繍の筥迫を作ろうと思ったら、やはり講習会でそれなりの作り方を勉強しないと難しいかもしれません。
「最初の携帯裁縫用具入れで、無理だと思ったら筥迫作りも諦めようと思ったのですが、すっかり嚢物と貼り込みの世界にハマってしまいました」(その頃はレベル分けがなかった)
ままねこさんの刺繍の先生(男性)は、残念ながら筥迫にはあまり興味がなさそうです。
その先生に何とか刺繍の筥迫を認めてもらいたい!そんなままねこさんの筥迫奮闘記です。
(以下、青字がままねこさんご自身のコメントです)
菊の筥迫(トップ画像)
昨年の9月に新しくなった「縢襠付筥迫」
帰ってからプリント生地でも復習していたのですが、
来年の娘の成人式には刺繍筥迫を!
しばらくは 娘の成人式用の筥迫作りに専念する旨を伝え、
幻想的な美しい菊模様の縢襠付筥迫です。
日本刺繍には組紐ぬいというものがあるのですが、ままねこさんはこの菊の花びらを「四つ組ぬい」で表現されました(すごい細かさ!)。
菊の陰部分は「菅ぬい」です。いやはや、、、。
花喰い鳥
いよいよ成人式用の筥迫を意識してのデザインです。
正倉院宝物の模様の中から、吉祥文様を私なりの解釈で二点、「
ちょうど クリスマスシーズンだったので、
「花喰い鳥」は「松喰い鶴」の元になった意匠。
成人式用なので、「鶴」は遠慮して 結婚式までとっておきます。
夜桜
鹿と鳥の刺繍が終わりを迎えるころ、季節柄、そうだ!桜だ!
私は、桜はソメイヨシノよりも 赤い葉と一緒に咲く山桜にいとおしさを感じます。
月に照らされて咲き始めた山桜、花は二輪、
月もあと少しで満ちる上弦の月です。
人生のピークはまだこれから、
で、母はこんなにも思いを込めて筥迫を作ったのに、娘からは
「
という理由で すべて却下されてしまいました、、、!
それならと、先日 なんとか椿のデザイン、半襟用も一緒に完成しましたよーー!
今回は娘にも了解を取り付けて(最初からそうすべきでした)、
以上です。
そして 椿のデザインが終わったので、昨日から次は「三段口」と決めて デザインに取り掛かっています。
刺繍の先生には了解を得たので しばらく筥迫作りに没頭できそうです。
また運良く講習会に参加することが出来たら いろいろ持って行きます!
やっと先生
私自身は日本刺繍は貼り込みの仕立てを理解するために始めたので、どうしても仕立て寄りになってしまい、なかなか刺繍に打ち込めない。
周りの人たちからは、そろそろ刺繍はあきらめたら?と言われる始末。
自分はなかなか日本刺繍の筥迫作品が作れなくとも、代わりにままねこさんのように装飾筥迫の作品を作る方が徐々に増えて来たことは夢のようです。
(いつか筥迫作家さんが出てくるのが自分の夢!と昔語っていたような)
小さなところから始めた現代の筥迫という文化が、周りの人の力を借りながら、細く長く、そして広く、続いて行ってくれることを願ってやみません。
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以前、講習会受講のためにいらしたK.Wさん(富山在住)が、東京の某ショップで購入したというアンティークの筥迫を持ってきてくださいました。
ちょっと謎の多い筥迫なので、いつかブログに使わせていただきたいと画像を残しておいたので、今回はこちらをご紹介させていただきます。
型としては「二ツ折小被付筥迫」に可愛い日本刺繍が施されたものです。
何が不思議かわかりますか?
筥迫は「紙入れ」が進化したものです。
二つ折りは紙挟みタイプの紙入れなので、被せというものがなく、いわゆる「胴」の前面、背面という区別です。
その胴の花の向きが天地逆?
更に胴締めを付けると、柄が合わない??
