『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
筥迫に見る日本の紅白文化
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    今回はショップで販売開始した筥迫の内布で使う「赤布」のご紹介です。

    二種類の材質の布を筥迫らしい赤色に染めてもらいました。

     

    今時はなかなか綺麗な赤がないんですよ。

    これまでも色々なところで筥迫に使える赤布を探しまくっているのですが、どれもこれも私がイメージする赤じゃない!(怒)

     

    最近やっと赤布を染めてくれるいいところに辿り着き、ついに赤布を探す旅に終止符を打つことになりました(やったー!)。

     

    しかし筥迫なんて使う量が限られているので、一反染めてもらっても持て余すだけ。

    以前はそれで余った赤布を販売したこともあったのですが、一般に売られている布を通常の価格で染めてもらっても儲けが出るわけがない。

    今回はそれなりのところにそれなりの量で頼んだので、まぁ皆さんに買っていただければ、今後も販売は続けられると思いますので、機会がありましたらどうぞご利用くださいませ。

    (以下タイトルからリンクしています)

     

     

    A. 筥迫内布用 綸子本紋紗綾形<赤>10cm単位

    筥迫にちょうどよい大きさの本紋を選びました。

    筥迫の横幅の中に、花文様がきれいに3箇所入ります。

    新品ではありますが、ちょっと難ありな布を販売できる価格で染めてもらっているで、横2cmぐらいのところに折り目が入ります。

     

    10cm単位での販売です。

    幅が37cmなので、筥迫だけ作るなら40cmもあれば十分。

    懐剣をつけるなら50cm。

    50cmあれば赤の「玉縁」分も取れます。

    ※講習会で作る中級筥迫も同サイズですが、玉縁はギリギリ取れる感じです。

     

    B. 筥迫内布用 精華パレス<赤>10cm単位

    上の綸子と同じ調合で染めてもらっているのですが、綸子は紋に光が反射するので鮮やかな感じで、この精華パレスは反射がないのでもう少し落ち着いたマットな(2019.5.12)色合いです。

     

    アンティークの筥迫などは、表布と同じ塩瀬を使っているものが多いのですが、塩瀬は横の畝がはっきりしているので、これが曲がらないようにホットメルト紙を貼るのに気を使います。

     

    ということで私は通常この精華パレスを使っています。

    要は八掛地ですが、今時こんな鮮やかな八掛地はないのでやはり染めてもらわけなれば手に入りません。

    玉縁にも使える薄さですが、仕入先担当者曰く「モノはいい」らしいので、薄くてもしっかりした感じで、正統派内布といった感じです。

    (そのうち「白の玉縁用」の精華も仕入れるつもりです)

     

    これでやっと筥迫の赤布探しのストレスがなくなると心晴れ晴れのRom筥です。

     

     

     

    赤は難しい

     

    赤布なんて染めてもらわなくても、紅絹(もみ)や昔の襦袢がハギレでたくさん売っているじゃないと思われる方も多いと思いますが、いやいやこれを筥迫に使おうと思うとそれぞれ難があるんですよ。

     

    まず袋物に紅絹は薄すぎてお勧めできません。

    特に古いものは目打ちでスジを入れるだけで切れてしまいます。

    力留めしようと思っても、力留めに耐え切れず留めているそばから裂けてしまいます。

     

    昔の赤の襦袢は「地紋」が予想外の厚みになってしまうことが多く、襠物の袋物には特にお勧めしません。

     

    それと私には赤い襦袢地に痛い記憶が、、、。

     

    以前、お客様からのご依頼で白の筥迫を作っていた時、さあ出来たと最後に胴締めを本体に差し込んだところ、白の被せに胴締めの裏に使った赤布が擦れて薄っすらと赤色がついてしまったのです。

    運良く消しゴムでこすっただけで落ちましたが、即現代物の赤布に貼り替えました。

    あの時の怖さは忘れられません。

     

    その時に赤という色は堅牢度が低いことを知りましたが、擦っただけでここまで簡単に色落ちするとは思いもしませんでした。

     

    仕入先の担当者曰く、昔の灰汁媒染(あくばいせん)で染められていた物よりは今の化学染料の方が落ちにくいが、赤の中でも鮮やかな色に染めた場合は検品している段階でも手が赤くなるとのことでした。

     

    「赤は止まらない」と何度も言っていました。(なんかイケイケGO!GO!な感じですね)

     

    今回染めたものはそれよりも少し落ち着いた色ですし、仕入先には初めから「赤は色が落ちるから怖い」という話を何度もしているので、いつもよりは慎重に扱ったとのこと。

    普通に扱うぐらいなら簡単には落ちないだろうとのことです。

     

    そんなわけで、私は婚礼用の白の筥迫に限っては、内布に昔の赤布を使わずに今時の赤を使うようにしています。

     

     

     

    日本人と紅白文化

     

    一般の方からのお仕立てを請けなくなったので、私も最近は筥迫を作る機会が少なくなりましたが、それでも時々こんな赤の内布で筥迫を作ると、筥迫作った〜!という気持ちになります。

     

    元々の発祥である江戸時代の筥迫は、別段、内布に赤を使う決まりなどありませんでした(どちらかといえば紫とか金茶とか?)。

    現代の筥迫のように内布に赤が使われるようになったのは、維新後に筥迫が花嫁の装身具に特化した使われ方をしたためですね。

    黒の振袖、白の筥迫、赤の志古貴というのが、昔の花嫁カラーでした。

     

    現代で私たちが作る筥迫にはどんな色の内布を使ってもいいとは思うのですが、それでもやはり花嫁の筥迫に白を使うなら赤の内布は変えがたい。

     

     

    以前「外国人が日本に長くいすぎた…と実感するとき」というのがネットで流行っていましたが、その中で

    「赤の反対が白なんだと思い始めるとき」というのがありました。

    そのぐらい日本人にとっての紅白は馴染み深い組み合わせです。

     

    紅白の始まりといえば源平合戦で、源氏は白旗、平家は赤旗を用いました。

    現代で運動会で紅白に分かれて戦うのも、ここから来ているようですね。

     

    もちろん日本の国旗も紅白。

    今から1300年以上も前のこと、天武天皇が新年に白地に赤丸を描いた旗のようなものを掲げたことが始まりとされているそうです。

     

    紅白は「人の一生」「ハレとケ」を表しているとも言われています。

    生はエネルギーの源で赤ちゃんの赤、白は死や別れを意味しているのだそうです。

     

    面白い説として、室町時代に中国は日本向けの品物に目印として紅白の紐をかけていたのを、日本人は「献上品に紅白の紐」と受け取ってしまった。

    それが紅白の水引のルーツになったということです(ただの目印だったのにね)。

     

     

    最後に「紅白は花嫁衣装からきている」という説ですが、私はこれまで、白無垢に赤い色が添えられていることを「現代人は白無垢じゃ味気なくて色を入れているんだな」ぐらいに思っていました。

     

    実際には白無垢には、白で統一する「白無垢」と、赤いふきのついた「赤ふきの白無垢」というものがあるということを今知った、、、(現代では色々なふきが使われているそうですが)。

     

    赤ふきの白無垢が使われ出したのは幕末頃とのことで、やはり筥迫にとっての紅白使いは「赤ふきの白無垢」に影響されていることは疑いようもないようです。

     

     

    赤という字には、多くの言語で「血」か「火」の色のどちらかの言葉から派生しているのだそうです。

    日本では赤という字は人が火を用いて穢れ(けがれ)を祓っている形とされ、邪悪なものを寄せ付けない魔除けの色として使われてきました(これも世界に共通した特徴だそうです)。
     

    筥迫の閉ざされた内面には、この魔除けの「赤」と同じく邪気を払う「鏡」が使われていますし、その相乗効果で相当強力な邪気が払えるということですね。

     

    お嬢さんのハレの日の筥迫には、どうぞ魔除けパワーがふんだんに込められた筥迫で送り出してやってください。

     

     

    (追記 2019.5.13)

    花嫁筥迫が「魔除け」というのは私が勝手に言っていることで、昔から伝えられているというようなことではありません。

    私的に筥迫の初めの印象が「不思議な形」→「中どうなっているの?」→「開けるの難しい(どうやって開けるの?)」→「中が赤に鏡!」→「この飾り(びら簪)なんの意味があるの?」→「怪しい!」というイメージがあったんですよ(笑)。

     

    実用だった江戸時代の筥迫から、維新後に形骸化されていった中に、期せずしてこの魔除け的なイメージが入っていったんじゃないかというRom筥的勝手な解釈なので、「筥迫って魔除けなのよ〜」などと物知り顔で言わないように!

