『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
式部型小物入がやってくる
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    8月開催予定の「式部型小物入」です(申し込み開始:7月11日)。

    初めての講座ですが前評判はかなり良いようで(今年は一回)。

     

    ※小型の定家文庫といった感じです。

     

    先日まで型紙と作り方の資料を作っていたのですが、自分で試作を作っていた段階ではさほど難しさは感じなかったものが、「人に作らせる」ことを想定した途端、難度が増していきます。

     

    筥迫工房の講習会では「1日で完成させる」を基本としていますので、事前準備をしてもらったとしても、これを講習時間内に終わらせるためには「それなりの手の速さと理解力」が必要という結論に至りました。

     

    そこで、当初「中級」扱いだったこの講座を「上級」に扱いに変更させていただきます。

     

    本講座に申し込み希望されていた皆様には、以下の内容をお読みいただき再検討いただければと思います。

     

    いつもこんなことばかりで申し訳ないですが、新しい型は常に試行錯誤なのであしからずご了承ください。

     

     

     

    職人の技を再現する


    講習会で作る物は、既存の型を型紙におこし、その作り方までを全て私が作っているのですが、この小物入れは、大正時代の女子教育で使われていた教科書にも掲載されているものです。

     

    でもその本の型紙や作り方を資料に作り変えているわけではありませんよ。

    私は昔ながらのやり方では作れないので、あくまで現代人にわかりやすい考え方と材料で1から組み立てています。

    この本で参考にしたことと言えば「名称」ぐらいのもの(苦笑)。

     

    実際に参考にしたのは、アンティークの実物の小物入れです。

    つまり職人が作ったもの。

     

    職人が使っていた型紙も教科書に載っている型紙とさほど違いはないとは思いますが、彼らは文字にできないような工夫を其処此処に加えているので、出来上がりの姿が全く違う。

     

    だからこのような本で同じものを作ろうとしたところで、決して同じにはならないのです。

     

     

    私はその職人たちの手の技を現代に再現することを使命にしているので、昔の型紙よりもずっと精密に作っています。

    これはパソコンという文明の利器があってこそできることだと思っています。

     

    しかし精密に製図をしたとしても、それを作る人が正確に型に写し取ることができないと意味がありません。

    特にこの型はかなり微妙な線があったりするので、それを十分認識しながら型に写し取る必要があります。

     

    しかし何度講座に出ようとも、未だ正確に型取りできない人は多い。

    型取に対する意識の低い人にこの型を作らせることができるのか、そもそも正確に型を取れない人に細かい処理が理解できるのか?と考えると、どんどんと難しい物に感じてきてしまうのです。

     

    ※箱の内面が綿入れ仕立てになっています。

     

     

    受講の条件

     

    今回の式部型紙入れは他の上級講座のような課題はありませんが、あえて言うならば「縢襠付筥迫が楽勝で作れるレベルの方」に受講してほしいと思っています。

     

    そっちの方が難しい、、、ですか?

     

    しかし、難度のあるものを一定のペースで進めないと出来上がらないという内容の講座において、資料と首っ引きで筥迫を作っているレベルの人が受講してもついていけるか私には自信がありません。

     

     

    以前、講習会で「それなりのレベルに仕上げさせてくれるんですよね?」と言われたことがありました(怖っ)。

     

    講習会に行きさえすれば「作品」にしてくれる、未だにそんな気持ちで受講している方は多いと思います。

     

    しかし型の種類がここまで増えてきた現在、さすがにそんなやり方で続けていけるはずもなく、講習会のあり方も変わってきました。

     

    中級レベルまでならそれなりの仕上りにさせてあげることはできても、お世話をしなければできないレベルの人に、それ以上の複雑な内容を教えることはできません。

     

     

    今後の講習会に臨む私の心境は、

     

    「入門」「初級」では、子供(受講者)が道路に飛び出さないよう(失敗しないよう)常に目配りをする幼稚園の先生の心境。

     

    「中級」では、自分のことは自分でできる人間に育てようとする小中学校の先生の心境。

     

    「上級」では、もう生活面(基礎)の面倒は見ない。とにかく教えることに徹する大学の先生の心境。

     

     

    基本は理解しているだろうから、説明はあくまで簡潔に時間短縮(それぐらいでわかるだろう)、菊結びはもちろんできるだろうからレクチャーなし等々、、、筥迫を楽勝で作れるなら問題ないレベルだとは思います。

     

    ※背面

     

     

    あくまでも自己責任で

     

    できない人のレベルに合わせて考えるから難しくなるのであって、一定のレベルの人を対象とするならば問題なく仕上がる内容です。

     

    今後、上級レベルの講座では、作業が遅い人がいても、修正に時間がかかる間違いをしても、初歩的な説明が理解できなくても、進行具合によってはそこで立ち止まることなく、作業を進めさせていただきます。

     

    つまり最後まで出来なくても自己責任ということ。

    ついていけないと思った時点で、そこからは他の人の手を止めないよう、どうか静かに見学だけしてください。

     

    遠くから参加する方の多い講習会です。

    複雑な内容をたった1日で、一定の時間内に最後まで仕上げるための措置とご理解いただければ幸いです。

    (今回は初回なので、終了予定は18:00とさせていただきます)

     

    ※サイズは125 x 85mm 高さ50mm。

     

    以上、色々と脅してしまうようことばかり書いて申し訳ありませんが、上級はある程度の「基礎力」を身につけてから受講する、というように受講者の意識が変わってくれたら、将来的にもっと複雑な型も講座に増えてくるはずです。

     

    この条件でも何とか喰らいついて行こう、という意気込みのある方に是非参加していただきたいです。

    (不安な方は事前にご相談ください)

     

     

    ※本講座で使用する「打ち紐」は筥迫工房のショップでは扱っておりません。

    申し込みされた後に購入先を指示致しますので、各自購入いただき、下準備をした上で講習会当日にお持ちください(講習費とは別に1,400円+送料がかかります)。

     

    ※申し訳ありませんが、講習費、材料費が変更されています。ご了承ください。

     

     

    =======================

    「はこBOON」取り扱い終了

    =======================

     

    昨今の宅急便事情はご承知かと思いますが、筥迫工房の材料ショップでも先月末で「はこBOON」の取り扱いを終了いたしました。

    今後は「クリックポスト」と「ゆうぱっく」での発送となります。

     

    「クリックポスト」は最大厚み幅が「3cm」ですが、これを超えると「ゆうぱっく」扱いとなり一気に送料が高くなってしまうので、の値段は変わらないようですので、あえて宅急便指定がないようでしたら「最安発送方法」を選択いただいた場合は、「クリックポストの複数口(2〜3個に分ける)」、もしくは「定形外発送」との併用にさせていただきます。

     

    「確実性」「急ぎ発送」「時間指定」「まとめ発送」をご希望の方は「宅急便」をご指定ください。

     

     

     



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    【2017.07.02 Sunday 14:58】 author : Rom筥
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    組入れ 〜念珠入れ&くり口名刺入〜
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      4月10日訂正4月11日(0:00)です!)に申し込みが開始する『念珠入れ(5月6日開催)』ですが、急きょ『くり口名刺入』を組入れにすることに致しました。

      つまり念珠入れと一緒に名刺入れも作るということです。

      組入れとは袋物に袋物を「in」することです。

       

      こちらの講座名は『念珠入(組入)名刺入』に改称しました。(4/11)

       

       

      「なぜ念珠入れに名刺入れ?」と思っていませんか?

