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日本刺繍の筥迫『夜露ときりぎりす』
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    なんだかすっかり忘れていましたが、2015年5月に行われた「お針子会日本刺繍教室作品展」に展示したきりぎりすの筥迫をご紹介させていただきます。

     

    なぜって、秋が終わってしまうから!(もう終わっている?)

     

    この筥迫は、この作品展の自分の作品の中では、最もメインに据えていた筥迫です。

    作り上げて展示してしまった後はすでに忘却の彼方、、、そして今に至る(汗)。

     

    こちらは三段口扇襠筥迫で仕立てています。

     

    一般的に「ザ・筥迫」といえば縢襠付筥迫が圧倒的なイメージです。

    びら簪を入れるための簪挿しが頭にど〜んと乗るために、図案が「被せ」+「胴締め」のみにきっぱりと分れてしまう。

    パーツがたくさんで、刺繍よりもその形状が印象的です。

     

    それに比べて三段口扇襠筥迫は紙入れに近いので、簪挿しもなく「天面」までしっかりと刺繍が入るので、刺繍をする者にとっては表現の幅がぐっと広がるわけです。

    更には「底面」まで柄を繋げられるという守備範囲の広さ。

     

    被せのRを鋭角にしているので、「被せ下」まで柄合わせする必要があり、表現の幅は更に広がります。

    まぁ立体的に刺繍で遊べるというわけです。

     

    着物や帯は平面表現ですが、筥迫はページをめくっていくように表情を変えることができる立体表現で、これが筥迫装飾の楽しさなのです。

     

    それがこの小さい面積で展開するのですから、乙女心がくすぐられること、くすぐられること(かつての乙女ですが)。

     

    こちらの表地は古い紬のハギレを使っているのですが、その様子は以前のブログでもご紹介しているのでそちらをどうぞ。

    刺繍教室作品展に向けて

    近頃刺繍で頭がいっぱい

     

    まぁ私が刺繍が頭がいっぱいになることなんて、作品展のときぐらいしかないのですが(笑)。

     

    仕立てに関しては、内布は相変わらずの縞柄を使いたかったのですが、被せを開いたときの刺繍と対になる部分は縞柄は合わない。

     

    そこで、ちょっとわかりづらいですが、被せ裏は「黒」を使っています。

     

    黒といっても、少しでも反射してしまう布だと黒が黒らしく見えない。

    あくまでここに「真っ黒」を使うことで、この筥迫のイメージにつながるので、この真っ黒の布を探すのもまた苦労しました。

     

     

    派手な「虫籠」は右に配し、主役のきりぎりすは風景の中に溶け込むようにするというのが、この図案のこだわりです。

     

    基本的に筥迫の図案というのは、襟元から出る左部分をメインに柄を配するものなのですが、三段口扇襠筥迫は、普段着の着物や、年配の人でも違和感なく懐中することができるようにと作った型なので、外に出る部分に赤い紐が見えたらおばさん(私)はちと恥ずかしい。

     

    そこでこのように派手をわきまえない好き勝手な柄は、見える部分には配しません。

    メインのきりぎりすも、ダイレクトに虫感が伝わると気持ち悪いので、リアルでありながら影のように使うことで目立たなくしています。

     

    もっとうまい人が刺繍をしたら私の言いたいこともはっきりと伝わるものでしょうが、残念ながら私の刺繍の腕前はあくまで趣味の域。

    文章で補足しないとうまく伝わらないのが悲しいところです。

     

     

     

    キリギリスについて

     

    私は虫が嫌いです。

    でもデザインとしての「虫」は好き。

     

    さすがに虫メインにするのは何なので、真紅の組み紐を付けた美しい虫籠がメインに見えるように(しかしあくまで主役はきりぎりす)。

     

    そして虫籠に入れる虫といえば「バッタでしょう!」とバッタの画像を検索したのですが、ん、ん、、、???

