『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
<< 2014年5月 十三祝い徒然 〜後記〜 | main | 2014.6 三段口扇襠筥迫 >>
2014年6月 筥迫ワークショップ『びら簪付筥迫(基本)』
0
    ワークショップを始めた頃は、参加者は東京近郊の人に限られるだろうと思っていたので、その中で筥迫作りに興味がある人の割合を考えると、年に2回企画して人が集まるかどうか、、、と漠然と考えていました。

    ところが蓋を開けてみると、みなさん新幹線や飛行機に乗ってやって来る。びっくりです。
    とてもありがたいことですが、講習費よりも高い運賃(&宿泊費)をかけて来てくださる方のことを思うと、いいかげんな内容の講習はできないという思いと、何より自然災害や自分自身が体調不良になってWSができなくなったらどうしよう、、、というプレッシャーを感じずにはいられません。

    今回も、広島、徳島、大阪、埼玉から来てくださった5名での講習でした。
    この大雨で非難地域に指定されしまった方と、前日ご家族の入院などでキャンセルされた2名の方は残念でしたが、とにかく電車や飛行機が止まらなくて本当によかったです。
    私はもちろん一番の近場ですが、ワークショップはとにかく荷物が多いので、こんな雨の日は移動が大変です。
    さすがに金曜日の大雨では、タクシーもつかまらず歩きでの移動。泣けた、、、。

    筥迫作りは何といっても材料と道具が多い。
    こんな小さいな箱を作るために、何故こんなに道具が多いのか、何故こんなに準備が大変なのか。
    これが頻繁に講習会ができない最大の要因です。
    どこに海外旅行に行くのか?というような大きなスーツケースに、旅行カバン、それに大きな手提げ袋が二つ。
    もちろん一回では運べないので、前日の会場設営と合わせ、毎日入れ替わりたち替わりで荷物を運びます。
    参加者もたくさんの荷物を抱え、日本各地から戦闘態勢でやって来るといった感じです(笑)。

    それでは、今回の戦果を見てみましょう。


    ■K.Ymさんの作品(広島)


    K.Ymさんは、いくつかの生地をお持ちになりましたが、私はこの古布を選んでみました。
    柄は筥迫にちょうどよい大きさで、且つ綿の膨らみが効果的に出る柔らかさです。
    初心者は木綿のような少し張りのある生地が作りやすいのですが、基本で使う綿は「キルティング芯」なので、この少しの張りが繊細なキルティング芯を多少なりとも潰してしまいます。
    その点、このような古く柔らかい正絹の生地は、綿のきれいな膨らみが出ます。

    アンティークな雰囲気の筥迫には、びら簪は横挿しがお似合い。

    キラリと光る小さな緒締めは、WS用に私が穴を開けてきたものです。
    販売はされていませんが、プラスチックビーズなので、リーマーで簡単に穴が広げられます(とはいえ売るほどたくさんはあけられない、、、)。
    打ち紐は「唐紅」を選ばれました。
    内布が真紅でも、色材料は「唐紅」ぐらいの方が大人の女性には似合います。

    内布は八掛をお持ちになりましたが、八掛にしては厚手で、こちらも筥迫に適していました。
    「内布が赤い筥迫しか見たことないので、とりあえず赤を持ってきました〜」(K.Ymさん)
    筥迫の内側が赤なのは、おめでたい色というのが第一の理由だと思いますが、赤という色は魔除けの色でもあります。
    ちなみに、鏡にも魔除けの意味がありますね。

    飛行機に乗って来た甲斐のある作品が出来上りました。


    ■Y.Eさんの作品(埼玉)


    Y.Eさんがお持ちになった表布は「QUILT GAITE」の「百華繚蘭」シリーズです。
    筥迫作り初心者には、迷ったら和柄の木綿で、とお勧めしていますが、こちらの百華繚欄シリーズは私もよく使います。
    このQUILT GAITEは、キルト専用の生地を扱っているので、柄が小さめで筥迫につかうのにちょうど良い。
    ただし、百華繚欄シリーズは他の柄に比べちょっと大きめの物が多いので、Y.Eさんのようにあえてメイン柄を外して使うのも手です。
    被せ下の鶴がこの大きさなので、柄合わせにはちょうどよいですが、柄合わせをしないならば、ピンク、緑、金が、斜め左半分に入るようにすると、生地の雰囲気を出せると思います。

    打ち紐は「珊瑚」を選ばれましたが、こちらは専用の切り房がなかったので「手縫い糸」を巻いて使い、、、いえ、実は私が間違って「かがり糸」を持ってきてしまったので、やたらとがっつり感のある房になってしまいました。
    撚り房の雰囲気に近いかもしれません。
    ただし、かがり糸は糸を切った後がすぐにほぐれてしまうので、房糸には向きません。
    Y.Eさん、ごめんなさい、後でちゃんとした手縫い糸送ります〜。

    千鳥掛けのかがり糸は「千草」、緒締はパールビーズの「」です。
    打ち紐、房糸、かがり糸、緒締を「色材料」と呼んでいます。
    選び方がわからない方には、とりあえずこれらの材料は同色を選ぶようにお勧めしています。
    しかしWSでは全ての色材料を見ながら好きな物を選ぶので、こんな選び方が自然にできるのがいいですね。