    ただそう念じて作ってくださいということです(笑)。

     

     

     

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    【2019.05.11 Saturday 23:52】 author : Rom筥
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    嚢物準備 端切れが溢れる幸せ&刺繍台のこと
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      布を扱う仕事をしていると、自然と家の中に埃(ほこり)がたまります。
      私の実家は仕立て屋だったので、子供の頃から聞きなれた言葉で、これを「ラシャ埃」といいます。
      掃除をまめにしないからよけいたまるのですが、この埃は私にとってはちょっとした幸福感があります。

      父の仕立て屋としての仕事は、バブル期を頂点として「直し」の仕事に移行していきました。
      すでに注文服をオーダーする人はほとんどいなく、あの時代は世の中がやたらと消費に動いていたので、とにかくブランドの既成服を買い漁って自分のサイズに直しまくるという感じでした。

      そのため、父は直しに必要な端切れを山ほどストックしていたのですが、仕事を引退するときも、この端切れたちは「何かに使うことがあるから」という理由で捨てさせませんでした。

      端切れとはいっても無地の「裏地」が主で、プリント地や着物地のようにかわいいものはないことから、現在こっそり捨て始めてはいます(ごめんよお父さん)。

      でもね、端切れを貯めたくなる気持ちはよ〜くわかります。

      特に和の世界では、小さな端切れは宝物のような気分にさせてくれます。
      ほんの小さく切り刻まれたものも、好きな柄は捨てられない。

      すでに家中端切れに溢れているというのに、時々狂ったように端切れを買い漁りたくなります。

      これは昨日、今日で届いた端切れたち。
      まだこの後、二箇所ぐらいから届く予定。


      あまり考えずに直感で布を選んでいくので、こうやって開いてみるといつも似たり寄ったりの色や柄になってしまいます。
      ワンパターンだなとは思うのですが、いいなと思う生地でないと創作意欲もわかないし、、、。


      生地選び

      筥迫や袋物を作る上で「生地選びがわからない」という方は多いのですが、そんな方に一言。

      筥迫を初めの一個から作品にしようと思うからなかなか始められないのと同じで、布地も一種類だけで決めようとするから難しい。

      とにかく何種類も買って、それらを一緒くたに広げた中から直感で組み合わせていくととても組み合わせやすい。
      それと、初めからこんなイメージの布、色、と決めないこと。
      イメージに縛られると布選びはより難しくなります(かといって好みからは逃げられない)。

      縢襠付筥迫のような装飾物は、内布は無地で構わないのですが(ほとんど中を開かないので)、その他の実用物は内側もメインという考え方から、表布と内布の組み合わせがものをいいます。


      私の場合は、ほとんどの生地をネットで調達します。
      ネットで買う利点は、とにかく「安い」から「大量」に買うことができる。
      欠点は、実際に手に取って確認できないので、使えなくて(想像していたものと違って)捨てる物も多いということです。
      まぁそれも見込んで大量に仕入れるのですが。


      もちろんそんな選び方は一般的にお勧めできませんので、布地選びに悩んでいる方は、まずは実店舗で端切れを多く扱っているお店を探してそこで購入してください。

      実店舗の場合は、店主のセンスで布を揃えていますので、その店で扱う布同士で組み合わせるとほぼマッチした作品作りをすることができます。

      ただ、あら素敵!これも素敵と選んでいると、数枚で簡単に5,000円ぐらいはいってしまうので、私はたま〜に行く程度。

      無地などで「この色!」と特定して探すときも迷わず実店舗に直行します。
      ネットではモニターを通して色を見るので、正確に色を確認することができず、望みの色が手に入るまで延々と欲しくもない布を買い続けることになるからです(結局すごく高いものにつく)。


      そんな端切れを扱う店の中で、以前行ったことのあるのにどうしても思い出せない店がありました。
      「あそこなら色が揃っているはずなんだけどな〜」というぐらい端切れが揃っていたのですが、駅名も店名もわからない。
      わかるのは山手線沿線だったことだけ。

      それが、最近ネット検索していてやっと見つけ出すことができました。

      山手線『田端』駅から徒歩5分という便利な立地の『福助堂』
      棚の3面が全て端切れという品揃え。
      10cm単位で200〜300円程度とリーズナブル。
      35cm幅が40cmで念珠入れ、三段口で50cm、このぐらいあればほとんどの細工物はできるのではないでしょうか(柄取りしたいならそれ以上)。

      装飾筥迫用にはちょっと地味目のものが多いですが、実用的な嚢物を作るには渋い生地が多くてなかなか私好みです。
      無地も豊富なので、内布などを探すには便利かもしれません。
      お近くの方は一度行ってみてはいかがでしょうか。



      筥迫用刺繍台

      私の元に来る仕事は日本刺繍が施された布を使うことがほとんどなのですが、人の手によって装飾されたものは縫い締める力加減で生地が歪むので、プリント生地で筥迫を作るのに比べると格段に難しい。
      まるで生き物を扱っているような気にさえなります。

      仕立てをする者として、生地にプリントされたものと生地に装飾を施した物とでは、素材として価値が違うと言わざるを得ません。
      小さく切った布を端切れとは言っても、その端切れに刺繍が施されたものは決して端切れとは言えません。
      このことから、私は日本刺繍を施した生地のことを「刺繍裂」という言い方をしています。

      端切れの中には「古裂」というものがあり、古さに価値のあるような布にこの「裂」が使われますが、布自体に装飾された素材には、古さに関係なく価値があるというのが私の持論で、刺繍が施された布にも「裂」の字がふさわしいと思うからです。

      できれば日本刺繍だけにとどまらず、色々な装飾方法で作られる筥迫がたくさん出てくるようになるといいなぁと思っているので、総称としては「装飾裂」になるかもしれませんが。



      私がブログに自他共に筥迫の画像をたくさん使うのも、こんな装飾の筥迫がありますよ、素敵でしょ?あなたも作ってみない?という誘い込み効果を狙ってのことです。

      地道な活動の甲斐あってか、最近は「刺繍筥迫を作ってみたい!」と言ってくれる方が増えてきました。

      その中で最近出会ったお一人、大阪在住の日本刺繍作家「いち桃」のユキダイクミ先生

      筥迫工房の刺繍台をお教室で使ってくださることになったのがきっかけです。
      ついに! 日本刺繍 小物用の刺繍台

      日本刺繍は専用の刺繍台というものがありまして、これが高価で、また持ち運びするのに大きすぎるのが難!(着物や帯の反物を巻きつけるのでしょうがないのですが)
      日本刺繍を始めるための大きなハードルの一つなのです。

      私は日本刺繍を始めてまだ7年ぐらいですが、未だに着物にも帯にも刺繍したことがなく、とにかく筥迫刺繍オンリー。
      私と同じように筥迫や嚢物だけに刺繍をしたい人のために、安くて小さい刺繍台を作って、とりあえず日本刺繍のハードルを下げたいという思いで刺繍台を自作したところから始まりました。

      本来の刺繍台に慣れきっている方には使いづらいと言われつつ、めげずに筥迫刺繍用に使いやすいように小まめにバーションアップした結果、最近はけっこう使いやすくなってきたのではないかなと思っています。

      売り物を自分が作ることはできないということから、木工好きの知り合いに頼んで作ってもらっているレベルなのですが、だからこそ安価に販売できています。
      (自分でキャンバス枠を買って使えばもっと安いですよ)

      ただ、少量ずつでの受注のみということで作っていただいているので、在庫が切れいる場合もあります。
      常に発注はかけておりますので、少々お待ちいただくことをご了承の上ご注文ください。



      個人の方が刺繍筥迫を始めたい!と地道に日本刺繍の先生探しから始めるのもいいのですが、一番効率的なのは日本刺繍を教えている先生が筥迫に興味を持ってくださること。

      日本各地でそのような先生が増えてきていただけたらいいのですが。
      筥迫工房としても宣伝を含め協力できることはしていきたいと思っています。

      筥迫好きがサポートし合いながら筥迫文化を広げていけたら、私としては喜ばしい限りです。



      ▼筥迫工房のお店


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      【2016.04.02 Saturday 16:17】 author : Rom筥
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      筥迫用の生地について(4)-2 縮緬
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        前回は初心者が失敗なく筥迫を作る上での最大のポイントとして、「素材の薄さ」を力説させていただきました。
        これは筥迫の「作りやすさ」として非常に大事なことなんですが、実はもう一つのポイントがありまして、それは「筥迫に適度な柄の大きさ」の生地を探せるかということもなんですね。

