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2018.6筥迫講習会『筥迫装飾』
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    6月3回目の講習会は、今回から始まった「筥迫装飾」講座でした。

     

     

    過去の素晴らしい筥迫を見れば、筥迫に最も適した装飾方法は「日本刺繍」ということで異論はないのですが、ご存知の通り日本刺繍というのは恐ろしく手間のかかる装飾でして、これだけ筥迫作っている私でさえ、今までに作った刺繍筥迫は10個にも満たない。

     

    小さな画面にここまでの手間暇をかけることを考えれば、刺繍筥迫が特別な装身具扱いされるのも当然のことです。

     

     

    私自身、刺繍筥迫はもうそれほど意欲的に作る気はないので、それは刺繍の専門家たちに任せることにして、もう一方では、どうやったら「刺繍以外の装飾」ができるか?ということを密かに研究し続けてきました。

     

    きっかけは改定した縢襠付筥迫の教本で、表紙で使う筥迫にちょうどよい柄ゆきの布が見つからず、それならば自分で布を操作して柄を作ってしまえ!と思ったのが始まりです。

     

    意外にも効果的で、柄取りのストレスが解消されたこともあり、それからは装飾材料を地道に探し続け今日に至りました。

     

    そこで、今年は1月に「刺繍をする人のための刺繍図案研究会」と、6月には「刺繍をしない人のための筥迫装飾」の二本立てに挑戦することにしたのです。

     

     

    切付け

     

    刺繍以外の筥迫装飾において、特別な材料を使わずに筥迫を劇的に変化させる装飾方法は、何と言っても「切付け」です。

     

    これは柄取りをしているところです。

     

    自分の好みの布を入手できたとしても、筥迫に仕立てたらイメージと違う出来上がりになった、、、という思いをした方は多いはずです。

     

    これは、元の大きな布のイメージを、小さな筥迫に反映できる箇所を探せなかったというだけのことです。

     

    柄取り如何で全く違うものが出来上がるので、本来柄取りにはゆっくり時間をかけたいのですが、実際の講習会ではそんなことを説明している時間はないので、受講者が持ち寄った布は講習会が始まるまでの時間で私が急ぎ「柄取り」してしまいます(初級コースのみ)。

     

    ということで、今回これを独立した講座にし、前半は「柄取り」と「切付け」の考え方をレクチャーする内容にしました。

     

    お互いが持ち寄った布を見ながら、柄取り位置、切付けはどこを持って来るのが効果的か、そして後半に予定している「金装飾」をどこに使うかを意見し合います。

     

    あまりやりすぎるとバレバレになるので、あくまでわからないように切付けるのがコツです。

     

     

     

    筥迫装飾実験室

     

    午後からは一転して「金装飾」を行いました。

     

    「行う」と書くとちょっと語弊があるかもしれませんが、そもそも今回は「講習会」と言っていいのか?という内容のものでした。

     

    いつものように「型を作る」講習会ではなく、かと言って「研究会」でもないので、今回の講習会でやったことをブログで何と表現すればいいのか悩んでいたところ、参加した方から後日「筥迫装飾の実験室のような感じで、とても興味深く楽しく受講できました。」というメールをいただきました。

     

    確かに「筥迫装飾の実験室」は言い得て妙。

     

    これまで私が取り寄せてきた多くの材料の中から貼り込みに適した材料を吟味し、更に色々な組み合わせで比較実験してきた結果を元に、適切と思われる教材を選びました。

    それを金装飾のサンプルとして作りながら、そのやり方をレクチャーするというものでした。

     

    あとは家に帰ってから、自分の筥迫に適した金装飾をサンプルの中から探して試すのみ!

     

     

    ちなみに、これらは「貼り込み」だからこそできる装飾方法であって、着るものや縫い合わせの袋物などには適応しませんのであしからず。

     

    貼り込みだからこそできる自由な装飾方法で、作品作りの幅を広げていただきたいと思っています。

     

    この講座の課題は、作品を2点仕上げて掲示板に画像をアップすることになっていますが(人に見られるのが嫌なら、Rom筥に直接画像を送る)、筥迫以外のもう1点は別の型でもいいことにしたので、どんな作品がアップされるか楽しみに待つことに致しましょう。

     

     

     

    挟み玉縁

     

    サンプル作りでかなりの情報量を詰め込んだため、皆さんお疲れのご様子。

    ということで、最後の「挟み玉縁」は私のデモンストレーションだけにしました。

     

    以前の私は恥ずかしげもなく下手な玉縁作品を掲載していましたが(愚)、誰しも作り始めの頃は何が下手なのかさえわからない「目が不器用」状況なので、「筥迫作れた自分、天才!」ぐらいに思ってしまうものなのですね(いいんですよ、それがモチベーションになるので〜)。

     

    しかし最近は、どうしても玉縁がうまくいきません〜という声が、よく私のところに集まって来るようになりました。

     

    玉縁をきれいに作るコツを言葉で説明するのは難しいので、今回の講座に無理やり組み込んだという次第です。

     

     

    筥迫は「縫い玉縁」が本流なので、最近はこれを「本仕立て」と読んでいるのですが、縫い玉縁は細く作ることがとても難しいので、現在の教本では「挟み玉縁」に特化して解説しています。

     

    この縫い玉縁は誰でもできるものなのですが、厚紙ごと縫っていくので、なかなか極細の玉縁にならない。

     

    現代の筥迫にも縁がついていますが、小さな筥迫に対して縁が3〜4mmもあると、それはもはや「玉縁」ではなくただの「縁取り」です。

    玉縁というのは極細だからこそ玉縁というのです。

    昔の職人が作った筥迫は、この玉縁が見事に細かった。

     

