『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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携帯道具入れ
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    先日、秋乃ローザさんから「謎のケース」についてお問い合わせをいただきました。

     

    なにこれ??

    可愛くて小さい小物で、サイズ的にちょっと和装の花嫁さんの小物アクセサリーの筥迫に似ていますけど、、、(秋乃さん)

    ※画像は秋乃さんに許可を得て掲載させていただいております。

     

     

    最近このケースを手に入れて、筥迫かと思ったものの違うようでもあり、何だろうと調べているうちにこのブログにたどり着いたそうです。

     

    実は私もこのケースを持っています。

    そうですね、確かに筥迫ぐらいの大きさ(12.5x8cm)ですが、厚みが3.5cmあります。

     

    私の場合はこれを使うとかコレクションするとかが目的ではなく、あくまで筥迫の資料として入手しました。

     

    何が筥迫に関連するのかと言いますと、その昔、江戸型筥迫には、七つ道具が納められていたという記述があり、これがその七つ道具に近いと思ったからです。

     

    御台所以下襠(かいどり)を着くるものは いづれもハコセコを懐中す(中略) 之を被く(ひらく)に矢張(やはり)紙入と同じく一半は形箱(箱の口は内方に向かう)の如くに作り 一半は黄金色又は紫などの繻子裏を附け 其上へ縮緬物等にて花形などの挿込みを数所に縫い付け 之に七道具というを挿す 七道具といふを挿す七道具は錐(きり)、簪(かんざし)、鋏(はさみ)、小刀、楊枝(ようじ)、尺(さし)、型付なり 又箱の中には紅、紅筆、懐中鏡、薬入などを蔵す

    (千代田城大奥)

     

    私は仕事柄、江戸期の筥迫を見る機会が多いのですが、それでもこの差し込み式の筥迫は見たことがありません。

    ほとんどが「一つ口」の単純な型ばかりです。

     

    しかしこれは「千代田城大奥」の中の様子をおさめた書なので、もしかしたら挿し込み式の筥迫は一般的ではなく、お目見え以上の姫君やお女中が作らせたものに限定していたとも考えられます。

    大名家なんぞの持ち物に負けたくない!格の違いを見せつけてやるわ!という気持ちはあったとも思いますし。

     

    自分なりに必要な物=七つ道具であったと思いますので(七に限ってはいないと思う)、これもあれも必要〜、でもぐちゃぐちゃになりそうだからうまく収められるように作って〜♡というノリで発注したかもしれません。

     

     

     

    それでは私のお道具入れを見て見ましょう。

    同じようでいて中身が違うのが興味深い。

    私がこれを入手したとき、(下から)「小刀」「錐(きり)」その下に「鏡(裏返っている)」「鋸(のこぎり?)」「毛抜」「櫛」「薬入れ」「楊枝(ようじ?)」と思っていました。

     

    小袋は7x2.5cm厚1cmほどの被せの付いた袋の中に、指先ほどの極小の蓋つき小箱が二つ。

    たぶんこれは現代のピルケース「薬入れ」でしょう。

     

    足りないものは「白粉入れ」か?(にしては刷毛がない)

     

    これを検証すべく、お馴染みSAKURAのyayaさんにお伺い。

     

    「鋸(のこぎり?)」と思ったものは「剃刀(かみそり)」でした(たしかにギザギザはない)。

    ついステイショナリーとして使うものかと(笑)。

     

    yayaさんのお母様が「竹を巻いたうぶげ屋の剃刀」をお持ちだったとのことで、かなり最近まで使われていた形なのだそうです。

     

    扇型の物は、先が微妙に尖っていたので「楊枝?」と思ったのですが、「裏がヤスリのようにも思いますが」(yayaさん)と言われ裏を返すと、たしかにヤスリのようになっていました。

    秋乃さんからも「ネイルファイルでは?」と言われて、そんなハイカラなものなかったと思います〜と言ったのですが、あったんですね「爪ヤスリ」が。

     

    ちなみに「御殿女中(中公文庫)」によると、「お爪は辰の日に取りました。」とあります。

    「取る」って、、、???

