『筥迫工房』のブログ 筥迫の作り方と材料の販売 筥迫!箱迫!箱セコ!ハコセコ!はこせこ! 管理人:Rom筥
 
日本刺繍の筥迫『婚礼高肉牡丹蝶々』
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    作品展に出品した作品のアップをすっかり怠っておりました。
    今回は婚礼用筥迫のご紹介です。

    装 飾:日本刺繍『婚礼高肉牡丹蝶々』(製作:Rom筥)
    仕立て:平肉・挟み玉縁 折り襠縢付 仕立て
    飾り結び:人五紐筥迫用 <白>撚り房筥迫大人用
    緒締め玉:天然石<真珠> 8mm玉
    びら簪:アンティーク
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    こちらの作品は、以前ご紹介した『留袖に懐中物 〜花嫁の母 H.Yさんの作品〜』と連動して制作したものです。
    ことの発端は「結婚式に筥迫がしたい〜」のH.Yさんの一言。
    ただ問題は、H.Yさんご自身は遥か昔に婚礼をすませた方だということ(汗)。
    つまり、ご自分の息子さんの結婚式に、花婿の母として、留袖に筥迫がしたい〜ということ。

    う〜ん、いくら筥迫伝道師のRom筥もそればかりは、、、と押しとどめ、折り襠付紙入れ(念珠入れ)を作ることをお勧めしました。
    そして、H.Yさんの希望をほんのちょっと叶えるため、花嫁とお揃い(の図案)というアイデアを盛り込み、花嫁用の筥迫をRom筥が作ることにしました。



    牡丹と蝶々というのは、筥迫のびら簪の平打ち部分によくある図案です。
    H.Yさんの母の紙入れは、通常の刺し縫いで仕上げてもらい、私が作る花嫁の筥迫は「白」なのに「派手」をコンセプトにして制作することになりました。
    そして、色を抑えて派手な印象にするために、刺繍を「盛り上げる」ことにしました。

    刺繍を盛り上げてより立体的に表現にするために、日本刺繍では「肉入れ」という技法を用います。
    太めの木綿糸で肉となる芯を作り、その上から刺繍をするとふっくらとした立体感が出ます。

    江戸時代の筥迫にはこのような肉入れの刺繍が施されていて、それに憧れて真似てはみるのですが、二段、三段と盛っても思うような盛り感には至らない。
    私がしたいのはふっくら感なんてものじゃなくて、ごてごてのインパクトある立体感。

    そこで思い立って芯に使ったのが「フェルト」。
    これを二段、三段に重ねていくと、面白いように立体的な刺繍になりました。
    フェルトなので刺し縫いもできるし。
    ただし、それなりに細い作業なので、好き嫌いは分かれると思います(私は楽しすぎて夢中になってしまったけど)。
    牡丹はより立体的になるように工夫した肉入れをし、蝶々は平面的にぺったりと肉入れしました。

    このような立体刺繍は通常の着物や帯で使われるものではなく、どちらかというとお相撲さんの化粧回や、祭礼で使われる幕などで専門の職人さんの手によって作られているものです。
    長崎刺繍も最近どこかで展覧会やっていたようですね(見に行きたかった、、、)
    もちろん本格的な立体刺繍は古綿だとか張り子紙だとかを使うものであって、私のように安易にフェルトなんて使いませんけどね(笑)。


    中もH.Yさんの作った母の紙入れとお揃い。
    日本刺繍なら折り襠を付けてきちんと作りたい。


    簪刺しもワンポイントでなく、断ち切り柄で派手に。
    裏面も牡丹と蝶々。
    牡丹は菅縫いで軽く仕上げました。

    最近は日本刺繍を施した裂には、天然綿を使った綿入れではなく、平肉で柔らかい面に仕上げるようにしています。
    平肉には「ネル」を使っていますが、もう少しいい素材はないか模索中です。

    江戸時代はしっかりとした高肉で装飾されていた筥迫も、明治以降は面自体を綿によって盛り上げるようにして、なんちゃって高肉の雰囲気を残しつつ大衆化されていったのかもしれませんね。


    最近、日本刺繍の筥迫は左のサイズで仕上げるようにしています。
    右は前回の作品展に初めて出した筥迫で、これが通常サイズ。

    かなり大きさが違うように見えますが、中に入れてしまえばほとんどその差はわからない程度。
    でも日本刺繍の図案を描くのに、この通常サイズはあまりにも小さくて作品になりにくい。
    もちろん昔の筥迫にあった大きさを元にしているので、実際に使われていたサイズでもあります。
    昔の人はもっと背も低かったのに、こんな大きな筥迫を入れていたんですよ(日本髪をゆったら今の人ぐらいの身長にはなるのかもしれませんが)。
    娘の十三詣りの筥迫もこのサイズでしたが、ほとんど違和感なしだったので実用できます。


    筥迫の迫力

    私が筥迫を作った際に一番初めに感想をもらうのが家族たち。
    今回は通りすがった家人に「どうだ!」と印籠のように見せつけたところ「(Rom筥が付けるには)迫力が足りないね。」

    つまりこの筥迫を付けるなら、見るからに立派な存在感のある人でなければ似合わないと。
    もちろん花嫁の筥迫ですから、特別な衣装をまとった人ということでその意図にはあっていると思うのですが、私がイメージしたのは、恰幅よく胸を張って堂々と歩いているような(そんな地位にある)おばさん、、、、。

    う〜ん、正直花嫁さんより、そんなおばさんにこそこの筥迫を付けてもらいたい〜と思ってしまったRom筥でした。

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    【2015.08.02 Sunday 17:47】 author : Rom筥
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    日本刺繍の筥迫『赤地白細菊』Rom筥作品
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      装 飾:日本刺繍『赤地白細菊』(製作:Rom筥)
      仕立て:平肉・折り返し 三段口扇襠 筥迫仕立て
      打ち紐:筥迫用 <緑系> 千草 江戸打ち紐(22)
      緒締め玉:天然石<チャロアイト> 8mm玉
      びら簪:アンティーク
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      久方ぶりのRom筥作品です。

      この図案は、私が昔手に入れた筥迫が元になっています。
      すてきな図案!刺繍もうまい!なのに仕立てがまずい!というのが残念な一品でした。
      あまりにももったいなくて、この図案にあった型があるはず!と、いつかこれを私なりに再現することが夢でした。
      今回の作品展でそれがやっと実現したというワケです。

      私が図案を描くと、画面をびっしり埋め尽くしてしまうのが常ですが、これはうまく空白を使ったあっさりとしたデザインが秀逸です。
      もちろん私なりに図案に手を加えていますが、それでも元の図案の雰囲気を壊さないよう心掛けました。


      あっさり見えても、被せを開くと実は手が込んでいるというのが、この筥迫の特徴です。(オリジナルは被せ下に柄はない)

      何と、たった1〜2cmの菊の下の図案を見せたいがために、被せ下にも同じ図案を続けています(完全に同じではないのですが)。

      しかしこうしてみると、なんかヤクザな雰囲気が〜(入れ墨を連想するのは私だけ?)。


      つまり表は三面柄合わせなんですね。
      作品展なので、このぐらいしないとつまらない。
      でも、実際は閉じたまま展示するので、筥迫を作っている人でないとなかなかわからないと思うのですが、そこは袋物職人の心意気ってやつです(笑)。


      装飾筥迫と違い、この『三段口扇襠筥迫』は底や山に「角」を付けていないのですね。
      つまり「箱型」ではないということ。
      芯も薄めを使って、柔らかい雰囲気を出しています。
      角がないので、天面、側面ともしっかり柄が見えて、刺繍のデザインがしやすい型です。

      実はこの筥迫で一番悩んだのが「襠」の色合わせ。
      繊細な図案なので派手な色は使いたくない。
      表布をそのまま使おうかとも考えましたが、あまりにも平凡すぎる。
      しかし作品展まで時間もないので、手持ちの布で間に合わせるしかありません。

      とりあえず、その他の色を決めてから最後に襠を決めることにしました。
      まずは打ち紐の色から。
      これは「千草」で決まり。
      緒締玉は、日本刺繍の筥迫なので、是非「天然石」を使いたいところです。
      手持ちの石の中から、インスピレーションですぐに「これ!」と決めたのは「チャロアイト」。
      三大ヒーリングストーンの一つですね。
      この石すごく好きなのですが、個性があって今までどの筥迫にも合わせられなかったのですが、意外とあっさりデザインに合うのかもしれません。