    そこで教本では、誰がやっても極細の玉縁になる「挟み玉縁」にしたのです。

    (大型にはこの挟み玉縁が細すぎてしまうのが難ですが、それはまた後日)

     

    しかしこの挟み玉縁も、極細にはなるものの実は浮いてしまったり、直線にならなかったり、角付けが難しかったり、仕立ても余計な厚みが出てしまったりと、不恰好になりやすい。

    これがやたらと気になってきます(あくまで目が効くようになった人だけの問題)。

     

    こうして挟み玉縁の限界を感じるようになると、結局は「本仕立て(縫い玉縁)」をやらねばならないというサイクルになってくるのですね。

     

    筥迫を彩る玉縁も一朝一夕に上手くはなりません。

     

    時代は何でも簡単に楽できる方向に流れていきますが、アナログな物作りはこんな小さなことに必死になるのですね。

     

    それがとても面白いと私は思うのです。

     

     

     

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    【2018.06.27 Wednesday 00:46】 author : Rom筥
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    来年以降の構想
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      昨日の朝ブログをアップしようとした矢先、大阪での地震を知り手が止まりました。

      時間を追うごとに現地での詳細な状況が見えて来て、講習会にいらしてくれたあの方もこの方もご無事かしらと心配になりました。

      関西地方にお住いの皆様、心よりお見舞い申し上げます。

       

       


       

      翌年の講習会で新しい「型」を出そうとすると、だいたい今頃から準備しなければなりません。

       

      コレクションしている古い嚢物の本から、型をコピーしてまとめたファイルを作っているのですが、どれを作ろうかとうっとり眺めている様は、まるで今時のファッション誌を眺めているようです。

       

      ちなみに、古い嚢物の本に作り方が載っているからといって、それを見て簡単に作れるわけではないですよ。

      旧漢字でほぼ文章のみで解説しているので、現代人には意味がわからない。

      あくまで出来上がり図だけ見て、製図や作り方は自分で考えます。

       

      これらの本に載っている型というのは、あくまでも女子教育用に作られたものです。

      最終章が筥迫というレベルなので、出来上がり図さえあれば作ることは特に問題なし。

       

      江戸時代〜明治初期の懐中物などは、異次元の複雑さなのでレベルが違います。

      私がサンプルとして集めている程度のものだとそれほどでもないのですが、博物館にあるようなものはかぶり付いて見ちゃいますね。

      (見るときは横から襠の構造を見ます)

       

      嚢物、特に懐中物の類は資料も乏しいのですが、本や古い実物の嚢物を見ながら、それらが作られた頃の世相に照らし合わせて考えると、日本人の生活や価値観がどのように変化していったのかを知ることができて楽しい。

       

      そんなことを考えながら、自分なりの解釈で現代版の嚢物を再現しています。

       

      女子教育の一環として作られていた嚢物の本には乙女チックな型が多いですし、江戸時代のマニアックな型だとか、戦前まで作られていた精密な型だとかを、これから徹底的に再現して行きたいと思っています。

       

       

       

      10年ひと区切り

       

      私が筥迫を作り始めてから今年でやっと10年になります。

       

      「まだ10年しかやっていないの?」と言う人もいるかもしれませんが。

       

      どんな世界でも、一つの道を追求してきた人間には、この「10年」という区切りはとても大きな意味を持っていると思います。

       

      正統な技術を持つ師匠に導かれての10年ではなく、私の場合は資料があってもほぼ100年前(!)という、限りなく独学に近い状態で始めたので、長年その負い目を持ち続けていたように思います。

       

      しかし、いつかは経験という年月がこの負い目を消してくれるだろうと信じて、とにかく10年続けることが目標でした。

       

      どんなに調べてもわからず、長年悩んでいたことを講習会に来た人があっさりやっている、なんてことも多々ありました(苦笑)。

       

      それをやっている本人は、知識として知っていたというよりも、自然とこうなるだろう的な発想で手を動かしていたので、技術の発露とでも言いましょうか、案外先人たちも同じような発見を積み重ねて技術の元を築いてきたのかなと思うこともあります。

       

      周りの人に追いまくられながら、教わりながら、気がつけばあっという間に目標の10年が経ちました。

       

      おかげさまで、今はそれなりに落ち着いて物事を考えられるようになってきたような気がします。

       

      切磋琢磨しながら色々な人たちと関わっていると、自然と自分が何を求められているのか、これから自分が何をすべきかもわかってきます。

       

      貼り込みという概念さえ薄れた現代で、筥迫という原石だけを手掛かりに、木々に覆われた遺跡をかき分けながら、現代でも使えそうな石(技術)をかき集めて積み直し、ささやかな砦を築いた、今はそんな心境です。

       

       

       

      今後の展望

       

      2012年の薬王院から始まった筥迫工房の講習会も、2013年から本格的に始動し、こちらも気がつけば6年目です。

       

      筥迫1講座のみから始めた講習会も、1年で2〜3講座づつ増え続けて、6年経った現在は16もの講座に至りました。

       

      先日、これから作りたい型をリストアップしたところ、少なくとも20以上はありそうで、更にはまだ発掘していない型も存在するとは思うので、実際の数はいくつになることやら。

       

      そう考えると、今のやり方でできるわけもなく、どうやって組み立てていけばいいのか想像もつきません。

       

       

      講習会当初はランダムに人を受け入れていましたが、4年後(2017年)にはレベルごとのステップアップ講座にシフトしました。

       

      自分としては格段に教えやすくなったのですが、最近、入門講座の金封袱紗に基礎を詰め込み過ぎて、かえってハードルを上げているのかもしれないと悩む日々。

       

      あれもこれも教えておきたいというサービス精神から来るもので、私自身はとてもお得な内容と思っているんですけどねぇ(苦笑)。

       

       

       

      「入門講座」の変更

       

