『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
筥迫の付け方 〜筥迫の位置〜
0

    前回のブログで「筥迫の位置」についての話題が出たので、以前そんな記事を下書きしていたことを思い出しました。

    今回はこれについて書きたいと思います。

     

    つきましては、私はそれほど着物を着るわけではないので、着付けに関しては正直詳しくないです。

    ただ、筥迫を付けた花嫁さんの画像はたくさん見てきているので、それらを眺めるうち気がついたことを書かせていただきます。

     

    何がいけないとはいいませんが、それぞれを比較して皆さんなりのベストポジションを見つけていただければと思います。

     

     

    筥迫はバストトップよりも下の位置に差し込むのが断然収まりがよいのですが、一般的に筥迫を使うのは「振袖」=「正装」になるので、かなり無理〜な位置に付けざるをえません。

     

    振袖のようにかなり上で帯を締めるような着付けでは、胸のかなり高い位置に入れることになるので、ただでさえ隙間のない部分に無理やり筥迫を入れることで無理〜なのも致し方ない。

     

    江戸時代の筥迫は現代のものよりずっと大きいものでした。

    胸元をゆったり着付けていた時代だからこそ登場したものだったので、補正できゅうきゅうに締め付けた現代の着付には合わないのです。

     

    つまり、高い位置に無理やり筥迫を入れるのであれば、むしろ「紙入れ」を使うことは道理にあっているわけです。

     

    注)「紙入れ」というのは筥迫の胴締めがないもので、つまりびら簪も巾着もなく、更には後ろの懐紙入れ部分もないので、薄型で至ってシンプルな形。

     

    チャラチャラと派手な筥迫を付けたいのであれば、できれば帯は高い位置で締めない方がよいのではないかと、筥迫の作り手としては思ってしまうのです。

     

     

    半襟と帯揚げの出し方と筥迫の関係

     

    一般的な白い無地の半襟を使う場合は、それほど襟を出す必要もないので襟の合わせは深くなります。

     

    (このような説明で他所さまの画像を使うことはできないので、簡単なイラストで解説します)

     

     

    成人式のお嬢さんならこんな感じになるのでしょうか。

     

    時によって、これよりも更に筥迫が左寄りになる場合があります。

    これはたぶん半襟を首元近くで合わせていたり、広襟の場合は折り幅が広くなっているせいなのかもしれません。

     

    反対に、花嫁さんの場合は刺繍の半襟を使うことが多いようなので、襟をかなり広く出すことになります。

    (花嫁さんなので懐剣も合わせて見てみましょう)

     

     

    半襟を出した分だけ着物の襟の合わせが浅くなるので、筥迫がかなり中央に寄ります。

    更に帯を上の位置で締めるともっと筥迫は中央に寄ってしまうので、懐剣とのバランスが良くない。

     

    筥迫をもっと左に出そうとすれば、筥迫の引っ掛かりが浅くなってしまうので落ちやすい。

     

    何とかならんものか、、、。

     

    そんな解決策として、こんな入れ方が存在するのではないかと推察してみました。

     

     

    いや先入観がなければ、筥迫をこんなふうに入れるのは極自然なのかもしれない。

     

    だけどさすがにこの角度でのびら簪はないな〜 あせ

    どう考えてもびら簪の鎖と房は筥迫に対して垂直でなければおかしい。

     

     

    ということで、こんな斜め差しをしているときはびら簪や房もつけない場合が多いようです。

     

    更には胴締めも左にずらしてしまえば巾着も出しやすい!

    ということで巾着を出している、、、のかな??

     

    このようにグッさり筥迫を刺し込んでいれば、さすがに落ちないとは思うので、巾着を落としに使わなくてもかまわないと思うのですが、あまりにもだら〜んと長く出ているのは格好よくない気がしてしまうのは私だけ、、、?

     

    まぁこういう場合は、筥迫ではなく「紙入れ」にしていることが多いようですね(そうすれば房も巾着もなくスッキリ!ということか?)。

     


    ところで、振袖の場合、一般的に帯揚げはこれまでの図にあったような「入組(いりく)」にすることが多いのですが、入組には上に重ねた側を襟に入れるという方法もあります。

     

    しかし、絞りの帯揚げを襟元に入れるということはそこに厚みができるということで、更に筥迫は入れづらくなります。

     

    もちろんそれでも無理やり入れている場合もあるのですが、帯揚げを避けて筥迫をこんな位置に入れている画像を見たことがあります。

     

     

    さすがに筥迫を帯と水平に入れる方が不自然に思えてきた、、、。

     

     

    となるとこんな感じになるのか?

