『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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婚礼用 日本刺繍の筥迫&懐剣 つるひめさんの作品
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    前回「筥迫に見る日本の紅白文化」を書いたので、ここで実際の作品を一つ。

     

    アンティークの筥迫にありがちな婚礼用の「鶴亀」図案です。

     

    手持ちのアンティーク筥迫の図案がとても素敵だったのですが、なんとも中途半端な構図だったのでRom筥流にアレンジして、更に現代人的が好みそうな色味に変えてみました。

     

    古い日本刺繍の筥迫の中には、あきらかに納期や手間賃が限られていたのだろうと思われる作りのものがけっこうあります。

    それで身を立てている職人さんにとっては、制限された中で作らなければならないのは今も昔も同じこと。

     

    刺繍も仕立ても上手いのに、刺繍師と仕立師の連携が全く取れていない!というちぐはぐな筥迫もよく見かけます。

    こういうものは、やる気のない袋物商が「ちゃちゃっと適当にやっといてよ」的な指示を出しのでしょう(こんな輩はいつの時代もいるもので)。

     

    この元となった筥迫も、刺繍も上手、仕立ても上手、なのに図案が中途半端で、更にはとんでもなく柄合わせがずれていた(これを売る方もおかしい)。

    そこに全く関係ない私が時代を超えて憤慨するのもどうかと思いますが、このような筥迫を見かけるとつい、私の手で昇華してあげなくては!と勝手な使命感に燃えてしまいます。

     

     

    刺繍はお馴染みつるひめさんが手がけました。

    「お嫁さんの図案があるんだけど、孫ちゃんの結婚式用に一つ作ってみない?」と悪魔のささやき。

    お孫ちゃんたちはお姉ちゃんが今年小学三年生、下の双子ちゃんがピカピカの一年生になったばかりだというのに(苦)。

     

    ちょうどまぜごはんさんの婚礼用刺繍筥迫も掲示板にアップされております(No.661)。

    こちらは完全オリジナルの素晴らしい作品なので是非ご覧ください。

     

     

     

    白生地も難しいぞ!

     

    花嫁筥迫には「白」が圧倒的に支持されますが、前ブログの「赤」以上に「白」も難しい生地です。

     

    赤布の仕入先に染色前の白の精華パレスがないか担当者に問い合わせた際に、「う〜ん、白の反物は色が変わっているので、、、」と浮かない口調。

     

    時を同じくして、まぜごはんさんも白生地を「黄変防止加工」をしてもらったとのコメントに、自分がいかに白に対して相当無頓着になっていることに気がつきました(アンティーク筥迫ばかりを見慣れている目には黄変がデフォなので)。

     

    織りあがったそのときから黄変が始まるのが白生地の宿命。

    専門の業者さんが書いた記事がありますので、詳しくはこちらをご覧ください。

    古くなると黄変してしまう白生地

     

    作ってから結婚式に至るまでの間にも確実に色は変わってしまいますし、そもそも筥迫のように小さい物を作るには、基本的に端切れになったものを使うことが常です。

    その時点ですでにデットストックの可能性は高いので、それが白と認識している人にはあまり関係のない話かと。

     

    そもそも白パレスを仕入れようとしたワケは「玉縁用の白布」を販売することが目的であって、玉縁は「細く使う」ものなので、少しぐらいの黄変なんて誰が気がつく?ぐらいの範囲でしか使いません。

     

    古い着物の八掛の白部分を使えばいいと思われるかもしれませんが、何十年も前の八掛は目に見えて白が黄変していますので、さすがの私も使うのをためらいます。

     

    仕入先のせいぜい数年前ぐらいのデットストックなら全然問題ないと思えるレベルなので、あくまで玉縁用としてですが、1/3幅で50cmぐらいに裁断して販売する予定です。

     

    玉縁とはいえ白にはこだわりがある!という方は、お店で販売している「塩瀬の半襟」をご自分の目で見て購入すれば良いかと思います。

    色物の玉縁にしたい方は「綸子の帯揚げ」を探すとお望みの色は探せるでしょう。

    (半襟も帯揚げも間違っても「縮緬」は選ばないでね)。

     

     

    元の図案は「赤」のアクセントがインパクト大だったのですが、それを全体的にパステルに変えています。

    被せには小さなアクセントで赤を使うぐらいで、内布からパキッとした赤が覗くぐらいが一番素敵です。

     

     

    筥迫はカビが大敵

     

