『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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日本刺繍の筥迫『雪雀』 S.midoriさんの作品
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    装 飾:日本刺繍『雪雀』(製作:midori.S)
    仕立て:実用筥迫、平面仕立て、被せ(玉縁)、
        胴締め(折り返し)(製作:Rom筥)
    表 布:白(塩瀬)
    内 布:深緑(古布)、ピンク(帯揚げ)
    打ち紐:筥迫用 江戸打C <11若草>
    房 糸:筥迫・末広用 11<若草>
    かがり糸:ポリエステル 11 <若葉>
    緒 締:大穴ビーズ 8<金茶銀引>
    ----------------------------------------------------------------

    midoriさんの作品第三弾です。
    前回までの華やかな筥迫からグッと雰囲気が変わって、落ちついた色合いの二羽の雀の登場です。
    かわいい系は変わっていませんが、余白を広く残し、葉に雪が積もっている様は、ちょっと寂しげな雰囲気を感じさせます。

    私が仕立てを依頼される際は、日本刺繍であればこんな状態でいただきます(布が切りとられている所は、『犬張子と鈴』で胴締めをミスしたため、再度作り直してもらった箇所。midoriさんゴメン、、、)。


    雪景色の中に、なぜかかわいい梅の花が。
    寒さに凍える雀が、春を夢みているのでしょうか。
    さて、このお題、どう料理したものか。

    色味はかなり落ちついているし、前回2作品のように華やかなびら簪が似合う雰囲気でもないので、今回は実用筥迫で仕立てることにしました(こちらの型紙はまだ販売されておりません)。
    梅はとりあえず被せの下に隠れるので、まずは表のイメージを決めることにします。
    この色合いでは、玉縁は雀の焦茶か、葉っぱの緑の色になるのですが、これはどちらかの内布が見つかった時点で決めることにしました。


    そして見つけたのは、葉っぱと同色の緑に、所々白の斑点が雪のように飛んでいるこの生地に決定。

    そして梅の処理は、、、


    おぉ〜!春です。皆さん、春です!(笑)。

    全体がどんな構造になっているのかといいますと、、、。


    地味なようでいて、中を開くと明るく景色が変わるという仕立てです。

    筥迫を畳むと、横からは少しだけピンクが覗きます。




    そして、すでにお気づきですね?
    なぜか胴締めに玉縁がされていないことに。
    これは胴締めの縁に、ちょうど雀の目がかかっているからなんですね。
    どうしてこんな雀の顔をぶった切るようなレイアウトにする?!

    「いやこれはですね、微妙な重心で葉っぱに乗っているからで、
     ちょこっとでもずれると雀が落っこちる。
     だからこの位置じゃなきゃだめなんです!ねッ?」(midori)

    雀好きのうちの先生とmidoriさんが、あーだこーだと考えたあげく、この位置に決まったそうです。
    制作者のこだわりは、仕立てる側としては充分考慮しなければならないわけで、こんな仕上りになりました。

    でもね、一目で気がついた人はあまりいないんじゃないかと思うのですが、この雀ちゃんのこの黒いのは目じゃないんですよ。


    雀ちゃんの本当の目はこっち!


    すんごく小さい!!!
    それをこんな胴締めギリギリの微妙な位置に、、、(泣)。
    そんなワケで、雀の目が見える程度に胴締めの幅を変えました。
    これまでの筥迫は、型紙に布の柄を合わせていましたが、装飾筥迫の難しいところは、型紙を図案に合わせなければならないところです。
    これができれば、色々な形の筥迫ができるということでもあるのですが。

    しかし、こうなると胴締めは折り返し以外の選択肢なし!
    でも被せを折り返しにすると、デザイン的にさみしい。
    ということで、こんな仕上りになりましたが、それほど不自然でもないようなので、こういうのもありかなという感じです。

