『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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最近お気に入りの道具<1> 〜CANARY(キャナリー)〜
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    一般的に裁ちばさみ(布専用)と紙切り用のはさみは分けて使いますが、時として区別が難しい場合があります。

    私の父は仕立て屋でした。
    そんな環境にいた私にとって、布を使って何かを作ることは、ごく自然に身に付いた遊びの一つでした。
    しかし、布を裁つのに父のハサミを使うとものすごく怒られる。
    「ハサミを使いたいならお母さんのを使いなさい」と母に言われていましたが、研ぎ澄まされて美しく光った父のハサミは、手に持つとずっしりと重く、それに比べて母のハサミはやたらと軽く、何だかすごく格が落ちるような気がして不満だった記憶があります。

    父はハサミも自分で研いでいましたが、包丁と違って一般人にハサミは研げない。
    それに適当なハサミを買うと研ぎ代の方が高かったりするので、それなりの価値のあるハサミでなければ研ぎに出す意味がない。
    では、安いハサミは切れなくなったら捨てるのか、、、現代社会の最も悩ましい問題です。

    筥迫などの貼り込みは、どちらかと言えばカッター中心の作業です。
    いいハサミを買うほど今の私に裁ちバサミは必要なのか?という疑問もわいてきます。
    あえて言うなら「先が切れるハサミ」がほしい。


    ■ホットメルトは何で切るか

    最近ハサミについてすごく迷うようになったのは、『ホットメルト紙』を多用するようになったからです。
    ホットメルト紙は「裏打紙」と呼ばれるもので、薄い和紙でできた接着芯のようなものです。
    教本ではホットメルトを使った筥迫の作り方にはしていませんが、ワークショップでは全てホットメルトを使用しています。
    ホットメルトを布に貼ることにより、薄く使いにくい布が紙のように扱えるようになります。
    ということは、ホットメルトを貼った布は、裁ちばさみを使えばいいのか、紙切りハサミを使えばいいのか、、、、これには悩みました。

    「切り房」の長さを揃える際も切れるハサミは必要です。
    切れないハサミを使うと、先がボサボサになってしまいます。
    しかし糸の束は、紙(ティッシュなど)を巻いてからカットしないと、同じ長さに切り揃えることができません。
    これもどのハサミで切ればいいのかと悩みます。
    いずれにせよ、どちらも裁ちばさみは使わない方がよさそうです。

    悩んだ末、ある時ふと気がつきました。
    ホットメルトは布を紙のように変えてしまうのだから「カッター」でいいんじゃない?
    そしたらまぁなんと、カッターでスイスイ切れるんですわね。
    しかしホットメルトが貼っていないところは切りにくい。
    ここは布のままだから当たり前です。
    何だか、胸のつかえが一つ降りたような気持ちでした。


    ■CANARY ボンドフリー『GX-175

    それでも、角を落したり、切り込みを入れたりという細かい作業にハサミは必要です。
    私は今まで、裁ちばさみは値段なりの価値はあると思っていましたが、文具用のハサミ(紙ばさみ)は100円ショップのもので充分と思っていました。
    その中でもこだわったのは、できるだけ刃の薄いものを探すこと。
    一枚の紙を切るぐらいなら、絶対的に刃が薄い方が切りやすい。
    今では100円ショップのハサミが家中にあふれています(笑)。

    『三段口扇襠筥迫』以後、襠付きの袋物を作るようになりましたが、当初は芯材となる薄い厚紙(0.25)をドットライナーで貼るようにしていました。
    しかし、そのドットライナーが付いた厚紙をハサミで切ると、粘着剤が付いて切れなくなってしまうのです。
    結局、その都度ベンジンで刃を拭かなければならないので面倒と思っていた矢先、問屋さんで見つけたのがこのハサミ。

    長谷川刃物の『CANARY』ボンドフリーGX-175。

    ボンドフリーとは、刃の裏にフッ素加工(テフロン加工)を施し、その上で特殊な処理を施して、フッ素加工の耐久性を高めたものだそうです。
    紙用はさみにしてはお値段ちょっと高めですが、とりあえず買い。

    ※アマゾンから発送の方が送料無料なので安いです。

    も〜これがサクサクと切れるのなんの(感涙)。
    粘着テープなんてどうでもいいぐらい、本来のハサミとしてやたらと切れるのです。
    今までこんな快感味わったことがないと思えるほど。



    ■PLUS Fitcut CURVE(フィットカットカーブ)

