『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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筥迫と末広(扇子)
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    筥迫と末広(扇子)は共に持つ状況が多いようです。
    筥迫工房のショップでは末広も販売しているので、末広の扱いを聞かれることが多々あります。
    私は筥迫については多少の知識はあっても、正直なところ末広については専門外です。
    これまで、つたない知識の範囲内で何とか回答はしていたのですが、このところ同じような質問が続いたので、一度ブログにまとめてみることにしました。

    しかし、あくまで筥迫関連情報を調べる中で得た知識と、自分なりの考えを交えながらお答えすることになりますので、必ずしも正確ではないということをあらかじめご了承ください。
    そして、内容に対するあきらかな間違いなどありましたら、遠慮なくコメント欄にてご意見いただければ幸いです。

     

    扇子には、夏場などに「凉を取る」(あおぐ)ことを目的とするものと、「儀礼」を目的とする(あおがない)扇子があり、儀礼を目的とする扇子の中でも、慶事に使われる扇子は「末広」という呼び方がされています。
    筥迫にも色々な種類があるので、ここでは筥迫と扇子を合わせて使うという状況=慶事であることから、「装飾用筥迫」と「末広」という組合せで考えたいと思います。

    (1)筥迫を使うのなら扇子も用意した方が良いのでしょうか?

    <花嫁さんの場合>
    和装の花嫁さんが身につける小物は、「婚礼用筥迫セット」というものが販売されております。
    この中には、筥迫、懐剣、末広、丸ぐけ、抱え帯が含まれますが、どれも全てを付けなければならないものでもなく、ある程度自由に組み合わせて使うことができます。
    ここではメインとなる、筥迫、懐剣、末広を考えてみます。

    この3つの小物には「飾り房」が付きますので、花嫁衣装では帯の左右に派手に房がかかるのが特徴です。
    引き振袖(または振袖)なら、私は楚々とした「筥迫&末広」の組合せが好きなのですが、「筥迫&懐剣」はよりゴージャスな雰囲気になり、これもまたすてきです。
    「筥迫&懐剣&末広」となると、筥迫房(小)×1個に対し、右側に懐剣房(特大)×2個に末広房(小)×2個の計4個、左右で合計して5個の房が垂れ下がるので、正直、付け過ぎじゃないか?という気はしています。

    でも打ち掛けには懐剣が欠かせません。
    打ち掛けに懐剣は必須!とか言うのではなく、単に打ちかけには懐剣が一番映えるからです(笑)。
    筥迫は襟元で半分しか見えないのに、反対側から打ち掛けをはおられると更に見えにくい。末広も深く挿すから目立たない。
    あの派手な打ち掛けを着て、とにかく目立つのは懐剣(笑)。
    そんなことから「懐剣だけ作りたい(使いたい)」と言われたことがありますが、さすがにそれはおかしいのではないかと言いました。
    江戸時代は、打ち掛けを着ることができる=筥迫を身に付けることができる、という格式を示すようなものでしたから、あくまで打ち掛けの主役的小物は筥迫であると思うからです。

    しかし筥迫オンリーでもいいかと言われれば、懐剣がないなら末広は必須と考えます。
    留袖に末広は必須なのですから、主役の花嫁さんに懐剣か末広のどちらかは必要と思うからです。

    筥迫&懐剣だけで末広を身につけなかった場合でも、必ず末広は用意した方がいいと思います。
    それは撮影の時に必要だからです。
    集合写真では最前列の留袖の人は全て末広を手に持ちますので、花嫁さんの手に末広がなかったらおかしい。
    個人撮りのときも末広を手に持たないと格好が付かないので、やはり花嫁さんには末広が必須なのです。

    <七五三の場合>
    七歳の七五三は花嫁衣装を模しているので、花嫁さんが持つ小道具は全てミニチュア版で持つことになります。
    従って七五三の末広にも、あの長い飾り房が付きます。

    ちなみに末広は帯の中に差し込むものですが、なぜか七五三は帯締めに挟みますね。
    子供は慣れない帯で締め付けられるのを嫌がりますから、そこに無理矢理末広を入れるのはかわいそう、、、だからなのでしょうか?