        筥迫を作る際の素材選びとして最も良いのは「着物の端切れ」を探すことなんですが、これは慣れていない人にはかなり難しい。
        着物は人間が着ることを目的としているので、「筥迫には柄が大きすぎる」ものがほとんどだと思ってください。

        私は常日頃から初心者に一番最適な素材として「和柄の綿プリント」をお勧めしていますが、綿プリントで作った筥迫を正装の振袖に合わせるわけにはいきません(七五三なら許容範囲?)。
        そこでお勧めしたいのが、前回から引き続いてお勧めしている「縮緬」素材なのです。

        縮緬なら生地を扱うお店ならだいたい何処でも置いてありますし、柄も細工物使いに考えられているので、筥迫の画角にも適度な大きさの物が多いです。
        素材選びや柄選びに悩む初心者でも、着物地を選ぶよりも失敗する確率が低いのではないかと思います。
        縮緬は縦横がしっかりしていないので初心者には難しくはありますが、それなりの格調で仕上がるので、まぁ試してみる価値はあります。


        生地選びに役立つ治具(柄取り枠)

        講習会を始めた当初は、どう考えても筥迫の画面に入り切らんでしょう、という大きな柄の生地をお持ちになる方がいらっしゃいましたが、最近では申し込み後にお渡しする資料に、実物大のサイズを示す図を載せるようになったので、さすがに適度な大きさの柄をお持ちになる方が増えました。

        それでも「この鶴の柄を入れたいんです!」という方に、「鶴は入りますが、鶴しか入らないので、この生地全体のイメージの筥迫には仕上りませんよ」(その生地には鶴以外のすてきな柄もたくさんある)というケースは未だに多いです(笑)。
        大きな生地から筥迫サイズにイメージを切り抜くことは、当たり前ですが初心者には難しいことのようです。


        そこで私がお勧めしたいのが、「柄取り枠」という治具です。
        現在、ショップで販売している「びら簪付筥迫の作り方」で使われている「縢り付筥迫」専用のものをご紹介いたします。


        お手元に白い紙がありましたら、上図を参照に三つの四角をつなげて書いてみてください。
        皆さんが製図しやすい数値に直しているので、正確なサイズではありませんがほぼ縢り付筥迫の被せのサイズです。
        実物の筥迫はもう少し縦が長いのですが、柄取りは「被せ」だけで考えます。

        左ベタ部分が襟元から外に出る範囲、反対側が懐中される範囲です。
        しかし派手な刺繍半襟を使うときのように、襟の角度を控えるような着方をする場合は筥迫もそれなりによく見えますが、ぴしっと深く襟元を合わせるような着付けをする場合はもっと深く懐中することになるので(たぶんこちらの方が一般的)、着装した際の筥迫のイメージはほぼ左の枠内「65×42mm」で考えた方がよいかもしれません。

        思いの外、小さいでしょう?

        それでは実際に柄取り枠を作ってみましょう。

        1)A5程度(A4の半分)の紙を用意し、
         上図を参照に紙の中央に製図します。
        2)次に左と右の四角をくり抜きます。
        3)真ん中の四角(胴締め部分)の下辺を切り離し、
         上辺を折り返します。
        ※このとき胴締めの「斜め線」を枠外にはみ出るように書きます。

        これで柄取り枠の出来上りです。

        それでは、この柄取り枠を使うために生地を用意してみましょう。

        この生地はかなり以前に「あざらし堂」さん買ったものですが、このぐらいの柄の大きさが細工物には最適です。
        材質はかなり薄めなレーヨンで、縮緬にしては張りがある素材なので作りやすそうです。

        最低販売数の30cm×73cm幅で購入してみましたが、この範囲に同じ柄の繰り返しがない!
        つまり30cmでは柄合わせはできないということですね。
        筥迫なら少しの丈でいいかと思っていると、物によっては50cmでも都合良く繰り返しが取れないことがあるので、どうしても柄合わせがしたい!というときは1mぐらい買うこともあります。

        とりあえず、ここでは柄合わせができるものとして見てみましょう。
        まずは胴締め部分を持ち上げて当ててみます。
        これが「柄合わせ」をする際の見方です。
        たぶんこの生地を選ぶ人は「手まり柄」が気に入って買うのだと思うので、手まりを枠の中に入れて見てみましょう。

        こんな柄の取り方をする人がいるかどうかわかりませんが(笑)、とりあえず「花」と「手まり」は入れてみます。


        慣れていないと、中央にFP(フォーカルポイント=視覚的焦点)を持って来がちですが、筥迫は襟元から出るのが左半分しかありません。
        そこで、枠外の斜め線に合わせて別の白紙(襟が被さるイメージ)で覆ってみましょう。

        果たして自分はこんな筥迫が作りたかったのか、、、?と悩んでしまいそうな柄の出方ですね(笑)。

        では別のところで取ってみましょう。

        このぐらいなら、いかにもありがちな配置です。

        襟を被せてみるとこんな感じ。
        まぁいいんでない?


        しかし、先にも言いましたように実際は襟元をもっと深く合わせることが多いので、こんな具合に隠れることの方が多い。

        またしても、よくわからない絵になってしまった、、、。

        このように、柄合わせだからと中央にFPを持って来てしまうと、身に付けたときに肝心のFPは隠れ、筥迫はぼやけた印象になりがちです。
        このことからもおわかりのように、FPは左枠内、もしくは左枠と中央枠の境目あたりに持って来るのが定石です(あえてそれでいい!という意図があれば別ですが)。

        かといって単純に手まりを左に配置して右を多めに隠すと、手まりだけが見える、、というのもちょっと間抜け、、、?


        結局、こんな感じで取りますかね。

        胴締め部分は被せより上下に5mmずつぐらいは長いので、手まり上部の芯がぎりぎり胴締めの天面につくぐらいで全体が5mm上がるイメージです。

        左に空き(黒部分)が多すぎと思うかもしれませんが、胴締めに玉縁を使えば、玉縁部分がもう一つの「柄」として追加されるので意外と気にならなくなるものです。

        このように、柄合わせで考えられれば柄取りは簡単なのですが、実際は柄合わせができることの方が少ない。
        そんなときは、この中央の胴締めを被せて見てみましょう。

        一気に画角が狭まったので、手まりを少し左寄りにしました。

        前回サンプルとしてご紹介した筥迫の柄取りを見てみましょう。

        胴締めを外してみると、柄合わせにしてもいいような配置です。
        あえて柄合わせにしなかったのは、胴締めに華やかな柄を持って来た方がより華やかになると思ったからです。
        つまり柄合わせがベストなワケではないということです。


        大きさを対比するために、余った生地で子ども用を作りました。
        ギリギリで作ったので被せと胴締めの柄が並んでしまいましたが、普通はこんな使い方はしませんよ(苦笑)。

        大きな柄を配置するのは難しいので、初心者はあえて小さな柄を切り取った方が失敗なく作ることができると思います。

        被せと胴締めを別々に柄取りする場合の説明は複雑になるので割愛しますが、柄出しの大体のイメージはしていただけたのではないかと思います。

        これを参考に、是非お手元の生地で筥迫にちょうどよい柄がないか、この柄取り枠を使って見てみましょう。
        ちょうどよい生地がない場合は、柄取り枠を持って生地屋さんにGO!です。


        ネットショップでの選び方

        ネットショップでは実際に生地を手に取って見ることができないので、モニターで見える画像が筥迫の適する大きさの柄かどうかは判断ができません。
        取り寄せてから「こんなに大きかったの〜!」びっくりすることもあるので、いかにモニター上で大きさを判断するかが必要となります。

        そこで、ネットショップなどでは生地にメモリを付けて柄出しの参考にしやすいよう工夫されていますので、これを活用する方法をご説明いたします。

        以下、和風布地/和調生地通販サイトの布がたりさんにご了承いただき画像をお借りすることができましたので、これを参考に柄の見方をご説明いたします。
        ※メモリが付いていないものは、あくまでそれが当たりか
         失敗かは手元に届くまでわかりません(汗)。
         各ショップさんには、是非このメモリを標準装備していただき
         たいです。

        1)メモリから33mmの正方形を割り出します。
        2)この正方形を1として、その2倍が筥迫の被せの縦サイズで、その3.5倍が横サイズになります。

        ※先ほどサイズが不正確な画像を貼ってしまいましたが、正確な画像に入れ換えました。

        おおよそのサイズ比率ですが、これで大体柄の大きさがわかります。
        もっと簡単に考えるなら、メモリから65cmを取って縦を決め、その倍より少し狭くしたのが横幅と考えてもよいでしょう。
        この中にお目当ての柄がきれいに納まるようであれば、第一段階のあなたのイメージはクリアされます。

