『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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襠付筥迫 Rom筥作品2012-4
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     地味な緒締の話ばかりが続いて食傷気味の方もいらっしゃると思いますので、緒締は少しお休みして(まだ続くんかい!)、今回は新作の筥迫をご紹介します。

    あまり代わり映えのしない金襴の筥迫ですが、実はけっこう違う所が、、、。
    さて、間違い探しです(笑)。
    これまでの筥迫と何が違うでしょうか?



    この角度から見てみましょう。
    違いがわかるかな?



    では、筥迫を広げてみましょう。



    けっこう違いますね。

    これは「襠付(まちつき)」の筥迫です。
    後ろは単純な「紙挟み」になっています。




    昔の袋物の本には、紙入れだけでも多くの種類が載っているのですが、筥迫は「その種類極めて多く、、」とあるのに、どれも1〜2種類程度しか紹介されていません。
    もっと沢山の筥迫を見てみたいものですが、他の懐中物に比べ、筥迫の作り方は圧倒的に頁数が多いので、たぶん紹介しきれないのだと思います。
    紙入れは筥迫の原型であり、その違いは、厚紙を入れず(箱になっていない)、胴締めを付けない本体だけの形状というぐらいです(江戸筥迫はまた別物とお考えください)。
    ということは、紙入れの種類だけ筥迫の種類があっても不思議ではありません。

    職人が作って小売店が販売していた頃は、たぶん嚢物のカスタマイズも可能で、注文に応じて種類も増えていったと思いますが、百貨店で販売するようになると、数を作るために規格を揃えねばならず、同じような既製品(それもできるだけ手のかからないもの)に統一されていったのかもしれません。

    これらの本の中には、「襠付き筥迫」に対し、現在、私たちが目にする筥迫を「簡易筥迫」と称しているものもあります。
    この頃は襠付きの筥迫も少なからず出回っていたので、お持ちの方も多いのではないでしょうか。
    襠が付いているという点では実用的だと思いますが、現代でこの形がなくなってしまったのは、筥迫が完全に「装飾」扱いになってしまったからだと思います。

    筥迫工房で販売している教本は、びら簪を付けるタイプの筥迫です。
    天面にびら簪を乗せ、美しい千鳥掛けの紙入れがあり、玉縁を付けて綿を入れて盛り上げ、、、私はこれを“装飾筥迫”と呼んでいます。
    この筥迫を実用で使えませんか?とよく聞かれますが、「これは装飾と割り切ってください。」と言っています。
    筥迫にびら簪や飾り房を付けるのは、携帯にストラップをじゃらじゃら付けているのと同じことです。
    しかし、びら簪は筥迫に固定されていないので、出し入れの際に落ちやすく、邪魔なのに使い道もない、どう見ても実用からかけ離れたものと言わざるを得ません。

    装飾に特化した筥迫が現代まで生き残ってきた最大の理由は、儀式で主役を特定できるアイコンとしての存在価値です。
    そこでは、役にも立たないと思われたびら簪が、何よりも輝きを放ちます。
    この筥迫を作る上でのテーマは「装飾を極める」に尽きます。
    ネックレスに実用を求めないように、装飾筥迫は胸に入れておくだけに留め、時に出して見ては、美しいものをその身につけている満足感に浸るためのものと考えましょう。

    しかし私のような年代では、残念ながらこのような装飾筥迫を身に付けて行ける場所はほとんどありません。
    自分が主役のパーティーとか? ←ない、ない(笑)。
    それならば、お茶席で胸元に懐紙を入れるような感覚で、ラクに出し入れでき、着物にも馴染むような、実用本位の筥迫を目指してみましょう。

    このアンティークの筥迫は、一般的な襠付きタイプです。


    紙入れ部分が千鳥掛けで、襠は単純な「折襠」ですが、どちらも中途半端に口が狭く、また天面にびら簪を付ける形態は同じなので、“気持ち実用”といったレベルです。

    今回の筥迫では、まず始めにびら簪を入れる「簪挿し」を取り除きました。
    この手の筥迫は柄合わせをしないので、胴締めは15mm〜20mm程度のものが多く、綿もいれない平面仕立てです。
    今回は金襴なのでもう少し太めにしましたが、細めの胴締めはシャープで少しラフな印象を受けます。

    紙入れは、使いづらい千鳥掛けをやめて単純な紙挟み形式にし、底が空いた分、扇襠にして口の容量を広げてみました。
    襠に厚みを付けた分、紙挟みに底を付けられなかったのですが、ティッシュ2枚ぐらいなら挟めます(苦)。
    これで外箱の厚みは基本の筥迫と同じ幅で作ることができました。

    この筥迫は、部品をサンドイッチのように積み重ね、外箱で包んで固めるように組み立てるのが面白いです。
    そして出来上がった筥迫を開いてみると、扇襠がまるで“でんぐり”のように展開する様が楽しいです。
    基本の筥迫を作り慣れている方であれば、さほど難しくなく作れると思います。
    これを基本パターンとして、もっと複雑なアレンジもできます。
    それは追々ご紹介するとしましょう。

    しかしながら、この筥迫の作り方は現在販売しておりません。
    いつか教本を作りたいと思いますが、とりあえず今年はないです(ごめんなさい)。
    どんなものでも、自分が作るだけならカンタンなのですが、これを教本に仕上げ、モニター作業を繰り返して販売レベルにすることは、気が遠くなるほど手間がかかるので、他のことに手がつけられなくなるのです。
    今後は、教本で基本の筥迫を作ったことのある人を対象としたワークショップを開き、実践を積み重ねてから教本を作る、というような工程で試してみようかなどと考えたりしています。
    【2012.06.19 Tuesday 23:20】 author : Rom筥
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