『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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飾り結びのお話
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    今回、教本の再版で内容を改訂したのは、几帳結びを総角結びに入れ替えたことです。
    そんなわけで、今回は筥迫に飾る結びを取り上げてみます。

    <几帳結びと揚巻結び>
    私が結びを初めた頃はアジアンノット全盛で、几帳結びと総角結びが似たような形だと知ってはいましたが、それがどのような違いなのかわからず、前版までは筥迫の一段目、三段目を几帳結び、二段目を吉祥結びで解説していました。
    (筥迫作りに頭がいっぱいだったので、正直結びは二の次だったこともあり…)
    しかし、年月が経つにつれ、どうしても私が思い描く結びにならないことに悶々とした日々を過ごし、ある日やっと几帳と総角は違う!ということに気がついたのです(なんだかね〜)。



    左が几帳結び(きちょうむすび)、右が総角結び(あげまきむすび)です。
    わかりやすいように江戸打ちで結び、画像にアウトラインもかけてみました。
    実際、こうやって並べて比べればわかるものですが、それぞれ離して別の画像で見るとよくわからない程よく似ています。
    几帳は左右に出た耳の部分が中心の井桁の一辺をまたいでいるのでプクッとした丸い仕上りです。
    総角は左右に出た耳が、上下同じ場所から一緒に出ているので、潰れたようなぺしゃっとした仕上りです。
    几帳に慣れた方が総角を結ぶと、ちょっと物足りなさを感じるかもしれません。
    一般的に、総角は中心の井桁になった部分が「入」の形になった「入型」を使いますが、武具に使う場合は「人型」で結ぶそうです。
    『結』総角結び

    そうやって見てみると、几帳は「人型」ですね。


    以前、アンティークの筥迫の結びは小さくて控えめな形と書きましたが、これは単に総角なので「潰れた=小さい」形に見えたのですね。
    更に小さい結びになってしまうのは正絹の唐打ちで作っているからです。
    筥迫工房で使う基本の打ち紐は1mm幅の唐打ちですが、正絹の1mmの唐打ち紐を使うと、中の井桁型がキュッと締まり、耳を大きくしようとすると全体のバランスが崩れて菊に見えません(絹の唐打ち紐には念珠などに使う硬打ちもあり、反対にこちらは硬すぎます)。
    結び用に開発されたアジアンコードはしっかりとした堅めの作りなので、井桁部分を小さくするのが難しく、耳とのバランスを取るとどうしても大きくなってしまいます(アジアンコードで結ぶ際は、教本の指定のサイズより長めにとってください)。
    筥迫に対して、どのようなバランスで飾り結びを仕上げたいかにより、紐の種類や太さを選ぶことになります。

    <吉祥結びと菊結び>
    几帳と総角のように、菊結びと吉祥結びもほとんど同じ形です。
    というより、几帳と総角よりも更にその違いがわかりづらいかもしれません。
    前回の教本にも、吉祥結び=菊結びとしていました。

    一般的には、
    ・一周目と二周目を逆回りで結ぶのが吉祥結び
    ・一周目と二周目を同じ方向で結ぶのが菊結び
    なのですが、
    仕上げの形成は、吉祥結びは真ん中の耳を長く、菊結びは真ん中の耳を短くします。
    筥迫に使う菊結びは、一般的な菊結びより更に上下段の耳を強調した(真ん中を短くした)、丸々とした菊花をイメージするような形が多いようです。



    しかし、どうもそれだけではないような気がしてならない。
    と探してみたところ、こんなブログを見つけました

    日々のたのしみ 〜吉祥結びと菊結びの違い〜

    なるほど〜。中心の井桁の形状に注目です。
    吉祥:正方形
    菊 :風車型

    吉祥は二周目を逆方向に結んでいきます。
    菊の場合は同方向に結んでいきます。
    これによって正方形か、風車型かの違いになるようです。

    更に、吉祥の初めの回転は、上の紐を右下にします。
    菊の場合は下の紐を右上にします。
    これによって、人型か入型かの違いになるようです。

    裏側にして全体を見ると、この中心の形状の違いがよくわかります。



    吉祥は上下の紐が左右にきっちり分かれることにより完全な四角形です。
    そのため中心線がずれたような感じです。
    対して菊は、なで肩のようなラインの井桁になり、風車のような形状です。
    そのため上から下にすっきり中心線が通ったような感じです。

    更には、正方形の場合は表と裏が逆の型になり、風車型の場合は表と裏が同じ型になります。
    なんだか頭が混乱してきたので表にしてみました。



    あ〜、すっきりした(えっ?私だけ?)