        次に、横を三等分にして(黒枠)、左右をやや広めに取った左側の四角が筥迫を半壊中した際に見える部分です。

        さて、この生地の全体的なイメージは、大きく分けて「赤系」「青」「黒」の三色になりますが、この2:3.5には黒は入っていませんので、モニター上で黒部分は隠して再度ご確認ください。

        「筥迫の枠は小さい」ということを肝に命じ、生地全体のイメージで見るのではなく、手で画角を作って枠内だけをピンポイントで見るようにしましょう。


        ネットショップでの縮緬の選び方

        よくショップに「筥迫用の生地は売っていないのですか?」とお問い合わせいただくことがあります。
        自作筥迫の醍醐味は、一にも二にもオリジナリティの追求です。
        生地を販売してしまえば、限りなく既製品に近くなります。
        苦労してでも自力で生地を探し当ててこそ、世界に一つの特別な筥迫ができるのです。

        そこで、せめても私が手助けできることとして、以下、切り売りの縮緬(新品)を販売しているネットショップをご紹介させていただきます。
        他にも「ここがお勧め!」というショップをご存知でしたら、是非お知らせいただければ幸いです。
        最近は実店舗の生地屋さんが少なくなりましたからねぇ。


        縮緬の種類は圧倒的に多いので、縮緬を探すなら一番に訪れたいショップです。
        10cm単位での販売。2mまでメール便可能。
        一番使いやすいショップではないかと思います。


        縮緬の数は少ないですが、使える柄が多いので必ず覗いています。
        着物のサンプル端切れもありますが、筥迫用には柄が大きいので要注意。
        30cm単位での販売。送料500円


        板谷なおみさんデザインの生地です。
        すてきなプリントが多いのですが、筥迫にするには柄が大きすぎて残念〜!と思っていたところ、サイトの下の方に「50%縮小(!)」というサイズの柄があることを今さらながら知りました、、、。
        ということで、なおみコレクションの生地を購入する際は、柄の大きさを要チェックです。
        112cm幅1m単位での販売。送料全国一律800円


        他のショップにはないすてきな柄が多いのですが、販売単位が1mと3m(!)なので、3mともなるとなかなか手が出ない、、、。
        婚礼4点セットを作るなら勢いは付きそうですが(それでも相当余る)。
        2mまでメール便可能。


        都香庵さんには、前回「金襴」でお世話になりました。
        織物がメインなので縮緬の種類は多くはないですが、とりあえずはチェックしています。
        30cm以上10cm単位での販売。メール便対応。


        最後に要注意!

        あまりにもすてきな縮緬柄を見つけからと言って、「これを内側の布に使えばおしゃれ!」なんて絶対に思わないでくださいね。
        縮緬を内布として使うと、筥迫が異様に太ります。
        筥迫は小さなスページに生地をたくさん折り畳んで作るので、小さなシボが厚みとなって出来映えに影響を及ぼします。
        特に現代物は一越であっても太ります。
        古布の場合はものすごく繊細なシボなのでその限りではありませんが、生地の厚みの見分けがつくまでは縮緬は内布に使わないようにしましょう。

        特に「びら簪」を付けるタイプの筥迫は、実用使いにはなりませんのでほとんど中は開きません
        ですから内布にそれほど凝る必要はありません。
        表の布を活かすことだけを考えて、内布こそ更に薄手の扱いやすい生地を選んでください(無地でいいです)。

        ネットショップで縮緬を買うのであれば、ついでに内布用の「綸子(りんず)」も買ってください。
        都香庵」「Oriet京都」の綸子は、適度な張りがあるので、初心者にはとても扱いやすいです。

        一般的なテロテロとした綸子を使う場合は、「ホットメルト紙」で裏打をすれば扱いやすくなります。
        ※現在の教本では接着芯(薄)を使った作り方になっていますが、ホットメルト紙に接着芯用の型紙を書き写し、周りを少し大きめに切って布に接着します。その後、折りしろ分を加えて(5〜8mm)裁断すれば同じように使えます。


        それでは皆さんのご健闘を祈ります。
        いつか「はこせこ掲示板」でお会いしましょう!


        ▼筥迫工房のお店

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        【2015.01.25 Sunday 14:08】 author : Rom筥
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        筥迫用の生地について(4)-1 縮緬
        0
          筥迫を作るための生地はどんなものがいいでしょうか?
          という質問をよくいただきます。

          答えはどんな生地でもできます!です。
          薄く平らな物であれば「紙」でも「革」でもできます。
          それこそ初心者なら、千代紙で作れば超作りやすいでしょうし、生地のように伸びないのできれいにできます。
          しかし「革」が初心者に簡単に扱えないことは誰にでもわかること。

          筥迫でも同じです。
          薄い生地を使えば初心者でもそれなりの完成度のものができますが、厚みのある金襴などの生地を使う場合は、型紙も変えますし、作り方からして根本的に違います。
          つまり、どんな生地でも筥迫はできますが、初心者と経験者では扱える素材が全く違うということです。

          また、筥迫を作る時はできれば一個は練習で作ってから本番の生地で作ってくださいねと言っているのですが、ほとんどの方は一個目ですぐ本番で使う物を作っているのではないでしょうか(苦笑)。
          もちろんそれで成功する人もいるでしょうが、難しい素材を使って途中でどうしようもなくなり、筥迫作りをあきらめる人も少なくないとは思います。
          この「難しい素材」が何なのか「容易い素材」が何なのか、これこそが初心者に一番わからないことです。

          とにかく一個目で成功させたい!と強く望む人は、ほとんどが婚礼か成人式が間近に迫っている場合でしょう。
          筥迫のような小物は、メインの着物やドレスなどが全て決まって一番最後に気がつく物なので、そこからネットで探して筥迫工房にたどり着いて、「あら、自分で作れるなら簡単じゃないの!」と思うのかどうかはわかりませんが、その時点でもうすでにお式まで2〜3ヶ月前という状況。
          う〜ん、確かにこれでは練習している暇などあるはずもない。


          縮緬の良さ

          初心者がぶっつけ本番で失敗なく筥迫を作りたい!という状況で、振袖等の礼装用着物に「格」のあう素材と言えば「縮緬(ちりめん)」が一番ではないかと私は考えます。

          縮緬で筥迫を作る人が意外と少ないのは、もしかしたら私が縮緬の筥迫をブログに掲載していないということもあるかもしれません。
          人にお勧めしておいてこんなことを言うのは何ですが、私は現代の縮緬にあまり創作意欲がわかないと言いますか、昔の柔らかい縮緬は好きなのですが、古裂の縮緬はお細工物に大人気の素材なので、ばか高くて手が出ないだけです。

          そういえば初心者には縮緬が作りやすいだろうと、去年の「筥迫&懐剣」WSで見本として作った筥迫があったのを思いだしたのでアップします。
          今時の縮緬(ポリエステル)で作っています。

          けっこう見栄え良く出来ているのではないかと思うのですが。

          縮緬は生地自体が柔らかいので、初心者にお勧めしている「キルティング芯」と相性がいいというのが一番の理由。
          このキルティング芯はとても柔らかいので初心者には大変扱いやすいのですが、厚みのある素材では完全に潰れてしまいます。
          その場合は「天然綿」を使うのですが、天然綿は扱いが難しすぎてまず初心者には太刀打ちできません。

          ちなみに、礼装用の筥迫としてお勧めしているのが「刺繍半襟」なのですが、手縫いの刺繍と違って刺繍部分が堅く厚みがあります。
          凹凸のある生地を無理矢理折り返すのでエッジを真っ直ぐに仕上げるのは難しく(お高めの刺繍半襟ほど困難)、初心者であれば玉縁を付けない方がきれいに仕上げることができるかもしれません(玉縁を付けたことによってボロが目立つ)。
          その点、縮緬なら縁のエッジもシャープに出来るので「挟み玉縁」もきれいに付けられます。

          最後にラインストーンを少々散らせば、かなり素敵な作品が出来上がるのではないかと思います。

          「丸ぐけ」にも適した薄さですし、「抱え帯」も作りやすいので、お揃いの婚礼4点セットを作る気になるかもしれません。

          以上のことから、初めての筥迫作りで失敗なく仕上げるための素材として、また礼装に身につけて格の劣らないものとして、縮緬をお勧めする理由がおわかりいただけましたでしょうか。


