『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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筥迫の構造 Rom筥作品10-5
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    仕立て:折り返し、フラット
    材 料:木綿縮緬、色合わせ(唐紅)
    飾り房:専用房糸(太撚り)、7段几帳結び


    先日、「筥迫を作ってみたいけれども、筥迫がどのような作りになっているのかわからないので教えてください」という方がいらっしゃいました。
    なるほど、、、(汗)。
    筥迫を作りたいなどという人は、初めから筥迫をよく知っているだろうという思い込みがあったのですが、確かに、筥迫がどんなものかは知っているけれど、中は見たことがない、、という方はいるはずなんですよね。
    今までそんなことにも気がつかず、大変失礼いたしました。

    筥迫の中を開いた画像は少なく、その構造はあまり一般的でないかもしれません。
    ネットで見かける筥迫画像でも、あらら、、というようなセットの仕方をしているものを見かけたりします。
    簪挿しの左右が逆だったり(飾り房が右になっていたり)、下にくっついていたり、本体の上下が逆だったり、被せが中に入っていたり…。
    ネットで販売されている筥迫でさえそのようなことがあります。
    開けて見たはいいが、元の形がわからない、、、というところでしょう。
    開け閉めだけでそんな感じですから、筥迫を初めて作る人も、自分が今どこを作っているのか、どこが上なのか下なのか、、そんな迷宮に迷い込むのかもしれません。
    そんなあなたに、今回は筥迫分解大作戦!です(笑)。

    「分解」と言えば、組み立て上がったものをバラしていくことですが、筥迫は部品が結合していないので、「組み立てる」というよりは「組み合わせる」が正解でしょう。
    いわゆる「ユニット」という考え方です。
    筥迫はこんなに小さいものなのに、びっくりするほど部品が多いです。
    手作り派の方であれば、腕まくりして挑戦したくなるでしょう。


    胴締め(どうじめ)
    筥迫は、「本体」と「簪挿し(かんざしさし)」、それらをまとめるための「胴締め(どうじめ)」の三つのユニットから成り立っています。
    胴締めは、筥迫の本体にぐるりと巻き付けられた帯のようなものですね。
    本体と胴締めを続き柄にする刺繍は、筥迫の最も効果的な装飾方法ですが、この筥迫のように、本体と胴締めの縦柄の向きを変えて効果を出すこともあります。
    このように、筥迫の装飾は、胴締めを効果的に活用することにあります。

    筥迫工房で販売している「びら簪付き筥迫の作り方」では、この筥迫のように「折り返し」「フラット」仕立てを基本の作り方で解説していますが、応用編では、本体の被せと胴締めに「綿」を入れたり、被せと胴締めの周囲に「玉縁」というパイピングを施す方法も解説しています。




    落し巾着(おとしきんちゃく)
    胴締めの下には、胴締めをゆるめるためのビーズがストッパーとしてついています。
    このストッパーのことを「緒締め(おじめ)」と言います。
    玉であることが多く、緒締玉とも言います。
    実際には、打ち紐とビーズがぴったりと合う物を探すのは難しく、ここではビーズの下で玉結びをしていますが、1mm幅のアジアンコードなら、このビーズを合わせるとそのままでストッパーの役割を果たします。
    ちなみにこのビーズは、唐紅セット用の「ブラウン銀引き」を使っています。
    銀引きとは、口径の内側に銀(このビーズは金)が貼ってあるので、地味な色合いのビーズが、光によって一瞬キラッと光るのできれいです。

    胴締めのユニットは「落し巾着」です。
    この打ち紐の先につながれているものですね。
    「匂い袋」もしくは「落し巾着」と呼ばれています。
    筥迫は襟元に入れただけでは落ちやすいので、この巾着を帯の中に挟んで落ちないようにします。
    その意味では落し巾着ですが、中に香を入れて匂い袋となったのかもしれません。
    「匂い袋」という言葉には、ほとんどの女性が興味を引かれるようですが、実際には綿しか入っていないので、筥迫工房では実用本位で「落し巾着」の方を使っています。
    落し巾着の飾り結びは「二重叶結び」と言います。
    結びの表が口の字、裏が十の字で、合わせて「叶」という字になり、紐を一本で結ぶと「叶結び」、二重にして結ぶと「二重叶結び」となり、願い事が二重に叶うということで、主にお守り袋に使われます。
    また、落し巾着の裏にもストッパー用のビーズがついています。


    筥迫を開くときは、まず「胴締め」を右にスライドして外します。


    簪挿し
    本体の上に乗せた「簪挿し」が外れます。
    茶道で使う「楊子入れ」のような形のものです。
    簪挿しのユニットは、「びら簪」と「飾り房」です。
    筥迫が華やかななのは、この二つのお飾りの役割が大きいですね。

