『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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2013年10月 筥迫ワークショップ『三段口扇襠筥迫』
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    10月のワークショップは『三段口扇襠筥迫』です。
    11月の「二つ折小被付筥迫」は資料作成の都合により来年に延期したため、これが今年最後のワークショップです。

    三段口扇襠筥迫はまだ教本になっていないので、これまでの三回のワークショップを経て、その都度、型紙や作り方を改善し、受講者の反応を見たり意見を参考にしながら、販売用の教本の原型を少しずつ作り込んでいるという状況です。
    そして三度目にしてやっと「教本はこれで行こう!」という完成形に近づいてまいりました。

    今回改善したのは、厚紙の種類、山と底の処理、そして大きく変更したのは、何といっても筥迫の形状です。



    以前のワークショップ参加者より「もう少し横に広い方が使いやすいかも、、、」というご意見をいただいたので、それを反映して基本型より1.5cmほど幅の広い横広型を作ってみることにしました。
    そして参加者には、これまでと同じ「基本型」と「横広型」のどちらかお好みの方を選んで作っていただくことにしました。
    また、装飾筥迫のようにきっちりとした玉縁は使わないにしても、被せの縁に少しだけ内布を出した「縁出し」もできるようにし、こちらもお好みで選んでいただきました。

    それでは今回作られた参加者の作品をご覧下さい。


     

    ■Y.Sさんの作品(横広型)


    アンティークショップでお仕事をされているというY.Sさんは、古裂の入手には困らないといううらやましい環境。
    何枚かお持ちいただいた中で、一番のお気に入りは刺繍の入った古裂だったようですが、それはもう少し手が慣れてから使っていただくことにして、今回は初めてでも筥迫を作りやすい古裂を選ばせていただきました。
    表布は左にワンポイントの梅を入れておとなしめに、そして内布には大胆な龍の古裂を合わせてみることにしました。



    「筥迫の内側ってかなりの量を使うんですね。それに内側がすごく目立つ!」(Y.Sさん)
    確かに三段口扇襠筥迫は、表布に対して内布は三〜四倍ほどの大きさが必要です。
    更に、内側にも柄出しするとなると、かなりの大きさを用意しなければなりません。
    「内側はどこに一番めだつ柄を持ってきたらいいですか?」
    内布の柄出しまで問われるとは思わなかった、、、(汗)。
    そこはやはり「被せ裏」でしょうね。
    おとなしめの柄の被せを開くと、一番始めに見えるのがこの龍の姿というわけです。
    こんな筥迫をお友達に見せたら、きっとびっくりされることでしょうね。
     

    ■Y.Nさんの作品(横広型/縁出し)


    なんとまぁ美しく仕上がったのはY.Nさんの作品です。
    Y.Nさんは羽織をほどいた生地をお持ちになりました。
    古着屋さんで入手されたそうですが、最近は羽織を着る人が少なくなったので、端切れで買うよりもお安く入手できることができることもありますね。

    メインの柄はもっと派手で大きかったのですが、今回はこの小さな二輪の椿を使うことにしました。
    全体の中では小さな柄でしたが、筥迫に仕立てると充分立派な柄に見えます。



    大きな柄は、布で見た時の印象と実際に小さな筥迫に仕立てた後では、イメージにかなりのギャップがあります。
    小さいと思った柄でも、筥迫に合った大きさを使えばその効果は絶大となるわけです。
    柄出しは慣れないとなかなか難しいのですが、山ほど筥迫を作り込んでいくと、何を見ても筥迫の枠でとらえることができるようになりますので、たくさんの筥迫を作って柄出しに慣れて行ってください。
     

    ■T.Kさんの作品(横広型)

    T.Kさんは、こんな明るい生地をお持ちくださいました。
    このような生地を使うと、楽しい気分で筥迫を作れそうです。
    しかしこのような大胆な柄というのは、取る場所によって筥迫の雰囲気ががらりと変わってしまうものです。
    そんな時、私は柄出し専用の型を使うことにしています。
    被せの形にくり抜いた厚紙に、間の胴締めの部分も厚紙で目隠しすることにより、仕上りを確認することができます。

    T.Kさんは白い花の部分をメイン(左側)に使いたいとのことだったので、元の生地のイメージを出せるように、被せの下(外箱柄)に赤を置いて、胴締めに青の部分がかかるように柄出ししたと思うのですが、どうやら胴締めを裏側にセットしてしまったようです、、、。
    実際には胴締めにもっと色柄が入るので、もう少し華やかな雰囲気です。



    ワークショップはいつも終了ギリギリで大急ぎで撮影をするので、あわてて胴締めの向きを確認しなかったようです。ごめんなさい、、、。
     

    ■N.Fさんの作品(横広型/縁出し)