          縮緬の種類

          ちりめん生地にはデコボコとした独特の「しぼ」があります。
          しぼの大きな鬼縮緬、しぼの小さい一越縮緬などの違いもあります。
          小さな細工物には一越の方がより繊細な雰囲気に仕上がりますが、一般的には鬼シボのプリントが多いようですので、初心者にはどちらで選ばれてもさほど変わりないと思います。

          素材としては、主に「正絹」「レーヨン」「ポリエステル」「綿」が出回っているようです。

          1)正絹
          実際に着物を仕立てるために作られた反物が多いので、慣れていない人には柄出しが難しく、普段から扱い慣れている人でないと扱うのは難しいかもしれません。
          もちろんちょうどよい物があれば最適です。

          2)レーヨン
          3)ポリエステル
          どちらも細工物用にプリントされているので、柄も小さめのものが多いです。
          幅も70cm前後の物が中心で、繰り返しのプリントなので、初心者の柄選びには失敗が少ないと思います。
          素材の特性としては、レーヨンは水に濡れると縮むので服地には適しませんが(ポリエステルは縮まない)、筥迫の場合は水に濡らすことがないので、どちらを選ばれても大丈夫です。
          価格的にはポリエステルの方がお高いようです。

          4)綿
          綿縮緬は布をエンボス加工することによりしぼを付けています。
          縮緬風で、ほぼ綿プリントと同じ扱いやすさがあります。
          (正絹、レーヨン、ポリエステルは伸びるので扱いずらい)
          ただし、綿の素朴な風合いは見た目にもよくわかるので、礼装用の着物には使わない方がよいかもしれません。


          筥迫を水洗いすることはないので、どの素材を選んでも大丈夫なのですが、たまに「レーヨン」や「絹」で薄糊の水分だけで縮んでしまうものがあります。
          しかし、縮むのは折り返し部分なので(それも作業できないほどではない)、あまり気にしなくていいかもしれません。
          ただし、薄糊がつきにくいと感じることがあるかもしれませんので、そのような場合は貼り付けの段階から堅糊(サイビノール)を使ってもかまいません。
          サイビノールは溶剤なので、水性の木工ボンドを使うよりも縮みの影響は受けにくいかもしれません。


          ちょっと長くなりそうなので、縮緬編は二回に分けます。
          次回は、店頭での柄の選び方、ネットショップでの選び方、等をご説明いたします。

          ※「筥迫用の生地」というカテゴリーで、他の生地も説明していますので是非ご参照ください。



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          【2015.01.19 Monday 17:41】 author : Rom筥
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          筥迫用の生地について(3)金襴
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            3回目に「縮緬」について書くつもりでしたが、依頼していた金襴のサンプルが届いたので、先に「金襴」について書きたいと思います。

            筥迫を作ろうと思う方は、まずは布ありきで始められる場合が多いと思います。
            そしてまず目につくのが、金襴のような帯地のようです。
            確かに金襴のような生地で筥迫を仕上げると、装飾はなくてもそれだけで見栄えがします。
            第一回の「筥迫の生地について」や「教本」では、始めは折り返しのできる薄めの生地で作ってくださいと強くお勧めしているのですが、どうせ大変な思いをして筥迫を作るなら「この生地で大変な思いをしたいの!」という方の気持ちも痛いほどよくわかります。
            ということで、それほどまで金襴が使いたいのであれば、ここを注意してくださいということを今回は書いてみたいと思います。


            ◆金襴を扱っているお店

            小さく、薄く、細かい筥迫作りに、厚手の生地を使う、、、これがいかに難儀であるか誰でも想像できると思います。
            しかし、金襴と一口に言っても、薄いものから厚いものまで様々で、最近は細工物がしやすい薄手の金襴も増えてきました。
            金襴を購入する場合は、とにかく「厚みを調べる」ことが一番重要です。

            金襴を扱うお店は多々ありますが、私はネットショップでは「都香庵(トコウアン)」さんと「Oriet Kyoto(オリエットキョウト)」さんで購入することが多いです。
            他のショップと違うのは、まず、金襴の種類を「模様」と「色」で検索できること、そして何より「厚み」を全ての商品に表示してくれているところです。(そのぐらい厚みに対するお問い合わせが多いということだと思いますが)


            ◆和布・和風生地・和風小物販売専門店都香庵

            都香庵では、生地巾70cmに対し、10cm単位で販売されています(最低単位は20cmから)。
            金襴ような織物の場合は、縦横を正確に取る必要があります。
            都香庵で金襴を購入するなら、20cmの長さではギリギリ胴締めの長さに足りないので、30cmで購入することをオススメします。
            ※教本に添付されている型紙を使う場合、「外箱(表布)」は長手方向に+5mm「胴締め(表布)」は長手方向に+1cm、長めに取るようにする(あくまで生地の厚さによる)。
            ※縦横がわかりにくい柄であれば(自分が納得できるのであれば!)、胴締めと被せを横に取れば20cmでも可。

            30cmではかなり余ってしまうようですが、被せや胴締めにいい「柄出し」をするには、このぐらいの余裕があった方がよいかもしれません(「柄合わせ」はこれでも足りない場合もある)。
            また、懐剣を横目で取っていいなら、この長さでも充分です(縦目で取るなら40cmの長さが必要)。



            都香庵では、実際の厚さを「やや薄手(〜0.35mm)」「中厚(0.36mm〜0.54mm)」「厚手(0.55mm)」で表示しています。
            趣味で裁縫される方にも縫いやすいように、薄手で仕上げているものが多いそうです。
            特に「やや薄手」なら、教本添付の型紙で問題なく作れるのでオススメです。
            ただし金襴の良さを感じるような柄は「中厚」程度になるので、生地によっては難しい厚みも含まれます。

            また「友禅」「縮緬」を探して都香庵にたどり着くことも多く、すてきな柄が揃っています。
            どちらも金襴よりはずっと扱いやすいですので、ついでに覗かれてはいかがでしょうか。
            特に、都香庵の綸子は薄くて張りがあるので、筥迫の内布には最適です。

            発送は「ゆうパック」「クロネコヤマト」になります。






            ネットで買える織物屋さんOriet Kyoto

            Oriet Kyotoでは、69cm×50cmの生地の半巾分「33×50cm」を1つの単位としています。
            筥迫だけなら、この1単位で柄出しも考えられる充分な大きさです。
            柄出しを考えないでもいいぐらいの小さい柄であれば、懐剣を入れてぴったりの大きさです。
            ただし、柄合わせをするのにこの単位では足りないという場合、縦に長くなるのではなく、元の生地の横幅(65cm)でカットされるのでご注意ください。

                  

            Oriet Kyotoは豪華な金襴が多く、どれもこれも欲しくなってしまいます。
            このような金襴で仕立てられた筥迫は、とても見栄えがします。
            しかし、豪華な金襴は玉縁処理しなければならない厚手が多いので、よくよく確認してから購入してくださいね。

            Oriet Kyotoでは、金襴の「厚さ」と「やわらかさ」を★印で表示しています。
            箔を多用している金襴は大変豪華ですが、処理が大変難しいので、きれいに仕上げたいなら★★★程度の厚さのものを選んで、折り返しができる金襴で作ることをオススメしあます。
            厚手金襴は、かなり経験を積まないかぎり難しいと思います。
            ※どうしても筥迫に厚みが出過ぎるという場合は、「外箱」だけ同じ色味の薄手の別布で作るというのも手です(あくまでイレギュラーな方法です)。

            また「洋の生地」では色無地が豊富に揃っています。
            シルクシャンタンは内布にちょうどよさそうですが、色数の多いローカウントは節(ネップ)が縞のように出ているので、筥迫にはちょっと合わないかもしれません(まぁお好みですが)。
            ハイカウントは厚手だし、、、ということで、筥迫の内布にはミドルカウントをオススメします(1単位=54×50cmで内布には充分)。
            その他、Orietの綸子はテロテロとした手触りのものではないので扱いやすいでしょう。
            羽二重も扱いやすいのですが、ミドルカウントでも薄すぎて透けるのが難。
            ポリエステルサテンの厚みはよいのですが、テカテカが気になるなら裏を使うのも手です。

            「メール便」発送が可能なのがうれしいですね。






            ◆金襴の厚みと処理の方法


            金襴は同じ厚みでも、使用する糸、織り方、生地の硬さ、デザインなどによっても、だいぶ厚みが違うように感じます。
            更に箔を多用しているものは、比較的堅い感じになるようです。
            どちらも、店側の主観によって判断されているので、あくまでも参考程度にお考えください。
            それでは、それぞれの厚みで仕立てをする場合の処理方法を書いてみます。(こちらもあくまで目安です)

