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後藤勝子コレクション vol.13 〜北斎シリーズ (4)〜 鳳凰
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    北斎シリーズ(4) 鳳凰
    装 飾:(日本刺繍)後藤勝子
    仕立て:(折り返し・綿入り)後藤勝子
    サイズ:8×14×3.8cm
    布 :帯地
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    209枚の鱗のような羽根に苦労しました。

    迫力のある目つきに緊張しましたが、この世にないモチーフはファンタジックで心がワクワクした一品です。          (後藤勝子)

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    久々に後藤勝子コレクションをアップしよう!と思い立ったのは、最近、伊藤若冲が話題になったことで、後藤さんの代表作とも言える葛飾北斎の『鳳凰』を思い出したからです。

    若冲(1716-1800)と北斎(1849-1960)は同じ時代には生きていないのですが、なんとなく共通性があるように思います。

     

    しかし、後藤さんのコレクションを連続で掲載してしまうのはあまりにももったいとちびちびとアップしていましたが、前回から半年以上経っていましたね、、、。

     

    元絵は葛飾北斎の大作『鳳凰図屏風』です。

    長野は岩松院の八方睨みの大鳳凰図より10年以上前に屏風に描かれた鳳凰図ですね。

    この鳳凰図は「枕屏風」に描かれているらしいのですが、枕屏風といったら背の低い風除けのような屏風です。

    とてもそんな大きさのものに書いているとは思えない迫力があります。

     

    それを後藤さんなりの鮮やかな色彩で筥迫に仕上げられました。

     

    この眼力。すごすぎる、、、。

     

    筥迫は枕屏風よりももっと小さな画面ですが、そこに表現された鳳凰図とは思えないほど圧倒的な迫力があります。

     

    岩松院鳳凰図の中には「隠し富士」があります。

    そのぐらい北斎は富士山が好きだったそうなので、後藤さんもこの作品で巾着に富士を入れたのでしょうか(お供富士ですね)。

     

     

    私が撮影させていただいた後藤勝子コレクションは全28作品あります。

    私が現在仕立ての依頼を受けている石川の『飾り筥展』の作品は27点。

     

    仕立てだけでも27点は大変な数です。

    それを後藤さんは刺繍も仕立ても全てご自分で制作されています。

    これがどれだけ大変なことか。

     

    私がネット上で筥迫活動を始めたのは筥迫を作り始めて1年ちょっとだったと思いますが、始めからネットありきの活動でした。

    ネットの中で一定の筥迫愛好家がいることは知っていたので、潜在的に筥迫を作りたいと思っている人たちも一定数はいるだろうと踏んで始めたのです。

     

    稚拙な作品を作っていた頃から「人に見られる」という、今思えば恐ろしい状況ですが(あまりにもな画像はさすがに削除しています あせ)評価やご意見をいただきながらの活動だったので、それを励みにここまで順調にやってこられたのだと思います。

     

    私が筥迫!筥迫!と書き続けてきたので、ニッチな市場で少しは筥迫も盛り上がってきたかと思いますが、後藤さんがこれらの作品を作られていた頃は「筥迫を自作する」というムーブメントはありませんでしたし(後藤さんが筥迫活動をされていたのは私が活動を始める以前のこと)、ご自身も「ネットはやらないの〜」と言われていたので、その間、発信もせず、誰からの評価も得ず、たった一人でこれらの圧倒的な作品を生み出していったということになります。

     

    そのような状況でこれだけの作品を作り続けるというのは、筥迫に対するどれだけのエネルギーを持っていたのかと考えずにはいられません。

     

     

    アウトサイダー

     

    その昔、世田谷美術館に「パラレル・ヴィジョン〜20世紀美術とアウトサイダー・アート〜」という企画を見に行ったことがあります。

    あのときの衝撃は今だに忘れることができません。

     

    アウトサイダーアートとは、知的障害者が作り出すアートを指すことが多いのですが、実際には知的障害に関わらず、美術的な教育を受けておらず、評価を目的とせず、何の流派にも俗していないような作家のことを指します。

     

    その中でも有名なのが「ヘンリー・ダーガー」で、一生のほとんどを人と関わりを持たず、その死後、彼のアパートを整理しに入った管理人によっておびただしい数の作品が発見され、初めてその存在が世に知られることになりました。

     

    かわいいキューピーちゃんのような美少女戦士たちが、プリキュアのごとくヒラヒラのお洋服を着て戦闘をするという荒唐無稽な小説と、3メートル以上もある絵が数百枚残されていたそうです。

     

    後藤さんをアウトサイダーと同列に扱うわけではないのですが、地に潜ったかのように孤独な筥迫制作を続け、一瞬だけの華やかな個展で日の目を浴びた後、筥迫活動をやめてしまうという行動が、なんとなくアウトサイダー的なイメージとつながってしまうのです。

    それだけやり尽くしたという気持ちだったこととは思いますが。

     

     

    現代では、SNSの出現によって、生活の中のちょっとした事柄でも安易に人からの評価が受けられる世の中になったので、よけいそう感じてしまうのかもしれませんが、ネットが生活の中心でなかった時代には、後藤さんのように静かに制作活動をして一瞬だけ日の目を浴びるような作家さんたちはけっこう存在していたのかもしれません。

     

    しかし私が後藤さんの存在を知ったのも、たった一つのブログに上がった個展の小さな記事がきっかけだったので、そのおかげで後藤勝子さんという素晴らしい作家の作品を皆さんに知っていただくことができました。

    (後藤さんのせっかくのご厚意でしていることですから、どうか画像の転載や商用使用、悪用などはしないでくださいね)

     

    後藤さんは個展を機に筥迫制作はされておりません。

    私自身はたぶん作家にはならないと思う、、ならないんじゃないかな、、(まちょっと覚悟はしておく)と思うので、これから新たな筥迫作家さんたちに続々と登場していただけることを期待しているわけです。

     

    そんな筥迫作家さんたちをバックアップしていくこと、これもまた私の使命かと思っています。

     

     

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    【2016.07.01 Friday 11:09】 author : Rom筥
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