『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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筥迫の仕立て
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    今年は作品展や他所の作品展の仕立て依頼が多く、講習会関連の仕事がないときは仕立て三昧の毎日です。

     

    ただしネットショップの対応で中断されることが常なので、ショップの注文も雑用もない仕立てだけに集中できる時は嬉々としてモードに入ってしまうため、ブログの更新は後回し、そんな状況と思ってください。

     

    お客様のものをお預かりしている仕立て仕事はブログに出てこないだけで、その比重は年々大きくなって来ています。

    筥迫!筥迫!と年中ネットに書き込んでいるからとは思いますが。

     

    ということで、たまには仕立てのことについて書いてみよう思います。

     

     

    積極的にできる仕事じゃない

     

    現代で筥迫の仕立てを専業にする職人さんはいなくなったと言われていますが、それでも筥迫を作る業者さんがいないわけではありません。

     

    ただし、同じ素材を使っていくつも作る既製品であれば筥迫作りは難しいものではありませんが、お客さんが持ち込んだ素材で何でも作りますというオーダーの仕事は、全く性質の異なるものです。

     

    私がやっていることは後者で、お客さんは様々な条件の素材(図案を含め)を持っていくるので同じ条件というものがない。

     

    なぜもっと積極的に仕立ての宣伝をしないのか、と言われることがあります。

     

    昔ながらの仕事であれば、「こういうものが来たときはこうする」なんてことを師匠に教わりながら、その上で技術を積み重ねていけるのでしょうが、教えてくれる人のいない世界では全てがぶっつけ本番。

    必ずうまく仕上がる保証がない、というとても怖い仕事です。

     

    会ったこともないネットの向こうの不特定多数に向かって、積極的に「筥迫の仕立てやってます!」なんて言えるわけがない。

     

    お客さんの方から「やってください」と言ってくれば、対等にこちらの意見も聞いてもらえるので、それならばやりましょうぐらいの気持ちでやっています。

     

     

     

    始めて筥迫を作る人には、工程ごとに区切って毎日少しずつ作業するように勧めていますが、実際に仕事となると休みを入れずに一気に仕上げるのが理想的。

     

    「糊」を扱う作業なので、美しく仕上げるには「手早さ」が重要だからです。

    他の人から見ればあっという間の作業に見えるかもしれません。

     

    でもね、仕立ての仕事というのは貼り込み作業だけじゃないのです。

    その他の作業にこそ膨大な時間がかかるのです。

     

    それらの作業も含めて全て「仕立ての仕事」。

    それを考えると、仕立ての料金というのは割に合わないと正直思います。

     

    これが積極的に仕立ての仕事をしようとは思わないもう一つの理由です。

     

     

     

    仕立ての仕事は貼り込みにかかる時間だけじゃない

     

    「筥迫を探していたらこちらのブログに辿り着きました。同じような筥迫を探したのですがどこにも売っていないので、こちらで筥迫を作ってもらうことはできませんか?」

     

    結婚式を間近に控えた花嫁さんから、よくこんなお問い合わせをいただきます。

    詳細をお伝えするのですが未だ注文に至ったことはありません。

     

    行き当たりばったりで簡単に欲しいと言えるようなものではないということがわかるからでしょう。

     

     

    筥迫工房の仕立ては基本的に素材はお客様からの持ち込みです。

     

    すでに筥迫にしたい布があって、それで仕立てるというのが依頼人、仕立て人にとって一番簡単な方法です。

    しかしながら、仕立て代その他を含めると2万ぐらいかかってしまうので、よほど思い入れのある生地でないかぎり注文には至りません。

     

    漠然と「こんな色でこんなデザインの筥迫が欲しい」と言われるのが一番大変です。

     

    日本刺繍でデザインから作れればよいのですが、相当な金額になるので、始めから「日本刺繍で」と言われない限り成立することはありません。

     

    結局はご自分のほしい柄の生地を探してもらうことになるのですが、筥迫にふさわしい柄、生地、ほしい色の組み合わせなどというところから説明しなければならないので、それはもう気が遠くなるほどのやり取りになります。

     

    20cm以上はあろうかという大きな花が描かれた布を持ってきて、筥迫を作って欲しいと言われたこともあります。

    被せには花びらの断片しか出ない、それも胴締めで寸断される、もう元の柄が何なのか想像もつかないでしょう。

     

    そんな説明をしているうちにフェードアウトしていく人も多いのですが、筥迫に思い入れのある方は延々と打ち合わせを続けていくので、そこまで作りたいならこちらもとにかくいい作品を作ろうという気になる。

     

    もちろんそれは納期に制限のない人が条件なので、納品まで一年ぐらいかかることはザラです。

     

     

     

    刺繍裂の難しさ

     

    結局、筥迫の仕立てを依頼される方のほとんどは日本刺繍をされている方ということになります。

     

    装飾裂が自分で作れるということは、丁度良い位置に、好きな大きさに柄を配置できますし、柄合わせも思いのまま。

    装飾裂を用意できるのであれば、あとは仕立て代だけなのでハードルは低い。

     

    日本刺繍をされる方というのは、基本的に着物や帯を仕立てる金額までセットで考えられているので、こちらも仕立て代が高い!などと言わないだろうという安心感がある。

     

    自分が苦労して作った作品なのだから、お金がかかってもより良い材質の物を使ってきちんと仕立ててほしい、と言うのはとても自然な考え方だと思います。

     

    「巾着いらないのでその分安くなりませんか〜」なんて値切られることほど職人さんの気力を削ぐ物はない(せいぜい話のネタには使わせてもらうよ)。

     

     

     

    とはいえ、最近筥迫の刺繍の難しさを痛感することが多々あります。

     

    筥迫の刺繍で一番難しいのは「図案」と「絵付け」です。

     

    図案なら、ここで絵を切ってくれないと困る、ここで切ったらもったいない、ここにかかると意味がない等々。

     

    絵付けなら、図案はここまで、配置はこの向き、感覚はこのぐらい、糸針はどこにする等々。

     

    これを適当にやられると仕立てられこともあり、最悪刺繍を切りつけして貼り付けする、なんて荒技をやることになります。

     

    特に初めての方の場合、こちらが仕立てやすい仕上がりに返ってくる率は半分以下。

     

     

    筥迫の刺繍を作るための雛形や絵付けの方法をわかりやすい資料にして作ってはいるのですが、本当はそこに書ききれないほどの免責事項がたくさんあります。

     

    そもそも、装飾を施した布(表面が凸凹)を仕立てるのは、そうでない裂に比べると断然難しい。

     

    仕立てやすい刺繍裂=きれいに仕立てられる、ということなので、つまり刺繍がより際立つということです。

     

    刺繍人と仕立て人ががっちりスクラム組んでこそ、素晴らしい作品を作り上げることができるのです。

     

     

    そんなことを考えているうちに、「刺繍をする人のための筥迫講座」なんてやってみたらどうだろうという考えが頭に浮かました。

     

    自分で筥迫を作れなくても、自分が作った装飾裂で筥迫(or他の嚢物)を作りたい人は多いはず。

     

    是非やってほしい、こんな内容を扱ってほしいというご意見ありましたら、来年あたり考えてみようかと思います。

     

     

     



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    【2017.07.25 Tuesday 15:25】 author : Rom筥
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