『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
クリスマスの馬小屋
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    私は小さい頃から教会に行っているので、12月に入るとクリスマスツリーよりも、まずは「馬小屋!」でした。
    馬小屋というのは、キリストの聖誕シーンのお人形たちのことです。
    たぶんカトリック教会なら、どこに行っても見ることができます。


    これは私が中学生ぐらいのときに、親にねだって買ってもらった人形たちで、毎年玄関に飾っています。
    大人の人形で7cmぐらいの小さなものですが、樹脂製なので、長年の間に落として欠け、ぶつけて欠け、、、とかなりかわいそうな状態です。
    でも愛着があるので、なかなか捨てられません。
    人形以外のセットは全て手作りです。
    高校生の頃、別の舞台が作りたくて、これとそっくり同じ人形を粘土で作ったことがありました。
    今考えてもかなり精密な出来だったと思いますが、細かい工作物が大好きなのは昔も今も変わりません。


    これは娘が生まれた時にお祝いにいただいたアンリ社の馬小屋です。
    いただいた方から「これしかあげられないから、あとは自分で揃えて…」と言われたのですが、大きさにして12〜13cmほどのものながら、木彫りでかなりいいお値段のため、未だに1体も増えていません(苦)。
    今年は円高で一気に2〜3個ぐらいまとめて買おう!と意気込んでいたのに、結局、筥迫が忙しくて、気がつけばすでに12月。
    娘はほとんど関心ないのでいいのですが(笑)。


    そして、ここ3日ほどかけてセットしているのが、この馬小屋。
    でかいですよ〜。
    大人で一体1mぐらいありますかね。急にスケールが違います(笑)。
    木彫りの関節人形です。
    ヘタに関節が動くものだから、ポーズを変えたくなります(常に凝り性)。
    そんなワケで、毎年3つの場面に分けてセットを変えています。
    これは、羊飼いたちが救い主が生まれたことを天使から告げ知らされてベツレヘムに向かうシーンです。
    次は、クリスマス直前に行って大急ぎでキリストが生まれたおなじみのシーンに入れ替えます。
    最後は、年明け前に三人の博士たちを入れます。
    お正月には博士が入っていてほしいと言われ、クリスマスミサが終わると大急ぎで入れ替えます。
    まるでデパートの早変わり展示のようです。

    この馬小屋は、東京都東久留米市の聖グレゴリオの家というところで見られます。
    【2010.12.13 Monday 23:52】 author : Rom筥
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    これぞ色気の三人官女
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      我が家で一番に春を告げる場所、それは「玄関」に艶やかに登場する三人官女です。


      本当は我が家のメインの雛人形をアップする予定でしたが、今年一緒に雛祭り祝いを予定していた友人に突然の不幸があり、大きな雛飾りも、連日のお祝い騒ぎも全て取りやめることにしました。
      しかし娘が悲しむので、ほんの気持ちだけ玄関のみに飾りを出すことにいたしました。

      戦前の雛人形は、今のようにセット販売はしていなかったそうです。
      まずは初節句に内裏雛を買って、親戚から他の雛をもらって、翌年は…と増やして行ったと聞きます。
      統一感のないお飾りのようですが、だからこそこの頃の雛人形には単品で飾っても充分存在感のあるものが多く、それが面白くてかつては三人官女や随身を何セットも揃えていましたが、さすがに家人には相当のヒンシュク。
      今ではほんの少しの選り抜きの雛が残っているだけです。
      そのかわりと言っては何ですが、家中筥迫が散乱していることには変わりがない(笑)。
      どうも、とことん集めたり作ったりして、最後の最後に気に入ったものをほんの数点残せば満足という性格のようです。

      最後に残ったお気に入りがこの三人官女。
      とてもよい出来なのに銘がないところがちょっと不思議で、つい職人の奥ゆかしさに結びつけてしまいます。
      特に立官の艶かしさはいつ見てもうっとりです。


      「科(しな)を作る」とはまさにこの姿のことですね。
      とは言っても「しな」なんて最近ではあまり使われなくなった言葉なので、とりあえず辞書で調べてみました。
      ・(身分が高いことを示すような)優雅なおかしがたい感じ。
        物の風情・情趣。ひん。
      ・(人の心を引きつけようとする)気取ったしぐさ。
        なまめかしいしぐさ。
      この重心の置き方が、いかにもという感じで好きなところ。

