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相変わらずのマグロっぷり

作品展に出品する袋物はほぼ仕上がってはいるのですが、残るはMidoriさんが作る「婚礼道具一式」と私の「江戸型筥迫」のみ。

作品展の時は新しい型や使ったことのない材料を試す良い機会でもあるのですが、半面慣れないことをやるために時間がかかったり、材料の調達に時間がかかるのが難。

依頼の最後となるMidoriさんの刺繍裂が私の手元にやってきたのも五月に入る直前。
そこから材料を調達したり試作を作ったりで、結局一週間前の今になって、やっと仕上りが見えて来たという状況。

この後私の江戸型を作るということで、ホントもう作品展直前の仕上り。
時間が余ったら作品の予告宣伝しておこうと思ったのに、そんな時間なんてほとんどない。


こちらのMidoriさんの作品は、定家文庫の他、小物入れ、紙挟み、携帯裁縫用具入れの四点セットです。
現在紙挟みを残して他はほぼ完成し、あとは取り寄せている紐等の材料を待つのみ。
しかしこの図案、婚礼道具一式というよりも、新春縁起道具一式という感じですね(笑)。

↓前回の作品展でのMidori作品はこちら。
犬張子と鈴花と蝶雪雀

実は作年末、Midoriさんがちょっと暇そうにしているという耳寄りな情報を得て、婚礼道具一式のサンプルを持参して「Midoriちゃんこういうの好きじゃない?」と猛アピール。
生徒さんの中で、婚礼道具一式などというハードワークに興味を持ってくれる人なんてMidoriさんしかいない(性格&技術&早さ的に)。

つる姫さんは筥迫用刺繍にとりかかる度「も〜しばらくは筥迫やりたくない」とおっしゃいますが(でもほとぼりが冷めるとまた作ってくれる)、婚礼道具一式は定家文庫を中心に何点ものお揃いの小物を作らなければならず、また種類があるほどゴージャス感が出るので、よほどエネルギーがある人でないとできない。
もちろん、私自身はやろうとも思わない(笑)。

Midoriさんがフルタイムのお勤め人にもかかわらず刺繍のペースが教室の誰よりも早いのは、人が寝なくてはいけない時間に作業しているからで (他にも色々な趣味をお持ちです)、一般の人にはストレスになることが彼女にとってはストレス発散になるらしいので、まぐろな人を普通の人と同じに考えちゃいけません。

※マグロな人=マグロは泳ぎ続けていないと死ぬことにかけて、多忙な活動をし続けていないと生きていられない人のこと。

それなのに、気がつけば単品の定家文庫の刺繍なんかしていて、そうじゃなくて婚礼道具一式〜!と私があせっていると「それはこの後作りま〜す♡」

それでも一ヶ月前ぐらいの状況は、

先生「Midoriさん、もしかしたら作品展には定家文庫の二個目しか
   間に合わないかもよ?(小物は無理?)」
(後日メールで)
Rom筥「Midoriちゃん、先生がそう言うんだけど進捗状況は
    いかが?」
Midori「何とか期日通り間に合いそうで〜す」
Rom筥「、、、、。じゃさ、携帯裁縫用具入れっていうのが
    あるんだけどさ、すごく小さいもので布の余ったところに
    ちょっと梅の花一輪のワンポイントするぐらいのもので
    いいから、これもいっちょ追加する気ない?」
Midori「オッケーで〜す。まかせてください!」

Rom筥(筥迫って言っておけばよかった、、、チッ)



相手との連携

矢部先生は几帳面な性格なので、図案の段階で打ち合わせを密にして細かく配置をチェックされる方。
定家文庫の型をよく理解した上で作品を作るので完璧な作品に仕上ります。
一方のMidoriさんは、打ち合わせ?何それ、おいしいの?とばかりに、下図の確認もしないまま超スピードで図案を作りあっと言う間に刺繍に入ってしまう。

「折り込んだり見えない後側は刺繍を入れなくて大丈夫だから」と言っても、「それはダメです!」と言って、人が見ない所にも刺繍を入れまくるという無駄なエネルギーにあふれている。
ここは房で隠れるから見えなくてもいいような(差し障りのないような)図案にしておいてと言っても、おかまいなしに一番に目がいく柄を入れてくる。