    しかし、たまに花嫁衣装で帯締めに末広を挟んでいる画像を見かけます。
    さすがにこれはおかしすぎる、、、、。

    <十三参りの場合>
    十三参りで女の子は初めて本裁ちにした大人の着物を来ますが、「十三参りから扇子も大人用に代わる」ということを最近耳にしました。
    私は東京育ちで十三参りには疎いので、ここは本場京都の扇子屋さんに聞いてみよう!ということで問い合せをしてみました。
    結果「特にしないです」とのこと(苦笑)。
    う〜ん、本場で十三参りをする方はどうしているのでしょう。是非ご意見が聞きたいものです。

    しかし、最も筥迫を身につける意義があるのは十三参りであると考えている私としては、十三参りに筥迫&末広はとてもしっくりきます。
    我が家の娘も来年は十三参りです。
    着物と筥迫のことばかり考えていましたが、末広も用意してみようかなと考えている今日この頃です。
    でも選ぶなら、祝儀扇でない塗りの末広を合わせるかな(飾り房は付けない)。

    <成人式の場合>
    成人式に筥迫と末広を付けてもよいか?と聞かれれば、どちらも「付けても良い」程度だと思います。

    末広に限って言えば、振袖は未婚女性の第一礼装なので、末広を入れる「権利はある!」ぐらいのもの(笑)。
    七五三や十三参りは、神社やお寺さんへ子供の成長を願い感謝してお参りすることがメインで、婚礼は神さまの前で誓いを立てる挙式がメインです。
    そう考えると成人式は一般的に成人の集いに出ることがメインで、神仏関係はほぼ無縁のような気がします。
    無事成人したことを親や親族に感謝し挨拶に回る、神社やお寺、教会に参じるという行動があれば、「結界を作る(相手に対しての敬意を示す)」という意味において、成人式で末広を付ける意義はあるかと思いますが、成人の集いに参加するだけなら果たして末広を付ける必要あるのかなと考えてしまいます。

    その点、成人式の筥迫は、「付けたら誰よりも目立つ!」程度のお気楽さで身に付けて大丈夫です。
    それこそ、大奥女中がドーダ感満載で身に付けていた、あのノリで付けるにふさわしい場かもしれませんよ(笑)。


    (2)帯にはさむ際、房はどのようにすればよいのでしょうか。

    飾り房のついた末広を使うのは花嫁さんと七五三です。
    私は花嫁さんの着付けに詳しいわけではないので、あくまで自分が資料として集めている花嫁さん画像を参照して、総合的に判断させていただきます。

    婚礼用の長い飾り房は、末広にぐるぐると巻き付けて帯に刺し込み、房の先を帯の前に垂らします。
    房を出す長さは、房の下が帯締めから帯の下辺ぐらいの間で、帯より下にはならない程度に納めるのが良さそうです。

    七五三の場合は帯締めに挟むことが多いのですが、それでも房が帯より下に下がらない方がすっきりするので、かなり蒔き上げることになるかと思います。


    (3)「婚礼用末広(新婦用)」と「成人式用末広」の区別はありますか?

    花嫁さんが持つ末広はあきらかに区別されますが、成人式用の末広に区別されるものはないと思います。

    まず花嫁さんが持つ末広ですが、これは祝儀用扇子という裏表が金銀になっているものを使います。
    白骨と黒骨があります。お好みでお選びください。
    ただし、花嫁用は扇子の要に「環」(金属の輪っか)の付いているものを使います。
    これがないと末広用の「飾り房」を付けることができません。
    扇子の形は留袖用とほとんど同じなので、この環があるかないかで判断します。
    間違って留袖用を買ってしまうと、写真撮影で末広を手に持った時に、あのたら〜んと下がった房が付かないことになり、ちょっと華やかさに欠けることになってしまいます。

    次に成人式用の末広についてですが、筥迫工房のショップで成人式用の末広を販売しているのでそんな疑問をお持ちなのかもしれませんが、これは仕入れ先でそういう名称のものがあったので仕入れてみただけで、今となってはかなり紛らわしいので在庫限りの販売にしようと思っています。

    今の時代、成人式の着付けが年々孔雀化してきているような気がします。
    何でも着物に付けて盛っちゃえ!という感じ。
    そういう意味で成人式用と銘打った末広が出てきたのだと思います。
    このままでは更に進化した(ど派手な)「成人式用末広」が出てきそうです(苦笑)。

    でも末広というのは扇子の先を2〜3cmほどしか出さないものなので、正直ド派手な着付けに付けて意味があるのか?と思ってしまいます(そういう意味では筥迫も埋もれそうだ)。
    末広は控えめさがすてきな着物のアクセントなので、もし振袖に末広を合わせるのなら、オーソドックスな着付けにしておいた方が無難なのではないでしょうか。


    (4)結婚披露宴のおよばれや、おめでたい式への出席で振袖着用時に使ってもかまわないのでしょうか?