     

    筥迫、一体どこに行っちゃうのやら、、、、沈

     

     

     

    これらのことから、やはり筥迫は中央より左寄りの帯の上に納まっていてくれると、見た目も安定するのではないかと思います。

     

    例えゴージャスに刺繍がされていても、筥迫は半壊中するもの。

    あまり出し過ぎると下品になります。

     

    さて、これまで振袖ということで帯揚げを入組にした図で解説してみましたが、入組にすれば筥迫は自然と上がり気味になります。

     

    そんなワケで、筥迫至上主義のRom筥としては、総絞りの帯揚げであっても「本結び」か「中入組」にする方が筥迫が目立つ!と思っています。

     

     

     

    最後に、筥迫をどの位置に付けなければならないという取り決めはないので、これらはあくまで筥迫職人の私感ということで。

     

    よく着物を着ていると、見知らぬおばさんに着付けを直されるという話を聞きますが、こういうことが着物離れを招いてしまうのではないかと思うので、どうか見知らぬ方が筥迫を付けていたとしても「筥迫はこの位置じゃだめよ!」なんて声をかけたりしないでくださいよ(苦笑)。

     

    どんな形でも、筥迫を身につけてくれたらそれで私としてはうれしいので。

     

    ちなみに、筥迫は振袖などの正装よりも、普段着の着物の方が断然入れやすいです。お試しあれ。



    ▼筥迫工房のお店


    ▼筥迫掲示板
    筥迫工房の教本や自慢の細工物を、皆さん自身で披露できる掲示板です。写真のアップロードが簡単になりました(一回の投稿で6枚掲載可)。丹誠込めて作った筥迫を大勢の人に見てもらいしましょう!

    ▼携帯からも筥迫掲示板2に投稿をアップロードできます。
    こちらのQRコードからアクセスしてください。


    筥迫工房へのお問い合わせ
    ※時々ショップからのご注文確定メールが届かないことがあります。
     そのような場合も、こちらからご連絡ください。


    もしよかったら、こちらもクリックなんぞしてくれるとうれしいです。
    にほんブログ村 ハンドメイドブログ 和装小物へ
    にほんブログ村

    【2016.12.18 Sunday 16:12】 author : Rom筥
    | 筥迫の使い方 | comments(3) | trackbacks(0) | - | - |
    筥迫と末広(扇子)
    0
      筥迫と末広(扇子)は共に持つ状況が多いようです。
      筥迫工房のショップでは末広も販売しているので、末広の扱いを聞かれることが多々あります。
      私は筥迫については多少の知識はあっても、正直なところ末広については専門外です。
      これまで、つたない知識の範囲内で何とか回答はしていたのですが、このところ同じような質問が続いたので、一度ブログにまとめてみることにしました。

      しかし、あくまで筥迫関連情報を調べる中で得た知識と、自分なりの考えを交えながらお答えすることになりますので、必ずしも正確ではないということをあらかじめご了承ください。
      そして、内容に対するあきらかな間違いなどありましたら、遠慮なくコメント欄にてご意見いただければ幸いです。

       

      扇子には、夏場などに「凉を取る」(あおぐ)ことを目的とするものと、「儀礼」を目的とする(あおがない)扇子があり、儀礼を目的とする扇子の中でも、慶事に使われる扇子は「末広」という呼び方がされています。
      筥迫にも色々な種類があるので、ここでは筥迫と扇子を合わせて使うという状況=慶事であることから、「装飾用筥迫」と「末広」という組合せで考えたいと思います。

      (1)筥迫を使うのなら扇子も用意した方が良いのでしょうか?

