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かこさんの振袖手作りプロジェクト 〜2016年成人式〜
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    今年も成人式が終わりましたね〜。

    結婚式に筥迫を作られる方というのは、どちらかというと作り手が「花嫁ご本人」で、結婚式に関わるあらゆるお支度を済ませ、筥迫などの装身具に目がいくのは最後の最後。
    ということで、駆け込み作成される方が多いように思われます。

    反対に成人式の筥迫といえば、圧倒的に作り手は「お母様」たちが多いということ。
    私のところへいただくメールや電話でも、かなり前からじっくりご相談される方が多いので、私自身毎年成人式の天気を気にするようになりました(天気がよくて、筥迫が飛び出ないように着付けできていれば万々歳)。

    実はお仕立てのご依頼を受けるのも、圧倒的に成人式用の筥迫が多いです。
    筥迫を仕立てるとなるとそれほどお安い物ではないですから、結婚式などのように他にお金をかけるものが多いと、筥迫にお金をかけるところまでは余裕がないのかもしれません。
    結婚式の筥迫でお仕立てのご依頼って受けたことってないかも、、、どちらかといえば筥迫のレンタル止まりでしょうか。

    その点、成人式にかけるお母様方の熱い思いには頭が下がります。
    結婚式は本人が何でも決めるでしょうが、成人式は母が娘に関われる最後のイベントだからでしょうか。

    その中で究極のレポートを「かこさん」から送っていただいたので、今回はこちらをご紹介させていただきます。
    元々かこさんは手芸関係の会社でHP作りをしているとのことなので、手芸関係にはかなりお詳しいようです。

    いつものブログに増してすごい長さですよ〜お覚悟めされよ!

     

    我が家の振袖プロジェクト 
    〜かこさん親子の場合〜


    1年かけてたっぷりと手作りを楽しんだ成人式も、昨日無事終えて一段落しました。

    誰かのためを思って作った手作りにはお守りの意味合いがあると思っていますので、何らかの形で成人式に手作りのものを加えたいと思っていました。

    最初はつまみ細工など小物だけを作って、私の着物かレンタルの着物を使うつもりだったのですが、これだけ振袖に手をかけて作ったのだから、この際いろいろ作ってしまえば?と会社の同僚から言われ、私の好奇心に火がつきました(笑)
     
    もともと手作りは大好きでしたが、今回は母の好奇心に娘が付き合ってくれたという感じで、成人式で振袖姿でにこにこしている娘をみて「無理やりつきあわせた感じでもなくて良かった〜」とほっとしたぐらいです。
    娘のイベントをダシに母が思いっきり遊ばせてもらったといった感じです。

     
    振袖の染め(名古屋友禅・渡邉染工様にてご指導を受けながら作成)
    偶然、ネットで名古屋友禅さんのワークショップを知り、染工所の先生に半分冗談で「振袖作れますかしら?」とお聞きしたところ、「頑張れば、できると思いますよ。」と言ってくださいました。
    約100時間かけて、名古屋の渡邉染工様に娘と一緒に通い、生地の裁断・板への糊づけ・染色を行いました。
    型紙や色などは娘と先生で相談して決めたため、娘の好みの振袖が出来上がりました。



    振袖の生地は京都の反物屋さんで浜ちりめんのAB反をお安く購入し、お仕立ては京都のプロの方にお願いしました。


    帯揚げ(鹿の子絞り)
    10年前から「鹿の子絞り」に興味があって、金具を購入して、土台を父に作ってもらいました。
    しばらくは押し入れの隅に眠っていました。
    4年前に父は他界しましたが、帯揚げ作成で再び大活躍してくれました。

    帯揚げは、練習を含めるとたぶん250時間以上かかっています。
    小物は簡単に作ろうと思っていたのに、振袖よりも時間がかかってしまいました。
    完成後は京都鹿の子絞り振興組合様に染めと湯のしをお願いしました。
    色見本に刺繍糸一本を同封しただけなのに、ほぼ同じ色に染めあがっていて、匠の技に感動しました。

     
    「帯締」は最初、組みひもで作成を考えていましたが、なかなかうまくいかず、組みひもは断念し、丸ぐけで作成することにしました。
    筥迫工房様のアドバイスのおかげです!ありがとうございました。
     