    びら簪(びらかんざし)
    筥迫で使う「びら簪」は、正式には「筥迫びら簪」と言い、筥迫専用に作られたものです。
    この筥迫にびら簪は付けていませんが、これはショップの方で販売しています。
    子ども用はいくつかありますが、今のところ大人用は1種類しかありません。
    残念ながらこればかりは作れないので、、、と言いたいところですが、私はびら簪さえも作ります。
    これはこれでまた楽しい世界です。
    いつか別の機会にご紹介いたします。

    飾り房
    飾り結びは、1mm幅の細い打ち紐を使って結びます。
    マニュアルでは、筥迫の基本の結びを「几帳」「菊」「几帳」の3連とご紹介しています。
    しかしお気づきの方も多いかと思いますが、正式にはアジアンノットの「几帳」「吉祥」「几帳」なんですね。
    本来の筥迫の飾り結びは、日本風の花結びと呼ばれているもので、「総角(あげまき)」「菊」「総角」になります。
    どちらもとてもよく似ているのですが、よく見るとちょっと違います。
    菊と吉祥の出来上がりはほとんど同じですが、几帳は紐を一本またいで羽が出るのでふっくらと広がるのに対し、総角は一つの穴から二本の羽が出ているので、羽がつぶれたような(スリムな)感じです。
    何でこんなことになったかと言いますと、実はマニュアルを作った頃はその違いがよくわからなかっただけです(汗)。
    今でも慣れているのでついついアジアンノットで結んでしまいます。
    ごめんなさい、いつか訂正します。

    次に飾り結びの「房」ですが、筥迫では木頭にかがり編を被せた撚り房を使うのが一般的です。
    これを手作りするのはさすがに無理なので、初めは特注で作ろうかと思いましたが、そうなると色数が限られます。
    手作りの良さは、材料の制限を受けずに好みの色で作ることができることにあります。
    それならば自分で房も作れるようにしよう!ということで、このマニュアルでは房さえも手作りします。
    この筥迫で使っている房は、マニュアルで解説しているものとはちょっと作り方が違いますが、これもいつか解説を載せましょう。

    とにかく、これでもか!というぐらいの装飾ですね。
    現代のストラップに通じるものがあります。


    それでは、筥迫本体を開いてみましょう。

    まずは一番上の部分を開きます。これを「被せ(かぶせ)」と言います。いわゆるフタですね。
    お祝い事で筥迫を差し上げる時に、私はこの被せ裏に差し上げる方の名前を刺繍してプレゼントすることがあります。
    こういうことが自由にできるのが自作筥迫のいいところです。
    ちなみに、この筥迫はフラット仕立てなのですが、被せ裏を長めに取って被せの表から見えるようにして、玉縁効果を出しています。
    玉縁が難しくて出来ない人も、これならカンタンにできます。


    胴裏(どううら)
    更に被せ下を開くと、こんな三つ折れ状態になっていることがわかります。


    どきっとするような鮮やかな赤は、筥迫の象徴的な色です。
    「赤」はいわゆる魔除けの色とされています。
    「鏡」も魔除けとして知られています。
    「箱(Box)」という言葉には、女性的な意味あいがありますね。
    このような一つ一つのキーワードが、筥迫に秘密の小箱というような神秘的なイメージをもたらしているような気がします。

    三つ折れ中央には鏡が埋め込まれています。被せ下には段口(ポケット)があります。
    段口の中のハギレは、被せに丸い厚みをつけるためのものです。
    市販のものには、紙で作った薄い詰め物が入れてあります。
    なぜこの筥迫独特の丸みを付けるのだろうと考えることがあります。
    筥迫の「筥」という字は、元々は米を入れる5升入りの丸い竹製のハコのことで、丸みのあるハコを表すときに使われるようです。
    だからこの丸みが必要なのか、、と思ったりもしますが、江戸時代の筥迫にはこの丸みがありません。
    そのかわり、被せのR型がもっと湾曲しているものが多いので、その丸みなのか、、と思ってみたり。
    まぁなんでもいいのですが、このちょっとした丸みを付けることは、写真ではわかりずらいかもしれませんが、筥迫を立体的に見せるためにとても効果的です。

    ところで、この三つ折れの形、何かに似ている気がしませんか?
    私には「封筒」を開いた形に見えます。
    手紙を出すことを「投函」と言います。
    投函の「函」の字もハコという意味です。
    箱の定義は「物を入れるフタのある入れ物」ですが、例えば「文函(ふばこ)」とは封筒のことで、こんなに薄くても、手紙を入れるのはハコなのです。
    筥迫には「函迫子」という書き方もあります。とにかく薄っぺたい箱ということが言いたいのでしょう。
    面白いですよね。

