『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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『懐中袋物』を考える(2)
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    『懐中袋物』を考える(1)

     

    「箱」か「筥」か

     

    皆さんはカバンを床に置くことを是としますか?非としますか?

     

    その昔、私がトートバッグを床に置くのを見て、友人からたしなめられたことがあります。

    あなたがバッグを机の上に置くほうがずっと汚いでしょ!と言い合いになりました(笑)。

     

    バッグの扱い方は人それぞれ価値観の分かれるところです(結局椅子の上が一番平和ということだ)。

     

    これは物を保護するための「箱」と、箱そのものに価値のある「筥」に通じるものがあります。

     

     

    懐中物は、懐中で保護されながら大切に扱われるものです。

    傷つけたくない、汚されたくない、盗まれたくない、忘れたくないという思いが、自然と懐中へと導かれます。

     

    NHKの連続テレビ小説「ごちそうさん」で、め以子が戦争に行った悠太郎の手紙を常に懐中し、和枝は無くなった子供の着物で作ったお守袋を懐中していたのを思い出します。

     

    着物は懐中に物を入れやすく、大事な物もまた懐中に入れようとします。

    着物の独特の文化ですね。

     

    びっしりと刺繍があしらわれた紙入れなどは、バッグの中に入れてしまうと他の物とぶつかり、こすられて痛んでしまいそうですが、懐中ではしっかりと固定されているのでそんな心配はありません。

    人によってはそれを更に「外入れ」に入れるのですから、どんなに大事に扱われていたんでしょうね。

     

    維新以降も、バッグがまだ嚢物と言われていた時代は、大事にネルに包んで保管されるような物だったと聞きます。

    現代では、私のような無作法者がバッグを平気で床に置く(苦)。

     

     

     

    実用と装飾を分ける意味

     

    スマホは現代の人の生き方を象徴するようなものです。

    いつでもどんなところにいても人とつながることができる。

    呼び出されたら即応じるのが当たり前。

    頻度がある分、耐久性が必要とされます。

     

    そのスマホを筥迫に入れたら、主役はスマホであり、筥迫はただの外入れです。

    スマホに合わせて、慌ただしく出し入れされる筥迫。

    外入れにした時点で筥迫は「箱」となり、その素敵さ、特別感は確実に薄れてしまいます。

     

     

    生活の中に実用性は欠かせないものです。

    時代によって柔軟に変化するものでもあるので、その形が名残を残す程度になってしまうこともありがちです。

    だからこそ、装飾のみで存在を残す物には「文化を保つ」という違った意味があるのだと私は思います。

     

    年月が経ち、たとえボロになろうとも、「これは捨てるものではない」と人に言わしめるもの。

    筥迫は何を言わなくても人に訴えかける特別感があります。

     

    紙入れが姿を消したにも関わず筥迫が現代まで生き延びられた理由は、あえて実用を求めず(時代に合わせて形を変え)ない装身具に割り切った結果なのです。

    意味がなくなったことで人々の記憶に深く残る装身具となったのです。

     

    そういった意味では、「仕覆」の世界こそ袋物の価値を現代でも保ちながら、茶道の所作があってこそ実用として使われるという、大変理想的な文化の残し方ではないかと思います。

     

     

     

    弱くはかないものを懐中するということ


    私が教える「裂仕立て」の「貼り込み」は、美しく造形をするように袋物を作り上げていきます。

     

    ただし、

     

    ミシンで縫ったものより「弱い」です。

    縫ったものとは違って「洗えない」です。

     

    革製品や合皮、ビニール素材に慣れている現代人が、繊細な絹の布や古い縮緬を同じような感覚で使えば、簡単に布は擦れてしまいます。

    現代の袋物と違って、昔の袋物は弱くはかないのです。

     

    お気に入りのものができたら、自分の気持ちを明るく変えたい日などに限って使う。

    どうしても毎日使いたいのであれば、ほぼ一年で作り変えなければならない、ということを覚悟の上で実用するべきなのです。

     

    裂仕立ての袋物においては、自分がどのように使うかを考えた上で布を選ぶことも大切で、古い縮緬で実用の物を作ることは大変リスクのあることだと認識して扱う必要があります。

     

    バッグの中に入れれば、他の物と擦れあいシェイクされてしまうので、劣化を避けたいなら是非懐中に(それでも頻繁に出し入れすればすぐに劣化する)。

     

    現代人からすれば、すぐに劣化してしまうものに手間をかけて作ることは「使えない」と扱われ、裂仕立ての貼り込みは廃れてしまったのでしょう。

     

    安易に作った物は安く売られ、雑に扱われる。

    だからこそ、劣化しにく革が重宝され、ビニール素材に進化し、物が頑丈に作られるようになってきました。

     

     

    それでは、壊れやすいからこそ物を大切に扱う、という価値感はなくなってしまうのでしょうか。

     

    惜しみなく手間をかけて作られたものは大切に使われ、ハレの日に使われる。

    作ったものからそのような思いが感じられるためにも、「裂仕立て」の「貼り込み」は手間を省いて安易に作ってはいけないのです。

     

     

    大切に胸の中に納めるという意味において、洋服にはない着物独特の「懐中」するという行為。

     

    昔の人は着物を着てこんな価値観で生活をしていたんだなと感じられるところに、現代で懐中物を身につける意味があるような気がします。

     

     


     

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    講習会の申し込み方法が変わります

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    3月5日開催の「糸切ハサミ入と指貫 」の申し込み開始が

    2月14日0:00〜始まりますが、今回から講習会の申し込み方法が変わります。

    詳しくは「講習会申し込み方法 」をご参照ください。

     

     

    今年から講習会の道具類は全てご持参いただくことになりますが、意外や「フエキ糊」の入手に苦労されている方が多いようです。

     

    うちの近所では簡単に手に入るものなのですが、地域によってはヤマト糊しか販売されていなかったり、一般サイズの100gチューブがなくてやたらと大きなチューブを持ってきたり、かさばるボトルタイプを持ってきたり。

    皆さんが苦労されている理由は、アマゾンで買うとこんな安いものに送料が500〜600円もかかってしまうからなんですね(汗)。

     

    ということで、ショップで扱うことにいたしました。

    ただし、仕入れてまで扱いたくないので、私もまた近所の小売店で買ったものを販売しているという意味で割高です。

    近くで買える方はどうぞ適正価格で。

     

    ドットライナーアクリル紐はさすがにどこでも売っているだろうと思いましたが、こちらはセットを販売するのに仕入れていることもあり、こちらも現在ショップで扱っております。

     

    ↓ 必要な方はこちらからどうぞ。

    筥迫材料販売:副資材

     

     




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    【2017.02.12 Sunday 13:26】 author : Rom筥
    | その他の袋物 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    Rom筥さん!こんばんは!
    Amebaの公式ブログはコメント返事できないようになっていますのでこちらでコメント失礼いたします。
    板紅に関してですが、、、
    刷毛の下に確かに板があります、、、でも板紅とはなんですか?
    (この辺は本当に初心者なのでよくわからないです、、、)
    調べたところ小さい箱のようですが、一番したにある小さい箱は違いますよね?とても興味深いです!私も紅ミュージアム行ってみます!\(^o^)/
    | 秋乃ろーざ | 2017/02/12 11:26 PM |
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