      <花嫁さんの場合>
      和装の花嫁さんが身につける小物は、「婚礼用筥迫セット」というものが販売されております。
      この中には、筥迫、懐剣、末広、丸ぐけ、抱え帯が含まれますが、どれも全てを付けなければならないものでもなく、ある程度自由に組み合わせて使うことができます。
      ここではメインとなる、筥迫、懐剣、末広を考えてみます。

      この3つの小物には「飾り房」が付きますので、花嫁衣装では帯の左右に派手に房がかかるのが特徴です。
      引き振袖(または振袖)なら、私は楚々とした「筥迫&末広」の組合せが好きなのですが、「筥迫&懐剣」はよりゴージャスな雰囲気になり、これもまたすてきです。
      「筥迫&懐剣&末広」となると、筥迫房(小)×1個に対し、右側に懐剣房(特大)×2個に末広房(小)×2個の計4個、左右で合計して5個の房が垂れ下がるので、正直、付け過ぎじゃないか?という気はしています。

      でも打ち掛けには懐剣が欠かせません。
      打ち掛けに懐剣は必須!とか言うのではなく、単に打ちかけには懐剣が一番映えるからです(笑)。
      筥迫は襟元で半分しか見えないのに、反対側から打ち掛けをはおられると更に見えにくい。末広も深く挿すから目立たない。
      あの派手な打ち掛けを着て、とにかく目立つのは懐剣(笑)。
      そんなことから「懐剣だけ作りたい(使いたい)」と言われたことがありますが、さすがにそれはおかしいのではないかと言いました。
      江戸時代は、打ち掛けを着ることができる=筥迫を身に付けることができる、という格式を示すようなものでしたから、あくまで打ち掛けの主役的小物は筥迫であると思うからです。

      しかし筥迫オンリーでもいいかと言われれば、懐剣がないなら末広は必須と考えます。
      留袖に末広は必須なのですから、主役の花嫁さんに懐剣か末広のどちらかは必要と思うからです。

      筥迫&懐剣だけで末広を身につけなかった場合でも、必ず末広は用意した方がいいと思います。
      それは撮影の時に必要だからです。
      集合写真では最前列の留袖の人は全て末広を手に持ちますので、花嫁さんの手に末広がなかったらおかしい。
      個人撮りのときも末広を手に持たないと格好が付かないので、やはり花嫁さんには末広が必須なのです。

      <七五三の場合>
      七歳の七五三は花嫁衣装を模しているので、花嫁さんが持つ小道具は全てミニチュア版で持つことになります。
      従って七五三の末広にも、あの長い飾り房が付きます。

      ちなみに末広は帯の中に差し込むものですが、なぜか七五三は帯締めに挟みますね。
      子供は慣れない帯で締め付けられるのを嫌がりますから、そこに無理矢理末広を入れるのはかわいそう、、、だからなのでしょうか?

      しかし、たまに花嫁衣装で帯締めに末広を挟んでいる画像を見かけます。
      さすがにこれはおかしすぎる、、、、。

      <十三参りの場合>
      十三参りで女の子は初めて本裁ちにした大人の着物を来ますが、「十三参りから扇子も大人用に代わる」ということを最近耳にしました。
      私は東京育ちで十三参りには疎いので、ここは本場京都の扇子屋さんに聞いてみよう!ということで問い合せをしてみました。
      結果「特にしないです」とのこと(苦笑)。
      う〜ん、本場で十三参りをする方はどうしているのでしょう。是非ご意見が聞きたいものです。

      しかし、最も筥迫を身につける意義があるのは十三参りであると考えている私としては、十三参りに筥迫&末広はとてもしっくりきます。
      我が家の娘も来年は十三参りです。
      着物と筥迫のことばかり考えていましたが、末広も用意してみようかなと考えている今日この頃です。
      でも選ぶなら、祝儀扇でない塗りの末広を合わせるかな(飾り房は付けない)。

      <成人式の場合>
      成人式に筥迫と末広を付けてもよいか?と聞かれれば、どちらも「付けても良い」程度だと思います。

      末広に限って言えば、振袖は未婚女性の第一礼装なので、末広を入れる「権利はある!」ぐらいのもの(笑)。
      七五三や十三参りは、神社やお寺さんへ子供の成長を願い感謝してお参りすることがメインで、婚礼は神さまの前で誓いを立てる挙式がメインです。
      そう考えると成人式は一般的に成人の集いに出ることがメインで、神仏関係はほぼ無縁のような気がします。
      無事成人したことを親や親族に感謝し挨拶に回る、神社やお寺、教会に参じるという行動があれば、「結界を作る(相手に対しての敬意を示す)」という意味において、成人式で末広を付ける意義はあるかと思いますが、成人の集いに参加するだけなら果たして末広を付ける必要あるのかなと考えてしまいます。

