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「糊板」ときどき「接着剤」の話
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    今回は貼り込み用「糊板」のご紹介です。

     

    糊の話も入るので、糊を語らせたら数時間は語ることができるRom筥のこと、綺麗な嚢物画像に魅せられてこのブログに来ている方にはつまらない話題かもしれません(好きな人は好きだけどね)。

     

     

    筥迫工房では二種類の糊板をご用意しております。

    どちらが良いとかではなく、二種類を使い分けているということですね。

     

     

    薄糊用の糊板

     

    木板の方が薄糊(でんぷん糊)用です。

    薄糊はデンプン糊と水を混ぜて使います。

     

    糊をどのぐらいの硬さまで伸ばすのかとよく聞かれますが、ある程度の基準はあるにせよ、慣れていない人は作業が遅いため、季節や冷暖房によってどんどん水分が失われていることに気がつかず、あっという間にでんぷんを老化させてしまいます。

    (老化=一度ボソボソになったでんぷんは水を加えても糊化しない)

     

    慣れないうちは作ることに頭が一杯なので、糊の硬さについて細かく言うのは無駄と思っています。

    それよりも貼り込みの工程を早く覚えてもらって、糊が乾いていることに気がつくくらいの気持ちの余裕を持ってもらいたい。

     

     

    貼り込み作業では、糊板に「かまぼこ板」をお勧めするものがありますが、私はかまぼこ板は小さすぎると思っています。

    糊と水は竹べらでよく混ぜますが、慣れない人はこの竹べらの先っちょでチマチマと糊を混ぜる。

    こんなやり方していたら糊と水は均一に混ざりません。

     

    薄糊で一番嫌なのは、デンプン糊と水が分離した状態でまばらに糊板に残っていることです。

     

    私が貼り込みの作業で最も恐れているのは「水」です。

    作り方で失敗はしなくても、水で失敗したことは山ほどあります。

    水が一番怖いのです。

     

    袋物細工に用いる布のほとんどが「正絹」です。

    絹に水は大敵です。

     

    水はすぐに布に染み込みます。

    アイロンで固定する前に染み込んでしまうので、これが表面にシミとなって現れます。

     

    薄糊はデンプン糊の粘度で少なからず表に染み込む時間を遅らせます。

    その隙にアイロンで固定するのでシミが出ないのです。

    (もちろん薄糊は極薄で使うのが鉄則ですよ!)

     

    ということで、ある程度の面積の木板の上で、大きく(豪快に!)混ぜ合わせます。

    このとき竹べらは先から5〜6cmまでの縁を使い、木板の摩擦音がかすかに聞こえるぐらいにしっかりと木板に擦り合わせて混ぜ合わせてください。

     

    どのぐらい練り込むのが良いですか?と聞かれますが、練り込むというよりは「隈なく全体が混ざり合うまで」で、とにかく水が分離した状態で糊板の上に残っていないように。

     

    薄糊は使い終わったらすぐに竹べらで「紙」に取って捨ててください。

    ティッシュに取ろうとする人がいますが、やめてね(笑)。

    水っぽいうちならまだしも、最後の頃は少なからず老化が始まっているので、竹べらにくっついてひどいことになります。

    糊を捨てるときは「紙」に取ると覚えておいてください。

     

    最後に水でも洗いますが、糊を糊板に残したまま放置して完全に固めてしまうとちょっとやそこらでは取れなくなります。

    作業が終わったら糊板の上に残った糊をさっと紙に拭き取り、竹べらを拭き取るときのキッチンペーパー(折りたたんで糊がついていない内面)で拭えば洗うのもラクです。

     

     

    ちなみに、貼り込みに使うでんぷん糊では「フエキ糊」をオススメしています。

    なんでヤマト糊じゃだめなのかという違いを書こうと思ったのですが、私の中でヤマト糊に対する情報が不確かなこともあり(まだモヤモヤ状態)今回は触れないでおきます。

     

    ただ、この二つは主原料が違います。

     