       

      それは、この型の本来の名称が「折襠付紙入」だからです。

       

      一般的に「折襠付紙入」といわれてもすぐにイメージできないと思いますので、現代では念珠入れとしてよく使われている型ということで、愛称的に付けてみました。

       

      つまり念珠も入れることができるというだけで、念珠入れ専用というわけではないのです。

       

      私はもっぱら懐中用に使っています。

      柔らかい芯を使っているので、体に添いやすく、薄く横幅があるので筥迫のように落としがなくても落ちることはありません。

       

      あくまでも自分の好きな物を入れればいいということでこの組入れになった次第です。

       

       

       

      組入れ

       

      これをなぜ組入れにしようと思ったかと言いますと、今年の刺繍教室の新年会で着物を着た際に、何気に作ったこの組入れが気に入ってしまったからです。

       

      どちらも貼り込み的には初歩の型なので、筥迫に比べれば気軽に作れるところがいい。

       

      私はこんな仕事をしていますが、実際に着物を着る機会なんぞ年に一度ぐらいしかない。

      だから自分のための袋物なんてほとんど作らない。

       

      そんな私なので、出かける前日ぐらいになって胸に入れる物がないことに気付き、慌てて出発前3時間ぐらいで作りました(苦笑)。

      まぁ自分用なんてそんなものです。

       

      布をじっくり探している暇などないので、とりあえず当たり障りのない生地を探し出し、これに前金具を付けて出来上がり(前金具の重さで被せが安定するので、懐中専用なら裏の留め具がなくても問題なし)。

      着物に合わなければ全懐中にすれば良し、ぐらいの適当さ。

       

      あとはお気に入りの3本立ちの「ぶら」を、こちらも組入れた「鏡」に付けて出来上がり。

       

       

      これで中にお札と少々の小銭、そしてスイカ(ICカード)。

      う〜ん、なんだか厚みが単調。

       

      元々、念珠という不定形なものを入れる目的で作ったこともあり、厚紙芯は使っても0.25。

      つまり、平らな状態だと魅力がない。

       

      ほんのり中央が膨れる(念珠を入れてちょうどいい)ぐらいの厚みがある方が格好がつくんだなこの型は。

       

      すでに念珠入れはできた。

      そしてまだ30分の猶予がある。

      30分で作れるものといえば、名刺入れでしょ!

       

      シンプルな念珠入れも名刺入れを組み入れれば、

      まぁすてき♡

       

      そう、袋物には「組入れ」という概念があった、ということをこれをきっかけに思い出したのでした。

       

       

      講習会で作る念珠入れは、あくまで念珠も入れられるように(つまりバッグインする目的で)留め具は必須。

       

      筥迫は単体で完璧な懐中物ですが、こんな派手なもの日常で使える場はそうそうない。

       

      実用できる懐中物というのは、ある程度どんな着物にも合って、そればかりが目立ちすぎてもいけない。

      尚且つ気軽に使いたい。

       

      でも凝った部分もなきゃつまらい(なんてわがまま)。

       

      だって懐中物だものハート

       

      「懐紙入れ」に「楊枝入れ」もいわば組入れになるわけで、昔の袋物なんて、やたら色々なものを組入れにしていました。

      こうなると、もう胸にバッグを入れているようなものです。

       

      いや、そもそも懐中物は胸に入れるバッグなのです。

       

      現代の着付けの仕方では、たくさん組入れにした袋物を懐中するほどの余裕はありませんから、せめて生地を揃えたものを2〜3点組入れにする、なんてのが乙なのではないかと思います。

       

      このように組入れすることによって、懐中袋物の楽しみ方は更に広がることでしょう。

       

       

       

      くり口名刺入れ

       

      くり口名刺入れの「くり口」とは、湾曲した口(物を入れるところ)のことです。

       

      この「くり口名刺入」は、昔の袋物細工ならどの本でも初めの初めに出てくるお決まりの型。

       

      こんな本ばかり見ているので、以前は袋物の基礎はくり口名刺入!という思いが頭から離れませんでした。

      しかし「名刺れの講習なんぞに誰が参加したいと思う?」という素朴な疑問もあり、見て見ぬ振りしていたのです。

       

      初心者には2〜3時間のワークショップの方が参加しやすいとわかっちゃいても、貼り込みは使う道具が多いので、それを名刺入れのために全て揃えてもらうのも何だし、ではそれを自分が全て用意するのか?と考えると、2〜3時間の講習費のためにあの大荷物を抱えていくのは無理、、、というのが単純な理由。

       

      とはいえ、この名刺入はいかにも貼り込みらしい作り方をするので、作るのはけっこう楽しい。

      講習会のどこかで作りたいという気持ちはあったので、念珠入れに組入れできれば好都合。

       

      念珠入れはシンプルすぎて、実用性はあるけれど萌え感に乏しい。

      でも名刺入れと組入れで一気に萌え度アップ!

       

      くり口に限らず、名刺入れにはとても楽しい細工を施したものが多いので、名刺入ればかりたくさん作る名刺入れマラソン!なんて講習会もいつかできたら楽しいなと思っています。

       

       

       


      「貼り込みの基礎」があってこその組入れ

       

      去年までの講習会であれば、念珠入れは初心者対象だったので、当日に念珠入れを作るだけで精一杯だったと思います。

      名刺入れを一緒に作ろうなどという発想さえなかった。

       

      しかし、今年からは基礎で金封袱紗をたくさん作ってもらうことにしているので、次の初級で名刺入れを組入れにしようという発想ができたのだと思います。

       

      入門の金封袱紗では、講習会で1点、自習用の教材が2点、懐紙挟みができる型も付いているので、自宅で最低これだけ作っていただければ、初級の念珠入れで組入れで作れるぐらいに手は慣れているはず。

       

      この金封袱紗は、貼り込みの基礎を学ぶことを第一の目的としてはいますが、単純な型でたくさん作らせて貼り込みというものに手を慣らしてもらう、そのレベルをもって次のコースに進んでもらう、という内容で考えられています。

       

      とはいっても、実際講習会で実践してみなければわからないことではあるので、セットで作ることによって時間がかかりすぎるようであれば、その次の講習会で単体に戻す可能性もあります。

       

      これが組入れとして成り立つかどうかは、5月6日の念珠入れ参加者の肩にかかっているというわけです(とプレッシャーをかける)。

       


      念珠入れにお札を入れる場合は二つ折りしなければ入らないサイズなのですが、これはこれでバランスがいい形なので、お財布というよりは携帯用にお金が少し入れられるぐらいに考えてください。

      お財布目的の型はまた別途考えます。

       

      それでも、お金や鏡、ICカードに名刺入れを組入れれば活用範囲は広がります。

       

      講習会費はほんの少しアップしますが(500円ぐらい?)、たぶんご満足いただけるとは思いますので、ご興味のあるチャレンジャーの参加をお待ちしております。

       

      もちろん金封袱紗はしっかりと復習してきてくださいね!

       

       



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      【2017.04.08 Saturday 18:55】 author : Rom筥
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      魅惑の『紅板』
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        前回のブログ「携帯道具入れ」で、秋乃さんの携帯化粧道具入れに不足しているものは「紅板」!と書きましたが、紅板をご存知ない方も多いと思います。

         

        私も久々に思い出したので、今回はこの『紅板』について書こうと思います。

         

        これが紅板です。

        サイズは52 x 97mmと、ほぼ名刺サイズぐらいという小さなものです。

         

        べに-いた【紅板】

        江戸時代の携帯用の紅入れ。二つ折りの板に漆を塗り、紅を載せた。

        薄い箱型のものもある。装飾に技巧を凝らした。

        (引用:ことばんく)

         

        中を開くと玉虫色の面が現れます。

        この玉虫色が紅花から抽出された日本伝来の紅です。

        紅筆に水をつけてこの玉虫色をこすると、とたんに真っ赤な色が現れます。

         

        お猪口などの内側に刷(は)かれた紅を見たことがある方もいらっしゃるとは思いますが、紅板を知らない方は多いと思います。

         

        お猪口の紅を携帯するわけにはいきませんので、外出の際はこのような紅板を携帯したのです。

        袋物に入るように作られた形だと思いますので、筥迫にも確実に入っていたと思われます。

         

        江戸時代、この玉虫色の紅は同じ重さの金に匹敵する価値を持つ高級品だったそうです。

         

        まるでサフランのようですが、実際にはサフランの方が高価なので、海外ではサフランと称して(騙して)紅花が売られていることもあるのだそうです(こちらは現代のお話)。

        外国などでサフランを買う際は注意が必要かもしれませんね。

         

        日本で洋風の口紅が一般化したのは大正時代に入ってからのようなので、この紅板も相当古いものだと思います。

         

        この玉虫色は空気や湿気によって劣化してしまうらしいので、現在に至るまでこの玉虫色が残っているということはかなり保管状態がよかったということらしいです。

        これからもビニールでしっかり密封して大事にせねば。

         

        この紅板は4面になっているので、お猪口などに刷かれたものよりは面積が広いということは、更に高価だったかもしれませんね。

         

        伊勢半でも以前この紅板を販売したこともあるようですが、現在は販売されていないようです。

        小町紅『板紅』ざくろ

         

         

         

        おまけの貴重品

         

        私がこの紅板を入手したのはあくまで偶然で、昔ヤフオクで何かの袋物を落札した際に、その袋物に付属されていたのです。

         

        出品した方もこれが紅板というものだとは知らなかったのでしょう。

        掲載画像の中に玉虫色のものが袋物の部品の一部のように映っていたので、この袋物になぜこんな色の部品があるのかと不思議に思いながら落札したのです(あくまでもその袋物が欲しかっただけ)。

         

        実際に手元に届いた時に、別物の同梱物だということがわかりました。

         

        開いてみると紙入れのようでもあり、それにしては小さすぎるし、何よりこの不気味な玉虫色(!)の紙を使う意味がわからない。

        そこで、お約束のSAKURAのyayaさんにお問い合わせ。

         

        「ちょっと水をつけてこすってみて。

         赤い色が出たらそれは紅、

         つまり「紅板」だと思います。」

         

        指先にちょっと水をつけてこすると、うわっ赤が出た!