    そしてもう一つの難は、胴締めの下で葉っぱが途中で切れてしまっているところです。
    midoriさんは被せの中だけに刺繍するものと考えたようですが、胴締めの見せ位置は、被せより上下とも少し長めです(天面まであると尚良し)。
    これは私の説明不足でした
    特にこの胴締めの形は、胴締めの下を鋭角に底側に折り込まないので、巾着の打ち紐通し穴以外が刺繍範囲といえます。
    この胴締めの葉っぱが下までしっかり刺繍されていたら、更にステキな仕上りになっていたことでしょう。
    前回の『花と蝶』も、胴締めの上下いっぱいに柄が散りばめられていたら、それはもう豪華な仕上りだったことでしょう。


    「でも、胴締めを付けたり外したりすると、刺繍がこすれたりしませんか?」(midori)

    ごもっともです。
    頻繁に胴締めを抜き差しするような実用扱いの物に、日本刺繍で柄合わせするような装飾はしたくありません。
    大体にして、実用できるほど使い込んだら手垢で黒くなる、、、。
    これはあくまでも実用の形をした「作品(装飾品)」。
    たま〜に箱から取り出して、にやにやと笑いながら愛でるようなシロモノでよいのです。

    「だから、装飾筥迫と同じように大事に扱ってね。」(Rom筥)
    「はい♡」(midori)


    被せの曲線は角度を深くして動きを出しました。
    このぐらい角度をつけるのであれば、下の外箱部分にも柄合わせできたら最高です。
    理想的には、図案をラフの段階で見せてもらって、私が仕立てのイメージを伝えて、仕立てにあった刺繍の範囲で全体のデザインを作ってもらえればいいのですが、こういう連携ができるかどうかが難しいところです。

    筥迫用に刺繍をしてもらってそれを仕立てる、というのは、これまでの筥迫作りとは全く違う難しさがあります。
    筥迫を作ったことのある人なら、こちらがさほど注意をしなくてもいいのかもしれませんが、筥迫を作ったことの無い人(筥迫の構造がわかっていない人)に筥迫用の装飾を指示するのは意外と難しいようです。
    今はこのような試行錯誤を繰り返しているので、これからの一年を刺繍教室の人たちに協力してもらい、刺繍筥迫の修行期間にあてるつもりです。

    さて、次回はRom筥の刺繍筥迫です。
    今現在、これとは別の刺繍をしておりますが、果たして作品展までにホントに間に合うのか、、、


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    【2012.09.26 Wednesday 18:47】 author : Rom筥
    | 日本刺繍の筥迫 | comments(6) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    ふくら雀かわいいですね。
    福良雀と書いておめでたく、これからの季節にはいいですね。

    | yaya | 2012/09/29 11:31 PM |
    刺繍展にお伺いしようかと思っています。
    9日か10日のどちらか、会場にいらっしゃいますか?
    | 風来坊 | 2012/10/01 12:14 PM |
    yayaさん>
    今回の雀柄は、とても反響があるようです。
    筥迫に雀もけっこう合いますね。
    今回の作品展に、刺繍の先生も雀の筥迫刺繍をしてくださいました。
    こちらも後日アップします。
    最近のあわただしさに、本を送るのをすっかり忘れていました。
    落ちついたら送りますね。
    | Rom筥 | 2012/10/01 1:19 PM |
    風来坊さん>
    こんにちは。
    作品展に来ていただけるのですか?ありがとうございます。
    10日に来てくださる方が多いようなので確実にいます。
    8日も出ることになったので、9日はお休みしようと思いますが、
    指名で呼び出されれば行きます(笑)。
    | Rom筥 | 2012/10/01 1:23 PM |
    では10日にお伺いしようと思います。
    急に何かおこらないかぎり
    お昼過ぎにでも拝見しに伺いますね。
    | 風来坊 | 2012/10/01 1:49 PM |
    風来坊さん>
    了解です。
    もしかしたら外に出ている可能性もありますが、
    そのときは会場にいる人に言って、呼び出してもらってください。
    | Rom筥 | 2012/10/01 2:08 PM |
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