     

    調べてみると、江戸時代の頃は爪を鋏では切らず、庶民は「ノミ」、もうちょっと上の人たちは「短刀」を使ったそうです。

    とすれば「小刀」はそのためのものかしらん。

     

     

    そして「錐(きり)」は一体何に使ったものなのでしょう?

     

    yayaさん曰く、錐は短い物を留めるものに使うとのこと。
    香道具に「鶯」と言うお道具があるそうで、先が尖っている物を鶯というのだそうです(yayaさんは香道の先生)。

     

    お香で使う鶯は、挿して香包みを留めるものなのだそうですが、これが錐なのではないかとのこと。

    和綴じの穴を開けたり、安全ピンのようにも使えたかもしれないとのことです。

     

    しかしながら、この錐挿しと差込の幅が合わないところを見ると、後から入れたものではないのかしらん。

    なんとなく生地の柄も全体にマッチしていないような気もするし。

    とはいえ、後から追加したと考えてみても、やはり錐は必需品だから加えたと考えられるでしょう。

     

     

     

    秋乃さんのお道具はハイソというかハイカラというか、私のお道具は時代もちょっと違うかもしれませんがかなり庶民的というか。

    もしかしたら梅・松・竹ぐらいのレベルに分けられていたとも考えられますね(笑)。

    ちなみに、秋乃さんのお道具は約100年前(大正時代)ぐらいのものだそうです。

     

    さて、最大の謎はフォークのような櫛のようなもの(私のは三本足、秋乃さんのは二本足)

    さすがのyayaさんも、秋乃さんの方は「フォークにしか見えない、、、」らしい(苦)。

     

     

     

    謎は深まるばかりなので、同じようなお道具を展示している伊勢半の紅ミュージアムへ行くことにしました。

     

    ありましたよ、同じようなものが。

    紅ミュージアム 化粧道具入れ

     

    そして鋸のような剃刀も実物が展示されていました。

     

    こちらの化粧道具入れには「粉白粉入れ」「刷毛」「紅入」があるので、秋乃さんの化粧道具入れに近い。

     

    紅ミュージアムに同行してもらったUさんと、その後合流したOさんと再度検証。

     

    私は秋乃さんのお道具にある「小瓶」を「香水入れ」と思っていたのですが、Oさん曰く、白粉を使うための水(?)ではないかとのこと。

     

    また、秋乃さんと紅ミュージアムのお道具は完全に「化粧道具入れ」なので、そこにフォークが入るのはあり得ない。

     

    私のお道具は化粧道具入れというよりは「グルーミングセット」に近いらしいけれど、そこにフォークが入るのも解せない。

     

     

    後日、紅ミュージアムからご連絡をいただきました(ありがとうございます!)。

     

    「他の化粧道具から推察するに、水白粉の瓶ではないか。

    水白粉を塗った後、粉白粉を刷毛で叩き込むようにして仕上げる、という化粧の過程がありますが、それに必要な道具が揃っているように見受けられます。」とのこと。

     

    これら3つのお道具入れに入っていたフォークのような、櫛のようなものは、やはり「櫛」だそうです。

    たぶん「後れ毛を直す程度の簡易な櫛ではないか」とのこと。

     

    そして、紅ミュージアムのお道具の二股のものは「毛抜」で、反対側に「耳かき」が付いています。

     

    私のお道具にあった小さなケース入れは、中に仕切りがある仕様から薬入れと考えて間違いないそうです。

    昔の人の作る物は、細かい仕事をしている私から見ても細かい、いや細かすぎる、、、。

     

     

    ところで、秋乃さんはブログでこれを「筥迫でした」と結論づけられていましたが、申し訳ありませんがこれは筥迫ではありません。

     

    江戸時代の七つ道具が入った筥迫は、現代の筥迫とこの七つ道具入れがドッキングしたような形だったというだけです。

     

    筥迫は、コスメ、グルーミング、ステイショナリーなどのものが詰まった、現代のシステム手帳ならぬ、システムバッグのような機能があったということです。

     

    これらのことから、秋乃さんのお道具に不可欠な物として「紅板」があったはず。

    刷毛の下の板は紅板じゃないのかな〜、でもこんな形の紅板があったんだろうか???