    私が黄変より注意してほしいのは「カビ」です。

    筥迫は糊を使っているのでカビを呼びます。

    意外にも現代版の筥迫で虫に食われたものを見たことはありません。

     

    しかしほとんどのアンティークの筥迫はポツポツとシミのようにカビがついていて、白なので余計にそれが目立ちます。

    カビが付けば更に黄変しやすくなります。

     

    刺繍をする人が筥迫を作る際、手に入りやすい白生地をそのまま使おうとしますが、頼むから花嫁筥迫以外は白で作ってくれるなと言っています(極薄のパステルも怖い)。

     

    筥迫に仕立てるときは、できるだけ「手汗」が付かないように注意してください。

    白は汚れが目立ちやすいので、私は他の筥迫を作るとき以上に緊張するのですが、それは緊張する→手汗をかくからです。

     

    筥迫は表面を触らないで作ることは不可能なので、できるだけ表面を触らないように常に当て布をかませ、夏場であればエアコンをガンガンにかけて震えながら作業しています。

     

    そのぐらい白の筥迫は気を使うので、筥迫作りに慣れていない方はできるだけ色物を使ってくださいね。

     

     

    しかし、白が黄変したりカビが出たとしても

    「被せの全面を刺繍で埋め尽くす」

    ことで、それらはほとんど目立たなくなります。

     

    白生地を使う場合は、できるだけ白生地部分だけのところが広く出ないよう(全面に刺繍が入るよう)に図案を描いてほしいとも言っています。

     

    つる姫さんのお孫ちゃんたちがお嫁に行く頃には、この筥迫も今より白は変わっていることとは思いますが、筥迫は三代で使えるものなので(祖母、母、娘)、シミやカビが出てきたとしてもそれはまだもっと先のこと。

    でもこのぐらいみっちり刺繍してあれば、黄変やシミもそれほど目立たないとは思います。

     

    たまに取り出して可愛い可愛いと愛でてあげる行為も、風を通してカビを撃退することにも繋がります。

    安く買ったものや即席に作ったものはぞんざいに放りがちですが、しっかりと時間と手間をかけて作ってやったものなら、定期的に愛でる価値もあるというものです。

     

    しかし、保存時の風通しより何より注意しなくてはいけないことは、筥迫を作ってすぐに箱にしまわないこと!

    作った後は完全に乾くまで、しばし飾って楽しみましょう。

     

     

     

    撚り房(撚り房)

     

    白か赤でいいなら、私は「切り房」より「撚り房」を使います。

    撚り房は何より立派ですから。

    切り房を使うのは、あくまで色物の房にしたいときだけ。

     

    こちらはショップで販売しています。

     

    撚り房(房単品):懐剣用 2個組

    撚り房(房単品):筥迫用(大人)

    筥迫用は忠実に筥迫房のバランスで作ってもらっているので、他には売っていません。

     

    ショップで販売している教本も、いつか基本の筥迫は「撚り房を使った飾り房」一択にしたいと思っています。

    その方が断然筥迫作りの難易度は低くなりますし、それならば副読本とセットにしなくても一冊の購入で済むということです。

     

    作り始めた当初はあくまで「全て手作り!」にこだわっていましたが、ただ結婚式や七五三の時に筥迫を作りたいだけなら、房にまで苦労して手作りしなくてもいいのでは?と思うようになりました。

    私も年をとって丸くなってきたってことだ(笑)

     

    ただし撚り房は「白、紅、紅白金」の三種類しかないので、色物で房を作りたい人用のために、切り房や変形の結びあたりを別冊にしたいと考えています。

     

    現在の副読本にある初めの説明あたりはHPの方に移動して共有できればと思っているのですが、そうなるとショップの体裁から変えていかなければならず、また山ほどの手間がかかるのかと思うとホント気が遠くなります。

    (Web操作手伝ってくれる人募集)

     

     

    画像悪いですが、私が当初つる姫さんにお勧めしたのがこの紅の筥迫房です。

    はっきりぱっきりになってこちらも素敵です。

     

    つる姫さんは清楚な白をお選びになりましたが、古い筥迫のほとんどは「紅白金」です。

     

    筥迫自体を紅白配色で作っているので、どの組み合わせでも合うということでお好みでお選びください。

     

     

    ↓下の「講習会」へのリンクが切れていたようですが今つなげました。ごめんなさい!

     

     

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    【2019.05.19 Sunday 12:38】 author : Rom筥
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