      その点、成人式の筥迫は、「付けたら誰よりも目立つ!」程度のお気楽さで身に付けて大丈夫です。
      それこそ、大奥女中がドーダ感満載で身に付けていた、あのノリで付けるにふさわしい場かもしれませんよ(笑)。


      (2)帯にはさむ際、房はどのようにすればよいのでしょうか。

      飾り房のついた末広を使うのは花嫁さんと七五三です。
      私は花嫁さんの着付けに詳しいわけではないので、あくまで自分が資料として集めている花嫁さん画像を参照して、総合的に判断させていただきます。

      婚礼用の長い飾り房は、末広にぐるぐると巻き付けて帯に刺し込み、房の先を帯の前に垂らします。
      房を出す長さは、房の下が帯締めから帯の下辺ぐらいの間で、帯より下にはならない程度に納めるのが良さそうです。

      七五三の場合は帯締めに挟むことが多いのですが、それでも房が帯より下に下がらない方がすっきりするので、かなり蒔き上げることになるかと思います。


      (3)「婚礼用末広(新婦用)」と「成人式用末広」の区別はありますか?

      花嫁さんが持つ末広はあきらかに区別されますが、成人式用の末広に区別されるものはないと思います。

      まず花嫁さんが持つ末広ですが、これは祝儀用扇子という裏表が金銀になっているものを使います。
      白骨と黒骨があります。お好みでお選びください。
      ただし、花嫁用は扇子の要に「環」(金属の輪っか)の付いているものを使います。
      これがないと末広用の「飾り房」を付けることができません。
      扇子の形は留袖用とほとんど同じなので、この環があるかないかで判断します。
      間違って留袖用を買ってしまうと、写真撮影で末広を手に持った時に、あのたら〜んと下がった房が付かないことになり、ちょっと華やかさに欠けることになってしまいます。

      次に成人式用の末広についてですが、筥迫工房のショップで成人式用の末広を販売しているのでそんな疑問をお持ちなのかもしれませんが、これは仕入れ先でそういう名称のものがあったので仕入れてみただけで、今となってはかなり紛らわしいので在庫限りの販売にしようと思っています。

      今の時代、成人式の着付けが年々孔雀化してきているような気がします。
      何でも着物に付けて盛っちゃえ!という感じ。
      そういう意味で成人式用と銘打った末広が出てきたのだと思います。
      このままでは更に進化した(ど派手な)「成人式用末広」が出てきそうです(苦笑)。

      でも末広というのは扇子の先を2〜3cmほどしか出さないものなので、正直ド派手な着付けに付けて意味があるのか?と思ってしまいます(そういう意味では筥迫も埋もれそうだ)。
      末広は控えめさがすてきな着物のアクセントなので、もし振袖に末広を合わせるのなら、オーソドックスな着付けにしておいた方が無難なのではないでしょうか。


      (4)結婚披露宴のおよばれや、おめでたい式への出席で振袖着用時に使ってもかまわないのでしょうか?

      これは末広というよりも筥迫にも同じことが言えますので、一緒にお答えしたいと思います。

      まずは筥迫ですが、私自身はゲストが筥迫を付けても良いとは思うのですが、「絶対に花嫁に見られない(花嫁より目立たない)」ことを何より注意します。
      とりあえず、「びら簪」「飾り房」は使わない方がいいかな。
      筥迫は派手に装飾されたものではなく、ワンポイント装飾があるぐらいのものを。

      花嫁が和装の場合、何を着るかも問題です。
      まず「打ち掛け」なら、あなたが筥迫をしていても目立たないでしょう(笑)。
      次に「引き振袖」の場合、花嫁の筥迫はよく目につきますので、張り合わないように注意しましょう。
      今時の婚礼業界では、筥迫は着物の挿し色としてでしか扱われないので、花嫁さん自身がかなり簡単な筥迫を身に付けていることが多いです。
      びら簪も付いていない、飾り房も付いていないようなものは、まず筥迫に胴締めがない。
      胴締めのない筥迫といったら、それはもう筥迫ではなくただの「紙入れ」です(このタイプのものも筥迫として販売されています)。
      その場合は残念ですが、ご自分の筥迫はバッグに納めてください。
      あなたが作った自作の筥迫の方がよっぼど立派だと思うので。
      最近、身内だけの小さな結婚式で「成人式に着た振袖」を着たいという花嫁さんが増えてきました。
      この状況では、始めから筥迫は考えない方がいいかもしれません。

