『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
改訂版『婚礼用和装小物の作り方』をやっと印刷に出したものの、教本内で解説している懐剣用の「切り房」について書いているので、しかたなくネットショップでひっ散らかっていた飾り房の「色材料」を整理しました。
ずっと逃げ回っていたけれど、今やらないとどうにもならない(ネットショップが迷路すぎる、、、)。
筥迫作りというのは、筥迫本体を作ったからといって終わる訳ではなく、もう一つの山場として「飾り房」「落とし巾着」というものがあります。
筥迫にはこの「飾り房」が切っても切り離せません。(最近の婚礼用筥迫にはこの飾り房が消滅する理由がわからなくもない)
どんなに面倒でも、筥迫にはこのじゃらじゃらとしたうざったいまでのびら簪や飾り房が必要なのよ!
初めの頃は「撚り房」なんて用意できなかったので、なんとか自分で揃えられる「切り房」オンリーでやっていました。
切り房のメリットは、自分で好きな色、サイズ、長さで作ることができることです。
ただし、正直なところ作るのはそれなりに面倒です。
最近はもっぱら出来合いの房を取り付けるだけでできる「撚り房」をお勧めしているのですが、やはり色物の飾り房が作りたい人はいるので「切り房」は残さなければなりません。
そのため切り房の「色数」はかなり揃えているつもりです。
(女性というのは色数が揃っていることに萌える生き物なのよ)
しかしこの色材料は、筥迫用打ち紐、筥迫用切り房、筥迫用縢り糸、緒締め玉、懐剣用打ち紐、懐剣用切り房と、これらの全てで色を揃えなければなりません。
色をたくさん揃える難しさは全てが同じ条件でないということで、それらの組み合わせをどう説明するか、これがなんと言っても難しい。
そしてネットショップ上の管理と、実商品の管理がものすごく大変だということ。
色も出る色、出ない色があるので、これまで廃盤にしたり、新たに入荷したりを繰り返してきたので、ネットショップがすごくわかりずらくなっていたのですが、どうすることもできずに放置せざるを得ませんでした。
しかし今回意を決して、バイトのSさんにも手伝ってもらってなんとかまとめました。
(これ一人で絶対にできない作業、、、泣)
「房糸」はこれまで色が揃わないものは「手縫糸」で代用したりもしていましたが、今回からは1色(珊瑚)のみ残して他は廃盤にし、珊瑚は私が染めることにして、手縫糸は全て扱わないことにしました。
(仕入れや管理の手間よりも、自分で染める方が気分的にラク)
ネットショップ トップページ
筥迫工房のネットショップを始めてからすでに10年以上は経っていますが(書いていてびっくり)、デザインテンプレートを変えていない。
世はスマホ時代なのに、相変わらず始めた当初のPC向けフォーマットを使い続けているので、ほんと見にくいデザインで皆様には申し訳ない限りです。
毎年、今年こそはスマホ対応デザインに変えよう!と決意するのですが、実際にやろうとするとあまりにも気の遠くなるような作業になるので、ついつい先延ばしして今に至っています。
おかげで、自分でさえ何がどこにあるのかすぐには探せないという情けない状況。
ということで、新しいショップデザイン変更がいつにかるかわからないので、とりあえず力技でトップページに全て集約することにしました。
トップページを開くと、いつものこの画面が出ると思います。
これをそのまま下にスクロールした先に「全商品 リンク一覧」を作ることにしました。
このテキスト部分が各商品ページにリンクしています。
視覚的にわかるので、すぐに欲しいものが探せるのではないかと思います。
さらには、こちらの「色材料対応表」も作りました。
こちらの表にリンクしております。
ここはそれぞれの「色太字」で材料ページにリンクしています。
とりあえず、これでどうにか少しはわかりやすくなったのではないかと、息切れしながら今このブログを書いています。
は〜。
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今回は「撚り房」のご紹介です。
これまでの「紅」「白」「紅白金」の3色に加え、「金茶」が増えました。
そして、なんと!以前よりずっとお求めやすい価格になりました!
