『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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刺繍は目が見えてこそ
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    我が家では急用でない限り、私が仕立てをしているときは近寄らない(声もかけない)のが決まり。

     

    狭いマンション住まいにも関わらず、ネットショップや筥迫の材料があらゆるところに積み上がっているので、作業をしているすぐ後ろで触れ合うギリギリを家族が通る。

     

    そこで、日本刺繍がどんなに時間をかけ手をかけて作られているか、そんな貴重な裂に糊を使って仕立てる貼り込みは、ちょっとした気の緩みや、通りすがりに軽くぶつかっただけでも裂を汚すことがあることを説明し、仕事をしているときはできるだけ近寄らないでほしいと常日頃から家族には注意しています。

     

    しかし娘が小さかった頃は、そんなことをすぐに忘れてお菓子やアイスを食べながら気軽に近寄って来るんですね。

     

    そこで人が入ってくる気配を感じると「近寄るな!」と一喝。

     

    特に最近は、捻挫した利き手がある程度自由に動くようになったので、それまでの遅れを取り戻すため毎日殺気立って仕事をしていることもあり、恐ろしがって誰も近寄ってこない。

     

    そして食事は、まとめて作れるおかずと大量のおにぎり(自由に食べて状態)。

     

    好きなだけ集中できる環境のおかげで、何て効率的に仕事が進むこと!

    絶望的に感じていたスケジュールが、当初の完成予定に近づいて来ました。

     

    先日、何とも美しく仕上がった作品に気を良くして、つい娘に向かって「どう?(きれいでしょ)」と刺繍裂の作品を差し出したところ、「ぎゃ〜!そんなもの近付けないで〜」と逃げられました。

     

    娘にとっての日本刺繍とは、きれいな物というより汚してはならない物=恐ろしいもの、というイメージが染み込んでしまったようです(汗)。

     

     

     

    刺繍と拡大鏡

     

     

    少し前まで手に力がかかる作業が満足にできなかったため、仕立てはそれぞれの貼り付け作業までを準備するのみ。

     

    突如空いてしまった時間は、ギリギリで仕上げるはずだった作品展に出品するための自分の刺繍をせざるを得ませんでした。

    (刺繍やPCのテキスト打ちは、負傷部分を固定さえしておけばできる)

     

    とにかく成るようにしか成らないと覚悟を決め、その時期は割り切って刺繍に専念することに。

     

     

    以前ブログで書いたように、古い布を使っても布目が緩まないようにする作業はできたのですが、それでもまだ目が揃わない、、、。

     

    以前、老眼鏡を作ろうと思って眼科に行ったところ、近視の矯正を勧められて結局何の役にも立たなかったし、単純に刺繍の技術がないことが問題なのか、、、 沈

     

    しかし今回の図案は超細かいので、目が揃わないと話にならない。

    これじゃ作品として出す意味がない、、、と悲観に暮れる日々。

     

     

    そんな時、講習会に参加された方から「家で使っている拡大鏡を持って来たい!」と言われました。

     

    その方はとても緻密な日本刺繍をされるので、それに比べれば貼り込みはそこまで細かくないのでは?と言うと、ご自宅では老眼鏡+大きな拡大鏡(固定式)で作業しているので不自由はないが、教室には老眼鏡しか持ってこれないから見えないとのことでした。

     

    自分の中では「老眼鏡を使っても調整がきかなくなったら拡大鏡を使う」という認識があったのですが、「老眼鏡と拡大鏡は違うから!」と刺繍教室の皆さんに言われました(無知でごめんなさい)。
     

    そこで早速、帰り際に眼鏡屋さんに立ち寄り「ハズキルーペ」を購入。

     

    店員さん曰く

    「最近ホントよくこれが出るんですよ。自分なんて毎日3〜4本売ってますから」

     

    家に帰って使ってみたところ、刺繍の目が揃うこと、、、。

     