つまり、このような向きで懐中に差し込むのでしょう。
でも紙挟みは「挟む」ものなので、普通に考えて口が上だと思うのですが、、、。
二つ折の場合は、簪は簪挿しごと横から差し込みます(本体に差し込み口がある)。
開くとこんな感じなので、手前の小被せが下向きになるとも考えられない。
アンティークの筥迫の中には、被せ本体と胴締めの柄を合わせると、胴締めの天地が逆転してしまうものがあります。
つまり柄を合わせると、胴締めの巾着を付けた側が上になってしまうということですね(巾着が上からぶら下がる感じ?)。
どうしてこんな間違った筥迫が出回ってしまったのか長年不思議に思っていましたが、ある時、わざとこのように作っていた時代があったということを知りました。
古い筥迫の中にはけっこう多くあるらしいですよ。
筥迫は被せのついた前部分、紙入れの後ろ部分で二層になっているのが特徴で、江戸時代の筥迫は紙入れ部分に縢り(千鳥掛け)はなく、ただ紙を挟みむだけのものでした。
そのままだと簡単に開いてしまうので、それらをまとめるための胴締めは留め具のような役割です。
江戸時代の筥迫は現代のものより数倍大きなものでしたが、豪華な装飾を見せるために半壊中していたのは今も昔も同じ。
筥迫は中に色々なものを収めることができるシステマチックな装身具でしたが、中身の詰まった筥迫を不安定な半壊中にするために、必要に迫られて落とし(巾着)がついたことは想像に難くありません。
当時の筥迫の成り立ちを、以下奥女中の心境を現代語に訳しつつ妄想してみました。
A:私らのハイソな七つ道具が全部入る紙入れってないよね〜
紙入れ師に特注で作ってもらう?
B:なんかあんた好き勝手なこと言ったんでしょ?
これじゃ紙入れっていうより箱だし〜(笑)
A:笑っちゃうよね〜大きすぎて襟から出ちゃうし〜(笑)
B:ここまで見えんなら、もっと派手にデコっちゃいなよ〜
A:でもさすがに重くね?これじゃすぐ落っこっちゃうよ?
B:ここにある巾着ストラップにしてさ、
帯の中で突っ込んどけば動かないんじゃね?
A:ちょ〜頭いい!面白い形になってうける〜♡
おばさん無理して妄想したので、色々な時代のギャル語がミックスしてしまいました(苦笑)。
時代が下がって筥迫がどんどん小さくなり、落としの意味も薄れた頃、下から巾着を覗かせるのは無理があるので(すでに落としの意味も忘れられてた?)、それだったら胴締めの天地を変えたら巾着がもっとよく見えるんじゃない?とかそんなノリだったのかもしれません。
それを考えると、この筥迫も「この向きが絶対にかわいい」と決めて作ったのかもしれませんね。
西洋文化が怒涛のごとく押し寄せた明治維新は、10年あまりの短期間でそれまでの日本固有の価値観がことごとく入れ替わった激動の時代でした。
この明治維新が上手くいったのも(すごく安易な言い方ですが)、日本人の特徴である「新しいものへの強い好奇心」が根底にあったからではないかと私は思っています。
このように、あらゆる価値観を柔軟に取り込んでいたこの明治という時代は、嚢物一つをとっても色々な形状が生み出されました。
ですからこの頃の人は、胴締めの天地を逆にしちゃえとか、開きを下に向けちゃえとか、柔軟に色々なことを考えてたいかもしれないなと思います。
現在にその型が生きていないということは自然淘汰されたからに他ならないのですが、一つの型に統一されてしまった現代では、ちょっとつまらなさを感じてしまうのは私だけではないはずです。
この二ツ折はけっこう素敵な型なので、ぜひ皆さんには講習会で作って伝統を繋げていただきたいと思います。
これだけは間違えないでほしい
ちなみに、筥迫の本来の定義は「狭い箱」です。
現代の筥迫の三つ折りの鏡の部分が箱状で、その上から被せが掛かり、現代の筥迫の縢り(千鳥掛け)部分は紙を挟むだけの形状をしていました(つまり縢りはない)。
現代の筥迫は三つ折り部分に申し訳程度に段口があるのみで、袋物としては体をなしていないような形状です。
このような形状を「あがき」と言います。
ここに「折り襠」と、鏡が「差し込み」になっている型がより本式の筥迫ということになるので、いつか講習会でもこの型を組み込みたいと思っています(仕立てが複雑なので最上級レベル)。
現代の筥迫は、角ばった底部分と、簪挿しの角で全体を箱に見立てているようなものです。
それを考えると、この二つ折は底が角でもなければ、上も角が出るような形状ではありません。
江戸後期の二つ折の紙入れを簡略化した型に胴締めをつけているだけなので箱ですらない。
以前は「巾着を帯に落とすのは本式か否か?!」なんて議論がありましたが、私としては、筥迫を落としてもいいなら好きなだけ巾着を出せばいい(かわいいは正義)、もっと見せたいなら胴締めの天地を逆転すればいい(ポリシーを貫け)、時代の流れで色々な筥迫が出てきてもいい(評価されなければ自然淘汰)、面白い筥迫をもっと見たいとさえ思う。
だけどこれだけは絶対に主張したい。
胴締めのない筥迫はただの「紙入れ」