    よく切れるハサミと言えば、最近人気のプラスの『フィットカットカーブ』。

    GX-175で満足していた私ですが、その評判に誘われて今回買ってみることにしました。
    プレミアムチタンもありましたが、とりあえずアマゾンで人気No.1のこちらに決めました。
    何といってもお値段が魅力的!
    そして実際に使ってみた感想ですが、正直言って先にGX-175を使っていたので、カスタマーレビューで絶賛されているほどの感動はないのですが、この値段でこんな切れるハサミがあるということにびっくりします。





    ■小ばさみ

    先だけ切れるハサミが欲しいと言ったのは、切り込みや鏡穴などの角丸などを切る時にに、基線ぴったりとか1mm手前などを正確に切る必要があるからです。
    筥迫の切り込みぐらいならGX-175やフィットカットカーブだけでも充分なのですが、手先が器用じゃないから細かい作業は自信ない、、、と思っていらっしゃる方には、こんな「子ばさみ」をお勧めします。
    細かい箇所をカットするなら、ハサミの要(ねじ)から刃先までが短い方が当然ぶれにくいです。

    私が今まで使っていたのはキルト用の小ばさみ(上:125mm)で、1,200〜2,000円程度で買えます。

    先のCANARYがあまりにもよく切れたので、同じブランドで探してみたところ、やはりボンドフリーがありました(下:105mm)。
    CANARY 極細デザイン用 ボンドフリー DSB-100
     
    なんて手頃なお値段。でもGX-175(175mm)より微妙に高い。
    どうやら切り絵などをしている方がよくお使いのようです。
    私は「切り付け」用に買いました。
    切り付けには「先の先まできく」こんな小バサミが役に立ちそうです。



    結局のところ

    フィットカットカーブは先まで切りやすいのですが、GX-175に比べて全体的にかなりごっつい。
    重さもフィットカットカーブ55gに対し、GX-175は45g。
    フィットカットカーブは低反発グリップで長時間作業には良さそうですが、細工物には刃先が薄くなったGX-175が一番使いやすいという結論に達しました。


    ところで、文具ハサミで布は切りにくいものですが、今回ご紹介したハサミたちは布でもよく切れます。
    だからと言って、布と紙を交互に切っていると刃が長持ちしないので、あくまでも使い分けた方がいいそうです(刃物市場)。

    結局今では、GX-175をホットメルト用に、フィットカットカーブは房切り専用、DSB-100は切り付け専用と使い分けています。
    そしてGX-175をもう一本、とりあえず本来のボンドフリー用に購入しました(ボンドフリーとは言っても、使い続ければある程度は接着剤が付くようなので)。
    それならホットメルト用がボンドフリーである必要もないのですが、今これが一番気に入っているので、あえて別のものを探そうとは思わないだけです(笑)。


    そして、私がここまでGX-175をごり押しする最大の理由は、長谷川刃物では自社ブランドの製品を末永く愛用してもらうために、「500円(研ぎ直し代) +400円(返送送料)=900円(+消費税)」「研ぎ直し」をしてくれるというところにあります。
    布に紙が接着されたホットメルトのようなものを切るのだから、さすがに切れなくなる日はやってくる。
    1000円程度のハサミであっても、捨てないで使い続けられるのであればこんなにうれしいことはない。
    製造元が研ぎ直してくれるのですから、きっと元のような切れ味で戻って来ることでしょうしね。

    「長谷川刃物」さん、あんたは偉い!
    ちなみに、長谷川刃物のネット直営店は『刃物市場』です。


    私は専用の工房を持っていないのでリビングのテーブルで作業しているのですが、同じく勉強机のない娘とテーブルを同じにすることがあります(そのため我が家のテーブルはやたらとでかい)。
    手に取りやすい場所にあるので、どんなに「仕事の道具を使うな!」と言っても勝手に使われてしまいます(苦)。
    それでもハサミだけは使っていないその理由は、

    「だって、ハサミだけは怖くて使えないよ、、、。」

    とりあえず値段がそれほど高くないことは伏せておき、常にハサミに目を光らせる私(笑)。



    どんなハサミがいいかはそれぞれの好みがあるとは思いますが、とにかく100円ショップのハサミで何の不自由もないと思っている方は、あと何百円か追加して、感動的に切れるハサミに出会ってみてはいかがでしょうか。

    次回は「カッター」のお話です。
    貼り込みではハサミよりもカッターの方が持つ時間は長いです。
    だから工作に近く感じてしまうのかもしれませんね。



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    【2014.07.01 Tuesday 15:45】 author : Rom筥
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