『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
Instagramで「筥迫はぎれ」アカウント始めました。
ユーザー名は「@296hagire」です。よろしくお願いいたします。
(後日「ハコセコハギレ」に改名予定←二週間は変更できないようなので、、、)
よく「筥迫を作ってみたいけれど、本当に作れるのか不安です」という声を聞きます。
筥迫はね、教本見れば作れると思うのですよ。
それより難しいのは「布を探せるかどうか」と私自身は考えています。
以前、講習会をしていた頃は「布は自分で用意する」ことになっていました。
当時参加されていた方々の傾向として、和布が好きで、ご自分ではぎれをたくさん持っているというのが共通点で、ストックしているお気に入りの布で筥迫を作ってみたい!という方がほとんどだったからです。
しかし、最近教室に体験講座を受けに来るような人たちは、ことごとく「布はおまかせで」と言われます。
さらには、オンラインや外部で時々行われている体験講座などをやるようになってからは、こちらで布を用意しなければなりません(それも同じ布を用意しなければならない)。
当初はカット販売されている縮緬を用意するつもりでいたのですが、考えてみればここは日本、ネットで古着の着物が格安で購入することができます(未着用の着物も山ほどあるという夢のような国)。
そして好きなだけ好みの柄を探すことができます。
このようにして私の着物を探す旅が始まりました(あくまではぎれに加工するための着物)。
しかし、ネットの画像を見るだけで袋物に適した着物を探すというのはかなりの慣れが必要です。
買っては失敗を山ほど繰り返し、最近はなんとか小さな画像だけで瞬時に判断できるようになってきました。
おかげで最近では着物を見ると「これは袋物にちょうどよいはぎれになる!」としか見えなくなりました(ほとんどビョーキ)。
着物は解くと一枚の布に戻るのがいいところですが、この工程というのは、水洗いして→糸を取り除く→アイロンかけ、とけっこう面倒な作業なんですね。
しかしこの面倒な作業が好きで、やたらと喜びを感じてしまう私のような人間もいる。
仕事が忙しいときでも、はぎれ用の着物が届くともう解体せずにいられない(笑)。
私は着物を着ることに対しての執着が全くないので、躊躇せず、ものの数分で着物を解体していく作業を見た人にびっくりされたことがあります(笑)。
でも私にとって、着物を解いて布に戻す作業は一種の癒しなんです。
すでにお役を終えた着物が、必要な人たちに喜んで使ってもらえる。
これでどんな素敵な袋物ができるだろうかと妄想の世界に入ってしまいます。
こういうことを書くと、自分もやってみようかしらと思う方もいらっしゃるかとは思いますが、一般の人がやるのはあまりお勧めできません。
なぜなら一枚の着物からできる布は大量だからです。
袋物なんてちょっとしか使わないので、ひたすら大量の布がたまっていくのでその管理も大変です。
私が着物をはぎれにしようと思ったのは、工房で教室をやるようになったからで、とりあえず場所はありますし、買ってくれる人たちもいるからです。
それでもはぎれを管理するのは大変です。
はぎれを売ったところでほとんど手数料にしかならないので、はぎれを売るというのはそれが好きな人でないければ成り立たない。
しかし最近、教室の需要とはぎれの供給が逆転したことで、この在庫をどうにかしなければと考えたのですが、はぎれの販売(&それに伴う管理)はかなり大変な作業で、できるだけ手間を抑えたやり方で持続可能な方法を考えました。
考えたのはInstagramとネットショップをリンクさせることです。
興味のある方にフォローしていただければ、新着のはぎれがすぐにわかるというものです。
画像ごとにタグ付けして、ダイレクトにネットショップのそれぞれのページにリンクさせればいいのですが、いかんせんデジタル苦手人間なので、今はプロフィールからはぎれのページにリンクしてもらい、自分で探してもらうというアナログなやり方に留まっている(そのうちタグ付けします)。
ネットショップはフリーのフォーマットを使っているので、画像の解像度が低く、ページの中の埋め込みも手間がかかるので、そのままInstagramのポストを埋め込むことで効率化しています。
筥迫というのはかなり小さなものなのですが、筥迫が埋もれてしまうような大きな柄の布を持って来られる方も多い。
初めて作る方にはサイズ感がわかりずらいですからね。
そこでInstagramの方には、それぞれのはぎれに筥迫や他の袋物の型を布に当てて、柄のサイズ感がわかるような画像も入れていますので是非ご参照ください。
筥迫を作ろうと思っても、布を探す段階でめげてしまう方も多いとは思うので、とりえずは筥迫工房のはぎれ販売で適当な布を購入できれば、それなりの筥迫には仕上がると思います。
まだまだたくさんあるので、様子を見ながら増やしていくつもりです。
筥迫以外でも、細工物やお人形さんの衣装にいかがでしょうか?