      筥迫に比べ、末広なら花嫁さんに気を使うことなく、結婚式に付けても失礼になることはないと思います。
      留袖のように絶対付けるものというよりは「付けても良い」程度のものだと思いますが、このときは祝儀扇でもいいと思います。
      間違っても飾り房は付けないようにしましょう。


      またしても読む人が苦痛なほどの長文になってしまいました。すみません、、、。
      簡潔にぼかして書くことができない文才のなさにいつもため息が出ます(良く言えば直球勝負)。
      地域によっての風習もかなり違いますので、これらの具体例はあくまでも参考に考え、まずは回りの方や挙式する場の地元の年長者にご意見を伺ってからにしてください。
      例え、当日、筥迫や末広を身に付けたことで回りの人から何か言われるようなことがあっても、どちらもすぐに取り外せるものなので、少し気楽に考えましょう。
      ちょっと冒険する気持ちも、文化を引き継いで行くためには必要なことです。
      これらのすてきな日本の文化を長く大切にして行きたいですね。
      【2013.11.10 Sunday 00:05】 author : Rom筥
      | 筥迫の使い方 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
      筥迫着用!
      0
        今回のWSで武部さんが作られた筥迫を着用された写真を送ってくださいました。



        私は簡単に着物を着ることができないので(相当気合いを入れないと無理)、ワークショップの終わりに、着物に着慣れている人には是非筥迫を身に付けた写真をくださいとお願いしています。

        「それじゃ、娘に着せて写真撮ろうかしら?」
        「いえ、いえ、年配の方の普段着に身に付けた写真がほしいんです。」

        これまで筥迫は、びら簪を付けた「装飾筥迫」(装飾的目的のみをもった筥迫)だけが現代に引き継がれてきたので、びら簪=未婚(結婚式までの)女性のもの、というイメージが強いように思います。
        もちろん、既婚女性がびら簪を付けていけないわけではありませんよ。
        でも私ぐらいの年になると、派手なびら簪を付けた筥迫は正直恥ずかしい。
        そういう意味において、実用筥迫は年配の方にも気軽に使えるような筥迫なのです。


        ところで、筥迫を着物に入れることは「着用」でいいのかいつも悩んでいたのですが、goo辞書の類義語・同義語によると、

        【1】「装着」は、器具などを取りつけること。
            ▽タイヤにチェーンを装着する
        【2】「着装」は、衣服のほか、部品などを本体の一部に取りつけること。
            ▽短剣を着装する▽部品を本体に着装する
        【3】「着用」は、衣服をつけること。また、衣服につけること。
            ▽ネクタイを着用のこと

        これに当てはめると、着用は衣服に関連するものを付けるようなことで、着装は本体に対して全く別の物を付けるようなことなのか?
        でも「着けて用いる」よりも「着けて装う」方が筥迫らしいんだけどなぁとか思いつつ、「ちゃくそう」は何となくいいずらいので、とりあえず「着用」にしてみました。(あいかわらずどーでもいいことですが あせ



        武部さんはお茶会(?)で懐紙とふくさと楊枝入れを入れるのは慣れているようですが、それに比べるとちょっと重く角張った感じだったそうです。
        それもすぐに慣れて、落とし巾着をしっかり帯枕の紐に挟んでいたので筥迫も動かず、一日中筥迫の存在を忘れていたとのこと。
        所属の会の展覧会に行かれたときに、回りの方々にすぐに目を付けられたそうで、(房は恥ずかしくて外して行ったにもかかわらず)見せて見せてと一騒ぎだったそうです(笑)。
        つい懐紙を入れるときのように奥に入れてしまったそうですが、せっかくの筥迫なんだからもっと出してくださいよ(笑)。


        子供は落し巾着を帯に挟んでも、筥迫を簡単に落してくれます。
        これは襟の仕立て方にも大きく左右されることがわかりました。

        成人式の振袖では、筥迫の収まりが悪くてけっこう落したようですが、もしかしたら落し巾着を帯に挟んだだけで、帯の中でたるんでいたことが考えられます(巾着の紐がぴーんと張るように中に入れるのが正解)。
        もう一つは、帯の位置が関係しているように思います。
        振袖などは帯を高めに結ぶので、トップバストより上に筥迫を入れることになりますが、ここは余裕がないんですね。
        筥迫の下が持ち上がるような感じです。
        反対に帯を低めに結ぶと、トップバストよりも下に入れることになるので、ちょうど帯との間に馴染んで筥迫が納まりやすい。
        こちらにも筥迫着用の写真をいただいていますので筥迫着用のご参考に。
        ワークショップ参加者から画像を送っていただきました!