ですから、何でこんな配置になるの〜!ここ図案入れるとこ?!こんな印の入れ方やめて〜!ということが日常茶飯事。
今回も入れてはいけないところに立派な刺繍が入っている。

「Rom筥さんからいただく雛形は、図案を入れるところに網掛けしてあるけれど、入れてはいけない所に網掛けしといた方がいいんじゃない?」と矢部先生。

フリーダムなMidoriさんだからこそ、枠にはまらない自由な図案を作る能力は長けているのですが、これから発注が来るであろうお客様たちがしそうな間違いを全てやってくれるので、ウォーミングアップにはすごく役立っているのかも(苦笑)。
そして何より、依頼人に差し出された素材に合わせて仕立てるのが職人の技量!ということを思い起こさせてくれるありがたい存在でもあります。


このような技術者同士の関係はかなりの連携が必要で、何度も繰り返し仕事をして阿吽の呼吸になって、この人ならここまでは間違いなくまかせても大丈夫だけどここだけは言っておいた方がよい、という全てをわかり合えていて、初めていい作品が出来るのだと思います。

ですから、今ではidoriさんからどんな作品が届こうが、何をやらかそうか慣れっこになっちゃっているので、もう何でもど〜んと来いです。(←これを強がりとも言う)

今回の定家文庫もと何人かの職人さんが関わって作り上げた物ですが、特に金具のT氏とは、ここに至るまでには定家文庫の前に一年ぐらい様々な材料の打ち合わせをしてきて、簡単な物一つ作り上げるのにも意思の疎通ができなくて悶々とした時期を過ごしましたが、今回の定家文庫で初めて同じ方向を向いてスムーズに仕事ができた気がします。
これまでの一年はお互いを知るという意味で無駄な時間ではなかったことを感じます。




そういえば、Midoriさんに初めて定家文庫をお勧めしたときに、暇に任せてやっているとしか思えない「ミッフィー」の刺繍をしていたのですが(日本刺繍でミッフィーって何??)、「じゃ、これで定家文庫作ってください」と言われましたっけ、、、。
お仕事なら何でもやりますけどね、定家文庫の仕立てってそんなにお安くないですよ?
ミッフィーの定家文庫にお金かけてまで作る意味がある???

そして、後日ミッフィーの刺繍裂が来るとビクビクしていた私の手元に届いたのは、素敵な「鯉と紅葉」図案の刺繍裂でした(これは仕立て済)。

しかし、この婚礼道具一式の刺繍裂を私に引き渡した直後にMidoriさんは胃炎でダウン。
こんな調子で刺繍の追い込みが胃炎を招いたのかどうかは定かではありませんが、この力作を是非作品展でご覧いただければ、胃炎を押して作り続けたMidoriさんの苦労も浮かばれることでしょう。
(検査の結果何事もなかったようで、いつものマグロに戻って回遊していました。よかった。)

今回、Midoriさんが出品する作品は、振袖(&半襟&筥迫)、バッグ、定家文庫、婚礼(新春縁起)道具一式の出品です。

ちなみに、彼女は今年20歳になるお嬢さんを持つ母です。
そして作品展の時は隣国旅行に行っているそうなので、残念ながらこれらの作品を前にしたMidoriさんにお会いすることはできません。

どこまでマグロなんだか(笑)。


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第2回 お針子会 日本刺繍教室作品展
総刺繍の振袖から小物まで
(帯・着物・半衿・筥迫・バッグ・額など60点)

2015年 5月16日(土)〜19日(火)
12:00〜18:30 ※最終日は18時閉場

場所:ORANGE GALLERY(オレンジギャラリー)


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comments

Midoriさんの刺繍は、いつも綺麗な色使いで素敵ですね。ブルーナ(ミッフィーの作者)カラー(橙、黄、緑、青)のミッフィーはこせこ、見てみたい気がします。

  • ぴょん
  • 2015/05/12 6:54 PM
   

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