    ああ、こちらも胴締めを逆にセットしてしまったようです、ごめんなさい、、、。
    実用の胴締めは細いので、前後逆でもわかりづらかったりします。ご注意ください。

    F.Nさんは来年春に挙式予定で、前回の『婚礼用 筥迫&懐剣』に参加希望だったのですが、すでに定員を満たしていたので、残念ながらお断りさせていただきました。
    しかし、自作筥迫の夢をあきらめきれず、今回の参加となりました。

    F.Nさんがお持ちになった表の赤地は、本来なら内布に使うような生地なので(綸子だったか?)、正直どうかなと思うところもありましたが、仕上りは、はっと目を引くような作品に仕上りました。
    びら簪をこのように挿せば、婚礼用でも使えそうです。

    この表地の柄は大きな「鳩」の絵で、F.Nさんはこの鳩の部分を使いたかったようですが、筥迫にするにはあまりにも大きい。
    例えば、左(メイン)に鳩の頭がどーんと来て、右は鳩の羽の付け根が少し見える程度(羽全体さえ入らない)。
    鳩の体しか見えない筥迫になることが予想されたので、赤と白以外の色味が入るこの「蔦」の部分をおススメしました。
    F.Nさんはこんな地味な柄が筥迫の装飾になるのかと半信半疑だったようでしたが、筥迫の小さな世界を甘く見てはいけない(笑)。
    不思議と形になるものです。
    「筥迫ってほんと小さいんですね〜!」と何度も感心していらっしゃいました。
    私からすると、今回の横広型はかなり大きく見えるんですけどね。



    この筥迫では、被せ裏の白を長めに取って『縁出し』をしています。
    前出のY.Nさんの作品も同じく縁出しをしていますが、実用筥迫では全く違う色の組合せにすることが多いので、この小さな縁出しがかなり効果的です。
    ただし、この筥迫は装飾筥迫よりも被せのカーブがきついので、このカーブをきれいに貼り込まないと縁出しがガタガタになってしまいます。
    縁出しをするときは、被せ、被せ裏ともきれいな曲線で貼り込まないと同幅に出ないため、丁寧な作業と細心の注意が必要になります。
     

    ■B.Vさんの作品(基本型/縁出し)


    こちらは今回の受講者の中で唯一「基本型」を選ばれたB.Vさんです。

    WSを始めた当初は、東京近郊の方ぐらいしか来ないだろうと思っていたので、WSは年に2回ぐらいすれば充分だろうと簡単に考えていました。
    しかし、毎回、山形や富山、兵庫、果てはイギリスなど、予想もしない遠方から参加してくださる方がいてびっくりしています。
    そして今回参加のB.Vさんは、なんとフランスから参加、、、ではなく、正真正銘のフランスの方でした(汗)。
    B.Vさんと前出のF.Nさんはお友達同士で、日本語は問題なく理解し、作業も他の方と同じようについてこられたので、私もあまり気にすること無く、一参加者として対応することができました。
    フランス語が飛び交うという不思議な講習会でしたけどね(笑)。

    筥迫なんて日本人でも知らない人が多いマイナーな存在に、なぜフランスの方が興味を持たれるのか不思議でしたが、B.Vさんはフランスでは美術品の修復のお仕事をされているとのことで(現在は日本で一年間の研修中)、日本文化にはもともと興味をお持ちのようでした。



    今回の参加者の中では最も日本的な生地をお持ちになりました。
    内布はオーソドックスな同系色の生地をお選びになりましたが、実は全く同じ色で素材の違う二枚をお持ちだったようで「こちらは縮緬ですが、こちらは縮緬ではありません。どちらを使いますか?」と聞かれ、よくよく見ると確かに違う素材でした。
    しかしフランス人のB.Vさんから縮緬なんて単語を聞こうとは、、、そんなことに感心していたRom筥に対し、二日目の飾り結びも房作りも、涼しい顔で一番に仕上げていたB.Vさんでした。
     

    ■武部 由紀子さんの作品(横広型)


    武部さんは、以前、筥迫のお仕事でタッグを組んで江戸筥迫を作らせていただきました。
    そう、あの刺繍作家の武部由紀子さんです(ということで武部さんだけ実名)。
    この武部さんも、はるばる大阪から参加してくださいました。

    武部さんが選んだ生地は、いかにもというスタイリッシュなこちらの組合せです。
    私が縞柄を使う時は、被せを横縞に、胴締めを縦縞に使うのですが、武部さんはあえて全てを縦縞使いにされました。
    外箱まできちんと柄合わせされています。



    襠付の筥迫の場合、筥迫の横から見える「襠」部分は大切なアクセントです。
    中は適当な柄を使ってくださいと言っていますが、襠は見える部分なので、一番効果的と思える部分をこちらから指定します。
    今回は一番赤色の詰まった部分を指定させていただきました。
    モノトーンの縞柄の横から見える赤がとてもすてきなアクセントになっています。
    この房色との組み合わせもすてきですね。