    今まで、刺繍の上手い人は違う世界に住んでいるんだと諦めの気持ちが強かったのですが、違う世界というのは「目の見える世界」のことだったようです(笑)。

     

     

     

    なんと細かい世界

     

    日本刺繍の教室で使っている「釜糸」は、繭から取り出した細い糸(1スガ)を12スガ合わせたものを1本として、小さな紙管に巻かれています。

     

    釜糸をそのまま使って美しいサテンのような光沢を表現する「平糸」にしたり、何本か組み合わせて「撚糸」にしたり、その中に金糸を絡ませたりもします。

    また金糸の種類もかなり多いので、これらを使った緻密な表現ができるのが日本刺繍の良さです。

     

    袋物の刺繍は面積が狭いので、どうしても細い糸を使うことが多くなるのですが、細かい図案になると平糸の1本使いはどうしても太く感じてしまいます。

     

    そこで先生に「ここは10スガで」とか「8スガで」とか指示されるのですが、これまでは、こんな細い釜糸を1本1本数えられるわけないじゃない!と内心思っていました。

    カミングアウトすると、今まで適当に1本から2スガ?、4スガ?ぐらいの感覚で減らしていました(先生ごめんなさい)。

     

    しか〜し!今ではこのハズキルーペにより、ちゃんと1スガが見えるようになり、完全に12スガが数えられるようになりました!

    スガが数えられるようになって、雀の毛並みを表現するのに8スガと6スガの違いがよくわかること!

     

    何年も日本刺繍を習っていてこんなレベルなので、作品展のときはどうか生暖かい目で作品を見ていただけるとありがたいです(汗)。

     

     

    講習会ではあんなにうるさく「1ptの線の真ん中を割るようにカットする!」なんて言っている私が、こんなレベルでいいのかと冷や汗が出る思いですが、和裁の先生は「筥迫なんてあんな細かいもの、私はやろうとは思わないわ」とか言っているし、正確で超絶美しい刺繍をするNさんは「当て布のぐし縫いでさえできない!」とか言っているし、人により細かさの基準は違うもの。

     

    基準というのもちょっとしたハードルのようなもので、実は思い込みというハードルが一番高いだけだったりすることも多々あるもので。

     

    私にとっての刺繍のハードルは、どうやらこの「見えない」というところにあったようで、何だかこれからは刺繍が楽しく感じられそう!というワクワク感で、新たな刺繍の第一歩を踏み出したような気がします(今まで楽しくなかったんかい)。

     

     



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    【2017.10.29 Sunday 15:24】 author : Rom筥
    | 筥迫あれこれ | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
    この記事に関するコメント
    ご無沙汰しております。
    筥迫にもすっかりご無沙汰・・・
    その理由のひとつには「目」があります。
    ハズキルーペ、気になってるんですよね。
    そんなに良いですか?
    安い買い物じゃないので、買ってから「しまった!」と言いたくなくて
    時々Amazonで検索してチェックするものの
    ポチッとするまでいきません。
    みなさん良いとのご意見多しなので勇気出してポチっとしてみようかしら・・・・。
    | 風来坊 | 2017/10/31 2:46 PM |
    風来坊さん、ご無沙汰しております。

    ハズキルーペは確かに高いので、私も今までその存在は知っていましたが、気軽に買おうという気にならなかったです。

    ただ、細かい物が見えずらいのであれば拡大鏡は必須です。
    見えるというだけで技術以上にうまくなるので(笑)。

    私は刺繍のときしかしませんし(通常は刺繍もほんの時々程度)、
    刺繍教室に持っていくために携帯用が必要なので。

    和裁の先生ハズキルーペはずっとつけていると疲れるとおっしゃいますし、
    刺繍の先生は老眼鏡につけるタイプの小さな拡大鏡がいいとおっしゃいます。

    机の上に置く用の拡大鏡(かなりごついもの)が一番目に楽という人もいます。
    | rom筥 | 2017/10/31 2:58 PM |
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