      千草は江戸打ちなので、かなり大きめの穴を空けなければならないかと心配しましたが、意外と硬度は高くなかったので、穴開けはあまり問題ありませんでした。


      緒締が決まったところで、襠の色合わせもあっさり解決。
      薄い紫が入った鹿の子柄で決まり。
      紫は全面に入れたくなかったので、上半分に入るように柄取り。

      巾着の結びは二重叶結び以外のもので〜と考えて「蝶々結び」にしてみました。
      上の羽を横に潰した形で、蝶々というよりは蝉か蜂みたい。でもいい感じです。


      中はこんな感じですね。



      実は裏にも柄合わせされていたりしてびっくり
      返してびっくり、恐怖の5面柄合わせなのでした、、、。


      裏を合わせるのはホント難しいんですよ。
      刺繍も仕立ても難しいことはやっていないのですが、とにかくこれは柄合わせをするためだけに、いくつも試作を繰り返しました(たった一枝のためなんですけどね、、、)。
      それでも布の貼り方だけでもずれてしまうので、完全には合っていないのですが、そこは肝要な気持ちで(オリジナルも合っていないし)。

      でも、とりあえずは出来たので、めでたしめでたしということで


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      【2015.06.16 Tuesday 23:56】 author : Rom筥
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      日本刺繍作品展 初日報告
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        本日、お針子会日本刺繍教室作品展の初日が無事終了しました。

        画像をアップしたかったのですが、カメラを会場に忘れてきてしまい本日は画像なしで(これでも)短いコメントを。

        前回の筥迫コーナーは8点の展示で、それらをただスタンドに並べただけだったのですが、あの当時はまだ自分自身が筥迫刺繍を始めたばかりということもあり、展示の方法まで全く頭がまわらなかったのですが、今回は私が関わった袋物18点プラス5点と数が多かったことから、展示をどうしようかと相当悩みました。

        通常、日本刺繍の作品展といったら着物や帯がメインで、あとはバッグや半襟刺繍、額などが「小物」の範疇。
        しかし筥迫はそれらの小物より更に小さい。
        これを同じレベルで並べるとかなり貧弱になってしまうので、やはり展示方法は考えなければなりません。

        そこで前回見に来てくださった方からの「背景は黒がいいのでは?」というご意見を思いだしました。
        もしかしたら、私がブログに掲載する画像のバックがいつも黒だったのでその印象があるのかもしれませんが、実際もその方が筥迫の存在が際立つのではないかと考えました。
        そして、スタンド置きはびら簪の流れが垂直にならず本来の雰囲気が出ないことから、壁面に垂直に留める方法してはどうかと考えました。

        その結果、何とかイメージに近い形で展示することができたかなと思います。
        ただ、当日、飛び込み参加の作品があったことから、予想外に詰まった雰囲気になってしまいましたが、スカスカよりはまだいいだろうとの判断により、他のコーナーよりかなり密度が高い状態での展示になりました。

        来てくださった方々の半分以上は日本刺繍関係者でしたが、このブログを見て来てくださった方もかなり多く、毎回こんなにコテコテの長文を書いているにもかかわらず、けっこう読んでくださっている方が多いということにも驚きました。

        「ブログを見ていると、見に来てくださいオーラがすごくて、つい見に来てしまいました〜」

        いやはや、オーラ出し過ぎてごめんなさい。
        ブログの画像に関してはなかなか思い通りの作風に撮影することができず、本物はこんなんじゃないのにな〜とストレスに感じることが常日頃から多かったので、自分の技術はさておき、やはり本物を見て欲しいという気持ちが強くありました。

        それなのに、直前まで制作に追われて色々な人に作品展のご案内葉書を全く送れず、実は今回の作品展の葉書が手元に届いた方は刺繍教室の方から送られたものなので、コメントの一つも入れられず申し訳ありませんでした。

        遠くて来られない方のために、明日は何とか少しの画像ぐらいはアップできればと思っています。

        刺繍関係者は一様に「筥迫の刺繍がしてみたい!」と言ってくださるので、それはそれで大変うれしいことではありますが、刺繍教室メンバーのお友達という方から「刺繍をしてみたいとも筥迫を作ってみたいとも思わないのですが、これは見ているだけで幸せな気分になりますね」というお言葉をいただきジーンとしてしまいました。

        筥迫なんて、世の中にあってもなくても何の問題もない物だとは思うのですが、「ただ見ているだけで幸せな気分になる」というのが、今の私にとって一番の賛辞なのだと感じました。
        ありがとう、そう言っていただけるだけで本当に幸せです。

        作品展はこれからまだ3日間続きます。
        私は毎日いますので、ブログを見てきてくださる方がいらっしゃいましたら、是非お礼を言いたいのでお声を掛けていただければ幸いです。

         
        【2015.05.16 Saturday 23:28】 author : Rom筥
        | 日本刺繍の筥迫 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        近頃刺繍で頭がいっぱい
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          このところ作品展に向けて刺繍の追い込み作業に入っています。
          しばし他の仕事は後回し。
          教本改訂版もずるずると引き延ばしでホント申し訳ない。

          作品展の前に何点かブログにアップして宣伝しようとは思うのですが、刺繍教室の方から今月末までにあがってくる作品展用の仕立てを5月前半でまとめて作業しなければならないので、筥迫に仕立て上げた作品をゆっくり解説している余裕がない(苦)。

          そんなワケで、しばし作業経過と画像だけでご勘弁を。
          作品解説は直前で余裕があったらブログにアップすることにします。

          刺繍はネット上にアップできるほどの実力はないので、この状態で公開するのはホント嫌なのですが、アップできる素材がないのでしかたない、、、(ハギレを無理矢理継ぎ足して貼っているので、更に見苦しいですが)。


          3月末に月とキリギリスの刺繍の途中経過を書きましたが、昨日やっと終わりました。
          やたらと時間がかかった理由は、刺してはほどいてを繰り返しているから。
          自分のイメージ通りに刺繍できない(技術がない)ことが今一番のストレス。


          一番目立つ「虫籠」は懐中に入る部分で、これはもちろん意図してのこと。
          本当の主役は「キリギリス」で、襟元からは出るけれど一目でわかるようにはしたくないというのがこだわりどころ。
          やり直しすぎて、これ以上ほどいたら穴があく、、、という直前で何とか決めることができました。

          「月」部分はイラストで書き下ろしたイメージは白だったので、当初は一掛銀糸の菅繍いで表現したのですが、どうしても気に入らなくて、結局全てほどいてやりなおし。


          今回左画面でいい仕事をしたのが一掛の「五色金」。

          日本刺繍の糸は膨大な色数があるのですが、それに花を添える多種多様な金糸銀糸があって、ホント日本人ってマニアックだな〜と感心してしまいます。


          私が持っている一掛は4種類のみ(左は撚り金)。


          右半分の虫籠でいい仕事をしたのが四掛の「黒金」。



          一掛金糸はそのまま針に通して使いますが、太い四掛になるとコマに巻いて綴じ付けて使います。
          虫籠はリアルな金属を表現したかったので、先生からお勧めされた「黒金」に大満足。
          これで私が持っている四掛の金糸は5種類になりました。
          左から、銀糸、薄金、金糸、マジョリカ、黒金。


          絹糸や金糸の輝きは、光源の向きによって表情が変わるので、写真でこの輝きを表現するのはかなり難しい。
          月は「おぼろ月」を表現するためにかなり落ちた色味の金茶を使っているのですが、私からは目立つな〜と思っていても、反対から見ている先生には全然目立たない〜と言われ、反対側に回ってみるとあらホント。
          角度によって暗く見えたり派手に見えたり。

          結局、日本刺繍の作品は直接見ないとホントの良さはわからないのではないかと思います(私の作品レベルでこんなこと言うのはすごくおこがましいのですが)。

          しかし、筥迫は非常に小さい範囲に密に刺しているので、たぶん来られる方はすご〜く目を近づけて見るわけで、もうホント見てほしくない、けど見に来てほしい、けど、、、(以下ループ)。
          正直今はそんな心境です。

          まぁ作品展では私よりお上手な方の作品がたくさんあるので、日本刺繍の良さはそちらで見てもらって、私の作品は日本刺繍と筥迫のコラボを観賞していただければ、もうそれだけで充分です。ホント(苦)。