    人それぞれお持ちになる素材が違い、全く違う雰囲気の筥迫ができるのが本当に不思議です。
    ワークショップを通じて、自分では全く考えられなかった組合せや材料の使われ方を見ることができるので、私自身ワークショップはとても勉強になります。
     


    今回は、基本型と横広型の二つから好きな方を選んで作っていただくというものでした。
    数種類の中から自由に選べるようにしてあげたいという気持ちから、型紙に多くの線を引くことになってしまったのですが、実は色々な選択肢があると、どの線を使えばよいのか迷い、間違えて何度も型紙を取り直したり、型を作り直したりと、かなりの手間をかけさせることになってしまいます。
    講習会は目の前に私がいるので、修正も大きなダメージにはなりませんが、教本だけを見て作るような人には、一つの失敗が大きなダメージとなり、そこで筥迫作りを挫折してしまう羽目になりかねません。
    作る人を迷わせるようなサービスならない方がマシですね。
    ということで、三段口扇襠筥迫は今回圧倒的に人気だった「横広型」のみを採用することにいたしました。


    「先生、次のワークショップはいつですか!」
    筥迫を作り終えた参加者から意気揚々とした声が飛びます。
    つい先日までは二月ぐらいからとも思ってはいたのですが、こうやって三段口の形が出来上がってくると、やはり新たな教本(販売用)を作ることを優先せねばという気持ちが強くなります。

    「びら簪付筥迫」は内容的にもすでに固まってきたので、来年あたり本格的に印刷にかけようかと思っております。
    そして「三段口扇襠筥迫」の教本を販売できるまでの形に作ってから、再度ワークショップを再開しようかと考えております。
    「半年先とかではないですよね?!」
    う〜ん、そうならないように、とにかくがんばります(汗)。


     
    【2013筥迫ミステリーツアー&オフ会】
    江戸時代の筥迫、嚢物の名品のコレクションを見学に行きませんか?
    金唐革の専門家による金唐革の説明有り。

    日時:11月18日(月)
    東京 新宿界隈 13:30頃集合
    見学会〜16:00終了予定
    オフ会(近辺にて):17:00〜(時間はあくまで予定です)

    ※以下、お問い合わせいただいた方へ、追って詳細をメールいたします。(募集締め切り:11月15日まで)
    1)参加希望をお知らせください。
    ・見学会、オフ会の両方
    ・見学会のみ
    ・オフ会のみ
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    【2013.10.16 Wednesday 12:34】 author : Rom筥
    | 筥迫講習会・研究会 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    300円の古着の羽織を持って wsに参加させて頂きました。
    HPを拝見し はこせこの美しさに魅了されて
    勢いで WSに申し込んでしまったものの
    かなりドキドキの参加でした。

    先生が 丁寧に また テキパキと教えて下さる通りに
    皆さんより 半周遅れ位で 必死にやるうちに
    はこせこが出来上がりとても感激しました。
    皆様と 和気藹々の雰囲気で楽しい二日間でした。
    ありがとうございました。

    忘れないうちに…とショップの方から材料を注文しました。
    一人でできるか不安ですが 丁寧なレジュメを
    頂きましたので 頑張ります。
    ありがとうございました。
    | Y.N | 2013/10/16 1:30 PM |
    ようやく参加がかないました。
    二日間、そうだったのか〜!の連続。
    考え抜かれた教授内容と無駄のない工程、すごかったです。

    もたもたと巾着も房もほとんど作っていただいてごめんなさい(もしかしてすごくお得???)
    ご一緒の皆様方もご趣味の深い方たちばかりで、帰り道のおしゃべりも楽しませていただきました。

    次は装飾箱迫も・・・と想っていますが・・・

    | 武部由紀子 | 2013/10/16 4:21 PM |
    こんばんは。この度は2日間のご指導を有難うございます。
    初めてのはこせこ作りでしたがWSの朗らかな雰囲気のおかげでなんとか完成させられました。不出来ですがとっても可愛らしくできて、見ていると頬が緩みます。先生、助けて下さった参加者さま方、大変お世話になりました!
    それにしても、写真では特に、ミスが目に付くものですね。この悔しさをバネに次作を頑張ります。
    それでは、急に寒くなりましたので風邪など召されませんよう、どうぞご自愛ください。
    | T.K. | 2013/10/16 9:17 PM |
    こんにちは〜〜
    コメント遅くなりました。

    仕事場でみんなに自慢しまくりましたよ〜。
    みんなから作りたい作りたい!というお言葉が!
    使用写真も今度送らせてもらいますね^^

    ひさびさに一心不乱になって制作させて
    もらいました。
    講習も楽しくて、時間があっという間に
    過ぎてしまって・・・先生にもいろいろ
    ご迷惑をm(__)m
    また今度はこんなのにしよ〜とか
    定期もいれたいなぁ〜とか
    欲がどんどん出てきそうです^^

    また是非参加したいと思っております。
    宜しくお願いします。
    今回は本当にありがとうございました。


    | Y.S | 2013/10/22 12:39 PM |
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