        実用筥迫『三段口扇襠筥迫』の教本はまだ販売されておりませんが、こうやって身に付けている写真を見ると「早く教本を作らねば!」という気持ちが強くなります。
        年末、年明けを挟んで、これからは教本作りに励むことにします!


        ▼武部さんのブログです(筥迫を色々作られています)
        ぬう 日本刺繍
         

        後日、WS参加者のY.Sさんから、筥迫着用の画像をいただきました。
        着物によって表情が変わっていいですね〜。
        房も簡単に取り外しできるので、色々な色をストックしておくと着物に合わせて付け替えできますよ。
        (2013.11.12記)





         
        【2013筥迫ミステリーツアー&オフ会】
        江戸時代の筥迫、嚢物の名品のコレクションをご一緒に見学に行きませんか?
        金唐革の専門家による金唐革の説明有り。
        日:11月18日(月) 
        ※詳しくはこちらへ


        ▼筥迫工房のお店

        ▼自作筥迫はこちらでお披露目!


        筥迫工房へのお問い合わせ
         ※時々ショップからのご注文確定メールが届かないことがあります。
          そのような場合も、こちらからご連絡ください。

        もしよかったら、こちらもクリックなんぞしてくれるとうれしいです。
        にほんブログ村 ハンドメイドブログ 和装小物へ
        にほんブログ村(画像)
        【2013.10.21 Monday 17:39】 author : Rom筥
        | 筥迫の使い方 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        嚢物とハンドバッグ
        0
          先日、教本を買っていただいた「とんぼさん」から、ご自身のブログ「ほばーりんぐ・とと」で筥迫について書いたとのご連絡をいただきました。
          常日頃から筥迫を調べて色々なサイトを巡っているので、こちらのブログは過去何度か訪れたことがあるのですが、そんなところから反対に連絡をいただいたりすると不思議なご縁を感じます。
          筥迫の輪が広がっているようでうれしいですね。

          嚢物の世界』(平野英夫著/1998年発行)をお持ちと書かれていますが、これは嚢物に興味のある人なら一度は目を通したことがあるだろうという有名な図録です。
          ため息の出るようなコレクションがたくさん載っていますが、お値段もまたため息が出るような豪華本なので、私はもっぱら近所の図書館に通うことで満足しています。

          ブログの中で、筥迫のような「筥(はこ)」が「嚢(ふくろ)」であることを疑問に思われていたようなので、これをブログでリレーしてみましょう。

          「嚢」と「袋」は、訓読みではどちらも「ふくろ」ですが、音読みでは「嚢=ノウ」「袋=タイ」と異なります。
          同義語ではあるけれど、旧漢字というワケではないんですね。
          さらには「嚢」と音訓も同じで、ぱっと見も区別がつかない「囊」という漢字も存在します。
          いや、ぱっと見どころかじっと見ても違いがわからないので拡大してみます。

          真ん中あたりが「ハ」か「口口」かという違いです。
          嚢物は「ハ」の方で、土嚢(どのう)や氷嚢(ひょうのう)がこの字です。
          「口口」の方は、胆囊(たんのう)などの臓器系に使われているようです。
          前出のブログのコメント欄に、“医師曰く「囊は中に何かが詰まっている状態の袋のこと」(sariさん)” とありました。
          カンタンに出し入れできるだけが袋じゃないんですね〜。納得!

          以前「はこせこはどう書く?」にも書きましたが、「ハコ」にも多種多様な漢字があるのですが、現代ではそれをひとまとめにして「箱」にしているのと同じことなのでしょう。
          ちなみに「衣嚢(いのう)」という言葉がありますが、これは衣に付いている嚢で「ポケット」のことなんだそうですよ。


          それでは、ここから本題の嚢物に入りましょう。
          「嚢物」とは、身の廻り品を持ち運ぶための入れ物の総称です。
          現代人の感覚では、「袋物」というと手提げ袋や巾着などの柔らかくて簡易な入れものをイメージしがちですが、日本では本来、広い範囲の袋一般に使われていました。
          武具や調度品の保存袋、茶器等を保存するための
          仕覆、携帯するための煙草入れや筥迫、紙入れ、鏡入れ、巾着、お守り袋などです。

