『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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『懐中袋物』を考える(1)
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    筥迫はハレの日の装飾、主役を限定するシンボルなど、現代では特別な用途に定着し、普段使いの実用からかけ離れた存在になっています。

     

    しかし、私が筥迫作りを始めた頃から「筥迫を実用したいんです!」という人たちが多くいたので、昔の筥迫を参考に復元しながら、実用的な筥迫や紙入れを作ってきました。

    その中でも依然として「筥迫をスマホケースに!」という要望は多い。

     

    カルトナージュの人たちが形を真似て作っているので、それで作ればいいじゃないのと思っているのですが、あくまで貼り込みで、限りなく本物に近い筥迫をスマホケースにしたいのだとおっしゃいます。

     

    しかしながら、筥迫にスマホを入れることは用途が違うとしか思えない。

     

    これまでその明確な答えが出せなかったのですが、私は最近、懐中袋物のあり方にその答えがあるのではないかと考えています。

     

     

    昔の物を現代に当てはめる

     

    以前Aちゃんが筥迫型のポシェットを作って、皆で大ウケしたことを思い出しました。

    いや、いいんですよ、自分の用途に合わせて作りたいと思うことに、私は否定もしなければ問題にもしない。

     

    それでも、念珠入れに紐を通してポシェット使いできないか?という「お問い合わせ」で聞かれれば、「何を入れるか」「外に使うか」によって、選ぶ布も芯材も変わってくるので、それがわからずに元の作り方で作るのはどうかと考えます。

     

    筥迫の形でバッグとして使えるようにできないか?というお問い合わせをいただいたこともあります。

     

    江戸型の筥迫ぐらいなら、持ち手を付ければパーティーバックとして使うことはできるのでは?と答えたのですが、その方はあくまで一般的なバックの大きさがご希望とのこと(A4が入るぐらいってこと???)。

    それを持っている人を想像して電話口で大爆笑してしまいました。

     

    人はそれがなぜ作られたのか、どんな背景で使われていたのかを考えずに、現代で使う身近な物に安易に当てはめて考えがちだということです。

     

     

    「外入れ」が必要な袋物

     

    江戸時代まで、日本人は袋物を手に持って下げる、という文化がほとんどありませんでした。

    着物はたくさんのポケットがあるので、必要もなければ発想もなかったのでしょう。

     

    色々な身分の人が袋物を身につけていたと思いますが、特に金持ちの商人などにより、煙草入等の提げ物や懐中物は絢爛豪華な発展を見せます。

    自分の財力を見せつけるための大事な装身具でした。

     

     

    先日、この時代の紙入れ(相当出来のいいもの)を見せられ、これと同じものができないかと相談を受けました。

     

    完全に同じとはいかなくても、似たものは作れると思いますよ、「外車を買うぐらいの資金があれば」と答えるとびっくりしていました。

     

    いくら現代でブランドバッグが高いとは言っても、所詮は既製品です。

    この時代は全ての部品において、オーナーの趣向に合わせて一つずつ誂えで作るのですから、現代でいえば車を買えるぐらいのお金はかけていたはずです。

    なにせ、金唐革の煙草入れで家一軒分と言われていましたから。

     

    革もあったとはいえ、やはり布製品が主でした。

    布の宿命は雑に扱えばすぐに擦り切れるということ。

    実用品とはいえ、高額な物の扱いは相当慎重だったでしょう。

     

    ですから、紙入れを保護する「外入れ」というものもありました。

    それこそスマホケースのようなものです。

    燕口も外入れです。

     

    また浮世絵の中に、紙入れそのものに懐紙を巻きつけて、帯に差し込んでいる女性の絵があります。

     

    紙入れであるにも関わらず、紙入れを汚さないために懐紙を巻いていたのです(これじゃ紙巻だ)。

     

    現代人からすれば本末転倒にも思えますが、これが高価な物を実用するということなのです。

     

     

    フランス刺繍にサテンステッチというものがありますが、糸を長く渡すと引っ掛ける可能性があるため、日本刺繍では長く糸を渡すときは、見えないように数カ所止めをしたり押さえをしたりします(だから恐ろしく手間がかかる)。

     

    しかし江戸時代の筥迫を見ると、3cmぐらいの長さでも押さえをしていません(汗)。

    上から模様としての糸がわずかに押さえている程度。

    これで胸から出し入れして、刺繍を引っ掛けないとは、、、。

     

    筥迫を持つことができる高位の女性は、頻繁に使うものはお供の者が用意しますし、急いで実用のものを使う環境にはない。

     

    筥迫は実用品が入っていたとはいえ、圧倒的に装身具としての意味合いが強かったので、見せびらかしのためにあえて中の物を使ったり、時々開けて喜ぶようなおままごと的な扱いであったろうと私は考えています。

     

    つまり、それなりの人がそれなりに使ってこそ、押さえのない刺繍の筥迫が扱えたのです。

     

    持つべき人が持つ。

     

    現代人が思う実用とは感覚が違うのです。

     

     

    (次回(2)へ続く)



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    【2017.02.04 Saturday 18:39】 author : Rom筥
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