はぎれの名称は、探す時の目安に雰囲気で付けているだけのものです。
実際の紋様を示す名称ではありませんのであしからず。
単発レッスン
はぎれも揃ったことですし、次は袋物のレッスンです。
オンラインがすぐに出来ればいいのですが、その前にはぎれを揃えておこうという心算もありました。
ただ、オンラインはサクサクとはいかないので、その前に「単発レッスン」というものを設けました。
筥迫の教本を買っても、自分一人で作ってわからないところが出てきたらどうしよう、、、と思っている方はいらっしゃいませんか?
または使う布の相談がしたいという方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん教室で体験に来ていただくのが一番楽なことですが、それが難しい方のために、つまづいたときの「ワンポイントレッスン」をズームにてレクチャーすることにいたしました。
30分1,000円で、お申し込みの際にお好きな時間をご指定ください。
筥迫を初めから教えてもらいたいというなら「体験レッスン」で、1日でできる筥迫もあれば3日でできる筥迫もあります。
もう一つは「ワンデーレッスン」で、1日単位で教室に参加することができます。
例えば、教本で筥迫を作ってみたけれど仕上がりがうまくいかない、などで来られる方もいらっしゃいます。
玉縁がうまくできないという場合は、途中まで材料を用意してきてもらって、教室でできないところを習うということでもいいでしょう。
または、以前講習会に参加したもので、もう一度作ってみたいけれど不安なので復習したいときに利用してもいいでしょう。
「金封袱紗」を受講したことのある方であれば、初めての型でも1日でできるものもありますので、お気軽にお問合せください。
※ワンデーレッスンや体験レッスンは、料金に設備費が含まれます。
※ワンデーレッスンや体験レッスンは、教室開催日の空き枠に予約を取ってください。
筥迫以外の袋物細工を習いたい方はこちら!
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今回はショップで販売開始した筥迫の内布で使う「赤布」のご紹介です。
二種類の材質の布を筥迫らしい赤色に染めてもらいました。
今時はなかなか綺麗な赤がないんですよ。
これまでも色々なところで筥迫に使える赤布を探しまくっているのですが、どれもこれも私がイメージする赤じゃない!(怒)
最近やっと赤布を染めてくれるいいところに辿り着き、ついに赤布を探す旅に終止符を打つことになりました(やったー!)。
しかし筥迫なんて使う量が限られているので、一反染めてもらっても持て余すだけ。
以前はそれで余った赤布を販売したこともあったのですが、一般に売られている布を通常の価格で染めてもらっても儲けが出るわけがない。
今回はそれなりのところにそれなりの量で頼んだので、まぁ皆さんに買っていただければ、今後も販売は続けられると思いますので、機会がありましたらどうぞご利用くださいませ。
(以下タイトルからリンクしています)
筥迫にちょうどよい大きさの本紋を選びました。
筥迫の横幅の中に、花文様がきれいに3箇所入ります。
新品ではありますが、ちょっと難ありな布を販売できる価格で染めてもらっているで、横2cmぐらいのところに折り目が入ります。
10cm単位での販売です。
幅が37cmなので、筥迫だけ作るなら40cmもあれば十分。
懐剣をつけるなら50cm。
50cmあれば赤の「玉縁」分も取れます。
※講習会で作る中級筥迫も同サイズですが、玉縁はギリギリ取れる感じです。
上の綸子と同じ調合で染めてもらっているのですが、綸子は紋に光が反射するので鮮やかな感じで、この精華パレスは反射がないのでもう少し落ち着いたマットな(2019.5.12)色合いです。
アンティークの筥迫などは、表布と同じ塩瀬を使っているものが多いのですが、塩瀬は横の畝がはっきりしているので、これが曲がらないようにホットメルト紙を貼るのに気を使います。
ということで私は通常この精華パレスを使っています。
要は八掛地ですが、今時こんな鮮やかな八掛地はないのでやはり染めてもらわけなれば手に入りません。
玉縁にも使える薄さですが、仕入先担当者曰く「モノはいい」らしいので、薄くてもしっかりした感じで、正統派内布といった感じです。
(そのうち「白の玉縁用」の精華も仕入れるつもりです)
これでやっと筥迫の赤布探しのストレスがなくなると心晴れ晴れのRom筥です。
赤は難しい
赤布なんて染めてもらわなくても、紅絹(もみ)や昔の襦袢がハギレでたくさん売っているじゃないと思われる方も多いと思いますが、いやいやこれを筥迫に使おうと思うとそれぞれ難があるんですよ。
まず袋物に紅絹は薄すぎてお勧めできません。
特に古いものは目打ちでスジを入れるだけで切れてしまいます。
力留めしようと思っても、力留めに耐え切れず留めているそばから裂けてしまいます。
昔の赤の襦袢は「地紋」が予想外の厚みになってしまうことが多く、襠物の袋物には特にお勧めしません。
