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後藤勝子コレクション vol.11 〜北斎シリーズ (3)〜 山下白雨
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    北斎シリーズ(3) 山下白雨
    装 飾:(日本刺繍)後藤勝子
    仕立て:(折り返し・綿入り)後藤勝子
    サイズ:7×13×3.8cm
    布 :帯地
    ------------------------------------------------------------------
    山下白雨をモチーフに前面平糸で密に刺し縫いし、ビロードのように仕上げました。
    (後藤勝子)

    後藤勝子コレクション11作品目は、北斎シリーズから「山下白雨」です。
    2013年1月に掲載いたしました凱風快晴の「赤富士」に対し、この山下白雨は「黒富士」と呼ばれています。

    山下白雨は「さんかはくう」と読みますが、この「白雨」とは夕立のこと。
    私は「山下」という場所(どこだそれ?)から見た富士だと勝手に思い込んでいたのですが、単純に「山の下が夕立」という意味でした(大笑)。

    実はこの作品には入っていませんが、北斎の元絵には富士の裾野右下に印象的な図形のようなものが入っています。
    これが一体何なのか以前より不思議に思っていましたが、今回改めて調べたところ、これは「稲妻」だということを知りました。
    つまり富士の頂上付近は快晴、山の下(黒部分)は雷雨という、富士山がいかに高い山かということを気象でそれもデザイン的に表現しているんですね。

    また、裾野に「松林」の絵が入ったものがあるので、これは誰かがこの作品を模倣して手を加えた別作品だと思っていたのですが、実は後刷りの際に加えられたものだそうです。
    版画なので人気があれば何版も作り直すでしょうが、途中で絵を変えるってそんなことしていいんですね、、、汗(作家の意図はあったとは思いますが)。
    後藤さんも筥迫のデザインとしてあえて稲妻は入れなかったということでしょう。


    巾着には赤と青の波が描かれ、後藤さんのお気に入りの「富士」と「波」が仲良く入った作品となりました。

    特に赤のあしらい方が美しいですね。
    縁の入れ方も後藤さんらしく個性的です。
    実は今気がついたのですが、被せの裏にも縁が入っているようです(画像左端にちょこっと見えるところ)。
    部分的な縁使いでとても印象的な作品になっています。



     

    面白い縁の使い方と言えば、以前、風来坊さんがこんな縁の使い方を紹介してくださいました。
    筥迫の底部分に小さく縁が見えています。(同系色なのでわかりずらいかもしれませんが、鮮やかな小さな赤部分)

    これ、何か連想するものありませんか?
    実は風来坊さんはグラフィックデザイナーなので、製本の
    「花布(はなぎれ)」からヒントを得て作ったものとのことでした。
    面白い発想ですね。
    色を変えたら、より本に見えるかもしれません。
    色々なところで小さなアクセントを入れられるのも筥迫の面白さなので、自分なりのこだわりを見つけてみてください。
     

    ネットで富士山の絵を見ていたら、娘の小学校の記念誌のことを思いだしたので、今回はその話しを書かせていただこうと思います。

    娘の在学中に創立ン十周年記念行事があり、その年、私は広報委員でPTA発行の周年誌を作るグループで表紙担当をしていました。 

    表紙には小学校の全景を入れることは決まっていたのですが、どのようなアングルで撮影するかで悩んでいました。
    その学校は高台にあり、校歌に富士山が見えるという内容が入っていることから、俯瞰で学校全体を入れながら、その向こうに富士山が見える構図にしてはどうかという意見が出ました。
    ちょうど小学校の裏手にPTA会長がお住まいのビルがあったので、その屋上から撮影させてもらえばいい!グッドアイデア!と話しはとんとん拍子に決まったのですが、その写真は表紙担当の私が撮る、、、んだよね???(大汗)。

