『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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筥迫用の生地について(4)-2 縮緬
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    前回は初心者が失敗なく筥迫を作る上での最大のポイントとして、「素材の薄さ」を力説させていただきました。
    これは筥迫の「作りやすさ」として非常に大事なことなんですが、実はもう一つのポイントがありまして、それは「筥迫に適度な柄の大きさ」の生地を探せるかということもなんですね。

    筥迫を作る際の素材選びとして最も良いのは「着物の端切れ」を探すことなんですが、これは慣れていない人にはかなり難しい。
    着物は人間が着ることを目的としているので、「筥迫には柄が大きすぎる」ものがほとんどだと思ってください。

    私は常日頃から初心者に一番最適な素材として「和柄の綿プリント」をお勧めしていますが、綿プリントで作った筥迫を正装の振袖に合わせるわけにはいきません(七五三なら許容範囲?)。
    そこでお勧めしたいのが、前回から引き続いてお勧めしている「縮緬」素材なのです。

    縮緬なら生地を扱うお店ならだいたい何処でも置いてありますし、柄も細工物使いに考えられているので、筥迫の画角にも適度な大きさの物が多いです。
    素材選びや柄選びに悩む初心者でも、着物地を選ぶよりも失敗する確率が低いのではないかと思います。
    縮緬は縦横がしっかりしていないので初心者には難しくはありますが、それなりの格調で仕上がるので、まぁ試してみる価値はあります。


    生地選びに役立つ治具(柄取り枠)

    講習会を始めた当初は、どう考えても筥迫の画面に入り切らんでしょう、という大きな柄の生地をお持ちになる方がいらっしゃいましたが、最近では申し込み後にお渡しする資料に、実物大のサイズを示す図を載せるようになったので、さすがに適度な大きさの柄をお持ちになる方が増えました。

    それでも「この鶴の柄を入れたいんです!」という方に、「鶴は入りますが、鶴しか入らないので、この生地全体のイメージの筥迫には仕上りませんよ」(その生地には鶴以外のすてきな柄もたくさんある)というケースは未だに多いです(笑)。
    大きな生地から筥迫サイズにイメージを切り抜くことは、当たり前ですが初心者には難しいことのようです。


    そこで私がお勧めしたいのが、「柄取り枠」という治具です。
    現在、ショップで販売している「びら簪付筥迫の作り方」で使われている「縢り付筥迫」専用のものをご紹介いたします。


    お手元に白い紙がありましたら、上図を参照に三つの四角をつなげて書いてみてください。
    皆さんが製図しやすい数値に直しているので、正確なサイズではありませんがほぼ縢り付筥迫の被せのサイズです。
    実物の筥迫はもう少し縦が長いのですが、柄取りは「被せ」だけで考えます。

    左ベタ部分が襟元から外に出る範囲、反対側が懐中される範囲です。
    しかし派手な刺繍半襟を使うときのように、襟の角度を控えるような着方をする場合は筥迫もそれなりによく見えますが、ぴしっと深く襟元を合わせるような着付けをする場合はもっと深く懐中することになるので(たぶんこちらの方が一般的)、着装した際の筥迫のイメージはほぼ左の枠内「65×42mm」で考えた方がよいかもしれません。

    思いの外、小さいでしょう?

    それでは実際に柄取り枠を作ってみましょう。

    1)A5程度(A4の半分)の紙を用意し、
     上図を参照に紙の中央に製図します。
    2)次に左と右の四角をくり抜きます。
    3)真ん中の四角(胴締め部分)の下辺を切り離し、
     上辺を折り返します。
    ※このとき胴締めの「斜め線」を枠外にはみ出るように書きます。

    これで柄取り枠の出来上りです。

    それでは、この柄取り枠を使うために生地を用意してみましょう。

    この生地はかなり以前に「あざらし堂」さん買ったものですが、このぐらいの柄の大きさが細工物には最適です。
    材質はかなり薄めなレーヨンで、縮緬にしては張りがある素材なので作りやすそうです。

    最低販売数の30cm×73cm幅で購入してみましたが、この範囲に同じ柄の繰り返しがない!
    つまり30cmでは柄合わせはできないということですね。
    筥迫なら少しの丈でいいかと思っていると、物によっては50cmでも都合良く繰り返しが取れないことがあるので、どうしても柄合わせがしたい!というときは1mぐらい買うこともあります。