詳細はこちらからどうぞ →(撚り房 筥迫用:大人)
撚り房、切り房
久々に「房」の話を書くので、新しい人のために今一度房の復習から。
房には「撚り房(よりふさ)」「切り房(きりふさ)」の二種類があります。
(房作りに携わる職人さんたちは「よりぶさ」「きりぶさ」と濁るようですが)
上が切り房で、下が撚り房ですね。
「切り房」は、糸をまとめて房を作り、最後に長さを切り揃えます。
糸を用いて自作できるので、好きな色で作ることができるのが利点ですが、糸の素材は木綿糸やアクリル糸を使うと糸が塊で動くので綺麗ではない。
筥迫飾り房は胸元でサラサラとした動く軽さが美しいので、レーヨンか絹糸を選びます。
対して「撚り房」は、専門の業者さんによって作られたものです。
糸を撚ったものを更に「撚り返す」ので、先端がループ状になっているのが特徴です。
先端がほつれないことで耐久性があり、見た目にも重厚感があります。
難を言えば、あくまでも既製品なので、決められた色の中でしか選べないのが難点です。
「切り房」は頻繁に使うと切り口がほつれてきてしまうので、ときどき使うものか、装飾品など、かなり気を使って使うことになります。
ですから実用で頻繁に使うものなら「撚り房」を使います。
また、念珠などの撚り房は色も豊富でいいのですが、筥迫で使うものとは形が違うので要注意。
房の頭というのは使うものによって形状が違うのです。
念珠房は、房に対して覆い被さるような形状。
筥迫房は、頭よりも房のヒップの方が張り出している形状で頭は限りなく小さい。
手芸店でも撚り房の扱いはありますが、サイズの選択肢は少なく、なにより「頭が小さく、腰が張って、房が長い」という筥迫房のバランスでは作られていないことから(市販のものは頭が大きすぎるのよ!)、私が筥迫を作り始めた当初は必然的に「切り房」一択しかありませんでした。
しかし、アンティークの筥迫のほとんどは「紅白金の撚り房」が付けられています。
これぞ「ザ・筥迫飾り房」!
それから数年後、意を決して専門業者に筥迫専用の撚り房を発注するに至るのですが、筥迫の場合は「筥迫(大人用)」「筥迫(子供用)」「懐剣用」という3サイズを「色数」分作らなければなりません。
当初はたくさんの量を注文できなかったので、必然的に値段を高くせざるを得ませんでした。
筥迫材料セット
筥迫の教本の第二版を作った際に、「筥迫材料セットC」(筥迫が一つ作れるだけの材料をセットにしたもの)に、撚り房を選べるようにしました。
「筥迫材料セットC」を購入する方は圧倒的に「花嫁さん」が多く、それもなぜかお式の直前に気が付く人が多い(なぜだ、、、)。
そんなことから、結婚式直前の忙しいときに少しでも負担を減らすことを考え、「筥迫材料セットC」には出来上がりの「撚り房」を選択肢に入れました。
案の定「撚り房タイプ」を選んでくれる方が増えたのは喜ばしいことでした。
それと同じぐらい「筥迫飾り房(完成品)」を選ぶ人も増えました。
こちらは巾着結びの「二重叶結び」までついているので、制作時間はかなり短縮されます。
この細い打ち紐で二重叶結びを作るのは大変で、講習会のときも一番時間を取られていました。
ちなみにこのセットを買うと、教本にある飾り房の「結び」と「切り房」の作り方、合わせて約3.5ページ分が全て割愛されます(房を作るのってなんて大変!)。
これで「撚り房」の需要があるとわかったので、この度思い切って仕入れを多くして、価格を下げることにしました。
これには色々な条件が絡み合ってできたことではあるのですが、これまで使っていた切り房用の「房芯」の原価が上がり、房芯が値上がりしたことも要因の一つです。
これによって「切り房」を作ることと「撚り房」を使うことに、それほど値段的な差がなくなってしまったのです。
こちらの撚り房を買ってくれる人が増えれば価格も安定するので、「まとめ買い」でよりお得になる価格も設定してみました。
数をまとめて更にお得な →(撚り房 まとめ買い)
まとめ買いは「色をミックス」して注文することもできますので、撚り房を使ってくださる方が増えることを願っています。
(ただし大人用と子供用など、サイズが異なるものはミックスできません)
もちろん「筥迫をとことん作りたい!」という手作り派の方には、材料も道具もふんだんに揃った「筥迫材料セットD」(豊富な材料と便利な道具一式のお得なセット)をお勧めします。
筥迫材料セットDでは「切り房」か「撚り房」を選べるようになりました。
(こちらは手作り派のためのセットなので、完成品の選択はありません)
更に「切り房」は「18色」から!撚り房は上記「4色」から選べます。
以前は自分一人で注文発送までやっていたので、材料セットの色の選択までは大変すぎてできなかったのですが、最近バイトに入ってくれたSさんがガンガン仕事をしてくれるので、Sさんがいれば出来るかも!と思った次第です。(Sさん頑張って)
