『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
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婚礼用筥迫 〜SONOさんの作品〜
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    久しぶりにゲストさんから、うれしい画像とおたよりをいただきました。sonoさんがお嬢さんの婚礼用に作った筥迫です。

    今年の秋に長女が結婚式を挙げる予定です。
    私の母が結婚した時に使用した半襟で筥迫を作り胸元を飾ってやりたいと思い、初心者用キットを送っていただいたものの、教本を一見しただけでアバウトな私にはムリ!と封印しておりました。
    けれど、先日おそるおそる作り始めてみたところ、おおお!作り方に沿ってやっていればなんだか出来てしまったではありませんか!楽しい・・・。



    一作目は箪笥の奥から引っ張り出した古い長じゅばんの端切れで作りました(hakoseko1号)
    この生地は、母の白無垢の長じゅばん地の余りでした。
    白無垢を仕立てた際に、残った生地に色を挿し、私の産着に仕立てたそうです。
    私のよだれやらなんやらですっかり黄ばんでしまっていましたが、到底捨てることなど出来ず、長年箪笥で眠っていたものです。
    白無垢自体は母、私の結婚式の二代の役目を終え、色無地や小紋に姿を変えてまた活躍してくれていますが、私の誕生を祝ってくれた祖父母の気持ちの詰まったこの小さな端切れのことがなんだかずっと気になっていました。

    二作目にはいよいよ半襟に挑戦。失敗は許されないので超緊張でした。
    55年の眠りから覚め、美しくよみがえった半襟よ!それがこのhakoseko2号です。



    改めて眺めると玉縁がたがた、接着剤の染み・・・と反省点ばかりです。
    でも、娘を思う母の気持ちに免じて許してもらえるかな(笑)
    母の長襦袢、半襟ともども、やっと箪笥から外の世界に出してやることができて、とてもうれしい気持ちです。
    こんなに丁寧な作り方キットを作成してくださってありがとうございました。
    おかげさまでとてもしあわせな時間がもてました。

    実は、もう ひとつお願いがあるのですが、半襟の半分側で、ぜひとも懐剣入れもつくりたいのです。
    図々しいお願いですが、そちらの作り方もぜひ教えてください。どうかよろしくお願いいたします。
    秋に結婚式が終わったら、写真をまた送らせていただきますね。


    すてきな思い出と共に、すばらしい筥迫の画像をありがとうございます。

    実はsonoさんのように、教本を見ただけで挫折している方は多いと思います。
    あまり考え込まずに教本に従って進めて行くと、気がついたら出来てしまった、という人も少なくないので、是非仕舞い込まれている材料を出して、もう一度挑戦してみてくださいね。

    もちろん美しい出来を目指せば、何百個作ろうがなかなか目指すところには行き着きません。
    しかし売り物でないのであれば、どこまでの出来を求める必要があるでしょうか。
    それよりも、このような細工物をチマチマと作っていく過程が、実はとても楽しいのだということを是非皆さんに体験していただきたいのです。
    「筥迫を作るのは楽しい」そう思っていただければ、私としては本当にうれしいです。

    すてきな婚礼衣装もドレスも、自分が年をとるまでに手元に持っていられる人はごく少数だと思いますが、小さな筥迫なら、年を経ても持ち続けている人は多いと思います。
    そして自分の娘、孫へと受け継いで使っていくこともできます。
    ですから、コツコツと時間をかけて気持ちを込めて作る価値のあるものだと思います。

    大正時代に発行された「袋物細工のしるべ」にはこんな一節があります。

    「元来袋物は僅少の布帛を利用して、種々の手芸品を制作する
     ものなれば、之を学習するものに、布帛類の利用法を教え、
     自ずから事物に対する経済の思想をなさしめ、且つ注意を
     促すが故に、是等の能力を発達せしめ、尚手指の運用を自在
     ならしむ」

    なんだか、かしこまってしまいそうな文章ですが、私はいらなくなった着物、シミのついた思い出の服を見つけるたび、この文章を思い出します。
    この時代はまだ新品のハギレなどというものはそれほど売っていなかったと思いますので、僅少の布帛と言えば、着古され着られなくなった着物の使える部分という意味になるでしょう。
    sonoさんのお母様がご結婚されたときの白無垢が、時を経て染め替えられ、仕立て替えられてsonoさんが着用し、その襦袢のハギレがsonoさんの産着になり、さらには筥迫になり、半襟が55年の時を経てお嬢さんの婚礼の筥迫になる、、、この教えそのままですね。
    今時の言葉で言えば、リメイクの極致と言ったところでしょうか。

    一つ一つの筥迫に、このような物語があるというのは本当にすてきなことです。
    この消費、消費の世の中にあって、思い出の布帛の行き着く先として、気持ちをこめて筥迫を作る。
    私が最も望んでいる世界です。

    「懐剣入れ」の作り方もしばし止まっていましたが、そうですね、元気を出してもう一度始めることにいたします。
    今年の春の婚礼予定の皆さまには間に合わなくて本当に申し訳ありませんが、秋の婚礼予定の方を目指して、なんとかがんばりたいと思います。
    【2011.04.06 Wednesday 09:24】 author : Rom筥
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