        初見で不気味と感じた玉虫色が、正体がわかって一気に魅惑の玉虫色に変わった瞬間でした(笑)。

         

        こんな感じです↓

        小町紅の使い方

         

        骨董の袋物の中には、おまけのように面白い同梱物が入っていたりします。

        袋物は物入れですから、元々の所有者が使っていた状態で流れてくることが多いというわけです。

        これはお目当の物より貴重なおまけが入っていたというレアケース。

         

        最近まで持っていたことをすっかり忘れていたのですが、今回の謎のケースのおかげで思い出し、サンプルの山から探し出した次第。

        お宝がやっと日の目を浴びました。

         

         

        菊置上の装飾

         

        さて、引用でも紅板は「装飾に技巧を凝らした」とありましたが、こちらは「置上(おきあげ)」という技法で装飾されております。

        置上とは、胡粉を塗り重ねて立体に仕上げるレリーフですね。

         

        特にこの菊をモチーフにしたものは「菊置上」と呼ばれています。

        この菊置上は、アンティークの白木の有職雛道具の装飾によく見かけるので、お雛様好きには馴染みのあるものです。

        もちろん「菊置上」で検索すると、その他のお道具でも色々なものを見る事ができます。

         

        日本画の世界では「盛り上げ胡粉」ともいうようですが、筥迫の刺繍も盛り上げてナンボのものなので、なんだか親近感を感じてしまいます。

         

        美都木洋子さんの胡粉盛上彩色の作品などを見てはソソられる私。

        いつか置上の筥迫なんて作ってみたいなぁ。

         

        これからの人生、貼り込み以外のことに興味を持たないようにしようと強く心に誓ったはずなのに、日本の工芸品には素敵なものが多すぎるのよ、、、沈

         

        こんな文化を共有し誇りに思えるなんて、日本人に生まれてホント幸せですね、皆さん!

         

        (紅板の裏面)

         

         



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        【2017.02.27 Monday 00:25】 author : Rom筥
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        携帯道具入れ
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          先日、秋乃ローザさんから「謎のケース」についてお問い合わせをいただきました。

           

          なにこれ??

          可愛くて小さい小物で、サイズ的にちょっと和装の花嫁さんの小物アクセサリーの筥迫に似ていますけど、、、(秋乃さん)

          ※画像は秋乃さんに許可を得て掲載させていただいております。

           

           

          最近このケースを手に入れて、筥迫かと思ったものの違うようでもあり、何だろうと調べているうちにこのブログにたどり着いたそうです。

           

          実は私もこのケースを持っています。

          そうですね、確かに筥迫ぐらいの大きさ(12.5x8cm)ですが、厚みが3.5cmあります。

           

          私の場合はこれを使うとかコレクションするとかが目的ではなく、あくまで筥迫の資料として入手しました。

           

          何が筥迫に関連するのかと言いますと、その昔、江戸型筥迫には、七つ道具が納められていたという記述があり、これがその七つ道具に近いと思ったからです。

           

          御台所以下襠(かいどり)を着くるものは いづれもハコセコを懐中す(中略) 之を被く(ひらく)に矢張(やはり)紙入と同じく一半は形箱(箱の口は内方に向かう)の如くに作り 一半は黄金色又は紫などの繻子裏を附け 其上へ縮緬物等にて花形などの挿込みを数所に縫い付け 之に七道具というを挿す 七道具といふを挿す七道具は錐(きり)、簪(かんざし)、鋏(はさみ)、小刀、楊枝(ようじ)、尺(さし)、型付なり 又箱の中には紅、紅筆、懐中鏡、薬入などを蔵す

          (千代田城大奥)

           

          私は仕事柄、江戸期の筥迫を見る機会が多いのですが、それでもこの差し込み式の筥迫は見たことがありません。

          ほとんどが「一つ口」の単純な型ばかりです。

           

          しかしこれは「千代田城大奥」の中の様子をおさめた書なので、もしかしたら挿し込み式の筥迫は一般的ではなく、お目見え以上の姫君やお女中が作らせたものに限定していたとも考えられます。

          大名家なんぞの持ち物に負けたくない!格の違いを見せつけてやるわ!という気持ちはあったとも思いますし。

           

          自分なりに必要な物=七つ道具であったと思いますので(七に限ってはいないと思う)、これもあれも必要〜、でもぐちゃぐちゃになりそうだからうまく収められるように作って〜♡というノリで発注したかもしれません。

           

           

           

          それでは私のお道具入れを見て見ましょう。

          同じようでいて中身が違うのが興味深い。

          私がこれを入手したとき、(下から)「小刀」「錐(きり)」その下に「鏡(裏返っている)」「鋸(のこぎり?)」「毛抜」「櫛」「薬入れ」「楊枝(ようじ?)」と思っていました。

           

          小袋は7x2.5cm厚1cmほどの被せの付いた袋の中に、指先ほどの極小の蓋つき小箱が二つ。

          たぶんこれは現代のピルケース「薬入れ」でしょう。

           

          足りないものは「白粉入れ」か?(にしては刷毛がない)

           

          これを検証すべく、お馴染みSAKURAのyayaさんにお伺い。

           

          「鋸(のこぎり?)」と思ったものは「剃刀(かみそり)」でした(たしかにギザギザはない)。

          ついステイショナリーとして使うものかと(笑)。

           

          yayaさんのお母様が「竹を巻いたうぶげ屋の剃刀」をお持ちだったとのことで、かなり最近まで使われていた形なのだそうです。

           

          扇型の物は、先が微妙に尖っていたので「楊枝?」と思ったのですが、「裏がヤスリのようにも思いますが」(yayaさん)と言われ裏を返すと、たしかにヤスリのようになっていました。

          秋乃さんからも「ネイルファイルでは?」と言われて、そんなハイカラなものなかったと思います〜と言ったのですが、あったんですね「爪ヤスリ」が。

           

          ちなみに「御殿女中(中公文庫)」によると、「お爪は辰の日に取りました。」とあります。

          「取る」って、、、???

           

          調べてみると、江戸時代の頃は爪を鋏では切らず、庶民は「ノミ」、もうちょっと上の人たちは「短刀」を使ったそうです。

          とすれば「小刀」はそのためのものかしらん。

           

           

          そして「錐(きり)」は一体何に使ったものなのでしょう?

           

          yayaさん曰く、錐は短い物を留めるものに使うとのこと。
          香道具に「鶯」と言うお道具があるそうで、先が尖っている物を鶯というのだそうです(yayaさんは香道の先生)。

           

          お香で使う鶯は、挿して香包みを留めるものなのだそうですが、これが錐なのではないかとのこと。

          和綴じの穴を開けたり、安全ピンのようにも使えたかもしれないとのことです。

           

          しかしながら、この錐挿しと差込の幅が合わないところを見ると、後から入れたものではないのかしらん。

          なんとなく生地の柄も全体にマッチしていないような気もするし。

          とはいえ、後から追加したと考えてみても、やはり錐は必需品だから加えたと考えられるでしょう。

           

           

           

          秋乃さんのお道具はハイソというかハイカラというか、私のお道具は時代もちょっと違うかもしれませんがかなり庶民的というか。

          もしかしたら梅・松・竹ぐらいのレベルに分けられていたとも考えられますね(笑)。

          ちなみに、秋乃さんのお道具は約100年前(大正時代)ぐらいのものだそうです。

           

          さて、最大の謎はフォークのような櫛のようなもの(私のは三本足、秋乃さんのは二本足)

          さすがのyayaさんも、秋乃さんの方は「フォークにしか見えない、、、」らしい(苦)。

           

           

           

          謎は深まるばかりなので、同じようなお道具を展示している伊勢半の紅ミュージアムへ行くことにしました。

           