    ネットで相良刺繍の美しさに一目ぼれし、たぶん、フレンチナッツ刺繍と同じではないかしら?と思い、見よう見まねで刺してみました。

    「図案」は振袖が牡丹の柄だったので、娘と相談して、牡丹の柄に決定。
    フリクションボールペンで直接手書きし、あとからアイロンを当て、ボールペンの線を消しました。
     
    「丸ぐけ」の芯は、筥迫工房様より購入させていただきました。
    「房」は着付けの先生からお譲りしていただき、両端に付けました。

    筥迫(筥迫工房様のキット)
    名古屋友禅の渡邉染工様で友禅体験をした際に作ったもので作成しました。
    本当はもっと柄あわせをしたり、綿を入れるなど工夫をしたかったのですが、作品を見せたら、娘が大喜びしてくれて、これで決定!となりました。
    まだ材料は沢山残っているので、時間ができたら、もっと作ってみます。
    今度は、スマホ入れでもいいかしら?と思ってます。


    半襟(シェットランドレース編み)
    金票40番という比較的細いレース糸を1号の棒針で細長く編み、長じゅばんの襟に縫いつけました。
    編み図は、書籍『シェットランド・レース』嶋田俊之著からお借りしました。


     

    伊達襟(名古屋友禅・渡邉染工様にて)
    半襟用に購入していたシルクの布を染めました。
    渡邉染工さまにて、振袖のお花に使った色の一色を使って染めさせていただきました。


    髪型セット
    髪型は、友人が自分でアップしていて、とても素敵だったので、真似をして練習してみました。
    会社の同僚にもお願いして、お昼時間に練習をしました。
    頭のマネキンも購入して、家でも練習。
    夜中にトイレに起きた時に頭のマネキンがリビングのテーブルの上にあるとちょっと怖かったも今となっては懐かしい思い出です。
    「かんざし」はつまみ細工が得意な友人に大きい方のかんざしを同じ布で作ってもらいました。

    わたしたち親子は、振袖のあまり布を使って一つずつ作成しました。
    「失敗しても大丈夫だね」と気楽な気持ちで作れたのがよかったです。

    親子で作ったつまみ細工がちょっと寂しげだったので、「タティングレース」を編んで、つまみ細工のあしらいにしました。
    フェルトで、直径1.5センチぐらいのボールを作り、刺繍糸で手まりの模様を刺しました。
    タッセルはラメ糸を束ねて、作成。
    タッセルとてまりの間に、娘の誕生石水晶を入れてお守りにもなるようにと願いを込めて。


    着付け
    せっかくいろいろ手作りしたので、何度も振袖を気楽に楽しんでほしいと着付け教室に通いました。
    自分が着物を着付けできないのに、いきなり「振袖を着せたいんです」という無謀なお願いに、『9月から4ヶ月間、月に必ず3回のお稽古に来ていただくことをお約束していただけますか?それを条件に一種類の結び方をしっかりできるようにして、晴れの舞台をお母様の手で送り出していけるように私も努力します。』と言っていただけました。
    ボディを購入し、頑張って練習しました。
     

    着付けを美しくするには、補正が大切と着付けの先生からお聞きしました。
    特に振袖の場合は、パンと張った感じが若々しさを表してくれるので、補正は必然ですよ、と教えていただき、「補正下着」の作り方からていねいにご指導いただきました。


     
    その他
    「小物」をそろえるに当たっては、大須の呉服屋さんに何度も相談に乗っていただきました。
    結局、長じゅばんと帯を購入しただけでしたが、「帯揚げ・
    帯締もうまくできなかったら、安いのがあるから、安心してね」と言っていただいたおかげで、『失敗も怖くない』と思え、いろいろ冒険ができました。

    「草履」は、私の草履を百貨店の草履屋さんで娘用にすげ替えていただいたおかげで、足が痛くなることもまったくなく、和装を楽しめたようです。



     
    振袖一式を制作するに当たり、
    筥せこ工房様をはじめ、専門家の方たちのお力をお借りして、本当に楽しく充実した一年を過ごすことができました。
    ありがとうございました。
     

    もっと詳しく知りたい方は、こちらを是非どうぞ
    我が家の振袖プロジェクト
     


    いかがでしたか?