それと私には赤い襦袢地に痛い記憶が、、、。
以前、お客様からのご依頼で白の筥迫を作っていた時、さあ出来たと最後に胴締めを本体に差し込んだところ、白の被せに胴締めの裏に使った赤布が擦れて薄っすらと赤色がついてしまったのです。
運良く消しゴムでこすっただけで落ちましたが、即現代物の赤布に貼り替えました。
あの時の怖さは忘れられません。
その時に赤という色は堅牢度が低いことを知りましたが、擦っただけでここまで簡単に色落ちするとは思いもしませんでした。
仕入先の担当者曰く、昔の灰汁媒染(あくばいせん)で染められていた物よりは今の化学染料の方が落ちにくいが、赤の中でも鮮やかな色に染めた場合は検品している段階でも手が赤くなるとのことでした。
「赤は止まらない」と何度も言っていました。(なんかイケイケGO!GO!な感じですね)
今回染めたものはそれよりも少し落ち着いた色ですし、仕入先には初めから「赤は色が落ちるから怖い」という話を何度もしているので、いつもよりは慎重に扱ったとのこと。
普通に扱うぐらいなら簡単には落ちないだろうとのことです。
そんなわけで、私は婚礼用の白の筥迫に限っては、内布に昔の赤布を使わずに今時の赤を使うようにしています。
日本人と紅白文化
一般の方からのお仕立てを請けなくなったので、私も最近は筥迫を作る機会が少なくなりましたが、それでも時々こんな赤の内布で筥迫を作ると、筥迫作った〜!という気持ちになります。
元々の発祥である江戸時代の筥迫は、別段、内布に赤を使う決まりなどありませんでした(どちらかといえば紫とか金茶とか?)。
現代の筥迫のように内布に赤が使われるようになったのは、維新後に筥迫が花嫁の装身具に特化した使われ方をしたためですね。
黒の振袖、白の筥迫、赤の志古貴というのが、昔の花嫁カラーでした。
現代で私たちが作る筥迫にはどんな色の内布を使ってもいいとは思うのですが、それでもやはり花嫁の筥迫に白を使うなら赤の内布は変えがたい。
以前「外国人が日本に長くいすぎた…と実感するとき」というのがネットで流行っていましたが、その中で
「赤の反対が白なんだと思い始めるとき」というのがありました。
そのぐらい日本人にとっての紅白は馴染み深い組み合わせです。
紅白の始まりといえば源平合戦で、源氏は白旗、平家は赤旗を用いました。
現代で運動会で紅白に分かれて戦うのも、ここから来ているようですね。
もちろん日本の国旗も紅白。
今から1300年以上も前のこと、天武天皇が新年に白地に赤丸を描いた旗のようなものを掲げたことが始まりとされているそうです。
紅白は「人の一生」「ハレとケ」を表しているとも言われています。
生はエネルギーの源で赤ちゃんの赤、白は死や別れを意味しているのだそうです。
面白い説として、室町時代に中国は日本向けの品物に目印として紅白の紐をかけていたのを、日本人は「献上品に紅白の紐」と受け取ってしまった。
それが紅白の水引のルーツになったということです(ただの目印だったのにね)。
最後に「紅白は花嫁衣装からきている」という説ですが、私はこれまで、白無垢に赤い色が添えられていることを「現代人は白無垢じゃ味気なくて色を入れているんだな」ぐらいに思っていました。
実際には白無垢には、白で統一する「白無垢」と、赤いふきのついた「赤ふきの白無垢」というものがあるということを今知った、、、(現代では色々なふきが使われているそうですが)。
赤ふきの白無垢が使われ出したのは幕末頃とのことで、やはり筥迫にとっての紅白使いは「赤ふきの白無垢」に影響されていることは疑いようもないようです。
赤という字には、多くの言語で「血」か「火」の色のどちらかの言葉から派生しているのだそうです。
日本では赤という字は人が火を用いて穢れ(けがれ)を祓っている形とされ、邪悪なものを寄せ付けない魔除けの色として使われてきました(これも世界に共通した特徴だそうです)。
筥迫の閉ざされた内面には、この魔除けの「赤」と同じく邪気を払う「鏡」が使われていますし、その相乗効果で相当強力な邪気が払えるということですね。
お嬢さんのハレの日の筥迫には、どうぞ魔除けパワーがふんだんに込められた筥迫で送り出してやってください。
(追記 2019.5.13)
花嫁筥迫が「魔除け」というのは私が勝手に言っていることで、昔から伝えられているというようなことではありません。
私的に筥迫の初めの印象が「不思議な形」→「中どうなっているの?」→「開けるの難しい(どうやって開けるの?)」→「中が赤に鏡!」→「この飾り(びら簪)なんの意味があるの?」→「怪しい!」というイメージがあったんですよ(笑)。
実用だった江戸時代の筥迫から、維新後に形骸化されていった中に、期せずしてこの魔除け的なイメージが入っていったんじゃないかというRom筥的勝手な解釈なので、「筥迫って魔除けなのよ〜」などと物知り顔で言わないように!
ただそう念じて作ってくださいということです(笑)。
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