          ありましたよ、同じようなものが。

          紅ミュージアム 化粧道具入れ

           

          そして鋸のような剃刀も実物が展示されていました。

           

          こちらの化粧道具入れには「粉白粉入れ」「刷毛」「紅入」があるので、秋乃さんの化粧道具入れに近い。

           

          紅ミュージアムに同行してもらったUさんと、その後合流したOさんと再度検証。

           

          私は秋乃さんのお道具にある「小瓶」を「香水入れ」と思っていたのですが、Oさん曰く、白粉を使うための水(?)ではないかとのこと。

           

          また、秋乃さんと紅ミュージアムのお道具は完全に「化粧道具入れ」なので、そこにフォークが入るのはあり得ない。

           

          私のお道具は化粧道具入れというよりは「グルーミングセット」に近いらしいけれど、そこにフォークが入るのも解せない。

           

           

          後日、紅ミュージアムからご連絡をいただきました(ありがとうございます!)。

           

          「他の化粧道具から推察するに、水白粉の瓶ではないか。

          水白粉を塗った後、粉白粉を刷毛で叩き込むようにして仕上げる、という化粧の過程がありますが、それに必要な道具が揃っているように見受けられます。」とのこと。

           

          これら3つのお道具入れに入っていたフォークのような、櫛のようなものは、やはり「櫛」だそうです。

          たぶん「後れ毛を直す程度の簡易な櫛ではないか」とのこと。

           

          そして、紅ミュージアムのお道具の二股のものは「毛抜」で、反対側に「耳かき」が付いています。

           

          私のお道具にあった小さなケース入れは、中に仕切りがある仕様から薬入れと考えて間違いないそうです。

          昔の人の作る物は、細かい仕事をしている私から見ても細かい、いや細かすぎる、、、。

           

           

          ところで、秋乃さんはブログでこれを「筥迫でした」と結論づけられていましたが、申し訳ありませんがこれは筥迫ではありません。

           

          江戸時代の七つ道具が入った筥迫は、現代の筥迫とこの七つ道具入れがドッキングしたような形だったというだけです。

           

          筥迫は、コスメ、グルーミング、ステイショナリーなどのものが詰まった、現代のシステム手帳ならぬ、システムバッグのような機能があったということです。

           

          これらのことから、秋乃さんのお道具に不可欠な物として「紅板」があったはず。

          刷毛の下の板は紅板じゃないのかな〜、でもこんな形の紅板があったんだろうか???

          (私は「紅板」だと思っていましたが、紅ミュージアムでは「板紅」と呼ばれていました)

           

           

          ということを頭に入れた上で、秋乃さんの元記事をどうぞ。

            ↓

          アンティーク謎のケース、、、これに詳しい人誰かいない?

           

           

           

          さて、もうすぐ雛祭りですが、昔の雛道具に「十三揃い」というセットがあります。

          この中に「お歯黒セット」というものがあり、現代人には全く馴染みのない不思議なお道具なのですが(古い雛道具の世界ではメジャー)、この実物が紅ミュージアムにありました。

          いつも小さいお道具ばかりみていたので、小さいお道具に目が馴染んでいたせいか、本物を見てつい「デカっ」と呟いてしまいました(笑)。

           

          板紅に付き物の「紅筆」も携帯用の「押し出し式」があって、一瞬「オーパーツか?」と思うほど現代のものにそっくりでした。

          江戸時代から日本はこんなものを作っていたのかと思うと驚きですね。

           

          紅ミュージアムにはいつか行ってみたいと思っておりましたが、漠然と見に行くのと、一つの物を意味を持って見にいくのでは面白さが全く違います。

           

          紅ミュージアムには今回の化粧道具入れとは別に、私のような人間にはよだれが出てしまいそうな別の袋物があり(定家文庫もありました)、Uさんと盛り上がってしまいました。

           

          こちらの実物が見たい方は、是非『紅ミュージアム』へ。

           

          素敵なポストカードも有。

           

           

           

          このお道具を手に入れたときも、持っているだけの資料として詳しく調べようという気にもならなかったので、こうした機会をいただいて秋乃さんには心より感謝申し上げます。

           

          また、紅ミュージアムの皆様、ご親切な解説をありがとうございました。

           

           

           

          最後に、

          携帯化粧道具入れは「ポーラ美術館」にもあります。

          婦人持ち旅行用化粧道具入れ(明治時代)

           

          こちらは裁縫道具も入っていますね。

          弘法さんと私(七つ道具)

          小針セットと合わせた物が普通のようで、糸巻きもあるはずです(yayaさん)

           

          化粧道具入れは、また別のおもしろい形のものもあるのですが、これはまた別の機会に〜(いつもこればっかり)。

          ホント昔の日本人の考える物って、奇妙で心惹かれる物が数多くあります。

           

           

          何だかむくむくと自分専用の道具入れ作ってみたくなりました。

           

           

           


           

          講習会申し込みわかりずらくすみません、、、

           

          前回、講習会の申し込み方法を変更したものの、「申し込み方法」画面から「申し込み中」画面に切り替えてしまうことで、申し込み方法の画面から行こうと思っていた人が行けないという事態になってしまいました。

          本当に申し訳ありません。

           

          今後は「申し込み方法」画面も、「申し込み中」画面も同時に出るような状態にします。

           

          ちなみに、次回の講習会「3/25三段口扇襠筥迫」の申し込みが2月20日の0:00〜はじまります。

           

          これによって「ハサミ入れ&指貫」の申し込み画面が出なくなりますが、実はあと1席残っています(実はこれは9名募集なのです)。

          参加ご希望の方がいらっしゃいましたら、お問い合わせからご連絡いただければと思います。

           

          よろしくお願い申し上げます。

           

           


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          【2017.02.18 Saturday 14:33】 author : Rom筥
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          『懐中袋物』を考える(2)
          0

            『懐中袋物』を考える(1)

             

            「箱」か「筥」か

             

            皆さんはカバンを床に置くことを是としますか?非としますか?

             

            その昔、私がトートバッグを床に置くのを見て、友人からたしなめられたことがあります。

            あなたがバッグを机の上に置くほうがずっと汚いでしょ!と言い合いになりました(笑)。

             

            バッグの扱い方は人それぞれ価値観の分かれるところです(結局椅子の上が一番平和ということだ)。

             

            これは物を保護するための「箱」と、箱そのものに価値のある「筥」に通じるものがあります。

             

             

            懐中物は、懐中で保護されながら大切に扱われるものです。

            傷つけたくない、汚されたくない、盗まれたくない、忘れたくないという思いが、自然と懐中へと導かれます。

             

            NHKの連続テレビ小説「ごちそうさん」で、め以子が戦争に行った悠太郎の手紙を常に懐中し、和枝は無くなった子供の着物で作ったお守袋を懐中していたのを思い出します。

             

            着物は懐中に物を入れやすく、大事な物もまた懐中に入れようとします。

            着物の独特の文化ですね。

             

            びっしりと刺繍があしらわれた紙入れなどは、バッグの中に入れてしまうと他の物とぶつかり、こすられて痛んでしまいそうですが、懐中ではしっかりと固定されているのでそんな心配はありません。

            人によってはそれを更に「外入れ」に入れるのですから、どんなに大事に扱われていたんでしょうね。

             

            維新以降も、バッグがまだ嚢物と言われていた時代は、大事にネルに包んで保管されるような物だったと聞きます。

            現代では、私のような無作法者がバッグを平気で床に置く(苦)。

             

             

             

            実用と装飾を分ける意味

             

            スマホは現代の人の生き方を象徴するようなものです。

            いつでもどんなところにいても人とつながることができる。

            呼び出されたら即応じるのが当たり前。

            頻度がある分、耐久性が必要とされます。

             

            そのスマホを筥迫に入れたら、主役はスマホであり、筥迫はただの外入れです。

            スマホに合わせて、慌ただしく出し入れされる筥迫。

            外入れにした時点で筥迫は「箱」となり、その素敵さ、特別感は確実に薄れてしまいます。

             

             

            生活の中に実用性は欠かせないものです。

            時代によって柔軟に変化するものでもあるので、その形が名残を残す程度になってしまうこともありがちです。

            だからこそ、装飾のみで存在を残す物には「文化を保つ」という違った意味があるのだと私は思います。

             

            年月が経ち、たとえボロになろうとも、「これは捨てるものではない」と人に言わしめるもの。

            筥迫は何を言わなくても人に訴えかける特別感があります。

             