    フエキ糊の主原料は「とうもろこしでんぷん」

    ヤマト糊の主原料は「タピオカでんぷん」

     

    「ヤマト糊ってタピオカでできているの〜??」と驚かれる方も多いとは思いますが、小麦粉からタピオカに主原料が変わったのが昭和58年からだそうで(すでに30年前!)、小麦アレルギーの子供のために(小さな子供はなんでも口に入れてしまいますから)タピオカに変わったそうです。

     

    そんなことまでヤマト糊は考えていたのですね。

     

     

    堅糊用の糊板

     

    今回糊板として変わったのが、堅糊用の樹脂板です(単品でも販売しております)。

    「塩ビ板」から「PP板」に変わりました。

    PPは「ポリプロピレン」の略ですね。

     

    薄糊用の木板にサイビノール(堅糊)を使うと、乾いた時にくっついてしまうので向きません。

    薄糊に木板を使うのは、でんぷんと水を「混ぜる」という目的があるからです。

     

    樹脂板で薄糊を混ぜてもいいのですが、樹脂面は水がでんぷんと一緒に横に動いてしまうので混ぜにくい。

    木は水が染み込みやすい、つまり横より下に動きやすい(表面上は水が留まる)=混ぜやすい、とイメージしていただければと思います。

     

    堅糊用に糊板があるので、常に糊板から竹べらで少しずつ使う人がいますがこれは間違いです。

    堅糊は基本、ボトルから直接接着面に出して使います。

    ですから筥迫工房のサイビノールはわざわざボトルに充填しなおしているのです。

     

    ではなぜ堅糊用の糊板が必要なのかといいますと、「少量だけつけたい」「余った糊を置く」ためです。

    極薄付けで手貼りする時や、細かく糊を差し込むときなどですね。

     

    サイビノールは速乾なので、抱き合わせの長い面に塗布すると、糊を伸ばしているそばから乾いていきます。

    とにかくボトルから直接多めに出しておいて均一にならし、最後に抱き合わせた際にはみ出そうな所だけ竹べらで掻いて糊板に戻します。

     

     

    当初、この堅糊用の糊板はプラスチックならどれでも大丈夫だろうと思っていました。

    アクリル板だの塩ビ板だの使ってみましたが、これを掃除する段になると意外や剥がれにくい。

    木板のように水でふやかして洗わなければなりません。

    もっとこうスパッと剥がれてほしいのです。

     

    これが私にはどうしても納得いかないわけです。

    他の人にはどーでもいいことかもしれませんが、日々作業をしている私にとっては、道具というのは常に具合のよいものでなくてはならなりません。

     

    最終的に、堅糊用の板をクリアファイルにして販売していた時期もありました(愚)。

    だってクリアファイルが一番剥がれやすいんだもの、、と、ここでフト気がつきました。

     

    クリアファイルは「PP(ポリプロピレン)」で作られているものが多い。

    PPといえば、以前筥迫スタンドの台(突起部分)にポリプロピレンを使ったことがありまして、これがどんな接着剤でも接着できなくて困ったことを思い出しました(ポリプロピレンの接着には特別な接着剤が必要とわかる)。

     

    つまりPPは普通の接着剤ではくっつかない=糊が剥がれやすいということ。

    だから堅糊用の糊板はPP板を使えばいいんだ〜!ということで、ホント目からウロコが落ちた瞬間でした。

     

    さっそく注文して出来上がってきたもので実践してみると、

    ああ〜簡単に剥がれる〜♡これなのよ〜♡

    やっと辿り着いた堅糊用糊板への道だったわけですが、こんなものにもこだわる自分に呆れる、、、。

     

    以前クリアファイルで代用していた時期に購入された方は無料で交換させていただきます。ホント申し訳ない。

    塩ビ板を使っている方は買い替えなくても、クリアファイルで挟めば同じように使えます。

    ただ糊板は厚みがないとつかみづらいので、何か厚みのあるものに挟んで使うと良いかもしれません。

     

     

    ところで、今まで自宅で使っていたアクリルの糊板は両側が軽く折り曲げてあって持ちやすく、形状としてはこれが理想です。

    堅糊用の糊板は手元近くに置いて作業することも多いですし、糊で汚れた竹べらを拭くための濡らしたキッチンペーパーも木板に乗せるより樹脂板に乗せた方がいいので、この折り曲げがキッチンペーパーのストッパーになって更に都合がよかった。

     

    そこで、この板の片側を軽く折り曲げて取っ手を付けてみようと思い、ここぞとばかりにアクリルヒーターの自作キットなるものを買ってみました。(市販のものはいい値段なのよ)

     

    しかしいくらやっても曲がらない。

    アクリル板はあんなに簡単に曲がるのに。

     

    しかたなく資材屋さんで折り曲げ加工までお願いしてみると、PP板は硬いので折り曲げ加工はできませんとのこと。

    調べてみたところ、PP板は汎用樹脂の中では最高の耐熱性ということで、簡易なヒーターぐらいの熱では曲がらんのね。

    樹脂板全般が熱で曲がるものだと思い込んでいた私が無知でした、、、。

     

    ということでPP板の折り曲げはすっぱりあきらめ、キッチンペーパーはこのようにマスキングテープで固定することにしました。

    そうそう、以前はキッチンペーパーを蛇口で水でサッと濡らす程度と言っていましたが、慣れない人はこれを反射的に絞ってしまう。

    ペーパーを小さく折り畳むのはクッション性を出すためで、クッション性がないと竹べらが綺麗に拭きづらいんですね。

    つまり水に濡らしたからといって、それを潰してしまっては意味がないのです。

     

    そこで最近は、このように水差しで上から水をかけるようにしています。

     

    キッチンペーパーで一番いいのは「リードクッキングペーパー」これなら一枚でOK。

    通常のキッチンペーパーはクッション性がないので、三枚を折り重ねて使ってください。

     

     

    貼り込みに最適な堅糊は「サイビノール」です。

    これは普通の文具店などには売っていません。

    革細工の資材を売っているお店で扱っています。

     

    少量使う人はクラフト社の150mlのボトルを買うことになりますが、筥迫工房では以上のことから糊板を必要とする細かい作業が多いので、このボトルはとても使いづらい。

    そこで、直接塗布できるように専用の先細ボトルに充填しなおしているのですね。

    (ほぼボトル代と手間賃と思ってください)

     

     

    「サイビノール」と「木工ボンド」はほぼ見た目は一緒です。

     

    私は科学は不得意なので説明はごく単純にさせていただきますが、この二つの違いはサイビノールの溶剤が「シンナー」だとすれば、木工ボンドは「水」というようなことです。

    わかりやすい一板の違いは「乾く速度」ですね。

     

    接着剤は「半乾き」にしたときに一番接着力が高まるわけですが、サイビノールは塗布している側からほぼ半乾きになっていくので、すぐに接着して安定します。

    反対に木工ボンドは水分が多いのですぐに乾かない、つまり半乾き状態になるのに時間がかかるということです。

     

    革を扱うなら「つかないな〜」でイライラすれば済むことですが(だったらサイビノール使うよね)、布仕立ての貼り込みの場合はついアイロンを使ってしまうので、これがシミを作る要因になります。

     

    薄糊と違い堅糊はある程度多めに使うので、その水気が残ったまま性急にアイロンをかけてしまうと、一気に表まで水気が染み込んでシミを付けてしまうのです。

    わざわざサイビノールを買うのは面倒、という場合は木工ボンドで代用しても構わないのですが、シミにならないように十分に注意すること、それには半乾きになるまで待つ、つまり時間をかけて作業する必要があるということです。

     

    私は最近講習会などでは、抱き合わせのときは極力アイロンを使わないように言っています。

    サイビノールはあまりシミにもならないのですが、これはシミとは別の意味で、最後まで水気を残しておきたいからです。

     

    一つに剥がしやすいことで、アイロンで固定さえしていないければある程度の時間であれば剥がしやすいので、気に入らない時は即剥がして貼りなおします。

    そして少しの水分を残しておくことで、最後の仕上げの際にアイロンをかけて好きな形に整えていくことができるのです。

    (慣れないうちは作業に時間をかけすぎて、最後に行くまでに完全に乾いてしまうのでその限りではありませんが)

     

     

    サイビノールの引火点は71℃(密閉式)」

     

    最近郵便局の利用が多くなったおかげで、窓口のお姉さんとも私的なことも話す仲になりました。

    私の仕事が「糊を使って作る物」が対象だとわかったとき、「もしかしてこれは接着剤が入っているということですよね?」と聞かれました。

    ゆうぱっくで発送するものはほとんどがサイビノールが入っています。

     

    それを知ったお姉さんに突然「引火点を調べてください!30度以下のものは発送できません!」と言われるようになりました。

    そんなのボトルのどこに書かれていないですし、購入先に聞いてもサイトにも書いていないのでわかりません。

    一般的にネットで販売しているようなものなんだから(私自身も発送してもらってるし)大丈夫でしょ?と言っても通じない。

     

    私も科学には無知ですが、相手も同じようなレベルだと思うので、とにかく数字にして安全ということを証明してもらわなくちゃ困るということなのでしょう。

     

    それでも以前は「空輸はできませんが陸路でもいいですか?」と言われ、調べようもないからそれでいいと言っていたのですが、最近は陸路でもダメになったということで、電話までかかってきて催促される始末。

    最近輸送品の引火物に特にうるさいのだそうです。

     

    しかたないので発売元のサイデンさんまで問い合わせましたよ。

    詳しい資料も添付していただきましたが、そんなの見ても一般人には理解できない。

    わかったことは「71度にならないと引火しない」、それだけで十分です。サイデンさんありがとう。

     

    ということで、ゆうパックでサイビノールを注文した方は、備考のところに「接着剤(引火点70度以上)」と書かれているのはそういうことだと思ってください(書くの面倒〜)。

     

    なんで皆さんにとって関係ないであろうこんなことを書くかと言いますと、ネットで「サイビノール 布」で検索すると筥迫工房の記事がトップに出てきてしまうようになったからです(今はこのページは公開していません)。

     

    袋物細工をする人以外の人が見にきちゃうってことです。

     

    袋物の話が前後にあってこれを読んでいる皆さんにはどうということもない話ですが、突然全く関係ない人がこのページに入ってくると、こちらが想像もつかない捉え方をされてしまうことがあり、これでトラブルになることも実際あります。

     

    それでも接着剤を扱っている以上は書かなくてはならないこともある。

     

    でんぷん糊もサイビノールも知れば知るほどすてきな接着剤で、これらを日々実践して体感したことの感想だけを詳しく書きたいのですが、袋物細工という目的以外に使った時の結果には全く保証はできませんのであしからずご了承ください。

     

    「サイビノールの引火点」についてはどこにも書かれていないので、ある意味私と同じ思いで困っている人たちのために書いてみました。

     

     

    今回も例によって長くなってしまいましたが、接着剤の話は止まらないよどこまでも、、、ですね。

     

     

     

    最後に「送料」のお話

     

    以前はゆうパックを出すときに郵便局に集荷に来てもらっていたのですが、最近は人手不足だとかで、その日の集荷には来てくれなくなりました(集荷用の値段設定)。

     

    しかたなく自分で持っていくことになったので(刺繍台があるといくつも持っていくのはホント不便)、持ち込み分送料は安くなったので値段を変えなくちゃと思っていたのですが、最近「スマホ割」なるものを知って、今はこちらに変えています。

    更に安くなったので、今回ゆうパックの送料を改定しています(安くなっています!)

     

    その代わり郵便局でしか出せないので、郵便局がお休みの土日祝祭日には発送できません。

    もしお急ぎの方がいらっしゃいましたら、その旨備考欄に書いていただければ別のところから出すことにします。

     

    どうぞご注意ください。

     

     

     

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    【2019.03.27 Wednesday 15:43】 author : Rom筥
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