です。
筥迫は紙入れが進化したものです。
「筥迫は紙入れ」ですが、「紙入れ=筥迫」なワケではない。
私はテレビのドラマはあまり見ない方なのですが、たぶんテレビや映画であの時代の筥迫を忠実に再現して使われることはないと思います。
小道具さんが自作したと思われる簡単な紙挟み(になっているかどうかも甚だ疑問)がほとんどで、アンティークな筥迫が時々使われるぐらいのもの。
あれを見て「打掛を着る時は筥迫の胴締めを外す」と思い込んでいる婚礼業界の人がいることに唖然とすることがあります。
時代の流れの中で、筥迫が本来の箱でなくなっても、胴締めの天地が逆転しても、二つ折りになっても、びら簪が付いていなくても、誰もが筥迫として認識できる形状が「胴締め」の存在です。
最低限「胴締め」がなきゃ筥迫って言わんだろ、と声を大にして言いたいrom筥です。
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今回は日本刺繍「京乃都」の田中京子さんの個展のご紹介をさせていただきます。
Japanese Embridery by Kyoko Tanaka
田中京子の日本刺繍
2017年9月4日(月)〜9月9日(土)
12:00〜19:00(最終日は17:00まで)
アートギャラリー石
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル206号
tel : 03-3561-6565 / 080-5506-6565
田中さんは日本刺繍の作家及び講師として精力的に活動をしていらっしゃいます。
毎年銀座の『アートギャラリー石』で個展をされていますが、今年は刺繍筥迫の登場となりました(2点)。
その他、半襟と帯留めとブラウスを出展予定だそうです。
お仕立ては筥迫工房にご依頼いただきました。
型は三段口扇襠筥迫です。
装飾を目的とする縢襠付筥迫は、主に被せと胴締めの柄合わせで全面にこってりと刺繍を施しますが、実用の三段口扇襠筥迫は「中を開く」ことが目的のため、被せ下や背面にも図案を凝ることができます。
まるで絵本を開いていくかのような楽しさ!
このブログで詳細をお見せすることはできませんが、ご興味のある方は是非田中さんの個展まで足をお運びください。
会場は銀座の『アートギャラリー石』です。
レトロな雰囲気のすてきな建物に、小さなギャラリーがたくさん入っています。
田中さんのお教室「日本刺繍 京乃都」には「筥迫部」もあります。
最近は筥迫部の生徒さんが筥迫講習会を受講されることも増えてきました。
いつの日か自分の手で日本刺繍の素敵な筥迫を作ることを目指してがんばっています。
秋から紙挟みのワンポイント刺繍講座なども予定されているそうなので、ご興味のある方はお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
関西地方の「いち桃」さんにも筥迫部があります。
日本全国の刺繍教室に筥迫部が開設されるようになるとうれしいですね。
筥迫部導入を検討されている日本刺繍のお教室には、筥迫工房としても是非協力させていただきたと思っています。
少しずつ本来の装飾筥迫を作る人たちが増え、この現代にもまた美しい筥迫を生み出すことができるようになったことを誇りに感じ、純粋に喜びを感じているrom筥です。
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今回はAllieさんから依頼された刺繍裂で仕立てた四ツ襠紙入をご紹介させていただきます。
Allieさんは以前もガルーダの紙入れでご紹介させていただきました。
そのときの紙入れはとても気に入って使ってくださっているようで、今回も四ツ襠紙入れをご依頼いただきました。
こちらはAllieさんの義姉さんへのプレゼントということで、義姉さんの好きそうなオーソドックスなデザインで、義姉さんの訪問着の色に合わせて色合を決めたそうです。
内布はお任せでしたが、かなり悩みました。
紙入れともなると内布に柄物を使うことが多いのですが、このようにかわいいピンク地に合わせるとなると、あまり主張が強い物だと表の「オーソドックスなデザイン」を台無しにしてしまいます。
無難に無地(緑系か紫系か)でまとめれば外すことはないけれど、あまりにも主張がなさすぎてもつまらない、、、。
Allieさんのご指定により、あえて小はぜと掛けはつけていません。
ということで、かわいすぎない程度にかわいいこんな内布を選択をしてみました。
被せを開いた時にほっこりする気持ちは多少なりとも狙いたいので、あえてギリギリの選択(懐中袋物だもの)。
紙入れは筥迫と比べると外観に特徴がなさすぎるので、通常は襠にこの内布を使って差し色にすることをオススメしています。
しかしながらAllieさんの義姉さん=大きな子供がいるぐらいの年齢の方?と考えると、更には好みもわからない方にかわいい鹿の子柄なんて使えない。