            紙入れが姿を消したにも関わず筥迫が現代まで生き延びられた理由は、あえて実用を求めず(時代に合わせて形を変え)ない装身具に割り切った結果なのです。

            意味がなくなったことで人々の記憶に深く残る装身具となったのです。

             

            そういった意味では、「仕覆」の世界こそ袋物の価値を現代でも保ちながら、茶道の所作があってこそ実用として使われるという、大変理想的な文化の残し方ではないかと思います。

             

             

             

            弱くはかないものを懐中するということ


            私が教える「裂仕立て」の「貼り込み」は、美しく造形をするように袋物を作り上げていきます。

             

            ただし、

             

            ミシンで縫ったものより「弱い」です。

            縫ったものとは違って「洗えない」です。

             

            革製品や合皮、ビニール素材に慣れている現代人が、繊細な絹の布や古い縮緬を同じような感覚で使えば、簡単に布は擦れてしまいます。

            現代の袋物と違って、昔の袋物は弱くはかないのです。

             

            お気に入りのものができたら、自分の気持ちを明るく変えたい日などに限って使う。

            どうしても毎日使いたいのであれば、ほぼ一年で作り変えなければならない、ということを覚悟の上で実用するべきなのです。

             

            裂仕立ての袋物においては、自分がどのように使うかを考えた上で布を選ぶことも大切で、古い縮緬で実用の物を作ることは大変リスクのあることだと認識して扱う必要があります。

             

            バッグの中に入れれば、他の物と擦れあいシェイクされてしまうので、劣化を避けたいなら是非懐中に(それでも頻繁に出し入れすればすぐに劣化する)。

             

            現代人からすれば、すぐに劣化してしまうものに手間をかけて作ることは「使えない」と扱われ、裂仕立ての貼り込みは廃れてしまったのでしょう。

             

            安易に作った物は安く売られ、雑に扱われる。

            だからこそ、劣化しにく革が重宝され、ビニール素材に進化し、物が頑丈に作られるようになってきました。

             

             

            それでは、壊れやすいからこそ物を大切に扱う、という価値感はなくなってしまうのでしょうか。

             

            惜しみなく手間をかけて作られたものは大切に使われ、ハレの日に使われる。

            作ったものからそのような思いが感じられるためにも、「裂仕立て」の「貼り込み」は手間を省いて安易に作ってはいけないのです。

             

             

            大切に胸の中に納めるという意味において、洋服にはない着物独特の「懐中」するという行為。

             

            昔の人は着物を着てこんな価値観で生活をしていたんだなと感じられるところに、現代で懐中物を身につける意味があるような気がします。

             

             


             

            ==============================

            講習会の申し込み方法が変わります

            ==============================

             

            3月5日開催の「糸切ハサミ入と指貫 」の申し込み開始が

            2月14日0:00〜始まりますが、今回から講習会の申し込み方法が変わります。

            詳しくは「講習会申し込み方法 」をご参照ください。

             

             

            今年から講習会の道具類は全てご持参いただくことになりますが、意外や「フエキ糊」の入手に苦労されている方が多いようです。

             

            うちの近所では簡単に手に入るものなのですが、地域によってはヤマト糊しか販売されていなかったり、一般サイズの100gチューブがなくてやたらと大きなチューブを持ってきたり、かさばるボトルタイプを持ってきたり。

            皆さんが苦労されている理由は、アマゾンで買うとこんな安いものに送料が500〜600円もかかってしまうからなんですね(汗)。

             

            ということで、ショップで扱うことにいたしました。

            ただし、仕入れてまで扱いたくないので、私もまた近所の小売店で買ったものを販売しているという意味で割高です。

            近くで買える方はどうぞ適正価格で。

             

            ドットライナーアクリル紐はさすがにどこでも売っているだろうと思いましたが、こちらはセットを販売するのに仕入れていることもあり、こちらも現在ショップで扱っております。

             

            ↓ 必要な方はこちらからどうぞ。

            筥迫材料販売:副資材

             

             




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            【2017.02.12 Sunday 13:26】 author : Rom筥
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            『懐中袋物』を考える(1)
            0

              筥迫はハレの日の装飾、主役を限定するシンボルなど、現代では特別な用途に定着し、普段使いの実用からかけ離れた存在になっています。

               

              しかし、私が筥迫作りを始めた頃から「筥迫を実用したいんです!」という人たちが多くいたので、昔の筥迫を参考に復元しながら、実用的な筥迫や紙入れを作ってきました。

              その中でも依然として「筥迫をスマホケースに!」という要望は多い。

               

              カルトナージュの人たちが形を真似て作っているので、それで作ればいいじゃないのと思っているのですが、あくまで貼り込みで、限りなく本物に近い筥迫をスマホケースにしたいのだとおっしゃいます。

               

              しかしながら、筥迫にスマホを入れることは用途が違うとしか思えない。

               

              これまでその明確な答えが出せなかったのですが、私は最近、懐中袋物のあり方にその答えがあるのではないかと考えています。

               

               

              昔の物を現代に当てはめる

               

              以前Aちゃんが筥迫型のポシェットを作って、皆で大ウケしたことを思い出しました。

              いや、いいんですよ、自分の用途に合わせて作りたいと思うことに、私は否定もしなければ問題にもしない。

               

              それでも、念珠入れに紐を通してポシェット使いできないか?という「お問い合わせ」で聞かれれば、「何を入れるか」「外に使うか」によって、選ぶ布も芯材も変わってくるので、それがわからずに元の作り方で作るのはどうかと考えます。

               

              筥迫の形でバッグとして使えるようにできないか?というお問い合わせをいただいたこともあります。

               

              江戸型の筥迫ぐらいなら、持ち手を付ければパーティーバックとして使うことはできるのでは?と答えたのですが、その方はあくまで一般的なバックの大きさがご希望とのこと(A4が入るぐらいってこと???)。

              それを持っている人を想像して電話口で大爆笑してしまいました。

               

              人はそれがなぜ作られたのか、どんな背景で使われていたのかを考えずに、現代で使う身近な物に安易に当てはめて考えがちだということです。

               

               

              「外入れ」が必要な袋物

               

              江戸時代まで、日本人は袋物を手に持って下げる、という文化がほとんどありませんでした。

              着物はたくさんのポケットがあるので、必要もなければ発想もなかったのでしょう。

               

              色々な身分の人が袋物を身につけていたと思いますが、特に金持ちの商人などにより、煙草入等の提げ物や懐中物は絢爛豪華な発展を見せます。

              自分の財力を見せつけるための大事な装身具でした。

               

               

              先日、この時代の紙入れ(相当出来のいいもの)を見せられ、これと同じものができないかと相談を受けました。

               

              完全に同じとはいかなくても、似たものは作れると思いますよ、「外車を買うぐらいの資金があれば」と答えるとびっくりしていました。

               

              いくら現代でブランドバッグが高いとは言っても、所詮は既製品です。

              この時代は全ての部品において、オーナーの趣向に合わせて一つずつ誂えで作るのですから、現代でいえば車を買えるぐらいのお金はかけていたはずです。

              なにせ、金唐革の煙草入れで家一軒分と言われていましたから。

               

              革もあったとはいえ、やはり布製品が主でした。

              布の宿命は雑に扱えばすぐに擦り切れるということ。

              実用品とはいえ、高額な物の扱いは相当慎重だったでしょう。

               

              ですから、紙入れを保護する「外入れ」というものもありました。

              それこそスマホケースのようなものです。

              燕口も外入れです。

               

              また浮世絵の中に、紙入れそのものに懐紙を巻きつけて、帯に差し込んでいる女性の絵があります。

               

              紙入れであるにも関わらず、紙入れを汚さないために懐紙を巻いていたのです(これじゃ紙巻だ)。

               

              現代人からすれば本末転倒にも思えますが、これが高価な物を実用するということなのです。

               

               

              フランス刺繍にサテンステッチというものがありますが、糸を長く渡すと引っ掛ける可能性があるため、日本刺繍では長く糸を渡すときは、見えないように数カ所止めをしたり押さえをしたりします(だから恐ろしく手間がかかる)。

               

              しかし江戸時代の筥迫を見ると、3cmぐらいの長さでも押さえをしていません(汗)。

              上から模様としての糸がわずかに押さえている程度。

              これで胸から出し入れして、刺繍を引っ掛けないとは、、、。

               