    もう一度表に返して見てみましょう。
    全体的には、几帳&吉祥はふんわりした感じになり、総角&菊は全体に真っ直ぐ背筋正しい感じです。



    このように、今回の改訂では『几帳結び&吉祥結び』から、筥迫本来の『総角結び&菊結び』に入れ替えました。
    これが一般的な筥迫の飾り結びではありますが、筥迫を自作するメリットは、作る方の趣向に合わせたオリジナリティあふれる意匠にできることです。
    総角で結ぼうが几帳で結ぼうが、あくまで作る型のお好み次第です。

    どの結びもとてもメジャーな結びなので、ネットを探せばたくさん出て来ます。
    それでもご希望の方がいらっしゃいましたら、結びのページだけPDFで送りますので、ご一報ください(ただし2010年までに教本をご購入いただいた方限定です)。

    ちなみに、今作っている『婚礼用和装小物の作り方』では、懐剣袋の紐を菊結びで解説していますが、こちらの菊結びは「クサビ結び」というものです。
    クサビ結びは菊結びのように簡単にはほどけません。
    しかし、くさび結びは表と裏が違う形になってしまうので、筥迫の房のように垂らして裏表なく見える飾りには菊結びを使い(接着剤必須)、懐剣袋のように頻繁に出し入れし表向きに固定するような場合にはくさび結びを使うのかもしれません。

    私自身、結びは本で見て習った程度であまり詳しいとは言えませんので、正確なところを知りたい方はこちらの本をどうぞ。



    飾り結びの本はたくさん出ていますが、私はこれが一番参考になりました。
    かなり種類がありますので、それぞれの結びの違いを見るにはとても役に立ちます。
    全二巻ですが、二巻はあまり実用的でないので、一巻だけでも充分参考になります。
    【2011.02.22 Tuesday 09:26】 author : Rom筥
    | 筥迫材料-飾り房 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    突然のメールする事を、お許し下さい。
    今、組紐の三方の総角結び方を捜しております。
    もし宜しければ、こ教授願えませんでしょうか?
    また、三方の総角結び方の掲載して書籍が有れば、紹介下されば幸せです。
    宜しくお願い申し上げます。
    | 川口芳博 | 2015/11/05 2:18 PM |
    コメントいただきました「組紐 三方」の件ですが、
    私は結びは専門ではなく、あくまで筥迫で使う結びしか
    わかりません。

    つきましては、以下「SAKURA」のyayaさんの方が
    結びには詳しいのではないかと思いますので、
    直接お問い合わせください。

    http://purple.ap.teacup.com/yaya/

    右下の「お便り」から同じ内容でお問い合わせください。
    | Rom筥 | 2015/11/05 3:32 PM |
    初めまして、今、祭礼で使う飾り結びを探してホームページを見て、貴方のページを見つけました。
    吉祥結びの結び方を伝授願えないでしょうか?
    よろしくお願いします。
    | 大東 涼 | 2016/09/19 8:58 PM |
    大東さま

    私はあくまで筥迫の付属品としての結びしか教えることができません。

    ただ、吉祥結びは簡単な結びですから、ネットでも色々とでていますので、そちらを参照されるだけで結べるようになるのではないでしょうか。

    もし直接に結びを習いたいのであれば、専門のところにお問い合わせください。

    昇苑くみひも
    http://www.showen.co.jp/

    こちらで結び単体で教えてくれるようなことを聞いたことがあります。
    | Rom筥 | 2016/09/19 9:06 PM |
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