懐剣房
そして、上記「筥迫用」に加え「懐剣用」も全色揃っています。
こちらも少々値段は下がっていますので、是非、筥迫とお揃いで懐剣にもチャレンジしていただければと思います。
こちらは単品販売(懐剣なので2個組ですが)ですが、上記のような出来上がった「懐剣用飾り房(完成品)」もあります。
筥迫とお揃いで懐剣袋を作るなら「懐剣材料セット」があります。
こちらは「切り房タイプ」「撚り房タイプ」「懐剣用飾り房(完成品)」から選べます。
「筥迫」を作るのが大変なのはしょうがないとして、懐剣袋はミシンでチャチャっと作れるので、房も撚り房の完成品を買ってしまえば懐剣は比較的楽にできると思います。(切り房の懐剣房を作るのはかなりの手間なので)
とにかく初心者が筥迫にチャレンジする際は筥迫本体だけに集中出来るように、房はできるだけ「撚り房」を使うことをお勧めしたいです。
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長年の懸案だった筥迫飾り房の「房芯」がついに完成しました!
この筥迫飾り房の中で新しい「房芯」が使われています。
この房芯を開発してくれたのは、最近工房に頻繁に出入りするようになったLちゃん。
仕事で使っている3Dプリンターで何かお手伝いしますよ!と言われたので、すかさず「房芯!爪!」といったところ、快く開発に協力してくれました。
当初は簡単な「爪」から着手したのですが、途中から急を要していた「房芯」がメインになり今に至ります。
最近では以前は考えられなかったことが色々な場面で実現することが増えてきました。
物作りをして年月を重ねるということは、技術的にできることが増えてくるのは無論のこと、その年月の中で出会った人たちからの協力で成し遂げられた事がいかに多かったかを痛感します。
(今回は房芯を作ってくれたLちゃんに心より感謝!)
切り房作りとの戦い
自作の筥迫作りの場合は、飾り房は「切り房」を使います。
「切り房」というのは糸をそのまま束ねて好きな長さに切りそろえたもので、細く繊細に揺れる房のこと(タッセルは綿糸を使う事が多いので、あまりサラサラ感は重要視されていない)。
「撚り房」というのは糸を数本まとめて撚ったものを、更に撚り返して太く頑丈な糸にしたもの(撚り返すので糸の先はループ状になりほずれないこと、切り房のようにすぐにヨレヨレにならない)。
当初はタッセルのように木玉を使うことも考えましたが、既成のものはサイズ感、フォルム感とも帯に短し襷に長しでどれもイマイチ。
そのため筥迫作りを始めた当初は切り房の中に「ティッシュ」を巻いて筥迫に適した房形状に作れるようにしていましたが、あくまで自分で形を作らなければならないため、筥迫作りは得意でも房作りは苦手!と公言する人は少なくありませんでした。
その後、新しい改訂版では「樹脂粘土」を使う作り方に変わりましたが、自然乾燥で固まるタイプを使ったため、季節やその場の環境の違いで一定の時間が計れないこと、お客さんの手元に渡るまでの間に乾燥してしまったりという事態が発生しました。
またしても慌てて房作りの改良に追われる日々。
房作りの戦いは続くよどこまでも、、、(涙々)。
そして今年に入ってからは、あらかじめ私が房芯を樹脂粘土で作ったものに糸を巻いて形作るというパターンに変更されました。
これでやっと上手く行くかも!と思った矢先、同時進行で開発を進めていたLちゃんから「房芯の試作が出来たので見てください!」との連絡が。
(あゝこれでやっと房作りの呪縛から開放される、、、感涙)
すでに教室の生徒さんたちはこの房芯を使って飾り房を作っていただいています。
以前の作り方を知っている人たちからは「自分で形を作らなくていいので簡単!」と好評価をいただいております。
これは実際に生徒さんに作ってもらっているところ。
房糸と打ち紐を差し込み、最後に軸に打ち紐を巻くので、少しめくれ上がっても違和感はありません。
『房頭』こだわりのフォルム
私には袋物細工を教えてくれる先生がいなかったので、参考とするものは昔の筥迫、嚢物、工芸品しかありませんでした。
そのため、これまで山ほどの袋物のサンプルを集めてきたのですが、その中にたった一つだけ「切り房」で作られた筥迫が混ざっていたことがありました。
筥迫の飾り房のほとんどは「撚り房」だったので、それがやけに目についたんですね。
何がそれほど私の目を引いたのかといいますと、それは不自然なほどぺったんこな「房頭」の形状でした(房頭=房を締めている糸の上部分)。
以降その独特なフォルムが気になって、あらゆるところで昔の房を見かけるとその形状を確認せずにはいられなくなりました。
見よ、この扁平な房頭を!