              筥迫を持つことができる高位の女性は、頻繁に使うものはお供の者が用意しますし、急いで実用のものを使う環境にはない。

               

              筥迫は実用品が入っていたとはいえ、圧倒的に装身具としての意味合いが強かったので、見せびらかしのためにあえて中の物を使ったり、時々開けて喜ぶようなおままごと的な扱いであったろうと私は考えています。

               

              つまり、それなりの人がそれなりに使ってこそ、押さえのない刺繍の筥迫が扱えたのです。

               

              持つべき人が持つ。

               

              現代人が思う実用とは感覚が違うのです。

               

               

              (次回(2)へ続く)



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              【2017.02.04 Saturday 18:39】 author : Rom筥
              | その他の袋物 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              貼り込み的『指ぬき』
              0

                突如「指ぬき」を作ってみた。

                 

                「袋物」じゃないけど、貼り込みで作った指ぬきということで。

                 

                 

                以前から買いたいと思っていた「やさしい昔の針仕事」(日本ヴォーグ社)をちょっとしたきっかけで入手。
                 

                 

                手芸本は数々あれど、縫い物中心の物が多いのでなかなか買う気にはならないのですが(これ以上手を伸ばしたくないという理由から)、これはけっこう自分的にはそそられる内容でした。

                 

                「針仕事の道具」の章には、針刺しやお針箱などが載っていたのですが、表紙の端切れで作る「指ぬき」には特にそそられる。

                 

                かわいいし、簡単そうだし、ちょっと作ってみようか。

                あら、かわいらしい ちゅんハート

                土台は加賀指ぬきと同じ作り方なのね。

                 

                残り布で作れる指ぬきだったら惜しげなく使えそう。

                そしてまた端切れが捨てられなくなると(苦笑)。

                 

                ちょっと単純な作り方だったので、少し貼り込み的な技法を加えて、こんな感じに仕上げてみました。

                加賀指ぬきのイメージで立体的に仕上げたので、膨らみが強調されて更にかわいくなりました。

                 

                本では内側に縮緬を使っていましたが、指通りを考えて綸子や錦紗のようにつるつるした生地を選んでみました。

                 

                一番上側にあるのは私が愛用している皮の指ぬき。

                オリジナルは針の当たる部分が狭いので、この皮の指ぬきの長さに合わせて調整してみたところ、ぐっと使いやすくなりました。

                 

                皮の指ぬきは高いので、この一個を大事に使っているのですが、時々行方不明になるとイライラしてしまうほど指ぬきがないとダメ。

                でもこれなら感触が近いし、簡単に作れるので、なくなってももう大丈夫だ〜。

                 

                 

                「指ぬき」と「ハサミ入れ」をお揃いで作ったら超絶かわいいだろうと思いますが、急ぎ仕事が溜まっているので今日はもうこれでおしまい。

                 

                指ぬきはさすがに「携帯裁縫用具入」には入りませんが、自分用に作っている「雅籠型裁縫道具入」には、指ぬき専用の場所があるので(加賀指ぬきのY.Nさんからのアイデア)、貼り込みで指ぬきまで作れるとなればもう完璧です。

                 

                雅籠と中の仕切りの作りにまだ難があるので、もうちょっときれいに仕立てられるようになったらいつかブログでお披露目します。

                講習会ではけっこう好評なので、いつか講座に加えてもいいかなと思っていますが、1日で作るには難しいレベルなのでどうしようかと思案中。

                 

                それなのに、ハサミ入れやら、こんなかわいい指ぬきまでお揃いの布で作ろうとしたら、全部出来上がるのにどれだけ時間がかかるんだ?

                 

                裁縫道具入れは「大人のおままごと箱」だからしょうがないんですけどね。

                 

                仕事の合間のほんのお遊びでした。

                 




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                【2016.07.08 Friday 17:39】 author : Rom筥
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                名刺入付覚書帳(和綴型)
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                  私が作ったものには珍しく自立している作品です(笑)。

                  こちらは来月(6月)開催の講習会『名刺入付覚書帳(和綴型)』です。

                  こちらの講習申し込みは少々すったもんだがありまして、やっと開催の目処が立ちました。

                  「初めて講習会に参加しようと思うのですが、初級レベル(携帯裁縫用具入や念珠入れ)の予約が取れません」と常々言われていたため、今回は筥迫コース受講者は申し込み不可と制限をかけてみました。

                  しかし、そうなるとなかなか申し込み人数が集まないというのが難しいところ(苦)。
                  やっと人数に達したと思ってもキャンセルが相次ぎ、あわや中止か、、、という状況でしたが、やっと最近人数に達しました。

                  予約が取りずらいと言われると色々と考えてしまうのですが、定員に埋まらないことも多々あるので、あくまでもタイミングということなのでしょう。
                  キャンセルもよく出るので、一応お問い合わせいただければと思います。


                  開催が決定して安心したものの、資料(教本といえないレベルの説明書)を作っていなかったことを思い出し、資料作りのための試作を繰り返すうち「外題がないと和綴の格好がつかない、、、」「留め具がないと中途半端に開いていて格好悪い、、、」と改良が始まり、なんだか「超初心者」対象と言えないシロモノになってしまいました。

                  まず「外題」の存在。
                  外題(げだい)とは、表紙に書名を書いた紙を貼り付けたものです。
                  題箋(だいせん)ともいいます。

                  外題は和綴製本したものに紙を貼りつけるだけなのですが、この型に紙を貼るわけにもいかなし、かといって布を切り付けるだけなのもちゃちな感じだし、ということで当初は外題は付けない方向で考えていました。

                  しかし、和綴に外題がないのは様にならない、と今更考えてしまったわけです。

                  そこでふと池田重子さんのお母様が作られたという和綴型の袋物があったことを思い出しました(アシェット婦人画報社発行 日本のおしゃれ『袋物』池田重子コレクション)。

                  この本の和綴型には、外題が「切り嵌め(きりばめ)」で作られていました。

                  そうだ、この手があった!

                  ということで、切り嵌めで外題を作ると、なんとぴったり!
                  外題があるとないとでは雲泥の差です。

                  簡易な切り嵌めにしていますが、それなりに細かいので、ちまちまとした貼り込み作業が好きな方にはたまらない楽しさです。


                  次に「留め具」の問題。

                  中に名刺入れが付くので開きやすいことが大事。
                  しかしそれだと反開き状態になるのが問題でした。

                  ではどうするか?
                  留め具(笹爪)でしょう(笑)。

                  これで全て解決。
                  しかし細かい作業が増えて難度があがってしまいました。
                  (どうしても凝ったものが作りたくなるのが私の悲しい性)

                  次回からは普通の初心者コースにしておきます。ごめんなさい。


                  表を開くとカードが1枚入る段口とメモ帳。

                  ここにカードを入れることによって、メモ帳が固定されるという仕組み。

                  当初このメモ帳はコピー用紙にホッチキスで簡単に作ったものを使っていたのですが、これでは美しくない、、というご意見をいただき、懐紙を中綴じにして作ることにしました(ここで更に手間が増す)。

                  最近、懐紙をメモ帳として利用する、という考えにはまっています。

                  以前「懐紙入れを作って欲しい」と言われた方がいらっしゃったのですが、茶道をやる人以外懐紙なんて使わないでしょ?と思っていたところ、「懐紙はメモとしても使えるので、一緒にペンを入れられるようにしてほしい」と言われました。
                  これが私的には目からウロコだったのです。

                  懐紙は透かしがあったりで、ただコピー紙をまとめるだけよりずっと美しい。
                  ということで、今回のメモ帳部分も懐紙を使って仕上げています。

                  裏側が名刺入れです。
                  やっと袋物的な部分が出てきた(笑)。
                  名刺は6〜7枚入るように作っています。

                  名刺入れ部分は袋物の基本となる「くり型」にしています。
                  貼り込みの名刺入れは、糊を使った造形的な膨らみを作ることができ、単純だけれどもちょっとした楽しさがあります。


                  この型のミソは、和綴部分にペンを収められるようになっていることです。
                  頭が出ないタイプのミニペンを使うことにしたので、中に収まっている状態ではペンの引っ掛け部分しか見えません。

                  私のようにたま〜にしか外出しないような人には、少しの名刺と、ちょっとした覚え書きができる小さなメモ帳があればそれでもう十分。
                  それにスイカが一枚入るので、最小限のシステム手帳になるというわけです。