    これは末広というよりも筥迫にも同じことが言えますので、一緒にお答えしたいと思います。

    まずは筥迫ですが、私自身はゲストが筥迫を付けても良いとは思うのですが、「絶対に花嫁に見られない(花嫁より目立たない)」ことを何より注意します。
    とりあえず、「びら簪」「飾り房」は使わない方がいいかな。
    筥迫は派手に装飾されたものではなく、ワンポイント装飾があるぐらいのものを。

    花嫁が和装の場合、何を着るかも問題です。
    まず「打ち掛け」なら、あなたが筥迫をしていても目立たないでしょう(笑)。
    次に「引き振袖」の場合、花嫁の筥迫はよく目につきますので、張り合わないように注意しましょう。
    今時の婚礼業界では、筥迫は着物の挿し色としてでしか扱われないので、花嫁さん自身がかなり簡単な筥迫を身に付けていることが多いです。
    びら簪も付いていない、飾り房も付いていないようなものは、まず筥迫に胴締めがない。
    胴締めのない筥迫といったら、それはもう筥迫ではなくただの「紙入れ」です(このタイプのものも筥迫として販売されています)。
    その場合は残念ですが、ご自分の筥迫はバッグに納めてください。
    あなたが作った自作の筥迫の方がよっぼど立派だと思うので。
    最近、身内だけの小さな結婚式で「成人式に着た振袖」を着たいという花嫁さんが増えてきました。
    この状況では、始めから筥迫は考えない方がいいかもしれません。

    筥迫に比べ、末広なら花嫁さんに気を使うことなく、結婚式に付けても失礼になることはないと思います。
    留袖のように絶対付けるものというよりは「付けても良い」程度のものだと思いますが、このときは祝儀扇でもいいと思います。
    間違っても飾り房は付けないようにしましょう。


    またしても読む人が苦痛なほどの長文になってしまいました。すみません、、、。
    簡潔にぼかして書くことができない文才のなさにいつもため息が出ます(良く言えば直球勝負)。
    地域によっての風習もかなり違いますので、これらの具体例はあくまでも参考に考え、まずは回りの方や挙式する場の地元の年長者にご意見を伺ってからにしてください。
    例え、当日、筥迫や末広を身に付けたことで回りの人から何か言われるようなことがあっても、どちらもすぐに取り外せるものなので、少し気楽に考えましょう。
    ちょっと冒険する気持ちも、文化を引き継いで行くためには必要なことです。
    これらのすてきな日本の文化を長く大切にして行きたいですね。
    【2013.11.10 Sunday 00:05】 author : Rom筥
    | 筥迫の使い方 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    山下悦子『きもの歳時記』http://www.amazon.co.jp/dp/4582762425を彷彿とさせる、実践と知識にあふれる論述に感動。
    しかし、昔は寺と神社の違いも知らなかったあの子かねえ、と感無量です(いじわるじゃないよ)
    | agatha | 2013/11/20 1:43 PM |
    ahathaさん>

    いやもう、こういうものを書かなければならないときは冷や汗ものですよ。
    2〜3日、このために調べたり考え続けでした。
    たぶん、間違っていることもあるとは思いますが、どこを調べてもぼかして書いてあるので、本当はそのような書き方がいいのだとは思いますが、わからない人には困ることも多いので、とりあえず私見ということで申し上げてみました。

    私は生まれた時からどっぷりクリスチャン家庭に育ってきたので、神仏関係は昔から疎いですねぇ(苦笑)。
    でも筥迫を作るようになってから、色々な知識が必要となりあわてて勉強したものも多いです。
    またお客さんや生徒さんなどの方が知識の深かったりもするので、日々冷や汗の中で過ごしております。
    | Rom筥 | 2013/11/20 2:13 PM |
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