            「Oriet Kyoto=★」「都香庵=綸子」
            筥迫の内布用の生地として最適。
            どちらも一般的な綸子よりも張りがあり、細工用としては扱いやすい。

            「Oriet Kyoto=★★」「都香庵〜0.3」
            折り返し可。薄手用型紙使用。

            「Oriet Kyoto=★★★」「都香庵〜0.48」
            折り返し可。厚手用型紙使用。

            「Oriet Kyoto ★★★★」「都香庵〜0.5」
            玉縁推奨。ものによっては外箱のみ折り返し可なものもあるが、そうでなければ外箱も玉縁使用。厚手用型紙使用。

            「Oriet Kyoto」「★★★★★」「都香庵〜0.58」
            全て玉縁。厚手用型紙使用。


            「薄手用型紙」「厚手用型紙」とありますが、型紙のことは一緒に解説をすると長くなるので、また後日掲載することにします。
            自分で修正する方法も書くつもりですが、細かい調整が必要なので、いつか厚手用型紙を別に販売するかもしれません。

            表に金襴を使う場合は、内布は絶対に「薄手」をお使いください。
            「綸子」ぐらいの薄さならちょうどよいですね。
            間違っても「縮緬」など使わないよう、ここのところは堅くご注意申し上げます(縮緬はシボの分厚みが出ます)。
            あとは、玉縁の仕方の注意点もありますが、これもまたいずれ解説します。

            金襴のような厚手生地を使う場合は、材料セットなどに同梱している「キルティング芯」は、入れてもあまり効果がありません。
            生地の厚み(強さ)にキルティング芯が潰れて、綿を入れた意味がなくなってしまうからです。
            あくまでも教本や材料セットは、初心者用に「扱いやすい」説明、材料で用意されているものだとお考えください。
            慣れていけばキルティング芯よりも天然綿をできるだけ高く盛って、美しい厚みを出したくなるものです。
            しかし金襴で綿を盛るのは最難関になるので、とりあえず金襴にはフラット仕立て、またはプラス玉縁ぐらいをオススメします。

            接着剤は薄糊、木工用ボンドでは太刀打ちできないものもありますので、始めから「サイビノール」を使った方がよいと思います。
            アイロンも太刀打ちできない厚みの場合は、その都度クリップで留めて圧着してください。
            布が重なった角の部分は、接着剤が完全に乾く前にハンマーで叩いて潰します。
            なんかこうして書いていくと、とても手芸という雰囲気ではありませんね、、、



            既成の材料がほとんど販売されていない筥迫作りの世界では、あらゆる仕入れ先と取引を開始するときに、一見という立ち場で面倒なお願いをしなければならず、けんもほろろというような対応をされることも少なくありません。
            そういう意味では、今回サンプルを取り寄せただけとはいえ、「都香庵」と「Oriet Kyoto」の担当者さまには詳しい説明と快い対応をしていただき、心より感謝申し上げます。
            メールでの対応は、簡潔な断り文ほど冷たい表情を読み取ってしまいがちですが、たまに気持ちのある対応をされると肩すかしをくらったような気分になり、次第にうれしさがこみ上げてきます。
            自分も常にそうありたいものだと思ってしまいます。



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            【2012.01.28 Saturday 19:07】 author : Rom筥
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            筥迫用の生地について(2)生地のサイズ
            0
              「筥迫に用いる生地はどのぐらいあったら足りますか?」という質問は一番多いかもしれません。

              表布は最低で「30cm×30cm」です。
              これに懐剣分を含めると「30cm×50cm」です。
              このぐらいの大きさで筥迫と懐剣までできるのなら、両方いっぺんに作くっちゃった方がお得という感じですね。



              しか〜し!これはあくまで「柄方向を全く考えない」場合の最低限の大きさです。
              柄方向を考えない生地とは、無地とか極小さな小紋とかのように、縦でとっても横でとってもわからない生地のことです。
              市販の婚礼用筥迫セットなどは無地が多いのですが(差し色としてでしか筥迫を扱っていない)、筥迫を自作しようとするならば、やはりある程度の大きさの「柄」が入った生地を選ぶ方が多いと思います。
              少しでも柄の向きがあると、最低限の大きさで型紙を取った場合、下図のようになってしまいます。



              これでは縦横がバラバラになってしまいますね。
              ということで、縦横がある生地ならば、上下は下図のようになります。



              ちなみに「厚紙や接着芯の型紙には縦方向の矢印が付いているのに、表布と裏布には縦方向の矢印がないのはなぜですか?」と聞かれることがあります。
              織りのはっきりしている生地は縦横で取りますが、縮緬等の生地の場合、柄によっては斜めで取る場合もあるので、あえて矢印を入れていないのです。
              しかし、横目がはっきりしている生地などは、上記の向きで取ることをオススメします。


              ◆筥迫の柄と必要なサイズとの関係

              筥迫本体の一番上の面を『被せ(かぶせ)』と言います。
              基本的にはここにメインの柄を入れます。
              例えば、横115mm×縦65mmの長方形を描いてみてください。
              これが被せのサイズです。
              この小さなキャンバスに筥迫の装飾を行なうのですが、正確には下の図のように右半分が着物の襟の中に隠れてしまいます。
              ですから、装着したときに実際に見えるのは、左半分だけということです。
              どうしたって、ここにいい柄をもってきたくなるでしょ?



              ですから、これぞ!という柄があるところまでが、あなたの筥迫に必要なサイズということになります。
              例えば、下図のような柄ゆきの生地で型紙を取った場合、出来上がりの柄は左下のような出方になってしまいます。



              う〜ん、左は左で白い玉縁でもすればすてきな気もしますが、もちょっと柄をまとめて筥迫らしくしたいなら、やはり右ぐらいに目立つ配置にしたくなります。
              つまり、被せや胴締めにいい柄を当てられるぐらいの余裕をもって生地を買うということになります。
              (余ったら左パターンも作ってみればよし)


              ◆柄合わせの場合

              先の生地は、細工物にちょうどよい小さめの柄ゆきですが、実際にはもう少し大きい柄のものが多いと思います。
              柄が大きいほどインパクトも強く、ついそのような布を選んでしまいがちです。
              しかし、柄が大きくなるほどに、被せの柄が胴締めで隠れてしまいます。
              全体的にちょっと柄を大きくしてみましょう。
              こんなふうに柄が出る大きさだと、どうしても被せと胴締めの柄合わせをしたくなります。



              柄合わせをするのであれば、「被せ」と「胴締め」用に同じ柄を布の中で探します。
              こんな感じでしょうか。



              ここでは40cm×50cmとなっていますが、全ての生地がこれと同じ間隔で柄があるワケではありませんので、実際にはもっと大きく布を用意する必要があるでしょう。
              布によっては柄がとんでもなく離れている場合があるので、1m買うこともあります。

              柄合わせをするために生地を大きめに買うと、余分なハギレが出るということで、1.5mもあれば「丸ぐけ」を作りたくなります。
              ※実際には丸ぐけの中心は後ろの帯に隠れるので、半分ではぎを作るのであれば80cmで足りる。
              「抱え帯」なら3mは必要ですが、間ではぎを入れてもよいのなら、その半分以下でできます。
              ※丸ぐけや抱え帯に内布は使いません。

              そうそう、以前にも出て来ましたが、「半襟」などは筥迫を作るのにちょうどよい大きさです。
              刺繍入り半襟で作る筥迫は出来上がりもきれいでオススメです。
              柄合わせをしないのであれば、1枚の半襟で充分足ります。
              もし柄合わせをしたくなるような大きな柄なら、左右対称の半襟では残念ながら柄が合わないので、2枚買うことになってしまいます。
              片側だけ2枚余ってもったいないと思うのであれば、筥迫を2つ作るか、もしくは是非とも懐剣入れを作ってみてください。

              まぁ始めから何でもかんでも作ろうとすると、腰が重くなって結局は作るのが面倒くさくなってしまった、、、ということになりかねないので、とにかく始めの一個は筥迫から始めましょう。
              柄ゆきを考えなければ、少ないハギレで筥迫は作れるのですから。

              さぁ、筥迫作りにチャレンジしてみませんか?