どうしてここまで扁平にしようと思ったのか、タイムマシーンがあるのならば昔の職人を小一時間問い詰めたい(笑)
江戸時代以前の調度に使われている房のほとんどはこのような「切り房」ですが、明治以降になると圧倒的に撚り房が多くなります。
明治以降の筥迫に添えられた撚り房には、残念ながらこの扁平な房頭は全く残っていません。
しかし定家文庫は明治以降になっても扁平な形状の房頭を使っているものが多く残っています。
これはあくまで定家文庫が伝統を重んじる京阪文化だった故と思っています。
このようなことから、今回3Dプリンターという文明の利器を得て、やっと自分の理想とする完全なフォルムを再現することができると思ったのも束の間、実際にLちゃんが忠実に再現してれた試作を見て、「なつめ型」の房頭に慣れ切った現代人の眼にはあまりにも不自然に感じるのではないか?と考えてしまいました。
結局、現代人にぎりぎり馴染みやすい厚みで作り直してもらい、この形に収まりました。
しかし私に扁平なサンプルばかり見せられ続け、すっかりマインドコントロールされてしまったLちゃんは、この結果にちょっと残念な様子でした(苦笑)。
新しい房芯は三種類
作ってもらった房芯は三種類あります。
「教本」の型紙で筥迫を作られる一般的なサイズ、教室で「中級以上の大型筥迫」を作るためのサイズ、三歳、七歳用サイズです。
5個セット、10個セットもあります。
この房芯は「軸」と「輪」の二つの部品から成り立っています。
軸のところに薄っすら刻印があります。
(初めの方は刻印のないものが混じりますが、その場合はマジックで印を入れておきます)
これをサイビで止めているだけなのですが、実は輪の位置を上下に調整することによって房頭の厚みを微妙に変えることが出来ます。
1〜1.5mmぐらいの差ですが(苦笑)。
そのため中級用(M)の房芯はバラバラの状態で販売しますが、教本で一人で筥迫を作る方のために、初級サイズ(B)と子供用サイズ(7)は合体した状態で販売致します。
この房芯の使い方はショップの房芯の販売ページで簡単に説明していますが、カート「種類」の一番下にある「教本差替資料」は、教本の房の作り方(P14、15)の2枚分を差し替えられるようプリントアウトしたものです。
プリントの方がより詳しく解説されていますので、必要な方は一緒にご注文ください。
これまで教本での筥迫作りで材料セットC(一個だけを作れる材料)の「切房タイプ」の購入を迷われていた方は、これで房作りの山場は富士山から高尾山ぐらいのレベルにはなったと思うので(笑)、是非この機会に筥迫作りにチャレンジいただければ幸いです。
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※時々ショップからのご注文確定メールが届かないことがあります。
そのような場合も、こちらからご連絡ください。
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しばらく販売中止にしておりました「撚り房」(単品)を販売再開することにいたしました。
ネットショップがあってこそ
筥迫工房のネットショップでは、筥迫を手作りする人たちを支援するための材料販売をしております。
ここで売られている材料で、筥迫用に作られている物は「びら簪」ぐらいしかありません。
その他は、私が筥迫に適しているものを一つづつ吟味して時間をかけて探しに探しまくった材料です。
それでもあまりにも適切なものが見つからなくて、特注で作ってもらっている材料などもあります。
最近はこのような和の房も既製品がけっこう出回るようになりましたが、筥迫用の撚り房は頭が小さくて房が長いのが特徴なので、既成のものではバランスが悪い。
ということで、この撚り房も特注で作ってもらっているものの一つです。
筥迫の教本を作るより何より、この材料探しというのが一番労力を使います。
材料探しの迷宮に陥ると膨大に時間を費やすことになるので、正直私にとっては大きな足かせでもあるのですが、それでも材料が揃っていてこそ成り立つ筥迫作りなので、ネットショップがなかったらたぶんこんなに筥迫を作る人は増えなかったことでしょう。
インターネットの普及は、これまでの世の中の仕組みを一大転換させました。
特に宣伝などしなくても「筥迫」というキーワードだけで検索して日本全国から人が来てくれます。