そのような場合は、襠は表布をそのまま使う方がハズレがない。
表は身につけるその人自身に合わせなければなりませんが、袋物の内布は「羽裏」のような考え方で、年配の人でも派手な〜かわいい〜羽裏は許される。
自分に似合う、似合わないよりも、純粋に好きな柄を楽しんで使う、そんな考え方でよいと思います。
今回のような刺繍物は絶対に表が主役扱いなので奇をてらうような布合わせはしませんが、そうでない場合は「内側の柄を引き立てるための表布」という考え方もあるので、今回はどちらに重きを置くかと考えるのが毎回楽しい。
そのような意味では、江戸型などは表も刺繍ごっちゃり、内布も柄物!という派手派手尽くしにするのがrom筥流。(江戸時代の筥迫で、内布に柄物を使っているは見たことがない)
徹底的に実用ではないものだからこそ、徹底的に作品にしやすいという考え方です。
「布合わせ」は懐中懐中物を仕立てる面白さの一つであることは間違いありません。
仕立ててから、もう少し被せを長くすればよかった、、、と反省。
この型は四ツ襠紙入の「ペン刺しなし」を使っているのですが、「前金具」をつけることを前提にした型紙を使っています。
つまり、金具が引き立つ被せの長さに調整しているということです。
でも金具をつけないなら、あと5〜8mm被せを長くして刺繍面を広くすればよかった。
画像ではちょっとわかりずらいのですが、この表布は地紋があります。
実は表でこの地紋が「被せと柄合わせされている!さすがrom筥さん!」とAllieさんからお褒めの言葉をいただきましたが、ははは単なる偶然です(冷汗)。
そんなところまで気を使える余裕はまだない、、、。
最近は筥迫ではない刺繍の袋物もけっこうご依頼いたくようになりました。
筥迫は未婚のお嬢さん(花嫁含む)というイメージが強いので、ある程度年を経てしまうと礼装で出かけることも少なくなりますし、このようにあっさりした紙入れの方が気兼ねなく身につけられるから好まれるのでしょう。
懐中物は目立つのでその場に応じたTPOを考えるのは必要ですが、こんな紙入れなら派手な主張はしないので安心。
だからこそ人の目にはつきにくい内側に最大限の工夫をして楽しんでほしいと思います。
とはいっても、こんな紙入れを派手に扱うこともできます。
江戸時代は筥迫は特権階級の特別な装身具でしたが、明治以降はこんな紙入れに胴締めを付けただけで筥迫扱いするぐらい、筥迫は庶民のものになりました。
筥迫と紙入れの違いは、広義では胴締めがあるかないか、狭義では二層式の角付きかそうでないかぐらいのものです。
びら簪も持ち出し口に挟み込めばいいですし、びら簪が派手ならば引き出し鏡を加えて、そこにブラや房をつけて入れればいい。
このように懐中物は色々な着せ替えができる柔軟性の高い装身具なのです。
お針子会 日本刺繍作品展
今回作品を掲載させてくださったAllieさんは、私と同じ刺繍教室に通うお仲間です。
私のブログによく登場するつる姫さん、midoriさんも同じです。
刺繍教室の人は比較的ブログ掲載の了承をいただきやすいのですが、今年も二年半に一度の「作品展」の時期がやってきますので、これらの作品も一堂に会します。
私は刺繍に関しては真面目にやっているとは言い難いのですが、なんとか櫛入れ、四ツ襠&扇子入、式部型小物入、江戸型筥迫を作成予定です。
今年は定家文庫のような大物はありませんが、今まで袋物に興味のなかった方々も少しずつ参加してくださるようになったので、細かいものが色々と出ます。
マグロなmidoriさんは日本刺繍の風呂敷(!)を作る予定でしたが、風呂敷に仕立てるにはあまりにも無理があると相談を受け、3箇所あった図案をそれぞれ袋物に仕立てることになりました。
そのうちのメインは若冲の虎。
それをこれから金糸駒取りで平埋めする(和宮さんの袋物を参照)とのことで、それを金風袱紗に仕立てるのが私の仕事。
(平埋めの袋物なんて仕立てたことないので今からドキドキ)。
最近よく袋物仕立ての依頼が来るM.Wさん。
手が早いので次々と作品を作ってくださるのはうれしいのですが、嫁ぎ先が決まっているものばかりなので作品展に並ばないのがすごく残念、、、。
まだご了承いただいていませんが、いつか画像だけでもブログで掲載させていただければと思っています。
マダムKもあいかわらずSD着物で参加です(今回は人形筥迫も付けるらしい!)。
まだご案内はがきはできていませんが、もしご都合のつく方は是非予定を開けておいでくださいませ。
場所はいつもの池袋のオレンジギャラリー(南口出てすぐ!)です。
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第3回 お針子会 日本刺繍教室作品展
2017年 11月11日(土)〜14日(火)
於:ORANGE GALLERY(池袋)
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私もこれから作品展に向けて必死に刺繍に励みます!