          この作品は今日これから仕立てる予定。
          時間があったら小物をもう一点やろうと思っていましたが、刺繍はもうこれでやめにします。
          明日は一年以上かかった江戸筥迫用の刺繍を仕立てます。
          これは難しいというよりやる気がなくて、ずるずると一年ぐらいかけてやって終わったもの。
          やっと日の目を浴びるんだね、君も。


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          第2回 お針子会 日本刺繍教室作品展
          総刺繍の振袖から小物まで
          (帯・着物・半衿・筥迫・バッグ・額など60点)

          2015年 5月16日(土)〜19日(火)
          12:00〜18:30 ※最終日は18時閉場

          場所:ORANGE GALLERY(オレンジギャラリー)


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          【2015.04.20 Monday 10:26】 author : Rom筥
          | 日本刺繍の筥迫 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
          2015刺繍教室作品展に向けて
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            なんかアップ遅くなってすみません。
            ブログを途中まで書いていたところに腰をぎっくりしてしまって、、、(泣)。
            なのに確定申告行かねばならず、、、辛い。

            5月の刺繍教室の作品展のために仕上げた刺繍が3点ほどあるものの、仕立てやその他の仕事に追われて自分の作品は放置状態。
            仕立ては直前でもできるけれど、刺繍は時間がかかるのでとにかく今は刺繍をやりまくるしかない。

            ということで、今回は制作途中のものでもアップしてみようかと。

            腰がやられる直前まで刺繍していたのが ↓

            秋の夜の虫籠です。
            これでシンプルな三段口でも作ろうかと思っています。
            ただし被せ下と胴締めの三面を柄合わせする予定(((;゚Д゚)))
            うまく合ったら拍手喝采、合わなかったらご愛嬌。
            でも日本刺繍を施した段階ですでに実用にはならない。
            実用という名の装飾筥迫です。


            図 案

            図案を描くのは刺繍をするより好きです。
            とは言っても、好きなモチーフばかりに目がいってワンパターンになりがちというレベル。

            その一番手が「房」。
            筥迫では房が好きじゃないのに、デザインとしての房&紐は好き。
            好きなモチーフでばかり作っていると上達がないとはわかっちゃいる、けど使いたい(こうなったら飽きるまで使う)。

            今回のテーマは「秋の夜」ですが、ホントは秋も夜もどーでもよく、とにかく「虫」をやりたかった。
            虫は大嫌いなのに虫の図案は大好き。
            触覚が長い方が絵になるので、バッタではなくキリギリス。
            キリギリスをそのままデザインすると絶対にゴキブリに間違われそうなので、ここは月夜でごまかそう(ワンパターン素材その2)そんな適当さでいつもデザインしています。

            しかしながら、コオロギは夜鳴き、キリギリスは昼鳴くらしいということを後で知る。
            『きりぎりす鳴くや霜夜のさ筵に衣片敷きひとりかも寝む』
            藤原良経の頃のキリギリスはコオロギのことだったそうで。

            図案はパソコンで描いています。
            仕事をしていた頃はPCで絵を描くことに何の楽しさも見いだせなかったのに、今ではPCがなきゃ図案は描けない〜とばかりに頼り切っています。
            配置はPCが圧倒的に便利ですね。

            刺繍でイメージを再現するのだから下図に色は必要ないはずなのに、絵描きのサガで完全に色をつけないとものたりない。
            下図で描き込みすぎて必要以上に時間がかかり、これでPC便利と言えるのだろうか、、、。

            プリントしたものを筥迫型に折り畳んでイメージを確認。

            複写するため、カラーと線画の二つを作ります。


            日本刺繍

            前回の作品展の頃は筥迫の刺繍をやっとやらせてもらえる!というレベルだったので、能力にあった単純な図案にせざるを得ないという状況でした。
            あれから二年半、そろそろ自分がやりたい図案ができるレベルに達したかと自己判断し、好き勝手な図案を描いてはみたものの、いざ刺繍してみるとやはり技術が圧倒的に足りない沈

            私が目指すのは小さな筥迫全体を埋め尽くすような細かい図案なので、手が慣れていないと正直難しい。
            しかし自分の刺繍能力は極めて凡人レベル。
            手のいい人が刺繍したらもっといい作品になるのになぁとため息の毎日です。
            ああ、私のかわりに刺繍してくれる人がほしい、、、。

            一般的な刺繍台は着物や帯を巻き込む部分が必要なのでもっと大きいのですが、筥迫は端切れサイズで充分なので専用に作った台を使っています。

            筥迫専用刺繍台)

            以前の物からバージョンアップして、少々サイズが大きくなり糸止めも付けました。
            大きい台は作業がしやすいのですが、私は気軽に使えるこの台がお気に入り。
            たしか後藤さん(後藤コレクション)も「角枠」を使うとおっしゃっていましたっけ。

            一般的な刺繍台よりも小さいとはいえ、それなりの大きさはあるので、これを抱えて持ち運んでいる姿を近所の人に見られると、

            「何ですか、それ?」
            「刺繍台です」
            「えっ………?」

            対して筥迫の場合は、

            「何ですかそれ?」
            「着物に使う装身具です。」
            「あ〜いいですねぇ…」(←絶対筥迫なんて知らないはず)

            コメントにつまるのが日本刺繍、どうでもいい感満載のコメントをいただけるのが筥迫(笑)。

            日本刺繍はフランス刺繍ほどカジュアルではないので、着物文化に接していないとなかなかお目にかかれないものだとは思います。
            しかし絹糸や多種多少な金糸を使ったきらびやかな世界に一旦入り込んでしまうともうやめられません。

            筥迫を作るだけでも感動される方は多いので、これにまた数倍手のかかる日本刺繍で装飾すると、私のような未熟な腕でも、とんでもなくすごい物を作ってしまったというような錯覚に陥ります(しかし現実に戻るのも早い)。

            そして、ものすごく手間をかけて装飾された裂で仕立てる筥迫は緊張感がハンパない。
            筥迫の仕立てではこの緊張感がものすごく大切で、この緊張感が仕立ての腕を上げてくれるのだと思っています。

            ただただ楽しみのためだけに作る筥迫は急ぐ必要がない。
            現代社会は物事が効率的に動き、ものすごい早さで時間が過ぎ去りますが、刺繍も筥迫の仕立ても時間の流れはひたすらゆっくりと長く感じられます。
            なんだか別世界で生きているような気になります。
            こんな価値観の中で生み出される作品は、その過程にこそ宝物のような輝きを感じられるような気がします。


            生地選び

            筥迫を作る上で最も大変なのは「作る」ことよりも「生地を探す」ことなので、それにストレスを感じ出すと刺繍のような装飾に向かうようになるのですが、現実は刺繍をしていても更に生地選びに難儀することはあります。
            特に今回のように、絵のイメージが先に立ってしまう場合。

            私はネットで布を買うことが多いのですが、画面からでは質感も色も正確にはわからないので、この図案用にずいぶん買い込みました。
            それでも私が思い描く秋の夜のイメージに合う生地にはなかなか巡り会わず、最近になってやっとこの古い大島紬の端切れに出会うことが出来ました。
            こう考えてみると、先に好みの布を買って、その生地のイメージに合わせた図案を考えた方がずっと楽だなと思います。

            そしてさっそく刺繍を始めたのですが、下書きのラインに針を落しているのに全く目が揃わない。
            先生にやってもらっても同じ。
            生地の目が粗くて、糸を締めたときに目が動いてしまうことが原因でした。
            これではこの細かい図案を刺繍することなんてできない。
            やっとのことでイメージ通りの生地を探せたと思ったのに、、、。

            また生地探しの旅に出ようと思った矢先、先生からメールがありました。
            「裏に不織布(接着芯)を貼ったらどうかしら?」
            着物じゃあり得ないですが、筥迫なら接着芯で裏打ちをしても問題はないわけです。
            おかげで俄然やりやすくなりました!

            裏打ちのおかげで刺繍はやりやすくなったものの、紬の生地なのでトレースの線が写りにくいのと、布の地色が暗い上に他の色も入っているので針の先が見えにくい。
            そこで「胡粉」を使って上から書き直してみました。
            はっきりくっきり、なんて見やすい!