    三つ折れをひっくり返すと、こんな形になっています。


    紙入れ(かみいれ)
    筥迫工房では箱芯を使っていますが、実際にはここに懐紙を入れます。
    とは言っても、懐紙をそのままのサイズで入れることはできませんので、入れるなら箱芯のサイズに懐紙を切って入れてください。
    筥迫の前身は「紙挟み(紙入れ)」です。筥迫に似ていますが、紙だけを入れるシンプルな作りです。
    この紙挟みに、鏡を合体させ、物を入れるところを作ったり、びら簪までつけて、胴締めごとまとめて装飾するまでに進化した形が筥迫なのです。

    側面の編み込みは「千鳥掛け」(千鳥かがり)と言います。
    甚平の身ごろや袖付けのときに使う飾り編みですね。
    筥迫では「つがり糸」というものを使いますが、打ち紐をもっと細くしたようなものです。
    アジアンコードの一番細いコードでも代用できます。
    ただ、筥迫の千鳥掛けは厚紙と布地ごと針を通すので、つがり糸を使うとかなり力がいります。
    また打ち紐と違って、つがり糸は高価…。
    そんなことから、筥迫工房では太いより糸を使っています。
    この方が扱いやすいし、何より細かい千鳥掛けができるので、つがりでがっつり編み込むのとは違う繊細な美しさがあります。

    この内布はただの「赤」に見えるかもしれませんが、実際にはくすんだ赤(エンジに近い)です。
    前回の金襴筥迫で使った赤ともちょっと違います。
    筥迫を作り始めると、内布に微妙な違いの「赤」色をたくさん揃えるはめになります。
    材料セットに入れている「紅色」は基本の真っ赤ですが、この赤を使うのは、婚礼用の白布に合わせるときか、子ども用筥迫を使うときぐらいかもしれません。
    実際に、大人用の筥迫だと、このぐらいの微妙にくすんだ赤を使うことが多く、色合わせセットで言うならば「唐紅」色(エンジ系)を使うことが多いような気がします。

    筥迫工房で販売している「色合わせ」セットは、この千鳥掛け用の「かがり糸」、飾り房用の「打ち紐」「房糸」、落し巾着用のストッパーに使う「ビーズ」の色を同色で合わせたものです。
    もちろんこれを全て違う色で作るなんてこともできます(笑)。
    その場合は、単品でご注文ください。

    でも、これで筥迫の構造はよくわかりましたね?
    「びら簪付筥迫の作り方」では、これら全ての部品の作り方が解説されています。
    それでは筥迫の「初めの一個!」作ってみましょうか。

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    【2010.11.28 Sunday 18:52】 author : Rom筥
    | その他の筥迫 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    「筥迫の構造がわからない」そんなとぼけた質問をしたのはきっと私ですね。
    とても丁寧な解説と写真でやっと!筥迫の全貌が明らかになりました。ありがとうございます。
    年末のバタバタに突入してしまい、なかなか手を出せません(>_<)
    ところで!体験ワークショップとかの予定はないのでしょうか?
    | 333 | 2010/12/09 8:41 AM |
    333さん>

    いえいえ、きっとそれは基本的なことだと思います。
    一人でやっていると色々な思い込みでそういうことがわからなくなってしまうので、そのような意見はとてもありがたいです。

    今までご購入くださった方々は、けっこうマニュアルだけで完結しているように見えるので大丈夫かと思っていましたが、実はマニュアルだけではできない!という方も潜在的にはいらっしゃるのではないかと思います。(私の方に言って来ないだけで、そんなことする前にあきらめてしまったとか…)

    ただ、どのへんで挫折してしまうのかわからないので、本当はみなさんからのご意見、ご質問は、私にとってはとても大事なことなんですね。
    是非、ご遠慮なくご質問ください。

    ワークショップも、そのようなご意見を聞いてからでないと、どのようなスタンスで始めればよいのかちょっとわかりません。例えば、

    1)マニュアルを購入して自分でトライするよりも、初めから直に教えてほしい。(基本編から)

    2)マニュアルを見てわからなかったので教えてほしい(基本編は一応ひととおりやってみた)

    3)基本編は自分でもできるので、応用編を直に教えてほしい。

    4)応用編の先の、金襴などの生地で作る筥迫をおしえてほしい。

    今度いつか、このあたりもブログに載せてみましょうね。
    | Rom筥 | 2010/12/09 9:59 AM |
    ワークショップでわいわい作るのも楽しそうかなと単純に思いましたが…
    確かにそうですね〜
    私はとりあえず、一度自分でトライしてからかなぁ?
    でも、頭でわかってるつもりでもやってみたら「あれれ?」ってことはよくあるんですよね(^-^)
    その時はまたガンガン質問させていただきま〜す♪


    | 333 | 2010/12/12 6:42 PM |
    はい、ご意見、ご感想、ご質問を楽しみにお待ちしております。
    | Rom筥 | 2010/12/12 8:58 PM |
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