『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
<< 2016年クリスマス記 | main | 揃い道具一式 〜noelさん所蔵品〜 >>
謹賀新年 midoriさんの作品 〜新春祝い道具一式〜 
0

    新年明けましておめでとうございます。

    2017年も筥迫工房をよろしくお願い申し上げます。

     

    さて、新年のブログは何にしよう、、、と迷っていたところ思い出しました、ちょうどよい作品を!

     

    それがこれ↓

     

    midoriさんの「新春祝い道具一式」です。 まぁすごいmoe

     

    本来は同じ図案でお揃いにするものなのですが、midoriさんの性格上それは無理(笑)。

    それでも同じ生地、おめでたい図案で揃えているので、ちゃんとした揃いには見える。

    ということで、婚礼道具一式ではなく新春祝い道具一式としてみました。


    前回のお針子会の作品展に出品する作品を皆が必死に作っていた頃、お嬢さんの成人式の振袖が終わって一時抜け殻になってはいたmidoriさんが回復し、エネルギーを持て余しているという情報を得たRom筥は、時は来た!とばかりに骨董の婚礼道具一式をmidoriさんの目の前に置き「midoriちゃん、こういうの好きじゃない?」と悪魔のささやきをしたのでありました(笑)。

     

    みごとに釣り針にひっかかってくれたmidoriさんは、私の予想を遥かに超えたペースであっという間にこれらの作品を刺繍してしまったのでした。

     

    恐るべしマグロ人間!

    相変わらずのマグロっぷり

     

    私レベルでは一つの作品ができるかどうかぐらいの期間で「鯉と紅葉」の定家文庫も同時進行してしまうのですから、このエネルギーを有効に使わない手はない。

     

    本来、定家文庫、筥迫、紙挟み、小物入れ、櫛入れなどを、お揃いの図案で一揃いにするものなのですが、この数だけお揃いで作るのは相当の労力がいります。

    (定家文庫でも無理と思ってしまう私には気の遠くなる作業)

     

    本当はここに筥迫を入れられればよかったのですが、柄合わせのあるものは打ち合わせが必須で、走り出したら止まらないmidoriさんに途中でその手を止めて打ち合わせのやり取りをするなんて芸当はできるはずもなく、結局、放置しても問題のない柄合わせなしの型で組み合わせることにしました。

     

     

    本来、1点ずつご紹介すべきものなのですが、これはやはり一揃いが萌えポイントなので、年明けの出血大サービスで一気にご紹介してしまいます。

     

    (画像の色かぶりを補正する技術がなく残念な画像となってしまいました。本物はもっときれいな色です。あしからず。)

     

     

    定家文庫

     

     

    問い:この定家文庫、最も残念なところは何でしょう?

    答え:房がない!

     

    いえ、忘れたわけじゃないのですよ、房が入ったらとにかく刺繍が見えない!

    この図案で中心が隠れてしまったら絵にならない!ということで、泣く泣く房を付けなかったのです。

     

    私からすれば、定家文庫は房がメイン。

     

    この形を考慮した上で刺繍の図案を考えるものなのですが、そこはエネルギーが有り余っているmidoriさんのこと。

    下図の打ち合わせを待っている私の元に、ある日突然出来上がった刺繍裂が届いたのでした、、、(涙)。

     

    図案が入りきらなくて側面にはみ出しちゃった!と言わんばかりの迫力の柄合わせ(爆笑)。

    そして角にもばっちり刺繍、、、(職人泣かせ)。

    それでも溢れんばかりのめでたさを表現できていることは否めない。

     

     

    定家文庫は三面柄合わせ(前と側面)が基本なのですが、midoriさんには一面だけ空けておくなんて許されないことなのでしょう。

    背面にも獅子舞がどーんといましたよ。

     

    折り部分に獅子の顔がかかっているので、意外な表情になって面白い効果を出しています。

     

    実はこの獅子、アタリの印つけからすると背面の中心にいたのですが、これじゃ完全に獅子舞の顔の中心に金具がつく羽目に、、、。

    しかたないので横にずらしました(なのでちょっと中途半端な配置です)。

     

    ちょうどこの画像を広げてブログを書いていた時、横から家人が「うわぁ、綺麗だねぇ」と一言。

     