    筥迫を自作したいなんて発想する人は、だいたいにしてハンクラ魂が半端ないです(笑)。
    プラスすごい凝り性だったりしますね。

    かこさん親子の手作りプロジェクトには驚くばかりですが、でも筥迫を作るようになってから世の中にはものすごいハンクラマニアがいることを知り、かこさんのようなとんでもないプレジェクトを遂行する人も「まぁいるだろう」と自然に受け止めてしまえるようにはなりました(私はこんなこと絶対できないですけどね!)。

    そして、こうこう人を見て、自分で作るから安くあがっていいよね、と簡単に言ってくれる人がいますが、とんでもない!
    こだわるほどに時間もお金もかかってきますので、あっさり買ってしまった方がずっと安いということの方が多いのではないかと私は思います。
    筥迫も安く手に入れたいなら、自作するより中古の品を買ったほうがずっと安いですよと言っています。。
    かこさんの場合は、着付け用のトルソーや髪結い練習のためのマネキンの頭まで用意されているのですから相当ですよね。

    それなりのものを自作するのであれば、それらの(面倒な)工程をこなすことに、どれだけ自分が喜びを感じられるかにお金を費やすことになります。
    それが大事な人のために作る物だったら、時間やお金を費やすのは幸せを費やすことと同じなのです。

    文章中に出てこられたかこさんのお父様は、町工場の職人さんだったそうですが、物を作ることが好きな子は、やはり親も物作りしている人だったりすることが多いですよね。

    私の父も仕立ての職人でしたので、私はすごく父の影響を受けていると思います。
    何でも作る根性を目の当たりにしていましたので(そしてそれを楽しむ)。
    我が家の娘は手作りにも筥迫にも全く興味はないですが、母親が筥迫を作っているのは好きらしいので、将来何がしかの影響は受けてくるでしょう。

    かこさんのお嬢さまが、お母様の筥迫プロジェクトを暖かく見守っている様子も感じられて、それがまた微笑ましいです。



    筥迫掲示板にも今年の成人式の筥迫姿が掲載されています。
    去年私がお仕立ての依頼を受けたM.Tさんも、この筥迫を作られるまで一年近く打ち合わせをしていました。
    「着物を汚してもごめんで済みそうやけど、筥迫を落としたらお母さんの怨念ですごい事になりそう」というお嬢さんの言葉に全てが込められています(笑)。

    M.Mさんは、WSで作られた筥迫ですね。
    「私の筥迫への思いを汲んでくださり 着付けの途中から筥迫の居場所をしっかり確保しながら帯を結んでくださいました。
    今思うと 色々調べて下さったのかもしれません。」
    着付師さんにとっては、けっこうプレッシャーだったかもしれませんが(笑)。

    お母様たちの思いのこもった筥迫を身につけ、成人になられた若者たちに幸多かれと願います。



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    【2016.01.14 Thursday 16:34】 author : Rom筥
    | 成人式用筥迫 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    感動ものの愛情物語ですね!同郷人としてはお母さまの娘さんの成人式にかける並々ならぬ想いがよく伝わります。文字にはならない様々な困難もあったことでしょう。
    昔からあの地方はそうでしたが、今も変わらないのね〜。成人式や嫁入りの支度は女の子が生まれた途端から準備が始まります。
    ごく普通のお家のお嬢さんでも手紡ぎで着物地の糸を用意する方もありました。私?見事に親の心を踏みにじった親不孝者でした。

    ところで、着物を染めに通われた工房は実家のすぐ近く。あのあたりは昔から染物関係の職人さんの御宅が多かったのは知っていましたが、今は体験させてもらえるのですね。日本刺繍は無理そうだけど、型染めならやってみたい!筥迫用の小紋柄をオリジナルで作ってみたくなりました。帰国したら考えようっと。
    | はぐれ猫 | 2016/01/17 6:30 PM |
    はぐれ猫さん>

    ほ〜、そうなんですか。
    地域的な方々の性質があるんですねぇ。

    友禅と憧れますよねぇ。
    私もやってみたいけれど、これ以上好きになるものを増やさないように心しているので(もう筥迫だけで十分!)、友禅をされる方々が筥迫を作るようになるのを楽しみに待つことにします!
    | Rom筥 | 2016/01/17 8:49 PM |
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