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日本刺繍の筥迫 七五三『兎と亀』つる姫さん作品
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    装 飾:日本刺繍『兎と亀』(製作:つる姫さん)
    仕立て:綿入・挟み玉縁仕立て(製作:Rom筥)
    表 布:帯地
    内 布:古裂縮緬
    打ち紐:筥迫用 <赤系> 紅 人五(502)
    房糸(切り房用):筥迫・末広用<紅02>
    とじ糸:メタリックゴールド <金糸>
    かがり糸:<紅02>Silk
    緒締め玉:パールビーズ 8<赤>
    びら簪:子ども用 長鎖 <鈴>
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    今回は、かわいいかわいい七五三筥迫のご紹介です。
    日本刺繍でご一緒している『つる姫さん』からご依頼の一品。
    教室の方からのご依頼は当たり前のようにブログにも掲載させていただいているので(感謝!)、私としては多くの人に筥迫用の刺繍をしてもらいたいのですが、普段は皆さんお着物や帯制作にお忙しい。

    しかし今年は、5月17日〜19日に私が通う刺繍教室の『第二回 作品展』が行なわれます(池袋の前回と同じギャラリー)。
    ということで、作品展の人気コーナー筥迫ブースへ何人かの方が嚢物作品を出品してくださる予定になっています。
    今回は『定家文庫』も『江戸筥迫』も『琴爪入』もありますよん♡
    なので定番の縢り筥迫が少ないかも(私もこれからラストスパートせねば、、、)。
    そしてこの筥迫も作品展目指して制作されたものの一つなのです。
     
    つる姫さんと言えば、以前『舌切雀』でお孫ちゃんの七五三筥迫の刺繍をしてくださいました。
    実はこのときのお孫ちゃんはお姉ちゃんの方で、この筥迫は妹ちゃん用のもの。
    とは言っても、お姉ちゃんでさえ四歳、妹ちゃんに至ってはまだ二歳、、。
    実際にこの筥迫を使うのは、もっとずっと先のお楽しみということです。

    小物たちと合わせるともうホントかわいくて、おもちゃ箱をひっくり返したかのような賑やかさです。

    ちなみに、この筥迫は兎と亀なのに「亀」はどこにいるの、、、?と思われた方も多いかと思います。

    さて、亀はどこにいるでしょう!

    答えは巾着の「亀甲模様」にありました(笑)。

    つる姫さんは被せの図案に入れたかったそうですが、どうしても亀のデザインが思い浮かばなかったそうで、苦肉の策で巾着の紋様になったとのこと。
    困った時のいいアイデアですね。

    筥迫装飾の楽しさは、こういった小物たちとの掛け合いにあるかもしれません。
    凝り出せば、「被せ下」「被せ裏」「胴の背」「鏡周り」などにも色々と装飾できます。
    隠れている胴締めの下と、見えている上の模様をうまく変えれば装飾に動きも出ます。

    ただ、普段着物や帯の刺繍に慣れている人には、筥迫刺繍はあまりにも細かいらしく、表の装飾だけで力尽きてしまうようです(笑)。
    どうやら筥迫装飾の妙を目指すには、根性と思い入れが必要なようですね。
    私は根性と思い入れは充分なのですが、未だ刺繍の腕が追いつかないのが非常に残念な所です(苦笑)。

    つる姫さんの一番のお気に入りは、簪挿しの「一等賞の旗」とのこと。
    兎の足元のポップな飾り玉は、お花をデフォルメしたそうです。
    1cm前後の小さな飾り玉に色々デザインを凝らすのは確かに大変そうです。ホントご苦労さまでした。

    前回の筥迫『舌切雀』は古典的なかっちりとしたお姉様デザインでしたが、今回は兎の柔らかいラインが印象的で、生地の色味は合わせていますが全く違う作品になりました。
    きっと兎が飛び跳ねるように、飾り玉がはじけるように元気な妹ちゃんなのでしょう。


    今回の筥迫は内布がとてもかわいかったので、これを玉縁にしようと決めていました。
    日本刺繍の場合は縫い玉縁で仕立てた方よいかなとは思っているのですが、縫い玉縁は一定の厚みが出てしまうので、模様のある内布を玉縁にするとまだらな色の縁が目立ちすぎて刺繍と調和しなかったらどうしよう、、、との心配もあり、今回は細く控えめな挟み玉縁にしてみました。
    全体的にかなり馴染んでいるようなので、結論としてはもっと広く散らせてもよかったかなと思いました。

    ところで、被せと胴締めに玉縁をする際は、縫い玉縁であればお揃いで「簪挿しの口」と「巾着の口」にも玉縁をしますが、挟み玉縁の場合は中に芯を入れているのでそれができません。
    そこで、巾着を「袷」にして中の内布を出すことにしました。
    ちょっと見、玉縁風という感じです。


    玉縁に使ったという内布は、こんなかわいらしい柄です。

    レトロな雰囲気がほしかったので、古裂の縮緬を使いました。

    前回の縮緬生地の使い方で「内布には縮緬を使わないように!」と書きましたが、古裂の縮緬は現代のものと違ってものすごくシボが小さく薄く繊細なので、筥迫の厚みを邪魔しません。
    ですから古裂の縮緬と現代の縮緬は別物と考えた方がよいです。

    このように、マッチングさせたいと思える生地に出会えると柄物を使う時もありますが、装飾筥迫は実用ではないので中を開くことはほとんどなく、通常内布は無地使いが多いです。
    装飾筥迫の内布に凝るとすれば、それはあくまで自分一人のお楽しみということで。

    筥迫は内布に赤色を使うことが多いです。
    と言いますか、維新後、筥迫として市販されているのものは内布がほとんど赤。
    おめでたい色ということもありますが、「赤」という色や「鏡」は魔除けでもあります。
    子どもたちが命を失う確率が高かったその昔、三歳、五歳、七歳を無事迎えられたお祝いの七五三こそ、この「赤」は意味があるものなのかもしれません。

    講習会でも「子どもの頃の筥迫が忘れられなくて」と言って参加される方は多いです。
    筥迫の不思議な造形と、開いたときに見える「赤」と「鏡」の組合せが、子どもたちの脳裏に深く焼き付くのかもしれません。

    実用筥迫は物の出し入れをメインに考えますが、装飾筥迫は中に物を納めたままの使い方と心得ましょう。
    だからこそ、私は装飾筥迫にお手紙を書いて入れることを提案しています(入れるなら紙入れ部分)。
    これならおばあさんになっても時々開いて見てもらえるでしょうし、ちょっとした思い出の品を入れておけば、メモリアルボックスのように扱ってもらえるかもしれません。

    装飾筥迫は、思いや願いを封印する「お守り」のようなものだと考えればよいかもしれませんね。



    実はこの筥迫は『双子の筥迫』なのです。
    次回、もう一つの方の筥迫をご紹介しますね。
    どうぞお楽しみに!




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    【2015.02.01 Sunday 00:01】 author : Rom筥
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