    常に既存の嚢物に囲まれている環境のせいで、つい定家文庫はこういう物!という概念から抜け出せなくなっているのは私だけであって、房がなくたって一つの作品として見ればエネルギー溢れる素晴らしい飾り箱なのです。

     

    膨大なエネルギーに満ち溢れ、それを何の縛りもなく刺繍という表現にぶつけてくるmidoriさんの作品を見ていると、もっと素直に作品を見なければという気持ちに気づかされます。

     

     

    紙挟み

     

    お次は紙挟みです。

    懐紙を挟むだけの単純な型です。

    こういうものはあっさりとした刺繍がよく似合います。

     

    こちらは「留め具」の位置に苦労した作品です。

    (一応、下図用の雛形には留め具の位置は書いてあるんですけどねぇ)

     

    現代では、側面を千鳥掛けにしている紙入れが一般的ですが、私はあの千鳥掛けの紙入れは懐紙を出し入れするときに縢りにひっかかりそうで使いにくそうな気がしてイマイチ作る気になれないのです。

     

    こちらはただ挟むだけなので使いやすいこと、また留め具を使っているのもデザイン的にもそそられてしまいます。

     

    留め具は「両笹」を使っています。

    現代でも笹爪の「片笹」タイプは安価なプラスチックのものが製造されていますが、この両笹を使いたいとなると象牙屋さんに行くしかありません。

     

    象牙は小さな爪一個でさえ2,000円程度しますが、これとは別にボン(牛骨)もあります(多少お安いぐらい)。

    だから現代ではこの型があまり作られないのかもしれません。

     

    象牙というと初めはお高くて手が出ないと思われるかもしれませんが、それは適当な生地に合わせようとするから高いと感じてしまうのです。

    それなりに手をかけて刺繍したものや貴重な裂を使うと、そのぐらいの値段はかけても高いと思えないもの。

     

    昔の人はこういうものを大事に使いました。

    簡単に捨てられるようなものは作りませんでしたし、だからこそ簡単には捨てられない。

     

    消費時代に生きる我々は何でも安価に安易にモノが手に入ります。

    安く適当なモノが氾濫しているので、簡単に捨てることができる。

     

    このような小さな部品一つに、モノ作りの価値を見直してみるのもいい機会になるのではないでしょうか。

     

     

     

    雅型小物入れ(楕円型)

     

    「雅型小物入」という名称は、本来もう一つ違う型につけたいのですが、その型が出るのはまだ先のことなので、とりあえず「楕円型」として区別しておきます。

     

    これはどちらかというと仕覆の世界で作られるものなのかもしれません。

    私が入手した婚礼道具一式の中にこの型があったので、ちょっと興味本位で作ってみました。

     

    私が作る小物入れには、もう一つ「式部型」というのもあります。

    この式部型は定家文庫をそのまま小さくしたものです。

     

    もう一つの雅型(箱型)はKUIPOの資料館にある定家文庫の小型版です。

    定家文庫の雅型は一回作ったことはあるのですが、その小物入れもまたいつか作ってみたい型です。

     

    雅型は見た目にかわいいのですが、完全に開かないので(上に長く開く程度)入れるモノが限られます。

    その点、式部型は上下左右に開くので、最近は小物入れを作るとなるとほぼ式部型しか作らなくなりました。

     

    その式部型小物入れは、今年の講習会で企画されています。

    式部型の画像もそのうち公開したいと思います。

     

     

    携帯裁縫用具入れ

     

    揃い物で数があったため、中を開いて撮影したものがこれぐらいしかなく残念。

    こちらのかわいい生地は、小物入れと一緒に使われています。


    なぜ梅の背面に亀なのか謎が深まる図案ですが、この亀さん実は定家文庫にもいます。

    ここでなぜ亀?と思ってしまいますが、そこはmidoriクオリティーでめでたいモノを入れまくりたかったのでしょう(笑)。

     

     

     

    お針子会刺繍教室作品展

     

    さて、今年は11月にお針子会刺繍教室の作品展が行われます。

    筥迫工房の11月の講習会が終わった後ぐらいになるのではないかと思われますが、日程が確定したらブログでお知らせいたします。

     

    最近は私も仕立てに忙しくて自分の作品をなかなか作れない。

    月2だったお教室も今は月1でしか行けていないので、去年はなんと小さな「櫛入れ」に1年かけてしまった、、、(苦)。

    細かい細かい刺繍です。

     