ネットショップが可能になった世の中だからこそ、私のようなものが筥迫なんてものを仕事にできるのだということを痛感せずにはいられません。
だけど面倒もたくさん
ネットショップがありがたいと思う反面、予想もしなかったことが次々とおき始めるようにもなりました。
筥迫(もしくは貼り込みの袋物)のために始めたショップなのに、最近では筥迫を作ることと全く関係のない人たちからの問い合わせに大きく振り回されるようになりました。
想定もしていないものに使われ、それがうまく使えなかったりすると色々と言われたりするので(しらんがな)、今はその対応が一番の悩みどころです。
商品説明に「本来の用途とは違う使い方をされる場合の保証はできません」等々の長い免責事項を見かけますが、書きたくなる気持ちは痛いほどよ〜〜くわかります。
自分の使いたいことに適していてほしい!という思いは、常に筥迫材料を探し回っている私としては共感しなくもないのですが。
「このびら簪を髪に付けたいのですが、なんとかできませんか?」
「これは筥迫専用に作られたびら簪なので、頭髪用には使えません」
「でもこの形が気に入っているので、何とかできませんか」
「筥迫以外に使ったことがないのでわかりません」
「どうやったらできそうですか?」(以下ループ)
トップページから来てさえくれれば、ここが手作り筥迫のための材料販売をするショップだということがわかるとは思うのですが、検索エンジンからダイレクトに商品ページに来る人にとっては、簪といえば「髪につける飾り」以外の発想ができないのでしょう。
そのようなことを想定して各々のページを作る必要はあるのでしょうが、この大量のページでそれぞれ起こりうる事象を想像しながら免責事項を書く、そんなことに時間を費やすのもほんとバカらしい。
筥迫(または袋物)を作る人以外は来ないでとも言えないので、そこが悩ましいところです。
房の販売は特に面倒が多い
そんな中で、最も手を焼いてきたのが「房」の材料です。
筥迫にとって、房はいわば脇役のようなものであり、貼り込みとは全く違うカテゴリーのものです。
江戸期の筥迫には房は必須ではありませんでしたが、維新後の筥迫にとっては必須の存在になってしまったことから、いわば二時的に扱っているようなものです。
特に「切り房」や「打ち紐」は色数が多いことから、最も手間がかかるのに儲からない材料の代表格です(とほほ)。
ところが近年は「タッセル」目的で房糸を注文する人が出てきました。
予想もしない色をまとめて注文されると、仕入れがけっこう面倒なんですね。
房を専門に扱っているわけではないので、このようなことにばかり手間がかかって時間を取られるようになると、大変申し訳ないのですが「在庫切れ」という扱いをさせていただくこともあります。
実際には在庫していることもありますので、在庫切れ状態が続いているときはとりあえずお問い合わせください。
ただし「切り房の完成品」は今後も販売はいたしません。
これはもう書ききれない事情があり、手を出さないのが一番という結論に達しました。
「懐剣用の撚り房」はぎりぎりクリックポストで送ることができる厚みなのですが、緩衝材などで保護するとサイズオーバーになってしまいます。
クリックポストで緩衝材に包まないで入れればクレームが来る、緩衝材に包むと「はこBoon」で発送することになるので送料が高くなったとクレームが来るという状況で、これも扱いが面倒で販売を停止していた理由。
しかしこれでは房を作れないで困っている人の逃げ場がないので、懐剣用の撚り房に関しては、緩衝材に包んで「はこBoon」発送に統一することで販売再開することにしました(筥迫用の撚り房はクリックポストで発送できます)。
このような事情により、純粋に筥迫を作りたい方には諸々ご迷惑をおかけしますが、どうかご理解いただけますようお願い申し上げます。
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筥迫工房の教本や自慢の細工物を、皆さん自身で披露できる掲示板です。写真のアップロードが簡単になりました(一回の投稿で6枚掲載可)。丹誠込めて作った筥迫を大勢の人に見てもらいしましょう!
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