『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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来年以降の構想
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    昨日の朝ブログをアップしようとした矢先、大阪での地震を知り手が止まりました。

    時間を追うごとに現地での詳細な状況が見えて来て、講習会にいらしてくれたあの方もこの方もご無事かしらと心配になりました。

    関西地方にお住いの皆様、心よりお見舞い申し上げます。

     

     


     

    翌年の講習会で新しい「型」を出そうとすると、だいたい今頃から準備しなければなりません。

     

    コレクションしている古い嚢物の本から、型をコピーしてまとめたファイルを作っているのですが、どれを作ろうかとうっとり眺めている様は、まるで今時のファッション誌を眺めているようです。

     

    ちなみに、古い嚢物の本に作り方が載っているからといって、それを見て簡単に作れるわけではないですよ。

    旧漢字でほぼ文章のみで解説しているので、現代人には意味がわからない。

    あくまで出来上がり図だけ見て、製図や作り方は自分で考えます。

     

    これらの本に載っている型というのは、あくまでも女子教育用に作られたものです。

    最終章が筥迫というレベルなので、出来上がり図さえあれば作ることは特に問題なし。

     

    江戸時代〜明治初期の懐中物などは、異次元の複雑さなのでレベルが違います。

    私がサンプルとして集めている程度のものだとそれほどでもないのですが、博物館にあるようなものはかぶり付いて見ちゃいますね。

    (見るときは横から襠の構造を見ます)

     

    嚢物、特に懐中物の類は資料も乏しいのですが、本や古い実物の嚢物を見ながら、それらが作られた頃の世相に照らし合わせて考えると、日本人の生活や価値観がどのように変化していったのかを知ることができて楽しい。

     

    そんなことを考えながら、自分なりの解釈で現代版の嚢物を再現しています。

     

    女子教育の一環として作られていた嚢物の本には乙女チックな型が多いですし、江戸時代のマニアックな型だとか、戦前まで作られていた精密な型だとかを、これから徹底的に再現して行きたいと思っています。

     

     

     

    10年ひと区切り

     

    私が筥迫を作り始めてから今年でやっと10年になります。

     

    「まだ10年しかやっていないの?」と言う人もいるかもしれませんが。

     

    どんな世界でも、一つの道を追求してきた人間には、この「10年」という区切りはとても大きな意味を持っていると思います。

     

    正統な技術を持つ師匠に導かれての10年ではなく、私の場合は資料があってもほぼ100年前(!)という、限りなく独学に近い状態で始めたので、長年その負い目を持ち続けていたように思います。

     

    しかし、いつかは経験という年月がこの負い目を消してくれるだろうと信じて、とにかく10年続けることが目標でした。

     

    どんなに調べてもわからず、長年悩んでいたことを講習会に来た人があっさりやっている、なんてことも多々ありました(苦笑)。

     

    それをやっている本人は、知識として知っていたというよりも、自然とこうなるだろう的な発想で手を動かしていたので、技術の発露とでも言いましょうか、案外先人たちも同じような発見を積み重ねて技術の元を築いてきたのかなと思うこともあります。

     

    周りの人に追いまくられながら、教わりながら、気がつけばあっという間に目標の10年が経ちました。

     

    おかげさまで、今はそれなりに落ち着いて物事を考えられるようになってきたような気がします。

     

    切磋琢磨しながら色々な人たちと関わっていると、自然と自分が何を求められているのか、これから自分が何をすべきかもわかってきます。

     

    貼り込みという概念さえ薄れた現代で、筥迫という原石だけを手掛かりに、木々に覆われた遺跡をかき分けながら、現代でも使えそうな石(技術)をかき集めて積み直し、ささやかな砦を築いた、今はそんな心境です。

     

     

     

    今後の展望

     

    2012年の薬王院から始まった筥迫工房の講習会も、2013年から本格的に始動し、こちらも気がつけば6年目です。

     

    筥迫1講座のみから始めた講習会も、1年で2〜3講座づつ増え続けて、6年経った現在は16もの講座に至りました。

     

    先日、これから作りたい型をリストアップしたところ、少なくとも20以上はありそうで、更にはまだ発掘していない型も存在するとは思うので、実際の数はいくつになることやら。

     

    そう考えると、今のやり方でできるわけもなく、どうやって組み立てていけばいいのか想像もつきません。

     

     

    講習会当初はランダムに人を受け入れていましたが、4年後(2017年)にはレベルごとのステップアップ講座にシフトしました。

     

    自分としては格段に教えやすくなったのですが、最近、入門講座の金封袱紗に基礎を詰め込み過ぎて、かえってハードルを上げているのかもしれないと悩む日々。

     

    あれもこれも教えておきたいというサービス精神から来るもので、私自身はとてもお得な内容と思っているんですけどねぇ(苦笑)。

     

     

     

    「入門講座」の変更

     

    今までは自分自身が貼り込みの技術を極めることに必死だったこともあり、より正確な技術で精度の高い物を作らせることを追い求めていたような気がします。

     