            胡粉は線を引いた直前は薄く、後から真っ白に浮かび上がって来るので、できるだけ薄く溶かなければなりません。
            胡粉の上から刺繍をするときは粉が絹糸に付くと艶がなくなってしまうそうなので、刺繍をする部分だけテコ針でカリカリと削り落してから作業しています。

            それにしても、暗い地色に暗い糸でうっそうとした雰囲気にしたかったのですが、かなり落した色の糸でも光が当たるとツヤツヤと目立ってしまう。
            こんなときは絹糸の光沢がうらめしく感じます。


            お針子会日本刺繍部の作品展

            お針子会日本刺繍部の作品展は5月16日〜19日(池袋:オレンジギャラリー)で行なわれます(前回の作品展)。

            そのときにはこの筥迫は出来上がっているはず。
            私が出品する予定なのは、十三詣りの筥迫、竹と雀の二つ折、秋の夜の三段口、婚礼用筥迫&懐剣(未発表)、江戸型筥迫(未発表)、細菊の三段口(未発表)と、これから可能であれば小物セット。

            つる姫さんの三姉妹の筥迫も展示されます。
            みどりさんは、定家文庫2点、間に合えば琴爪入れと紙入れのセット、前回発表の蝶々の筥迫は振袖に合わせられるはず。
            H.Yさんは、紙入れ1点と婚礼用筥迫(未発表)。
            先生は定家文庫1点です。

            こうしてみると前回より点数は多く、種類も多い。
            そうそう、マダムKも今必死に作品展に向けて刺繍しています。
            とは言ってもまだ教室に入って間もないので、まずは課題の2点を仕上げなければならないのですが、どうしても作品展にSDの刺繍着物を出したい!との熱意で、課題と作品展の出品作をものすごい勢いで同時進行しています(教室に入られる前も刺繍はされていたので元々お上手)。

            これでSDの着物も自分で仕立てて、半襟も刺繍するとか言っていたような、、、。
            筥迫は私が作ってもいいよ〜と言ったのですが、自分で作らなくちゃ自分の作品にならない!というこだわりの人。
            マダムKはみどりさん的マグロな人というよりは、完全な作家気質ですね。
            マダムKが当日まで疲労で倒れないことを祈って、作品展ではすてきなスーパードルフィーにお目にかかりたいものです。

            もちろん着物や帯も力作揃いなので、日本刺繍に興味がおありの方は是非おいでください。

            これから先日仕上がって来た先生の定家文庫用の刺繍を仕立て、これをポスターやハガキにする予定です。
            なのに注文している桐箱屋さんで、定家文庫ができる唯一の職人さん(かなり高齢)が腰を痛めて納品が遅れたり(笑っていたら自分もぎっくり腰 暑い )、金具も紐もまだ届いていないとか、色々バタバタしていますが、できあがったらすばらしい作品になると思います。

            今後のアップをどうぞお楽しみに!



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            筥迫講習会のご案内
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            ★★『実用筥迫〜三段口扇襠〜  ※受付け中
            3月21日(土・祝)〜22日(日)2日講習
            ※初心者対象

            『念珠入れ〜折襠紙入(笹爪付)〜  ※受付け中
            4月4日(土)1日講習
            ※初心者対象

            ★★★『実用筥迫〜二つ折小被付〜 ※3月10日(火)受付開始
            4月5日(日)1日講習
            ※筥迫の講習会に参加された経験者対象

            ★★★★『筥迫研究会  ※受付け中
            5月5日(火・祝)1日単位での申し込み
            ※筥迫の講習会に参加された経験者対象

            ★★★★『筥迫研究会◆ ※受付け中
            5月6日(水・振替)1日単位での申し込み
            ※筥迫の講習会に参加された経験者対象


            ▼筥迫工房のお店

            筥迫工房へのお問い合わせ
             ※時々ショップからのご注文確定メールが届かないことがあります。
              そのような場合も、こちらからご連絡ください。



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            【2015.03.15 Sunday 17:53】 author : Rom筥
            | 日本刺繍の筥迫 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
            日本刺繍の筥迫 七五三『花咲爺』つる姫さん作品
            0

              装 飾:日本刺繍『花咲爺』(製作:つる姫さん)
              仕立て:綿入・挟み玉縁仕立て(製作:Rom筥)
              表 布:帯地
              内 布:古裂縮緬
              打ち紐:筥迫用 <赤系> 紅 人五(502)
              房糸(切り房用):筥迫・末広用<紅02>
              とじ糸:メタリックゴールド <金糸>
              かがり糸:<紅02>Silk
              緒締め玉:パールビーズ 8<赤>
              びら簪:子ども用 長鎖 <鈴>
              ----------------------------------------------------------------

              前回の『兎と亀』筥迫に引き続き『花咲爺』筥迫の登場です。
              つる姫さんのお孫ちゃんは三姉妹。
              初登場のお姉ちゃんは『舌切雀』だったので、「妹ちゃんたちも昔話シリーズで揃えなくちゃね!」と私が言ったのを、つる姫さんはずっと心にお持ちだったようです。

              しかし下の二人は双子ちゃん。
              二人一組の筥迫なので、そこはキチンと仕掛けを考えねば。

              つる姫さんが始めに考えたのは、兎と亀=白いうさぎ、花咲爺=白い犬、という白い動物で揃えるということ。
              そしてまずは「兎と亀」の刺繍が出来上りました。

              しかし問題は片割れの筥迫。
              ここで私に意見を求められたので、以下3点提案させていただきました。

              1)兎が右を向いているので、お対の犬と向き合うような構図にする。
              2)どちらも左に寄せるのは芸がないので、犬は右に配置する。
              3)右の犬は懐中すると隠れてしまうため、外に出る左側にはふんだんに桜を散らす。

              言うは簡単ですが、つる姫さんにとっては悩める注文です。

              本当は兎の画風に合わせた犬を描きたかったそうですが、絵がかなり得意という人でないかぎり画風は簡単には合わせられないもの。
              これに相当悩まれたようですが、ある日私宛に図案を添付したメールが送られて来ました。
              犬がどうしても描けないので、苦し紛れに犬張子にしたがこれで良いかとのこと。

              偶然にも筥迫用の端切れをネットで探しているときに、花を撒くおじいさんと犬張子の柄をアンティークの襦袢地で見かけたところだったので、すかさず「花咲爺に犬張子のアイデアはあるようですよ」と返信しました。

              始めにいただいた図案では、「被せ」の右に犬張子、左に桜が単純に舞っているというものでした。
              そして「巾着」にはザル(おじいさんを表現)に桜の花びら、「簪挿し」の臼と金貨はそのままの図案です。

              そこで、筥迫用に描くならばと少々図案を手直しさせていただきました。


              「巾着」は小さくタックや結び等もあるので、あまりゴテゴテと図案に凝らないで桜一輪だけにしました。
              その代わりザルは「被せ」に移動して、ザルと桜と犬の三つのアイテムでデザインすることにしました。
              ザルと犬張子にはしっかりと模様を入れ、ザルからあふれて画面を埋め尽くすように桜を散らします。
              始めのデザインでは犬張子は真っ直ぐに立っていましたが、兎の躍動感に合わせて少し傾けて動きを出しました。

              また筥迫の図案を考える際に、被せ部分だけでデザインをしてしまいがちですが、胴締めの天地は被せよりも上下に5mmずつ長いので、胴締め前部分は画面いっぱいに使うと全体がとても華やかに仕上がります。

              結局、ちょっと手を入れるつもりが、桜をふんだんに散らしたので、兎と亀に比べて図案がかなりこってりになってしまいました。
              兎と亀も始めに図案を見せられていたら派手に亀を入れた図案で返していたと思うので、それがつる姫さんにとって良かったのか悪かったのかはわかりませんが(笑)。
              でも懐中部分を隠せば二人が並んだ時のバランス(画の密度)は同じぐらいになるので、まぁそれで良しということにしてください。

              とにかく、今はもう筥迫刺繍はしたくない〜アセアセ という心境のようです(笑)。


              さて、中を開くとこんな感じです。
              被せ裏を同じ柄出しで揃えてみました(ちょっとずれたか、、)。

              そして臼と旗のセットが逆だった、、、(汗)。

              被せ下の右上には、双子ちゃんそれぞれのお名前が入っています(ボカシを入れたのでわかりずらいですが)。
              名前だけ刺繍する場合は被裏にした方がよいかと思いますが、表に刺繍をした場合は再度内布を台張りしなくてはならないので、被下に入れてしまった方が台張りの手間が省けます。