    できればあと3点ぐらいは作って出品したいと思っています。

    一応考えているのは、あしらい刺繍の式部型小物入れと、江戸型2点。

     

    あるところから江戸時代の古い筥迫をお借りしているのですが、これがまたかなりのジャンク品なのですが、もし完品なら美術館ものというすばらしい高肉の刺繍がされています。

     

    これをどうにか現代に復元したいというのが私の夢。

    できるかどうかはわかりませんが、作品展に向けて着手したいと思っています。

     

    ちなみに、まぐろなmidoriさんが現在何に刺繍しているかと言いますと、なんと「風呂敷」(爆笑)。

     

    それもワンポイント刺繍とかではなく、かなりこってりと若冲の虎を図案にしているとかで、「これど〜やって展示するのよ、、、」と先生が頭を抱えています。

     

    風呂敷なんて額にもできないし、普通に結んで展示したらせっかくの虎が見えないですからねぇ(私はまだ見ていない)。

     

    「Rom筥さん、何かいい案はない?」(矢部先生)

    風呂敷を嚢物に変える一ついい案があるのですが、それをmidoriさんが受け入れるかどうかが問題(一応風呂敷には見える)。

     

    日本刺繍をしているにも関わらず、着物文化にほとんど興味を示さないのがmidoriさんの面白いところですが、だからこそのその飛び抜けた発想があるのだと思います。

     

    刺繍教室一同、2017年もmidoriさんの動向から目を離せそうもありません(笑)。

     

     

     


    ▼筥迫工房のお店


    ▼筥迫掲示板
    筥迫工房の教本や自慢の細工物を、皆さん自身で披露できる掲示板です。写真のアップロードが簡単になりました(一回の投稿で6枚掲載可)。丹誠込めて作った筥迫を大勢の人に見てもらいしましょう!

    ▼携帯からも筥迫掲示板2に投稿をアップロードできます。
    こちらのQRコードからアクセスしてください。


    筥迫工房へのお問い合わせ
    ※時々ショップからのご注文確定メールが届かないことがあります。
     そのような場合も、こちらからご連絡ください。


    もしよかったら、こちらもクリックなんぞしてくれるとうれしいです。
    にほんブログ村 ハンドメイドブログ 和装小物へ
    にほんブログ村

    【2017.01.02 Monday 14:12】 author : Rom筥
    | 定家文庫・揃い道具 | comments(3) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    素晴らしいおめでたいセット、本物が見たーい。
    そして私も作りたい。
    そういえば、この前の講習会で見せていただいた江戸型筥迫に
    憧れが強くなっています。
    あれは講習会のリストにはあがらないのでしょうか?
    | 郁駒屋 | 2017/01/08 10:41 AM |
    定家文庫や江戸型筥迫は、それなりのこってりとした装飾あってのものなので、その装飾裂を扱うことの難しさが他の型と他の型とは
    圧倒的に違うところです。

    作ろうと思えばそれなりの型に作れるものとは思いますが、適当に作ったものが世の中に出回ってしまうと、あの圧倒的な存在感は薄れてしまいます。

    だから適当に作って欲しくない。
    ということで、お楽しみで参加するような講習会の教材にはふさわしくない、というのが私の考え方です。

    手を出したくても簡単には手を出せないというようなこれらの存在感は、時代が変わっても大切にしていきたいと思っています。

    仕立てに関しては「糊」の扱いができるようになった人に教えたい。
    つまり糊を自在に使いこなすということは、教えられてわかるものではなく、相当の数をこなさないとわからないものだと私は思っています。

    そのうちそれができるようになる人も出てくるでしょうから、
    そのときはこちらからスカウトしに行きます。

    でも「式部型小物入」は定家文庫のほぼ縮小版なので
    (桐箱を使わない簡略系です)、こちらに参加すると
    大体の雰囲気はわかると思いますよ。

    | Rom筥 | 2017/01/10 1:55 PM |
    ものすごく、納得しました。
    あの、特別感が特別では無くなったら、それは嫌ですもの。
    スカウトしていただけるように頑張ります。
    | 郁駒屋 | 2017/01/10 2:04 PM |
    コメントする









    この記事のトラックバックURL
    http://rombako.hakoseko.mods.jp/trackback/982044
    トラックバック