      今までは自分自身が貼り込みの技術を極めることに必死だったこともあり、より正確な技術で精度の高い物を作らせることを追い求めていたような気がします。

       

      これからも複雑な型も次々出て来ると思うので、そのためには相当数の作り込みが必要でしょう。

       

      しかしながら、実際にそこまでのレベルを求めて講習会に来る人は少数です。

       

      結局のところ、女子教育としての嚢物と、職人が作る嚢物とでは大きく世界が違ったわけですし、それぞれに存在価値がある。

       

      講習会で貼り込み体験してみたいと思っている人たちに、のっけから貼り込みの真髄など教えなくても、まずは糊で貼り込むことを楽しんでもらうだけでもいいんじゃないかと思うようになりました。

       

       

      そんなことから、来年からはこの入門講座を「月見型縢襠紙入」に移行することに致しました。

      難しくないのにデザインが秀逸。

       

      「月見型縢襠付紙入」と命名してみました。

       

      お月様型に鏡が付いているのがかわいい。

      この鏡は嵌め込み式でなく、取り出し式にしているとこが筥迫工房のこだわり。

       

      金封袱紗は極シンプルな意匠ですが、真剣に取り組まないとアラが目立つ。

       

      それに比べこの型は、意匠で見せるのでそれほどアラは目立たない(気がラク)。

       

      一般的な縢襠(かがりまち)の紙入に、しっかり貼り込みした感も味わえ、気を使う折り掛け処理もなし。

      あえて難しさがあるとすれば襠の縢りぐらいですが、皆さん縢襠には一定の憧れがあるようなので、そこはがんばっていただきましょう。

       

      こんな型から貼り込みを始めたら、初心者には楽しいのではないでしょうか。

       

      入門講座では、とりあえず教材の説明と、道具の扱い方、そして「正確に切る」ことをメインに学んでもらおうと思っています。

       

      「糊の扱い」を学ぶのは、受講者自身がもうちょっと真剣になってから、自主的に金封袱紗を受講してもらえばいいかなと考えています。

       

       

       

      「本科」と「副科」

       

      真剣にやりたい人と楽しくやりたい人の間には、少なからず軋轢が生じます。

      型が難しくなればなるほど、これは顕著になってきます。

       

      筥迫工房の講習会でも、少しずつこのような現象が出て来ました。

      この住み分けをどうするかが、ここ1〜2年の私の悩みでした。

       

       

      そんな矢先、以前から作りたいと思っていた月見型をきっかけに、ここから目的を分けた2構成にすることを思いつきました。

       

      技法を積み重ねていく必要があるのは、金封袱紗を基本とする折り掛けのある紙入や、筥迫などの肉物類。

      これらの型を学ぶコースを「本科」とし、これまでのステップアップ講座と同じ方向性で、糊の扱い方を本格的に学び、課題提出は必須。

       

      これに対し、気軽に貼り込みを体験できる「副科」を設けようと考えています。

      コースの中からランダムに作りたい物を選べ、少しぐらい糊がはみ出てもいいいじゃないかぐらいの気楽さで、貼り込みの楽しさを学ぶことがメイン。

      かつての女子教育と同じですね。

      条件は入門コースの月見型のみ必須で、その他の条件は一切なし(課題もなし)。

       

      例えば、人気の「携帯裁縫用具入」などは、実は積み重ねは必要ないので「副科」。

      「念珠入(折襠付紙入)」は、ほぼ紙入れ系の基本になるので「本科」という具合です。

       

      もちろん本科を受講している人なら、合間に副科の講座を受講するのは自由。

      副科の人が貼り込みの楽しさを知って、真剣に貼り込みを学んでみたいと思えば、いつでも金封袱紗から初めてもらえばいいわけです。

       

      ちょうどたくさんのサンプルを作っている時期なので、講座数が増えてきたからこそできる発想だと、10年の積み重ねと共に実感しています。

       

       

       

      講習会場

       

      「お針子会」でできる枠もほぼ上限に達しているので、講座数が増えるということは、年一回のレア講座が増えることになります。

       

      別会場を借りることも考えていますが、単発講座全てで安定した受講者を集められるかを考えると、赤になる可能性が高く、それほど簡単にも考えられない。

       

      来年どこまでやれるかはわかりませんが、予定を出すまでもう少し時間はあるので、小まめに情報収集してみます。

       

      もし新たな場所が見つからなかったとしても、これからは講師養成もしていく予定なので、副科ぐらいの内容で5人以上でご依頼いただけるのであれば、将来的には講師を派遣することもありえるかなと考えています。

       

       

       

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      資料保管用クリヤーブック 販売

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      現在、ショップで販売されている教本に使われている「クリヤーブック」を販売することにいたしました。

      以前は100円ショップで販売されていたものを使っていたのですが、廃番で入手できなくなり、今は別メーカーのものを仕入れています。

      背幅のない超薄型のクリヤーブックなので、講習会などで配布された資料を型ごとに分けて管理するのに便利かと思い、改めて販売することに致しました。

      必要な方はどうぞご注文ください。

      (10冊までクリックポストで発送できます)

       

      極薄クリヤーブック

       

       

       

       

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      【2018.06.19 Tuesday 16:35】 author : Rom筥
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      2018.6筥迫講習会『念珠入(組入)名刺入』
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        6月の講習会2日目の講座は『念珠入(組入)名刺入』でした。

         

        珍しく3名だけのこじんまりとした講習会でした。

         

        去年までは入門の『金封袱紗」を通過しないと他の講座を受講することができなかったので、初級あたりでかなり渋滞していたのですが、今年は前半に山ほど金封袱紗をいれていたせいか、渋滞も解消されようで、来年からはバランスよく色々な講座を振り分けてスケジュールを立てられそうです。

         

         

        J.Yさんの作品(神奈川県在住)

