『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
<< 2016.11 七五三騒動記 〜つるひめさん〜 | main | 2016.12 筥迫講習会『縢襠付筥迫(綿入・折り返し)』 >>
古いものから得るもの、新しい時代へ繋ぐもの
0

     

    現在試作中の作品の参考にと、先日押入れに詰め込まれた山のようなアンティークの嚢物類を物色、、、しようとして押入れを開けたとたん、なだれ落ちてくる桐箱の山に気が遠くなる、、、。

     

    私には筥迫の作り方を教えてくれる先生はいなかったので、ひたすら独学で貼り込みの袋物を学びました。

     

    関連書籍といえば、大正時代の袋物の教科書や、せいぜい昭和あたりの古書ぐらいですが、それよりも何よりも役にたったのは、昔の職人たちが作ったアンティークの袋物たちでした。

    本よりよっぽど有益な情報が詰め込まれているからです。

     

    その昔出版された書籍は何種類かありますが、どれも同じ系列の人が書いたのか内容も似たり寄ったり。

    しかし、実際の古物を見ていると、独自の技術で作っている職人さんが多かったことがよくわかります。

     

    自分の技術は絶対に外に出さない!という頑なな職人さんが多かった時代だからこそ、袋物の作り方を本にしようなどと思う人はごく少数だったということなんだと思います。

     

     

     

    技術は大事だけど好奇心はもっと大事

     

    私の父は仕立屋でした。

    私がこんなことをしているのも、父の影響がすごく強いと感じています。


    父は小さい頃から奉公先に入りましたが、師匠が事細かに技術を教えてくれるなんてことはなかったそうです。

    その家の雑事をしながら、師匠の仕事を自然と見ながら、見よう見まねで技術を習得していたそうです。

     

    ほとんど師匠が作ったものしか見られない環境で、それも腕のよい師匠に当たればいいですが、そんな師匠ばかりではないはず。

    (昔の筥迫も仕立てのいいものからひどいものまでピンキリ)

     

    そう考えると、熱心な人なら手のいい仕立ての作品を見てみたくなるわけで、他の人が作った古着などを探して研究するしかなかったでしょう。

     

    父は注文服の需要がなくなっても、来るもの拒まずであらゆる仕事を請けていました。

    同業者が次々と廃業していく一方で、仕事で珍しい縫製があれば、それをこっそり解いて研究したりしていました。

     

    生き延びるための必死さもあったでしょうが、自分が知らな世界を知りたいという好奇心が勝っていた感じです。

     

    結局、今も昔も同じことなのです。

    筥迫でいえば、現代の方が古いものを入手しやすいので、昔の人より研究するにはずっと有利なはずなんですよね。

    そんなわけで、私はこの古いサンプルたちにかなり助けられてきました。

     

     

    時代はものすごい速さで巡っていきます。

    私も自分が関わってきた仕事の世界で、あらゆる有能な職人さんが廃業していくところを目にしてきました。

     

    特にパソコンの存在は、多くの職人さんたちを廃業に追いやりました。

    ある日突然に目の前から仕事がなくなる。

    仕事がなくなるというよりも、職種自体がなくなってしまうという恐怖。

     

    自分が習ったこと以外のものが目の前に来た時、それを教えてくれる本や先生が必ずいるわけではない。

    どちらかといえばいない方が多い。

    だから自分だけで研究し開拓しなければならない。

     

    結局、教えられたことしかできない職人さんは、どんなに腕があろうともその時代だけで完結してしまうのです。

    古い技術や考え方を根っこに持ちながらも、新しい時代を純粋な好奇心を持って受け入れられるかどうかは、職人の技量としてとても大事なことだと思うのです。
     

     

    筥迫は伝統工芸のように見えますが、全くそんなことはありません。

    嚢物などは特に細分化されていたようなので、そりゃ筥迫しか作れなかったら仕事なくなるわ。

     

    職人さんもいなくなり、本来の意味での貼り込みという技術は衰退したものの、筥迫はその特殊な意匠のおかげで、ハレの日の装身具という意味づけだけでなんとか現代まで生き残ってきたのです。

    それが筥迫の持つ一番の力なんでしょうねぇ。

     

    かつての職人さんたちによって作り上げられた素晴らしい袋物を手に取るたび、彼らが築き上げてきた貼り込みという技術で筥迫や袋物の心をもう一度取り戻したい。

    これらのサンプルを見るたび、そんな気持ちがフツフツと湧いてきます。

     

     

     

    もう一度取り戻したい技術、そしてその心

     

    きれいに桐箱に入ったものは一々蓋を開けなければ中がわからない。

    そして最大の難は「かさばる」。

    蔵があるような家に住んでいればいいのでしょうが、ここは東京の小さなマンション。

     

    未だにサンプルを買い漁っているので、気がつけば桐箱の山、山、山、、、。

    今回はそれらの桐箱を全て捨て払い、自分が作った作品も執着がないものはあっさり捨て払い、同じ型、同じ仕立て方をしているものもこの際捨て払い、なんとか大きなゴミ袋一杯分を処分しました。

     