          それでは
          「鞄」も袋物かと言えば、実はこれは「かばん」なのですね。
          平成22年、東京鞄協会と東日本ハンドバッグ協会によって「日本鞄ハンドバッグ協会」が発足しました。
          これが業界で“大事件”であったことからも、この二つのグループが日本で違う道を歩んで今日に至ったことがわかります。

          総務省の日本標準産業分類では、これらは「製造業」の中の「なめし革・同製品・毛皮製造業」に属し、
          かばん製造業」と「袋物製造業」に分類されています。
          さらに袋物製造業は
          袋物製造業(ハンドバッグを除く)」と「ハンドバッグ製造業」に分類されています。
          実はこのハンドバッグ業界の成り立ちこそ、袋物(特に筥迫)とは深いつながりがあるのです。

          袋物製造業は、嚢物煙草具を扱う組合がルーツとなっていて、煙草入れや紙入れなどを作る専門の職人たちの集まりということがわかります。
          これらの職人たちが、西洋式の袋物を作るようになったことは自然な流れでした。
          そして袋物である筥迫の「貼りこみ技法」から、つかんでもつタイプの抱え型バッグが考案され、これがハンドバッグのルーツになったそうです。(※ちなみにハンドバッグという名称は日本固有のものです。)

          対して「鞄」は、杞柳細工の行李職人が、西洋のトランク型を模した「杞柳製箱式行李かばん」を作ったのがルーツだそうです。
          「かばん」も「ハンドバッグ」も、西洋のものをそのまま複製するのではなく、日本の伝統の技を絶対的な基礎とし、その上に好奇心を持って新しい物を取り込み、より高度なものを創り出していく。
          この日本人の誇るべき精神は、今も昔も変わりません。

          ちなみに「袋物製造業(ハンドバッグを除く)」は、主に「財布」とのことです。
          筥迫は紙入れが進化したものですが、紙入れとは紙だけを入れるわけではなく、薬や楊子、お金も入れたので、今でいう財布でもあったわけです。
          実用筥迫でも、使い勝手がよく改良を加えていくと、結局は今時の「財布」の形になってしまいます。
          昔ながらの袋物らしさを出すためには、ちょっとばかし使い勝手の悪さを残すぐらいがちょうどよいかもしれません(笑)。


          現代では、形がしっかりして崩れないものを「箱」、柔らかく形状が変化するものを「袋」と分類しているようですが、「物を入れる」「出し入れのための口がある」「保護する」「持ち運ぶ」という意味においては同じです。

          もう少し細かく分類すれば、

          「箱」という漢字は、物を保護するための要素が強く、
          「筥」という漢字は、そのもの自体に価値があったり、装飾の要素が強い。

          「鞄」は比較的大きなもので、実用の要素が強く、
          「ハンドバッグ」は小さなもので、ファッション的な要素が強い。

          なんとなく、筥迫が嚢物であることのイメージがつながりましたでしょうか。






          あ〜疲れた、、、、。



          《参考》
          太田垣の鞄のリンク集(Japanbag.com) 
          東京鞄・ハンドバッグ業界共催合同暑気払いパーティ(2010/8/29)
          日本標準産業分類の中の鞄産業
          有限会社ACAハセガワ ハンドバックとは
          ・東京袋物商工協同組合 著者:佐藤咲子 袋物の歴史
          日本ハンドバッグ協会「GOLD BOOK」日本でのハンドバッグ
          ウィキペディア 鞄 ハンドバッグ(handbag)
          日本繊維製品品質技術センター ミニ博物館めぐり「袋物参考館」
          袋物参考館
          【ハンドバッグ製造業】業界動向/マーケティング情報
          参考:漢字考「のう」
          【2012.07.13 Friday 13:42】 author : Rom筥
          | 筥迫の使い方 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
          筥迫(はこせこ)とは
          0
            今更ながらですねぇ(笑)。

            筥迫(箱迫 函迫 函狭子 はこせこ ハコセコ)とは、七五三や和装の花嫁が胸元に入れている、薄い箱型の装身具です。
            筥迫全盛時代(江戸中期〜後期)でこそ「小物入れ」でしたが、時代とともに帯の形状がかわり、着付けも変わっていったことにより、現代では懐紙さえも入らない、実用を離れた装身具(アクセサリー)となっています。