         

        2名だと最低遂行人数に至らず中止になってしまうのですが、初めの頃はそんなこともよくあったなぁと思い出しました。

         

        現在は遠くから参加される方が多くなったので、切符を買ってからお断りするのも申し訳ないことから、申し込み開始から3日間ぐらい申し込み者がいないときは、すぐに中止にしてしまうこともあります。

         

        ですから、絶対に中止にしないで!と思われる方は、できるだけ早めに申し込んで意思表示してくだされば、ある程度は考慮いたします。

         

        少人数講習では、講師も受講者もかなりリラックスしてできますしら、細かいところまで説明ができるので、参加される方にはお得感があるかもしれません(人数が多いとトラブルも多いので、致し方なく端折る説明もある)。

         

        「今度から最後までカートが開いている講座を目指して申し込みしようかな♪」(受講者)

        (私は人が集まってくれないと困るんですけどね、、、)

         

         

        C.Mさんの作品(山形県在住)

        最近は、初級コースでまだ布選びに慣れていない人たちのために、私が家にためている端切れを持参して安価で販売するようにしています。

        C.Mさんが作られたこの作品も、急遽この時用意した端切れの中から表布、内布とも選んで作ったものです。

         

        嚢物を上手に仕立てるためには、柄よりも何よりも、それに適した厚みや手触りの生地を見つけるのが一番大事です。

        適した生地を使えば、初心者でも上級者でもそれほど違いはでません。

        薄すぎる布、厚すぎる布になって初めて上級者との仕立ての差が出てくるのです。

         

         

        柾女さんの作品(東京都在住)

        こちらの表裂は雨コート地で、表はテカテカすぎるので裏地使いにしたそうです。

        Rom筥からは、この縦線を活かすことをオススメしました。

        ちょっとしたアクセントで素敵ですね。

         

        柾女さんは布を最後まで始末することに力を注いでいるそうです。

        小さくなった布をどこまで何に使えるかを考えるのが楽しいそうです。

         

        ご興味のある方は、柾女さんの着物にまつわるうんちく満載のブログ「たるしるみちる」を是非のぞいてみてください。

         

         

         

        端切れ

         

        私は端切れのほとんどはネットで購入します。

        まとめて山ほど購入して、使えるもの、使えないものに厳選します。

         

        全てが使い道があるわけでもありませんし、自分の好みに合うワケでもない。

        好みであっても全て作れる量でもない。

         

        そこで、最近は初級コースのときは使わない端切れを持っていくことにしたのですが、これが意外と好評なので、これからは講習会用に端切れを仕入れてみようかと考えています。

        (毎回持っていけないかもしれないので、確実に端切れが欲しい方はあらかじめご連絡ください)

         

        嚢物なんてのは、とにかく数を作らないと手が慣れないのに、ほとんどの人は「最良の一枚」などを探すことに躍起になってしまうようです。

        結局布を探すことに疲れ、嚢物も作れずの悪循環。

         

        自分のイメージに合った布を探すなんてのは、白馬に乗った王子様のようなもの。

        布も人も一緒「出会い」です。

         

        理想の相手を必死になって探すより、運が良ければいつか出会えると思って、色々な布とお付き合いしてみましょう(笑)。

        気にも留めなかった布でも、使ってみるとその良さがわかったりするものです。

         

         

        最近「東京袋物協同組合沿革史」という本を読みました。

         

        江戸の時代から、嚢物というのは「革仕立」と「帛仕立」に別れていたのですが、昭和30年代に入ると一気に「合成皮革」や「ビニール」といった素材が氾濫するようになります。

         

        「丈夫で長持ちするようなものでなければ売れなくなった」とあります。

         

        布帛の嚢物は大事に扱わないと角が擦れてすぐにダメになってしまいます。

        古い布であれば、それこそ大事に扱わなければなりません。

         

        昔の日本人はそのように嚢物を扱ってきたのです。

        母がハンドバッグをネルの袋に入れて大切に保管していたのを思い出します。

         

        現代人はよほどのブランドバッグでない限り、袋に入れて保管などしないでしょう(私もしていません)。

         

        丈夫で壊れにくい物に囲まれて育ってきた現代人には、壊れないよう大事に嚢物を扱うという気持ちはわからないかもしれません。

         

        先日講習会で、ある方がご自分で作られた四ツ襠をお持ちになりました。

        バッグに直接入れていたので、ジップロックに入ったそれが目に入り、皆で大笑いしました。

         

        バックの中では色々なものと一緒にシャッフルされてしまうので、その気持ちは良くわかります。

        私もサンプル品はいつもジップロックに入れていますし。

         

        でも実際に実用として持ち歩くとなると、大事そうに扱っているものがジップロックに入っているというギャップが、アンバランスで微笑ましく見えてしまったのですね。

         

        そういう時のために、昔の人は「外入れ」という専用のカバーを作って入れてたんですよと言うと、とても関心していらっしゃいました。

         

        使い古され現代まで生き残ってきた端切れたち。

        手をかけて嚢物に仕立てて、それをまた大切に扱う気持ちも忘れないでいたいですね。

         

         

        次年度講習会新規講座

         

        来年度の講習会で新しく出る講座を何にするか、何点か試作を作っております。

         

        以前から作りたいと思っていた「月見型縢襠紙入」がほぼ完成品に近くなりました。

         

        両縢りの単純な懐紙入れなのですが、デザインが秀逸です。

         

        縢襠付筥迫の事前準備として縢りの練習にちょうど良いし、抱き合わせもほとんどなくて簡単なので、来年からの初級コースに入れることを考えております。

         

        もう一つ「七宝縢り」の懐紙入れもやってみたいのですが、これは諸々の状況を考えるとまだ不確定。

         

         

        筥迫も「折襠付筥迫」か「持出襠筥迫」のどちらかを出したいとは思っているのですが、これはどちらも上級コースになりそうです。

         

        自分的に今一番作りたいのは「外日の出型紙入」。

        小被せに二種類の襠のうち一つは、ちょっとおしゃれな本脇の漏斗襠にしようと思っているので、複雑になることは確実。

         

        最近は少しずつ難しい型も出てきましたし、ついて来れそうな受講者もちらほら出てきましたので、そろそろマニアックな型も再現していきたいと考えております。

         

         

         

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        【2018.06.11 Monday 00:09】 author : Rom筥
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        2018.6筥迫講習会『扇子入とハサミ入』
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          いよいよ梅雨に入ろうかという時期になりましたが、皆様いかがお過ごしですか?