    しかし校歌ができたン十年前には見えていた富士山も、現在の東京ではよほど条件の整った日でなければ見えるはずもなく、PTA会長から「富士山が見えるぞ〜!」と連絡があると、あらゆる作業を放り出してその場に駆け付け撮影するという日々が始まりました。
    しかし何度行っても薄らぼやけた富士山ばかりで絵になりません。
    それでもわかる人にはわかるでしょうぐらいの曖昧さで表紙は完成し、あと少しで校了という時期になって、大型の台風が来るかも?という天気予報が出ました。

    台風が過ぎた後は空気も澄んで視界良好のはず!
    かつてこれほど台風を待ち望んだことはないぐらい、皆で必死に台風乞いをしました。
    そして台風一過。
    その日私はどうしても抜け出せない仕事があり、他の人に撮影を頼み、翌日画像を受け取ることになりました。
    果たして富士山は写っているのか、恐る恐るメディアをセットすると、、。

    PC画面いっぱいに広がる真っ青な空、その下に小さくくっきりと現れた富士の姿!
    そして何より私を驚喜させたのは、小学校の校庭で一年生が国語の授業をしている光景が映っていたこと。
    なぜビルの屋上から撮影しているのに、校庭で「一年生」が「国語の授業」をしているのがわかったのか?
    それは校庭に先生が大きな「くじら」の絵を描いていたからです。
    娘の小学校では、一年生の国語の教科書に「くじら雲」というお話があるのです(音読でしつこく聞かさせられるので親もよく知っている)。

    偶然とはいえ、できすぎのシュチエーションで撮影が終わり、あとは画像加工で青空にくじら雲と雲で描かれたタイトルを加え表紙が完成しました。
    皆さんに画像をお見せできないのが残念ですが、これが私の忘れられない富士山の思い出です。
    今見返してみると、遠く遠くの本当に小さな富士山なんですけどね(笑)。



    ※これらの画像は後藤さんのご好意により掲載しております。
    また、このブログに掲載されている他の画像、掲示板に掲載されている皆さんの画像を含め、無断の転用転載は画像を悪用される可能性がありますので、堅くお断りさせていただきます。
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    【2014.10.25 Saturday 19:40】 author : Rom筥
    | 後藤勝子コレクション | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    後藤勝子コレクション vol.3 〜北斎シリーズ (1)〜 凱風快晴
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      北斎シリーズ<1>『凱風快晴』
      装 飾:(日本刺繍)後藤勝子
      仕立て:(折り返し・綿入り)後藤勝子
      サイズ:7×13×3.8
      布  :阿波しじら織、木綿
      ------------------------------------------------------------------

      やわらかな初夏の風が吹く快晴の場面に、木綿の爽やかさがマッチすると思いました。
      雲には糸に羽衣金を撚りがらめ、太めの糸で菅引きいたしました。
      (後藤勝子)



      葛飾北斎の「富嶽三十六景」から『凱風快晴』(がいふうかいせい)をモチーフに作られた筥迫です。
      しじら織りのぬき目に合わせた刺繍表現が効果的です。
      落し巾着では色を反転させて本体と趣向を変えられていますが、この配色だからこそ打ち紐の朱赤ときれいに調和しているように思います。

      こんな筥迫を身に付けたとしたら、、、胸に挿し込んでいるときは地味ですが、さっと抜き出したときのインパクトは絶大でしょうね(笑)。
      でもこれは装身具というよりは工芸品の類いかもしれません。
      ピカピカの漆塗りの盆の上に乗せて飾ったらきっとすてきでしょうね。

      昨年末から年明け1月にかけて成人式用の筥迫注文や嚢物の注文が重なり、また年末のお節作りにもあいかわらず張り切っていたので、なかなかブログがアップできませんでした。
      そんなとき後藤さんから、私が撮影した画像を使った年賀状が届きました。
      それがこの凱風快晴です。
      新年にふさわしいイメージだと思い新年のトップを飾らせていただきましたが、でも実はこれ「夏の早朝」におこる現象なんですね(笑)。