              ※お詫び
              表布に必要なサイズの図は『婚礼用和装小物の作り方』にもう少し詳しく解説されています。
              これまでに『婚礼用和装小物の作り方』をご購入いただいた方には、筥迫に必要な「内布」のサイズを「筥迫と同寸」と説明していますが、実際には表布よりやや大きめの「30cm×35cm」となります。
              ここに訂正とお詫びをさせていただきます。



              筥迫工房へのお問い合わせ
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              【2012.01.14 Saturday 12:32】 author : Rom筥
              | 筥迫材料-生地 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
              筥迫用の生地について(1)
              0
                「筥迫の生地はどんなものを買ったらいいですか?」「どのぐらいの長さを買ったらいいですか?」「筥迫用の生地は販売していないのですか?」といったお問い合わせをいただくことがあります。
                そこで、筥迫に使う生地について連載で書いてみたいと思います。


                装飾の第一要素は生地

                筥迫は紙挟みから発展したものですが、紙以外の小物を入れられるように箱形になり、胴締めを付けたことで、本体と胴締めを続き柄にするという装飾効果を生んだのです。
                江戸時代の筥迫は、特権階級しか持つことのできなかった超贅沢品でしたので、刺繍や押し絵、切り嵌、象嵌、等々の装飾が施された絢爛豪華な筥迫は、今では美術館でしか見ることができません。
                しかし明治期に、一般の庶民(それでもある程度の上流であったと思われる)が持てるような装身具となったのも、筥迫が既製品化してきたこと、また織物の地模様で柄をつなげるような装飾が出てきたためと思われます。

                刺繍などの要素はまた別のスキルとなるため、筥迫作りを個人の楽しみと考えるのであれば、生地の「柄」「素材」は装飾の第一要素となります。
                ということで、生地だけは教本にしばられずに、生地屋さんや着物の古着屋さんなどで、たくさんの商品(または端切れ)の中から探していただき、それぞれのオリジナルを極めてほしいと思います。

                しかし悲しいかな、身近から生地屋さんがどんどん消えて行きます。
                私も最近はネットで生地を購入することが多くなりました。
                でもネットで生地を探すというのは、ある程度手作りに慣れていて、生地というものをわかっている人でないと難しいのですね。
                普段生地を買うことのない人が、お手軽にネットで、柄だけで生地を探して、筥迫にちょうどよい生地が探せるものかな〜と心配になってしまいます。
                ネットで買うことに慣れている人でも、画像だけでは「厚み」はわかりません。
                特に「色」は、例えそれぞれがPCモニタのキャリブレーションを整えていたとしても、画像を掲載する側のデジカメの性能、色補正や技術も様々なので、「こんな色だったの〜(泣)」という経験をした方も多いと思います。
                ですから初心者の方は特に、実際に布を手に取って、厚みや素材を確かめて、ある程度の素材の特性を知ってから、ネットショップで購入されることをオススメします。


                筥迫に適した生地は、作る人の技量で選ぶ

                筥迫に使用できる生地、、、実は何でもOKです。
                布はもちろんのこと、ビニールや皮、千代紙などでもできます。
                うちの娘が小さかった頃、筥迫を作る私を真似て、厚紙に折り紙を貼って作っていました。
                なるほど〜、いつか私も千代紙で作ってみよう、、と思ったものです。

                しかし、生地に精通している人ならどんな素材のものでも筥迫を作ることができるのか、、?
                実際にはその人の「技量」によって扱える生地は大きく限られてきます。
                技量の一番の分かれ目は「玉縁」ができるか否か。
                玉縁とは、筥迫の縁に付けるパイピングのことです。
                筥迫自体が小さいので、それほど細いパイピングに見えないかもしれませんが、実は洋服のパイピングとは比べ物にならないほど究極に細いパイピングのため、基本的にはミシンの扱いに慣れていないとできません。
                市販の筥迫で、3mmもあろうかという太い玉縁のものが売られていますが、1mmの玉縁とでは、仕立ての技量に初心者とプロほどの差があります。
                しかし趣味の筥迫作りであれば、3mmであろうとも、これができれば「厚手の生地」で筥迫を作ることができます。

                なぜ厚手の生地は「折り返し」ができないのか、、、。
                正確には、厚手の生地で折り返しはできますが、「きれいに作るのは難しい」ということです。
                筥迫とは、ご存知の通り「幅の狭い箱」という意味です。
                薄くなくては襟元に入りませんので、1〜1.5cmほどの厚みに納めなければなりません。
                鏡の付いた三つ折れ部分と紙挟みに、それぞれ厚紙&表布&内布の厚みが加わると、軽く1cm以上にはなってしまうため、ほんの少しの厚みの違いで大きく仕上りが異なってしまいます。
                玉縁の縁布は薄い生地を使うので、裏に回るのはこの薄い縁布のみ。
                しかし折り返しは、表布がそのまま裏側に回るため、それが各カ所で重ねられて倍増し、思わぬ厚みになってしまうのです。

                これを折りたたむための貼り込みのコツというものも必要となります(そんなところまで教本に書いちゃいません)。
                この厚みによって胴締めの柄合わせがずれてしまうので、胴締めの厚の幅を変更したり、厚紙の種類を変えたり、裏布の種類を変えたりします(これも教本に書いちゃいません)。
                ですから教本には「表布は薄手の生地を使ってください」とだけ書いています。
                教本通りに正確に作ってもキチンとした形にならないのは、使う生地の厚みに起因することがほとんどだと思います。



                筥迫用の生地については、今後とびとびの連載で続けていきたいと思います。

                筥迫用の生地について(2)筥迫に必要な布の大きさ
                筥迫用の生地について(3)縮緬
                筥迫用の生地について(4)金襴
                筥迫用の生地について(5)友禅、綿
                【2012.01.12 Thursday 11:21】 author : Rom筥
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                金襴筥迫の作り方
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                  現在、販売している「びら簪付筥迫の作り方」では薄手の生地を使うようお勧めしていますが、やはり金襴などの帯地を使って筥迫を作りたいという方は多いようです。
                  帯地は物によって厚みも柔らかさも様々です。
                  厚手になると折り返しも難しく、またその厚みによって胴締めが短かくなるので、さらに柄が合わせずらいということもあります。
                  できれば厚手の生地には玉縁をお勧めしたいのですが、玉縁は縫い代が極端に狭いので、縁の処理を事細かく説明しなければなりません。

                  そんなワケで、なかなかマニュアルにしにくいというのが実情ですが、それでも「金襴を使いたい!」と言われる方には、今まで多少なりのアドバイスをしてきました。
                  元の作り方はある訳ですし、器用な方ならご自分で型紙を微調整して工夫を加えれば、それなりの筥迫を作ることは可能でしょう。

                  これまでマニュアルを購入してくださった方の傾向を見ていますと、「筥迫というものを作りたい」というよりは、「着物に合う生地を自分で選んで筥迫を作りたい」という方が圧倒的に多いような気がします。
                  そして、初めて作る筥迫がすでにメインということです。

                  それならば、皆さんの気持ちが納得いくように、金襴を扱う際の諸注意をここに書き留めておくことにいたします。
                  これだけの説明で、どれだけの筥迫ができるかはわかりませんが、これを参考に、それぞれの工夫と情熱で挑戦していただければと思います。

                  ■布地の処理
                  帯地は布を裁った後の糸がほつれやすいので、裁断したら即、糸止めをしてください。
                  糸止めは、裁断面にサイビノールを薄く塗ります。
                  特に横糸がほつれやすいので、裏面から隣接する糸に止め付けるように塗り込みます。
                  これはあくまで折り返し用の糸止めの仕方です。
                  玉縁はもっと念入りに糸止めをします。

                  ■表布の調整
                  布の厚みがある場合は、型紙通りでは表布の折り返し分が足りなくなります。
                  特に折り曲げる角が2カ所以上ある「胴締め」「外箱」の表布は、それぞれ折り曲げる方向(縦方向)に3mm余分にとって裁断してください。

                  ■綿入れ
                  マニュアルでは説明がしやすいキルティング芯で綿入れを解説していますが、帯地に柔らかいキルティング芯を使うと、布がひっぱられる強さで綿が潰れ効果が出ません。
                  本来は木綿を使います。
                  ただし、帯地の筥迫はただでさえ厚みが出ます。
                  それを折り返しで作ると更に厚みが増し、襟元が崩れやすくなります。
                  帯地を使う場合は、筥迫をいかに薄く作れるかがネックです。
                  帯地の場合は素材だけで高級感が出ますので、折り返しにする場合はフラットで作ることをお勧めしています。

                  ■柄合わせ
                  布の厚みがある場合は、型紙通りに作ると胴締めが短くなります。
                  できれば初めは柄合わせをしない方が無難です。
                  帯地は仕立ての善し悪しがわかりやすいので、きれいな柄が出ることだけ考えて、丁寧に仕立てることに重きをおいた方がよいでしょう。