    私のイメージしていたバッタはこんなずんぐりしている子じゃなくて、もっと触覚がぴーんと長くてカッコイイやつ。

     

    調べてみると、それはキリギリスというヤツでした。

     

    これまでの私の認識では、バッタ(和名)、キリギリス(英名)だと思っていたよ、、、。

     

    似ているようで違うこの二つの科を判別するのは、

     

    (バッタ)  触覚が短い、目が大きい、昼に活動

    (きりぎりす)触覚が長い、目が小さい、夜に活動

     

    バッタは比較的草食の種類が多く、雑食のキリギリスはより肉を好むということもあるようです。

     

    言われてみれば、仮面ライダーがきりぎりすじゃないのは一目瞭然(笑)。

     

     

    あとは鳴き声。

    鳴く虫といえばきりぎりすらしいのですが、実際はバッタも音を出すようです。

    でもそれは「足をすり合わせる」音であって、鳴く虫には分類されていないようです。

    きりぎりすは「羽をすり合わせる」ことによって複雑な音を出すので、鳴く虫に分類されるのだとか。

     

    日本人はこれらの音を「鳴き声」といいますが、西洋人は「音」それも「雑音」としか認識しないといいますね。

    日本人は虫の鳴き声を言語と同じ左脳で捉え、西洋人は音楽と同じ「右脳」で捉えるかららしいです。

     

    日本語環境の中で育つと、虫の声はセンチメンタルな気分になるものですけどねぇ。

     

     

     

    「きりぎりす」と「こおろぎ」

     

    「キリギリス」が自分的に「英名」と認識してしまったのは、ひとえに「カタカナ」で表記していたからだと思うのですが、実際には百人一首にもすでに登場しています。

     

    きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣片敷きひとりかも寝む

     

    そういえば、こんな句ありましたね(今更記憶が蘇る)。

     

    つまり「ひらがな」で表記すればいいのだよ。

     

    しかしながら、この時代のきりぎりすは「こおろぎ」のことだとか。

     

    ではこの時代、きりぎりすのことを何と呼んでいたか?

     

    古語辞典によると

    きりぎりす【螽斯】

     

    虫の名。今のこおろぎ。

     

    <注意>

    今のきりぎりすとは別物。

    今のきりぎりすは、平安時代には、その鳴き声が機織(はたお)りの音に似ているところから、「機織り」「機織り女(め)」といった。

    そしてこおろぎは、秋鳴く虫の総称であったらしい。

     

    だそうです。

    「機織り女」とはまた風流な。

     

    ちなみにきりぎりすの英名は「long-horned grasshoppers」つまり「触覚の長いバッタ」。

    そのまんま、情緒なし(笑)。

     

     

     

    「キリギリス」と「セミ」

     

    ところで、キリギリスといえば「アリとキリギリス」を思い浮かべる人も多いかと思いますが、イソップ童話の原題は「La Cigale et La Fourmi 」つまり「アリと蝉」なのだそうですよ。

     

    イソップは紀元前の人なので(知らなかった)、口伝で伝わっていったことにより、蝉があまりいないヨーロッパの方では、地域によってトンボ、コオロギ、キリギリスに変わっていったとか。

     

    そして、キリギリスは食べ物もなく死ぬというのが一般的で、蟻に救済されるという結末は日本とスペインだけらしい。

     

    蝉曰く「歌うべき歌は、歌いつくした。私の亡骸を食べて、生きのびればいい。」

     

    非情、、、(泣)。

     

     

    蝉がいない地域の人が日本の夏に来ると、あのすさまじい蝉の声にびっくりするそうです。

     

    確かに蝉の声は大きくなるほど暑っくるしいですが、私は「あ〜夏!」という気分になります。

    蝉の声とともに、近くの公園のジャブキャブ池から聞こえる子供たちのはしゃぎ声は「あ〜夏休み!」という気分にもなります。

     

    でも最近はこの子供たちの声が「雑音」に聞こえる人が多いらしく、保育園建設のネックになっているそうで。

     

    日本人が子供のはしゃぎ声を右脳で捉えるようになってきたってことですかね。

     




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    【2016.10.30 Sunday 12:22】 author : Rom筥
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