『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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一人で作り上げること、分業で作り上げること
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    今回はMadam.Kから人形着物作品展の告知が来ていましたのでご紹介させていただきます。

    筥迫ではないですが、同じ「小さき美しきもの」の世界に生きている仲間つながりということで。

     

    10月3日(月)〜5日(水)

    9:30〜17:00(10月3日のみ12:00〜)

    於:山手111番館

      みなとみらい線「元町・中華街」駅

      5番出口から徒歩7分

     

    マダムKはお針子会の同じ刺繍教室に通う仲間ですが、たいへん丁寧な刺繍をなさる方です。

    SD(スーパードルフィー)の着物を作られる方は多々いらっしゃるとは思いますが、マダムKほど凝った着物を作られる方はいらないのではないでしょうか。

     

    今頃は追い込みでお互い大変な時期だとは思いますが(マダムKのブログ)、作品展が終わった後には、金沢の「飾り筥展」に14〜15日で来られるとのことでした。

     

    山手111番館はとてもすてきな場所のようなので、お散歩がてら近隣にお住いの方は覗いてみてはいかがでしょうか。

     

     

     

    一人で全て作り上げること

     

    マダムKの人形着物は、自分で刺繍をして自分で着物を仕立て、小物も全て手作りという究極のオリジナル作品。

    筥迫工房の筥迫もまた、自分で装飾(刺繍等)をして、自分で仕立て、房までも自分で作るというマニアックな手作りを目指しています。

    どちらも全て自分で作り上げるというのが共通しているところです。

     

    教本を作り始めた当初は、自分一人で作品を作り上げる、というテーマにとても意義を感じていました。

     

    昔々の袋物細工の本にも筥迫の作り方は載っていますが、「飾り房」の作り方までは載っていません。

     

    「結び」と「房」は袋物とは全く違うカテゴリーですし、時代的に「房屋さん」が今よりももっと身近で、房は買えばいいという考え方だったのかもしれません。

     

     

    私が筥迫作りのマニュアルを作ろうと考えていた当初、筥迫本体の作り方よりもずっと頭を悩ませていたのが、実は付属品の「びら簪」と「撚り房」をどう調達するかでした。

     

    「びら簪」はどうにか仕入先を探せたのですが、「撚り房」の仕入先を探すことは非常に困難でした。

    最近は市販品も色々なサイズも出てきたようですが、筥迫に合ったプロポーションの撚り房(頭が小さくて房が長い)を市販品に見つけることはできません。

     

    現在は何とか業者さんを見つけて、特注で作った撚り房をショップで販売していますが(撚り房(房単品) )、撚り房の一番のネックは色数が非常に限られるということです。

     

    筥迫を自作するということは、他にはないオリジナルの筥迫を持てるということです。

    そんなオリジナリティを追求する上で、どれだけの「色」を使えるかということは最も重要なことです。

    これで自作筥迫用の飾り房は、どんな色にも対応できる「切り房」で作ることに決まりました。

     

    しかし、巷にタッセルの作り方は多々あれど、和の房の作り方を載せている本はありません。

    あってもほぼタッセルに近い形です。

     

    ウエストがキュッと締まってヒップがボンと突き出た房は、専用の「木の芯」を使うしかなく、その木の芯も簡単に手にいれられるものではありません。

    筥迫房に合うような芯は、特注で挽物屋さんに何千〜何万個単位で作ってもらうようなものなのです。

     

    その木の芯をなんとか使わずにこの形が作れる方法がないものかと考えたのが、今現在副読本で紹介している房の作り方です。

     

    これによって筥迫を自作する道が大きく開けたのです。

     

    脇役のような飾り房であっても、それがなければ筥迫として完全な形にならないと思わせる、実はとても大事な付属品なのです。

     

     

     

    分業で作り上げること

     

    私が日本刺繍を始めたきっかけは、筥迫の柄出しに限界を感じたからで、筥迫作りを突き詰めると必ずこの問題にぶち当たります。

     

    自分で装飾(刺繍等)を施した筥迫は、手芸品を超えた「作品」になります。

    これほど自分の創作意欲を満たしてくれるものはないと思っていました。

     

    しかし、「装飾」と「仕立て」のモチベーションや技術を同レベルに保つというのはなかなか難しいことです。

    必ずどちらかに比重が傾くと私は思っています。

     

    私の場合、刺繍が最後のところまで来ると、仕立てのことばかり考えて刺繍を急いてしまう(=雑になる)、、、(愚)。

    私はどうしても「仕立て」に比重が傾いてしまうようです。

     

     

    最近は色々な人の刺繍作品を仕立てることが多くなったのでよけいに感じてしまうのですが、すでに素晴らしい作品として仕上がっている装飾裂に、更に自分の手を加えて完成度の高い作品を作る、、、これ以上はない満足感を感じます。

     

    もちろん、美しい刺繍裂が必ずしも美しい作品になるわけではありません。

    筥迫の構造を理解しないで、自分の好みに忠実に筥迫を作らせることと、作り手同士が下図の段階から何度も打ち合わせを重ねて一つの作品を作り出すことは全く違う仕事です。

     

    そういう意味では、同じ人間が刺繍と仕立てを両立できれば何の問題もなく融合するので、それが自作の一番の強みだと思います。

     

    自作の良さは、調和という意味においては失敗のないものができますが、パターンの中から抜け出すのは難しい。

    対して分業の良さは、どちらも高いレベルの作品ができるけれども、お互いの意思疎通にかなりの時間がかかります。

     

     

     

    房屋さんとの出会い

     

    最近は「房」を自分で作ることにどうしても気が向かなくなっています。

    房の完成度を上げたいけれど、筥迫ほどの情熱を房に注ぐことができないということ。

     

    そこで、以前から紹介されていた房屋さんを尋ねてみることにしました。

     

    これは今後少しずつ書いていこうとは思いますが、とにかくものすごく刺激をもらって帰ってきました。

    他業種で道を極めた人に会うということは、同じ道の先生に教えを請うこと以上の収穫があるような気がします。

     

    結果、房は房屋さんにお願いしたいと思うに至ったのですが、実は房というのは非常に高価なものです(特に撚り房)。

     

    筥迫房と懐剣房を正絹の撚り房で作った場合、簡単な刺繍の筥迫なら、本体と同じくらいの価格になるかもしれません。

     

    それでも、刺繍筥迫に本物のびら簪、本物の撚り房を合わせた作品はこの上もなく素晴らしい作品になるはずです。

     

    きっとどんな世界の職人さんも同じことを願っていると思いますが、エルメスのバッグを買う代わりに、最上級の部品を使った作品を注文してくれるお客さんが現れないものかと(笑)。

     

     

     

    現代ではあらゆる業種の職人さんが急激な勢いで廃業しています。

    この流れは決して止まらない。

    その影響はあらゆる職人さんが使う「材料」や「道具」の調達にも現れ、四苦八苦する姿を目にしています。

     

    そういう意味でも、無くなった部品は自分で作ってしまえ!と思える気概が現代の職人さんには必要不可欠であると私は思っています。

     

    もしくは発想の転換。

    昔の材料だけに囚われないで、常に時代にあった材料や道具を開拓する精神。

     

    ですから、筥迫の部品全て(びら簪除く)を自分で作れるということは大変意義のあることなのですが、やはり分業の完成度には変えがたい良さがあるので、房屋さんが現代に存在しているうちに完成度の高い作品をたくさん作っておきたい、という気持ちに駆られている今日この頃です。




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    【2016.09.09 Friday 08:52】 author : Rom筥
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