           

          梅雨が明けたら一気に夏!ということで、講習会では今月、来月と『扇子入とハサミ入』を企画しております。

          これは、夏扇子がこの時期でないと探しにくいからです。

           

           

          K.Nさんの作品(石川県在住)

          よく「絽を嚢物に使えませんか?」と聞かれることがあります。

          しかし夏場の懐中は蒸れる。

          湿気(汗)でヨレヨレになるのは嚢物が可哀想とつい思ってしまうのですが、扇子入れにならぴったりの使い道ですね!

          素敵なアンティークの絽は端切れとしてもよく出回っているので、夏場は絽で小物を揃えて、バッグインで持ち歩くとおしゃれかもしれませんね。

          絽は透けるので、心材や下地の色を考えながらお使いください(基本は白)。

           

           

          H.Kさんの作品(東京都在住)

          この「扇子入れ」と「ハサミ入れ」は、「差し込む」という考え方において同じですが、何を差し込むかによって使う素材が変わってきます。

          扇子入れは「布」を使っておりますが、ハサミ入れは「フェルト」を使います。

          ハサミ入れのフェルトは教材として支給しますが、このように扇子入の内布に合わせたい方は、ご自分で色フェルトをご用意ください。

          扇子入れとハサミ入れをお揃いにしたところで、一緒に持ち歩くような場面は、、、なさそう(笑)。

           

           

          K.Nさんの作品(兵庫県在住)

          この二つの型は昔からの嚢物というわけではありません。

          一般的な布製の扇子入れは簡単に中から飛び出てしまいますが、この扇子入れは自分で引き出さない限り絶対に飛び出てくることはありません。

           

          貼り込みの考え方で作っているので、縫って同じものを作ろうと思っても絶対にこの型にはならない。

          貼り込みだからこそできる特徴的な嚢物です。

           

          これは筥迫工房の講習会でオススメしているCANARYの「GX-175」専用のハサミ入れなのですが、講習会では皆が同じハサミを使っているので、目印としてハサミ入れの生地を巻きつけておくとわかりやすいかと思います(細い布に切ってサイビノールで簡単に接着できます)。

           

          同じ初級の嚢物でも「念珠入れ」などは正統派嚢物なのでそれなりに大変ですが、この「扇子入とハサミ入」はほぼ堅糊だけで手貼りで作る工作物なので(アイロンは最後の仕上げのみ)、気楽に楽しめる講座かと思います。

           

           

          J.Yさんの作品(東京都在住)

          この扇子入れ用の扇子は、いわゆる「涼を取るための扇子」を指定させていただいておりますが、扇面が「紙製」がベスト。

           

          しかしながら、最近はこの紙製があまり市場に出回らなくなってしまったようです(一昨年あたり浅草橋のシモジマには山ほどあったのですが)。

          今回は、どこにもなかったので、、という方が布製の扇子をお持ちになりました。

           

          「布製」というのはこのような扇子ですね。

          要から扇面の先までが同じ幅という形状です(寸胴?)。

           

          実は扇子がこの形だと、用意した製図方法では入らない。

          ということで、布を貼る前に急遽製図変更。

           

          とりあえず扇子が入る形にはできましたが、形は流線型というよりも「ボックス型」という感じです。

          入れる時に扇子の先をちょっと押さえて入れることになりますが、落ちることはありません。

          (紙製はなにもしなくてもスポンと入ります)

           

           

          M.Kさんの作品(東京都在住)

          こちらも布製の扇子でした。

          M.Kさんはお仕事がパタンナーさんなので、製図変更も簡単に対応してくださいました。

          しかし「先っぽがもっとかまぼこ型がかわいかった〜」そうです(画像はほぼ長方形)。

          確かにこのようなものは出来上がりのフォルムが大事ですね。

           

          直接店頭で扇子を探すときは違いがわかりやすいですが、ネットで購入ではわかりずらいので、必ず畳んだ形状の画像を確認してください。

          中央から先の幅が変わらないのが布製、中央より先が細くなっているのが紙製です。

           

          7月16日(月祝)開講の「扇子入とハサミ入」は、6月18日申し込み開始です。

          参加希望の方はそれまでに探しておいてくださいね。

           

           

          I.Hさんの作品(福井県在住)

          こちらの扇子入れはボックス型のようですが、扇子は紙製だったような、、、。

          男物の大きな扇子をご自分で使われるということでしたが、長さがあってもその扇子に合わせて製図するので対応可能。

          他の方がカボッションをお持ちだったので、上にちょっと置かせていただきました。

          こんなものをアクセントに付けても素敵ですね。

           

           

          郁駒屋さんの作品(福岡県在住)

          いつも掲示板でご活躍の郁駒屋さんです。

          今回は扇子の製図を間違えてしまったとのことで、ご本人曰く「掲載不可」だそうです。

          しかし、このブログをアップする前に、ご自宅で作り直したものがすでに掲示板に載っておりました(早っ!)。

          扇子入れはどうぞそちらをご覧ください。

           

           

           

