『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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筥迫用の生地について(1)
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    「筥迫の生地はどんなものを買ったらいいですか?」「どのぐらいの長さを買ったらいいですか?」「筥迫用の生地は販売していないのですか?」といったお問い合わせをいただくことがあります。
    そこで、筥迫に使う生地について連載で書いてみたいと思います。


    装飾の第一要素は生地

    筥迫は紙挟みから発展したものですが、紙以外の小物を入れられるように箱形になり、胴締めを付けたことで、本体と胴締めを続き柄にするという装飾効果を生んだのです。
    江戸時代の筥迫は、特権階級しか持つことのできなかった超贅沢品でしたので、刺繍や押し絵、切り嵌、象嵌、等々の装飾が施された絢爛豪華な筥迫は、今では美術館でしか見ることができません。
    しかし明治期に、一般の庶民(それでもある程度の上流であったと思われる)が持てるような装身具となったのも、筥迫が既製品化してきたこと、また織物の地模様で柄をつなげるような装飾が出てきたためと思われます。

    刺繍などの要素はまた別のスキルとなるため、筥迫作りを個人の楽しみと考えるのであれば、生地の「柄」「素材」は装飾の第一要素となります。
    ということで、生地だけは教本にしばられずに、生地屋さんや着物の古着屋さんなどで、たくさんの商品(または端切れ)の中から探していただき、それぞれのオリジナルを極めてほしいと思います。

    しかし悲しいかな、身近から生地屋さんがどんどん消えて行きます。
    私も最近はネットで生地を購入することが多くなりました。
    でもネットで生地を探すというのは、ある程度手作りに慣れていて、生地というものをわかっている人でないと難しいのですね。
    普段生地を買うことのない人が、お手軽にネットで、柄だけで生地を探して、筥迫にちょうどよい生地が探せるものかな〜と心配になってしまいます。
    ネットで買うことに慣れている人でも、画像だけでは「厚み」はわかりません。
    特に「色」は、例えそれぞれがPCモニタのキャリブレーションを整えていたとしても、画像を掲載する側のデジカメの性能、色補正や技術も様々なので、「こんな色だったの〜(泣)」という経験をした方も多いと思います。
    ですから初心者の方は特に、実際に布を手に取って、厚みや素材を確かめて、ある程度の素材の特性を知ってから、ネットショップで購入されることをオススメします。


    筥迫に適した生地は、作る人の技量で選ぶ

    筥迫に使用できる生地、、、実は何でもOKです。
    布はもちろんのこと、ビニールや皮、千代紙などでもできます。
    うちの娘が小さかった頃、筥迫を作る私を真似て、厚紙に折り紙を貼って作っていました。
    なるほど〜、いつか私も千代紙で作ってみよう、、と思ったものです。

    しかし、生地に精通している人ならどんな素材のものでも筥迫を作ることができるのか、、?
    実際にはその人の「技量」によって扱える生地は大きく限られてきます。
    技量の一番の分かれ目は「玉縁」ができるか否か。
    玉縁とは、筥迫の縁に付けるパイピングのことです。
    筥迫自体が小さいので、それほど細いパイピングに見えないかもしれませんが、実は洋服のパイピングとは比べ物にならないほど究極に細いパイピングのため、基本的にはミシンの扱いに慣れていないとできません。
    市販の筥迫で、3mmもあろうかという太い玉縁のものが売られていますが、1mmの玉縁とでは、仕立ての技量に初心者とプロほどの差があります。
    しかし趣味の筥迫作りであれば、3mmであろうとも、これができれば「厚手の生地」で筥迫を作ることができます。

    なぜ厚手の生地は「折り返し」ができないのか、、、。
    正確には、厚手の生地で折り返しはできますが、「きれいに作るのは難しい」ということです。
    筥迫とは、ご存知の通り「幅の狭い箱」という意味です。
    薄くなくては襟元に入りませんので、1〜1.5cmほどの厚みに納めなければなりません。
    鏡の付いた三つ折れ部分と紙挟みに、それぞれ厚紙&表布&内布の厚みが加わると、軽く1cm以上にはなってしまうため、ほんの少しの厚みの違いで大きく仕上りが異なってしまいます。
    玉縁の縁布は薄い生地を使うので、裏に回るのはこの薄い縁布のみ。
    しかし折り返しは、表布がそのまま裏側に回るため、それが各カ所で重ねられて倍増し、思わぬ厚みになってしまうのです。

    これを折りたたむための貼り込みのコツというものも必要となります(そんなところまで教本に書いちゃいません)。
    この厚みによって胴締めの柄合わせがずれてしまうので、胴締めの厚の幅を変更したり、厚紙の種類を変えたり、裏布の種類を変えたりします(これも教本に書いちゃいません)。
    ですから教本には「表布は薄手の生地を使ってください」とだけ書いています。
    教本通りに正確に作ってもキチンとした形にならないのは、使う生地の厚みに起因することがほとんどだと思います。



    筥迫用の生地については、今後とびとびの連載で続けていきたいと思います。

    筥迫用の生地について(2)筥迫に必要な布の大きさ
    筥迫用の生地について(3)縮緬
    筥迫用の生地について(4)金襴
    筥迫用の生地について(5)友禅、綿
    【2012.01.12 Thursday 11:21】 author : Rom筥
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