    とりあえず、ここでは柄合わせができるものとして見てみましょう。
    まずは胴締め部分を持ち上げて当ててみます。
    これが「柄合わせ」をする際の見方です。
    たぶんこの生地を選ぶ人は「手まり柄」が気に入って買うのだと思うので、手まりを枠の中に入れて見てみましょう。

    こんな柄の取り方をする人がいるかどうかわかりませんが(笑)、とりあえず「花」と「手まり」は入れてみます。


    慣れていないと、中央にFP(フォーカルポイント=視覚的焦点)を持って来がちですが、筥迫は襟元から出るのが左半分しかありません。
    そこで、枠外の斜め線に合わせて別の白紙(襟が被さるイメージ)で覆ってみましょう。

    果たして自分はこんな筥迫が作りたかったのか、、、?と悩んでしまいそうな柄の出方ですね(笑)。

    では別のところで取ってみましょう。

    このぐらいなら、いかにもありがちな配置です。

    襟を被せてみるとこんな感じ。
    まぁいいんでない?


    しかし、先にも言いましたように実際は襟元をもっと深く合わせることが多いので、こんな具合に隠れることの方が多い。

    またしても、よくわからない絵になってしまった、、、。

    このように、柄合わせだからと中央にFPを持って来てしまうと、身に付けたときに肝心のFPは隠れ、筥迫はぼやけた印象になりがちです。
    このことからもおわかりのように、FPは左枠内、もしくは左枠と中央枠の境目あたりに持って来るのが定石です(あえてそれでいい!という意図があれば別ですが)。

    かといって単純に手まりを左に配置して右を多めに隠すと、手まりだけが見える、、というのもちょっと間抜け、、、?


    結局、こんな感じで取りますかね。

    胴締め部分は被せより上下に5mmずつぐらいは長いので、手まり上部の芯がぎりぎり胴締めの天面につくぐらいで全体が5mm上がるイメージです。

    左に空き(黒部分)が多すぎと思うかもしれませんが、胴締めに玉縁を使えば、玉縁部分がもう一つの「柄」として追加されるので意外と気にならなくなるものです。

    このように、柄合わせで考えられれば柄取りは簡単なのですが、実際は柄合わせができることの方が少ない。
    そんなときは、この中央の胴締めを被せて見てみましょう。

    一気に画角が狭まったので、手まりを少し左寄りにしました。

    前回サンプルとしてご紹介した筥迫の柄取りを見てみましょう。

    胴締めを外してみると、柄合わせにしてもいいような配置です。
    あえて柄合わせにしなかったのは、胴締めに華やかな柄を持って来た方がより華やかになると思ったからです。
    つまり柄合わせがベストなワケではないということです。


    大きさを対比するために、余った生地で子ども用を作りました。
    ギリギリで作ったので被せと胴締めの柄が並んでしまいましたが、普通はこんな使い方はしませんよ(苦笑)。

    大きな柄を配置するのは難しいので、初心者はあえて小さな柄を切り取った方が失敗なく作ることができると思います。

    被せと胴締めを別々に柄取りする場合の説明は複雑になるので割愛しますが、柄出しの大体のイメージはしていただけたのではないかと思います。

    これを参考に、是非お手元の生地で筥迫にちょうどよい柄がないか、この柄取り枠を使って見てみましょう。
    ちょうどよい生地がない場合は、柄取り枠を持って生地屋さんにGO!です。


    ネットショップでの選び方

    ネットショップでは実際に生地を手に取って見ることができないので、モニターで見える画像が筥迫の適する大きさの柄かどうかは判断ができません。
    取り寄せてから「こんなに大きかったの〜!」びっくりすることもあるので、いかにモニター上で大きさを判断するかが必要となります。

    そこで、ネットショップなどでは生地にメモリを付けて柄出しの参考にしやすいよう工夫されていますので、これを活用する方法をご説明いたします。

    以下、和風布地/和調生地通販サイトの布がたりさんにご了承いただき画像をお借りすることができましたので、これを参考に柄の見方をご説明いたします。
    ※メモリが付いていないものは、あくまでそれが当たりか
     失敗かは手元に届くまでわかりません(汗)。
     各ショップさんには、是非このメモリを標準装備していただき
     たいです。

    1)メモリから33mmの正方形を割り出します。
    2)この正方形を1として、その2倍が筥迫の被せの縦サイズで、その3.5倍が横サイズになります。

    ※先ほどサイズが不正確な画像を貼ってしまいましたが、正確な画像に入れ換えました。

    おおよそのサイズ比率ですが、これで大体柄の大きさがわかります。
    もっと簡単に考えるなら、メモリから65cmを取って縦を決め、その倍より少し狭くしたのが横幅と考えてもよいでしょう。
    この中にお目当ての柄がきれいに納まるようであれば、第一段階のあなたのイメージはクリアされます。