    ■武部 由紀子さんの作品(大阪)


    大人っぽい個性の光る表に対して、内布はなんてかわいらしい柄。
    このように表と裏をがらりと変えると、とても楽しい作品になります。

    打ち紐は「煎茶」を選ばれました。
    この色は専用房糸がなかったのですが、最近仕入れました。
    とても使いやすい色だと思います。

    緒締もWS専用に穴を開けたビーズなので、こちらは販売しておりません。
    びら簪はご持参された田楽型をセットしました。

    裏も個性的です。

    武部さんは三段口に引き続き二回目の参加です。
    大阪参加も遠い感じではなくなりましたね〜。
    参考までに交通費やホテルはどうしているのかお聞きしたところ、「出張パック」を使っているそうです。
    複数で移動する場合は色々なプランがあるそうですが、一人での移動となると「出張」割引で探すのがよいとのこと。
    一番安いものなら、新幹線往復の値段でホテルが付くらしいです。
    遠方で今後WS参加を考えていらっしゃる方は是非ご参考に。


    ■K.Ysさんの作品(埼玉)


    K.Ysさんは、綿縮緬をお持ちになりました。
    縮緬は「正絹」「レーヨン」「ポリエステル」「綿縮緬」があります。
    縮緬は筥迫作りに適した生地ですが、初心者には扱いづらいのが難。
    ホットメルト紙」を使うなら勝手はいいのですが、今回のように綿入れをするとホットメルトではせっかくの綿が潰れてしまうので、「接着芯(薄)」+縮緬使いでは多少慣れが必要です。
    そういう意味では、綿縮緬は初心者にも使いやすいのでお勧めです。

    打ち紐の「山吹」はショップではほとんど出ない色です。
    一時取り扱いをやめていたのですが、WSでこの色を選ぶ人がけっこういたので、再度取り扱いすることにしました。
    ネットで見るのと、実際に見るのとでは印象が違うのかもしれません。

    K.Ysさんは、この筥迫をご自身の婚礼でお使いになりたいとのことですが、婚礼衣装に木綿はあまりにも不釣り合い、、、。
    どうしてもということであれば、少しでも格を上げるためにも「玉縁」を付けましょう。
    初心者の方は、玉縁は是非「挟み玉縁」で。
    最近の教本をお持ちの方であれば、挟み玉縁の使い方は解説されています。
    以前の教本には挟み玉縁の使い方がないので、お問い合わせをいただければPDFを送らせていただきます。


    ■A.Sさんの作品(徳島)


    A.Sさんは、お嬢さんの婚礼用の筥迫を作りに来られました。
    表布は留袖です。
    被せ下の柄出しも、ちょうどよい配置です。
    留袖は古着などがとても安く手に入るので、筥迫を作るのに適しています。
    しかし正面メインの柄は大きなものが多く、ほとんど筥迫では使えません。
    どちらかというと、ちょっと外れたところにある適度な大きさの柄の方が、形もよく見えて使いやすい。
    更には金駒刺繍が入った箇所を効果的に使うと、とてもゴージャスに見えます(作りにくいのは覚悟して)。
    このような柄のときは、緒締は「金茶銀引」を使うとほとんどのものにマッチします。
    びら簪は、私がサンプルとして持ってきていたアンティークの金の田楽型を使ってみました。

    内布は、留袖の一色から合わせた緑色を使い、飾り房は婚礼でよく使われる「金茶」で作られました。
    こうやって筥迫だけを見ると、金茶はとてもマッチしていますが、実際には着るお着物や合わせる小物など、全体の色合いで決める必要があります。
    実際A.Sさんは、帯揚げの色に合わせて「浅葱」の房にも挑戦するそうです。


    A.SさんやK.Ysさんのような方は、どちらかというと9月の『装飾筥迫&懐剣』(三日コース)を受講される方がよいのですが、お式が近いということもあり、こちらの基本コースを受講することになったようです。

    『びら簪付筥迫(基本)』と、『装飾筥迫&懐剣』の違いをご説明いたしますと、『びら簪付筥迫(基本)』は、受講後も一人で筥迫を作れるようになりたい方を対象とし、道具の扱いかた、材料の細かい説明、詳しい貼り方など、筥迫作りを「覚える」ことが目的なので、結婚式に使うだけの作品を作りたい方には、かなりしつこい内容かもしれません(教本よりずっと細かいので)。

    『装飾筥迫&懐剣』は、結婚式で使うためだけの「見栄えのいい筥迫が一個できればいい!」という人向けなので、覚えさせるような教え方ではなく、できないところは私が作るのをお手伝いしましょうという考え方です。
    ですから自宅に帰って一人で同じ物を作ろうと思っても、わからないところがけっこう出てきたりします。

    巾着は帯プレートで代用するので、その分、柄合わせ、切り付け、ラインストーンを付けたりと装飾に力を入れています。
    どのような目的で作るかを考えて、二つのコースをお選びいただければと思います。