                  以前のサンプルは適当な和綴にしていましたが、今回は正確に「四つ目綴じ」にしました。
                  ただし、袋物は「留め」の部分が必要なので、四つ目に見えつつ実は六つ目というものです(笑)。
                  けっこうかわいい型にできたと思うんですけどね。

                  来週の土曜日にこの講習会があるので、次回のブログは参加者が作ったこの型がお目見えします。
                  どんな作品を作ってくれるか楽しみです。


                  来年は制限かけないで行こうと思いますので、この型にご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら是非お申し込みいただければ幸いです。
                  (でも来年は中級が増えるので、これは年1回企画ぐらいかな)



                  『伊藤若冲』展

                  東京近郊限定の話題ですが、先日まで東京都庭園美術館で『生誕300年記念 若冲展』が開催されていました。
                  超人気の展示だったので、見に行かれた方も多いのではないでしょうか。
                  先日の講習会でも、広島から参加されたK.Tさんが講習会後に見に行ったとおっしゃっていました。
                  (翌日も講習会があるというのにパワフルだ)

                  私も張り切って見に行こうと予定していたのですよ。
                  相当並ぶとは聞いていましたが、Twitterまとめでこんなものを見てしまったので、大笑いで人生は短い!と思い至り、行くことを断念致しました。
                  特に18日のシルバーデーは凄まじかったようで、、、。

                  『若冲展待機列SFという新ジャンルが爆誕 #若冲展SF』

                  子供の頃、母に連れられて上野の美術館に「モナリザ」を見に行ったことを思い出しました。
                  大行列の末に満員の人混みに押されながらモナリザを流し見て「小さい、、」と思った記憶しかないです。
                  (あの大行列の先にあったのがこんなに小さい絵だったということへの衝撃)




                  ▼筥迫工房のお店


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                  【2016.05.26 Thursday 20:59】 author : Rom筥
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                  新年明けまして四つ襠紙入れでご挨拶
                  0
                    筥迫愛好家の皆々さま、新年明けましておめでとうございます。
                    本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

                    新年にアップする筥迫は別の物に決めていたのですが、材料が揃わず間に合わなかったので、何かないかな〜と探していたところこの四つ襠紙入れを発見。



                    四つ襠とは、扇襠に仕切りがあるものを言います。
                    今時のお財布は、ほとんどがこの四つ襠で作られていますね。
                    仕切りがもう一つ増えると六つ襠になります。


                    この四つ襠紙入れは去年の秋ぐらいに作ったものです。
                    この頃は大量にハギレを買いまくって家中がハギレだらけになっていた時期で、その中の材料からいくつか作った物の一つです。
                    ハギレにするための着物も山ほどあって、毎日着物をほどいて洗っての繰り返しでした(実はこの作業けっこう好きだったりする)。
                    一応水洗いしてから使うのですが、家の中で干すので、洗っても取れない樟脳の匂いが部屋にこもる。
                    学校から帰った娘に「今日も臭い!!!」と毎日クレームを付けられていましたっけ、、、。

                    筥迫やこのような嚢物を作ったことがある方ならおわかりかと思いますが、これらは「作る」ことよりも、生地を「探す」ことの方がよほど労力がいります。
                    好きな柄に「刺繍」した方が遥かにラク!と思えるぐらい(そう思う人が刺繍をやり始めるのですが)。
                    ですから、あらかじめお気に入りのハギレをたくさん準備しておくとかなり創作意欲が沸きます。
                    着物のハギレには不思議な力がありますね。
                    私にとっては宝石よりも洋服よりも、ハギレに囲まれているときが一番幸せを感じます。


                    前金具と留め具

                    この紙入れの特徴としては「前金具」を使っていること。
                    アンティークの煙草入れや紙入れなどはすばらしい細工の前金具が付いていますが、紙入れ等は特に型が単純なので、前金具があるとないとでは作品としての出来がかなり違います。


                    例えば下の紫の縞模様も、前金具がなければとても単純な(正直つまらない)ものですが、こんな小さな金具を付けただけでがらりと表情が変わります。

                    嚢物に使われる「留め具」は、一般的に「笹爪」と「小はぜ」と呼ばれるものがありますが、私は今まで「小はぜ」にはあまり興味がありませんでした。
                    というのも、笹爪は「使いやすく」デザインの中でも「アクセント」にもなりますが、小はぜは「隠れる(アクセントにならない)」、被せを持って外すので「被せに折りが付く(汚れる)」、「使いづらい」、更に市販の小はぜは女持ちの嚢物に使うにはサイズが少し大きめでやたらとプラスチック感が目立つ、、、などのマイナス点ばかりが気になっていたからです。

                    しかし最近は、取出し鏡に使うブラや、それに付けるチャームなどを探しているうちに「これは前金具に使えるのでは?」と思う金具が眼につくようになりました。
                    前金具と小はぜを組み合わせて使えば小はぜが生きる!
                    もちろん昔のものは前金具と中のホックが一体になっているのですが、そんなものは見当たらないので(あるとすれば一般的な財布に使うような金具←つまらない)、適当に前金具になりそうな物を見つけるしかありません。
                    結局、金具と中の小はぜは別々に付けることになるのですが。


                    この前金具は、実はブドウと葉が接続できるようになっている留め具を使っています。
                    一体にしたデザインが素敵だったので、あえて合体したまま付けています。


                    内側の小はぜはそのままで使うとプラスチックが安っぽくもあり、少し大きめで存在感がありすぎるので表地で包んでいます。
                    これなら内側のかわいいアクセントになります。
                    溶剤の入ったサイビノールなら布とプラスチックでも接着できるのでとても便利です(ただし直に使った後はよく手を洗うこと)。
                    布で包むことにより余分な厚みが加わるので、小はぜはカッターで少し厚みを削っています。


                    取出し鏡を前段に入れると、ブラもアクセントになります。

                    このように、嚢物に金具を使い出すとかなりデザインの幅が広がります。
                    金具がないとアクセントは襠の色だけですが、金具が付くことによってアクセントが増えるので、デザイン的にも安定すると思います。
                    そういう意味では筥迫はアクセントだらけですから、それこそが特別感というものなのでしょう。

                    最近はネットでアクセサリー材料がかなり安価に出回っておりますので、嚢物に合いそうなものを探すのも楽しく、金具も相当な数が増えて来ました。
                    ということで、今後は金具を使った物もたくさん登場してくると思います。


                    四つ襠+小はぜの難しさ

                    この紙入れは、念珠入れができれば作り方としてはさほど難しい物ではありませんが、難しいのは厚みを予測して留め具を付けなければならないところです。

                    四つ襠は内布をたくさん使いますので、畳んで納める布が多いということです。

                    ですから、内布の厚みのほんの少しの差で留め具の位置が変わってしまうのです。
                    笹爪は最後に紐の長さを調節できるのでそれほど気を使いませんが、小はぜはずらせても1〜2mmなので、始めから厚みを予測する必要があります。

                    小はぜを付けるためには、小はぜを受けるための「小はぜ掛け」を付けます。
                    小はぜ掛けには「打ち紐」を使うやり方と、「縫い糸」で作るやり方があります。
                    頑丈で簡単なのが「打ち紐」を使うやり方。
                    美しい仕上りを求めるなら「縫い糸」で。
                    どちらがいいかはお好み次第ですが、日常的に使う物であれば「打ち紐」、着物を着る時だけ使うのであれば「縫い糸」がいいかもしれませんね。



                    縫い糸で作る際は「穴糸」を使います。
                    ただの手縫い糸では弱すぎます。
                    アンティークの小はぜを使った嚢物を見てみると、小はぜ掛けのほとんどが経年劣化で切れています。
                    繊細に作れば作るほど耐久性もないということです。
                    今回は手元に「穴糸」がなかったので「かがり糸」を使いましたが、かがり糸は撚りが甘いので、頻繁に撚りを戻しながらかがる必要があります(それでもかなりボコボコになってしまう)。

                    四つ襠+小はぜの紙入れを作りたい方は「研究会」においでください。
                    念珠入れを作ったことがある方が対象ですが、前回のWSで作ったきりだとちょっとキツい。
                    家でもいくつか作って、手順をしっかり暗記できるぐらいになってからご参加いただければ幸いです。


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                    筥迫工房 講習会
                    ==================================

                    ■装飾筥迫『綿入縢付』(わたいりかがりつき)
                    日:1月11日(日)〜12日(月・祝)

                    ----------------------------------------------------------------

                    ※まだ定員に空きがあります。
                    仕事始めのお忙しい時期だとは思いますが、直前まで受付け可能ですので、飛び込み参加も歓迎いたします。