                  ■堅糊の使い方
                  一番の問題は堅糊の使い方です。
                  帯地は厚みがあるので、アイロンの熱が届きづらいという難点があります。
                  付きづらいからと言って、たくさん糊を付けても布に染み込むだけです。
                  ここではアイロンは補助的に使います。

                  大事なのは「半乾き」の状態で付けることです。
                  半乾きの状態で表布と厚紙を押さえます(手、クリップ、重し等)
                  次に、完全に乾く前に(手を離しても厚紙から離れない程度)ハンマーか木槌で叩きます。
                  いわゆる「圧着」です。
                  しっかり叩くことによって、アイロンをかけたように布の角が立ちます。
                  特に布が重なり合う角は、念入りに叩いてください。
                  ※布を汚さないように、ハンマーには余り布をつけてください。


                  あくまでも帯地初心者向けに書いてみました。
                  これを注意するだけである程度の形を作ることはできると思います。

                  私が金襴筥迫を作る場合は、帯地用に調整した型紙で、縁は玉縁を使います。
                  金襴に玉縁をする際の縁の処理は、手間がかかり神経も使います。
                  3mmぐらいの太めの玉縁でよければ、バイアスを使えばそれほど難しくはありませんが、極細の玉縁は難しいので、メールやブログではなかなか説明ができません。
                  またこの場合は、外箱にも玉縁を施します。
                  これをすると作り方の手順も変わって来ます。
                  次回、この方法で作った金襴の筥迫画像をアップします。

                  一つだけの筥迫が作りたいのであればマニュアルだけで充分です。
                  でももし、もっときれいな仕立てで筥迫が作りたい!という方が出て来た場合は、マニュアルだけでは足りないかもしれませんね。
                  そうしたらいつかワークショップでも開きましょうかね。
                  充分ではないかもしれませんが、私が知っている知識であれば、いくらでも細かく教えてさしあげることができます。

                  美しく仕立てた筥迫は、着物のみならず、飾ってもなお美しいものです。
                  そのような筥迫を目指してくださる方が出て来たら、私としてはとてもうれしいです。
                  【2010.11.02 Tuesday 14:14】 author : Rom筥
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                  白い内布の難しさ
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                    しばしブログの更新を怠っていましたが、実はこの間、「花嫁セット」プロジェクトに携わっておりました。
                    筥迫に合わせて帯地を織り上げ、房は京都の糸屋さんに特注、懐剣の中身も正真正銘の守り刀というものです。
                    私の担当はもちろん筥迫の仕立てです。
                    お話をいただいたときにはため息が出ました。

                    しかし、伝統工芸士の作家さんが創り出すこの織物には、「高温アイロン・スチーム不可・裏返し不可」という難題が突きつけられました。
                    布が織り上がるまでの間、金襴地でいくつもの試作を重ね、玉縁の糊入れ方法、角の処理、糊付け、型のはめ方、圧着方法等の改善を重ねました。
                    そして、アイロンよりも適切ではなかろうかと思える処理方法にたどり着きました(もちろん布の種類にもよります)。
                    おかげで金襴の扱いも相当慣れた気がします。

                    そんな中、一番難儀したのが「白い内布」の扱いです。
                    今回は、塩瀬の白い半襟を使いました。
                    内布には薄手のものを使い、玉縁にはもう少し厚手のものを用いました。
                    しかし白布はとにかく透ける…。
                    いつも使っている綿ブロードでさえ透けるので注意はしていましたが、薄手の塩瀬は尚一層透けます。
                    縦横が決まらず、切り口がほつれ、何でもかんでも透けまくる…。
                    どんなに下書き線を薄く引いても、印も、留糊の薄い青でさえ透けます。
                    静電気などで接着芯に小さなゴミが紛れ込み、それさえも透けます。
                    本番ではこの小さな汚れが気になって、抱き合わせ前に胴裏を作り直しました。

                    筥迫をこんなに真剣に作ったのは久しぶりです。
                    仕上がった筥迫は、白地に細く織り込んだ銀糸が光り、シンプルな美しさを感じる作品になりました。
                    この一品にかなりの上達を確信したのもつかの間、時間をおいて冷静な目に戻れば、己の理想とする仕立てには及びもよらず、未熟さばかりが目につきます。
                    しかしこれが今の私の精一杯の実力です。

                    たった一つの真剣勝負は、百個の試作にも勝ります。
                    精神的に疲れましたが、楽しい楽しい一時でもありました。
                    【2010.10.15 Friday 15:57】 author : Rom筥
                    | 筥迫材料-生地 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
                    基本の筥迫 『金襴』断念
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                      今回の筥迫の作り方で解説しているのは、前回の子ども用の作り方で解説している内容と項目はほぼ同じですが、なんといっても密度が違います(と自分では思っているのだが…)。

                      そしてやっと最後の「金襴」にたどり着きました。
                      筥迫というからには、一度は金襴で作ってほしいという思いもあったのですが、金襴は扱いが難しく、私自身でさえまだ満足な仕上がりに仕立てられないのに、それを初めて筥迫を作ろうという人にどうやって伝えるかに迷いに迷って時間ばかりを費やしていました。

                      しかしここにきてついに断念…。
                      技術的なことに加え、ページ数的にも相当無理があります。
                      今でさえフルカラー11ページをインクジェットプリンターで出力しているので、いつヘッダがいかれるのではないかと心配してしまいます。
                      注文がぼちぼちくる程度であることを願っていますが。
                      (ほとんど商売っけなし)

                      実は、いつか作りたいと思っているもう一つの筥迫があります。
                      それは「襠(まち)付筥迫」
                      たぶん元々はこちらの方が本流で、今でいう明治大正以降の筥迫の形状はどちらかというと「簡易筥迫」なんですね。
                      私的には、もし自分が筥迫を身につけるなら、びら簪をつけるのはかなり恥ずかしい気がして、いつかびら簪を使わない筥迫を作りたいと思っていました。
                      ですから、いつかこの襠付筥迫の作り方を作る時には、是非とも金襴の扱いも詳しく書きましょうね。

                      ということで、あえて今回発売の筥迫の作り方は、
                      「びら簪付筥迫の作り方」に改名いたしました。
                      あ〜これでゴールが見えて来た〜。

                      「びら簪付筥迫の作り方」の内容(目次)を以下に予告いたします。

                      1)基本の筥迫の作り方

                      ・筥迫の材料と道具
                      ・筥迫の各部名称

                      <基本編>
                      1)各材料の準備
                      2)貼り込み-貼付け
                      3)貼り込み-抱合せ
                      4)落し巾着(匂袋)の作成
                      5)簪挿し、房飾りの作成
                      6)千鳥掛
                      7)仕上げ


                      基本の筥迫では「きっちり」作ることを目的としているので、「綿芯」や「玉縁」を入れていません。
                      とりあえず基本の作り方に載せている筥迫だけアップしますね。



                      こんな感じです。
                      今回はちゃんと大人用ですよ〜。
                      びら簪は入れていませんが、ちゃんと大人用のびら簪も販売します。
                      縁は折り返しているので簡単です。
                      綿や縁をつけなくても、けっこうきれいにできると思いませんか?
                      これなら「筥迫を作りたい!」という意気込みのある人なら、すぐにでもそれなりの形に作れるのではないかと思います。

                      そして応用編です。

                      <応用編>

                      ・柄合わせ・綿芯・折り返し
                      ・柄合わせ・綿芯・玉縁
                      ・外箱の玉縁
                      ・小梅結び(蝶々形)
                      ・三色房頭


                      ちなみに、玉縁(たまぶち)とは、縁取り、パイピングのことです。
                      嚢物の本には「縁取り」「玉縁」のどちらもあったのですが、玉縁は今ではジャケットのポケット口まわりを細布で縁取りしたもの(玉縁ポケット)ぐらいにしか使われないので、これまではわかりやすく「縁取り」としていましたが、やはり昔ながらの言葉も大事かと思い、今回から「玉縁」を使うようにしました。

                      たぶん、ほとんどの人が基本の筥迫をすっとばして応用編に行っているみたいですね(汗)。
                      やはり「筥迫を作りたい!」と思っている人は「柄合わせ・綿芯・玉縁」の組み合わせが作りたいんでしょうね。
                      一番難しいんですけど。
                      まぁ腕に自信のある方は、お好きにすっとばしてください。
                      作って行くうちに「ここはもっときれいに作りたい!」と思えるようになったときに、もう一度基本へ立ち戻っていただければいいかなと思います。
                      【2010.04.12 Monday 13:39】 author : Rom筥
                      | 筥迫材料-生地 | comments(7) | trackbacks(0) | - | - |