    これからも複雑な型も次々出て来ると思うので、そのためには相当数の作り込みが必要でしょう。

     

    しかしながら、実際にそこまでのレベルを求めて講習会に来る人は少数です。

     

    結局のところ、女子教育としての嚢物と、職人が作る嚢物とでは大きく世界が違ったわけですし、それぞれに存在価値がある。

     

    講習会で貼り込み体験してみたいと思っている人たちに、のっけから貼り込みの真髄など教えなくても、まずは糊で貼り込むことを楽しんでもらうだけでもいいんじゃないかと思うようになりました。

     

     

    そんなことから、来年からはこの入門講座を「月見型縢襠紙入」に移行することに致しました。

    難しくないのにデザインが秀逸。

     

    「月見型縢襠付紙入」と命名してみました。

     

    お月様型に鏡が付いているのがかわいい。

    この鏡は嵌め込み式でなく、取り出し式にしているとこが筥迫工房のこだわり。

     

    金封袱紗は極シンプルな意匠ですが、真剣に取り組まないとアラが目立つ。

     

    それに比べこの型は、意匠で見せるのでそれほどアラは目立たない(気がラク)。

     

    一般的な縢襠(かがりまち)の紙入に、しっかり貼り込みした感も味わえ、気を使う折り掛け処理もなし。

    あえて難しさがあるとすれば襠の縢りぐらいですが、皆さん縢襠には一定の憧れがあるようなので、そこはがんばっていただきましょう。

     

    こんな型から貼り込みを始めたら、初心者には楽しいのではないでしょうか。

     

    入門講座では、とりあえず教材の説明と、道具の扱い方、そして「正確に切る」ことをメインに学んでもらおうと思っています。

     

    「糊の扱い」を学ぶのは、受講者自身がもうちょっと真剣になってから、自主的に金封袱紗を受講してもらえばいいかなと考えています。

     

     

     

    「本科」と「副科」

     

    真剣にやりたい人と楽しくやりたい人の間には、少なからず軋轢が生じます。

    型が難しくなればなるほど、これは顕著になってきます。

     

    筥迫工房の講習会でも、少しずつこのような現象が出て来ました。

    この住み分けをどうするかが、ここ1〜2年の私の悩みでした。

     

     

    そんな矢先、以前から作りたいと思っていた月見型をきっかけに、ここから目的を分けた2構成にすることを思いつきました。

     

    技法を積み重ねていく必要があるのは、金封袱紗を基本とする折り掛けのある紙入や、筥迫などの肉物類。

    これらの型を学ぶコースを「本科」とし、これまでのステップアップ講座と同じ方向性で、糊の扱い方を本格的に学び、課題提出は必須。

     

    これに対し、気軽に貼り込みを体験できる「副科」を設けようと考えています。

    コースの中からランダムに作りたい物を選べ、少しぐらい糊がはみ出てもいいいじゃないかぐらいの気楽さで、貼り込みの楽しさを学ぶことがメイン。

    かつての女子教育と同じですね。

    条件は入門コースの月見型のみ必須で、その他の条件は一切なし(課題もなし)。

     

    例えば、人気の「携帯裁縫用具入」などは、実は積み重ねは必要ないので「副科」。

    「念珠入(折襠付紙入)」は、ほぼ紙入れ系の基本になるので「本科」という具合です。

     

    もちろん本科を受講している人なら、合間に副科の講座を受講するのは自由。

    副科の人が貼り込みの楽しさを知って、真剣に貼り込みを学んでみたいと思えば、いつでも金封袱紗から初めてもらえばいいわけです。

     

    ちょうどたくさんのサンプルを作っている時期なので、講座数が増えてきたからこそできる発想だと、10年の積み重ねと共に実感しています。

     

     

     

    講習会場

     

    「お針子会」でできる枠もほぼ上限に達しているので、講座数が増えるということは、年一回のレア講座が増えることになります。

     

    別会場を借りることも考えていますが、単発講座全てで安定した受講者を集められるかを考えると、赤になる可能性が高く、それほど簡単にも考えられない。

     

    来年どこまでやれるかはわかりませんが、予定を出すまでもう少し時間はあるので、小まめに情報収集してみます。

     

    もし新たな場所が見つからなかったとしても、これからは講師養成もしていく予定なので、副科ぐらいの内容で5人以上でご依頼いただけるのであれば、将来的には講師を派遣することもありえるかなと考えています。

     

     

     

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    資料保管用クリヤーブック 販売

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    現在、ショップで販売されている教本に使われている「クリヤーブック」を販売することにいたしました。

    以前は100円ショップで販売されていたものを使っていたのですが、廃番で入手できなくなり、今は別メーカーのものを仕入れています。

    背幅のない超薄型のクリヤーブックなので、講習会などで配布された資料を型ごとに分けて管理するのに便利かと思い、改めて販売することに致しました。

    必要な方はどうぞご注文ください。

    (10冊までクリックポストで発送できます)

     

    極薄クリヤーブック

     

     

     

     

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    【2018.06.19 Tuesday 16:35】 author : Rom筥
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