              刺繍筥迫を作るなら、このように名前入れをしてあげた方が更に特別感が出ますね。


              貼り箱に入れてみました。


              この貼り箱は、筥迫工房の全ての筥迫型に合うように作られています。
              サイズによって中の仕切りを移動して自分で貼り付けるようになっているので、大人用であればそのまま使うことができます(私は薄葉紙を敷きますが)。

              しかし子ども用の場合左右がかなり空いてしまうので、ここに丸めたプチプチを詰めて安定させることにしました。
              しかしプチプチが見えたままではさすがに見栄えが悪いので、残った内布でカバーすることにしました。

              カルトナージュでしっかりと貼り付けたいところですが、保管箱に酸性の接着剤を使いたくなかったので(筥迫にサイビを使っているのはさておき)、ドットライナーで軽くとめるだけにしています。
              ドットライナーはアシッドフリーなので、このようなときはありがたい存在です。
              そして異素材同士の接着に威力を発揮するのがこの接着剤の良さです。

              ふんわりとお布団に包まれているようで、七五三の保管箱としてお勧めの使い方ではないでしょうか。




              今回は双子の筥迫なので、実は前回からすぐに記事を更新しようと打ち込んでいたのですが、何の弾みか全て消してしまった、、、沈
              長文書きのRom筥といえど、すぐさまこの労力を回復する気も起きずしばし放置していたところ、何気なく見たアクセス数が前回更新から上昇したままずっと続いている(通常二日ほどで下がる)。
              これは皆に待たれてる、、、という無言のプレッシャーを感じつつ、そこは都合よく見ぬフリして、アクセス数が落ちついたところで気を取り直して更新した次第。
              打ち直しの高揚感のなさで、何となく短くなったような気がしないでもない。

              私の筥迫活動の中で、たぶん一番労力を費やしているのはこのブログだと思います。
              かと言って書いたことを後悔する内容ばかりなので、ほとんど見返すこともないのですが、何かの弾みで全てのデータがふっ飛んだりしたら、さすがに今までの労力を思うと惜しくなるだろうなぁ。
              それならばバックアップは取っておくべきか悩むところですが、過去の戯れ言を検索をされないですむかと思うと、このまま書き捨てにするのも悪くないかも、と二つの思いに揺れている今日この頃です。



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              【2015.02.08 Sunday 18:22】 author : Rom筥
              | 日本刺繍の筥迫 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              日本刺繍の筥迫 七五三『兎と亀』つる姫さん作品
              0

                装 飾:日本刺繍『兎と亀』(製作:つる姫さん)
                仕立て:綿入・挟み玉縁仕立て(製作:Rom筥)
                表 布:帯地
                内 布:古裂縮緬
                打ち紐:筥迫用 <赤系> 紅 人五(502)
                房糸(切り房用):筥迫・末広用<紅02>
                とじ糸:メタリックゴールド <金糸>
                かがり糸:<紅02>Silk
                緒締め玉:パールビーズ 8<赤>
                びら簪:子ども用 長鎖 <鈴>
                ----------------------------------------------------------------

                今回は、かわいいかわいい七五三筥迫のご紹介です。
                日本刺繍でご一緒している『つる姫さん』からご依頼の一品。
                教室の方からのご依頼は当たり前のようにブログにも掲載させていただいているので(感謝!)、私としては多くの人に筥迫用の刺繍をしてもらいたいのですが、普段は皆さんお着物や帯制作にお忙しい。

                しかし今年は、5月17日〜19日に私が通う刺繍教室の『第二回 作品展』が行なわれます(池袋の前回と同じギャラリー)。
                ということで、作品展の人気コーナー筥迫ブースへ何人かの方が嚢物作品を出品してくださる予定になっています。
                今回は『定家文庫』も『江戸筥迫』も『琴爪入』もありますよん♡
                なので定番の縢り筥迫が少ないかも(私もこれからラストスパートせねば、、、)。
                そしてこの筥迫も作品展目指して制作されたものの一つなのです。
                 
                つる姫さんと言えば、以前『舌切雀』でお孫ちゃんの七五三筥迫の刺繍をしてくださいました。
                実はこのときのお孫ちゃんはお姉ちゃんの方で、この筥迫は妹ちゃん用のもの。
                とは言っても、お姉ちゃんでさえ四歳、妹ちゃんに至ってはまだ二歳、、。
                実際にこの筥迫を使うのは、もっとずっと先のお楽しみということです。

                小物たちと合わせるともうホントかわいくて、おもちゃ箱をひっくり返したかのような賑やかさです。

                ちなみに、この筥迫は兎と亀なのに「亀」はどこにいるの、、、?と思われた方も多いかと思います。

                さて、亀はどこにいるでしょう!

                答えは巾着の「亀甲模様」にありました(笑)。

                つる姫さんは被せの図案に入れたかったそうですが、どうしても亀のデザインが思い浮かばなかったそうで、苦肉の策で巾着の紋様になったとのこと。
                困った時のいいアイデアですね。

                筥迫装飾の楽しさは、こういった小物たちとの掛け合いにあるかもしれません。
                凝り出せば、「被せ下」「被せ裏」「胴の背」「鏡周り」などにも色々と装飾できます。
                隠れている胴締めの下と、見えている上の模様をうまく変えれば装飾に動きも出ます。

                ただ、普段着物や帯の刺繍に慣れている人には、筥迫刺繍はあまりにも細かいらしく、表の装飾だけで力尽きてしまうようです(笑)。
                どうやら筥迫装飾の妙を目指すには、根性と思い入れが必要なようですね。
                私は根性と思い入れは充分なのですが、未だ刺繍の腕が追いつかないのが非常に残念な所です(苦笑)。

                つる姫さんの一番のお気に入りは、簪挿しの「一等賞の旗」とのこと。
                兎の足元のポップな飾り玉は、お花をデフォルメしたそうです。
                1cm前後の小さな飾り玉に色々デザインを凝らすのは確かに大変そうです。ホントご苦労さまでした。

                前回の筥迫『舌切雀』は古典的なかっちりとしたお姉様デザインでしたが、今回は兎の柔らかいラインが印象的で、生地の色味は合わせていますが全く違う作品になりました。
                きっと兎が飛び跳ねるように、飾り玉がはじけるように元気な妹ちゃんなのでしょう。


                今回の筥迫は内布がとてもかわいかったので、これを玉縁にしようと決めていました。
                日本刺繍の場合は縫い玉縁で仕立てた方よいかなとは思っているのですが、縫い玉縁は一定の厚みが出てしまうので、模様のある内布を玉縁にするとまだらな色の縁が目立ちすぎて刺繍と調和しなかったらどうしよう、、、との心配もあり、今回は細く控えめな挟み玉縁にしてみました。
                全体的にかなり馴染んでいるようなので、結論としてはもっと広く散らせてもよかったかなと思いました。

                ところで、被せと胴締めに玉縁をする際は、縫い玉縁であればお揃いで「簪挿しの口」と「巾着の口」にも玉縁をしますが、挟み玉縁の場合は中に芯を入れているのでそれができません。
                そこで、巾着を「袷」にして中の内布を出すことにしました。
                ちょっと見、玉縁風という感じです。


                玉縁に使ったという内布は、こんなかわいらしい柄です。

                レトロな雰囲気がほしかったので、古裂の縮緬を使いました。

                前回の縮緬生地の使い方で「内布には縮緬を使わないように!」と書きましたが、古裂の縮緬は現代のものと違ってものすごくシボが小さく薄く繊細なので、筥迫の厚みを邪魔しません。
                ですから古裂の縮緬と現代の縮緬は別物と考えた方がよいです。

                このように、マッチングさせたいと思える生地に出会えると柄物を使う時もありますが、装飾筥迫は実用ではないので中を開くことはほとんどなく、通常内布は無地使いが多いです。
                装飾筥迫の内布に凝るとすれば、それはあくまで自分一人のお楽しみということで。

                筥迫は内布に赤色を使うことが多いです。
                と言いますか、維新後、筥迫として市販されているのものは内布がほとんど赤。
                おめでたい色ということもありますが、「赤」という色や「鏡」は魔除けでもあります。
                子どもたちが命を失う確率が高かったその昔、三歳、五歳、七歳を無事迎えられたお祝いの七五三こそ、この「赤」は意味があるものなのかもしれません。

                講習会でも「子どもの頃の筥迫が忘れられなくて」と言って参加される方は多いです。
                筥迫の不思議な造形と、開いたときに見える「赤」と「鏡」の組合せが、子どもたちの脳裏に深く焼き付くのかもしれません。

                実用筥迫は物の出し入れをメインに考えますが、装飾筥迫は中に物を納めたままの使い方と心得ましょう。
                だからこそ、私は装飾筥迫にお手紙を書いて入れることを提案しています(入れるなら紙入れ部分)。
                これならおばあさんになっても時々開いて見てもらえるでしょうし、ちょっとした思い出の品を入れておけば、メモリアルボックスのように扱ってもらえるかもしれません。

                装飾筥迫は、思いや願いを封印する「お守り」のようなものだと考えればよいかもしれませんね。



                実はこの筥迫は『双子の筥迫』なのです。
                次回、もう一つの方の筥迫をご紹介しますね。
                どうぞお楽しみに!