    そうそう、以前はわかりやすいように透明ケースに入れなおしていたのですが、これさえもすごい量になってきたので、今回それらもとっぱらってチャック袋に入れ替えました。

    これで探しやすいし取り出しやすい。

     

    今の私には、どこに何があるか一瞬でわかるような収納が必要なのであって、桐箱なんて必要ないのだよ(最近、桐の価格が上がっているというのに、桐箱ごめんよ、、、)。

     

    これで何とか衣装ケース2個に収まる程度に収納できました。

    一つの衣装ケースに二段に入っているので、だいたい100個以上は詰まっているんのですが、一方のケースの半分は気力尽きて後日に後回し。

    でも実家にもまだまだあるんだっけ、、、(汗)。

     

     

    私はコレクターではないので、集めるものはきれいな筥迫や嚢物よりもジャンク品がほとんど。

    他の人から見たらこの中にゴミばかり詰まっているように見えるかもしれませんが、私にとっては宝の山(笑)。

     

    きれいなものはコレクターさんたちに大事に保存していただいて、私は捨てられる直前のボロを救い出し、中を崩して研究できるようなジャンク品にばかり反応してしまうので、競争率は低い代わりに、部品取りにもならないようなものは市場にも出回らないのが難。

     

    世の中にはまだまだ私の知らない型がたくさん存在しているはずなので、それらが時代の中で消滅していしまう前に助け出さねば、、、。

    もし皆さんのお手持ちのもので捨てるに捨てられないような古い袋物がありましたら、是非私の研究用にいただけるとうれしいです(茶道具の仕覆は研究対象外)。

     

    また差しあげることはできないけれど、こんな型を再現できたらいいんじゃないか?というものがありましたら、是非画像だけでも見せていただけるとありがたいです。

     

    昔の型を再現し、後世に型紙とその作り方を残す、というのも自分の使命の一つと考えています。

     

     

    たぶん、私は美しい作品を作り出すことよりも、昔の型を再現して型紙に起こし、作り方を解明し、それを講習会などで人に作らせて「お〜出来た〜!」と喜ぶことに一番のやりがいを感じているのかもしれません。
     



    ▼筥迫工房のお店


    ▼筥迫掲示板
    筥迫工房の教本や自慢の細工物を、皆さん自身で披露できる掲示板です。写真のアップロードが簡単になりました(一回の投稿で6枚掲載可)。丹誠込めて作った筥迫を大勢の人に見てもらいしましょう!

    ▼携帯からも筥迫掲示板2に投稿をアップロードできます。
    こちらのQRコードからアクセスしてください。


    筥迫工房へのお問い合わせ
    ※時々ショップからのご注文確定メールが届かないことがあります。
     そのような場合も、こちらからご連絡ください。


    もしよかったら、こちらもクリックなんぞしてくれるとうれしいです。
    にほんブログ村 ハンドメイドブログ 和装小物へ
    にほんブログ村

    【2016.11.28 Monday 11:22】 author : Rom筥
    | 筥迫あれこれ | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    yayaです。
    先日の金沢では久しぶりにお目にかかれて良かったです。
    定家文庫があのように開花するとは思いがけない事でしたがこれもROM筥さんが真摯に取り組まれた賜物と驚嘆いたしました。
    メールをお送りした後中山様のブログを拝見したところその日にお返事があったようで奇遇でした。
    拝見いたしましたのでよろしくお伝えくださいませ。
    成巽閣での懐中物のお尋ねでしたがこのブログを拝見してお知らせしなければと思いました。「ふるきよきものをたずねて」はまさに温故知新なのですから〜
    後ほど写真を撮りましてPCへお送りいたします。
    私が成巽閣で見ましたのは全面刺繍でしたので中山様にもご覧頂きたくお知らせしましたがお送りする物は切嵌です。
    切嵌の技工は是非習得したい物ですが今は難しいの刺繍で残せたら素晴らしいと思います。
    これらの懐中物の復元は10年来の念願ですがなかなか果てせずにおります。
    来年あたりは取り組みたいと思いますので是非ROM筥さんも挑戦して頂たいと思います。
    風邪が長ひておりますが気力を出して写真は撮ってお送りいたしますので暫くお待ち下さいませ。
    | yaya | 2016/11/30 9:55 AM |
    yayaさん、こんにちは。

    「定家文庫を知っていますか?」とyayaさんに教えられて
    こんな日が来るなんて思いもしませんでした。

    それが金沢の作品展でみなさんに認知していただけて
    かつての華やかな文化が蘇ったこと、yayaさんのお陰と思っております。

    yayaさんからお勧めされた成巽閣の催しを中山先生にお伝えしたところ、先日、中山先生からお手紙があり、なんと展示されていた作品のスケッチが同封されていました(すごい!)。

    「切嵌」憧れますね〜。
    やってみたいですが、これ以上他のことに興味を持つと身がもたないので、是非、yayaさんにがんばっていただきたいです(そして現代の切嵌を是非見てみたい!)

    写真楽しみにお待ちしております。
    | Rom筥 | 2016/11/30 5:02 PM |
    コメントする









    この記事のトラックバックURL
    http://rombako.hakoseko.mods.jp/trackback/982038
    トラックバック