    WS初日は筥迫本体を作るので、7〜8時までかかる時もあります。
    初日最後は千鳥掛けなので、早く帰って家で作業しても良し、居残って作業しても良し、二日目に早めに来て作業しても良しです。
    二日目にけっこう余裕があるので(巾着、飾り房、巾着結び作り)、次回から千鳥掛けは二日目に回そうかとも考えたのですが、「その日のうちに筥迫が仕上がった方が達成感がある!」とのご意見が多いので、筥迫本体はこのまま一日で仕上げるやり方で行こうと思います。


    受講者が帰った後、隣の部屋でお仕事をしていた(和裁)工房の方に、WSで残ったお菓子を差し入れに行くと、どうやら講習の内容が筒抜けだったようです。

    「筥迫の材料が60個近いってすごいですね〜。
     工房の人たちとも、筥迫のWS出てみたいねって話しているん
     ですけど、そんなに大変なんですか〜(汗)」

    いつか江戸型のWSもやってほしいという受講者の意見に、あれは部品が60個近いから無理だわ〜という話をしていたのです。
    普通の筥迫はそんなにはないですが、それでも部品は決して少なくありません。

    また、差し入れたお菓子の中に「もみじまんじゅう」があったので、「広島から来た方にお土産にいただきました」と言うと、とてもびっくりされて「だって帰るとき、また次回〜って言っていましたよ!」(よく聞いてるな〜)。
    その後は延々と職人談義で盛り上がり、結局お針子会を出たのは7時になっていました、、、。


    いつもは家に籠って孤独に作業しているので、WSで色々な方とお話できるのはとても楽しいです。
    参加者の中には「前日は緊張して眠れなかった、、、」という方がよくいらっしゃいますが、どのグループも最後はやたらと盛り上がって終わります。
    「一緒に参加できる友達がいればいいんだけど、自分の回りには筥迫を知っている人がほとんどいなくて、、、」
    そりゃそうでしょ。
    こんなに筥迫を作っている私でさえ、回りの人に筥迫を作っているなんて話しませんもの。
    「筥迫ってなに?」と言われることがほとんどなので、面倒で話にも出しません。
    数少ない同好の士が集まって筥迫作りをするからこそ、テンションが高くなるのではないでしょうか。

    WSは体力的に大変ですが、受講者からの「筥迫作れてうれしい!」という情熱をいただくと、私もまた明日からがんばろうという気力が沸いてくるのです。



    次回WSは、6月16日からお申し込み開始です。

    ----------------------------------------------------------------
    ■実用筥迫 2日コース
    『三段口扇襠筥迫』(さんだんぐちおうぎまちはこせこ)
    ----------------------------------------------------------------
    <日 時>
    日:7月20日(日)、21日(月・祝)
    時:10:00〜18:00(昼食・休憩有)
    <申込み受付開始日>6月16日
    <定 員>7名
    ※先着順により、定員になり次第締め切らせていただきます。
    ※キャンセル待ちはお問い合わせからご連絡ください。


    ▼筥迫工房のお店

    ▼自作筥迫はこちらでお披露目!


    筥迫工房へのお問い合わせ
     ※時々ショップからのご注文確定メールが届かないことがあります。そのような場合も、こちらからご連絡ください。

    もしよかったら、こちらもクリックなんぞしてくれるとうれしいです。
    にほんブログ村 ハンドメイドブログ 和装小物へ
    にほんブログ村
    【2014.06.10 Tuesday 17:33】 author : Rom筥
    | 筥迫講習会・研究会 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    WSではお世話になりました!
    筥迫を無事に作れた感動&勢いで、やはり結婚式本番用に…と薄手の金襴を購入しました。
    合わせて懐剣も作るつもりです。
    金襴×玉縁と、かなりハードルが上がりましたが(笑)
    頑張ります!
    | KANAE | 2014/06/10 6:34 PM |
    楽しかったです!
    二度目の参加ですが、相変わらず巾着と房が出来ない…とほほ
    でもめげずにがんばります。
    | 武部由紀子 | 2014/06/11 12:44 AM |
    NANAEさん、せっかく基本のワークショップ出たのですから、
    是非、是非ご自宅で、レベルアップした作品に挑戦してください!
    お式のときは、カメラマンさんに筥迫の物撮りをお願いすると
    売っているかのごとくすてきな画像にしてくれますよ。
    素人の撮影とは全く違うのでお勧めです!

    ※武部さんはご自身のブログにも紹介されておりますので、
    武部さんのお名前のところをクリックするとリンクします。
    | Rom筥 | 2014/06/11 9:32 AM |
    コメント欄が見つかりました。WSのためにPC頑張ってるような超アナログ人間です。実際のWSとても楽しくて気が付いたら出来上がってました。千鳥掛け花結び滔々先生の手をお借りしながらですけれど・・(感謝)次のための一歩として復習を・・仕事を持っているので夜のわずかな時間に効率よくと・・出来上がったらUPします。途中休憩の茶話会が楽しくてくせになりそうです。また次回よろしくお願いします。
    | kayoko.y | 2014/06/14 2:03 PM |
    コメントする









    この記事のトラックバックURL
    http://rombako.hakoseko.mods.jp/trackback/981870
    トラックバック