    (私は「紅板」だと思っていましたが、紅ミュージアムでは「板紅」と呼ばれていました)

     

     

    ということを頭に入れた上で、秋乃さんの元記事をどうぞ。

      ↓

    アンティーク謎のケース、、、これに詳しい人誰かいない?

     

     

     

    さて、もうすぐ雛祭りですが、昔の雛道具に「十三揃い」というセットがあります。

    この中に「お歯黒セット」というものがあり、現代人には全く馴染みのない不思議なお道具なのですが(古い雛道具の世界ではメジャー)、この実物が紅ミュージアムにありました。

    いつも小さいお道具ばかりみていたので、小さいお道具に目が馴染んでいたせいか、本物を見てつい「デカっ」と呟いてしまいました(笑)。

     

    板紅に付き物の「紅筆」も携帯用の「押し出し式」があって、一瞬「オーパーツか?」と思うほど現代のものにそっくりでした。

    江戸時代から日本はこんなものを作っていたのかと思うと驚きですね。

     

    紅ミュージアムにはいつか行ってみたいと思っておりましたが、漠然と見に行くのと、一つの物を意味を持って見にいくのでは面白さが全く違います。

     

    紅ミュージアムには今回の化粧道具入れとは別に、私のような人間にはよだれが出てしまいそうな別の袋物があり(定家文庫もありました)、Uさんと盛り上がってしまいました。

     

    こちらの実物が見たい方は、是非『紅ミュージアム』へ。

     

    素敵なポストカードも有。

     

     

     

    このお道具を手に入れたときも、持っているだけの資料として詳しく調べようという気にもならなかったので、こうした機会をいただいて秋乃さんには心より感謝申し上げます。

     

    また、紅ミュージアムの皆様、ご親切な解説をありがとうございました。

     

     

     

    最後に、

    携帯化粧道具入れは「ポーラ美術館」にもあります。

    婦人持ち旅行用化粧道具入れ(明治時代)

     

    こちらは裁縫道具も入っていますね。

    弘法さんと私(七つ道具)

    小針セットと合わせた物が普通のようで、糸巻きもあるはずです(yayaさん)

     

    化粧道具入れは、また別のおもしろい形のものもあるのですが、これはまた別の機会に〜(いつもこればっかり)。

    ホント昔の日本人の考える物って、奇妙で心惹かれる物が数多くあります。

     

     

    何だかむくむくと自分専用の道具入れ作ってみたくなりました。

     

     

     


     

    講習会申し込みわかりずらくすみません、、、

     

    前回、講習会の申し込み方法を変更したものの、「申し込み方法」画面から「申し込み中」画面に切り替えてしまうことで、申し込み方法の画面から行こうと思っていた人が行けないという事態になってしまいました。

    本当に申し訳ありません。

     

    今後は「申し込み方法」画面も、「申し込み中」画面も同時に出るような状態にします。

     

    ちなみに、次回の講習会「3/25三段口扇襠筥迫」の申し込みが2月20日の0:00〜はじまります。

     

    これによって「ハサミ入れ&指貫」の申し込み画面が出なくなりますが、実はあと1席残っています(実はこれは9名募集なのです)。

    参加ご希望の方がいらっしゃいましたら、お問い合わせからご連絡いただければと思います。

     

    よろしくお願い申し上げます。

     

     


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    【2017.02.18 Saturday 14:33】 author : Rom筥
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