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                【2015.02.01 Sunday 00:01】 author : Rom筥
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                十三参りの筥迫 〜菊鈴と房〜 2014.4
                0

                  装 飾:日本刺繍『菊鈴と房』(製作:Rom筥)
                  仕立て:装飾『びら簪付筥迫(襠付)大型』、挟み玉縁(製作:Rom筥)
                  表 布:内布:筥迫用 生地『1紅』
                  内 布:古裂襦袢地
                  打ち紐:打ち紐:筥迫用 <赤系> 『02紅』
                  緒締め玉:天然石 8mm 2個入 <珊瑚(コーラル)>
                  びら簪:アンティーク
                  ----------------------------------------------------------------

                  娘の十三参り用の日本刺繍の筥迫です。
                  前回の『竹と月(そして雀)2014.1』を作った直後から取りかかった作品ですが、当初は娘が着ることになっている着物の柄から橘の花丸紋を取り、その図案で作り始めていました。
                  娘の卒業から中学入学までの間に十三参りをするつもりだったので、それまでの制作期間は約三ヶ月。
                  私にとっては相当気合いを入れなければできないという期間ですが、製作途中で全く別の図案に一目惚れしてしまいました。
                  帯の柄からとったものですが、なんて筥迫にぴったり!
                  すでに頭の中はこの図案で一杯になり、「これに切り替えます!」宣言をしたので先生もびっくり。
                  しかし気分はノリノリだったので、難なく二ヶ月で作り上げることができました。
                  去年仕上げた作品はたった一つだったというのに、、、。
                  人間追い込まれないと重い腰はあがらないということですね。


                  十三参り延期

                  今回のブログで娘たちが十三参りをしている様子を楽しみにされていた方も多いかと思いますが、実は諸事情がありまして十三参りは延期となりました。
                  十三参りは4月13日前後で行うらしいので、ちょうど桜をバックに撮影できるはずだったのですが、たぶん5月頃に仕切り直して新緑の中で撮影することになると思います。
                  本来筥迫の撮影は、モデル撮影をしてから筥迫紹介した方が都合がよいのですが、ちょっと間が開いてしまうため、筥迫画像だけを先にアップすることにしました。
                  着物も小物も全てコーディネートして揃えたつもりですが、やはり実際に身に付けてみないと似合うかどうかわかりません。
                  先に筥迫だけアップすることに、実はかなりドキドキしています。


                  やや大型の筥迫

                  一般的な筥迫サイズは「115×80cm」ですが、今回の筥迫はそれより一回り大きい「125×90cm」です。
                  アンティークの筥迫の中には、時々このサイズのものがあります。
                  基本サイズに慣れていると、縦横共に1cm大きいだけでかなり大きく感じます。
                  でも実際は、前回卒業式で私が身に付けた『四つ襠紙入れ』と同じ位の大きさでしかありません。



                  着物の柄と同じで色違いの筥迫なら、究極のコーディネート、これほど贅沢な筥迫はない!と悦に入っていたのですが、結局インスピレーションを受けて作り上げたのはこの図案でした。
                  そして通常サイズでは見栄え的にちょっと貧祖な感じに思え、この大型で作ることにしました。

                  着物との調和というよりも、ドドーンと筥迫が目立つ感じになるかもしれません。
                  でも最近思うのですが、筥迫はそのぐらい単独で目立っていいのではないかということ。
                  ハレの日の装飾筥迫は特に、日本刺繍の筥迫なら更に、このぐらいのドーダ感が必要ではないかということ。
                  昔々、筥迫は生理用の紙を入れていたので、筥迫を身につける=大人の女の証しと見られていました。
                  女の子が子供から大人に成長する十二歳〜十三歳という年頃は、筥迫を身につけるのにとてもよい機会です。
                  ということで今回の筥迫は、背伸びをした少女の特別感をテーマにすることにしました。


                  アンティークのびら簪

                  このくらいドーダ感満載の筥迫に合わせるとなると、アンティークの銀のびら簪でないと釣り合いが取れません。
                  日本刺繍だけでも相当高いのに、銀のびら簪、、、昔の人は筥迫にお金をかけていたということです。
                  ショップで販売しているびら簪は今時の物ですが、大人用は子ども用に比べて比較的しっかりと作られています。
                  ところが1年位前に突然材質が変わりました。
                  具体的にどう変わったかはかわりませんが、とにかく軽くなったことは確か。
                  こんなものに材料費をかけてもしょうがないと思っているのかもしれませんが、人々の生活は裕福になっているのに、こういうものはどんどん安物に変わっていきます。本当に残念です。
                  いつか本物のびら簪を復刻したい。
                  お金がかかっても本物の筥迫びら簪が欲しい、という人が何人かいればできるんですけどね。


                  折り襠仕立て

                  特別感のある筥迫なので、今回は「折り襠付」にしてみました。



                  紙入れは別名「襠物」と言うほど襠が付くものが一般的で、筥迫もかつては折り襠仕立てになっているものが多く見られました。
                  一般的に筥迫を作るのは大変と思われているかもしれませんが、現代の筥迫は段口のみのかなりの簡易版と言えます。
                  昔はもっと複雑で趣向を凝らした形があったので、そのうち少しずつ復元してご紹介したいと思います。


                  挟み玉縁&玉縁芯

                  今回の筥迫も挟み玉縁で作りました。
                  またまた紹介し忘れていましたが、すでにショップでも挟み玉縁用の『玉縁芯』を販売しております。
                  芯材(接着芯・厚紙・綿・持手芯・玉縁芯)>玉縁芯
                  「塩ビ芯」と「紙芯」があります。
                  今回は紙芯で作っています。
                  どちらも同じ1mm幅です。
                  材質的に塩ビ芯の方が少し太めでちょうどよいのですが「角」が取りにくい。
                  紙芯の方が角は取りやすいけれど太さが少し足りないので、自分の好みで紙を巻いて太めにして使うこともできます。
                  細い玉縁が好きな方もいらっしゃると思いますので、これは好き好きです。
                  今回は刺繍の繊細さを壊すのが心配で、そのままの紙芯の太さで使っています。
                  出来上りは、、、やはりもう少し太めにしておけばよかった、、、。



                  挟み玉縁を使った筥迫の作り方は、今販売している教本に載っています。
                  今年あたりから切り替えているので、もし以前教本をお買い上げいただいた方で挟み玉縁の作り方を知りたい方は、別途PDFでその部分だけ送りますので、お問い合わせからご連絡いただければと思います。
                  この形は10月のワークショップ『びら簪付筥迫(襠付・装飾)』でも作ります。


                  紙挟み仕様

                  裏の紙挿し部分は、本来は千鳥掛けする箇所ですが、この柄があまりにもかわいかったので紙挟みタイプにしてみました(千鳥掛けは閉じてしまうので中は見えない)。



                  ただ懐紙を挟むだけなのですが、江戸型の筥迫はこの型です。
                  個人的には千鳥掛けすると懐紙取りにくいだろうな〜と思うので、こうやって挟むだけの方が実用的な気がします。
                  千鳥掛けは装飾的なものですね。アクセントとしてかわいいですし。



                  次回は別の記事を挟むかもしれませんが、もう一つのお友達用の筥迫も近々ご紹介いたします。
                  筥迫を作るのは慣れているのでストレスはないのですが、やはり着物と一緒にコーディネートしながら揃えていくのは大変です。
                  やればやったで楽しいですが、しばらくはやりたくない〜と思ってしまいます。
                  とりあえず、次はワークショップの資料を作らねば!