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                    【2015.01.03 Saturday 18:00】 author : Rom筥
                    | その他の袋物 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    平形くり口名刺入
                    0

                      画像だと大きく見えますが「名刺入れ」です。小さいです。
                      袋物仕立ての本では一番初めに出てくる基本中の基本という型です。
                      襠もなく、前面口がくっているだけの型です。
                      前々回の『留袖に懐中物 〜花嫁の母 H.Yさんの作品〜』の最後にも、ちらっとご紹介しています。

                      あまりにも単純な型のため、今までは作る必要もないと思っていたのですが、最近古いサンプルを探していた際にこのくり口の名刺入れを見つけ、あら意外とかわいい、、、ハートと今さらながら作ってみました。

                      改めて貼り込みらしいというか、縫って作る物とは手順や考え方が違うことがよくわかります。
                      何だかじわ〜〜っと感動。


                      このような名刺入れは様々な型があります。
                      これは襠も被せもないタイプなので名刺1枚では落ちやすいのですが、2〜3枚ぐらいならそれほど簡単には落ちません。
                      最大で10枚ぐらい入ります。
                      厚みもないので何かにちょっと挟んで持ち歩くのに便利です。


                      最後はコテを使って立体的に仕上げるのですが、これまた単純な造形を施している感があります。
                      しかし、このような装飾裂を使うと型がきれいに出ない。

                      ということで薄布を使って作り直し。

                      微妙にふっくらとした造形になり、縫い物では出せないような型を作れるんですね。
                      これが貼り込みの良さというか、愛おしさを感じるところなんでしょう。



                      嚢物の仕立て

                      現代で「袋物」といえば巾着のような柔らかい袋がイメージされがちですが、昔は布帛や皮などで作った物入れは全て「嚢物」と呼ばれていました。
                      かつてはそれらを作る専門の職人たちがいましたが、今では茶道で使われる「仕覆」がその技法を忠実に受け継いでいるぐらいです。

                      江戸の頃は嚢物にもそれぞれの型を作るのに専門の職人がいました。
                      美術館などで見られるあの宝石のような筥迫たちは、あきらかに「筥迫師」と呼ばれる専門の職人が作っていました。
                       

                      嚢物の仕立工は革仕立師(かわ)と帛仕立師(きれ)と大別して二通りとして居ります。
                      この二通りの中から更に専業家が幾通りかに分派されて居るのであります。
                      (中略)
                      次に帛仕立の方面を観ますと、此工は装束師から出て茶器類を入れる嚢などを製する工が生じ、遂に徳川時代に至って𨍭(てん)じて箱世古師(はこせこ)、紙入師、結袱師(しふく)、巾着師、帯師、煙草入師、手提師などの分派が出来たのであります。

                      そして此等の革仕立の技工の中にありましても、亦帛仕立の技工の中にありましても、各長所があって丈夫に作るから上手だとか、糊付にしたから下手だ等と容易に優劣を附することの出来ぬものがあります。
                      需要者の階級と使用の目的などによって、例へ同じ種類のものを造るにいたしましても其の製作法を異にし一定して居ないのであります。

                      『日本嚢物史』井戸文人著 大正八年発行より


                      昔の襠付きの筥迫等は、同じ型であっても作り方は様々で、崩してみてもどうやって作っているかわからないという不思議な作りのものがよくあります。

                      大正時代には様々な嚢物の作り方の本(教科書)が発行されました。
                      このような本は初心者には大変ありがたいものですが、女学生や主婦の手習いを目的としているので、かなり単純な作り方で解説されています。
                      かたや職人たちの世界では、本で示すような決まりきった作り方があったわけではなく、最終的にその形になればどんな方法で作っても良し、という風潮だったようです。

                      当時の職人たちは自分の技術が外に漏れることを極端に嫌ったので、師弟であっても技術を完全に伝えることは難しかったようです(そのため一代で消えた技術も多かったと考えられる)。
                      現代のように本やネットといった便利ツールはなく、懇切丁寧な指導をする師匠なぞいるワケがない。

                      頼れるものは、あらゆるものから貪欲に吸収できる感性と、それを自分自身の技工に結びつけられる発想力だったと思います。
                      昔の嚢物に多種多様な材料で作られた名品が多く作られたのも、自分の考え方で得意な作り方で徹底的に工夫するという柔軟性があったからだと私は考えています。

                      情報や教えに縛られすぎると自分の頭で考えなくなり、「工夫」という知恵が生まれにくい。
                      便利すぎる世の中だと、かつてのように創造力あふれる作品を作り出すことは難しいのかもしれませんね。




                      私自身も筥迫に関しては何の知識もない一からの出発でしたので、伝承された技術を引き継いでいないというのが一番の弱みだと思っていたのですが、今ではそれが良かったのだと納得できるようになりました。

                      昔のサンプルを忠実に作り込むことから始まり、次第に裏付けを取るために嚢物に関する古書を手当り次第買い漁り、筥迫以外の古い嚢物(主に懐中物)を集めて検証するようになりました。

                      昔の本は旧漢字だらけで読むことさえ困難でしたが、それは表面的な文字だけの情報を読んでいたから。
                      今時の本のように懇切丁寧な書き方ではありませんから、まずは自分が理解できる範囲だけを制作に反映して作り込み、忘れた頃にまたその本を開くと、今まで理解できなかった別の箇所が不思議と読めるようになっている。
                      自分のレベルに応じて現代文に置き換わって頭に入ってくるという感じです。
                      そんなことの繰り返しで、今では徐々に解読できるようになりました。

                      絵で見た同じ型を作るためにもがきながら頭をふりしぼって考える。
                      そして後々になりアンティークの同じ型を手に入れると、部分的に発想や工夫が驚くほど似通っていることを発見します。
                      違う時代に生きていた職人たちに、やたらとシンパシーを感じてしまう瞬間です。

                      現在では「現代の材料」を用い「現代のやり方」で、どのように嚢物を作り上げて行くかに取りかかっているところですが、未だに試行錯誤で作り方がコロコロ変わるのが難です。

                      そのため、初期の作り方で解説された教本(現在販売中のもの)と今現在の作り方ではかなりの違いが出ているので、耐えきれなくなり改訂を試みているという次第です。
                      最終的に「できる型は同じ」なので、たぶん始めて作られる方にはどちらの教本を使っても同じなのですが(ははは、、、泣き)。



                      以前ご紹介した『差込小被付取出紙入』と並べてみました。
                      そう、これは共布で作った揃い物なんですね。

                      布は古着の留袖を使いました。
                      留袖は最近はあまり着られなくなったので、他の着物に比べて安く入手できるのがいいですね。
                      これは模様も小さめで全体的に地味な留袖でしたが、嚢物には小さめな柄が使いやすい。
                      筥迫などでメインの柄を使った後に残る小さなハギレを有効に使う道はないかなと考えたとき、このような小さな細工物に加工すれば有効に使い切ることができます。

                      このような派手な装飾裂は仕立ての善し悪しがわかりずらいので、初心者でも始めからそれなりの仕上りに見えてしまいます。
                      しかし、それはあくまで素人相手のこと。
                      高価な素材の裂や刺繍裂など、素材が上等なもので作ると仕立ての悪さがとても目立ちます。
                      その素材自体もが粗悪品に見えてしまうので目もあてられません。

                      どんな素材であっても、丁寧で良い仕立てがなければ作品に命は入りません。
                      結局はすぐに飽きられて捨てられる物を作るだけです。
                      できれば型が取れるようになるまでは、薄めの布で繰り返し練習してほしいというのが私の願い。

                      最近は講習会でも「きれいに作れるようになりたい」と仕立ての上達を目指してくれる人がボチボチ出始めてきたので、そのような方にはきれいな型をたくさん作って、世の中にたくさん出回らせていただきたいと思っています。
                      (型さえ残っていれば、時代が変わっても工夫して作ってくれる人はいるさ)


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                      筥迫講習会

                      ★★『装飾筥迫〜綿入縢付〜 (びら簪付筥迫改称)
                      日 :1月11日(日)〜12日(月・祝)2日講習
                      定員:7名
                      ※まだ少しお席が残っております。
                      ==============================


                      ▼筥迫工房のお店

                      筥迫工房へのお問い合わせ
                       ※時々ショップからのご注文確定メールが届かないことがあります。
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                      【2014.12.20 Saturday 21:32】 author : Rom筥
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