    次に、横を三等分にして(黒枠)、左右をやや広めに取った左側の四角が筥迫を半壊中した際に見える部分です。

    さて、この生地の全体的なイメージは、大きく分けて「赤系」「青」「黒」の三色になりますが、この2:3.5には黒は入っていませんので、モニター上で黒部分は隠して再度ご確認ください。

    「筥迫の枠は小さい」ということを肝に命じ、生地全体のイメージで見るのではなく、手で画角を作って枠内だけをピンポイントで見るようにしましょう。


    ネットショップでの縮緬の選び方

    よくショップに「筥迫用の生地は売っていないのですか?」とお問い合わせいただくことがあります。
    自作筥迫の醍醐味は、一にも二にもオリジナリティの追求です。
    生地を販売してしまえば、限りなく既製品に近くなります。
    苦労してでも自力で生地を探し当ててこそ、世界に一つの特別な筥迫ができるのです。

    そこで、せめても私が手助けできることとして、以下、切り売りの縮緬(新品)を販売しているネットショップをご紹介させていただきます。
    他にも「ここがお勧め!」というショップをご存知でしたら、是非お知らせいただければ幸いです。
    最近は実店舗の生地屋さんが少なくなりましたからねぇ。


    縮緬の種類は圧倒的に多いので、縮緬を探すなら一番に訪れたいショップです。
    10cm単位での販売。2mまでメール便可能。
    一番使いやすいショップではないかと思います。


    縮緬の数は少ないですが、使える柄が多いので必ず覗いています。
    着物のサンプル端切れもありますが、筥迫用には柄が大きいので要注意。
    30cm単位での販売。送料500円


    板谷なおみさんデザインの生地です。
    すてきなプリントが多いのですが、筥迫にするには柄が大きすぎて残念〜!と思っていたところ、サイトの下の方に「50%縮小(!)」というサイズの柄があることを今さらながら知りました、、、。
    ということで、なおみコレクションの生地を購入する際は、柄の大きさを要チェックです。
    112cm幅1m単位での販売。送料全国一律800円


    他のショップにはないすてきな柄が多いのですが、販売単位が1mと3m(!)なので、3mともなるとなかなか手が出ない、、、。
    婚礼4点セットを作るなら勢いは付きそうですが(それでも相当余る)。
    2mまでメール便可能。


    都香庵さんには、前回「金襴」でお世話になりました。
    織物がメインなので縮緬の種類は多くはないですが、とりあえずはチェックしています。
    30cm以上10cm単位での販売。メール便対応。


    最後に要注意!

    あまりにもすてきな縮緬柄を見つけからと言って、「これを内側の布に使えばおしゃれ!」なんて絶対に思わないでくださいね。
    縮緬を内布として使うと、筥迫が異様に太ります。
    筥迫は小さなスページに生地をたくさん折り畳んで作るので、小さなシボが厚みとなって出来映えに影響を及ぼします。
    特に現代物は一越であっても太ります。
    古布の場合はものすごく繊細なシボなのでその限りではありませんが、生地の厚みの見分けがつくまでは縮緬は内布に使わないようにしましょう。

    特に「びら簪」を付けるタイプの筥迫は、実用使いにはなりませんのでほとんど中は開きません
    ですから内布にそれほど凝る必要はありません。
    表の布を活かすことだけを考えて、内布こそ更に薄手の扱いやすい生地を選んでください(無地でいいです)。

    ネットショップで縮緬を買うのであれば、ついでに内布用の「綸子(りんず)」も買ってください。
    都香庵」「Oriet京都」の綸子は、適度な張りがあるので、初心者にはとても扱いやすいです。

    一般的なテロテロとした綸子を使う場合は、「ホットメルト紙」で裏打をすれば扱いやすくなります。
    ※現在の教本では接着芯(薄)を使った作り方になっていますが、ホットメルト紙に接着芯用の型紙を書き写し、周りを少し大きめに切って布に接着します。その後、折りしろ分を加えて(5〜8mm)裁断すれば同じように使えます。


    それでは皆さんのご健闘を祈ります。
    いつか「はこせこ掲示板」でお会いしましょう!


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     ※時々ショップからのご注文確定メールが届かないことがあります。
      そのような場合も、こちらからご連絡ください。



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    【2015.01.25 Sunday 14:08】 author : Rom筥
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