                  WS「念珠入れ」と「携帯裁縫用具入れ」は早々に定員が埋まってしまい、申し込みができなくてがっかりした方も多かったようです。ホントごめんなさい。
                  まさかそんな早くに埋まるとは思わなかったので私もびっくりです。
                  新しいコースだったからなのか、一日コースがウケたのか、、、。
                  「びら簪付き筥迫」と「三段口扇襠筥迫」はすでに何回かやっているので今回ほどではないと思うのですが、確実に申し込みたい方は、申し込み日の0:00(夜中の12:00)にネットショップのカートを表示しますので、その時間を目指してみてください。


                  ===========================
                  2014年 筥迫ワークショップのお知らせ
                  ===========================

                  <5月> 
                   愬絢酘(襠付)』
                  ※定員に達しました
                  日時:5月4日(日・祝)
                  申し込み開始日:4月1日

                  ◆慍中裁縫用具入』※定員に達しました
                  日時:5月6日(火・祝)
                  申し込み開始日:4月2日
                  -----------------------------------------------------------------
                  <6月>
                  『びら簪付筥迫(基本)』

                  日時:6月7日(土)、8日(日)
                  申し込み開始日:5月1日
                  -----------------------------------------------------------------
                  <7月>
                  ぁ愡庵文扇襠筥迫』

                  日時:7月20日(日)、21日(月・祝)
                  申し込み開始日:6月16日(※6月15日より変更しました)
                  -----------------------------------------------------------------
                  <8月>
                  ァ愼鵑沈涵被付筥迫 』

                  日時:8月30日(土)、31日(日)
                  申し込み開始日:7月25日(※7月20日より変更しました)
                  -----------------------------------------------------------------
                  <9月>
                  Α愾飾筥迫&懐剣』

                  日時:9月20日(土)、21日(日)、23日(火・祝)
                  申し込み開始日:7月15日
                  -----------------------------------------------------------------
                  <10月>
                  А悗咾蜆冑寇迫(襠付・装飾)』

                  日時:10月12日(日)、13日(月・祝)
                  申し込み開始日:8月15日
                  -----------------------------------------------------------------




                  ▼筥迫工房のお店

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                  【2014.04.07 Monday 00:24】 author : Rom筥
                  | 日本刺繍の筥迫 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                  日本刺繍の筥迫『柴垣(修復)』2014.3
                  0
                    ショップの商品説明はブログの内容としてはかなり地味なので、先日修復したかわいい筥迫の画像を挟んでみます。
                    これは日本刺繍の筥迫ですが、私が作った物ではなく、刺繍の先生からいただいたアンティーク品です。
                    すごくかわいくて私のお気に入りなので、今回ご紹介させていただこうと思います。



                    この筥迫が運良く私の手にたどり着いたのは、落し巾着が紐ごと紛失し、胴締めが開いているというジャンク品だったからです。
                    刺繍の先生はお知り合いの方から、壊れているけどいいものだし日本刺繍をしている人にもらってほしいと譲り受け、先生からはRom筥さんの方が利用価値があるんじゃない?という感じで巡ってきたものです。
                    私にとっては巾着を作り直せばいいだけのことなので超ラッキーでした(笑)。



                    アンティークの修復は、同じような経年退色した生地を入手する必要があります。
                    以前和裁の先生からいただいた端切れがいい退色具合だったので、同じような色でワンポイント刺繍を施して修復完了。
                    こんな筥迫売っていたら大人気ですね。

                    簪挿しと外箱にも玉縁が施されています。
                    このような仕立ての場合は、巾着にも当然玉縁が入っているものなのですが、写真を撮影してPCでチェックして改めて気がつきました(意外とPCで画像にして気がつくことが多い)。そのうち直せばいいか、、、。
                    筥迫の玉縁は白が圧倒的に多いのですが、白地に赤の玉縁というものたまに出てきます。
                    ちょっと幼い感じにはなりますが、そんなのどうでもいいと思えるほど超ラブリーな筥迫です。
                    びら簪はアンティークの下がりの長いものを合わせて大人っぽくしてみましたが、なんだかお引きの花嫁さんみたいです(Top画像)。


                    あら似たような筥迫が、、と思われるかもしれませんが、実はこれ裏面です。
                    柄合わせもされているので表でも通用します。


                    裏に少しの刺繍がされたものならたまに見かけますが、このぐらいしっかりと刺繍の入った物は珍しいです。
                    現代では見えない場所にまで刺繍をするようなお金の無駄はしないと思いますが、こういうものを見るとこの時代の精神的豊かさを感じます。贅沢ですね〜。


                    刺繍の図案

                    私は今、刺繍図案を描くことにはまっています。
                    昔の筥迫の図案や着物などの柄を参考に筥迫用の図案を描いています。
                    私は筥迫以前に長くイラスト仕事に携わってきたのですが、3〜4年前に筥迫仕事だけに絞ろうと決めたときは、筥迫に集中できる喜びよりも「もう絵を描かなくていいんだ!」という開放感の方が大きかったような気がします。
                    ところが今筥迫の図案を描いているとやたらと楽しい。
                    何でも趣味が一番楽しいということで(笑)。

                    時々、婚礼用の鶴亀図案の筥迫がほしいという依頼があるのですが、鶴亀図案の筥迫はまだ作ったことがないので現在製作中です。
                    でも私は刺繍まで仕事で請けるつもりはないので(そんなレベルでは全くない)、手のいい人に依頼中です。
                    とりあえず今はひたすら図案を作っているところなのですが、このようにアンティークの筥迫はとてもよいお手本になります。
                    鶴亀の婚礼用筥迫はサンプルとしてたくさん持っているのですが、図案を見ているとそれぞれに図案を描いた人の思惑が見えてくるのが楽しい。

                    筥迫の装飾というのは、装着したときに左半分しか見えないので、一般的な図案では左側に柄が片寄りやすい。
                    胴締めも上半分がやっと見えるか見えない程度です。
                    そうなると、より効果的に見える部分に刺繍をしたくなるわけで、見えない右側の図案がすっかスカの場合があります。
                    全体的に柄少なめだとワンポイント的に見えなくもないのですが、やたらと左に図案を盛りすぎて、何の絵だかわからないことがあります(笑)。

                    また、筥迫装飾は本体と胴締めの柄合わせがされていることが醍醐味でもあるのですが、筥迫の中心である胴締め部分に不自然なほど柄を避けているものがあります。
                    柄合わせはされているけれど、こってりとした刺繍を胴締めにまでしなくてすむような、そんな考えが見え隠れして面白いです。
                    筥迫が贅沢品で一個にかける制作時間が長かった時代と、複数同時生産で効率を優先する時代のちょうど境ぐらいの作品なのかもしれません。
                    そういう意味では、今回の筥迫は効率は全く考えていない装飾といえます。

                    もちろん美術館等に飾られている江戸時代の筥迫は、右も左もない(少し左寄りぐらい?)表と裏もないような全体的にびっちりと装飾が施されているものが多いです。
                    現代では日本刺繍を施した贅沢な筥迫など売ってはいませんが、半面、自分で作るからこそどこまでも贅沢な筥迫が作れる(可能性のある)時代であるかもしれません。



                    そんな話をした後ですが、実はこの筥迫、被せを開いてみると、何と被せ下にも刺繍が施されています。
                    つまり、持ち主しかそれを見る恩恵にあずかれないという場所です(まだ裏の方が目立つ)。
                    仕立ても非常に精密。ふ〜っとため息の出るような一品です。
                    こんな昔の嚢物のこだわりを強く残しているものに出会えるとうれしくなります。



                    私はアンティークの筥迫をたくさん持っていますが、かといって筥迫コレクターというワケでもなく、主に仕立てが珍しい物をサンプルとして蒐集しているぐらいです。
                    それでも偶然装飾のよいものを手に入れることもあるので、今後はそういったものも時々アップしてみようかなと思っています。
                    もし皆さまの中でご自慢の筥迫コレクションをお持ちの方がいらっしゃいましたら、筥迫掲示板にでもアップしていただけるとうれしいです。
                    装飾された筥迫の良さは、見ている人を幸せにしてくれることだと思います。
                    筥迫を見て皆でほっこり致しましょう! あ moe