(予定のものが全て仕上がるかは神のみぞ知る、、、)
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なんだかすっかり忘れていましたが、2015年5月に行われた「お針子会日本刺繍教室作品展」に展示したきりぎりすの筥迫をご紹介させていただきます。
なぜって、秋が終わってしまうから!(もう終わっている?)
この筥迫は、この作品展の自分の作品の中では、最もメインに据えていた筥迫です。
作り上げて展示してしまった後はすでに忘却の彼方、、、そして今に至る(汗)。
こちらは三段口扇襠筥迫で仕立てています。
一般的に「ザ・筥迫」といえば縢襠付筥迫が圧倒的なイメージです。
びら簪を入れるための簪挿しが頭にど〜んと乗るために、図案が「被せ」+「胴締め」のみにきっぱりと分れてしまう。
パーツがたくさんで、刺繍よりもその形状が印象的です。
それに比べて三段口扇襠筥迫は紙入れに近いので、簪挿しもなく「天面」までしっかりと刺繍が入るので、刺繍をする者にとっては表現の幅がぐっと広がるわけです。
更には「底面」まで柄を繋げられるという守備範囲の広さ。
被せのRを鋭角にしているので、「被せ下」まで柄合わせする必要があり、表現の幅は更に広がります。
まぁ立体的に刺繍で遊べるというわけです。
着物や帯は平面表現ですが、筥迫はページをめくっていくように表情を変えることができる立体表現で、これが筥迫装飾の楽しさなのです。
それがこの小さい面積で展開するのですから、乙女心がくすぐられること、くすぐられること(かつての乙女ですが)。
こちらの表地は古い紬のハギレを使っているのですが、その様子は以前のブログでもご紹介しているのでそちらをどうぞ。
まぁ私が刺繍が頭がいっぱいになることなんて、作品展のときぐらいしかないのですが(笑)。
仕立てに関しては、内布は相変わらずの縞柄を使いたかったのですが、被せを開いたときの刺繍と対になる部分は縞柄は合わない。
そこで、ちょっとわかりづらいですが、被せ裏は「黒」を使っています。
黒といっても、少しでも反射してしまう布だと黒が黒らしく見えない。
あくまでここに「真っ黒」を使うことで、この筥迫のイメージにつながるので、この真っ黒の布を探すのもまた苦労しました。
派手な「虫籠」は右に配し、主役のきりぎりすは風景の中に溶け込むようにするというのが、この図案のこだわりです。
基本的に筥迫の図案というのは、襟元から出る左部分をメインに柄を配するものなのですが、三段口扇襠筥迫は、普段着の着物や、年配の人でも違和感なく懐中することができるようにと作った型なので、外に出る部分に赤い紐が見えたらおばさん(私)はちと恥ずかしい。
そこでこのように派手をわきまえない好き勝手な柄は、見える部分には配しません。
メインのきりぎりすも、ダイレクトに虫感が伝わると気持ち悪いので、リアルでありながら影のように使うことで目立たなくしています。
もっとうまい人が刺繍をしたら私の言いたいこともはっきりと伝わるものでしょうが、残念ながら私の刺繍の腕前はあくまで趣味の域。
文章で補足しないとうまく伝わらないのが悲しいところです。
キリギリスについて
私は虫が嫌いです。
でもデザインとしての「虫」は好き。
さすがに虫メインにするのは何なので、真紅の組み紐を付けた美しい虫籠がメインに見えるように(しかしあくまで主役はきりぎりす)。
そして虫籠に入れる虫といえば「バッタでしょう!」とバッタの画像を検索したのですが、ん、ん、、、???