            和装の花嫁が持つ筥迫には、「身だしなみを整える」「成人女性のたしなみ」という意味があると解説されていたりもしますが、これにはちょっと裏がありそうです。
            筥迫がなぜ筥迫が現代の花嫁衣装に用いられるようになったのか『婚礼用和装小物の作り方』(教本)に私なりの考えを述べています。
            ご興味のある方は、是非懐剣入れを作ってください(笑)。

            江戸時代の装身具というのは、その人の身分や格式を明確に表わすものでした。
            現代のように、猫も杓子もブランドバックを持つ、なんてことはありえなかったんですね。
            中でも筥迫は、それを持てることがすでにステイタスでした。
            大奥でいえば「御目見得(おめみえ)以上」、武家でいえば「中流以上」、商人でいえば「豪商級」の婦人という、ごく少数の上流階級の女性のみが持つことができました。
            筥迫を胸に入れて人目のつくところを歩く、、、それがどのぐらいの優越感だったか容易に想像がつくというものです。
            現代なら、成人式などで筥迫を胸に入れて歩けば、きっとこの気分を味わえると思いますよ(笑)。
            (↑目立ちたいなら「びら簪」は必須です!)

            また筥迫は「化粧ポーチのようなもの」と説明されることが多いのですが、私はどちらかというと「クラッチバックのようなもの」ではないかと思います。
            クラッチバックというのは、紐のない、抱えて持つバックの総称です。
            中でも女性用のクラッチバックと言えば、最も華やかな場で持つ、装飾重視の(あまり物が入らない)小型のバックというイメージです。
            日本でクラッチバックがあまり流行らないのは、パーティーが少ないからだそうです。
            今では「よそいき」というような服を着る場も少なくなってしまったような気がします。

            古来より日本では、袋を手に下げて持ち運ぶという習慣がありませんでした。
            意外に思われる方も多いかと思いますが、手提げ袋文化の全くなかった我が日本に、初めて登場したのが「信玄袋」で、それでさえ使われるようになったのは明治の終わり頃です。
            何か物を携帯するときは、掛ける、(帯に)下げる、懐中する、背負う、(風呂敷を)抱える、という具合です。
            ※筥迫だけでは必要なものが入らないので、「袂落し」と併用したようです。

            そういう意味では、着物は大きなポケットがたくさんあるようなものですね。
            着物に似たブータンの「ゴ」(男性用民族衣装)は、お腹のあたりに本などを入れて持ち運べるほど実用的です。
            着物のような形は、帯を下に巻きさえすれば、けっこう何でも入りそうです。
            江戸の人々は、もっとゆったりとした着物に、小さな嚢物を入れて持ち運んだんですね。

            江戸と明治を挟んで、筥迫の価値は異なります。
            江戸の頃の筥迫は、依頼主の好みをふんだんに盛り込んだ完全オリジナルの一点物として作られ、材料、装飾は最高級のものが使われました。
            そういう意味では「クラッチバック」というイメージです。
            大政奉還後は、お得意先の大奥や大名家を失い、筥迫も一次影をひそめたと思いますが、明治30年代に再び流行が訪れます。
            流行の中心は山手の令嬢たちでしたが、芸妓社会にもその流行は及んでいたようです。
            限られた上流階級を相手にしていた時代と違い、広く多くの顧客に対応したのでしょうから、同じ型やデザインで効率的に仕上げた既製品へと移行していったのだと考えられます。
            そうなると、この時代の筥迫は「おしゃれな化粧ポーチ」といえるかもしれません。

            西洋文化が怒濤のように押し寄せた明治以降、かつての嚢物職人たちは、次第に西洋式の袋物(バック)を作るようになっていきました。
            現代でも、和装のときに使うクラッチバックは、筥迫の作り方をまねて作られたものなんだそうですよ。
            たぶん、あのたくさんの襠が折られた(アコーディオンのような)バックのことなんでしょうか。
            よく見れば、大型の筥迫に見えなくもない、、、かな?
            筥迫の材料を探しまわって、どこにもない!というような時、最後に行き着いた皮材料のお店で見つかったりすることが多かったので、やはり筥迫はバックとつながっているなと感じたものです。

            私としては、いつかクラッチバック級の特別な筥迫を作りたい、、と思いを馳せる毎日です。
            【2012.02.21 Tuesday 23:05】 author : Rom筥
            | 筥迫の使い方 | comments(6) | trackbacks(0) | - | - |