      北斎と杉浦日向子

      私は葛飾北斎といえば北斎自身の絵よりも、杉浦日向子の漫画『百日紅(さるすべり)』を連想してしまいます。
      これは北斎と娘のお栄、弟子の善次郎の三人を取り巻く話です。
      私にとってはこの漫画のイメージが強烈すぎて、北斎の絵を見る度、絵よりもその向こうにいる百日紅の北斎のイメージをダブらせてしまいます。
      生涯手元に残しておきたい漫画ベスト5に入っています(漫画という括りに入れてしまうには惜しい気もしますが)。

      杉浦日向子は江戸風俗の研究者で、話も面白く、文章もうまい、ということでエッセイはよく読んでいました。
      かつてNHKの「お江戸でござる」に出ていらっしゃったのでご存知の方も多いかと思います。
      しかし私はといえば、雑誌の書評でこの本が紹介されたのを見て、その時初めてこの人が漫画家であるということを知った次第です。
      そしてその書評に載っていた、たった一コマの絵を見てすぐさま本屋に駆け込みました。
      その一コマは何てことない絵だったと思いますが、なぜだか無性に惹き付けられました。

      正直言って杉浦日向子は絵がうまいんだかヘタなんだかよくわかりません。
      一巻を読み始めたときは、この人やたらとヘタなんじゃないかと思ってしまったぐらいですが、読み進めて行くとどんどん惹き付けられ、読み終わったときは完全にその世界にはまっていました。
      絵のうまいヘタでは測れない、描写力と構図力と表現力と構成力の全てひっくるめてグイグイ引きずり込まれていく。
      江戸時代に生きていたのではないかと思えるほどの知識と愛情で、詳細なイメージを持っているからこそ、このような作品を描けるのでしょう。
      北斎がお好きなら絶対に読んでいただきたい作品です。

      私はここ何年も読んでいませんでしたが、後藤さんの作品画像を見ていたら、なんだか無性に百日紅が読みたくなりました。
      私は一番始めに出たA5判のマンサンコミックスの(一)〜(三)巻を持っているのですが、現在は文庫のみで上下巻で出版されているようです。

      そういえば「お江戸でござる」で杉浦さんのおもしろ講座をまとめたサイトがありましたね。
      杉浦日向子のおもしろ講座『大江戸袋物事情』
      筥迫のこともちょこっとふれているのでご参考まで。




      後藤コレクションの紹介で、なぜか杉浦日向子押しになってしまいました。スミマセン、、。
      後藤コレクションの北斎シリーズは全7点あります。
      ゆっくりとご紹介していきますが、北斎シリーズの度に杉浦日向子をからめたりしないのでご安心ください(苦笑)。

      ところで、後藤さんはしじら織の「しじら」を漢字で説明されていたのでそのまま入力しようと思ったのですが、なぜかPCの辞書機能が反応しない、、、(泣)。
      そういえば、去年、おんぼろMacに最新OSをバージョンアップした途端、ネットは遅くなるわ、あるソフトの印刷機能が使えなくなるわで、ほとんどのものが正常に機能せず、すごいストレスでした。

      超アナログの筥迫であっても、筥迫のことを調べたり、教本を作ったり、型紙を作ったり、ショップをしたり、ブログをしたり、という活動ができる影にはPCの存在が欠かせません。
      しかしPCが便利であればあるほど、一反調子悪くなったときの絶望感はあまりにも大きいです。
      今年一番の目標は、筥迫作りよりPCを買い替えることが先決かもしれません。
      もう少し建設的なところでは、せめて新しい教本が一冊ぐらい出せればいいかな、、、程度にしておきます(苦)。

      最後になりましたが、どうぞ今年も筥迫工房をよろしくお願い申し上げます。



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      【2013.01.07 Monday 20:21】 author : Rom筥
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