      玉眼に白目部分がほとんどない黒が神秘的。
      うっすら開いた口の中には極少の歯が並びます。
      三人官女には色々なタイプがありますが、中央の三方が「おたふく顔」というものを見たことがあります。
      最近のものは、座官が中央(三宝・島台)、左右が立官というパターンがお決まりですが、昔のものは、誰が立つかは色々なパターンがあります。
      雛人形展などを見る際に、こういう違いを見るのも面白いものです。
      昔の雛は遊び心満載で、職人が技術を磨きやすい時代だったのかもしれませんね。
      現在は派手な打ち掛け姿がほとんどですが、昔の官女はこの白衣に緋の長袴をつけた「三白(もしくは小袖袴)」という衣装でした。
      梨木香歩の「りかさん」では、主人公の陽子ちゃんがこの三白姿の官女を「働く女性の清々しさを感じて好き」と言っていました。
      まさに同感です。

      ちなみに、雛祭りの花と言えば「桃」「菜の花」が定番ですが、三人官女を飾り始めるのがちょうど私の誕生日(2月半ば)の頃で、毎年家人が私の大好きなミモザとマーガレットをプレゼントしてくれます。
      今年はその時期にミモザがなかったらしく、今頃になって買って来てくれました。
      官女さんのバックに飾ってみましたが、赤に黄色がよく映えます。

      悲しい気持ちが、春の飾りで少し慰められたような気がします。
      【2010.03.03 Wednesday 10:28】 author : Rom筥
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      新年を彩る雅な楽人
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        明けましておめでとうございます。
        筥迫工房開店休業のまま年が明けてしまいました。
        年明けの家族親族ご奉公が終わりましたら、また筥迫街道まっしぐらでがんばりますので、
        本年もどうぞよろしくお願いいたします。

        さて、トップ画像に掲載いたしましたのは、我が家のお正月飾りです。
        私は昔からアンティークの雛人形が大好きで、
        筥迫を始めるまではかなり熱烈に収集していました。
        とはいえ、東京の狭いマンション暮らしで泣く泣く処分を余儀なくされ、
        今ではお気に入りの数点だけを残してその余韻に浸っています。
        その点、筥迫はどんなに多くても一つ一つが小さいので助かりますが、
        それでさえ現在は山となって散乱するに至り、
        試作品等は段ボール一杯になるとさすがに処分することにしています。
        しかし作品として作ったものはさすがに処分することもできず、
        常に保管に悩まされる人生です(苦笑)。
        そんな訳で、筥迫以外に雛の話題もかなり出て来ることとは思いますがどうぞお許しください。



        こちらの雛は『楽人(がくじん)』といいます。
        一般的な雛人形では「五人囃子」にあたるものです。
        こちらの楽人、どこか様子が違うのがおわかりになるでしょうか。
        そう、「子ども」ではなく「大人」なのです。
        もう一つの大きな違いは、『能』の楽器を持つ五人囃子に対し、
        楽人は「火焔太鼓」「鞨鼓」「笙」「龍笛」「篳篥」という『雅楽』の楽器を持っていることです。
        この雅な雰囲気がお正月にぴったりで、我が家ではこの時期に楽人を飾ることにしています。

        この楽人をつける内裏雛は「有職雛(ゆうそくびな)」と言います。
        有職雛とは、古来宮中に伝わる有職故実に基づく衣装の着せ方でできた雛のことで、
        かつては皇族やお公家さんたちがお持ちになるものでした。
        現在では有職雛は雛人形の一つの種類として売られているのであまり有り難みはありませんが、
        アンティークと呼ばれる時代の楽人は、有職雛を持てる人が限られていたため、
        あまり数が出ません。



        この楽人は「芥子雛」と言われるとても小さな人形です。
        高さが8cmぐらいで、顔などは指先ぐらいの大きさしかなく、
        手先の細かさなど職人技を感じずにはいられません。
        小道具も今時の雛の小道具では考えられないほどの緻密な作りです。
        今どきの華美な雛人形を見慣れている目にはとても地味に見える衣装ですが、
        大変重厚な生地を用い、袖からのぞく深紅の内袖が
        格調高い雰囲気をかもし出しています。
        飾り台もあえて塗りではなく、欅と銀杏を使い分けて素材の違いを出しているなど、
        この時代の粋が小さな世界に凝縮された一品です。
        筥迫にしても雛にしても、昔の職人の心意気、その偉大さに敬意を払わずにはいられません。

        実は私はこの楽人をつける有職の内裏雛を持っていません。
        この時代は今のように雛人形をセットで販売していませんでした。
        単体でそれぞれ買い揃えたのですが、それだからか単体であっても充分に存在感があり、
        それだけで飾ってもすばらしい人形がたくさんあるのです。
        【2010.01.03 Sunday 11:02】 author : Rom筥
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