          初級の中では気楽な工作系なので、午前中に「はさみ入れ」、午後に「扇子入れ」を作ります。

          はさみは「GX-175」を指定しているので、下図は皆が一緒のものを使えるので簡単に作れます。

           

          しかしながら、ある程度形状の指定はあるものの、扇子はそれぞれ長さも形状も違うため、こちらは各自製図をしていただかなければなりません。

          扇子入れの作り方もそれほど難しくはないのですが、製図でサイズなどを間違えてしまうと、もちろんジャストフィットにはでき上がりません。

           

          でも懐中物などに比べれば、作り直しはそれほど痛手にはならないので、どうぞお気軽に考えていただければと思います。

           

           

           

          中山きよみ先生の刺繍教室

           

          中山きよみ先生が刺繍の筥迫をご持参くださいました。

          前回のままねこさんに引き続き、美しい日本刺繍の筥迫を愛でることのできる幸せよ。

           

          このびら簪は、一本足の簪部品を透かしパーツ二枚で挟んで作ったものだそうです。

          なかなか素敵ですよね。

          中山先生のブログ「日本刺繍 nui.nui」には、美しい刺繍筥迫が多数掲載されています。

           

           

          中山きよみ先生は個人でもお教室をお持ちですが、今年から久々にカルチャースクールでも教えることになったそうです。

           

          刺繍に慣れてきたら是非刺繍の筥迫を目指していただきたいですが、初心者には小さな嚢物などの刺繍も考えておいでのようなので、気軽に日本刺繍を始めるにはよい機会かもしれませんよ。

           

          北陸中部地方の方、この機会に日本刺繍を始めてみてはいかがでしょうか?

          ================================

          北國新聞文化センター
          <金沢本部教室>
          石川県金沢市南町2番1号 北國新聞会館9F
          金沢福祉専門学校 ハピ専>
          石川県金沢市久安3丁目430

          ================================

           

          最近、日本刺繍を始める若い方々は、着物や帯に刺繍をすることにそれほど興味を示さなくなったような気がします。

          うちの刺繍教室も、別のものに刺繍をすることを目的にしている人たちが多いですし。(私もその筆頭!)

           

          貼り込みの袋物は芯材を使うため、布を張らせてかっちりとした仕上がりになります。

          そのため刺繍がよく映えるので、貼り込みと刺繍はとても相性が良いと思っています。

           

          刺繍した作品をプロの仕立てに出すのも良いですが、自分で形にするというのもまた違った楽しさがあります。

           

           

           

          筥迫工房の材料販売(ネットショップ)

           

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          【2018.06.06 Wednesday 09:38】 author : Rom筥
          | 筥迫講習会・研究会 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          日本刺繍の筥迫 〜ままねこさんの作品〜
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            先日の講習会に参加されたままねこさん(静岡在住)が日本刺繍の筥迫をご持参くださいました。

            あまりにも素晴らしい作品だったので、是非皆様に見ていただきたく、今回はこれらの作品をご紹介致します。

             

            バタバタな講習会の合間に撮影したものなので、ライティングもなしでわかりずらいかもしれませんがご容赦ください。

             

             

            まずはままねこさんのご紹介ですが、お住いは静岡県で、筥迫工房の講習会には2016年から通っていらっしゃいます。

             

            日本刺繍を始めてまだ4年だそうで、それでここまで細かい刺繍ができるようになるというのも素晴らしい。

             

            ネットの「日本刺繍」で検索して、そこに出て来たのが今の刺繍の先生と筥迫工房とのこと。

             

            始めは教本を買ったものの、「中身を見て あまりの細かさに気が遠くなり、これは講習会に参加しないと無理」と思い講習会に参加するようになったそうです。

             

            筥迫作るだけなら教本だけでも十分できるのですが、緻密な刺繍の筥迫を作ろうと思ったら、やはり講習会でそれなりの作り方を勉強しないと難しいかもしれません。

             

            最初の携帯裁縫用具入れで、無理だと思ったら筥迫作りも諦めようと思ったのですが、すっかり嚢物と貼り込みの世界にハマってしまいました」(その頃はレベル分けがなかった)

             

            ままねこさんの刺繍の先生(男性)は、残念ながら筥迫にはあまり興味がなさそうです。

            その先生に何とか刺繍の筥迫を認めてもらいたい!そんなままねこさんの筥迫奮闘記です。

            (以下、青字ままねこさんご自身のコメントです)

             

             

             

            菊の筥迫(トップ画像)

             

            昨年の9月に新しくなった「縢襠付筥迫」の講習会に参加させていただき、刺繍裂での仕立てについてヒントをたくさん貰いました。


            帰ってからプリント生地でも復習していたのですが、刺繍筥迫への想いがつのり、あり合わせの留袖地に余りの刺繍糸で思いつくままデザインして、今出来る技法で刺繍し 初めて玉縁を入れて仕立てたものです。


            来年の娘の成人式には刺繍筥迫を!の思いで刺繍をがんばってきましたが、刺繍の先生が「筥迫」にあまり理解がなかったので、それなら まずは実物を見てもらうのが一番いいのではと、出来上がった筥迫を刺繍の先生のところに送ったところ、とても驚かれました。


            しばらくは 娘の成人式用の筥迫作りに専念する旨を伝え、めでたく認めていただきました!

             

            幻想的な美しい菊模様の縢襠付筥迫です。

            日本刺繍には組紐ぬいというものがあるのですが、ままねこさんはこの菊の花びらを「四つ組ぬい」で表現されました(すごい細かさ!)。

            菊の陰部分は「菅ぬい」です。いやはや、、、。

             

             

            花角鹿

            花喰い鳥

            いよいよ成人式用の筥迫を意識してのデザインです。

             

            正倉院宝物の模様の中から、吉祥文様を私なりの解釈で二点、「花角鹿」と「花喰い鳥」。


            ちょうど クリスマスシーズンだったので、鹿がトナカイっぽくなって駆けております。


            「花喰い鳥」は「松喰い鶴」の元になった意匠。
            成人式用なので、「鶴」は遠慮して 結婚式までとっておきます。

             

             

            夜桜

            鹿と鳥の刺繍が終わりを迎えるころ、季節柄、そうだ!桜だ!と思い立ち出来たのが なぜか 夜桜 という成人式用にしては艶やかな筥迫です。


            私は、桜はソメイヨシノよりも 赤い葉と一緒に咲く山桜にいとおしさを感じます。


            月に照らされて咲き始めた山桜、花は二輪、これから咲く蕾がたくさん。
            月もあと少しで満ちる上弦の月です。
            人生のピークはまだこれから、たくさんの花を咲かせてほしいとの願いを込めて。

            で、母はこんなにも思いを込めて筥迫を作ったのに、
            娘からは

            私の着物の柄は椿だから」

            という理由で すべて却下されてしまいました、、、!


            それならと、先日 なんとか椿のデザイン、半襟用も一緒に完成しましたよーー!


            今回は娘にも了解を取り付けて(最初からそうすべきでした)、近々制作に取り掛かります。

             

             

            以上です。
            そして 椿のデザインが終わったので、昨日から次は「三段口」と決めて デザインに取り掛かっています。
            刺繍の先生には了解を得たので しばらく筥迫作りに没頭できそうです。

            また運良く講習会に参加することが出来たら いろいろ持って行きます!

             

             

             

            やっと先生の理解と了承を得るに至り、現在のままねこさんの心境は「感無量!」だそうです(笑)。

             

            私自身は日本刺繍は貼り込みの仕立てを理解するために始めたので、どうしても仕立て寄りになってしまい、なかなか刺繍に打ち込めない。

            周りの人たちからは、そろそろ刺繍はあきらめたら?と言われる始末。

             

            自分はなかなか日本刺繍の筥迫作品が作れなくとも、代わりにままねこさんのように装飾筥迫の作品を作る方が徐々に増えて来たことは夢のようです。

            (いつか筥迫作家さんが出てくるのが自分の夢!と昔語っていたような)

             

            小さなところから始めた現代の筥迫という文化が、周りの人の力を借りながら、細く長く、そして広く、続いて行ってくれることを願ってやみません。

             

             

             

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            【2018.05.29 Tuesday 23:21】 author : Rom筥
            | 日本刺繍の筥迫 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            新講座『籠千代田お針箱』(旧名称:雅籠裁縫道具入)
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              今年新規の講座として登場する「雅籠裁縫道具入」を、

              「籠千代田お針箱(かごちよだおはりばこ)」

              に改称してご紹介させていただきます。

               

               

              講習会では人気の「携帯裁縫道具入」講座もありますが、実際に家で使う裁縫道具入れは、複数の色糸を一緒に収納しなければなりません。

               

              当初、私自身は手元にあった安価な籠に簡易な袋を付け、色糸と針刺しを入れただけの裁縫道具入れを使っていました。

               

              しかし、袋物を教えている人間がこんな適当な裁縫道具入れを持ち歩いて恥ずかしくないか?という気持ちに苛まれ、意を決して凝り性全開で作ったのがこのお針箱でした(初めはあくまで自分仕様)。

               

              いかにして縫わずに嚢物を作るかが貼り込みを専門とする私のテーマですが、それでも力がかかるところで針と糸を持つ場面からは免れない。

              とはいえ、がっつりお針仕事をするワケではないので、最低限の色糸、針山、マクラメピン、指貫、糸切りハサミさえあれば十分。

               

              身蓋一体型なので、持ち運ぶときや使わないときは、巾着をキュッと締めるだけでまとまります。

               

              巾着はコンパクトに折り畳める仕様なので、開いた袋が邪魔になることもない。

               

               

              「紐飾り」は結びにした方が閉じた時のバランスは良いのですが、畳んだ時に邪魔になりそうだったので、飾りの細工で処理しました。

               

              糸切りバサミはストラップがないと取り出しにくいので、ここは「しじみの根付」を付けることに(総角の帽子付)。

               

              通常は中の仕切りを表布と共布で作りますが、今回使った古い縮緬は硬めのシボで滑りが悪かったので、針箱の下は内布を貼ってみました。

              このような型は、ある程度滑りのよい薄手の生地を用いた方が使いやすいですね。

               

              このお針箱にはすでに弱っている古裂を使っているので、現代の裂を使うよりは劣化は早いでしょう。

              その場合は、仕切りははめ込んでいるだけなので簡単に取り替えられますし、巾着も取り外して作り直すことができます。

               

               

               

              二段構造の針箱

               

              当初、針山は一段でしたが、「加賀ゆびぬき」を作っているNさんに

              「これが二段で下に指貫を入れる形だったらいいのに」

              というアドバイスをいただき、二段構造の針箱にバージョンアップ。

               

               

              アタの籠はバリで作ってもらったものですが、出来上がってきた籠がちょっと小さめで、仕切りのサイズを調整したため指貫は入っても3個ぐらい。

              (前回「タイ」と書きましたが「バリ」の間違いでした。

               すみません、、、沈

               

              手作りによる個体差があるので、誤差は仕切りの長さを調節します。

               

               

              結びに必要なマクラメピン

               

              このお針箱の特徴は、飾り結びを作るために必要な「マクラメピン立て」があることで、この納め場所をどう作るかが一番の課題でした。

               

              マクラメピンは針山に刺せないので、これだけ別の箱に入れて持ち歩くのが面倒で、なんとか針山の側にあって簡単に使えないかと試行錯誤した結果この形にたどり着きました。

               