私のイメージしていたバッタはこんなずんぐりしている子じゃなくて、もっと触覚がぴーんと長くてカッコイイやつ。
調べてみると、それはキリギリスというヤツでした。
これまでの私の認識では、バッタ(和名)、キリギリス(英名)だと思っていたよ、、、。
似ているようで違うこの二つの科を判別するのは、
(バッタ) 触覚が短い、目が大きい、昼に活動
(きりぎりす)触覚が長い、目が小さい、夜に活動
バッタは比較的草食の種類が多く、雑食のキリギリスはより肉を好むということもあるようです。
言われてみれば、仮面ライダーがきりぎりすじゃないのは一目瞭然(笑)。
あとは鳴き声。
鳴く虫といえばきりぎりすらしいのですが、実際はバッタも音を出すようです。
でもそれは「足をすり合わせる」音であって、鳴く虫には分類されていないようです。
きりぎりすは「羽をすり合わせる」ことによって複雑な音を出すので、鳴く虫に分類されるのだとか。
日本人はこれらの音を「鳴き声」といいますが、西洋人は「音」それも「雑音」としか認識しないといいますね。
日本人は虫の鳴き声を言語と同じ左脳で捉え、西洋人は音楽と同じ「右脳」で捉えるかららしいです。
日本語環境の中で育つと、虫の声はセンチメンタルな気分になるものですけどねぇ。
「きりぎりす」と「こおろぎ」
「キリギリス」が自分的に「英名」と認識してしまったのは、ひとえに「カタカナ」で表記していたからだと思うのですが、実際には百人一首にもすでに登場しています。
きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣片敷きひとりかも寝む
そういえば、こんな句ありましたね(今更記憶が蘇る)。
つまり「ひらがな」で表記すればいいのだよ。
しかしながら、この時代のきりぎりすは「こおろぎ」のことだとか。
ではこの時代、きりぎりすのことを何と呼んでいたか?
古語辞典によると
きりぎりす【螽斯】
虫の名。今のこおろぎ。
<注意>
今のきりぎりすとは別物。
今のきりぎりすは、平安時代には、その鳴き声が機織(はたお)りの音に似ているところから、「機織り」「機織り女(め)」といった。
そしてこおろぎは、秋鳴く虫の総称であったらしい。
だそうです。
「機織り女」とはまた風流な。
ちなみにきりぎりすの英名は「long-horned grasshoppers」つまり「触覚の長いバッタ」。
そのまんま、情緒なし(笑)。
「キリギリス」と「セミ」
ところで、キリギリスといえば「アリとキリギリス」を思い浮かべる人も多いかと思いますが、イソップ童話の原題は「La Cigale et La Fourmi 」つまり「アリと蝉」なのだそうですよ。
イソップは紀元前の人なので(知らなかった)、口伝で伝わっていったことにより、蝉があまりいないヨーロッパの方では、地域によってトンボ、コオロギ、キリギリスに変わっていったとか。
そして、キリギリスは食べ物もなく死ぬというのが一般的で、蟻に救済されるという結末は日本とスペインだけらしい。
蝉曰く「歌うべき歌は、歌いつくした。私の亡骸を食べて、生きのびればいい。」
非情、、、(泣)。
蝉がいない地域の人が日本の夏に来ると、あのすさまじい蝉の声にびっくりするそうです。
確かに蝉の声は大きくなるほど暑っくるしいですが、私は「あ〜夏!」という気分になります。
蝉の声とともに、近くの公園のジャブキャブ池から聞こえる子供たちのはしゃぎ声は「あ〜夏休み!」という気分にもなります。
でも最近はこの子供たちの声が「雑音」に聞こえる人が多いらしく、保育園建設のネックになっているそうで。
日本人が子供のはしゃぎ声を右脳で捉えるようになってきたってことですかね。
▼筥迫工房のお店
▼筥迫掲示板
筥迫工房の教本や自慢の細工物を、皆さん自身で披露できる掲示板です。写真のアップロードが簡単になりました(一回の投稿で6枚掲載可)。丹誠込めて作った筥迫を大勢の人に見てもらいしましょう!
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