                    ちなみにこの筥迫は、折り襠、取り出し鏡入れ仕様です。
                    現在、私も折り襠付きの大きなサイズの筥迫の型紙を作っています。
                    ショップで販売している筥迫の作り方は最も一般的な型ですが、実は最も簡易な型の筥迫でもあります。
                    この教本に応用編として襠付きの作り方も載せてくれればいいのにと思われるかもしれませんが、襠が付くと型紙もかなり変わってくるので同列では説明できません。
                    これはまたいつか、別の教本として作りたいと思います。

                     
                    このブログを掲載した時は、タイトルを『花籠』としておりましたが、これは『柴垣(しばがき)』だとご指摘いただきました。
                    あらためまして訂正させていただきます。Rom筥(2014.7.27)




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                    【2014.03.01 Saturday 17:07】 author : Rom筥
                    | 日本刺繍の筥迫 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    日本刺繍の筥迫 『竹と月(そして雀)』Rom筥2014.1.7
                    0

                      装 飾:日本刺繍『竹と月そして雀』(製作:Rom筥)
                      仕立て:実用『二折小被付筥迫』(製作:Rom筥)
                      表 布:着物共布
                      内 布:帯揚げ端切れ
                      打ち紐:筥迫用 <青・紫系> 『18紫紺』
                      房 糸:(切り房用):筥迫・末広用<紫紺18>
                      とじ糸:メタリックゴールド <金糸>
                      緒締め玉:丸玉ビーズ 341<唐ネリ>
                      びら簪:アンティーク
                      ----------------------------------------------------------------

                      は〜、久々のRom筥作、日本刺繍筥迫です。
                      この一つ前はと言いますと、刺繍教室の作品展に出品したものなので、去年は全くアップがなかったということ、、、(汗)。
                      いや、作ってはいたんですよ。
                      この渋〜い筥迫と、もう一つコテコテにど派手な江戸型の筥迫を。
                      これもあと少しで出来るので、そのうちアップされると思います。
                      しかしその前に、娘の十三参り用の筥迫を作らねばならないので、今はそちらを優先して作っております。
                      コテコテ作品はその後ということで。


                      月夜の雀

                      表図案は某江戸筥迫の名品からインスパイアして作ったものです。
                      裏図案は「雀」と決めていました。


                      先生には「なぜ雀が表にいないの?」と言われましたが、
                      「いや、この筥迫では、雀は裏でこそ生きるんです」と私。
                      これは「被せ」がないタイプなので、裏も表もあまり関係ないんですね。
                      嚢物の良さは、表だけがメインじゃない!というところにあるので、いかにも裏表がはっきりしている図案にはしたくないというか、あれ?どっちが裏なの?という反応を期待したい(びら簪や飾り房を付けなければリバーシブルで使えますね)。

                      ところで、『月と竹』の図案はいいとしても、『月と雀』はどうなのよ、という話になりました。
                      雀が月に向かって飛んでいるのがいいなぁと漠然と描いてみましたが、雀が夜に飛ぶか?ということです。

                      実は、鳥目=鳥は夜見えないというのは間違いで、ニワトリなどを除いて野生の鳥は夜でもよく見えているそうです。
                      小さな渡り鳥などは天敵に襲われないように夜飛ぶそうですし。
                      鳥loveの我が先生によりますと、渡り鳥は自らの位置(方位)を月やその他の天体によって感じ取るそうです。
                      雀は渡り鳥ではないので、夜は木の上や物陰でおとなしくしていて、外敵を気にしつつ短い睡眠をとるそうです。

                      ちなみに、夜にスズメのような鳴き声をあげながら現れる妖怪を「夜雀(よすずめ)」というそうな。
                      つまり、夜に活発に動いている雀がいたらそいつは妖怪ということなので、竹薮のざわめきに驚いて月夜に飛び起きた雀の図、ということにしておきましょう(笑)。



                      菅縫い

                      銀糸の月は菅繍でおぼろ月夜を表現してみました。
                      日本刺繍を知らない方のために、菅繍(すがぬい)とは、横糸を細い糸で留めて表現する技法です。
                      つまり一本の細い糸が渡してあるだけに見えて、実はその一本を細かく見えないように糸で留めています。
                      相良縫いの縫い潰しといい、日本刺繍はマゾ的な表現が多いのですが、アンティークの筥迫にはかなりの確率でこの菅縫いが施されて
                      いたりします。


                      その昔、この細く長い金糸が見えないように留められていることに、やたらと感激した憶えがあります。
                      その時から菅縫いは私の憧れでした。
                      それなのに私はこの菅縫いがヘタ、、、まずヨレヨレになる(なのでアップにはしない)。

                      こういう手間こそが日本刺繍のすばらしさなのですが、着物や帯では範囲が広すぎてため息が出ます。
                      その点、この小さな筥迫なら手間暇もかけやすいのではないでしょうか。
                      日本刺繍をしている皆さん、是非筥迫を作りましょう(笑)。


                      着物と筥迫

                      この作品は、着物とお揃いの生地(端切れ)で作っています。
                      私が筥迫を作っていると言うと、「もう着ないから筥迫でも作って」と言って着物をくださる方がいます。
                      ほとんどはまだ着られる着物が多いので、切り刻むことがもったいなくて横に流すことが多いのですが、これは着物の余り布が付いていたので「着物とお揃いの筥迫が作れる!」と取っておいたものです。
                      この生地で作るなら「二折小被付筥迫」と決めていました。
                      これはとても薄い筥迫です。
                      スタイリッシュな縞柄に細身の筥迫が似合うような気がしました。



                      この着物を着る予定はなかったので一年かけて悠長に刺繍をしていたのですが、年明けに行なわれるお針子会の和裁教室25周年記念新年会に刺繍教室も参加させていただけることになり、和裁教室の生徒さん=着物で来る、それならこの機会に着物を着よう!と思い立ちました。
                      そう思うとあっという間に刺繍も仕上がり、いかにだらだらと作業していたかということがわかります(笑)。
                      しかし着物を着るのはほぼ十年ぶり=筥迫を作り始めてから自分自身で身に付けたことがないというこの事実!
                      自分で作った筥迫で自分自身を飾ろうという発想がなかった。
                      (撮影以外で)着物を買うぐらいなら、筥迫の材料を買いたい!と思ってしまう方なので、、、。
                      新年会まであと一週間。着付けを思い出すのに苦労しそうです。


                      大人なびら簪

                      以前、ワークショップ参加者のY.Kさんから「私たちの年代がしてもおかしくないびら簪ないでしょうかねぇ」と言われたことがありました。
                      確かに一般的なサイズのびら簪はあまりにも華やかすぎて、私のような年齢になると恥ずかしくて使うことができません。
                      「子供のびら簪」「大人のびら簪(若者用)」はあるので、求む「大人なびら簪(年配用)」という感じですかね。

                      ところが先日、びら簪を整理しているときにこの簪を見つけました。
                      左が現在販売されているもので、右が今回使ったびら簪です。


                      平打ちが子ども用のように小さいのに(直径22mm)、下がりが大人用より長い(110mm/下がり7本)という、なんとも控えめなびら簪です。
                      当初この筥迫には飾り房を付ける予定でしたが、もしかしたらこのびら簪の方が合うのでは?と思い付けてみました。
                      ぴったりでした。
                      これなら、私のような年代でも、びら簪の華やかさを享受できるかもしれません。

                      まぁ、当初考えていた飾り房も捨てがたいですけどね。




                      ところで、この『二折小被付筥迫』はまだ教本になっていません。
                      というより、去年11月にワークショップ予定でしたが延期になっていたものです。
                      以前、ブログで紹介したときにとても好評だったので是非ワークショップは実現したいとは思いますが、その前に三段口の教本を仕上げなければならないし、この筥迫の資料も作らねばならない。
                      やはりゴールデンウィーク頃になるでしょうか。
                      ご興味のある方は、ワークショップの今後の日程をご参照ください(まだアップされていませんが、、、)。
                      もちろん、ワークショップに参加できない方のために、教本作りもがんばりますとも!



                      ▼筥迫工房のお店

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                      【2014.01.09 Thursday 23:19】 author : Rom筥
                      | 日本刺繍の筥迫 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |