『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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筥迫に見る日本の紅白文化
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    今回はショップで販売開始した筥迫の内布で使う「赤布」のご紹介です。

    二種類の材質の布を筥迫らしい赤色に染めてもらいました。

     

    今時はなかなか綺麗な赤がないんですよ。

    これまでも色々なところで筥迫に使える赤布を探しまくっているのですが、どれもこれも私がイメージする赤じゃない!(怒)

     

    最近やっと赤布を染めてくれるいいところに辿り着き、ついに赤布を探す旅に終止符を打つことになりました(やったー!)。

     

    しかし筥迫なんて使う量が限られているので、一反染めてもらっても持て余すだけ。

    以前はそれで余った赤布を販売したこともあったのですが、一般に売られている布を通常の価格で染めてもらっても儲けが出るわけがない。

    今回はそれなりのところにそれなりの量で頼んだので、まぁ皆さんに買っていただければ、今後も販売は続けられると思いますので、機会がありましたらどうぞご利用くださいませ。

    (以下タイトルからリンクしています)

     

     

    A. 筥迫内布用 綸子本紋紗綾形<赤>10cm単位

    筥迫にちょうどよい大きさの本紋を選びました。

    筥迫の横幅の中に、花文様がきれいに3箇所入ります。

    新品ではありますが、ちょっと難ありな布を販売できる価格で染めてもらっているで、横2cmぐらいのところに折り目が入ります。

     

    10cm単位での販売です。

    幅が37cmなので、筥迫だけ作るなら40cmもあれば十分。

    懐剣をつけるなら50cm。

    50cmあれば赤の「玉縁」分も取れます。

    ※講習会で作る中級筥迫も同サイズですが、玉縁はギリギリ取れる感じです。

     

    B. 筥迫内布用 精華パレス<赤>10cm単位

    上の綸子と同じ調合で染めてもらっているのですが、綸子は紋に光が反射するので鮮やかな感じで、この精華パレスは反射がないのでもう少し落ち着いたマットな(2019.5.12)色合いです。

     

    アンティークの筥迫などは、表布と同じ塩瀬を使っているものが多いのですが、塩瀬は横の畝がはっきりしているので、これが曲がらないようにホットメルト紙を貼るのに気を使います。

     

    ということで私は通常この精華パレスを使っています。

    要は八掛地ですが、今時こんな鮮やかな八掛地はないのでやはり染めてもらわけなれば手に入りません。

    玉縁にも使える薄さですが、仕入先担当者曰く「モノはいい」らしいので、薄くてもしっかりした感じで、正統派内布といった感じです。

    (そのうち「白の玉縁用」の精華も仕入れるつもりです)

     

    これでやっと筥迫の赤布探しのストレスがなくなると心晴れ晴れのRom筥です。

     

     

     

    赤は難しい

     

    赤布なんて染めてもらわなくても、紅絹(もみ)や昔の襦袢がハギレでたくさん売っているじゃないと思われる方も多いと思いますが、いやいやこれを筥迫に使おうと思うとそれぞれ難があるんですよ。

     

    まず袋物に紅絹は薄すぎてお勧めできません。

    特に古いものは目打ちでスジを入れるだけで切れてしまいます。

    力留めしようと思っても、力留めに耐え切れず留めているそばから裂けてしまいます。

     

    昔の赤の襦袢は「地紋」が予想外の厚みになってしまうことが多く、襠物の袋物には特にお勧めしません。

     

    それと私には赤い襦袢地に痛い記憶が、、、。

     

    以前、お客様からのご依頼で白の筥迫を作っていた時、さあ出来たと最後に胴締めを本体に差し込んだところ、白の被せに胴締めの裏に使った赤布が擦れて薄っすらと赤色がついてしまったのです。

    運良く消しゴムでこすっただけで落ちましたが、即現代物の赤布に貼り替えました。

    あの時の怖さは忘れられません。

     

    その時に赤という色は堅牢度が低いことを知りましたが、擦っただけでここまで簡単に色落ちするとは思いもしませんでした。

     

    仕入先の担当者曰く、昔の灰汁媒染(あくばいせん)で染められていた物よりは今の化学染料の方が落ちにくいが、赤の中でも鮮やかな色に染めた場合は検品している段階でも手が赤くなるとのことでした。

     

    「赤は止まらない」と何度も言っていました。(なんかイケイケGO!GO!な感じですね)

     

    今回染めたものはそれよりも少し落ち着いた色ですし、仕入先には初めから「赤は色が落ちるから怖い」という話を何度もしているので、いつもよりは慎重に扱ったとのこと。

    普通に扱うぐらいなら簡単には落ちないだろうとのことです。

     

    そんなわけで、私は婚礼用の白の筥迫に限っては、内布に昔の赤布を使わずに今時の赤を使うようにしています。

     

     

     

    日本人と紅白文化

     

    一般の方からのお仕立てを請けなくなったので、私も最近は筥迫を作る機会が少なくなりましたが、それでも時々こんな赤の内布で筥迫を作ると、筥迫作った〜!という気持ちになります。

     

    元々の発祥である江戸時代の筥迫は、別段、内布に赤を使う決まりなどありませんでした(どちらかといえば紫とか金茶とか?)。

    現代の筥迫のように内布に赤が使われるようになったのは、維新後に筥迫が花嫁の装身具に特化した使われ方をしたためですね。

    黒の振袖、白の筥迫、赤の志古貴というのが、昔の花嫁カラーでした。

     

    現代で私たちが作る筥迫にはどんな色の内布を使ってもいいとは思うのですが、それでもやはり花嫁の筥迫に白を使うなら赤の内布は変えがたい。

     

     

    以前「外国人が日本に長くいすぎた…と実感するとき」というのがネットで流行っていましたが、その中で

    「赤の反対が白なんだと思い始めるとき」というのがありました。

    そのぐらい日本人にとっての紅白は馴染み深い組み合わせです。

     

    紅白の始まりといえば源平合戦で、源氏は白旗、平家は赤旗を用いました。

    現代で運動会で紅白に分かれて戦うのも、ここから来ているようですね。

     

    もちろん日本の国旗も紅白。

    今から1300年以上も前のこと、天武天皇が新年に白地に赤丸を描いた旗のようなものを掲げたことが始まりとされているそうです。

     

    紅白は「人の一生」「ハレとケ」を表しているとも言われています。

    生はエネルギーの源で赤ちゃんの赤、白は死や別れを意味しているのだそうです。

     

    面白い説として、室町時代に中国は日本向けの品物に目印として紅白の紐をかけていたのを、日本人は「献上品に紅白の紐」と受け取ってしまった。

    それが紅白の水引のルーツになったということです(ただの目印だったのにね)。

     

     

    最後に「紅白は花嫁衣装からきている」という説ですが、私はこれまで、白無垢に赤い色が添えられていることを「現代人は白無垢じゃ味気なくて色を入れているんだな」ぐらいに思っていました。

     

    実際には白無垢には、白で統一する「白無垢」と、赤いふきのついた「赤ふきの白無垢」というものがあるということを今知った、、、(現代では色々なふきが使われているそうですが)。

     

    赤ふきの白無垢が使われ出したのは幕末頃とのことで、やはり筥迫にとっての紅白使いは「赤ふきの白無垢」に影響されていることは疑いようもないようです。

     

     

    赤という字には、多くの言語で「血」か「火」の色のどちらかの言葉から派生しているのだそうです。

    日本では赤という字は人が火を用いて穢れ(けがれ)を祓っている形とされ、邪悪なものを寄せ付けない魔除けの色として使われてきました(これも世界に共通した特徴だそうです)。
     

    筥迫の閉ざされた内面には、この魔除けの「赤」と同じく邪気を払う「鏡」が使われていますし、その相乗効果で相当強力な邪気が払えるということですね。

     

    お嬢さんのハレの日の筥迫には、どうぞ魔除けパワーがふんだんに込められた筥迫で送り出してやってください。

     

     

    (追記 2019.5.13)

    花嫁筥迫が「魔除け」というのは私が勝手に言っていることで、昔から伝えられているというようなことではありません。

    私的に筥迫の初めの印象が「不思議な形」→「中どうなっているの?」→「開けるの難しい(どうやって開けるの?)」→「中が赤に鏡!」→「この飾り(びら簪)なんの意味があるの?」→「怪しい!」というイメージがあったんですよ(笑)。

     

    実用だった江戸時代の筥迫から、維新後に形骸化されていった中に、期せずしてこの魔除け的なイメージが入っていったんじゃないかというRom筥的勝手な解釈なので、「筥迫って魔除けなのよ〜」などと物知り顔で言わないように!

    ただそう念じて作ってくださいということです(笑)。

     

     

     

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    【2019.05.11 Saturday 23:52】 author : Rom筥
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