              ※マクラメピン立てはあくまで貼り込み作業者仕様。

              一般の方へのプレゼントなら、ピン立ては付けないで処理するとよいでしょう。

               

              日常生活で携帯するなら「携帯裁縫道具入」。

              お針を使う講習会には「籠千代田お針箱」で持ち運ぶ。

               

              携帯裁縫用具入れが「おままごとの世界」とすれば、この籠千代田お針箱はさしずめ「道具(ドール)ハウスの世界」といったところでしょうか。

               

               

               

              「籠千代田お針箱」に改称したワケ

               

              日本袋物史では、「信玄袋」のコキを使わない形を「千代田袋」と言っていますが、カジュアルな袋に対してフォーマルな(女性用の)袋という感じかと思います(袋物概史では「上品な布地を用いた高尚なもの」と有)。

               

              この千代田袋に籠が付いた型が「籠千代田」になるのですが、袋物の本の中にはこれを「利休袋」とするものもあります。

              しかし、籠がなくても利休袋といっている本も有りで、いったいどれが正解なのさ。

               

              懐中物でも「利休紙入」というものがあるのですが、この形が一般的に利休型で通用していたかは少々疑問です。

               

              Rom筥的には、それぞれの流派で、一般的によく使われる型のものに「利休」という愛称を付けたのではないかと解釈しています。

              (利休紙入=念珠入れの型に深口が付いたものに多い)

               

               

              また、この手の巾着袋には、口の処理として「通し紐(通し襠?)」「布ループ」「口ベリ」を使ったものがあります。

               

              受講者には「通し紐を使う袋がいい!」と言われそうですが、紐やループは閉じた時に針をひっかけそうなので却下。

              中の裁縫道具がガチャガチャと動かないように布でしっかり押さえつけたかったので、布に紐を通す形にしました。

               

              このような場合は「口べり」(巾着の紐を通す部分に別の布をつけたもの)を付けるのが一般的ですが、この型は口べりを付けることが難しいので、あえて付けていません。

               

              実際のところ「千代田袋」の口は絶対これ!という確証がなかったので、当初は勝村左右治(かつむらそうじ)先生の本にあった、利休でも千代田でもない「みやび籠」という曖昧な名称をいただいたのですが、このブログを書いている最中に、古き良き名称を復古してみるのもいいかなという気持ちに至り、改称させていただきました。

               

              信玄袋に籠がついたものを籠信玄といいますし、千代田籠ではなく籠千代田という響きが個人的にツボです。

               

              ついでといっては何ですが、携帯裁縫用具入れと名称がダブルのは紛らわしいこともあり、お硬い響きの「籠千代田」に対して、優しい響きの「お針箱」を当てました。

               

              「籠」と「箱」が被ってしまいますが、表は籠千代田、開ければお針箱という二面性のある袋物ということでご理解いただければと思います。

               

               

               

              「籠千代田裁縫道具入」のレベルは?

               

              前回の紹介で「貼り込みというより工作ぐらいの気楽さ」と書きましたが、作り方の資料を作り始めると違った難しさが出て来ます。

               

              人に作り方を教えるということは、完全に「理屈」の世界です。

               

              自分で作っているときはさほど難しさは感じなくても、「人に説明する」という工程が入ると、製図がやたらと複雑になり、全てに辻褄を合わせていくとやたらと難しい物を作っている気分になります。


               

              布を貼って作る箱といえばカルトナージュですが、日本固有の趣味で作る袋物ではたぶんあのような作り方はしないと思うので、あくまで自分が思う貼り込み的な考え方で作っています。

               

              これまでの金封袱紗を基本にした懐中物の貼り込み方とは異なり、仕切り部分はあくまで箱物の作り方。

               

              考え方さえわかれば工作の世界なのですが、今までの袋物とは違う考え方が出てくるので、初めての人にはちょっと複雑に思えてしまうかもしれません。

               

               

              筥迫工房の講習会はステップアップ講習なので、型によっては基本からの応用形というものもありますが、その他は「どのレベルの人なら1日でできるか?」を基準に考えています。

               

              このお針箱は「中級レベル」ならできるのではないかと思っているのですが、何ぶん今回が初めての講座なので、実際に受講された方の様子を見て、難しいようであれば上級にする可能性もあります。

              (どのぐらい時間がかかるかわからないので、とりあえず初回に参加予定の方は終了19:00で考えていてください)

               

               

              こんなものでも講習会で全て作るとなると二日がかりになってしまうので、「巾着部分」はご自宅で作業してきていただきます。

              今まで縫い物の説明はしたことがないので、皆さんにどう伝えられるかちょっと不安はありますが。

               

              通常の貼り込み準備のように、前の日に慌てて作業するのは難しいと思うので、余裕を持って作業してくださいね。

              自宅作業から講習会が始まっているような講座だと思ってください。

               

              また、表布、内布はご自身で用意していただきますが、今回の巾着の「紐」は筥迫工房のショップでは扱っていません。

              指示された別のお店から各自購入していただきます(この打ち紐は「式部型小物入れ」にも使用)。

               

               

              開催日は8月18日、お申込みは7月19日からです。

              『籠千代田お針箱』の詳細はこちらからどうぞ。

               

              は〜、これでやっと今年の新規講座の詳細が揃いました。

              やっと本来の仕事に入れる、、、。

               

              初回は籠が入手できず中止になってしまいましたが、もし後半で入れられるようであればどこかで臨時で入れたいと思ってはいるのですが、後半はけっこうスケジュールが詰まっているので、もしできたらということで、そのときはまたブログで告知させていただきます。

               

               

               

              筥迫工房の材料販売(ネットショップ)

               

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              【2018.05.22 Tuesday 14:49】 author : Rom筥
              | 筥迫講習会・研究会 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |