『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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婚礼用筥迫&懐剣『三橘』H.Yさんの作品
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    装 飾:日本刺繍『三橘』(製作:H.Yさん)
    仕立て:縢襠付筥迫(大型:折襠付)平肉、挟み玉縁(製作:Rom筥)
    打ち紐:打ち紐:筥迫用 <黄系> 『10金茶』
    房糸(切り房用):筥迫・末広用<金茶10>
    緒締め玉:天然石 8mm 2個入 <珊瑚(コーラル)>
    びら簪:アンティーク
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    以前、ご子息の結婚式に留袖用に「折襠付紙入」を作られたH.Yさんの作品です。〜花嫁の母 H.Yさんの作品〜
    昨年(2015年)の5月に行われたお針子会の刺繍教室の作品展に展示されたもので、やっとお披露目することができました。

    H.Yさんは初めの頃の講習会に参加されて、そのまま私と同じお針子会の刺繍教室に通うようになったというお方です。
    筥迫作りより筥迫刺繍に走ったというわけですね(笑)。
    お嬢さんの結婚式に「日本刺繍の筥迫を作る!」ことが目標でここまでがんばってきました。
    (お嬢さんにとってはかなりのプレッシャー、、、?)

    トップ画像は作品展に展示されたときのもので、刺繍のデザインと筥迫の仕立て、懐剣房は筥迫工房にご依頼いただき、刺繍と懐剣袋はH.Yさんご自身が作られました。


    作品展の時はびら簪はアンティークをレンタルされました。
    日本刺繍の筥迫に、既存のびら簪ではかなり見劣りするというのが正直なところ。
    納品時はせめてもということで、既存のびら簪を長鎖に付け替えバランスを取りました。

    筥迫の玉縁といえば圧倒的に「白」が多いのですが、刺繍の出来上がりが淡い色味で物足りなさがあったので、「赤」の玉縁をアクセントにしてみました。
    これだけで、刺繍が仕上がったときと、筥迫を仕立てた後では印象ががらりと変わります。
    これぞ筥迫仕立ての妙。

    また、全面に刺繍がされているとそれだけでボリューム感があるので、綿は入れず平肉(ネル)で仕立てています。


    花嫁筥迫の存在感

    現代の花嫁用筥迫は、子供用かと思えるほど小さいものがあります。
    筥迫は襟元が崩れて嫌だけど、筥迫がないと花嫁に見えないから「しかたなく入れる」という考えが見え隠れします。
    小さくても筥迫とわかるように「差し色」程度の存在に成り下がっている現状は正直悲しい。

    それに比べ、今回の筥迫は教本で使われている型紙よりも更にひと回り大きなサイズです。
    大型とはいっても実際のアンティークの筥迫から取った型なので、女性の平均身長が150cm前後だった頃の花嫁さんが身につけていたことを考えると、下りが長く本数の多いびら簪といい、筥迫の存在感は相当なものだったと考えられます。

    先日、新宿伊勢丹での展示販売が終了しましたが、連日「筥迫〜懐かしいわ〜♡」と年配のご婦人方で賑わっていたそうです(笑)。
    やはり年を重ねた方の方が「はこせこ」というものを知っています。
    昔は今よりずっと特別な装身具だったのだと思います。


    教本の型紙は現代版サイズにしていますが、日本刺繍はこのぐらいの大きさがデザインしやすく何よりインパクトがある。
    装着しても違いはほとんど感じられないのですが、現代の着付けではちょっとの厚みでさえ嫌がられるので基本は現代型にしています。

    でも刺繍で筥迫の仕立てを依頼されてくる方には、あえてこの大きさをお勧めしています(中の仕様は折り襠付の本格派)。
    どうせ作るなら「どーだ感」満載の筥迫を目指してほしいもの。

    成人式の筥迫は着物に馴染ませて全体のコーディネートで目立たせるイメージで、花嫁の筥迫は着物に対して別主張させるイメージがあります。(←あくまでRom筥主観)
    「私は筥迫にこんなにこだわっているのよ!」と見せつけてこそ、絶対的な主役というものです。
    (成人式は主役がわらわらいるからねぇ)

    筥迫を目立たせたいなら、打掛けよりも振袖の方が絶対にオススメです。
    本来は打掛けあっての筥迫なのですが、江戸期の筥迫はあの大型のクラッチバック型。
    現代の小さい筥迫では打ち掛けに隠れて目立たず、一番目につくのが懐剣の房という始末。

    結婚式は成人式のお振袖で十分、でも筥迫には絶対お金をかける!という人が増えたらうれしいんだけどなぁ。
    打掛じゃなくても、お引きじゃなくても、格のある筥迫一つで堂々とした花嫁姿になりますから。


    刺繍だからこそ、簪刺しや巾着に効果的なワンポイントを入れることができます。


    かつて日本刺繍の筥迫はたくさんありましたが、今では大きな百貨店でさえほとんど筥迫の扱いはありません。
    なぜなら日本刺繍の筥迫はかなり高額なもので、そんなものを買う人(価値を感じる人)がいなくなってしまったからです。

    その昔、花嫁衣装はたった1日のために、その人のために誂えられた特別なものでした。
    家の格によって衣装のレベルは違ったと思いますが、衣装の格に合わせた小物が求められるのは当然のこと。
    ですから昔の筥迫には素晴らしい日本刺繍の筥迫が多かったのです。

    それがレンタル全盛の現代では、打ち掛けでさえちゃちな筥迫が使われています。
    ド派手な打ち掛けなら、それに見合うゴージャスな筥迫じゃなきゃ合わないだろうにと思ってしまいますが、すでに世はこれがデフォルト。
    誰も不思議に思わない。
    たった一日しか使わないものであっても、自分のものである衣装と借り物の衣装では、小物に対する価値感が全く違うということです。



    ところで、これだけブログに日本刺繍の筥迫画像を載せているのに、なぜ売らないんですか?とはよく聞かれます。
    いや別に売ってもいいんですけどね、ほとんどの人は既製の筥迫の倍ぐらい?という感覚で聞いてくるので、申し訳なくて言えないんですよ。
    正直う〜んと高いです(笑)。

    特注の筥迫は仕立て代だけでも「高い!」とびっくりされるので、現代ではその何倍もする日本刺繍の筥迫の需要はありません。
    筥迫にいくらかけていい!と言われたら、喜んで作っちゃいますからどんどん言ってくださいね(大笑)。
    でも昔はそのぐらい筥迫にかけていたんですよ。
    筥迫ってそういうものだったんです。
    そんな風潮が出てくると、筥迫文化ももっと華やかになるんでしょうけどね。
    だからこそ、日本刺繍をされている方には刺繍筥迫の作品を作ってほしい。
    自分で刺繍ができれば仕立て代だけですみますから。

    しかしながら、日本刺繍をやっているから筥迫も自分で作れば本格的な筥迫が安くできる!と思う人に限って、初めから刺繍裂を使って筥迫を作ろうとするのが常。
    頼むから貴重な刺繍裂で筥迫作りの練習をしないでくれ、、、(涙)。
    本来、筥迫の仕立てが相当上手くなってからでないと、刺繍裂の仕立てなんて扱えない。
    刺繍が上手いほど、下手な仕立てをしているとものすごく目立つというものです。



    反対に、H.Yさんのように筥迫の仕立てから日本刺繍に目覚める方も少なくありません。
    しかし、日本刺繍を習う方が筥迫の刺繍をさせてもらえるようになるまでには長い道のりがあります。

    名の知れた刺繍教室はしっかりしたカリキュラムがあるので、着物や帯の刺繍を学ぶのはよいのですが、よほどの上級にならないと筥迫などの自由課題はさせてもらえないのが実状(要確認)。

    筥迫用の刺繍をしたいと思うなら、一番の近道は個人のお教室をしている先生を探すことですが、どの先生もある程度の基礎課題をしてからとおっしゃるでしょうし、基礎の刺繍を1年やったぐらいでは思い通りの図案などできるものではありません。
    筥迫刺繍にたどりつけるまで何年か必要になるかもしれませんが、そこはじっくり我慢が必要です(でも日本刺繍は楽しい♡)


    この日本のすてきな文化が融合した筥迫を、自分自身の手で次世代に残していければこんな素敵なことはありません。
    安く大量に作られるものや、簡単に作れるようなものは、消費社会にゴミとなってあふれていきます。
    いつか自分がこの世から去っても、残された家族に「これだけは捨てられない」と思われるものであること、その後巡り巡って名も知らぬ人の手に渡ったとしても「捨てるよりは、、」とまた人の手に渡っていくようなものであること。
    何年かかろうとも、焦らずじっくり時間をかけて命ある作品を作り出していけたら、物作りをする者にとってこれほど幸せなことはないでしょう。



    筥迫講習会

    3月の講習会『三段口扇襠筥迫』は定員に達したので受付を終了いたしました。
    メニューの欄にその旨明記したのですが、詳細画面に書かれていなかったため、色々な人から「カートが開いていない!」とお問合せをいただきました。
    在庫(定員)設定しているので、定員になるとカートが消えてしまうのです。ごめんなさい、、、。

    今回は申し込み日の午前中に定員になってしまいましたが、定員にならないまま講習会に至ることもありますので、あくまでもタイミングですね(定員自体が少ないですから)。

    遠いところから参加される方も少なくないので、優先予約して差し上げたいのは山々ですが、どの地域から線引きするかでまた不公平感が出るので、申し訳ないですがそういうこともできないのです。

    新幹線やホテルの予約上、もっと早く予約開始してほしいと言われることも多いのですが、いかんせんスケジュール管理が大の苦手な私のこと、あまり早い時期だと管理ができない(泣)。
    予約が早いと直前のキャンセルが多くなるので、キャンセル対応がまた面倒というのも正直なところ。
    遠いところから参加される方は、早めにホテルを予約して、講習会が取れなければキャンセルするというように対応されているようです。

    私がもっと講習会を増やせばいいのでしょうが、教えるのが本業というわけではないので月一回がせいぜいです。
    大変申し訳ありませんがご了承いただければ幸いです。

    ただ、筥迫の二日コース(縢襠付筥迫と三段口扇襠筥迫)は、今年から一日単位での参加が可能になったことから、今回は二日目の講習に空きがあります。

    初日の「筥迫本体」は定員の7名でスペース的にぎりぎりなのですが、二日目の「巾着、結び、房」はそれほどスペースを取らないので、定員以上でも講習可能です。

    「筥迫本体」は、教本だけを見て作っても形にはなるとは思いますし、誰が作ってもそう変りはない。
    反対に「巾着」や「房」の方が作り方にコツがあるので、私としてはこちらの講習の方が参加する意義はあるかと思います。

    教本で本体だけは作れたものの、他のアクセサリーで挫折している、、、というような方も、二日目だけ参加するということもできます(反対も有)。
    二日連続の講習はきつい、会社の休みが取れないという方も、是非一日参加をご利用ください。
    筥迫の2コースでは二日目の「巾着、結び、房」の内容は同じなので、年に4回のチャンスがありますから、二日目の参加は自由がききます。

    ちなみに、二日目のお昼休みに、縢襠付筥迫コースでは装飾系の筥迫、三段口扇襠筥迫コースでは実用系の筥迫と嚢物他の色々なサンプルをお持ちします。
    サンプルを見ることができるのはこの二つのコースのみです。


    二日目参加ご希望の方は、是非こちらの「お問い合わせ」からご連絡ください。




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    【2016.02.27 Saturday 14:29】 author : Rom筥
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